(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための無接点給電システム、受電機器、給電台、無接点給電方法を例示するものであって、本発明は無接点給電システム、受電機器、給電台、無接点給電方法を以下のものに特定しない。特に本明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施の形態に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、及び「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記しているが、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0021】
本発明の一実施の形態に係る無接点給電システムによれば、前記給電台はさらに、前記送電コイルと受電コイルとの間に異物が存在することを検出する異物検出手段を備えており、前記給電台は、前記異物検出手段により異物の存在が検出されると、前記第二送電要求信号を受信した場合でも、前記第二電流モード
に移行しないよう制御することができる。上記構成により、送電エネルギーを大きくして短時間での充電などを実現しつつも、異物検出時には
第二電流モードに移行しないことで、安全性を高めることができる。
【0022】
本発明の一実施の形態に係る無接点給電システムによれば、前記給電台は、前記異物検出手段により異物の存在が検出されると、前記第二送電要求信号を受信した場合でも、前記第一電流モードで送電を行うよう制御することができる。上記構成により、送電エネルギーを大きくして短時間での充電などを実現しつつも、異物検出時には送電量を低減することで、安全性を高めることができる。
【0023】
また本発明の他の実施の形態に係る無接点給電システムによれば、前記受電
量を、電流値とすることができる。
【0024】
さらに本発明の他の実施の形態に係る無接点給電システムによれば、前記受電
量を、電力値とすることができる。
【0025】
さらにまた本発明の他の実施の形態に係る無接点給電システムによれば、前記第一電流モードが、標準化された規格に対応した給電であり、前記第二電流モードが、充電台判別機能に対応した給電であり、前記受電側制御手段は、前記給電台が、前記第二送電要求信号に反応したことを判定して、充電台判別機能対応型と判別し、前記第二送電要求信号に反応せず、前記第一送電要求信号に反応したことを判定して、標準規格対応型と判別するよう構成できる。
【0026】
さらにまた本発明の他の実施の形態に係る無接点給電システムによれば、前記受電側制御手段は、前記給電台から前記第二送電要求信号に応じた第二送電電力を受けたことを検出して、充電台判別機能対応型と判別し、前記第二送電要求信号に反応せず、前記第一送電要求信号に応じた第一送電電力を受けたことを検出して、標準規格対応型と判別するよう構成できる。
【0027】
さらにまた本発明の他の実施の形態に係る無接点給電システムによれば、前記要求信号受信手段で、前記受電機器から前記第二送電要求信号と第一送電要求信号とを受信すると、第二送電要求信号に従い第二送電電力を前記電力制御手段で送電する一方、前記第一送電要求信号を無視するよう構成できる。
【0028】
さらにまた本発明の他の実施の形態に係る無接点給電システムによれば、前記標準化された規格が、WPC規格であり、前記第一送電要求信号を、コントロールエラー信号とできる。
【0029】
さらにまた本発明の他の実施の形態に係る無接点給電システムによれば、前記第二送電要求信号を、WPC規格のプロプライエタリパケット信号に含まれるヘッダに充電台判別機能の情報を格納したものとできる。
【0030】
さらにまた本発明の他の実施の形態に係る無接点給電システムによれば、前記異物検出手段が、前記受電機器において受電電流値を検出し、該受電電流値に基づいて伝送効率を演算し、該伝送効率を所定の効率閾値と比較して、伝送効率が効率閾値よりも小さいときに異物が存在すると判定し、伝送効率が効率閾値よりも大きいときに異物が存在しないと判定することができる。
【0031】
さらにまた本発明の他の実施の形態に係る無接点給電システムによれば、前記電気負荷が、二次電池であり、前記給電台が、前記二次電池を充電する充電台であり、前記受電機器に対して、前記給電台から無接点で電力を送電して、前記受電側制御手段が、前記受電コイルで受電した受電電力でもって、前記二次電池の充電電流を制御して、該二次電池を充電可能とできる。
【0032】
さらにまた本発明の他の実施の形態に係る無接点給電システムによれば、第一目標電流値を、規格化された無接点充電方式に従った電流値とできる。
【0033】
さらにまた本発明の他の実施の形態に係る無接点給電システムによれば、第一目標電流値を700mAに、第二目標電流値を900mAに設定できる。
【0034】
さらにまた本発明の他の実施の形態に係る無接点給電システムによれば、前記要求信号生成手段は、前記第一送電要求信号と、第二送電要求信号とを時分d割で送信可能とできる。
【0035】
さらにまた本発明の他の実施の形態に係る無接点給電システムによれば、前記給電台がさらに、前記送電コイルを、前記受電機器を載置する載置面内で移動させるための移動機構を備えることができる。
【0036】
さらにまた本発明の他の実施の形態に係る無接点給電システムによれば、前記給電台の前記送電コイルを固定式とすることもできる。
【0037】
さらにまた本発明の他の実施の形態に係る受電機器によれば、前記給電台で、前記送電コイルと受電コイルとの間に異物が存在することを検出すると、前記第二電流モード
に移行しないようにすることができる。上記構成により、送電エネルギーを大きくして短時間での充電などを実現しつつも、異物検出時にはこれを
移行しないようにすることで、安全性を高めることができる。
【0038】
さらにまた、本発明の実施の形態に係る給電台によれば、さらに前記送電コイルと受電コイルとの間に異物が存在することを検出する異物検出手段を備えており、前記異物検出手段により異物の存在が検出されると、前記電力制御手段は、前記第二電流モードでの送電を要求する前記送電要求信号を受信した場合でも、前記第二電流モード
に移行しないよう制御することができる。上記構成により、送電エネルギーを大きくして短時間での充電などを実現しつつも、異物検出時にはこれを
