【文献】
Samsung,SRS Enhancements in Rel.11[online],3GPP TSG-RAN WG1#66 R1-112521,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_66/Docs/R1-112521.zip>,2011年 8月16日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送信中断リソースは、前記参照信号の送信を中断する周波数帯域を示す送信中断周波数帯域、または、前記参照信号の送信を中断するサブフレームを示す送信中断サブフレームである請求項1記載の無線送信装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
前記送信部は、前記1または複数の送信リソースのうちの前記送信中断リソースにおいて、判定基準に基づいて前記無線送信装置が与える干渉が大きいと判定された場合、前記送信中断リソースにおける前記参照信号の送信を中断してもよい。
【0027】
前記判定基準は、前記無線送信装置の参照信号の送信帯域幅が閾値以下である場合に、前記無線送信装置が与える干渉が大きいと判定することを定義してもよい。
前記判定基準は、前記無線送信装置がセルエッジ領域に位置する場合に、前記無線送信装置が与える干渉が大きいと判定することを定義してもよい。
前記判定基準は、前記無線送信装置と無線受信装置との間のパスロスが閾値以上の場合に、前記無線送信装置が与える干渉が大きいと判定することを定義してもよい。
前記判定基準は、前記無線送信装置の送信信号のパワーヘッドルームが閾値以下の場合に、前記無線送信装置が与える干渉が大きいと判定することを定義してもよい。
【0028】
前記送信中断リソースは、前記参照信号の送信を中断する周波数帯域を示す送信中断周波数帯域、または、前記参照信号の送信を中断するサブフレームを示す送信中断サブフレームであってもよい。
前記送信中断周波数帯域は、前記無線送信装置が利用可能な送信周波数帯域の位置を示すビットシーケンスで表してもよい。
【0029】
前記送信中断リソースは、前記参照信号の送信を中断する周波数帯域を示す送信中断周波数帯域であってもよく、前記閾値は前記送信中断周波数帯域の帯域幅から導出されてもよい。
【0030】
前記参照信号の第1送信帯域が前記送信中断リソースである参照信号の送信を中断する周波数帯域を示す送信中断帯域と一致する場合、あるいは、前記参照信号の第1送信帯域が前記送信中断帯域と一致する場合であってかつ判定基準に基づいて前記無線送信装置が与える干渉が大きいと判定された場合、前記送信部は、次の参照信号の送信に用いられるサブフレーム以降に割り当てられる送信帯域であってかつ前記送信中断帯域と一致しない送信帯域である第2送信帯域において、前記参照信号を送信してもよい。
【0031】
前記送信中断サブフレームは、下り回線ABS(Almost Blank Subframe)から4サブフレーム後のサブフレームであってもよい。
【0032】
前記チャネル推定部は、前記送信リソースが前記送信中断リソースに該当し、かつ、判定基準に基づいて無線送信装置が与える干渉が大きいと判定された場合、前記チャネル推定を中断してもよい。
【0033】
本発明の無線受信装置は、前記送信中断リソースにおける前記参照信号の送信の中断を示す送信中断情報を前記無線送信装置へ送信する送信部をさらに備えてもよい。
【0034】
本実施形態では、本発明に係る無線送信装置及び無線受信装置、並びに無線通信方法を携帯電話等の移動体通信用のセルラーシステムに適用した場合の例を示す。以下の説明では、無線通信システムにおける上り回線を仮定し、移動局の端末(UE:User Equipment)が無線送信装置(以下、「送信装置」という)となり、基地局(BS:Base Station)が無線受信装置(以下、「受信装置」という)となる場合を例示する。端末としては、
図2に示されたようなHetNet環境のマクロ端末を想定し、マクロ端末からマクロセルの基地局への上り回線において、回線品質推定用の参照信号であるSRSを送信する場合の例を説明する。以下の説明において、マクロ端末を単に「端末」、マクロセルの基地局を単に「基地局」ということもある。
【0035】
HetNet環境における上り回線干渉対策の第1例として、マクロ端末が送信するSRSにおいて、周波数領域ICICを適用する場合を説明する。
例えば、周波数領域ICICを行う際に、
図1に示されたSRSの周波数ホッピングを用いて、周波数領域ICICの適用効果を高める方法としては、次のような方法が挙げられる。
【0036】
図4はSRS送信における周波数領域ICICの適用例を示した図であり、
図4(A)は非連続帯域でSRSが送信される場合を示し、
図4(B)は複数の連続帯域で構成された一つの送信帯域でSRSが送信される場合を示す。基地局は端末へSRSパラメータを送信し、端末はSRSパラメータによって指示された所定の帯域で基地局にSRSを送信する。送信リソースの制限として、SRSが送信されない非送信帯域は、図中斜線で示されるように、
図4(A)の場合はSRSの非送信帯域が非連続(つまり、2つの非送信帯域が周波数方向で離散する)であり、
図4(B)の場合はSRSの非送信帯域が連続(つまり、1つの非送信帯域または連続した複数の非送信帯域によって構成された非送信帯域が存在する)である。
【0037】
この場合、
図4(A)のような非連続帯域41,42、及び、
図4(B)のような複数の連続帯域43のいずれにおいても、基地局は1つのSRSパラメータでは非連続帯域または複数の連続帯域のSRS送信帯域を設定できない。このため、1つのSRSパラメータで設定可能な送信帯域毎に、基地局はSRSパラメータ設定を変更する必要がある。よって、基地局から端末へのシグナリングが増えてしまう。
【0038】
つまり、
図4(A),(B)に示されるように、端末が基地局に2つの狭帯域(2クラスタ)の非連続帯域41,42または連続帯域43でSRSを送信する場合、基地局は初期送信帯域位置を変えた2回のSRSパラメータを端末へ送信し、端末はSRSパラメータを受信するたびにSRS送信帯域を設定する必要がある。LTE仕様では、SRSパラメータ(具体的には、Sounding RS-UL-Config Dedicated(3GPP TS 36.331参照))は、1送信当たり24ビットの情報量である。このSRSパラメータを端末へ2回通知することはシステムのオーバヘッドの増加を引き起こし、スループット性能が劣化する原因となる。
【0039】
そこで、本実施形態では、送信中断リソースとして、SRSの送信を中断するSRS送信中断リソース(SRSドロップリソース)を設けて、SRSの送信を行わないリソースを設定する。これにより、ICICを行う際の送信リソースの設定パターンの制約が解消され、ICICの適用効果を高めることができる。
【0040】
送信中断リソースは、参照信号の送信を中断する周波数帯域を示す送信中断周波数帯域、および、参照信号の送信を中断するサブフレームを示す送信中断サブフレームのうちの少なくともいずれか一方を含む。つまり、SRS送信中断リソースは、詳細は後述するが、周波数領域における送信周波数帯域だけでなく、時間領域における送信サブフレーム、送信フレーム、または送信スロットなどにも適用可能である。よって、SRS送信中断リソースは、上述の周波数領域ICICだけでなく、時間領域ICIC、周波数領域ICICと時間領域ICICの組合せなど、いずれの場合にも適用できる。
【0041】
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、SRS送信中断リソースを用いてICICを行う基地局及び端末の基本構成について説明する。
【0042】
<基地局の構成及び機能>
図5は、第1の実施形態に係るマクロセルの基地局(受信装置)の主要部の構成を示すブロック図である。
【0043】
図5(A)において、上り回線において受信装置となるマクロセルの基地局は、SRS情報決定部101、送信部110、アンテナ104、受信部109、チャネル推定部107、及びスケジューリング部108を有する。
【0044】
SRS情報決定部101は、マクロセル内に存在する端末(マクロ端末)に対する、SRS送信に関連する制御情報としてのSRS情報を決定する。例えば、SRS送信サブフレーム、SRS送信帯域、SRS送信帯域幅、CS(Cyclic Shift)量、送信Comb(Transmission Comb)、周波数ホッピングパターン等を含むSRSパラメータが、SRS情報として決定される。送信Combは、IFDMA(Interleaved frequency-division multiple-access)における櫛状サブキャリアの位置を示す。
【0045】
また、SRS情報決定部101は、SRS送信を中断(drop)する(ドロップする)SRS送信中断リソース(以下、SRSドロップリソースという)を、SRS情報の一部として決定する。SRSドロップリソースは、SRS送信が中断される周波数帯域を示すSRS送信中断帯域(以下、SRSドロップ帯域という)、および、SRS送信が中断されるサブフレームを示すSRS送信中断サブフレーム(以下、SRSドロップサブフレームという)のうちの、少なくともいずれか一方を含む。
【0046】
SRSドロップリソースがSRSドロップ帯域を示す場合、無線リソースにおいてSRSドロップ帯域に該当する周波数帯域でのSRS送信は停止する。SRSドロップリソースがSRSドロップサブフレームを示す場合、無線リソースにおいてSRSドロップサブフレームに該当するサブフレームでのSRS送信は停止する。
【0047】
SRS情報決定部101は、決定されたSRS情報を、送信部110、受信部109、チャネル推定部107に出力する。SRSドロップリソース情報は、セル固有情報とし、マクロセル内の全マクロ端末で共通の情報であってもよい。あるいは、SRSドロップリソース情報は端末固有情報としてもよい。
【0048】
SRS情報決定部101によって生成されたSRS情報は、端末固有情報の場合はRRCレイヤの制御情報として、また、セル固有(全端末共通)情報の場合はシステム制御情報として、設定対象となる端末へ送信される。セル固有情報の場合、全端末に共通のSRSドロップリソースを設定することによりICICの効果を得ると共に、SRSドロップリソース情報をセル内の全端末に一律にシグナリングできるため、システムのオーバヘッドが低減できる。一方、端末固有情報の場合は、周辺セルへ与える干渉の影響を低減するために必要なSRSドロップリソースを端末毎に設定できるため、ICICによるシステム性能改善効果をより向上させることができる。
【0049】
送信部110は、SRS情報決定部101から受け取ったSRS情報を、またはSRS情報が含まれた送信信号を送信する。なお、送信部110は、例えば、
図5(B)のように、送信処理部102および無線処理部103を有してもよい。
【0050】
送信処理部102では、SRS情報決定部101からのSRS情報を、所定の下り回線無線リソースにマッピングすることにより、送信信号を生成することができる。なお、マッピングする前に、SRS情報を符号化および/または変調してもよい。
【0051】
