特許第6081454号(P6081454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6081454
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】流量検出器
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/58 20060101AFI20170206BHJP
   G01F 1/00 20060101ALI20170206BHJP
   A61M 1/16 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   G01F1/58 A
   G01F1/00 Q
   A61M1/16 117
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-516532(P2014-516532)
(86)(22)【出願日】2012年5月21日
(86)【国際出願番号】JP2012062912
(87)【国際公開番号】WO2013175547
(87)【国際公開日】20131128
【審査請求日】2015年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116633
【氏名又は名称】愛知時計電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英之
【審査官】 三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/132956(WO,A1)
【文献】 特開2011−191069(JP,A)
【文献】 特開昭60−050419(JP,A)
【文献】 実開昭60−015629(JP,U)
【文献】 特開2004−093392(JP,A)
【文献】 特開平05−087603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00− 9/02
G01F 15/00−15/18
A61M 1/00− 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工透析装置において透析液の流量を計測する流量検出器において、
ベースと、
前記ベースに形成された複数の流路と、
前記ベースの上面に固定され前記流路を構成する溝部を備えた蓋板と、
前記複数の流路に流れる流体の流量を、それぞれの流路の幅方向に対向して配置された検出端子、及びアース端子により検出する検出部とを備え、
前記複数の流路間には、前記流路間の熱伝導を遮断するための空間からなる遮断部が設けられていることを特徴とする流量検出器。
【請求項2】
前記ベースに形成され流路を形成する第1の溝と、前記蓋板において前記第1の溝と対応する位置に形成され流路を形成する第2の溝とを備え、前記遮断部は、それぞれの流路を形成する蓋板の間の空間からなることを特徴とする請求項1に記載の流量検出器。
【請求項3】
前記遮断部は、前記ベースに形成された溝からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流量検出器。
【請求項4】
前記遮断部は、前記流路間のベースの表面から裏面にかけて貫通する溝からなることを特徴とする請求項3に記載の流量検出器。
【請求項5】
前記検出部は、前記流路の長手方向の中央部に配置されていることを特徴とする請求項〜4のうちいずれか一項に記載の流量検出器。
【請求項6】
前記流路には、前記蓋板内側に配設された凸部と前記ベース上面との間にオリフィス状の計測流生成部が形成され、前記検出部は、前記計測流生成部に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の流量検出器。
【請求項7】
前記計測流生成部において、流体が流れる方向の両端部には傾斜部が形成され、前記傾斜部は、前記計測流生成部に向かうに従い前記流路が狭くなるように形成されていることを特徴とする請求項6に記載の流量検出器。
【請求項8】
前記検出部は、前記計測流生成部の幅方向両側の端部に配置される端子を有し、前記端子は、流体が流れることによって生じる起電力を検出することを特徴とする請求項6又は7に記載の流量検出器。
【請求項9】
前記複数の流路は、一対の流路からなり、前記一対の流路のそれぞれは、前記遮断部を挟む両側において同一面上に配置されていることを特徴とする請求項〜8のうちのいずれか一項に記載の流量検出器。
【請求項10】
前記流路は、前記ベースの両端面から突出する接続パイプの通路と、前記ベースの両端部に形成された前記接続パイプの通路に連通する凹部と、前記凹部において前記ベースの中央に近い箇所に形成された溝部とを含み、前記溝部は、前記凹部よりも浅く、前記接続パイプの通路より高い位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の流量検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用の人工透析装置に組み込まれて透析液の流量を検出する流量検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の流量検出器が、特許文献1に開示されている。この文献に開示の流量検出器は、流量計測装置に着脱される合成樹脂製のベースを備えている。ベースには、透析液を流すため、一対の流路が形成されている。ベース内には、各流路に流れる透析液の流量を検出するため、検出端子及びアース端子が設けられている。