移行しないようにすることで、安全性を高めることができる。
【0039】
さらにまた、本発明の実施の形態に係る無接点給電方法によれば、異物の存在が検出されると、前記給電台が前記第二送電要求信号を受信した場合でも、前記第二電流モード
に行こうしないよう制御することができる。これにより、送電エネルギーを大きくして短時間での充電などを実現しつつも、異物検出時にはこれを
移行しないようにすることで、安全性を高めることができる。
(実施の形態1)
【0040】
図1は、本発明の実施の形態1に係る無接点給電システム100を示すブロック図である。この図に示す給電台10は、無接点給電方法で受電機器50に電力搬送する。図では、給電台10の上に受電機器50を載せて、給電台10から受電機器50に送電する状態を示している。この実施の形態では、給電台10を充電台とし、受電機器50を電池内蔵機器として、充電台から電池内蔵機器に送電して、電池内蔵機器の二次電池52を充電する状態を示している。
【0041】
なお本発明は、給電台を充電台に、あるいは受電機器を電池内蔵機器に、それぞれ特定するものではない。受電機器は例えば、照明器具や充電アダプタ等とすることもでき、給電台から受電機器に送電して、受電機器を電力駆動することができる。例えば受電機器が照明機器の場合は、給電台から送電される電力で光源を点灯し、また受電機器が充電アダプタの場合は、給電台から送電される電力でもって、充電アダプタに接続される電池内蔵機器に電池の充電電力を供給して、電池内蔵機器の電池を充電する。また、受電機器は、パック電池であっても良い。
【0042】
給電台10は、ケース20の上面に、受電機器50を一定の位置にセットして載せる上面プレート21を設けて、この上面プレート21の内側に送電コイル11を配置している。送電コイル11は、交流電源12を接続して、交流電源12を電力制御手段13で制御している。
【0043】
電力制御手段13は、受電機器50から伝送される送電要求信号で交流電源12を制御して、送電コイル11に供給する電力を調整する。電力制御手段13は、要求信号受信手段14から入力される増加要求信号で交流電源12から送電コイル11への出力電力を大きくし、減少要求信号で送電コイル11への出力を小さくして、受電機器50から要求された要求電力を送電する。電力制御手段13は、交流電源12の出力を最大出力に以下に調整し、あるいはあらかじめ設定している設定電力以下に調整する。電力制御手段13は、増加要求信号によって交流電源12の出力を増加させるが、交流電源12の出力が最大電力に、あるいは設定電力まで増加される状態においては、増加要求信号を検出しても、交流電源12の出力を増加させない。
【0044】
給電台10は、送電コイル11を受電コイル51に電磁結合して、送電コイル11から受電コイル51に電力搬送、すなわち送電する。受電機器50を上面プレート21の自由な位置にセットして、二次電池52を充電する給電台10は、送電コイル11を受電コイル51に接近するように移動させる移動機構16を内蔵している。この給電台10は、送電コイル11をケース20の上面プレート21の下に配設して、上面プレート21に沿って移動機構16で移動させて、受電コイル51に接近させる。移動機構16は、送電コイル11を上面プレート21のXY平面内で移動させる。このような移動機構16には、送電コイル11をXY方向に移動させるモータ等が利用できる。
【0045】
給電台10と受電機器50は、受電機器50を給電台10の定位置にセットする位置決め部機構を設けて、受電機器50を給電台10の定位置にセットすることができる。位置決め部機構は、受電コイル51を送電コイル11に接近させるように、受電機器50を給電台10の定位置にセットする。送電コイル11に接近する受電コイル51は、電磁誘導作用で送電コイル11から受電コイル51に電力搬送して送電する。
(実施の形態2)
【0046】
以上の例では、送電コイル11を上面プレート21内面において、移動機構16で水平面内に移動させる構成を説明した。ただ、送電コイルを固定式とした給電台を利用することもできる。このような例を実施の形態2として、
図2に示す。この図に示す無接点給電システム200は、給電台10’と受電機器50で構成される。給電台10’は、送電コイル11を受電コイル51と電磁結合させるための位置決め部機構22として、給電台10’の定位置に受電機器50をセットする嵌合構造を利用している。
図2の嵌合構造は、給電台10’上面に受電機器50を嵌入する嵌入凹部23を設けて、嵌入凹部23に受電機器50を入れて定位置にセットしている。なお図示しないが、位置決め部機構は、給電台と受電機器との対向面に嵌合構造の凹凸を設けて、受電機器を給電台の定位置にセットすることもできる。嵌合構造は、受電機器の位置ずれを防止できる。
【0047】
送電コイル11は、上面プレート21と平行な面で渦巻き状に巻いてなる平面コイルで、上面プレート21の上方に交流磁束を放射する。この送電コイル11は、上面プレート21に直交する交流磁束を上面プレート21の上方に放射する。送電コイル11は、交流電源12から交流電力が供給されて、上面プレート21の上方に交流磁束を放射する。送電コイル11は、磁性材からなるコア(図示せず)に線材を巻いてインダクタンスを大きくできる。コアのある送電コイルは、磁束を特定部分に集束して、効率よく電力を受電コイルに伝送できる。ただ、送電コイルは、必ずしもコアを設ける必要はなく、空芯コイルとすることもできる。空芯コイルは軽いので、送電コイルを上面プレートの内面で移動させる構造にあっては、移動機構を簡単にできる。送電コイル11は、受電コイル51の外径にほぼ等しくして、受電コイル51に効率よく電力搬送する。
【0048】
交流電源12は、電力制御手段13でもって送電コイル11に供給する電力が調整されて、たとえば、20kHz〜1MHzの高周波電力を送電コイル11に供給する。送電コイル11を受電コイル51に接近するように移動させる給電台10は、交流電源12を、可撓性のリード線を介して送電コイル11に接続している。交流電源12は、発振回路と、この発振回路から出力される交流を電力増幅するパワーアンプとを備える。
【0049】