無線処理部103は、送信信号に対して、必要に応じて無線送信処理を施し、所定の送信電力に電力増幅を行う。そして、無線処理部103は、アンテナ104を介して送信信号を送信する。無線送信処理としては、送信信号のアップコンバート、ディジタルアナログ(D/A)変換などが挙げられる。
【0052】
受信部109は、受信したSRSを、または受信した無線信号に含まれたSRSをチャネル推定部107へ出力する。なお、受信部109は、例えば、
図5(C)のように、無線処理部105および受信処理部106を有してもよい。
【0053】
無線処理部105において、アンテナ104を介して受信した無線信号に対して、必要に応じて無線受信処理を施してもよい。無線受信処理としては、例えば、受信信号のダウンコンバート、アナログディジタル(A/D)変換などが挙げられる。
【0054】
受信処理部106において、SRS情報決定部101からのSRS情報に基づいて、基地局で受信した端末からのSRSを抽出してもよい。
【0055】
チャネル推定部107は、受信部109からのSRSに対し、レプリカ信号と相関演算を行うことで基地局におけるチャネル推定値(SINR測定値)を算出し、スケジューリング部108へ出力する。
【0056】
この際、チャネル推定部107は、SRS情報決定部101からのSRS情報に基づいて、SRS受信のリソースまたは受信信号のリソースがSRSドロップリソースに該当するか否かを判定する。SRS受信のリソースまたは受信信号のリソースがSRSドロップリソースに該当して端末からSRSが送信されていないと判定した場合、チャネル推定を行わない。この場合、チャネル推定部107は、該当リソースでのチャネル推定は行わなかった旨をスケジューリング部108へ出力する。
【0057】
あるいは、SRS受信のリソースまたは受信信号のリソースがSRSドロップリソースに該当して端末からSRSが送信されていないと判定した場合、チャネル推定部107は、チャネル推定値を破棄し、該当リソースでのチャネル推定値は無効である旨をスケジューリング部108へ出力する。
【0058】
スケジューリング部108は、受信したSRSから求めたチャネル推定値をもとに、セル内の端末のスケジューリングを行う。スケジューリングとしては、データまたはSRSに対するリソースの割り当て、変調方式および/または符号化率の制御等が挙げられる。スケジューリング部108は、スケジューリングした情報をSRS情報決定部101へ出力する。
【0059】
<端末の構成及び機能>
図6は、第1の実施形態に係るマクロ端末(送信装置)の主要部の構成を示すブロック図である。
【0060】
図6(A)において、上り回線において送信装置となるマクロ端末は、アンテナ152、受信部156、参照信号生成部の一例に相当するSRS生成部154、及び送信部155を有する。
【0061】
受信部156は、受信したSRS情報、または受信した無線信号に含まれたSRS情報(SRSドロップリソース情報を含む)をSRS生成部154及び送信部155へ出力する。なお、受信部156は、例えば、
図6(B)のように、無線処理部151および受信処理部153を有してもよい。
【0062】
無線処理部151においては、アンテナ152を介して受信した無線信号に対して、必要に応じて無線受信処理を施してもよい。無線受信処理としては、受信信号のダウンコンバート、アナログディジタル(A/D)変換などが挙げられる。
【0063】
受信処理部153においては、受信信号に含まれるSRS情報を抽出し、SRSドロップリソース情報が含まれるSRS情報をSRS生成部154及び送信部155へ出力することができる。
【0064】
SRS生成部154は、受信部156からのSRS情報に基づいて、所定のSRS用系列番号(系列番号、CS番号)を用いてSRSを生成する。そして、SRS生成部154は、生成したSRSを参照信号送信リソースとなる所定の上り回線無線リソース(SRS送信リソース)にマッピングすることにより、送信信号を生成する。
【0065】
ここで、SRS生成部154は、受信部156からのSRS情報に基づいて、SRS送信リソースがSRSドロップリソースに該当するか否かを判断する。SRS送信リソースがSRSドロップリソースに該当しない場合はSRSを生成し、SRSドロップリソースに該当する場合はSRSを生成しない。
【0066】
なお、SRS生成部154は、SRS送信リソースがSRSドロップリソースに該当しない場合は生成したSRSをマッピングし、SRS送信リソースがSRSドロップリソースに該当する場合は生成したSRSをマッピングしないようにしてもよい。
【0067】
送信部155において、SRS生成部154からのSRSを含んだ送信信号に対して、必要に応じてSRS送信サブフレームにおいて無線送信処理を施してもよい。また、送信部155において、SRSを含んだ送信信号に対して、所定の送信電力に電力増幅を行う。無線送信処理としては、送信信号のアップコンバート、ディジタルアナログ(D/A)変換などが挙げられる。
【0068】
また、送信部155は、受信部156からのSRS情報に基づいて、SRS送信リソースがSRSドロップリソースに該当するか否かを判断してもよい。SRS送信リソースがSRSドロップリソースに該当しない場合はSRSを送信し、SRSドロップリソースに該当する場合はSRSを送信しないようにしてもよい。この場合、送信部155は、SRSを送信する場合は該当サブフレームにおいて所定の送信電力で出力し、SRSを送信しない場合は該当サブフレームにおいて送信電力を0にする。
【0069】
なお、SRS生成部154においてSRSドロップリソースに基づいてSRSを生成しない場合またはSRSをマッピングしない場合は、送信部155はそのまま送信信号を所定の送信電力にて送信すればよい。
【0070】
<基地局及び端末の動作>
次に、第1の実施形態におけるSRS送受信に関する基地局及び端末の動作を説明する。
図7は、第1の実施形態に係るマクロ端末のSRS送信動作を示すフローチャートである。
図8は、第1の実施形態に係るマクロセルの基地局のSRS受信動作を示すフローチャートである。
【0071】
図7において、SRS送信処理を開始すると(ステップS11)、SRS生成部154は、SRS情報に基づき、SRSを送信するリソースがSRS送信中断リソース(SRSドロップリソース)に該当するか否かを判断する(ステップS12)。ここで、SRS送信中断リソースに該当する場合、SRS送信は停止される(ステップS13)。SRS送信を停止する場合、SRS生成部154においてSRSの生成またはSRSのリソースへのマッピングを停止するか、あるいは、送信部155においてSRSの送信電力を0とし、SRSを送信しないようにする。
【0072】
一方、ステップS12にてSRSを送信するリソースがSRS送信中断リソースに該当しない場合、SRS送信を行う(ステップS14)。この場合、SRS生成部154はSRSを生成して上り回線無線リソースにマッピングし、送信部155はSRSの送信信号を所定の送信電力にて出力することで、マクロセルの基地局へSRSが送信される。
【0073】
図8において、受信部109は、マクロ端末からのSRSの受信処理を行い(ステップS21)、SRS情報に基づき、端末(マクロ端末)のSRSがマクロ端末におけるSRS送信の停止によって未送信であるか否かを判断する(ステップS22)。ここで、SRSが未送信である場合は、チャネル推定部107は、チャネル推定を停止する(ステップS23)。
【0074】
この場合、チャネル推定部107は、SRSが未送信であると判断された該当リソースでのチャネル推定処理を実行せず、その旨をスケジューリング部108へ出力する。
あるいは、チャネル推定部107は、SRSが未送信であると判断された該当リソースでのチャネル推定値を破棄し、そのチャネル推定値は無効である旨をスケジューリング部108へ出力する。
【0075】
一方、ステップS22にて端末のSRSが送信されたと判断された場合、チャネル推定部107はチャネル推定を実行する(ステップS24)。そして、チャネル推定部107は、受信したSRSを用いて、基地局におけるチャネル推定値(例えば、SINR測定値)を算出し、スケジューリング部108へ出力する。
【0076】
第1の実施形態では、SRS送信中断リソースを用いて、SRS送信中断リソースに該当するリソースではSRSの送信を中断することで、ICICを行う。これにより、HetNet環境において、SRS送信中断リソースでは干渉源となるマクロ端末はSRSを送信しないので、ピコセルへの上り回線干渉を低減することができる。例えば、
図4(A),(B)に示されたようにSRSを非連続帯域または連続帯域の一部の周波数帯域のみで送信して周波数領域ICICを行う場合であっても、SRS送信中断リソースを用いることで、1つのシグナリングによってSRSパラメータを設定可能である。
【0077】
つまり、SRS送信中断リソースを用いることによって、SRS送信用のリソースを制限する際の設定可能なパターンを増やすことができ、ICICの効果を向上できる。言い換えれば、1つのSRSパラメータによって従来と同じ連続帯域によるSRS送信の設定を行い、さらにSRS送信中断リソースによってSRS送信を行わない帯域を通知することにより、様々なICICの設定を行うことができる。したがって、本実施形態により、SRS送信中断リソースによってSRS送信用のリソースを適切に制限可能であり、ICICの適用効果を高めることができる。
【0078】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、SRS送信中断リソースを用いてICICを行う基地局及び端末において、第1の実施形態を基に構成要素を追加した一構成例を説明する。
【0079】
本実施形態は、HetNet環境において、マクロセルのセルセンタ付近のマクロ端末は、ピコセルへ与える干渉が小さく、干渉源にならないことに着眼している。
図9は、HetNet環境におけるセルセンタ付近のマクロ端末の上り回線干渉の一例を示す図である。マクロ端末11がマクロセル10の基地局12に近いセルセンタ付近の領域(以下、セルセンタ領域)に位置する場合、マクロ端末11とマクロセル10の基地局12間のパスロスが小さいと推測される。よって、マクロ端末11の上り回線送信電力は、パスロスに比例して設定されるため、電力が小さくなる。
【0080】
セルセンタ領域のマクロ端末11とピコセル20間の距離が遠い場合、マクロ端末11とピコセル20の基地局22間のパスロスが大きくなる。このため、セルセンタ領域のマクロ端末11からの上り回線送信信号がピコ端末21の上り回線送信信号に対して与える干渉は小さくなる。
【0081】
本実施形態では、端末がSRSの送信を中断すべき端末であるか、すなわち、端末が与える干渉(
図9の例ではマクロ端末からピコセルへ与える干渉)が大きいかどうかを判定し、SRSの送信中断の可否を決定する。具体的には、マクロ端末とマクロセルの基地局との間のパスロスが大きいか否かを判断することで、端末が与える干渉の状態を判定する。
【0082】
<基地局の構成及び機能>
図10は、第2の実施形態に係るマクロセルの基地局(受信装置)の主要部の構成を示すブロック図である。
【0083】
図10(A)において、上り回線において受信装置となるマクロセルの基地局は、SRS情報決定部201、送信部211、アンテナ204、受信部210、チャネル推定部207、スケジューリング部208、及び参照信号中断判定部の一例に相当する送信中断判定部209を有する。
