(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6081316
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】コンテンツを公開するサーバ装置、コンテンツを転送する中間装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 13/00 20060101AFI20170206BHJP
【FI】
G06F13/00 540B
G06F13/00 520B
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-170535(P2013-170535)
(22)【出願日】2013年8月20日
(65)【公開番号】特開2015-41141(P2015-41141A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】横田 健治
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 正機
(72)【発明者】
【氏名】田上 敦士
【審査官】
新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】
Jaehoon Kim et al.,Enhanced Forwarding Engine for Content-Centric Networking(CCN),2013 IEEE International Conference on Consumer Electronics,2013年 3月,p.92-93
【文献】
松田 一仁 Kazuhito MATSUDA,トランジットコスト削減のためのISP間協調に基づくCCNキャッシュ共有手法 Cooperative cache sharing among ISPs for reducing inter-ISP transit cost in content-centric networking,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.112 No.463 IEICE Technical Report,日本,一般社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2013年 2月28日,第112巻,p.415-420
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを公開するサーバ装置と、コンテンツを転送する中間装置と、を含み、コンテンツを1つ以上のセグメントに分割して配信し、中間装置は転送したセグメントをその後の配信のために保持できる、コンテンツ配信システムの前記サーバ装置であって、
コンテンツを保持する保持手段と、
コンテンツのセグメントを示す配信要求メッセージを受信すると、当該セグメントをフラグ情報と共に配信する配信手段と、
を備えており、
前記配信手段は、コンテンツの少なくとも1つのセグメントについてはフラグ情報を所定値に設定して配信し、
セグメントのフラグ情報が前記所定値であることは、当該セグメントを保持する中間装置が当該セグメントを示す配信要求メッセージを受信した際に、当該中間装置は、保持している当該セグメントを配信することなく、当該セグメントを示す配信要求メッセージを前記サーバ装置に転送することを示していることを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
コンテンツを公開するサーバ装置と、コンテンツを転送する中間装置と、を含み、コンテンツを1つ以上のセグメントに分割して配信し、中間装置は転送したセグメントをその後の配信のために保持できる、コンテンツ配信システムの前記サーバ装置であって、
コンテンツを保持する保持手段と、
コンテンツのセグメントを示す配信要求メッセージを受信すると、当該セグメントをフラグ情報と共に配信する配信手段と、
を備えており、
前記配信手段は、コンテンツの少なくとも1つのセグメントについてはフラグ情報を所定値に設定して配信し、
セグメントのフラグ情報が前記所定値であることは、当該セグメントを保持する中間装置が当該セグメントを示す配信要求メッセージに応答して当該セグメントの配信を行ったことを、前記サーバ装置に通知することを示していることを特徴とするサーバ装置。
【請求項3】
セグメントのフラグ情報は、当該セグメントを保持する中間装置が当該セグメントを配信のために使用する期間を示していることを特徴とする請求項1又は2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