給電台10は、送電コイル11を受電コイル51に接近させた状態で、交流電源12で送電コイル11に交流電力を供給する。送電コイル11の交流電力は、受電コイル51に送電されて、二次電池52を充電する。給電台10は、二次電池52が満充電され、あるいは異物検出し、あるいはまた異常判定する状態で、受電機器50から伝送される信号で送電コイル11への電力供給を停止して、二次電池52の充電を停止する。
【0050】
図1と
図2の受電機器50は電池内蔵機器5で、給電台10の送電コイル11に電磁結合される受電コイル51を内蔵している。受電コイル51に誘導される受電電力で二次電池52を充電する。したがって、
図1の受電機器50は、二次電池52と、受電コイル51と、この受電コイル51に誘導される交流を直流に変換する整流回路56と、整流回路56から出力される直流で二次電池52を充電する充電電流や電圧を調整する受電側制御手段53と、受電機器50の情報信号を給電台10に伝送する伝送回路54と、整流回路56の出力から受電電力の受電量を検出する受電量取得手段58と、この受電量取得手段58で検出された受電量を、二次電池52を充電するために必要な電力である要求電力に比較して送電要求信号を生成する要求信号生成手段57を備える。
【0051】
二次電池52は、リチウムイオン電池又はリチウムポリマー電池である。ただし、電池は、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池などの充電できる全ての電池とすることができる。受電機器50は、1個ないし複数の二次電池52を内蔵している。複数の二次電池52は、直列又は並列に接続され、あるいは直列と並列に接続される。
【0052】
整流回路56は、受電コイル51に誘導される交流をダイオードブリッジで全波整流して脈流を平滑コンデンサで平滑化する。整流回路は、ダイオードブリッジで交流を整流するが、整流回路には、FETをブリッジに接続して、交流に同期してFETをオンオフに切り換えて整流する同期整流回路も使用できる。FETの同期整流回路はオン抵抗が小さく、整流回路の発熱を少なくして、受電機器50のケース内温度の上昇を少なくできる。また、平滑コンデンサは必ずしも必要でなく、ダイオードブリッジや同期整流回路の出力で電池を充電することもできる。
【0053】
受電側制御手段53は、リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池等を定電圧・定電流充電し、またニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池を定電流充電する。さらに、受電側制御手段53は、二次電池52の満充電を検出して、満充電信号を伝送回路54を介して給電台10に伝送する。給電台10は、伝送回路54から伝送される満充電信号や受電機器50の情報信号を要求信号受信手段14で検出する。給電台10は、受電機器50からの情報信号を検出し、電力制御手段13で交流電源12を制御する。給電台10は、満充電信号を検出すると、送電コイル11への電力供給を停止させる。
(実施の形態3)
【0054】
なお、
図1や
図2の例では受電側制御手段として充電制御手段を用いて、二次電池52を充電させる例を説明した。ただ本発明は、受電した電力を二次電池の充電に利用する例に限られず、受電機器の電気負荷を駆動させる電力として利用することもできる。このような無接点給電システムの例を、実施の形態3として
図3に示す。この図に示す無接点給電システム300では、受電機器50が、受電側制御手段として充電制御手段に代えて電気負荷を駆動する電力を供給する負荷駆動制御手段53Bを備えている。他の部材は、上述した実施の形態1や2と同様の構成が利用できる。負荷駆動制御手段53Bは、受電機器50の電気負荷LDを駆動する電力に変換する。受電機器50の電気負荷には、例えば携帯電話やキッチン用品、照明装置等が利用できる。このようにして、受電した電力を二次電池の充電以外に、電気負荷の駆動電力に直接利用することもできる。なお、電気負荷として二次電池を利用すれば上述した実施の形態1や2の構成となる。また、受電した電力を電気負荷の駆動と二次電池の充電の両方に利用する構成も採用できる。
(伝送回路54)
【0055】
伝送回路54は、受電機器50から給電台10に、給電台10の出力を増加又は減少するための増加要求信号と減少要求信号からなる送電要求信号、二次電池52の満充電信号、充電している二次電池52の電圧、充電電流、電池温度、電池のシリアル番号、電池の充電電流を特定する許容充電電流、電池の充電をコントロールする許容温度等の電池情報などの種々の情報信号を給電台10に伝送する。伝送回路54は、受電コイル51の負荷インピーダンスを変化させて、送電コイル11に種々の情報信号を伝送する。この伝送回路54は、図示しないが、受電コイル51に変調回路を接続している。変調回路は、コンデンサや抵抗等の負荷とスイッチング素子とを直列に接続して、スイッチング素子のオンオフを制御して種々の情報信号を給電台10に伝送する。
【0056】
給電台10の要求信号受信手段14は、送電コイル11のインピーダンス変化、電圧変化、電流変化等を検出して、伝送回路54から伝送される情報信号を検出する。受電コイル51の負荷インピーダンスが変化すると、これに電磁結合している送電コイル11のインピーダンスや電圧や電流が変化するので、要求信号受信手段14は、これ等の変化を検出して、受電機器50の情報信号を検出することができる。
【0057】
ただし、伝送回路は、搬送波を変調して伝送する回路、すなわち送信機とすることもできる。この伝送回路から伝送される情報信号の要求信号受信手段は、搬送波を受信して、情報信号を検出する受信器である。伝送回路と要求信号受信手段とは、受電機器から給電台に情報信号を伝送できる全ての回路構成とすることができる。
(受電量取得手段58)
【0058】
受電量取得手段58は、所定の周期で、整流回路56から出力される受電電力の受電量を取得する。また要求信号生成手段57は、受電量を要求電力と比較して送電要求信号を生成する。さらに受電機器は、送電要求信号に基づいて異物検出を判定する判定機能を備えることもできる。また異物検出の判定は受電機器側でなく、給電台側で行うこともできる。この場合は、例えば受電機器側から給電台に二次電池の電圧と充電電流を通知し、給電台側で送電電力と比較して、伝送効率が基準値よりも低い場合は異物が存在すると判断し、送電を停止する。
(要求信号生成手段57)
【0059】