【0084】
SRS情報決定部201は、マクロセル内に存在する端末(マクロ端末)に対する、SRS送信に関連する制御情報としてのSRS情報を決定する。例えば、SRS送信サブフレーム、SRS送信帯域、SRS送信帯域幅、CS量、送信Comb、周波数ホッピングパターン等を含むSRSパラメータが、SRS情報として決定される。
【0085】
また、SRS情報決定部201は、SRS送信を中断する(ドロップする)SRSドロップリソースを、SRS情報の一部として決定する。SRSドロップリソースは、SRS送信が中断される周波数帯域を示すSRSドロップ帯域、および、SRS送信が中断されるサブフレームを示すSRSドロップサブフレームのうちの、少なくともいずれか一方を含む。なお、SRS送信を中断するマクロ端末は、セルエッジ領域に位置する端末としてもよい。
【0086】
SRS情報決定部201は、決定されたSRSドロップリソースに関する情報である送信中断リソース情報(SRSドロップリソース情報)を含んだSRS情報を、送信部211、受信部210、送信中断判定部209に出力する。SRSドロップリソース情報は、セル固有情報とし、マクロセル内の全マクロ端末で共通の情報であってもよい。あるいは、SRSドロップリソース情報は端末固有情報としてもよい。SRSドロップリソースの設定方法については後述する。
【0087】
SRS情報決定部201によって生成されたSRS情報は、端末固有情報の場合はRRCレイヤの制御情報として、また、セル固有(全端末共通)情報の場合はシステム制御情報として、端末へ送信される。
【0088】
送信部211は、SRS情報決定部201から受け取ったSRS情報を、またはSRS情報が含まれた送信信号を送信する。なお、送信部211は、例えば、
図10(B)のように、送信処理部202および無線処理部203を有してもよい。
【0089】
送信処理部202では、SRS情報決定部201からのSRS情報を、所定の下り回線無線リソースにマッピングすることにより、送信信号を生成することができる。なお、マッピングする前に、SRS情報を符号化および/または変調してもよい。
【0090】
なお、送信信号がOFDM信号である場合には、変調信号を、所定の下り回線無線リソースにマッピングし、逆高速フーリエ変換(IFFT)処理を施して時間波形に変換し、CP(Cyclic Prefix)を付加することにより、OFDM信号を形成し、無線処理部203に出力する。
【0091】
無線処理部203は、送信信号に対して、必要に応じて無線送信処理を施し、所定の送信電力に電力増幅を行う。そして、無線処理部203は、アンテナ204を介して送信信号を送信する。無線送信処理としては、送信信号のアップコンバート、ディジタルアナログ(D/A)変換などが挙げられる。
【0092】
受信部210は、受信したSRSを、または受信した無線信号に含まれたSRSをチャネル推定部207へ出力する。なお、受信部210は、例えば、
図10(C)のように、無線処理部205および受信処理部206を有してもよい。
【0093】
無線処理部205においては、アンテナ204を介して受信した無線信号に対して、必要に応じて無線受信処理を施してもよい。無線受信処理としては、例えば、受信信号のダウンコンバート、アナログディジタル(A/D)変換などが挙げられる。
【0094】
受信処理部206においては、SRS情報決定部201からのSRS情報に基づいて、基地局で受信した端末からのSRSを抽出してもよい。
【0095】
送信中断判定部209は、マクロ端末(以下、単に端末ともいう)がSRS送信をドロップしたか否か、すなわちマクロ端末においてSRSドロップが適用されたか否かを判定し、判定結果をチャネル推定部207へ出力する。このSRSドロップ適用の判定は、SRS情報決定部201によって生成されたSRS情報に基づいて、または、受信部210から入力されるマクロ端末からの受信信号の特性情報に基づいて行う。
【0096】
例えば、SRS送信サブフレーム、SRS送信帯域、SRS送信帯域幅などをSRS情報として用いて、マクロ端末のSRS送信帯域幅と閾値との大小比較結果などによって、判定が行われる。受信信号の特性情報として、端末が基地局へ周期的に報告するパスロスレベル、パワーヘッドルーム(Power Head Room、端末の送信電力の余力)、下り回線参照信号の受信レベルなどが用いられる。
【0097】
本実施形態では、マクロ端末においてSRSドロップを実行するか否かのSRSドロップ実行判定を、端末自身で行う場合を例示する。これらのSRSドロップ適用判定及びSRSドロップ実行判定の判定方法については後述する。
【0098】
なお、SRSドロップ実行判定は、基地局側で主体的に行うことも可能である。基地局側でSRSドロップ実行判定を行う場合、送信中断判定部209は、送信中断情報として、端末においてSRSの送信をドロップさせるためのSRSドロップ情報を生成し、送信部211に出力する。送信部211は、SRSドロップ情報またはSRSドロップ情報が含まれた送信信号を送信する。
【0099】
なお、例えば、
図10(B)のように送信部211が送信処理部202を有する場合、送信処理部202は、SRSドロップ情報に対して、上述したSRS情報と同様に下り回線無線リソースへのマッピングなどの処理を行い、無線処理部203に出力する。
【0100】
チャネル推定部207は、受信部210からのSRSに対し、レプリカ信号と相関演算を行うことで基地局におけるチャネル推定値(SINR測定値)を算出し、スケジューリング部208へ出力する。
【0101】
この際、チャネル推定部207は、送信中断判定部209からの判定結果に基づいて、端末がSRS送信をドロップしたかどうかを判定する。端末がSRS送信をドロップしたと判定した場合、SRSドロップリソースのチャネル推定値を破棄する。チャネル推定部207は、該当リソースでのチャネル推定値は無効である旨をスケジューリング部208へ出力する。
【0102】
あるいは、端末がSRS送信をドロップしたと判定した場合、チャネル推定部207は、SRSドロップリソースでのチャネル推定を行わない。チャネル推定部207は、該当リソースでのチャネル推定は行わなかった旨をスケジューリング部208へ出力する。
【0103】
スケジューリング部208は、受信したSRSから求めたチャネル推定値をもとに、セル内の端末のスケジューリングを行う。スケジューリングとしては、データまたはSRSに対するリソースの割り当て、変調方式および/または符号化率の制御等が挙げられる。スケジューリング部208は、スケジューリングした情報をSRS情報決定部201へ出力する。
【0104】
なお、上記においては、送信中断判定部209を有するマクロセルの基地局について説明をした。しかしながら、送信中断判定部209を設けずに、
図5に示されるマクロセルの基地局においても同様に本実施形態を実現することが出来る。
【0105】
この場合、
図10(A)の送信中断判定部209によるマクロ端末がSRS送信をドロップしたか否か、すなわちマクロ端末においてSRSドロップが適用されたか否かの判定を、
図5のチャネル推定部107が行う。
【0106】
具体的には、チャネル推定部107におけるSRSドロップ適用判定は、SRS情報決定部201によって生成されたSRS情報に基づいて、または、受信部210から入力されるマクロ端末からの受信信号の特性情報に基づいて行う。例えば、SRS送信サブフレーム、SRS送信帯域、SRS送信帯域幅などをSRS情報として用いて、マクロ端末のSRS送信帯域幅と閾値との大小比較結果などによって、判定が行われる。受信信号の特性情報として、端末が基地局へ周期的に報告するパスロスレベル、パワーヘッドルーム、下り回線参照信号の受信レベルなどが用いられる。これらのSRSドロップ適用判定及びSRSドロップ実行判定の判定方法については後述する。
【0107】
チャネル推定部107は、端末がSRS送信をドロップしたと判定した場合、SRSドロップリソースのチャネル推定値を破棄する。そして、チャネル推定部107は、該当リソースでのチャネル推定値は無効である旨をスケジューリング部108へ出力する。
【0108】
あるいは、端末がSRS送信をドロップしたと判定した場合、チャネル推定部107は、SRSドロップリソースでのチャネル推定を行わない。チャネル推定部107は、該当リソースでのチャネル推定は行わなかった旨をスケジューリング部108へ出力する。
【0109】
なお、SRSドロップ実行判定は、基地局側で主体的に行うことも可能である。基地局側でSRSドロップ実行判定を行う場合、チャネル推定部107は、送信中断情報として、端末においてSRSの送信をドロップさせるためのSRSドロップ情報を生成し、送信部110に出力する。送信部110は、SRSドロップ情報をまたはSRSドロップ情報が含まれた送信信号を送信する。
【0110】
<端末の構成及び機能>
図11は、第2の実施形態に係るマクロ端末(送信装置)の主要部の構成を示すブロック図である。
【0111】
図11(A)において、上り回線において送信装置となるマクロ端末は、アンテナ252、受信部257、SRS生成部254、送信部255、及び参照信号送信制御部の一例に相当するSRS送信制御部256を有する。
【0112】
受信部257は、受信したSRS情報、または受信した無線信号に含まれたSRS情報(SRSドロップリソース情報を含む)をSRS生成部254及びSRS送信制御部256へ出力する。なお、受信部257は、例えば、
図11(B)のように、無線処理部251および受信処理部253を有してもよい。
【0113】
無線処理部251においては、アンテナ252を介して受信した無線信号に対して、必要に応じて無線受信処理を施してもよい。無線受信処理としては、受信信号のダウンコンバート、アナログディジタル(A/D)変換などが挙げられる。
【0114】
受信処理部253においては、受信信号に含まれるSRS情報を抽出し、SRSドロップリソース情報が含まれるSRS情報をSRS生成部254及びSRS送信制御部256へ出力することができる。
【0115】
SRS送信制御部256は、マクロ端末のSRS送信リソース(SRS送信帯域、SRS送信サブフレーム)がSRSドロップリソースと一致するか否か、さらにマクロ端末がSRSドロップを実行するか否かを判定する。SRSドロップ実行の判定は、基地局の送信中断判定部209でのSRSドロップ適用判定と同様の方法で行う。
【0116】
すなわち、SRS送信制御部256は、受信部257からのSRS情報に基づいて、または、受信部257から入力された基地局からの受信信号の特性情報に基づいて、SRSドロップ実行の判定を行う。SRSドロップ実行判定の判定方法については後述する。
【0117】
例えば、SRS送信制御部256は、SRS送信サブフレーム、SRS送信帯域、SRS送信帯域幅などをSRS情報として用い、端末のSRS送信帯域幅と閾値との大小比較結果などによって、SRSドロップ実行の判定を行う。受信信号の特性情報としては、端末と基地局間のパスロスレベル、パワーヘッドルーム(端末の送信電力の余力)、下り回線参照信号の受信レベルなどを用いる。
【0118】