コンテンツを公開するサーバ装置と、コンテンツを転送する中間装置と、を含み、コンテンツを1つ以上のセグメントに分割して配信し、中間装置は転送したセグメントをその後の配信のために保持できる、コンテンツ配信システムの前記サーバ装置であって、
コンテンツを保持する保持手段と、
コンテンツのセグメントを示す配信要求メッセージを受信すると、当該セグメントをフラグ情報と共に配信する配信手段と、
を備えており、
前記配信手段は、コンテンツの少なくとも1つのセグメントについてはフラグ情報を所定値に設定して配信し、
セグメントのフラグ情報が前記所定値であることは、当該セグメントを中間装置は保存できないことを示していることを特徴とするサーバ装置。
【請求項5】
コンテンツを公開するサーバ装置と、コンテンツを転送する中間装置と、を含み、コンテンツを1つ以上のセグメントに分割して配信し、中間装置は転送したセグメントをその後の配信のために保持できる、コンテンツ配信システムの前記サーバ装置であって、
コンテンツを保持する保持手段と、
コンテンツのセグメントを示す配信要求メッセージを受信すると、当該セグメントをフラグ情報と共に配信する配信手段と、
を備えており、
セグメントのフラグ情報は、当該セグメントを保持する中間装置が当該セグメントを配信のために使用する期間を示し、
前記配信手段は、コンテンツの少なくとも1つのセグメントのフラグ情報を、他のセグメントより小さい値に設定して配信することを特徴とするサーバ装置。
【請求項6】
コンテンツを公開するサーバ装置と、コンテンツを転送する中間装置と、を含み、コンテンツを1つ以上のセグメントに分割して配信し、中間装置は転送したセグメントをその後の配信のために保持できる、コンテンツ配信システムの前記中間装置であって、
セグメントを保持する保持手段と、
保持していないセグメントを示す配信要求メッセージを受信した場合、前記受信した配信要求メッセージを前記サーバ装置に向けて転送する通信手段と、
を備えており、
前記通信手段は、前記サーバ装置に向けて転送した配信要求メッセージの応答として、セグメントと、当該セグメントのフラグ情報を受信すると、受信したセグメント及びフラグ情報を前記保持手段に保持させ、かつ、受信したセグメントを前記配信要求メッセージの送信元の装置に向けて転送し、
前記通信手段は、保持しているセグメントを示す配信要求メッセージを受信した場合、当該セグメントのフラグ情報が所定値であると、当該セグメントの配信を前記サーバ装置に通知することを特徴とする中間装置。
【請求項7】
コンテンツを公開するサーバ装置と、コンテンツを転送する中間装置と、を含み、コンテンツを1つ以上のセグメントに分割して配信し、中間装置は転送したセグメントをその後の配信のために保持できる、コンテンツ配信システムの前記中間装置であって、
セグメントを保持する保持手段と、
保持していないコンテンツのセグメントを示す配信要求メッセージを受信した場合、前記受信した配信要求メッセージを前記サーバ装置に向けて転送し、保持していているコンテンツのセグメントを示す配信要求メッセージを受信した場合、当該セグメントを当該配信要求メッセージの送信元の装置に向けて送信する通信手段と、
を備えており、
前記通信手段は、サーバ装置に向けて転送した配信要求メッセージの応答として、セグメントと、当該セグメントのフラグ情報を受信すると、当該フラグ情報が所定値であるかを判定し、当該フラグ情報が前記所定値であると、当該セグメントを前記保持手段に保持させず、当該フラグ情報が前記所定値ではないと、当該セグメントを前記保持手段に保持させることを特徴とする中間装置。
【請求項8】
コンピュータを請求項1から5のいずれか1項に記載のサーバ装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
コンピュータを請求項6又は7に記載の中間装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンテンツ配信システムにおいて、コンテンツを公開するサーバ装置が、当該コンテンツの要求数を取得する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
取得するコンテンツがどのサーバ装置に保存されているかを、コンテンツを取得するクライアント装置が意識することなく、コンテンツ名に基づき、コンテンツの配信要求メッセージのパケットのルーティングや、コンテンツの配信を行うネットワークが提案されている。特許文献1及び2並びに非特許文献1は、その様なネットワークの1つであるコンテンツ・セントリック・ネットワーク(CCN:Content Centric Networking)を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−277234号公報