要求信号生成手段57は、整流回路56の出力電圧と電流の積から受電電力の受電量を受電量取得手段58でもって検出し、検出された受電電力の受電量を要求電力に比較して送電要求信号を生成し、出力する。受電量取得手段58は、二次電池52を充電するために必要な電力を要求電力として検出する。この受電量取得手段58は、二次電池52の種類、電池電圧、充電する電流等を検出して、二次電池52を充電するために必要な電力、すなわち要求電力を検出する。リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池は、定電圧・定電流特性で充電されるので、二次電池52が満充電に近づくに従って充電電流は減少する。したがって、二次電池52が満充電に近づくにしたがって要求電力を小さくする。
図1と
図2の例では、受電機器50を電池内蔵機器として、消費電力で二次電池52を充電する。この受電機器50は、要求電力を二次電池52の充電電力とするが、受電機器は必ずしも電池内蔵機器には限定しない。電池内蔵機器でない受電機器は、要求電力を負荷の消費電力や定格電力として検出する。
【0060】
送電要求信号は、給電台10の出力を増加させる増加要求信号と、出力を小さくする減少要求信号である。要求信号生成手段57は、受電量が要求電力よりも小さいことを検出して増加要求信号を出力し、受電量が要求電力よりも大きいことを検出して減少要求信号を出力する。また要求信号生成手段57は、電気負荷に最適な電力を供給できるように、受電量を要求電力に比較して、増加要求信号又は減少要求信号からなる送電要求信号を出力する。
【0061】
ここで、給電台10が受電機器50に電力伝送制御を行う様子を、
図4のブロック図に基づいて説明する。この図に示す給電台10は、受電コイル51と電磁結合して送電するための送電コイル11と、要求信号生成手段57から送信される送電要求信号を受信するための要求信号受信手段14と、要求信号受信手段14で受信された送電要求信号に基づいて、送電コイル11から送電する送電量を制御するための電力制御手段13とを備える。
(受電機器50)
【0062】
一方、受電機器50は、受電コイル51と、電気負荷LDと、受電量取得手段58と、要求信号生成手段57とを備える。電気負荷LDは、例えば二次電池52と、これを充電する充電電流を制御する受電側制御手段53とで構成される。受電量取得手段58は、受電機器50側で実際に得られた受電値を検出する。要求信号生成手段57は、受電量取得手段58で検出された受電値に基づいて、給電台10から受電機器50に送電される送電量に関して指示する送電要求信号を、給電台10側に送信する。この要求信号生成手段57は、
図1、
図2で示した伝送回路54が利用できる。また
図4の例では、受電量取得手段58と要求信号生成手段57とを別部材としているが、これらを一のICなどで構成することもできる。なお送電要求信号は、要求信号生成手段57の指示により受電コイル51を介して給電台10側に送信される。
(受電側制御手段53)
【0063】
図4に示す受電機器50の受電側制御手段53は、電気負荷LDに対して、第一電流値を定格電流として送電可能な第一電流モードと、第一電流値よりも大きい第二電流値を定格電流として送電可能な第二電流モードを切り替え可能としている。
(要求信号生成手段57)
【0064】
要求信号生成手段57は、受電量取得手段58で検出された受電値値を所定値と比較し、この所定値よりも低い場合は、送電電力を増加するように指示する電力増加要求信号を、送電要求信号として給電台10に送信する。一方、この所定値よりも高い場合は、送電電力を低減するように指示する電力減少要求信号を、送電要求信号として給電台10に送信する。これによって実際に送電される送電電力に応じた適切な充電が可能となる。このような送電要求信号は、規格化された信号が好適に利用でき、例えばQi規格の場合は、5W用の制御誤差(Control Error:CE)信号を利用できる。これにより、Qi規格に従った二次電池の充電が可能となる。
【0065】
また要求信号生成手段57は、第一電流モードと第二電流モードに応じて、送電要求信号として、第一電流モードでの送電に必要な第一送電電力を要求する第一送電要求信号と、第二電流モードでの送電に必要な第二送電電力を要求する第二送電要求信号とを送信可能としている。例えば電気負荷LDへの送電として、二次電池への充電をQi規格、及びこれよりも高出力で充電可能な独自制御で行う場合を考える。第一電流モードでの充電時は、第一電流値を700mAとして、この電流以下で充電する。また、二次電池が所定電圧となるよう充電することもできる。所定電圧は、例えばQi規格の低電力仕様(Volume I: Low Power)に従えば、5Wが定格のため、約7Vとなる。また第二電流モードの場合は、第二電流値を900mAとして二次電池が所定電圧となるように充電する。
【0066】
要求信号生成手段57は、給電台10に対して第一送電要求信号と第二送電要求信号とを同時に送出する。好ましくは、
図11に示すように第一送電要求信号と第二送電要求信号とを時分割で送信する。これにより、一の要求信号生成手段57でもって二種類の送電要求信号を送信できるので、それぞれの送電要求信号を送出する送信機を個別に用意すること無く、送信機構を共通化して構成の簡素化を図ることができる。第一送電要求信号と第二送電要求信号とは、例えば250ms毎に更新される。
(電力制御手段13)
【0067】
一方、給電台10は、要求信号受信手段14で第一送電要求信号を受けた場合には、第一送電電力で受電機器50に送電する。また第二送電要求信号を受けた場合には、第二送電電力を送電する。これら送電電力の切り替えは、電力制御手段13で行われる。ここで第一送電電力をQi規格に対応させた5Wとする。
【0068】
上述の通り、受電機器50の要求信号生成手段57は、
図11に示すように常時、第二送電要求信号と第一送電要求信号とを併せて送出している。そして給電台10が、第二送電電力に対応している場合は、要求信号受信手段14が第二送電要求信号と第一送電要求信号とを受信すると、第二送電要求信号に従い第二送電電力を電力制御手段13で送電する一方、第一送電要求信号を無視する。このようにすることで、より高出力の第二電流モードでの送電が可能となる。
【0069】
