特許第6081256号(P6081256)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6081256
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】マトリックス光学装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20170206BHJP
   G02F 1/1345 20060101ALI20170206BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20170206BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   G09F9/30 330
   G02F1/1345
   G09G3/36
   G09G3/20 621M
   G09G3/20 680G
   G09G3/20 623R
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-66190(P2013-66190)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-191174(P2014-191174A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126583
【弁理士】
【氏名又は名称】宮島 明
(72)【発明者】
【氏名】木村 健一郎
【審査官】 小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−090147(JP,A)
【文献】 特開平02−069720(JP,A)
【文献】 特開2008−046458(JP,A)
【文献】 特開平11−135555(JP,A)
【文献】 特開2002−189229(JP,A)
【文献】 特開平11−194750(JP,A)
【文献】 特開2003−075802(JP,A)
【文献】 特開2000−330480(JP,A)
【文献】 実開平05−002182(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00−46
G02F 1/13−1/13363
1/1339−1/141
H01L 21/336
27/32
29/786
51/50
H05B 33/00−33/28
G09G 1/00−5/36
5/377−5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行方向のゲート線と列方向のデータ線とをマトリックス状に配置し、前記ゲート線と前記データ線との交点位置に画素を配置した基板と、前記ゲート線を駆動するゲート駆動回路と前記データ線を駆動するデータ駆動回路とによりマトリックス駆動を行うマトリックス光学装置において、
前記データ駆動回路に外部より画素データを供給する接続端子群を設け、前記接続端子群から前記データ駆動回路に画素データを伝送する複数の配線と、
前記接続端子群の端子と接続する前記配線を前記接続端子群における両端から順に前記接続端子群の中央位置近傍に引き回す引回部と、
前記接続端子群の中央位置近傍のターミナル部と、を備え、
前記接続端子群を第1端子群と第2端子群とに分割し、前記基板の前記データ駆動回路が配置された辺側に前記第1端子群を配置し、前記データ駆動回路の配置された辺側に直交する辺に前記第2端子群を配置し、
前記第1端子群の中央位置近傍で前記ターミナル部に対応する第1ターミナル部を経由した配線群と、
前記第2端子群の中央位置近傍で前記ターミナル部に対応する第2ターミナル部を経由した配線群とが、第3ターミナル部を経由して、前記データ駆動回路に接続するように前記配線群を配置した
ことを特徴とするマトリックス光学装置。
【請求項2】
前記第3ターミナル部は前記第1ターミナル部と第2ターミナル部との中間位置近傍に設けた
ことを特徴とする請求項1に記載のマトリックス光学装置。
【請求項3】
前記マトリックス光学装置は、シリコン基板を用いた液晶光学装置であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマトリックス光学装置。
【請求項4】
前記ターミナル部には、バッファー回路が設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のマトリックス光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート線とデータ線とを備えたマトリックス駆動方式の表示デバイスや、同方式の表示デバイスを用いた投射型または反射型の映像描画システムなどの光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示装置の代表例として、ゲート線とデータ線とによってマトリックス状に配置された画素をスイッチング素子で駆動するいわゆるアクティブマトリックス駆動方式の液晶光学装置が知られている。