【特許文献2】特開2009−278624号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】V.Jacobson,et al.,"Networking Named Content",in Proceedings of ACM CoNEXT 2009,2009年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンテンツ・セントリック・ネットワークにおいて、コンテンツを公開するサーバ装置は当該コンテンツを1つ以上のセグメントに分割し、クライアント装置はセグメント単位でコンテンツを取得する。また、コンテンツ・セントリック・ネットワークにおいて、クライアント装置へのセグメントの転送を行った転送装置(以下、中間装置と呼ぶ。)は、当該セグメントを保存でき、この中間装置は、自装置が保持しているセグメントの配信要求メッセージをクライアント装置から受信すると、当該配信要求メッセージをサーバ装置に転送することなく、自装置が保持するセグメントを、当該配信要求メッセージの送信元のクライアント装置に向けて送信する。
【0006】
上記の通り、コンテンツ・セントリック・ネットワークにおいて、公開のためサーバ装置に保存されたコンテンツの各セグメントは、複数のクライアント装置への配信により複数の中間装置において保存される様になり、その様な状況においては、クライアント装置からのコンテンツの配信要求メッセージは、サーバ装置に届かず、クライアント装置は、コンテンツの全セグメントを中間装置から取得することが生じ得る。したがって、サーバ装置は、公開したコンテンツがダウンロードされた回数、つまり、コンテンツの要求数を把握することができない。
【0007】
本発明は、コンテンツを公開するサーバ装置と、コンテンツを転送する中間装置と、を含み、コンテンツを1つ以上のセグメントに分割して配信し、中間装置は転送したセグメントをその後の配信のため保持できる、コンテンツ配信システムにおいて、サーバ装置にコンテンツの要求数を把握させる、サーバ装置、中間装置及びプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によると、コンテンツを公開するサーバ装置と、コンテンツを転送する中間装置と、を含み、コンテンツを1つ以上のセグメントに分割して配信し、中間装置は転送したセグメントをその後の配信のために保持できる、コンテンツ配信システムの前記サーバ装置であって、コンテンツを保持する保持手段と、コンテンツのセグメントを示す配信要求メッセージを受信すると、当該セグメントをフラグ情報と共に配信する配信手段と、を備えており、前記配信手段は、コンテンツの少なくとも1つのセグメントについてはフラグ情報を所定値に設定して配信し、セグメントのフラグ情報が前記所定値であることは、当該セグメントを保持する中間装置が当該セグメントを示す配信要求メッセージを受信した際に、当該中間装置は、保持している当該セグメントを配信することなく、当該セグメントを示す配信要求メッセージを前記サーバ装置に転送することを示していることを特徴とする。
【0009】
本発明の一側面によると、コンテンツを公開するサーバ装置と、コンテンツを転送する中間装置と、を含み、コンテンツを1つ以上のセグメントに分割して配信し、中間装置は転送したセグメントをその後の配信のために保持できる、コンテンツ配信システムの前記サーバ装置であって、コンテンツを保持する保持手段と、コンテンツのセグメントを示す配信要求メッセージを受信すると、当該セグメントをフラグ情報と共に配信する配信手段と、を備えており、前記配信手段は、コンテンツの少なくとも1つのセグメントについてはフラグ情報を所定値に設定して配信し、セグメントのフラグ情報が前記所定値であることは、当該セグメントを保持する中間装置が当該セグメントを示す配信要求メッセージに応答し
て当該セグメントの配信を
行ったことを、前記サーバ装置に通知することを示していることを特徴とする。
【0010】
本発明の一側面によると、コンテンツを公開するサーバ装置と、コンテンツを転送する中間装置と、を含み、コンテンツを1つ以上のセグメントに分割して配信し、中間装置は転送したセグメントをその後の配信のために保持できる、コンテンツ配信システムの前記サーバ装置であって、コンテンツを保持する保持手段と、コンテンツのセグメントを示す配信要求メッセージを受信すると、当該セグメントをフラグ情報と共に配信する配信手段と、を備えており、前記配信手段は、コンテンツの少なくとも1つのセグメントについてはフラグ情報を所定値に設定して配信し、セグメントのフラグ情報が前記所定値であることは、当該セグメントを中間装置は保存できないことを示していることを特徴とする。