一方、給電台10又は受電機器50の一方又は両方が、このような第二電流モードでの送電に対応していない場合でも、第一電流モードでの送電を可能として、安全に利用することが可能となる。またこの方式であれば、既存の無接点充電に容易に適用できるため、新たな部材を追加すること無く安価に実装できる利点も得られる。
(第一送電要求信号)
【0070】
第一送電要求信号は、規格化された送電要求信号とできる。このような送電要求信号は、目標とする値と差がある場合に、この差を低減するように、給電台からの出力を増加、減少させるための信号である。例えばQi規格の場合は、5W用の制御誤差(コントロールエラー)信号を利用できる。これにより、Qi規格に従った二次電池の充電が可能となる。
(給電台判別手段59)
【0071】
さらに
図4に示す受電機器50は、給電台10の種別を判定する給電台判別手段59を備えている。もし受電機器と給電台との通信を双方向で行う機能を備えておれば、通信によって互いの種別を判定することが可能となる。一方、給電台から受電機器に対して通信が無い場合は、受電機器側で給電台の種別を認識することはできない。例えば無接点充電の規格として普及している、WPC(Wireless Power Consortium)により策定されたQi規格の低電力仕様の規格書(Volume I: Low Power)によれば、受電機器から給電台への通信を行うことは規定されているものの、給電台から受電機器側への通信は規定されていない。この結果、WPC規格に準拠した受電機器側では、どのような給電台でもって送電されているのかを知ることができなかった。特に、WPC1.0のような標準規格でない、独自の規格に基づいた機能、例えば異物検出機能や大電流による充電などに対応させた受電機器を、このような充電台判別機能に非対応の給電台と混在させる場合は、給電台が充電台判別機能に対応しているか否かを受電機器側で把握しておく必要がある。
【0072】
そこで、受電機器50から給電台10に対して送電要求信号を送信し、これに対して充電機器から送出される電力でもって、給電台10が充電台判別機能に対応したものか否かを受電機器50側で判別する給電台判別機能を、受電機器50側に持たせている。
図4の例では、受電機器50の給電台判別手段59が、給電台10に対して標準規格と充電台判別機能に対応したの二種類の送電要求信号を送出して、いずれの信号に反応するかを判別することで持って給電台10の機能を判別している。具体的には受電機器50から給電台10に対し、電流の目標値が異なる2種類の送電要求信号を送信して、給電台10がいずれの送電要求信号に反応するかを判別することで、給電台10を判別する。ここでは、標準規格に準拠した第一目標電流値を定格電流として送電を行う第一電流モードでの送電に必要な電流を、給電台10側に要求する第一送電要求信号と、充電台判別機能に対応して、第一目標電流値よりも大きい第二目標電流値を定格電流として送電を行う第二電流モードでの送電に必要な電流を給電台10側に要求する第二送電要求信号とを生成して送信する。そして給電台10が、これら第一送電要求信号、第二送電要求信号のいずれに反応するかを、受電機器50側で判別することで、第一目標電流値又は第二電流目標値のいずれかを決定する。
【0073】
このように受電機器50側から、標準規格に従った第一送電要求信号に加えて、充電台判別機能に対応した第二送電要求信号も送出する場合、給電台10側では、第二送電要求信号を受信できる場合は、第一送電要求信号を無視する、あるいは該信号で規定された処理を行わないようにする。この結果、充電台判別機能に対応した受電機器と給電台の組み合わせにおいては、給電台が第二送電要求信号が受け取ると、標準規格に対応した第一送電要求信号を実行しないので、充電台判別機能に従った高出力対応の送電のみが実行される。一方で、標準規格のみに対応した給電台の場合は、第一送電要求信号を解釈でき、これに応じた送電を行う一方、充電台判別機能に非対応のため第二送電要求信号を処理できず、結果として標準規格の送電のみが実行される。
【0074】
この方式であれば、給電台が標準規格のみに対応した場合、標準規格と充電台判別機能の両方に対応した場合のいずれであっても、それぞれの送電方法で適切に送電できる。しかも、給電台側から受電機器側への通信のための設備といった、新たな部材を追加する必要が無く、既存の受電機器側から給電台側への通信のみを行えば足りるので、既存の設備への適用も容易となり、安価に実装できる利点が得られる。
【0075】
なお、この例では標準規格として、異物検出機能を備えないWPC1.0を採用し、一方独自制御として、異物検出機能と、大電流での充電機能を実装した無接点充電方式について説明する。ただ本発明は、独自制御として、異物検出機能又は大電流充電機能のいずれか一方のみを実装させることもできる。またはこれらに代わって、あるいはこれらに加えて、例えば5W以上の高出力での充電など、他の機能を持たせることもできる。
(異物検出手段15B)
【0076】
一方給電台10は、給電台10と受電機器50との間に金属製の異物が介在していないかどうかを判定するための異物検出手段15Bを備えている。具体的には、給電台10は送電効率を演算すると共に、この送電効率を、予め設置された所定の閾値と比較する。そして演算された送電効率と所定の閾値との差が小さいときには、いいかえると送電効率が低いときには、異物が挿入されている可能性が高いと異物検出手段15Bで判定する。この場合は、目標電流を第一目標電流に切り替えて、送電電流を制限するような制御を行う。これにより、送電電流を抑えて異物の発熱を低減できる。またこの給電台10Bは、
図5に示すように、独自制御に非対応の受電機器50Aをセットしても、適切な送電を行うことができる。
【0077】
一方で、給電台10Aが充電台判別機能に非対応で、例えばWPC1.0に準拠したものであるなど、異物検出手段を備えない場合は、
図6に示すように、充電台判別機能に対応した受電機器50Bをセットしても、この受電機器50Bから送信される第二送電要求信号を解釈できないため、第二目標電流に電流を増して送電されることはなく、常時第一目標電流で送電されることとなる。よって、当初から電流値を抑えた第一目標電流で送電される結果、仮に異物が存在しても、発熱量が抑えられることとなる。このように、この受電機器を、異物検出機能を備える給電台10Bに載置した場合、又は異物検出機能を備えない給電台10Aに載置した場合のいずれでも、異物による発熱を抑制できる利点が得られる。