【0003】
アクティブマトリックス駆動方式の液晶光学装置用において、特に高精細の画像を表示する場合などでは各画素への表示データの書き込みタイミングのずれによって、表示品質が低下することから、このずれを解消する技術が提案されている。(例えば特許文献1および特許文献2)
【0004】
(従来技術1)
図7を用いて特許文献1に示された技術を説明する。図7は特許文献1に示されたドットマトリックス表示装置の構成例を示す平面図であり、特許文献1に記載された発明の主旨を失わない範囲で簡略化してある。
【0005】
図7は、ドットマトリックス駆動方式の表示デバイス10の表示領域を例えば表示領域1Aと表示領域1Bとに分割し、接続端子群PDから各領域に表示データを伝送している図を示している。この接続端子群PDから引き出される一部の配線は、ゲート線駆動回路GDに入力され、表示領域のゲート線を走査する。接続端子群PDから引き出されるデータ用配線は、データ線駆動回路DDへ供給され、表示データを画素へ出力する。図7では、データ用配線群8Aとデータ用配線群8Bの配線レイアウトを、表示領域1Aおよび表示領域1Bの分割境界線1Cを中心にして対象に配置させることによって、少なくともこの分割境界線1Cを挟んで隣り合う画素GPへの表示データの書き込みを同一タイミングで行わせるものである。
【0006】
(従来技術2)
次に図9を用いて特許文献2に示された技術を説明する。図9は特許文献2に示された液晶光学装置の、画素アレイGA周囲でのデータ線用の配線を概略的に示す平面図であり、クロック信号SCK1およびSCK2は、配線1と2によってデータ線駆動回路SD1とSD2に入力される。しかし、入力側に近いデータ線駆動回路SD1につながる配線2と、遠いデータ線駆動回路SD2につながる配線1とでは、配線負荷が異なるため、クロック信号SCK1とSCK2とで信号遅延量に差が出てしまい、表示品質が低下するという問題が発生する。
【0007】
そこで、単独でデータ線駆動回路SD1に入力される第2のクロック信号SCK2用の配線2にダミー配線3を設けて、データ線駆動回路SD1とデータ線駆動回路SD2の双方に入力される第1のクロック信号SCK1用の配線1と、データ線駆動回路SD1に単独で入力される第2のクロック信号SCK2用の配線2との配線負荷を揃え、引き回しの違いによる影響を低減するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−189758号公報(請求範囲、図1
【特許文献2】特許第3666662号明細書(請求範囲、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図7に示す特許文献1に公開された技術は、接続端子群PDから表示領域1Aまたは表示領域1Bに至る経路において、データ用配線群8Aおよびデータ用配線群8Bの各配線間で、配線の長さの差が生じる。
【0010】
図8を用いてさらに詳述する。図8は、図7の表示領域1Bにおける、接続端子群PDから表示領域1Bまでのデータ用配線の引き回しを拡大して示した図である。データ用配線群8Bを構成するデータ用配線ds〜deを詳細に示している。表示領域1Bに至るデータ用配線群8Bの途中の位置を中継点Cとする。
【0011】
接続端子群PDから引き出されている位置によって、それぞれのデータ用配線ds〜deの配線長が異なってしまう。つまり、データ用配線dsとデータ用配線deでは、中継点Cまでの間に2L(後述する図3(b)参照)の配線長さの差が生じてしまい、この配線長さの差によってデータ用配線間で位相差ないし時間差が生じ、表示品質が低下する原因になる。特に画素数が多い高精細な光学装置の場合には、接続端子数及びデータ用配線が多くなり、接続端子群の横方向の長さが長くなるため、各データ用配線の配線長の差が顕著に表れる。
【0012】
また図9に示す特許文献2に公開された技術は、配線1〜2間の負荷容量や配線抵抗のアンバランス分を、ダミーパターンによって正確に補償しなくてはならないが、パターン形状やダミーパターンと基準電位パターンとの間の誘電層の特性などを総合的に勘案し設計・試作し検証して修正トリミングをおこなわなくてはならず、正確に補償することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のマトリックス光学装置は、上記課題を解決するため下記構成とする。