【0011】
本発明の一側面によると、コンテンツを公開するサーバ装置と、コンテンツを転送する中間装置と、を含み、コンテンツを1つ以上のセグメントに分割して配信し、中間装置は転送したセグメントをその後の配信のために保持できる、コンテンツ配信システムの前記サーバ装置であって、コンテンツを保持する保持手段と、コンテンツのセグメントを示す配信要求メッセージを受信すると、当該セグメントをフラグ情報と共に配信する配信手段と、を備えており、セグメントのフラグ情報は、当該セグメントを保持する中間装置が当該セグメントを配信のために使用する期間を示し、前記配信手段は、コンテンツの少なくとも1つのセグメントのフラグ情報を、他のセグメントより小さい値に設定して配信することを特徴とする。
【0012】
本発明の一側面によると、コンテンツを公開するサーバ装置と、コンテンツを転送する中間装置と、を含み、コンテンツを1つ以上のセグメントに分割して配信し、中間装置は転送したセグメントをその後の配信のために保持できる、コンテンツ配信システムの前記中間装置であって、セグメントを保持する保持手段と、保持していないセグメントを示す配信要求メッセージを受信した場合、前記受信した配信要求メッセージを前記サーバ装置に向けて転送する通信手段と、を備えており、前記通信手段は、前記サーバ装置に向けて転送した配信要求メッセージの応答として、セグメントと、当該セグメントのフラグ情報を受信すると、受信したセグメント及びフラグ情報を前記保持手段に保持させ、かつ、受信したセグメントを前記配信要求メッセージの送信元の装置に向けて転送し、前記通信手段は、保持しているセグメントを示す配信要求メッセージを受信した場合、当該セグメントのフラグ情報が所定値であると、当該セグメントの配信を前記サーバ装置に通知す
ることを特徴とする。
【0013】
本発明の一側面によると、コンテンツを公開するサーバ装置と、コンテンツを転送する中間装置と、を含み、コンテンツを1つ以上のセグメントに分割して配信し、中間装置は転送したセグメントをその後の配信のために保持できる、コンテンツ配信システムの前記中間装置であって、セグメントを保持する保持手段と、保持していないコンテンツのセグメントを示す配信要求メッセージを受信した場合、前記受信した配信要求メッセージを前記サーバ装置に向けて転送し、保持していているコンテンツのセグメントを示す配信要求メッセージを受信した場合、当該セグメントを当該配信要求メッセージの送信元の装置に向けて送信する通信手段と、を備えており、前記通信手段は、サーバ装置に向けて転送した配信要求メッセージの応答として、セグメントと、当該セグメントのフラグ情報を受信すると、当該フラグ情報が所定値であるかを判定し、当該フラグ情報が前記所定値であると、当該セグメントを前記保持手段に保持させず、当該フラグ情報が前記所定値ではないと、当該セグメントを前記保持手段に保持させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
サーバ装置にコンテンツの要求数を把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】コンテンツ・セントリック・ネットワークの説明図。
【
図2】一実施形態によるコンテンツ配信方法のシーケンス図。
【
図3】一実施形態によるコンテンツ配信方法のシーケンス図。
【
図4】一実施形態によるコンテンツ配信方法のシーケンス図。
【
図5】一実施形態によるサーバ装置の概略的な構成図。
【
図6】一実施形態による中間装置の概略的な構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。また、以下の実施形態は例示であり本発明を実施形態の内容に限定するものではない。
【0017】
まず、
図1を用いてコンテンツ・セントリック・ネットワークの概略を説明する。コンテンツを公開したいユーザは、サーバ装置1に当該コンテンツを保存する。サーバ装置1は、保持している公開用のコンテンツをそれぞれ1つ以上のセグメントに分割すると共に、保持しているコンテンツ名を他の装置に報知する。コンテンツの転送を担う中間装置21及び22は、サーバ装置1が報知するコンテンツ名から、コンテンツ名に基づくルーティング・テーブルを作成する。例えば、クライアント装置31のユーザが取得したいコンテンツが、サーバ装置1に保持されているものとする。このとき、クライアント装置31のユーザが取得したいコンテンツ名をクライアント装置31に入力すると、クライアント装置31は、入力されたコンテンツ名を含むインタレスト・パケット(配信要求メッセージ)を中間装置21に向けて送信する。なお、クライアント装置31は、入力されたコンテンツ名に対応するコンテンツのいずれのセグメントもまだ受信していないため、クライアント装置31は、このインタレスト・パケットにセグメント番号"01"も含める。