【0078】
なおWPCにおいても、WPC1.1では異物検出(Foreign Object Detection:FOD)機能が採用されている。ただ、WPC1.0ではFOD機能は採用されておらず、現状ではWPC1.0仕様に準拠した製品が多数であり、FOD機能を備えるWPC1.1仕様に準拠した製品は殆ど存在していない。このような実情に鑑み、多く普及しているFOD機能を備えていないWPC1.0仕様の給電台と受電機器を組み合わせる場合に、本発明は有益となる。
【0079】
このように本実施の形態によれば、大電流での送電を可能として、急速充電等を可能とする一方で、異物が存在する場合には送電電流値を制限して、異物による温度上昇を抑え、安全性を高めることも可能となる。以下、このような動作を
図7〜
図10のフローチャートに基づいて説明する。
(独自制御に対応した給電台と受電機器による送電)
【0080】
図7のフローチャートは、いずれも充電台判別機能に対応した給電台10と受電機器50の無接点送電における動作を示している。また
図8のフローチャートは充電台判別機能に対応した給電台10の動作を、
図9は充電台判別機能に対応した受電機器の動作を、
図10は充電台判別機能に非対応の、標準規格にのみ準拠した受電機器の動作を、それぞれ示している。まず、
図7のフローチャートに従い、全体の動作の流れを説明する。ここでは、給電台10として充電台を、受電機器50としてスマートフォンを使用し、スマートフォンに装着された電池パックを充電台で無接点充電する場合について説明する。
【0081】
まずステップS701において、受電機器50を給電台10にセットして、給電台10の送電コイルと受電機器50の受電コイルとを電磁結合させた状態で、第一目標電流での送電を開始する。ここでは、受電機器50側から給電台10に対して充電開始のための第一送電要求信号を送出する。第一目標電流としては、例えばWPC規格に従った700mAに設定される。
【0082】
次にステップS702において、受電機器50が送電開始から予め設定された一定時間を経過したかどうかを判定し、未だの場合はステップS702を繰り返し、経過した場合はステップS703に進む。なお、このステップは省略することもできる。
【0083】
次にステップS703において、受電機器50側から給電台10に対し、複数の送電要求信号の送信を開始する。ここでは、第一送電要求信号と第二送電要求信号の2種類の送電要求信号を、受電機器50の要求信号生成手段57で生成して、給電台10に送信する。このような送信は、上述の通り送電コイルと電磁結合された受電コイルの負荷インピーダンスを変化させる等の変調によって、別途通信手段を設けることなく給電台側に送出できる。給電台側では、要求信号受信手段でもって送電要求信号を解析する。
【0084】
第一送電要求信号は、標準規格に準拠した送電要求信号とする。ここでは標準規格としてWPCで規格化されたQi規格に準拠した制御誤差(コントロールエラー値(Control Error:CE))を送信する。コントロールエラー値とは、給電台10の出力制御のため、受電機器50側から給電台10側に送信される出力増加要求又は出力減少要求信号である。また第二送電要求信号は、メーカが独自に規定することのできる、制御信号や情報信号等の信号を利用できる。例えば第二送電要求信号を、WPC規格に準拠したプロプライエタリパケット(Proprietary Packet)信号を利用した充電台判別機能のコントロールエラー値とする。この場合は、WPC規格での通信に使用するパケットのヘッダにプロプライエタリパケット(Proprietary Packet)として、任意に規定可能な情報を付加できるため、これを利用して給電台10を判別することにより、給電台に応じた電流値にて送電制御が実現できる。
【0085】
さらに、これら2種類の送電要求信号は、時分割で送信する。例えば
図11のタイミングチャートに示すように、所定の時間毎に交互にWPC_CEと独自CEとを送信する。ここでは、独自制御のCEとWPCのCEとを同時に送る期間と、WPCのCEのみを送る期間とを交互に繰り返している。これにより、WPCのCEは常時送出されることとなり、WPC準拠の給電台はWPCのCEを受信して、WPC規格に沿った制御を行う。一方、充電台判別機能に対応した給電台は、独自制御CEを受信すると、充電台判別機能の動作モード(第二電流モード)に切り替えられ、以降はWPCのCEを受信しても、これを無視し、独自制御のCEのみを受信する。ただし、所定時間内にWPCのCEを2回以上受信しないと、第二電流モードを解除して第一電流モード、すなわちWPCに準拠した動作モードに移行する。なおこの例では、WPCにおけるCE値に従って250ms毎に送電要求信号を切り替えているが、切り替えタイミングは任意のタイミングとできる。
【0086】
次に
図7のステップS704において、複数の送電要求信号の送信時間が、予め設定された所定の時間だけ経過したかどうかを判定し、未だの場合はステップS703に戻って送信を継続し、経過した場合はステップS705に進む。ここでは、10秒間に設定しているが、任意の時間に設定できることはいうまでもない。
【0087】
次にステップS705において、独自制御対応の受電機器と給電台の組み合わせかどうかを判定する。ここでは、セットされた受電機器50の種別を、給電台10側で判定している。つまり給電台10は、標準規格に準拠した受電機器か、充電台判別機能の受電機器かを、受電機器から送られるCEに基づいて判別している。すなわち、充電台判別機能のCEを給電台10が受信すれば、充電台判別機能対応の受電機器であると判別する一方で、充電台判別機能のCEを給電台10が受信せず、代わりに標準規格のCEのみを受信すれば、標準規格に準拠した受電機器であると、給電側検出回路15でもって判定する。また給電側検出回路15は、一度でも充電台判別機能のCEを受信すれば直ちに独自制御対応の受電機器と判定する構成に限られず、上述の通り所定時間内に独自制御のCEを所定回数以上受信した場合に、充電台判別機能対応の受電機器と判定し、そうでない場合は充電台判別機能非対応、すなわち標準規格準拠の受電機器と判定することが好ましい。これによってノイズなどに起因する誤検出を回避できる。例えば給電側検出回路15は、10秒間に充電台判別機能のCEを2回以上受信すれば充電台判別機能対応の受電機器と判定し、そうでなければ標準規格準拠の受電機器と判定する。このように給電側検出回路15は、受電機器判別手段15Aとして機能する。なおステップS704とステップS705とを同時に行うこともできる。