SRS送信制御部256は、マクロ端末のSRS送信リソースがSRSドロップリソースと一致し、かつ、マクロ端末から他セルへ与える干渉が大きい(端末と基地局との間のパスロスが大きい状態の端末である)と判定した場合、SRSドロップの実行(端末でのSRSドロップの適用)を決定する。そして、SRS送信制御部256は、SRS送信を中断する(ドロップする)指示を送信部255へ出力する。一方、SRS送信制御部256は、SRSドロップを実行しない場合、SRSを通常通り送信する指示を送信部255へ出力する。
【0119】
SRS生成部254は、受信部257からのSRS情報に基づいて、所定のSRS用系列番号(系列番号、CS番号)を用いてSRSを生成する。そして、SRS生成部254は、生成したSRSを所定の上り回線無線リソース(SRS送信リソース)にマッピングすることにより、送信信号を生成する。
【0120】
なお、送信信号をOFDM信号として送信する場合には、SRS生成部254は、図示しない他のデータ信号などと共にSRSの送信信号にIFFT処理を施し、CPを付加して、CP付加後の信号を送信部255へ出力する。
【0121】
なお、SRS生成部254は、SRS送信制御部256からのSRSドロップの実行可否の指示に基づいて、SRSをドロップしない場合はSRSを生成し、ドロップする場合はSRSを生成しないようにしてもよい。
【0122】
あるいは、SRS生成部254は、SRSドロップの実行可否の指示に基づいて、SRSをドロップしない場合は生成したSRSをSRS送信リソースにマッピングし、ドロップする場合は生成したSRSをSRS送信リソースにマッピングしないようにしてもよい。
【0123】
送信部255において、SRS生成部254からのSRSを含んだ送信信号に対して、SRS送信サブフレームにおいて、必要に応じて無線送信処理を施してもよい。また、送信部255において、SRSを含んだ送信信号に対して、所定の送信電力に電力増幅を行う。無線送信処理としては、送信信号のアップコンバート、ディジタルアナログ(D/A)変換などが挙げられる。
【0124】
また、送信部255は、SRS送信制御部256からのSRSドロップの実行可否の指示に基づいて、SRSをドロップしない場合はSRSを送信し、SRSをドロップする場合はSRSを送信しないようにしてもよい。この場合、送信部255は、SRSを送信する場合は該当サブフレームにおいて所定の送信電力で出力し、SRSを送信しない場合は該当サブフレームにおいて送信電力を0にする。
【0125】
なお、SRS生成部254においてSRSドロップリソースに基づいてSRSを生成しない場合またはマッピングしない場合は、送信部255はそのまま送信信号を所定の送信電力にて送信すればよい。
【0126】
なお、上記においては、SRS送信制御部256を有するマクロセルの端末について説明をした。しかしながら、SRS送信制御部256を設けずに、
図6に示されるマクロセルの端末においても同様に本実施形態を実現することが出来る。
【0127】
この場合、
図11(A)のSRS送信制御部256による、マクロ端末のSRS送信リソース(SRS送信帯域、SRS送信サブフレーム)がSRSドロップリソースと一致するか否か、さらにマクロ端末がSRSドロップを実行するか否かの判定を、
図6の送信部155が行う。SRSドロップ実行の判定は、基地局の送信中断判定部209(またはチャネル推定部107)でのSRSドロップ適用判定と同様の方法にて行う。
【0128】
すなわち、送信部155は、受信部156からのSRS情報に基づいて、または、受信部156から入力された基地局からの受信信号の特性情報に基づいて、SRSドロップ実行の判定を行う。SRSドロップ実行判定の判定方法については後述する。
【0129】
例えば、送信部155は、SRS送信サブフレーム、SRS送信帯域、SRS送信帯域幅などをSRS情報として用い、端末のSRS送信帯域幅と閾値との大小比較結果などによって、SRSドロップ実行の判定を行う。受信信号の特性情報としては、端末と基地局間のパスロスレベル、パワーヘッドルーム(端末の送信電力の余力)、下り回線参照信号の受信レベルなどを用いる。
【0130】
送信部155は、マクロ端末のSRS送信リソースがSRSドロップリソースと一致し、かつ、マクロ端末から他セルへ与える干渉が大きい(端末と基地局との間のパスロスが大きい)状態の端末であると判定した場合、SRSドロップの実行(端末でのSRSドロップの適用)を決定する。そして、送信部155は、SRS送信を中断する(ドロップする)。一方、送信部155は、SRSドロップを実行しない場合、SRSを通常通り送信する。送信部155は、SRSドロップの実行可否をSRS生成部154へ出力する。
【0131】
SRS生成部154は、送信部155からのSRSドロップの実行可否の指示に基づいて、SRS送信をドロップしない場合はSRSを生成し、SRS送信をドロップする場合はSRSを生成しないようにしてもよい。
【0132】
あるいは、SRS生成部154は、SRSドロップの実行可否の指示に基づいて、SRS送信をドロップしない場合は生成したSRSをSRS送信リソースにマッピングし、SRS送信をドロップする場合は生成したSRSをSRS送信リソースにマッピングしないようにしてもよい。
【0133】
また、送信部155は、SRSを送信する(SRSドロップを実行しない)場合は該当サブフレームにおいて所定の送信電力で出力し、SRSを送信しない(SRSドロップを実行する)場合は該当サブフレームにおいて送信電力を0にする。
【0134】
SRS生成部154においてSRSドロップリソースに基づいてSRSを生成しない場合またはマッピングを行わない場合は、送信部155はそのまま送信信号を所定の送信電力にて送信すればよい。
【0135】
<SRSドロップの判定方法>
ここで、基地局の送信中断判定部209(またはチャネル推定部107)で行うSRSドロップ適用判定、及び、端末のSRS送信制御部256(または送信部155)で行うSRSドロップ実行判定に関する、SRSドロップの判定方法について説明する。
【0136】
本実施形態では、端末においてSRSドロップが適用されたか否か、あるいは端末においてSRSドロップを実行するか否かの判定は、SRS送信リソースがSRSドロップリソースに該当するか否かの判定に加えて、端末から他のセルへ与える干渉が大きい状態であるかの判定によって行う。
端末が与える干渉が大きい状態としては、端末と基地局との間のパスロスレベルが大きい場合、端末のパワーヘッドルームが小さい場合、下り回線参照信号の受信レベルが小さい場合、あるいは、端末がセルエッジ領域に位置するセルエッジ端末である場合などが相当する。このように、予め設定されたSRSドロップリソースに該当する場合であって、端末が周辺の他セルへ大きな干渉を与える状態の場合に、SRS送信を中断することにより、上り回線干渉を低減することができる。
【0137】
この際、端末は、SRSドロップ判定のために、マクロ端末が周辺ピコセルへ大きな干渉を与える端末(例えばセルエッジ端末)か、あるいは大きな干渉を与えない端末(例えばセルセンタ端末)かを、端末と基地局間で予め定めた判定基準を用いて判定する。予め判定基準を決めることで、基地局はマクロ端末がSRSドロップリソースでSRSをドロップしたか否かを正確に判断することができる。
【0138】
端末は、SRSドロップの判定基準として、例えば、基地局と端末間の距離が離れるほど大きくなるパスロスレベル、距離が離れるほど小さくなるパワーヘッドルーム、あるいは下り回線参照信号の受信レベルを用いる。具体的には、端末が測定したパスロスレベル(端末が周期的に基地局に報告する値)が、閾値を超えた(あるいは閾値以上)場合は、周辺ピコセルへ大きな干渉を与える端末と判断する。
【0139】
また、端末が測定したパワーヘッドルーム、あるいは下り回線参照信号の受信レベル(端末が周期的に基地局に報告する値)が、閾値を下回る(あるいは閾値以下)場合は、周辺ピコセルへ大きな干渉を与える端末と判断する。セルエッジ領域に位置する端末、パスロスレベルが閾値以上の端末、パワーヘッドルームあるいは下り回線参照信号の受信レベルが閾値以下の端末は、上り回線送信電力が大きいため、SRSドロップを適用することで、ピコセルに対しての上り回線干渉を抑制することができる。
【0140】
また、端末は、SRSドロップの判定基準として、例えば、端末のSRS送信帯域幅(予め基地局が端末に通知する値)を用いてもよい。セルエッジ端末は、最大送信電力の制約があるので、SRSの送信帯域幅を大きく設定できない。言い換えれば、チャネル推定精度の劣化を防止するために必要な送信電力密度を確保するため、セルエッジ端末には小さい値の送信帯域幅が設定される。よって、端末は、端末のSRS送信帯域幅が閾値を下回る場合は、周辺ピコセルへ大きな干渉を与えるセルエッジ端末であると判断する。
【0141】
ここで、上記判定に用いる閾値は、端末へ予め通知されているSRSドロップリソースの帯域幅(以下、SRSドロップ帯域幅)から導出してもよい。例えば、上述したようにセルエッジ端末のSRS送信帯域幅は小さいため、「(SRS送信帯域幅)≦(SRSドロップ帯域幅の合計値)」を満たす場合、端末は、セルエッジ端末と判断する。あるいは、「(SRS送信帯域幅)≦(1つのSRSドロップ帯域幅)」を満たす場合、端末は、セルエッジ端末と判断してもよい。
【0142】
判定基準にSRS送信帯域幅またはSRSドロップ帯域幅を用いることにより、通知済みのSRS送信帯域幅またはSRSドロップ帯域幅の情報を利用してSRSドロップを判定できるので、判定のための新たなシグナリングが必要ないというメリットがある。また、既知の端末のSRS送信帯域幅に基づき、端末はSRSドロップを適用するか否かを判定するので、基地局は端末がSRSをドロップするか否かを正確に判断できる。また、判定用の閾値を通知済みのSRSドロップ帯域から導出することで、判定のためのシグナリングを低減することができる。
【0143】
<SRSドロップの適用例>
ここで、第2の実施形態におけるSRSドロップの適用例として、SRSドロップリソースを用いて周波数領域ICICを行う場合の動作例を説明する。
【0144】
図12は、第2の実施形態における周波数領域のSRSドロップの適用例を示す図である。
図12の例は、
図1に示されたSRSの周波数ホッピングにおいて、予め設定されたSRSドロップ帯域(SRS送信中断帯域ともいう、SRS Drop BW)51を用いた場合である。
図12の例では、b
hop=0、b=3として周波数ホッピングを行いつつ、2つの非連続帯域のSRSドロップ帯域51が設定され、SRSドロップ帯域51に該当しない非連続帯域においてSRSが送信されている。
【0145】
端末は、SRS送信帯域がSRSドロップ帯域51に該当する場合、端末が与える干渉が大きいか否かを判定し、与える干渉が大きい場合、SRS送信を中断する。ここでは一例として、セルセンタ端末とセルエッジ端末とでSRS送信帯域幅が同じ帯域幅に設定されている場合に、端末がセルエッジ端末かセルセンタ端末かによってSRSドロップの実行の可否を判断する。
【0146】
図12に示されるように、セルセンタ端末(白抜きの狭帯域でのSRS送信)の場合は、端末は、SRSドロップ帯域51であってもSRS送信を中断せず、予め設定されたSRSパラメータによる通常のホッピングパターンにてSRS送信を行う。一方、セルエッジ端末(ドットの狭帯域でのSRS送信)の場合は、端末は、図中「×」で示されるように、SRSドロップ帯域51ではSRS送信を中断し、SRSドロップ帯域51を除く周波数帯域のみでSRS送信を行う。