【0018】
中間装置21は、ルーティング・テーブルから、クライアント装置31から受信したインタレスト・パケットに含まれるコンテンツ名に対応するコンテンツをサーバ装置1が保持していると認識し、このインタレスト・パケットをサーバ装置1に転送する。クライアント装置31からのインタレスト・パケットを受信したサーバ装置1は、受信したインタレスト・パケットで指定されたコンテンツの1番目のセグメントを中間装置21に送信し、中間装置21は、サーバ装置1から受信したセグメントをクライアント装置31に送信する。また、このとき、中間装置21は、転送したセグメントを保存する。
【0019】
クライアント装置31は、セグメント番号を1ずつ増加させながら、入力されたコンテンツ名を含むインタレスト・パケットを中間装置21に転送し、上述したのと同様に、サーバ装置1から、入力されたコンテンツ名の残りのセグメントを受信する。なお、最後のセグメントには、最後のセグメントであることを示す情報が含まれており、クライアント装置31は、この情報によりコンテンツの総てのセグメントを受信したことを認識する。また、中間装置21は、クライアント装置31が要求したすべてのコンテンツの転送に関わったことにより、当該コンテンツの総てのセグメントを保持することになる。
【0020】
その後、例えば、クライアント装置32が、クライアント装置31が取得したのと同じコンテンツについてのインタレスト・パケット(セグメント番号は"01"を含む)を中間装置22に送信すると、中間装置22は、ルーティング・テーブルに基づき、このインタレスト・パケットを中間装置21に転送する。中間装置21は、受信したインタレスト・パケットが示すコンテンツの番号1のセグメントを保持しているため、受信したインタレスト・パケットをサーバ装置1に転送することなく、自装置が保持している当該コンテンツの番号1のセグメントを中間装置22に送信し、中間装置22は、受信したコンテンツをクライアント装置32に送信する。また、このとき、中間装置22は、転送したコンテンツのセグメントを保存する。以後、残りのセグメントも同様に処理され、よってクライアント装置32へのコンテンツの配信により、中間装置22も当該コンテンツの総てのセグメントを保持することになる。その後、クライアント装置33が、クライアント装置31及び32が取得したのと同じコンテンツの取得を要求すると、クライアント装置33は、中間装置22が保持するコンテンツを受信し、クライアント装置33からのインタレスト・パケットは、中間装置21やサーバ装置1には転送されない。
【0021】
なお、上記説明では、中間装置21及び22は転送したセグメントを総て保持するものとしたが、保持できるセグメントの合計データ量には制限があるため、中間装置21及び22は所定の判断基準に従い保持するセグメントを判断できる。つまり、中間装置21及び22は、転送した総てのセグメントを保持するものではなく、必要に応じて転送したセグメントを保持する。また、中間装置21及び22は、一旦、保持したセグメントであっても、その後、所定の判断基準、例えば、保持してからの経過時間等に従い廃棄する。
【0022】
上記の通り、コンテンツ・セントリック・ネットワークにおいては、クライアント装置31、32及び33のそれぞれが同一コンテンツを取得したにも拘らず、サーバ装置1には、クライアント装置31からのインタレスト・パケットのみしか届かないため、コンテンツを公開するサーバ装置1は、コンテンツの要求数を把握できなくなる。なお、本明細書においては、コンテンツ・セントリック・ネットワークを例にして説明を行うが、本発明はコンテンツ・セントリック・ネットワークに限定されず、コンテンツをセグメントに分割して配信し、セグメントの転送に関わった中間装置が当該セグメントを保持でき、保持するセグメントの配信要求メッセージを受信した中間装置が、当該保持するセグメントを当該配信要求メッセージの送信元のクライアント装置に送信できるネットワークに適用可能である。
【0023】
<第一実施形態>
図2は、本実施形態のコンテンツ配信システムにおいて、サーバ装置1が公開したコンテンツをクライアント装置31が取得する際のシーケンス図である。なお、システムの構成は