【0003】
流量検出器を流量計測装置に装着した状態で、一対の流路のうちの一方が、人工透析装置のダイアライザーに対する透析液の流入経路に接続され、他方の流路が、ダイアライザーからの透析液の戻し経路に接続される。また、各流路は、流量計測装置において、電磁コイルを含む磁気回路の一対の磁極間にそれぞれ配置される。
【0004】
この状態で、人工透析装置が運転されると、患者から導き出された老廃物を含む血液がダイアライザーに導入されて、濾過される。そして、濾過によって分離された老廃物や水分が透析液中に移された後、透析後の清浄な血液が再び患者に戻される。このとき、各流路に流れる透析液の流速に比例した起電力が発生する。その起電力を各検出端子により検出し、透析液の流速と流路の断面積とに基づいて、各流路に流れる透析液の流量がそれぞれ計測される。そして、各流路に流れる透析液の流量の差によって、血液から分離された老廃物の量が算出される。
【0005】
この文献に開示の流量検出器によれば、一対の流路が近接して形成されている。このため、一対の流路のうちの一方に流れる流体の温度が高くなるとベースが変形する可能性がある。これにより、一対の流路のうちの他方の流路の断面積が変化し、透析液の流量を計測する際に誤差を生じる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−191069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、1つの流路に流れる流体の温度が他の流路に影響を及ぼさないようにすることで、各流路の断面積を適切に保つことができ、各流路に流れる流体の流量を正確に計測することのできる流量検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の第一の態様によれば、ベースと、ベースに形成された複数の流路と、ベースの上面に固定され流路を構成する溝部を備えた蓋板と、複数の流路に流れる流体の流量を、それぞれの流路の幅方向に対向して配置された検出端子、及びアース端子により検出する検出部とを備えた流量検出器が提供される。複数の流路間には、流路間の熱伝導を遮断するための空間からなる遮断部が設けられている。
【0009】
この構成によれば、1つの流路に流れる流体の温度が変化する場合がある。このような場合であっても、流路間に設けられた遮断部により、1つの流路から他の流路への熱伝導が遮断される。よって、1つの流路の流体の温度が他の流路に影響を及ぼさない。このため、各流路の断面積を適切に保つことができ、流路に流れる流体の流量を正確に計測することができる。
【0010】
上記の流量検出器において、ベースに形成され流路を形成する第1の溝と、蓋板において第1の溝と対応する位置に形成され流路を形成する第2の溝とを備え、遮断部は、それぞれの流路を形成する蓋板の間の空間からなることが好ましい。
【0011】
上記の流量検出器において、遮断部は、ベースに形成された溝からなることが好ましい。
上記の流量検出器において、遮断部は、流路間のベースの表面から裏面にかけて貫通する溝からなることが好ましい。
【0012】
上記の流量検出器において、検出部は、流路の長手方向の中央部に配置されていることが好ましい。
上記の流量検出器において、流路には、蓋板内側に配設された凸部とベース上面との間にオリフィス状の計測流生成部が形成され、検出部は、計測流生成部に配置されていることが好ましい。
【0013】
上記の流量検出器において、計測流生成部において、流体が流れる方向の両端部には傾斜部が形成され、傾斜部は、計測流生成部に向かうに従い流路が狭くなるように形成されていることが好ましい。
【0014】
上記の流量検出器において、検出部は、計測流生成部の幅方向両側の端部に配置される端子を有し、端子は、流体が流れることによって生じる起電力を検出することが好ましい。
【0015】
上記の流量検出器において、複数の流路は、一対の流路からなり、一対の流路のそれぞれは、遮断部を挟む両側において同一面上に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、1つの流路に流れる流体の温度が他の流路に影響を及ぼさないようにすることで、各流路の断面積を適切に保つことができ、各流路に流れる流体の流量を正確に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る流量検出器が組み込まれた医療用人工透析装置を示す概略構成図。
図2】流量検出器の斜視図。
図3】流量検出器の平面図。
図4図3の4−4線に沿った断面図。
図5図4の5−5線に沿った断面図。
図6図3の6−6線に沿った断面図。
図7】流量検出器をベースと蓋板とに分解して示す斜視図。
図8】流量検出器の検出端子及びアース端子を示す斜視図。
図9】流量検出器の蓋板を裏側から見た斜視図。
図10】本発明の第2実施形態に係る流量検出器を示す平面図。
図11】本発明の第3実施形態に係る流量検出器を示す断面図。
図12】本発明の第4実施形態に係る流量検出器を示す斜視図。
図13図12の13−13線に沿った断面図。
図14】本発明の第5実施形態に係る流量検出器を示す斜視図。