【0088】
このようにして充電台判別機能対応の受電機器と給電台の組み合わせであることが確認されると、ステップS706に進み、そうでない場合はステップS713に進む。また、給電台が充電台判別機能非対応の、標準規格準拠である場合は、そもそも受電機器の判別機能を備えていないため、このような処理は存在せず、受電機器の種別に拘わらずステップS713に進む。ステップS713においては、WPCに準拠した無接点充電の制御が実行される。すなわち、WPC_CEに従って給電台側で出力制御を行い、ステップS715に進んで第一送電電流(ここでは700mA)に設定して、通常の無接点送電制御を行う。
【0089】
一方で、充電台判別機能の給電台と受電機器の組み合わせであることが確認された場合は、次に異物判定を行う。具体的には、まずステップS706において、効率と異物閾値の差が所定値以上かどうかを給電台10側で判定する。所定値以下の場合は、効率が悪い、すなわち異物が存在すると判定してステップS713に進み、目標電流を第一送電電流に設定した無接点充電を維持する。ここでは、効率を62%に設定し、さらに所定値を5%に設定している。
【0090】
一方、差が所定値以上の場合は、ステップS707に進み、給電台10側で充電台判別機能のCEに従った出力制御を行う。ここでは、WPC_CEに900mA制御のコントロールエラー値を出力することで、目標電流値を切り替える。次に、ステップS708に進み、充電台判別機能に対応していれば、充電電流が安定するであろう状態まで待機する。具体的には、まずステップS708において、所定の時間経過したか否かを判定し、未だの場合はステップS708の処理を繰り返す。そして所定時間(例えば10s)を経過すると、ステップS709に進み、送電電流が予め設定された所定値よりも大きく変化しているか否かを受電機器50の給電台判別手段59で判定する。変化している場合は、ステップS711に進み、電流値の変化に給電台10側が追随している、すなわち給電台10が独自制御に対応していると受電機器50側で判定して、さらにステップS712に進み、受電機器50は目標電流を第一目標送電電流よりも大きい第二目標送電電流(例えば900mA)に設定して、大電流での無接点送電制御を行う。
【0091】
一方、ステップS709において送電電流の変化が所定値に満たないと判定されると、ステップS710に進み、さらに所定の時間経過するまで判定を継続する。すなわち、所定の時間(例えば15s)経過していなければステップS709に戻って送電電流の変化量を判定する処理を繰り返す。そして所定の時間経過後も送電電流の変化量が所定値に満たない場合は、ステップS714に進み、給電台10が独自制御に非対応の給電台であると受電機器50側で判定する。そしてステップS715において、受電機器50は第一目標送電電流(この例では700mA)に設定して、送電制御を行う。
【0092】
以上のようにして、共に充電台判別機能に対応した給電台と受電機器とを組み合わせた無接点給電システムにおいて、大電流での送電を実現しつつも、異物検出機能も付加して、異物が存在する場合には送電電流を減少させてより安全に送電を行うことが可能となる。
【0093】
なお、この例では大電流で送電を行う第二電流モードとして、通常の定格充電電流である700mAを900mAに増やす例を説明した。この900mAでの充電は、WPCに準じた充電方式である。ただ、本発明はこのような、第二充電電流をWPC規格等の標準規格に準じた充電に限られず、規格外の充電電流とすることもできる。
(受電機器側の送電動作)
【0094】
この受電機器は、大電流送電機能を備えた給電台と組み合わせることで、例えばパック電池の充電時間の短縮を図るなど、独自制御に対応させている。またこの受電機器50Bは、
図6に示すように、独自制御に基づいた大電流送電機能を備えない、いいかえると独自制御に非対応で標準規格のみに対応した給電台10Aにセットしても、正しく送電を受けることが可能となる。以下、受電機器50B側の送電動作を、
図8のフローチャートに基づいて説明する。各ステップの番号は、
図7のフローチャートで対応するステップの番号と一致させており、詳細説明は適宜省略する。
【0095】
まずステップS801において、受電機器50側から給電台10に対して充電開始を要求する。これは上述したステップS701と同じであり、ここでは第一送電要求信号を送出し、第一目標電流として700mAに設定している。
【0096】
次にステップS802において、ステップS702と同様、送電開始から一定時間を経過したかどうかを判定し、未だの場合はステップS802を繰り返し、経過した場合はステップS803に進む。
【0097】
次にステップS803において、受電機器50側から給電台10に対し、第一送電要求信号と第二送電要求信号を一定時間(例えば10s)送信する。このステップも、上述したステップS703と同じである。
【0098】
続くステップでは、まずステップS804において、所定時間(例えば10s)経過したかどうかを判定し、未だの場合はステップS804の処理を繰り返す。
【0099】
そして所定時間を経過すると、ステップS809において、電流値の変化に給電台10側が追随しているか否かに基づいて、給電台10が充電台判別機能に対応しているか否かを給電台判別手段59で判定する。ここでは、送電電流が予め設定された所定値よりも大きく変化しているか否かを調べ、変化している場合は、給電台が送電電流を変化させている、すなわち充電台判別機能に対応していると判定して(ステップS811)、目標電流を第二目標送電電流(例えば900mA)に設定して、大電流での無接点送電制御を行う(ステップS812)。
【0100】
一方、送電電流の変化が所定値に満たないと判定されると、ステップS810に進み、さらに所定の時間(例えば15s)経過するまでステップS809の判定を繰り返し、該所定の時間経過後も送電電流の変化量が所定値に満たない場合は、給電台が充電台判別機能に非対応の給電台であると判定し(ステップS814)、第一目標送電電流に設定して、送電制御を行う(ステップS815)。