【0147】
図13は、HetNet環境におけるSRSドロップの適用例を示す図であり、セルエッジ端末にてSRSドロップを適用した場合を示している。マクロ端末がセルエッジ端末11Aである場合、SRSドロップリソースにおいてSRSドロップを適用してSRS送信リソースを制限することによって、ピコセル20への上り回線干渉を低減することができる。また、マクロ端末がセルセンタ端末11Bである場合、ピコセル20への上り回線干渉は小さいため、SRSドロップリソースにおいてもSRSドロップを適用しないようにし、マクロセル10におけるスループットを確保することができる。
【0148】
このように、予め設定されたSRSドロップ帯域において、マクロ端末がSRSをドロップすることにより、ピコセルへの干渉を低減することができる。また、予め設定されたSRSドロップ帯域において、さらにSRSドロップを適用するか否かを端末ごとに判定し、端末が与える干渉が大きい状態でありSRSドロップを適用すると判定したマクロ端末は、SRSをドロップする。一方、端末が与える干渉が小さい状態でありSRSドロップを適用しないと判定したマクロ端末は、SRSを送信する。これにより、ピコセルへの干渉を低減しつつ、マクロセルでのスループット低下を防止することができる。
【0149】
<SRSドロップ帯域の通知方法>
周波数領域ICICを行う場合に、基地局のSRS情報決定部201にて行うSRSドロップ帯域の通知方法について説明する。
図14は、SRSドロップ帯域の通知方法の一例を示す図である。
【0150】
SRSドロップ帯域は、セル内の基地局によって設定された、端末が利用可能なSRS送信帯域の位置を示すビットシーケンスで表すことができる。例えば、SRS送信帯域(4つのSRS BW:b=0〜3)のそれぞれに対応して、各SRS送信帯域をSRSドロップ帯域とするか否かを0,1のビットで示すことにより、SRSドロップ帯域が通知可能である。
図14の例では、SRS BW:b=2としたSRS送信帯域の割り当て単位で、SRSドロップ帯域はビットマップ形式で通知される。つまり、SRSドロップ帯域は、4つのSRS送信帯域のそれぞれについて、SRSドロップ帯域とするか否かを、例えば0,1,0,1のようにビットシーケンスにより通知される。
【0151】
従来、非連続帯域にSRSを周波数ホッピングさせるためには、SRSパラメータを変更するため、1送信当たり24ビットのシグナリングが必要であった。これに対し、
図14の通知方法の場合、SRSドロップ帯域を示す情報はSRSパラメータに4ビットを追加するだけとなり、シグナリング量を低減することができる。さらに、SRSドロップ帯域を示す情報をセル固有(全端末共通)情報とすることで、さらにシグナリング量を低減することができ、スループット低下を防止することが出来る。
【0152】
さらに、SRS送信帯域幅は、各セルのシステム帯域幅、接続端末数等の環境によって、所定の固定幅または可変幅の適切な値が設定される。システム帯域幅が大きい場合には大きなSRS送信帯域幅を設定し、システム帯域幅が小さい場合にはより小さいSRS送信帯域幅を設定することができる。したがって、SRS送信帯域幅を用いたセルに適した設定、すなわちSRS送信帯域幅によって異なるビットシーケンスの長さで、セルごとにSRSドロップ帯域幅の設定ができる。ここで、システム帯域幅が広帯域の場合はSRS送信帯域幅が大きくなるので、ビットシーケンスの長さが抑えられ、SRSドロップ帯域の通知用のシグナリング量をより少なくすることができる。
【0153】
このように、SRSドロップ帯域をビットシーケンスにて通知することで、送信中断リソースの通知を少ないシグナリング量で行え、オーバヘッドの増加を抑制することができる。また、各セルに適したSRSドロップ帯域を容易に設定することができる。
【0154】
<基地局及び端末の動作>
次に、第2の実施形態におけるSRS送受信に関する基地局及び端末の動作を説明する。
図15は、第2の実施形態に係るマクロ端末のSRS送信動作を示すフローチャートである。
図16は、第2の実施形態に係るマクロセルの基地局のSRS受信動作を示すフローチャートである。
【0155】
図11の場合、
図15においてSRS送信処理を開始すると(ステップS31)、SRS送信制御部256は、SRS情報に基づき、SRSを送信するリソースがSRS送信中断リソース(SRSドロップリソース)に該当するか否かを判断する(ステップS32)。
【0156】
ここで、SRS送信中断リソースに該当する場合、SRS送信制御部256は、マクロ端末から他セルへ与える干渉が大きいか否かを判断する(ステップS33)。上述したように、端末と基地局間のパスロスレベルが大きい場合など、与える干渉が大きいと判断した場合、SRS送信制御部256は送信部255へSRS送信中断の指示を行い、SRS送信が停止される(ステップS34)。SRS送信を停止する場合、送信部255はSRSの送信電力を0とし、SRSを送信しないようにする。
【0157】
なお、SRS送信制御部256からの指示に基づき、SRS生成部254はSRSの生成またはSRSのリソースへのマッピングを停止することで、SRS送信を停止してもよい。
【0158】
一方、ステップS32にてSRSを送信するリソースがSRSドロップリソースに該当しない場合、及び、ステップS33にてマクロ端末から他セルへ与える干渉が大きくない場合は、SRS送信が行われる(ステップS35)。この場合、SRS送信制御部256からの指示に基づき、SRS生成部254はSRSを生成して上り回線無線リソースにマッピングし、送信部255はSRSの送信信号を所定の送信電力にて出力することで、マクロセルの基地局へSRSが送信される。
【0159】
図6の場合、
図15においてSRS送信処理を開始すると(ステップS31)、送信部155は、SRS情報に基づき、SRSを送信するリソースがSRS送信中断リソース(SRSドロップリソース)に該当するか否かを判断する(ステップS32)。
【0160】
ここで、SRS送信中断リソースに該当する場合、送信部155は、マクロ端末から他セルへ与える干渉が大きいか否かを判断する(ステップS33)。上述したように、端末と基地局間のパスロスレベルが大きい場合など、与える干渉が大きいと判断した場合、SRS送信が停止される(ステップS34)。SRS送信を停止する場合、送信部155はSRSの送信電力を0とし、SRSを送信しないようにする。
【0161】
なお、送信部155からの指示に基づき、SRS生成部154はSRSの生成またはSRSのリソースへのマッピングを停止することで、SRS送信を停止してもよい。
【0162】
一方、ステップS32にてSRSを送信するリソースがSRSドロップリソースに該当しない場合、及び、ステップS33にてマクロ端末から他セルへ与える干渉が大きくない場合は、SRS送信が行われる(ステップS35)。この場合、送信部155からの指示に基づき、SRS生成部154はSRSを生成して上り回線無線リソースにマッピングし、送信部155はSRSの送信信号を所定の送信電力にて出力することで、マクロセルの基地局へSRSが送信される。
【0163】
図10の場合、
図16において、受信部210は、マクロ端末からのSRSの受信処理を行う(ステップS41)。そして、送信中断判定部209は、SRS情報または受信信号の特性情報に基づき、端末(マクロ端末)においてSRS送信中断が適用されてSRSが未送信であるか否かを判断する(ステップS42)。
【0164】
ここで、端末においてSRS送信中断が適用されていると判断された場合、送信中断判定部209はチャネル推定部207へチャネル推定停止の指示を行い、チャネル推定部207は、チャネル推定を停止する(ステップS43)。そして、チャネル推定部207は、SRS送信中断が適用されていると判断された該当リソースでのチャネル推定処理を実行せず、その旨をスケジューリング部208へ出力する。あるいは、チャネル推定部207は、SRS送信中断が適用されていると判断された該当リソースでのチャネル推定値を破棄し、そのチャネル推定値は無効である旨をスケジューリング部208へ出力する。
【0165】
一方、ステップS42にて端末においてSRS送信中断が適用されず、SRSが送信されたと判断された場合、チャネル推定部207はチャネル推定を実行する(ステップS44)。そして、チャネル推定部207は、受信したSRSを用いて、基地局におけるチャネル推定値(例えば、SINR測定値)を算出し、スケジューリング部208へ出力する。
【0166】
図5の場合、
図16において、受信部109は、マクロ端末からのSRSの受信処理を行う(ステップS41)。そして、チャネル推定部107は、SRS情報または受信信号の特性情報に基づき、端末(マクロ端末)においてSRS送信中断が適用されてSRSが未送信であるか否かを判断する(ステップS42)。
【0167】
ここで、端末においてSRS送信中断が適用されていると判断された場合、チャネル推定部107は、チャネル推定を停止する(ステップS43)。そして、チャネル推定部107は、SRS送信中断が適用されていると判断された該当リソースでのチャネル推定処理を実行せず、その旨をスケジューリング部108へ出力する。あるいは、チャネル推定部107は、SRS送信中断が適用されていると判断された該当リソースでのチャネル推定値を破棄し、そのチャネル推定値は無効である旨をスケジューリング部108へ出力する。
【0168】
一方、ステップS42にて端末においてSRS送信中断が適用されず、SRSが送信されたと判断された場合、チャネル推定部107はチャネル推定を実行する(ステップS44)。そして、チャネル推定部107は、受信したSRSを用いて、基地局におけるチャネル推定値(例えば、SINR測定値)を算出し、スケジューリング部108へ出力する。
【0169】
第2の実施形態では、SRSドロップリソースにおいて、セルエッジ領域に位置する等の判定結果により干渉源となるマクロ端末はSRSを送信しないので、周辺ピコセルへの上り回線干渉が低減できる。また、SRSドロップ帯域を非連続帯域または連続帯域に設定することによって、SRS送信帯域を非連続帯域に設定可能となり、少ないシグナリングにより非連続帯域でSRSを周波数ホッピングさせることができる。
【0170】
SRSドロップリソース情報は、さらにセル固有(全端末共通)情報とすることで、全端末にSRSドロップリソース情報を送信する(端末固有情報とする)場合に比べて、さらに下り回線のシグナリング量を少なくすることができる。あるいは、SRSドロップリソース情報は、端末固有情報とすることで、各端末に最適なSRSドロップリソースを設定できるので、ICICによるシステム性能改善効果をより向上させることができる。
【0171】
また、セルセンタ領域に位置する等の判定結果により、周辺ピコセルへの干渉源とはならないマクロ端末は、SRSドロップリソースにおいても通常通りにSRSを送信するため、マクロセルのスループットの劣化を防止することができる。
【0172】
さらに、
図12、
図14に示されるように、セルセンタ端末とセルエッジ端末に対し、同じ送信サブフレームを適用してもそれらのSRS送信帯域は衝突しないようにスケジューリングすることができる。よって、SRS送信時に送信サブフレームを分ける必要がないため、SRS送信リソースの消費を抑えることができる。