図15】本発明の第6実施形態に係る流量検出器を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明の流量検出器を具体化した第1実施形態について図1図9に従って説明する。
【0019】
図1に示すように、人工透析装置21は、ダイアライザー22を備えている。ポンプ23の運転により、患者の体内から導き出された老廃物241を含む血液24が、血液循環経路25を介してダイアライザー22に導入される。血液24がダイアライザー22により濾過されると、血液中の老廃物241が分離されて、流体としての透析液26に取り込まれる。濾過後の清浄な血液24は、再び患者の体内に戻される。
【0020】
人工透析装置21は、更に、流量計測装置27を備えている。流量計測装置27には、電磁コイル281及び一対の磁極282を含む磁気回路28と、計測信号を処理するため信号処理回路29とが設けられている。電磁コイル281には、交流電流が供給される。
【0021】
流量計測装置27には、透析液26の流量を計測するため、使い捨てタイプの流量検出器30が装着されている。流量検出器30は、流量計測装置27に対し着脱可能に構成されている。流量検出器30には、一対の流路33,34が設けられている。流路33,34は、ダイアライザー22に対する透析液26の流入経路31及び戻し経路32にそれぞれ接続されている。
【0022】
流量計測装置27に流量検出器30を装着した状態で、両流路33,34が、磁気回路28の両磁極282間に配置されている。この状態でポンプ35が運転されると、透析液26が供給タンク36から流入経路31及び流路33を介してダイアライザー22に流入される。そして、ダイアライザー22で分離された老廃物241を含む透析液26が、戻し経路32及び流路34を介してドレインタンク37に戻される。このとき、流量検出器30により、各流路33,34内に流れる透析液26の流量がそれぞれ計測される。
【0023】
図2及び図3に示すように、流量検出器30は、ポリプロピレン樹脂等の透明な合成樹脂製のベース41を備えている。ベース41は、長方形の板状に形成されている。ベース41の両端面からは、一対の接続パイプ42,43がそれぞれ突出されている。各接続パイプ42,43は、流入経路31及び戻し経路32の途中にそれぞれ接続されている。図4に示すように、ベース41の両端部には、各接続パイプ42,43内の通路44,45に連通する凹部46,47がそれぞれ形成されている。通路44,45は、凹部46,47の底面よりわずかに高い位置で、凹部46,47にそれぞれ接続されている。凹部46,47においてベース41の中央に近い箇所には、溝部461,471が形成されている。溝部461,471は、凹部46,47より浅く、かつ通路44,45より高い位置に設けられている。
【0024】
図2及び図6に示すように、ベース41の上面には、一対の蓋板48,49が接着又は溶着されている。蓋板48,49は、ポリプロピレン樹脂等の透明な合成樹脂より形成されている。各蓋板48,49は、複数の位置決めピン50により、ベース41上の所定位置に位置決めされている。図4に示すように、各蓋板48,49の裏面には、凹部46,47及び溝部461,471に連通する計測溝部51,52がそれぞれ形成されている。各計測溝部51,52の長手方向の中央部には、凸部511,521が形成されている。凸部511,521の両端部には、傾斜部512,522が形成されている。
【0025】
図4及び図5に示すように、ベース41上に蓋板48,49を固定した状態で、接続パイプ42の通路44、凹部46、溝部461、及び蓋板48の計測溝部51によって、流路33が構成されている。また、接続パイプ43の通路45、凹部47、溝部471及び蓋板49の計測溝部52によって、流路34が構成されている。各蓋板48,49の凸部511,521とベース41の上面との間には、オリフィス状の計測流生成部331,341が形成されている。各計測流生成部331,341は、各流路33,34において透析液26の計測流を生じさせるのに適した通路断面積を有している。
【0026】
図5図7及び図8に示すように、ベース41内には、一対の検出バスバー53と一対の検出バスバー54とが埋設されている。各検出バスバー53の第1の端部には、計測流生成部331内に露出する検出部としての検出端子531がそれぞれ形成されている。各検出バスバー54の第1の端部には、計測流生成部341内に露出する検出部としての検出端子541がそれぞれ形成されている。検出端子531,541は、計測流生成部331,341の幅方向の端部において互いに対向して配置されている。図2及び図8に示すように、各検出バスバー53の第2の端部には、ベース41の端面に露出する接続端子532がそれぞれ形成されている。各検出バスバー54の第2の端部には、ベース41の端面に露出する接続端子542がそれぞれ形成されている。接続端子532,542は、流量計測装置27の信号処理回路29に接続される。
【0027】
ベース41内には、アースバスバー55と、アースバスバー56とが埋設されている。各アースバスバー55,56の第1の端部には、溝部461,471内に露出するアース端子551,561がそれぞれ形成されている。各アースバスバー55,56の第2の端部には、ベース41の端面に露出する接続端子552,562がそれぞれ形成されている。接続端子552,562は、信号処理回路29に接続される。
【0028】