【0101】
以上のようにして、受電機器は、充電台判別機能に対応した給電台に対しては大きな送電電流を要求でき、非対応の場合は標準規格に準じた送電電流を要求して、いずれの場合も適切な送電を行うことが可能となる。
(給電台側の送電動作)
【0102】
一方で、この給電台10Bは、受電機器が充電台判別機能に対応している場合に限られず、
図5に示すように、受電機器50Aが充電台判別機能に非対応の場合でも、充電台判別機能対応の給電台10B側で受電機器の種別に応じて適切な送電を行うことができる。以下、給電台10側の動作を、
図9に基づいて説明する。ここでも、各ステップの番号は、
図7のフローチャートで対応するステップの番号と一致させており、詳細説明は適宜省略する。また、
図9の例では受電機器50が充電台判別機能に対応している場合を説明している。
【0103】
まずステップS901において、受電機器50側から給電台10に対して第一目標電流での送電を開始するよう要求したことを受けて、給電台10側から受電機器50側への送電を開始する。これは上述したステップS701と同じであり、ここでは受電機器50から、第一目標電流として700mAに設定した第一送電要求信号、すなわちWPCのCEを受けて、送電コイルから、これと電磁結合された受電コイルに対して送電を開始する。
【0104】
次にステップS905において、充電台判別機能対応の受電機器と給電台の組み合わせかどうかを判定する。ここでは、受電機器が独自制御対応かどうかを給電台側で判定している。具体的には、充電台判別機能に対応した受電機器側から送信される2種類の送電要求信号を、給電台10で受ける。
図4に示す例では、給電台10も充電台判別機能に対応しているため、充電台判別機能に従った第二送電要求信号を正しく受信処理することができる。すなわち受電機器50が独自制御対応であることを給電台10側で把握すると共に、例えば第二送電要求信号を受信している間は第一送電要求信号を無視する等、充電台判別機能に従った処理が可能となる。
【0105】
一方、給電台10Aが
図6に示すように充電台判別機能に対応していない場合は、第二送電要求信号を受信しても解釈できないので、第一送電要求信号であるWPCのCEのみを受信し、ステップS913において、該WPCのCEに従った出力制御を行う。なお、受電機器側が充電台判別機能非対応の場合は、ステップS905自体が存在しないことになる。
【0106】
このようにして充電台判別機能対応の受電機器と給電台の組み合わせであることが確認されると、ステップS906に進み、異物判定を行う。ここでは、効率と異物閾値の差が所定値以上かどうかを給電台10側で判定する。所定値以下の場合は、効率が悪い、すなわち異物が存在すると判定してステップS913に進む。ここでは、効率を62%に設定し、さらに所定値を5%に設定している。
【0107】
一方、差が所定値以上の場合は、ステップS907に進み、給電台10側で充電台判別機能のCEに従った出力制御を行う。さらにステップS908に進み、所定の時間経過したか否かを判定し、未だの場合はステップS908の処理を繰り返す。そして所定時間(例えば10s)を経過すると、ステップS913に進み、WPCのCEに従った出力制御を行う。
【0108】
以上のようにして、充電台判別機能に対応した給電台はセットされた受電機器が充電台判別機能対応型かどうかを判別し、また異物検出を行うことができる。
【0109】
なお受電機器を、このような充電台判別機能に対応した給電台のみならず、
図6に示すように充電台判別機能非対応の給電台10Aにセットした場合でも送電できる。この場合の給電台の動作を、
図10のフローチャートに示す。この給電台10Aは充電台判別機能非対応の、標準規格に準拠した給電台であり、まずステップS1001において、受電機器50Bから送出される送電要求信号であるWPCのCEに従い、送電を開始する。給電台10AはこのWPC_CE信号を受信して(ステップS1005)、これに従って出力制御を行う(ステップS1013)。なお、受電機器10Bが充電台判別機能対応型の場合は、ステップS1005において給電台10Aに対し、WPC_CEのみならず充電台判別機能CEも送信されるが、給電台10Aは充電台判別機能非対応のため、充電台判別機能CEを解釈できず、WPC_CEのみを受信処理して出力制御する。一方で受電機器50Aが充電台判別機能非対応の場合は、単に第一送電要求信号であるWPC_CEのみを送信するため、上述の通り給電台は該WPC_CEを受信処理することとなる。このように標準規格に準拠した給電台10Aは、セットされる受電機器が充電台判別機能対応型、非対応型のいずれの場合でも、標準規格に従った送電を実施できる。
【0110】
このように給電側検出回路15は、異物検出手段15Bとしても機能する。なおWPCでは、上述の通りWPC1.1仕様において異物検出機能が規定されているものの、WPC1.0では異物検出機能が規定されておらず、また現在市販されているWPC対応の充電機器においても、殆どは異物検出機能を実装していない。このため、上述したような異物検出機能を備える受電機器や給電台を混在させる場面が多々生じ得る。また本実施例において採用している異物検出機能は独自の制御に基づくものであるが、WPC1.1のような標準化された規格に基づく異物検出機能に対しても本発明を適用できることはいうまでもない。
【0111】
また、以上の例では規格による通信をWPCで規格化されたQi規格とした例を説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、その他の無接点充電方式に関して規格化された通信方式、あるいは規格化されていなくとも、広く採用されている事実上標準の通信方式などが適宜採用できる。
【0112】
さらに以上の例では、説明を簡素化するため、送電電力をWPC規格の低電力仕様の規格書(Volume I: Low Power)に従い最大5Wとした。ただ、ただ、本発明において電力値は5Wに限定するものでなく、例えば10W、15Wや20W以上の高電力で送電可能な給電台や受電機器としてもよい。また、無接点充電の規格もQi規格に限られるものでなく、他の無接点充電規格に対応した充電台や電池内蔵機器に対しても、本願発明を適用できる。さらに無接点(ワイヤレス)充電方式としては、可動コイル型の他、マグネット吸引型、コイルアレイ型などが適宜利用できる。