図1と同じとし、中間装置21及び22は、シーケンスの開始時点において、コンテンツのセグメントを一切保持していないものとする。また、クライアント装置31が取得するコンテンツは、3つのセグメントに分割されているものとする。
【0024】
S1で、クライアント装置31は、番号1のセグメントの取得を要求するインタレスト・パケットを中間装置21に送信し、中間装置21は、このインタレスト・パケットをサーバ装置1に転送する。サーバ装置1は、S2で、受信したインタレスト・パケットの応答として、番号1のセグメントを含むデータ・パケットを中間装置21に送信する。なおこのとき、サーバ装置1は、このデータ・パケットのオーバヘッドのフラグ情報を"有"を示す値に設定する。なお、フラグ情報が"有"に設定されていることは、このデータ・パケットに含まれるセグメントを示すインタレスト・パケットを中間装置が後に受信したとしても、その中間装置は、その中間装置が保持している当該セグメントをクライアント装置に配信できず、受信したインタレス・パケットをサーバ装置1に向けて転送することを示している。中間装置21は、S3で、受信したセグメントを保存し、S4で、受信したセグメントを含むデータ・パケットをクライアント装置31に送信する。これにより、クライアント装置31は、要求しているコンテンツの番号1のセグメントを取得する。
【0025】
その後、S5〜S8の処理により、クライアント装置31は、要求しているコンテンツの番号2のセグメントを取得する。なお、2番目のセグメントを取得するS5〜S8と、1番目のセグメントを取得するS1〜S4の相違点は、S6において、サーバ装置1は、フラグ情報を"無"を示す値に設定することのみである。なお、フラグ情報が"無"に設定されていることは、このデータ・パケットに含まれるセグメントを示すインタレスト・パケットを中間装置が後に受信した場合、中間装置は、その中間装置が保持している当該セグメントをクライアント装置に配信できることを示している。その後、S9〜S12の処理により、クライアント装置31は、要求しているコンテンツの番号3、つまり最後のセグメントを取得する。なお、サーバ装置1は、S10においてフラグ情報を"無"を示す値に設定する。このように、本実施形態において、サーバ装置1は、最初のセグメントを含むデータ・パケットについては、フラグ情報を"有"に設定し、残りのデータ・パケットについては、フラグ情報を"無"に設定する。
【0026】
図3は、
図2の処理の後に、クライアント装置32が、クライアント装置31が取得したのと同じコンテンツを取得する際のシーケンス図である。なお、中間装置22は、図の簡略化のため図から省略している。
図3に示す様に、中間装置21は、クライアント装置32が要求するコンテンツの総てのセグメントを保持しているが、セグメント1は、フラグ情報が"有"であったことが示されている。
【0027】
S20で、クライアント装置32は、番号1のセグメントの取得を要求するインタレスト・パケットを送信し、このインタレスト・パケットは、中間装置21により受信される。中間装置1は、このインタレスト・パケットが示すセグメントを保持しているが、フラグ情報が"有"であるため、自装置が保持しているセグメントをクライアント装置32に送信することは行わず、受信したインタレスト・パケットをサーバ装置1に転送する。サーバ装置1は、S21で、受信したインタレスト・パケットの応答として、番号1のセグメントを含むデータ・パケットを中間装置21に送信し、中間装置21は、S22で受信したセグメントをクライアント装置32へ送信する。なお、中間装置21は、S21で受信したセグメントを保存しない構成でも、既に保持しているセグメントと置き換える構成であっても良い。その後、S23及びS25で、中間装置21は、それぞれ、残りのセグメントを示すインタレスト・パケットをクライアント装置32から受信すると、S25及びS26で、自装置が保持しているセグメントをそれぞれクライアント装置32に送信する。
【0028】
以上の構成によりサーバ装置1には、コンテンツ毎に1つのインタレスト・パケットが到達し、サーバ装置1は、コンテンツの要求数を把握することができる。なお、コンテンツの最初のセグメントのフラグ情報を"有"にしていたが、最後のセグメント等、他の番号のセグメントのフラグ情報を"有"に設定する構成であっても良い。また、フラグ情報を"有"に設定するセグメント数も1に限定されない。しかしながら、フラグ情報を"有"に設定するセグメント数を増加させると、中間装置がセグメントを保持して配信する意義が失われるため、フラグ情報を"有"に設定するセグメント数は少ないことが好ましい。
【0029】