図3及び図6に示すように、ベース41における両流路33,34間の中央には、遮断部57が設けられている。遮断部57は、一対の流路33,34のうち一方の流路からベース41を通して他方の流路に熱が伝導することを遮断する。第1実施形態において、遮断部57は、両流路33,34間において流路33,34に沿って延びている。即ち、遮断部57は、ベース41の表面から裏面にかけて貫通する貫通溝58からなる。両流路33,34は、貫通溝58を挟む両側において同一面上に配置されている。検出端子531,541は、貫通溝58の長手方向の中央部に配置される。
【0029】
次に、上記の流量検出器30を含む人工透析装置の作用について説明する。
図1に示すように、人工透析装置21の使用状態では、流量検出器30が流量計測装置27に装着される。この状態で、流路33が流入経路31の途中に接続され、流路34が戻し経路32の途中に接続されている。この状態では、図4に示す各流路33,34の計測流生成部331,341が、磁気回路28の一対の磁極282間に配置されている。
【0030】
この状態で、人工透析装置21が運転されると、ポンプ23の作動により、患者から導き出された血液24が、血液循環経路25を介してダイアライザー22に導入される。また、ポンプ35の作動により、供給タンク36内の透析液26が、流入経路31及び流路33を介してダイアライザー22に流入される。このため、血液24がダイアライザー22で濾過されると共に、血液24中の老廃物241が分離されて透析液26中に移される。そして、清浄化された血液24が、血液循環経路25を介して再び患者に戻される。また、老廃物241を含む透析液26が、戻し経路32及び流路34を介してドレインタンク37に回収される。
【0031】
このとき、磁気回路28には、交流電流によって交番磁界が発生する。その磁束は、各流路33,34の計測流生成部331,341を貫通する。このため、計測流生成部331,341に流れる透析液26の流速に対応した起電力が発生する。そして、その起電力が、各検出バスバー53,54の検出端子531,541から、信号処理回路29に対し、検出信号として出力される。検出信号は、アースバスバー55,56からのアース電位に応じて設定されたレベルの出力となる。そして、検出信号から、透析液26の流速と計測流生成部331,341の断面積とに基づいて、各流路33,34に流れる透析液26の単位時間当たりの流量がそれぞれ計測される。両流路33,34に流れる透析液26の流量の差によって、血液24から分離された老廃物241の量が算出される。
【0032】
透析液26の流量を計測するに際し、流路33,34のうちの一方の流路に流れる透析液26の温度が変化すると、合成樹脂製のベース41や蓋板48が膨張又は収縮する可能性がある。このため、流路34,33のうちの他方の流路の計測流生成部331,341の断面積が変化して、流量を計測する際に誤差が生じる虞がある。この点、第1実施形態によれば、ベース41上において両流路33,34間に、熱伝導を実質的に遮断するための遮断部57として、貫通溝58が形成されている。このため、流路33,34のうちの一方の流路に流れる透析液26の温度が変化しても、貫通溝58により、他方の流路に影響を及ぼすことはほとんどない。
【0033】
従って、第1実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)流路33,34間には、流路33,34間の熱伝導を遮断するため、遮断部57が設けられている。このため、流路33,34のうちの一方の流路に流れる透析液26の温度が変化しても、遮断部57により、一方の流路から他方の流路への熱伝導が遮断される。よって、流路33,34のうちの一方の流路に流れる透析液26の温度が他方の流路に影響を及ぼすことはほとんどない。従って、各流路33,34の断面積を適切に保つことができ、流路33,34に流れる透析液26の流量を正確に計測することができる。
【0034】
(2)遮断部57は、ベース41に形成された貫通溝58からなる。この構成によれば、遮断部57の構造が簡単であると共に、流路33,34間の熱伝導を効果的に遮断することができる。
【0035】
(3)貫通溝58は、ベース41の表面から裏面にかけて貫通している。このため、流路33,34間の熱伝導を高いレベルで遮断し、また、高い遮断率を維持することもできる。
【0036】
(4)計測流生成部331,341を形成する凸部511,521の両端部には、傾斜部512,522が形成されている。この構成によれば、凸部511,521と凸部511,521の両側とで流路の断面積が異なる場合であっても、透析液26の流れが乱れ難い。このため、透析液26の流量を正確に検出できる。
【0037】
(5)接続パイプ42,43の通路44,45と蓋板48,49の計測溝部51,52との間には、凹部46,47と溝部461,471とが形成されている。この構成によれば、透析液26が、凹部46,47及び溝部461,471において一時的に貯留される。これにより、透析液26の流れが乱れ難くなる。このため、透析液26の流量を正確に検出できる。
【0038】
(6)検出バスバー53,54の検出端子531,541が、貫通溝58の長手方向の中央に配置される。この場合、検出端子531,541は、検出端子が配置される流路とは別の流路から熱の影響を受け難い位置に配置される。これにより、透析液26の流量を正確に検出できる。
【0039】