【0173】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、第1の実施形態または第2の実施形態の変形例であり、SRS送信中断リソースを用いて周波数領域ICICを行う場合の端末の動作が異なる。
【0174】
周波数領域ICICを行う場合、第1の実施形態では、あるSRS送信サブフレームにおけるSRS送信帯域がSRSドロップ帯域と一致した場合に、あるいは、第2の実施形態では、あるSRS送信サブフレームにおけるSRS送信帯域がSRSドロップ帯域と一致しかつ端末が与える干渉が大きい場合に、端末はSRSを送信しない。一方、第3の実施形態では、あるSRS送信サブフレームにおけるSRS送信帯域がSRSドロップ帯域と一致した場合、SRSドロップ動作として、SRS送信帯域を変更してSRSを送信する。
【0175】
この場合、次のSRS送信サブフレーム以降にマッピングされる帯域であって、かつSRSドロップ帯域と一致しない帯域をSRS送信帯域とし、SRS送信帯域がSRSドロップ帯域と一致したと判定したときの当該SRS送信サブフレームにおいてSRSを送信する。すなわち、所定のホッピングパターンにて周波数ホッピングを行いながら、所定のサブフレームにおいて順次SRSを送信する場合、以降のサブフレームにて周波数ホッピングするSRS送信帯域であって、SRSドロップ帯域と一致しない次の周波数ホッピング先のSRS送信帯域において、SRSを送信する。
【0176】
<基地局の構成及び機能>
マクロセルの基地局(受信装置)の構成は、
図5に示された第1の実施形態あるいは
図10に示された第2の実施形態と同様である。第3の実施形態は、チャネル推定部の動作が異なる。
【0177】
図5において、チャネル推定部107は、端末がSRS送信をドロップしたと判定した場合、SRSドロップリソースのチャネル推定値を破棄する。この場合、チャネル推定部107は、SRS情報に基づき、次のSRS送信サブフレーム以降にマッピング予定の、SRSドロップ帯域と一致しない帯域がSRS送信帯域であるとみなし、この周波数帯域のチャネル推定値を算出する。そして、チャネル推定部107は算出したチャネル推定値をスケジューリング部108へ出力する。
【0178】
あるいは、
図10において、チャネル推定部207は、送信中断判定部209からの判定結果に基づいて、端末がSRS送信をドロップしたと判定された場合、SRSドロップリソースのチャネル推定値を破棄する。この場合、チャネル推定部207は、SRS情報に基づき、次のSRS送信サブフレーム以降にマッピング予定の、SRSドロップ帯域と一致しない帯域がSRS送信帯域であるとみなし、この周波数帯域のチャネル推定値を算出する。そして、チャネル推定部207は算出したチャネル推定値をスケジューリング部208へ出力する。
【0179】
<端末の構成及び機能>
図17は、第3の実施形態に係るマクロ端末(送信装置)の主要部の構成を示すブロック図である。
図17(A)において、第3の実施形態のマクロ端末は、
図11に示された第2の実施形態と比べて、SRS送信制御部356、SRS生成部354、及び送信部355の動作が異なる。第2の実施形態と同様の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0180】
SRS送信制御部356は、マクロ端末のSRS送信リソース(SRS送信帯域、SRS送信サブフレーム)がSRSドロップリソースと一致するか否か、あるいは、さらにマクロ端末がSRSドロップを適用するか否かを判定してSRSドロップの実行可否を決定する。なお、SRSドロップ実行判定の判定方法は、第1の実施形態または第2の実施形態と同様である。
【0181】
SRS送信制御部356は、マクロ端末のSRS送信リソースがSRSドロップリソースと一致すると判定した場合(第1の実施形態における判定に相当)、あるいは、マクロ端末のSRS送信リソースがSRSドロップリソースと一致しかつマクロ端末から他セルへ与える干渉が大きい(端末と基地局との間のパスロスが大きい)状態の端末であると判定した場合(第2の実施形態における判定に相当)、SRSドロップの実行(端末でのSRSドロップの適用)を決定し、SRS送信帯域を変更する。
【0182】
この際、SRS送信制御部356は、SRS生成部354に指示を送り、SRSドロップ帯域ではない帯域にてSRSが送信される。例えば、SRSドロップ帯域と一致しない次の周波数ホッピング先のSRS送信帯域において、SRSが送信される。
【0183】
一方、SRS送信制御部356は、マクロ端末のSRS送信リソースがSRSドロップリソースと一致しないと判定した場合(第1の実施形態における判定に相当)、あるいは、マクロ端末のSRS送信リソースがSRSドロップリソースと一致しないまたはマクロ端末から他セルへ与える干渉が大きい(端末と基地局との間のパスロスが大きい)状態の端末ではないと判定した場合(第2の実施形態における判定に相当)SRSドロップを実行しないと決定し、SRSを通常通りのSRS送信帯域で送信するように、SRS生成部354へ指示する。
【0184】
SRS生成部354は、受信部257からのSRS情報と、SRS送信制御部356からの指示とに基づいて、所定のSRS用系列番号(系列番号、CS番号)を用いてSRSを生成する。そして、SRS生成部354は、生成したSRSを所定の上り回線無線リソース(SRS送信リソース)にマッピングすることにより、送信信号を生成する。
【0185】
この際、SRS生成部354は、SRSドロップを実行する場合、SRSドロップ帯域でない次の周波数ホッピング先のSRS送信帯域にSRSをマッピングして、送信信号を生成する。なお、送信信号をOFDM信号として送信する場合には、SRS生成部354は、図示しない他のデータ信号などと共にSRSの送信信号にIFFT処理を施し、CPを付加して、CP付加後の信号を送信部355へ出力する。
【0186】
送信部355は、SRS生成部354からのSRSを含んだ送信信号に対して、必要に応じてSRS送信サブフレームにおいて無線送信処理を施してもよい。また、送信部355は、SRSを含んだ送信信号に対して、所定の送信電力に電力増幅を行ってアンテナ252を介して送信する。
【0187】
なお、本実施形態のマクロ端末は、第2の実施形態と同様に、
図6に示された第1の実施の形態のマクロ端末によって実現することも可能である。以下に、この場合について説明する。
【0188】
送信部155は、マクロ端末のSRS送信リソース(SRS送信帯域、SRS送信サブフレーム)がSRSドロップリソースと一致するか否か、あるいは、さらにマクロ端末がSRSドロップを適用するか否かを判定してSRSドロップの実行可否を決定する。なお、SRSドロップ実行判定の判定方法は、第1の実施形態または第2の実施形態と同様である。
【0189】
送信部155は、マクロ端末のSRS送信リソースがSRSドロップリソースと一致すると判定した場合(第1の実施形態における判定に相当)、あるいは、マクロ端末のSRS送信リソースがSRSドロップリソースと一致しかつマクロ端末から他セルへ与える干渉が大きい(端末と基地局との間のパスロスが大きい)状態の端末であると判定した場合(第2の実施形態における判定に相当)、SRSドロップの実行(端末でのSRSドロップの適用)を決定し、SRS送信帯域を変更する。この際、送信部155は、SRS生成部154に指示を送り、SRSドロップ帯域ではない帯域にてSRSが送信される。例えば、SRSドロップ帯域と一致しない次の周波数ホッピング先のSRS送信帯域において、SRSが送信される。
【0190】
一方、送信部155は、マクロ端末のSRS送信リソースがSRSドロップリソースと一致しないと判定した場合(第1の実施形態における判定に相当)、あるいは、マクロ端末のSRS送信リソースがSRSドロップリソースと一致しないまたはマクロ端末から他セルへ与える干渉が大きい(端末と基地局との間のパスロスが大きい)状態の端末ではないと判定した場合(第2の実施形態における判定に相当)SRSドロップを実行しないと決定し、SRSを通常通りのSRS送信帯域で送信するように、SRS生成部154へ指示する。
【0191】
SRS生成部154は、受信部156からのSRS情報と、送信部155からの指示とに基づいて、所定のSRS用系列番号(系列番号、CS番号)を用いてSRSを生成する。そして、SRS生成部154は、生成したSRSを所定の上り回線無線リソース(SRS送信リソース)にマッピングすることにより、送信信号を生成する。
【0192】
この際、SRS生成部154は、SRSドロップを実行する場合、SRSドロップ帯域でない次の周波数ホッピング先のSRS送信帯域にSRSをマッピングして、送信信号を生成する。なお、送信信号をOFDM信号として送信する場合には、SRS生成部154は、図示しない他のデータ信号などと共にSRSの送信信号にIFFT処理を施し、CPを付加して、CP付加後の信号を送信部155へ出力する。
【0193】
送信部155は、SRS生成部154からのSRSを含んだ送信信号に対して、必要に応じてSRS送信サブフレームにおいて無線送信処理を施してもよい。また、送信部155は、SRSを含んだ送信信号に対して、所定の送信電力に電力増幅を行ってアンテナ152を介して送信する。
【0194】
<SRSドロップの適用例>
ここで、第3の実施形態におけるSRSドロップの適用例として、端末におけるSRSドロップ帯域に対する動作例を説明する。
【0195】
図18は、第3の実施形態における周波数領域のSRSドロップの適用例を示す図である。
図18の例は、
図1に示されたSRSの周波数ホッピングにおいて、予め設定されたSRSドロップ帯域(SRS送信中断帯域ともいう、SRS Drop BW)51を用いた場合である。
図18の例では、b
hop=0、b=3として周波数ホッピングを行いつつ、2つの非連続帯域のSRSドロップ帯域51が設定され、SRSドロップ帯域51では次のSRSドロップ帯域以外の周波数ホッピング先の帯域にSRS送信帯域を変更してSRSが送信されている。
【0196】
これにより、SRSドロップ帯域51に該当しない非連続帯域においてSRSが送信可能である。
図18(A)はSRSドロップを適用しない通常の周波数ホッピングパターンを示し、
図18(B)はSRSドロップを適用した場合の周波数ホッピングパターンを示している。
【0197】
端末は、SRS送信帯域がSRSドロップ帯域51に該当する場合(第1の実施形態に相当)、あるいは、SRSドロップ帯域51に該当しかつ端末が与える干渉が大きい場合(第2の実施形態に相当)、SRSドロップ帯域51でのSRS送信を中断する。ここでは一例として、端末がセルエッジ端末かセルセンタ端末かによってSRSドロップの実行の可否を判断する。
【0198】
図18(B)に示されるように、セルエッジ端末の場合、端末は、SRSドロップ帯域51ではSRS送信帯域を変更し、次の周波数ホッピング先の帯域であってSRSドロップ帯域51ではないSRS送信帯域でSRSを送信する。すなわち、端末は、
図18(A)において「×」で示される周波数ホッピングの帯域ではSRSを送信しない代わりに、SRSドロップ帯域51ではない次の周波数ホッピング先の帯域においてSRSを送信する。
【0199】