すなわち、行方向のゲート線と列方向のデータ線とをマトリックス状に配置し、ゲート線とデータ線との交点位置に画素を配置した基板と、ゲート線を駆動するゲート駆動回路とデータ線を駆動するデータ駆動回路とによりマトリックス駆動を行うマトリックス光学装置において、データ駆動回路に外部より画素データを供給する接続端子群を設け、接続端子群からデータ駆動回路に画素データを伝送する複数の配線、接続端子群の端子と接続する配線を接続端子群における両端から順に接続端子群の中央位置近傍に引き回す引回部と、接続端子群の中央位置近傍のターミナル部と、を備え、データ駆動回路に外部より画素データを供給する接続端子群を、第1端子群と第2端子群とに分割すると共に、基板のデータ駆動回路が配置された辺側に第1端子群を配置し、データ駆動回路の配置された辺側に直交する辺に第2端子群を配置し、第1端子群の中央位置近傍でターミナル部に対応する第1ターミナル部を経由した配線群と、第2端子群の中央位置近傍でターミナル部に対応する第2ターミナル部を経由した配線群とがまとまって、第3ターミナル部を経由して、データ駆動回路に接続するように配線群を配置していることを特徴としている。
【0014】
これにより、各データ線の長さの差が減少し、画素データ間の位相差ないし時間差を許容な範囲内に収めることできる。その結果画素データの各画素への書き込み動作が正確に行われ、表示品質を良好に保つことが可能となる。
【0016】
これにより、各データ線のゲート駆動回路に至る経路が一様化してデータ線間の長さの差が減少し、画素データの各画素への書き込み動作が正確に行われ、表示品質を良好に保つことが可能となる。
【0017】
また第3ターミナル部は第1ターミナル部と第2ターミナル部との中間位置近傍に設けることが望ましい。
【0018】
これにより第一ターミナルと第二ターミナルからの各々の配線群の長さの差が減少し、画素データの各画素への書き込み動作が正確に行われ、表示品質を良好に保つことが可能となる。
【0019】
またマトリックス光学装置は、シリコン基板を用いた液晶光学装置であることが望ましい。これによりシリコントランジスタ基板に構成された液晶マトリックスを用いて高品質の光学装置が実現できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、マトリックス駆動方式の表示デバイスにおいて各データ線の長さの差によって生じる表示品質の低下の課題も克服され、画素数の多い高精細な光学装置であっても、高品質な光学装置を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のマトリックス光学装置の第1の実施形態の構成を示す平面図である。
図2図1の部分的な構成を示す平面図である。
図3】本発明のマトリックス光学装置の第1の実施形態の効果を示す平面図である。
図4】本発明のマトリックス光学装置の第2の実施形態の構成を示す平面図である。
図5図4に示すマトリックス光学装置の単個の製造方法を示す平面図である。
図6図4に示すマトリックス光学装置の多数個とりによる製造方法を示す平面図である。
図7】従来例のドットマトリックス表示装置の構成例を示す平面図である。
図8図7の部分的な構成を示す平面図である。
図9】従来例の液晶光学装置のデータ線の配線を概略的に示す平面図である。
図10】一般的な液晶光学装置の基本的構造を示す等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の最良の実施形態であるマトリックス光学装置について、図面を参照して構造を詳述する。
【実施例1】
【0023】
[第1の実施形態の説明:図1図3図10]
図1図3および図10を用いて、本発明の第1の実施形態であるマトリックス光学装置50の構造および構成を説明する。図1は構造および構成を示す平面図であり、図2図1の部分的な構成を示す平面図であり、図3は効果を示す平面図であり、図10は液晶光学装置の基本的構造を示す等価回路図である。本実施の形態ではマトリックス光学装置として、アクティブマトリックス型の液晶光学装置を例示するが、液晶光学装置以外にも、EL(Electro−Luminescence)表示装置、プラズマ発光体表示装置などを用いても実現可能である。
【0024】
(液晶光学装置の一般的説明)
初めに図10を用いて、アクティブマトリクス型の液晶光学装置の基本的構造を説明する。図10において、液晶光学装置の表示パネル部201は、下基板100上に、液晶の配向特性を利用し映像やデータ類の表示を行う画素GSが2次元配列(例えばn行×m列に配列)されている。
【0025】
これらn×m個の画素GSを駆動するために、ゲート駆動回路300と画素GSに書き込む画素データを制御するデータ駆動回路400とが備えられている。さらに外部回路(図示せず)からの制御信号sbを、ゲート駆動回路300とデータ駆動回路400とに供給するため接続端子群PDが備えられている。
【0026】
さらに画素GSに書き込む画素データを制御するため、行方向と列方向に互いに直交するように配設された複数のゲート線gと複数のデータ線dとが備えられている。
【0027】