(7)流路33,34は、貫通溝58を挟む両側において同一面上に配置されている。このため、流量検出器30を扁平でかつコンパクトな形状にすることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の流量検出器30を具体化した第2実施形態について図10を参照して説明する。第2実施形態以降の各実施形態及び変更例は、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0040】
図10に示すように、遮断部57としての貫通溝58が、長手方向に2つに分割されている。
従って、第2実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0041】
(8)一つの貫通溝58の長さが短くなるため、ベース41の計測溝部51,52間の部分が変形することを抑制できる。よって、ベース41の補強作用を得ることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の流量検出器30を具体化した第3実施形態について図11を参照して説明する。
【0042】
図11に示すように、遮断部57は、ベース41の上面に形成された凹溝59からなる。凹溝59は底壁を有する。凹溝59は、両流路33,34間に設けられると共に、流路33,34に沿って延びている。
【0043】
従って、第3実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(9)凹溝59は底壁を有しているため、ベース41全体の変形を抑止できると共に、ベース41の補強作用を得ることができる。
【0044】
(第4実施形態)
次に、本発明の流量検出器30を具体化した第4実施形態について図12及び図13を参照して説明する。
【0045】
図12及び図13に示すように、一対の流路33,34が、ベース41の厚さ方向に間隔を空けてかつ重ね合わさるように形成されている。また、遮断部57としての貫通溝58が、流路33,34間に設けられている。貫通溝58は、ベース41の両端の一方から他方にかけて貫通している。
【0046】
従って、第4実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(10)流路33,34が、貫通溝58を挟む両側において、ベース41の厚さ方向に重ね合わさるように配置されている。この構成によれば、ベース41の幅を狭くして、ベース41の全体をコンパクトにすることができる。また、貫通溝58に冷媒を流すこともできるため、流量検出器30の温度管理が容易になる。
【0047】
(第5実施形態)
次に、本発明の流量検出器30を具体化した第5実施形態について図14を参照して説明する。
【0048】
図14に示すように、上記各実施形態における一対の蓋板48,49に代えて、一枚の蓋板60が採用されている。蓋板60の中央部には、蓋板60の表面から裏面にかけて貫通する遮断部としての貫通溝61が形成されている。貫通溝61は、ベース41の貫通溝58と対応する位置に形成されている。貫通溝61は、貫通溝58とほぼ同じ幅及び長さを有している。
【0049】
従って、第5実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(11)蓋板60が1枚であるため、部品点数を少なくして、流量検出器の構成を簡素化することができる。
【0050】
(第6実施形態)
次に、本発明の流量検出器30を具体化した第6実施形態について図15を参照して説明する。
【0051】
図15に示すように、一対の蓋板48,49のうち一方の蓋板が、他方の蓋板とは反対側のベース41の表面に取り付けられている。このため、一対の流路33,34や検出バスバー53,54についても、一方の流路や検出バスバーが、他方の流路や検出バスバーとは反対側のベース41の表面に設けられている。
【0052】
従って、第6実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(12)一対の流路33,34の一方の流路が、他方の流路と反対側のベース41の表面に設けられている。この構成によれば、流路33,34間の距離が長くなるため、一対の流路33,34のうち一方の流路に流れる流体の温度が他の流路に影響を及ぼすことを更に抑制することができる。
【0053】
なお、上記各実施形態は、次のように変更してもよい。
・貫通溝58又は凹溝59内に、発泡スチロール等の断熱材を充填してもよい。つまり、貫通溝58又は凹溝59と断熱材とにより、遮断部57を構成してもよい。
【0054】
・複数の小孔を直線的にかつ連続的に形成して、遮断部57を構成してもよい。
・本発明の流量検出器を、人工透析以外の他の分野に使用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
21…人工透析装置、22…ダイアライザー、24…血液、241…老廃物、26…流体としての透析液、27…流量検出器測装置、28…磁気回路、30…流量検出器、33,34…流路、331,341…計測流生成部、512,522…傾斜部、41…ベース、53,54…検出バスバー431,541…検出部としての検出端子、57…遮断部、58、61…貫通溝、59…凹溝。
図1
図2
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図15