なお、例えば、フラグ情報としては、データ・パケットのFreshnessSecondsフィールドを使用できる。中間装置は、受信したデータ・パケットのセグメントを保存してから、データ・パケットのFreshnessSecondsフィールドが示す時間が経過すると、当該セグメントを要求するインタレスト・パケットを受信しても、保存しているセグメントを送信せず、受信したインタレスト・パケットを転送する様に動作する。したがって、サーバ装置1は、FreshnessSecondsフィールドの値を0に設定することでフラグ情報が"有"であることを中間装置に通知すること、つまり、中間装置が保存しているセグメントをクライアント装置への送信に使用させず、インタレスト・パケットをサーバ装置1に転送させることができる。なお、インタレス・パケットのAnswerOriginKindの値が4の場合、中間装置1は、セグメントを保存してからの経過時間がFreshnessSecondsフィールドの値を超えてもクライアント装置に保存しているセグメントを送信するため、クライアント装置は、インタレス・パケットのAnswerOriginKindの値を4以外とする様に制限を設ける。
【0030】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態においても、
図2に示す様に、サーバ装置1は、番号1のセグメントを含むデータ・パケットのオーバヘッドのフラグ情報を"有"を示す値に設定する。ただし、本実施形態において、フラグ情報が"有"に設定されていることは、このデータ・パケットに含まれるセグメントを示すインタレスト・パケットを中間装置が後に受信した場合、中間装置1は、その中間装置1が保持している当該セグメントをクライアント装置に配信できるが、インタレスト・パケットを受信して配信したことをサーバ装置1に通知することを示している。
【0031】
図4は、
図2の処理の後に、クライアント装置32が、クライアント装置31が取得したのと同じコンテンツを取得する際のシーケンス図である。なお、中間装置22は、図の簡略化のため省略している。
図4に示す様に、中間装置21は、クライアント装置32が要求するコンテンツの総てのセグメントを保持しているが、セグメント1は、フラグ情報が"有"であったことが示されている。
【0032】
S30で、クライアント装置32は、番号1のセグメントの取得を要求するインタレスト・パケットを送信し、このインタレスト・パケットは、中間装置21により受信される。中間装置21は、このインタレスト・パケットが示すセグメントのフラグ情報が"有"であるため、S31で、自装置が保持しているセグメントをクライアント装置32に送信し、S32で、コンテンツ名を含む配信通知をサーバ装置1に送信する。S33〜S36は、
図3のS23〜S26の処理と同様であり、その説明は省略する。
【0033】
以上の構成によりサーバ装置1には、コンテンツ毎に配信通知が到達し、サーバ装置1は、コンテンツの要求数を把握することができる。なお、フラグ情報を"有"にするセグメントの考え方については第一実施形態と同様である。
【0034】
<第三実施形態>
続いて、第三実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態においても、
図2に示す様に、サーバ装置1は、番号1のセグメントを含むデータ・パケットのオーバヘッドのフラグ情報を"有"を示す値に設定する。ただし、本実施形態において、フラグ情報が"有"に設定されていることは、このデータ・パケットに含まれるセグメントを中間装置は保存できないことを示している。
【0035】
したがって、
図2の処理の終了後において、中間装置21は、セグメント1を保存しておらず、よって、他のクライアント装置からのセグメント1を示すインタレスト・パケットは、サーバ装置1に転送され、サーバ装置1は、コンテンツの要求数を把握することができる。なお、フラグ情報を"有"にするセグメントの考え方については第一実施形態と同様である。
【0036】
<各実施形態の装置構成>
まず、上記各実施形態についてのサーバ装置1の構成について
図5を用いて説明する。保持部11は、ユーザが公開するコンテンツを保持している。なお、保持部11は、保持するコンテンツを、1つ以上のセグメントに分割して保持している。配信部12の処理部121は、通信部122がコンテンツのセグメントを示す配信要求メッセージを受信すると、配信要求メッセージで示されたセグメントを保持部11から読み出し、そのセグメント番号に基づきフラグ情報の値を"有"又は"無"に決定し、保持部11から読み出したセグメントと、決定したフラグ情報の値を通信部122に出力する。通信部122は、受け取ったセグメントをフラグ情報と共に、配信要求メッセージの送信元の装置に向けて送信する。また、処理部121は、コンテンツ毎の要求数のカウントを行う。