また各画素GSは、ゲート線gからのゲート信号によってデータ線dからの表示データをスイッチングするトランジスタTFTと、画素GSに共通に設けられた共通電極(図示せず)と画素電極との間に蓄蔵された液晶分子の等価容量Ceと、この等価容量Ceに並列に構成され、等価容量Ceに印加された信号電圧を保持するための記憶容量Cmとを備えている。
【0028】
このような構成を有する表示パネル部201において、外部回路(図示せず)から供給される1行分の画素に対応した表示データがデータ駆動回路400に順次記憶される。一方、外部回路(図示せず)から供給される制御信号sbはゲート駆動回路300を通じてゲート線gを順次駆動し、各行の画素GSのトランジスタTFTをオン状態にして表示データを取り込み可能な選択状態に設定する。
【0029】
そしてこの各行の画素GS群の選択タイミングに同期して、各データ線dにより、表示データを各々の画素GSに一斉に供給し、液晶分子がこの画素データ電圧に応じて配向状態を変化させて所定の階調表示動作が行われることによって、画像情報が表示パネル部201に表示される。
【0030】
このとき、制御信号sbを供給する配線の長さが、接続端子群PDから引き出される位置によって異なるため、位相差ないし時間差があり、画素に印可されるタイミングがずれると表示品質の低下を生じる。本発明はこの問題を解決するものである。
【0031】
(本発明のマトリックス光学装置の構造説明)
図1図2を用いて本発明のマトリックス型光学装置の第1の実施形態の構成を説明する。図1は本発明のマトリックス型光学装置である液晶光学装置の構成を示す平面図である。また図2図1の部分的な構成を示す平面図である。
【0032】
図1において、液晶光学装置50は、ドットマトリックス液晶表示素子により構成された光学部200と、下基板100と、下基板100上に構成されたゲート駆動回路300と、データ駆動回路400と、配線群HBとから構成される。配線群HB3は、太線で図示したが、複数のデータ用配線を簡略して示すものである。
【0033】
光学部200は、下基板100の上にガラス基板を配し、基板100とガラス基板との間に液晶を注入することによって、マトリックス状の画素を構成している。下基板100は、本実施例ではシリコンを用いており、光学装置として一般にLCOSと称されている。
【0034】
図1に示す様に実施例においては、行および列は各々1050区画からなり、画素数1050×1050ピクセル(Pixels)のとして構成されている。
【0035】
接続端子群PDは外部より画素データ及びコントロール信号を供給するための接続端子群である。本実施例においては、外部機器(図示せず)からの画素データ及びコントロール信号が、210本のデータ用配線d1〜d210(以降データ用配線dnと略記する)と、データコントロール線dcと、ゲート線gcに入力される。
【0036】
それぞれのデータ用配線dnは、引回部hmを経て接続端子群PDの中央部PDCの近傍に設けられたターミナル部Tに集結され、さらにターミナル部Tから配線群HBとしてまとめられて、データ駆動回路400に入力される。
【0037】
図1に示す様に、ターミナル部Tとは引回部hmを経て引き回された全ての配線を、接続端子群PDの中央位置近傍でまとめたものである。また引回部hmにおいては、接続端子群PDの全ての配線は、接続端子群PDの端部から順に接続端子群PDの略中央部PDCに引き回され、かつ引回部hmにおける全ての配線は、接続端子群PDの中央部PDCに対して、左右対称に形成されている。
【0038】
またデータコントロール線dcは後述するデータ駆動回路400の制御回路SGに入力され、さらにゲート線gcはゲート駆動回路300に入力され、光学部200への画素データの書き込みタイミングを制御する。
【0039】
データ駆動回路400は、データ用配線dnを、光学部200に定められたタイミングで供給するための、5個のトランスミッションゲート(Transmission Gate)TG1〜TG5と、トランスミッションゲートの各々にデータ用配線dnの210個のデータ信号を一括して書き込むタイミングをコントロールする5個の制御回路SGを備えている。
【0040】
ゲート駆動回路300は、データ駆動回路400から供給される210(データ用配線の本数)×5(トランスミッションゲートの数)=1050点の画素データを、光学部200の1050行への書き込みを制御するためのゲート駆動回路であって、ゲート線gcによって1050点の画素データを光学部200の定められた行に一括して書き込む。
【0041】
本実施形態におけるマトリックス光学装置50では、接続端子群PDから引き出された引回部hmの210本のデータ用配線は全て接続端子群PDの中央位置近傍のターミナル部Tに集結されるので、各データ用配線の長さの差は、図1に“L”と示すデータ用配線領域Pd1の長さを上回らない。
【0042】
図2を用いてさらに詳述する。図2は、図1に示した接続端子群PDと、引回部hmと、ターミナル部Tと、配線群HBとを部分的に拡大した平面図である。
【0043】