このように、端末は、マクロ端末が予め設定されたSRSドロップ帯域においてはSRSをドロップし、SRSドロップ帯域とは異なる他のSRS送信帯域にてSRSを送信することにより、ピコセルへの干渉を低減することができる。また、SRSドロップを適用した場合にも他のSRS送信帯域にてSRSを送信するため、SRSを送信しない時間帯(サブフレーム)がなくなることによってSRS送信周期が変わらない。その結果、基地局においてSRSが送信されないことによるチャネル推定の中断が発生せず、より精度が高いチャネル推定が可能になるため、リンクアダプテーション(リソース割り当て、符号化率制御など)がより適切に行われる。
【0200】
<基地局及び端末の動作>
次に、第3の実施形態におけるSRS送受信に関する基地局及び端末の動作を説明する。
図19は、第3の実施形態に係るマクロ端末のSRS送信動作を示すフローチャートである。
図20は、第3の実施形態に係るマクロセルの基地局のSRS受信動作を示すフローチャートである。
【0201】
図17の場合、
図19においてSRS送信処理を開始すると(ステップS51)、SRS送信制御部356は、SRS情報に基づき、SRSを送信するリソースがSRS送信中断リソース(SRSドロップリソース)に該当するか否かを判断する(ステップS52)。ここで、SRS送信中断リソースに該当する場合、SRS送信制御部356は、マクロ端末から他セルへ与える干渉が大きいか否かを判断する(ステップS53)。
【0202】
第2の実施形態において説明したように、端末と基地局間のパスロスレベルが大きい場合など、与える干渉が大きいと判断した場合、SRS送信制御部356はSRS生成部354へSRS送信中断の指示を行い、SRS送信中断リソース(SRSドロップ帯域)ではない帯域にてSRSが送信される(ステップS54)。
【0203】
なお、第1の実施形態において説明したように、ステップS52においてSRS送信中断リソースに該当すると判断された場合、ステップS53の判断をスキップし、SRS送信制御部356はSRS生成部354へSRS送信中断の指示を行い、SRS送信中断リソースではない帯域にてSRSが送信されるステップS54の処理に移行してもよい。
【0204】
ここでは、SRS送信中断リソースと一致しない次の周波数ホッピング先のSRS送信帯域において、SRSが送信される。この場合、SRS生成部354はSRSを生成して、SRS送信中断リソース以外の帯域の上り回線無線リソースに生成されたSRSをマッピングし、送信部355はSRSの送信信号を所定の送信電力にてマクロセルの基地局へ送信する。
【0205】
一方、ステップS52にてSRSを送信するリソースがSRS送信中断リソースに該当しない場合、または、ステップS53にてマクロ端末から他セルへ与える干渉が大きくない場合は、そのままの(予め設定された)SRS送信帯域にてSRS送信が行われる(ステップS55)。この場合、SRS送信制御部356からの指示に基づき、SRS生成部354はSRSを生成して、該当SRS送信帯域の上り回線無線リソースに生成されたSRSをマッピングし、送信部355はSRSの送信信号を所定の送信電力にてマクロセルの基地局へ送信する。
【0206】
図6の場合、
図19においてSRS送信処理を開始すると(ステップS51)、送信部155は、SRS情報に基づき、SRSを送信するリソースがSRS送信中断リソース(SRSドロップリソース)に該当するか否かを判断する(ステップS52)。ここで、SRS送信中断リソースに該当する場合、送信部155は、マクロ端末から他セルへ与える干渉が大きいか否かを判断する(ステップS53)。
【0207】
第2の実施形態において説明したように、端末と基地局間のパスロスレベルが大きい場合など、与える干渉が大きいと判断した場合、送信部155はSRS生成部154へSRS送信中断の指示を行い、SRS送信中断リソース(SRSドロップ帯域)ではない帯域にてSRSが送信される(ステップS54)。
【0208】
なお、第1の実施形態において説明したように、ステップS52においてSRS送信中断リソースに該当すると判断された場合、ステップS53の判断をスキップし、送信部155はSRS生成部154へSRS送信中断の指示を行い、SRS送信中断リソースではない帯域にてSRSが送信されるステップS54の処理に移行してもよい。
【0209】
ここでは、SRS送信中断リソースと一致しない次の周波数ホッピング先のSRS送信帯域において、SRSが送信される。この場合、SRS生成部154はSRSを生成して、SRS送信中断リソース以外の帯域の上り回線無線リソースに生成されたSRSをマッピングし、送信部155はSRSの送信信号を所定の送信電力にてマクロセルの基地局へ送信する。
【0210】
一方、ステップS52にてSRSを送信するリソースがSRS送信中断リソースに該当しない場合、または、ステップS53にてマクロ端末から他セルへ与える干渉が大きくない場合は、そのままの(予め設定された)SRS送信帯域にてSRS送信が行われる(ステップS55)。この場合、送信部155からの指示に基づき、SRS生成部154はSRSを生成して、該当SRS送信帯域の上り回線無線リソースに生成されたSRSをマッピングし、送信部155はSRSの送信信号を所定の送信電力にてマクロセルの基地局へ送信する。
【0211】
図5の場合、
図20において、受信部109は、マクロ端末からのSRSの受信処理を行う(ステップS61)。そして、チャネル推定部107は、SRS情報または受信信号の特性情報に基づき、端末(マクロ端末)においてSRS送信中断が適用されているか否かを判断する(ステップS62)。ここで、SRS送信中断が適用されていると判断された場合、チャネル推定部107は、SRS送信中断リソース(SRSドロップ帯域)ではない次の周波数ホッピング先の帯域でのチャネル推定を実行する(ステップS63)。そして、チャネル推定部107は、SRS送信中断リソースではない該当周波数帯域におけるチャネル推定値を算出し、スケジューリング部108へ出力する。
【0212】
一方、ステップS62にて端末においてSRS送信中断が適用されていないと判断された場合、チャネル推定部107はそのままの(予め設定された)SRS送信帯域でチャネル推定を実行する(ステップS64)。そして、チャネル推定部107は、該当SRS送信帯域におけるチャネル推定値を算出し、スケジューリング部108へ出力する。
【0213】
図10の場合、
図20において、受信部210は、マクロ端末からのSRSの受信処理を行う(ステップS61)。そして、送信中断判定部209は、SRS情報または受信信号の特性情報に基づき、端末(マクロ端末)においてSRS送信中断が適用されているか否かを判断する(ステップS62)。ここで、SRS送信中断が適用されていると判断された場合、送信中断判定部209はチャネル推定部207へ指示を行い、チャネル推定部207は、SRS送信中断リソース(SRSドロップ帯域)ではない次の周波数ホッピング先の帯域でのチャネル推定を実行する(ステップS63)。そして、チャネル推定部207は、SRS送信中断リソースではない該当周波数帯域におけるチャネル推定値を算出し、スケジューリング部208へ出力する。
【0214】
一方、ステップS62にて端末においてSRS送信中断が適用されていないと判断された場合、チャネル推定部207はそのままの(予め設定された)SRS送信帯域でチャネル推定を実行する(ステップS64)。そして、チャネル推定部207は、該当SRS送信帯域におけるチャネル推定値を算出し、スケジューリング部208へ出力する。
【0215】
第3の実施形態では、SRSドロップを適用する端末において、SRS送信帯域がSRSドロップ帯域と一致する場合、あるいは、マクロ端末のSRS送信リソースがSRSドロップリソースと一致しかつマクロ端末から他セルへ与える干渉が大きい(端末と基地局との間のパスロスが大きい状態の端末である)と判定した場合、次のSRS送信サブフレーム以降にマッピングされる帯域であって、かつSRSドロップ帯域と一致しない帯域にてSRSが送信される。
【0216】
これにより、SRS送信を中断するサブフレームが減少するため、SRS送信レート(SRS送信周期)が変わらない。また、SRS送信が中断するサブフレームが減少するために、基地局においては精度のよいチャネル推定値が得られ、SRSを用いたリンクアダプテーションが適切に行われる。
【0217】
(第4の実施形態)
HetNet環境における上り回線干渉対策の第2例として、マクロ端末が送信するSRSにおいて、時間領域ICICを適用する場合を説明する。
【0218】
ICICを行う際の送信リソースの設定パターンの制約を解消する方法として、時間領域ICICにおいては、例えば次のような方法が挙げられる。
【0219】
図21は、SRS送信における時間領域ICICの適用例を示した図である。この例では、下り回線ABSから4サブフレーム後を上り回線ABSと見なして、上り回線の時間領域ICICが行えることに着眼している。
【0220】
下り回線ABSでは下り回線信号を送信できないため、基地局が上り回線データ信号(PUSCH)の送信のためのスケジューリング制御信号(UL Grant)を、端末へ送信できない。LTEでは、端末がUL Grantを受信した4サブフレーム後に、端末から基地局へPUSCHを送信することが仕様化されている。よって、マクロセルにおいて、UL Grantが送信されない下り回線ABSから4サブフレーム後はマクロ端末によってPUSCHの送信が行われず、ピコセルへ与える干渉が小さくなる。
【0221】
そこで、ピコセルでは、下り回線ABSから4サブフレーム後に上り回線干渉が小さくなることを予想して、そのサブフレームでは、ピコセルのPUSCHを高レートで送信することでスループットを向上させることができる。つまり、下り回線ABSから4サブフレーム後のサブフレームを、上り回線ABSと見なして、ピコセルが利用できる。
【0222】
しかしながら、マクロ端末のSRS送信は、UL Grantによってトリガーされず、下り回線ABSから4サブフレーム後(以下、上り回線ABSという)においても、予め決められた送信タイミングにおいてSRSが送信される可能性がある。よって、ピコセルの基地局が上り回線ABSにおけるマクロ端末のSRS送信の有無を把握していない場合、ピコセルにおける上り回線ABSの干渉レベルを正確に推定することができない。このため、ピコセルにおけるPUSCHのリンクアダプテーションが適切に動作せず、ICICによるピコセルのスループットの改善効果が低下してしまうことがある。
【0223】
図21では、マクロセルの下り回線ABSを3サブフレーム周期に設定し、マクロ端末のSRS送信周期を2サブフレーム周期に設定した場合の例が示されている。ピコセルの基地局は、下り回線ABSから4サブフレーム後をマクロセルからの干渉が少ない上り回線ABSと見なし、この上り回線ABSでピコセルのPUSCHを高レートでスケジューリングする。しかし、図中に示されるように上り回線ABSにおいてもマクロ端末からSRSが送信される場合があるので、マクロ端末がピコセルのPUSCHに大きな干渉を与えてしまう。
【0224】
第4の実施形態は、SRS送信中断リソースを用いて時間領域ICICを行う場合の動作例を示す。本実施形態では、SRSドロップリソースとして時間領域の所定のサブフレームを設定する。
【0225】
<基地局の構成及び機能>
マクロセルの基地局(受信装置)の構成は、