【0037】
続いて、上記各実施形態についての中間装置21の構成について
図6を用いて説明する。なお、中間装置22の構成も中間装置21と同様である。通信部211は、複数の通信インタフェースを有し、他の装置(クライアント装置又は他の中間装置)からコンテンツのセグメントを示す配信要求メッセージを受信すると、その判定部212は、受信した配信要求メッセージが示すセグメントを保持部210が保持しているかを判定する。ここで、保持部210が当該セグメントを保持していない場合には、ルーティング・テーブル213に基づき、受信した配信要求メッセージをサーバ装置1に向けて転送する。
【0038】
一方、保持部210が当該セグメントを保持している場合、通信部211の処理は各実施形態で異なる。まず、中間装置21が第三実施形態によるものである場合、通信部211は、配信要求メッセージが示すセグメントを保持部210から読み出し、配信要求メッセージの送信元の装置に向けて送信する。一方、中間装置21が第一実施形態によるものである場合、判定部212は、さらに当該セグメントのフラグ情報が"有"又は"無"のいずれであるかを判定する。ここで、当該セグメントのフラグ情報が"無"である場合、通信部211は、配信要求メッセージが示すセグメントを保持部210から読み出し、配信要求メッセージの送信元の装置に向けて送信する。一方、当該セグメントのフラグ情報が"有"である場合、通信部211は、配信要求メッセージをサーバ装置1に向けて転送する。さらに、中間装置21が第二実施形態によるものである場合、通信部211は、配信要求メッセージが示すセグメントを保持部210から読み出し、配信要求メッセージの送信元の装置に向けて送信する。さらに、判定部212は、配信したセグメントのフラグ情報が"有"又は"無"のいずれであるかを判定し、"有"の場合には、配信したセグメントのコンテンツ名をサーバ装置1に通知する。
【0039】
また、通信部211が、サーバ装置1に転送した配信要求メッセージの応答として、セグメントと、当該セグメントのフラグ情報を受信すると、第一実施形態及び第二実施形態による中間装置21では、通信部211は、受信したセグメント及びフラグ情報を保持部210に保持し、かつ、受信したセグメントを配信要求メッセージの送信元の装置に向けて転送する。一方、第三実施形態による中間装置21では、通信部211は、受信したセグメントを配信要求メッセージの送信元の装置に向けて転送するとともに、判定部212は、受信したセグメント情報が"有"又は"無"のいずれであるかを判定する。そして、受信したセグメント情報が"無"の場合には、受信したセグメントを保持部210に保持するが、受信したセグメント情報が"有"の場合には、受信したセグメントを保持部210に保持しない。
【0040】
<その他の実施形態>
第一実施形態では、データ・パケットのFreshnessSecondsフィールドの値を0に設定することで、フラグ情報が"有"であることを中間装置に通知できることを述べた。ここで、FreshnessSecondsフィールドを使用する場合であって、サーバ装置1がコンテンツの要求数をできるだけ正確に把握することを目的とするのであれば、その値を0にする必要がある。しかしながら、コンテンツの要求数の大まかな傾向の把握を目的とするのであれば、フラグ情報が"有"であるセグメントを含むデータ・パケットの当該フィールドを0以外の値とすることができる。例えば、フラグ情報が"有"であるセグメントを含むデータ・パケットの当該フィールドの値を、フラグ情報が"無"であるセグメントを含むデータ・パケットの当該フィールドの値より小さい値とすることができる。なお、フラグ情報が"有"であるセグメントを含むデータ・パケットの当該フィールドの値を大きくしすぎると、コンテンツの実際の要求数と、サーバ装置1が把握する要求数が乖離する。したがって、この乖離を小さくするために、例えば、多くのコンテンツについて調べたコンテンツの要求間隔の平均値又は最小値以下の値を、フラグ情報が"有"であるセグメントを含むデータ・パケットの当該フィールドに設定することができる。
【0041】
なお、本発明によるサーバ装置1、中間装置21は、コンピュータを上記サーバ装置1、中間装置21として動作させるプログラムにより実現することができる。これらコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されて、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。