図2に示す様に、接続端子群PDは中央部PDCの両側にデータ用配線領域Pd1とデータ用配線領域Pd2とを備え、データ用配線領域Pd1とデータ用配線領域Pd2とから、各々データ用配線d1〜d105およびデータ用配線d106〜d210とが導出され、中央部PDC近傍に設けられたターミナル部Tに集結され、さらに210本のデータ用配線dnはターミナル部Tから配線群HBにまとめられデータ駆動回路400に入力される。また引回部hmは、接続端子群PDの中央部PDCに対称に形成されている。
【0044】
図2に示す様にデータ用配線d1〜d105の配線長さの差は、最大Pd1の寸法であ
り、すなわちLを上回らない。同様にデータ用配線d106〜d210の配線長さの差は、最大Pd2の寸法であり、同様にLを上回らない。超精細表示装置の様に、データ用配線領域Pd1もしくはデータ用配線領域Pd2の全範囲にデータ用配線dnが集結する場合においても、各データ用配線dn間の配線長さの差はLを上回らない。
【0045】
さらに、図3(a)および図3(b)を用いて本発明のマトリックス光学装置である液晶光学装置50の効果を説明する。図3(a)は本発明のマトリックス光学装置である液晶光学装置50におけるデータ用配線dnを、ターミナル部Tを用い配線群HBに集中配置して引き回した状態を模式的に示す平面図であり、図3(b)は、ターミナル部Tを設けず、接続端子群PDから片側にすべてのデータ用配線を中継点Cを経由して引き回した状態を模式的に示す平面図である。
【0046】
本発明の構成を示す図3(a)と図3(b)とを比較すると、接続端子群PDからデータ駆動回路400までの、各データ用配線dnの配線の長さの差は、図3(b)では約2Lである。
【0047】
一方、図3(a)に示す本発明の液晶光学装置50においては、接続端子群PDからデータ駆動回路400までの、各データ用配線dnの配線の長さの差は、約Lであり、図3(b)の構成より50%改善している。すなわち本発明による効果は、各データ用配線dnの長さの差が大幅に減少するので、各画素に書き込む画素データの位相差ないし時間差が減少し表示画質が向上する。
【実施例2】
【0048】
本発明のマトリックス光学装置の第2の実施形態は、高精細の光学装置等において多数のデータ用配線に対応するため、外部より画素データを供給する接続端子群を、第1端子群と第2端子群とに分割するものである。
【0049】
さらに、第1端子群の中央位置近傍に第1端子群からのデータ用配線をまとめる第1ターミナル部を設け、第2端子群の中央位置近傍に第2端子群からのデータ用配線をまとめる第2ターミナル部設け、さらに第1ターミナル部と第2ターミナル部を経由した配線群とをまとめる第3ターミナル部を新たに設ける。
【0050】
この第3ターミナル部を経由して、全てのデータ用配線を集中して引き回しデータ駆動回路に接続するように構成することによって、各データ用配線間すなわち各画素データ間の位相差ないし時間差を減少させ画質の改善を計るものである。
【0051】
さらに第3ターミナル部は、第1ターミナル部と第2ターミナル部との、中間位置近傍に設けられていることが特徴である。
【0052】
図4を用いてさらに詳述する。図4は本発明のマトリックス光学装置である液晶光学装置60の第2の実施形態の構成を示す平面図である。図4に示す様に、高精細の光学装置等において多量のデータ用配線d1からd420を備える場合は、接続端子群PDを接続端子群PD1d1〜d210および接続端子群PD2d211〜d420の様に2個に分割し、下基板100の各々隣り合う2辺に配設する。
【0053】
さらに接続端子群PD1および接続端子群PD2からのデータ用配線d1〜d210およびデータ用配線d211〜d420の各々を、各々の接続端子群の略中央部に一括して集中配置する。配線群HB1の集中配置部を第1ターミナル部T1、配線群HB2の集中配置部を第2ターミナル部T2とする。
【0054】
さらに、接続端子群PD1および接続端子群PD2の略中央部に第3のターミナル部T3を設け、配線群HB1および配線群HB2をターミナル部T3によって配線群HB3としてさらに集中配置し、ゲート駆動回路に至るまで一括して引き回す。ここで、配線群HB1、配線群HB2及び配線群HB3は、太線で図示したが、図1で図示した配線群HBと同じく、複数のデータ用配線を簡略して示すものである。本実施例では、配線群HB1及び配線群HB2は、それぞれ210本のデータ用配線で、配線群HB3は、420本のデータ用配線で構成される。
【0055】
このように第1ターミナル部T1および第2ターミナル部T2の略中央部にターミナルT3を配置し、配線群HB1および配線群HB2の配線距離を等しくして配線群HB3としてデータ駆動回路400に入力し、画素データ間の位相差ないし時間差を減少し画質を向上させる。
【0056】
(製造方法の説明)
次に図5図6により本発明における第2の実施形態のマトリックス光学装置60の構成及びその集合工法による製造方法について説明する。