図5に示された構成あるいは
図10に示された構成と同様である。第4の実施形態は、SRS情報決定部201(またはSRS情報決定部101)の動作が異なる。
【0226】
SRS情報決定部201(またはSRS情報決定部101)は、SRS情報の一つとして、SRS送信を中断するSRSドロップリソースを決定する。ここで、SRS情報決定部201(またはSRS情報決定部101)は、SRSドロップリソースを、下り回線ABSから4サブフレーム後のサブフレームとして設定する。
【0227】
<端末の構成及び機能>
マクロ端末(送信装置)の構成は、
図11に示された第2の実施形態と同様である。第4の実施形態は、SRS送信制御部256の動作が異なる。
【0228】
SRS送信制御部256は、SRSドロップリソースである、下り回線ABSから4サブフレーム後のサブフレームを判定し、第2の実施形態と同様の動作を行う。この場合、SRS送信制御部256は、マクロ端末のSRS送信サブフレームがSRSドロップリソース(下り回線ABSから4サブフレーム後)と一致するか否かを判定し、SRSドロップの実行可否を決定する(第1の実施形態における判定に相当)。
【0229】
あるいは、SRS送信制御部256は、マクロ端末のSRS送信サブフレームがSRSドロップリソース(下り回線ABSから4サブフレーム後)と一致すると判定し、さらにマクロ端末が与える干渉が大きいと判定した場合(第2の実施形態における判定に相当)に、SRSドロップの実行を決定する。
【0230】
SRSドロップの実行(端末でのSRSドロップの適用)を決定した場合、SRS送信制御部256は、SRS送信を中断する(ドロップする)指示を送信部255へ出力する。一方、SRS送信制御部256は、SRSドロップを実行しない場合、SRSを通常通り送信する指示を送信部255へ出力する。
【0231】
なお、SRS生成部254は、SRS送信制御部256からのSRSドロップの実行可否の指示に基づいて、SRS送信をドロップしない場合はSRSを生成し、ドロップする場合はSRSを生成しないようにしてもよい。あるいは、SRS生成部254は、SRS送信制御部256からのSRS送信ドロップの実行可否の指示に基づいて、SRSをドロップしない場合は生成したSRSをSRS送信リソースにマッピングし、ドロップする場合は生成したSRSをSRS送信リソースにマッピングしないようにしてもよい。
【0232】
また、マクロ端末(送信装置)の構成は、第2の実施形態および第3の実施形態と同様に、
図6に示された第1の実施形態におけるマクロ端末と同様の構成でも実現することが出来る。この場合について、以下に説明する。
【0233】
送信部155は、SRSドロップリソースである、下り回線ABSから4サブフレーム後のサブフレームを判定し、マクロ端末のSRS送信サブフレームがSRSドロップリソース(下り回線ABSから4サブフレーム後)と一致するか否かを判定し、SRSドロップの実行可否を決定する(第1の実施形態における判定に相当)。
【0234】
あるいは、送信部155は、マクロ端末のSRS送信サブフレームがSRSドロップリソース(下り回線ABSから4サブフレーム後)と一致すると判定し、さらにマクロ端末が与える干渉が大きいと判定した場合(第2の実施形態における判定に相当)に、SRSドロップの実行を決定する。
【0235】
SRSドロップの実行(端末でのSRSドロップの適用)を決定した場合、送信部155は、SRS送信を中断する(ドロップする)。一方、送信部155は、SRSドロップを実行しない場合、SRSを通常通り送信する。
【0236】
なお、SRS生成部154は、送信部155からのSRSドロップの実行可否の指示に基づいて、SRSをドロップしない場合はSRSを生成し、ドロップする場合はSRSを生成しないようにしてもよい。あるいは、SRS生成部154は、送信部155からのSRSドロップの実行可否の指示に基づいて、SRSをドロップしない場合は生成したSRSをSRS送信リソースにマッピングし、ドロップする場合は生成したSRSをSRS送信リソースにマッピングしないようにしてもよい。
【0237】
下り回線ABSは、マクロセルの基地局からマクロ端末に明示的に通知してもよいし、明示的に通知せず、マクロ端末において他に通知されたパラメータから下り回線ABSを推定するようにしてもよい。
【0238】
ここで、マクロ端末が下り回線ABSをマクロセルの基地局から明示的に通知されていない場合、マクロ端末は、下り回線ABSと相関がある別のパラメータから下り回線ABSを推定する。例えば、端末がCSI(Channel State Information)測定を行うサブフレームパターンを指示する2つのパラメータ“csi-SubframeSet1,csi-SubframeSet2”(3GPP TS 36.331参照)を用いることで、下り回線ABSを推定することができる。
【0239】
この2つのパラメータの一方は、下り回線ABSにおけるチャネル品質を、もう一方はノーマルサブフレーム(ABS以外)におけるチャネル品質を、それぞれ測定するために用いられる。よって、マクロ端末は、csi-SubframeSet1,csi-SubframeSet2のうちのいずれか(例えば、チャネル品質が良い方)のサブフレームパターンを、下り回線ABSパターンとして推定できる。
【0240】
また、下り回線参照信号の受信レベル(端末が周期的に基地局に報告する値)の測定を行う対象のサブフレームパターンを指示するパラメータである、“MeasSubframePattern”(3GPP TS 36.331参照)によって、マクロ端末は下り回線ABSパターンを推定してもよい。
【0241】
<SRSドロップの適用例>
図22は、第4の実施形態における時間領域のSRSドロップの適用例を示す図である。
図22の例は、マクロセルの下り回線ABSを3サブフレーム周期に設定し、マクロ端末のSRS送信周期を2サブフレーム周期に設定した場合を示している。マクロセルの下り回線ABSから4サブフレーム後をSRSドロップリソースとして上り回線ABSを設定し、上り回線ABSではマクロ端末がSRSを送信しないようにする。これにより、SRS送信を停止したサブフレームにおけるマクロセルからの干渉を低減することができる。
【0242】
ピコセルでは、下り回線ABSから4サブフレーム後ではマクロセルからの干渉が常に小さくなるので、ピコセルの基地局におけるPUSCHのリンクアダプテーションを適切に行うことができ、ICICによるピコセルのスループットの改善効果を向上させることができる。
【0243】
第4の実施形態では、SRSドロップリソースをマクロセルの下り回線ABSから4サブフレーム後とし、SRSドロップリソースと一致するサブフレームにおいて、あるいは、SRSドロップリソースと一致するサブフレームにおいてマクロ端末が与える干渉が大きい場合において、SRSの送信が中断される。これにより、基地局からの明示的な通知なしで端末がSRSの送信中断サブフレームを判断でき、SRSドロップを適用したサブフレームにおいて、マクロセルからの上り回線干渉を低減させることができる。
【0244】
なお、上述した各実施形態では、ピコセルへ干渉を及ぼすマクロセルにおける基地局と端末について説明を行った。しかしながら、上記基地局及び端末を、マクロセルへ干渉を及ぼすピコセルにおける基地局及び端末に置き換えても、同様に機能させることができる。すなわち、上述した各実施形態ではマクロセルにてSRSをドロップする運用を想定して、マクロセルの基地局とマクロ端末の構成としたが、ピコセルにてSRSをドロップする運用を想定し、ピコセルの基地局とピコ端末の構成としても、同様に適用可能である。
【0245】
また、上述した各実施形態では、端末がSRSドロップを適用するか否かの判定は、端末自体が行う場合について説明した。しかし、SRSドロップを適用するか否かの判定は、基地局が行い、判定結果の情報を端末へ通知するような構成でも、同等の効果が得られる。この場合、基地局が端末からの上り回線信号レベルに応じて、例えばピコセルへの上り回線干渉レベルが大きいと予想される端末をドロップさせるなど、上り回線信号レベルに応じてSRSドロップを適用するか否か選択することができる。
【0246】
また、上述した各実施形態では、Periodic-SRS(周期的に送信されるSRS)を想定して説明したが、Aperiodic-SRS(トリガによって送信が促されるSRS)にも同様に適用可能である。すなわち、Aperiodic-SRSにおいても、トリガー後のSRS送信リソースがSRSドロップリソースに該当し、SRSドロップを適用する端末の場合、端末はAperiodic-SRSをドロップする。これにより、SRSドロップリソースを用いてSRS送信用のリソースを適切に制限し、上り回線干渉を低減することができる。
【0247】
また、上述した各実施形態では、参照信号としてSRSの例を説明したが、DMRS(Demodulation Reference Signal)などの他の参照信号、予め端末の送信リソース(送信帯域と送信タイミング)を決めるSemi-persistent schedulingを適用した上り回線データ信号、あるいは制御信号など一定のタイミングで送信される信号などについても同様に適用可能である。
【0248】
また、上り回線に限定されず、下り回線において適用することも可能であり、同様の効果が得られる。つまり、送信装置が端末、受信装置が基地局の場合に限定されず、送信装置が基地局、受信装置が端末の場合など、送信装置、受信装置は、端末、基地局のいずれにも適用可能である。
【0249】
また、時間領域ICICに適用する場合、上り回線ABSとみなすサブフレームにおいて送信される可能性のある信号であれば、SRSに限らず、他の信号にも適用できる。Periodic−SRSまたはAperiodic−SRSだけでなく、周期的に送信される信号であって上り回線ABSとみなすサブフレームにマッピングされる信号であれば、適用可能である。
【0250】
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0251】
上記各実施形態では、ハードウェアを用いた構成を例にとって説明したが、本発明はハードウェアとの連携においてソフトウェアによっても実現できる。
【0252】
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0253】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、または、LSI内部の回路セルの接続及び設定を再構成可能なリコンフィギュラブルプロセッサを利用してもよい。
【0254】
また、各機能ブロックの演算は、例えばDSPまたはCPUを含む計算手段を用いて演算できる。さらに、各機能の処理ステップは、プログラムとして記録媒体に記録して実行できる。
【0255】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、別技術を用いて機能ブロックを集積化してもよい。将来的にバイオ技術の発達に伴い、LSIに代わるものが出現した場合にも本発明が適用可能である。
【0256】
本出願は、2011年9月16日出願の日本特許出願2011−203547に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。