【0057】
図5は完成したマトリックス表示装置である液晶光学装置60の単個の構成を示す平面図である。また図6は大判のシリコン基板と大判のガラス基板を用いた集合工法による製造過程を示す平面図である。
【0058】
図5において、液晶光学装置60は、光学部200と、パッド部(接続端子群)700と、各半導体回路及び各配線(図示せず)を設けたシリコン基板である下基板100上の光学部の周囲にシール部500を形成し、このシール部500内に液晶を注入した後、下基板100と同じサイズのガラス基板600を重ね合わせ、シール部500をUV照射等によって硬化させることにより、下基板100とガラス基板600とを接着して液晶光学装置60が構成されている。
【0059】
また、液晶光学装置60は下基板100とガラス基板600とを対角線方向に少しずらせて接着することにより、下基板100の直交する2辺を露出させて、この露出部分に2個のパッド部(接続端子群)を設けるようにしている。
【0060】
次に、図6(a)、図6(b)により、液晶光学装置の集合工法による製造方法について説明する。図6(a)は液晶光学装置60を集合工法にて製造方法する状態を示す大判シリコン基板101の平面図と、大判ガラス基板601の平面図である。
【0061】
図6(a)は、図5に示す液晶光学装置60における各要素を設けた下基板100を複数個形成した大判シリコン基板101と、この大判シリコン基板と同じサイズの大判ガラス基板601を用意し、この大判シリコン基板と大判ガラス基板とを、図5に示すシリコン基板100とガラス基板600とのずれ量と同じ量だけ対角線方向にずらせて接着した状態である。
【0062】
そして、大判シリコン基板101と大判ガラス基板601との接着体を切断ラインA(実線で示す)に沿って大判シリコン基板101を切断し、また切断ラインB(点線で示す)に沿って大判ガラス基板601を切断することにより、図6(b)に示す液晶光学装置60が量産される。
【0063】
上記の如く、本発明における液晶光学装置60の集合工法においては、同じサイズの大判シリコン基板101と大判ガラス基板601とを用いて、大判シリコン基板101と大判ガラス基板601との両者に無駄な切断部分を生じることが無いので、液晶光学装置6
0を効率良く量産することができる。
【0064】
しかも液晶光学装置60の2辺にパッド部(接続端子群)を設けるための露出部分を形成することができる。すなわち本発明はこのように効率良く製造された液晶光学装置60において、直交する2辺に設けられた2個のパッド部700からの配線を工夫したものである。
【0065】
以上述べた様に本発明の液晶光学装置60においては、複数のデータ用配線の各々半分が第1ターミナル部T1及び第2ターミナル部T2で各々一括して配線群としてまとめられ、さらに2個の配線群は新たに設けられた第3ターミナル部T3によって1個の配線群として集中配置し引き回されるので、各画素データ信号間の位相差ないし時間差が減少し液晶光学装置の表示品質が向上する。
【0066】
なお第1〜第3ターミナル部T1〜T3の位置に出力用のバッファー回路を設け、信号の強化を計ることも、表示品質をさらに向上する上で有力な手法である。
【0067】
以上述べた用に本発明のマトリックス光学装置によれば、簡便な手法でコストの増大を招くこともなく、データ信号間すなわち各画素データ間の位相差ないし時間差を減少させ、液晶光学装置の画質を向上させる事が可能となり、液晶光学装置や反射型もしくは透過型プロジェクタの表示デバイスとして極めて有用である
【符号の説明】
【0068】
1A、1B 表示領域
1C 分割境界線
3 ダミー配線
5 信号入力部
7 付加容量部
8A、8B データ用配線群
10 表示デバイス
50、60 液晶光学装置(マトリックス光学装置)
100 下基板
101 大判シリコン基板
200 光学部
300 ゲート駆動回路
400 データ駆動回路
500 シール部
600 ガラス基板
601 大判ガラス基板
700 パッド部
C 中継点
GA 画素アレイ
T ターミナル部
T1、T2,T3 第1、第2、第3ターミナル部
PD 接続端子群
PD1、PD2 第1、第2端子群
PDC 中央部
Pds コントロール線領域
Pd1、Pd2 データ用配線領域
d、d1,d2、・・・dn データ用配線
dc データコントロール線
g、gc ゲート線
KS 切替信号制御回路
HB、HB1、HB2、HB3 配線群
hm 引回部
SG 制御回路
TG1、TG2、・・、TGn トランスミッションゲート回路
S1、S2、・・Sn 制御回路素子
SCK1、SCK2 クロック信号
SD1、SD2 データ線駆動回路
GP、GS 画素
Cm 記憶容量
Ce 液晶分子等価容量
sb 制御信号
ds、de データ用配線
図1
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