【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、総務省、平成27年度における電波資源拡大のための研究開発の委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0032】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、複数の基地局装置から接続先となる基地局装置を選択して、その基地局装置と無線通信を行う端末装置であって、前記基地局装置との間で無線通信を行う通信部と、この通信部を介して前記基地局装置と通信を行いながらユーザが要求する情報処理を行うユーザアプリケーション部を有する制御部と、を備え、前記通信部は、前記基地局装置から送信される、当該端末装置が接続可能な接続先候補としての基地局装置に関する接続先候補情報を含む接続先候補通知の制御メッセージを受信し、前記制御部は、前記ユーザアプリケーション部の要求する通信条件と、前記接続先候補情報とに基づいて、新たな接続先とする前記基地局装置を選択し、前記通信部は、現在通信中の前記基地局装置から新たな接続先に切り替える場合に、前記制御部において新たな接続先として選択された前記基地局装置の識別情報および無線品質測定の測定結果を含む接続先切替要求の制御メッセージを前記基地局装置に送信する構成とする。
【0033】
これによると、端末装置において新たな接続先として選択された基地局装置を接続先に追加する要求を基地局装置に対して適切に行うことができる。
また、無線品質測定の測定結果に関する情報に基づいて基地局装置が品質判定を行うことができるため、基地局装置において接続先として適切な基地局装置を決定することができる。
【0034】
また、
第2の発明は、
複数の基地局装置から接続先となる基地局装置を選択して、その基地局装置と無線通信を行う端末装置であって、前記基地局装置との間で無線通信を行う通信部と、この通信部を介して前記基地局装置と通信を行いながらユーザが要求する情報処理を行うユーザアプリケーション部を有する制御部と、を備え、前記通信部は、前記基地局装置から送信される、当該端末装置が接続可能な接続先候補としての基地局装置に関する接続先候補情報を含む接続先候補通知の制御メッセージを受信し、前記制御部は、前記ユーザアプリケーション部の要求する通信条件と、前記接続先候補情報とに基づいて、新たな接続先とする前記基地局装置を選択し、前記通信部は、現在通信中の前記基地局装置の他に新たな接続先を追加する場合に、前記制御部において新たな接続先として選択された前記基地局装置の識別情報および無線品質測定の測定結果を含む接続先追加要求の制御メッセージを前記基地局装置に送信する構成とする。
【0035】
これによると、端末装置において新たな接続先として選択された基地局装置に接続先を切り替える要求を基地局装置に対して適切に行うことができる。
また、無線品質測定の測定結果に関する情報に基づいて基地局装置が品質判定を行うことができるため、基地局装置において接続先として適切な基地局装置を決定することができる。
【0038】
また、
第3の発明は、
複数の基地局装置から接続先となる基地局装置を選択して、その基地局装置と無線通信を行う端末装置であって、前記基地局装置との間で無線通信を行う通信部と、この通信部を介して前記基地局装置と通信を行いながらユーザが要求する情報処理を行うユーザアプリケーション部を有する制御部と、を備え、前記通信部は、前記基地局装置から送信される、当該端末装置が接続可能な接続先候補としての基地局装置に関する接続先候補情報を含む接続先候補通知の制御メッセージを受信し、前記制御部は、前記ユーザアプリケーション部の要求する通信条件と、前記接続先候補情報とに基づいて、新たな接続先とする前記基地局装置を選択し、さらに、前記制御部は、前記通信条件を規定する前記ユーザアプリケーション部が停止した場合、または、新たに前記基地局装置を検出した場合に、現在通信中の前記基地局装置の要否を判定する接続先精査を行い、この接続先精査により、現在通信中の前記基地局装置を不要と判断した場合に、現在通信中の前記基地局装置を接続先から削除するものと決定し、前記通信部は、前記制御部において削除するものと決定された前記基地局装置の識別情報を含む接続先削除要求の制御メッセージを前記基地局装置に送信する構成とする。
【0039】
これによると、
接続先精査を適切なタイミングで行って不要な接続先を削除することができる。
【0052】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0053】
図1は、本実施形態に係る通信システムの全体構成図である。
【0054】
この通信システムは、端末装置1と、この端末装置1と無線通信を行う第1の基地局装置2、第2の基地局装置3および第3の基地局装置4と、を備えている。この通信システムは、いわゆるヘテロジニアスネットワークであり、第1の基地局装置2、第2の基地局装置3および第3の基地局装置4は、RAT(Radio Access Technology:無線通信方式)が異なる。
【0055】
端末装置1は、スマートフォンやタブレット端末などであり、基地局装置2〜4のいずれか1つまたは複数と通信を行うことができるようになっており、この複数の基地局装置2〜4の中から適切な接続先が選択されて、その選択された基地局装置を利用した通信が端末装置1で行われる。
【0056】
第1の基地局装置2は、携帯電話用の無線通信方式のうち、LTEのように、UHF帯(周波数:300MHz〜3GHz)を利用した無線通信を行うものであり、マクロセル基地局となり、セル半径が例えば1km〜25km程度となる。また、この第1の基地局装置2は、制御信号を伝送するための制御プレーン(C−Plane)の基地局となる。
【0057】
第2の基地局装置3は、携帯電話用の無線通信方式のうち、5Gのように、高周波数帯、すなわち、高SHF帯(周波数:6GHz〜30GHz)、またはEHF帯(周波数:主に30GHz〜60GHz)を利用した無線通信を行うものであり、スモールセル基地局となり、セル半径が例えば10m〜3km程度となる。また、この第2の基地局装置3は、ユーザデータを伝送するためのユーザプレーン(U−Plane)の基地局となる。
【0058】
この第2の基地局装置3は、第1の基地局装置2の通信エリア内に複数設置され、第1の基地局装置2および第2の基地局装置3の各通信エリアが重複しており、端末装置1は、第1の基地局装置2および第2の基地局装置3の両方を同時に利用することができ、また、複数の第2の基地局装置3を同時に利用することができる。
【0059】
また、第1の基地局装置2および第2の基地局装置3はX2インタフェースを介して相互に接続されている。第1の基地局装置2と第2の基地局装置3とが制御メッセージをやりとりして、端末装置1の接続先の追加、切替および削除に関する処理を行う。また、第1の基地局装置2および第2の基地局装置3は、S1インタフェースおよび上位のコアネットワーク(上位通信ネットワーク)を介してインターネットに接続されている。
【0060】
第3の基地局装置4は、第1の基地局装置2および第2の基地局装置3のような携帯電話用の無線通信方式以外の無線通信方式、例えば、Wi−Fi(登録商標)やWiGig(登録商標)などの無線LANの無線通信方式により端末装置1と無線通信を行う。また、この第3の基地局装置4はインターネットに接続されている。
【0061】
次に、端末装置1、第1の基地局装置2および第2の基地局装置3で行われる基本的な手順について説明する。
図2は、端末装置1、第1の基地局装置2および第2の基地局装置3で行われる基本的な処理の手順を示すシーケンス図である。
【0062】
図2(A)に示す例は、現在通信中の第1の基地局装置2から新たな接続先となる第1の基地局装置2に切り替える場合である。
図2において、現在通信中の第1の基地局装置2を、「第1の基地局装置(既存)」と表記し、切替先の第1の基地局装置2を、「第1の基地局装置(切替先)」と表記している。
【0063】
この場合には、まず、端末装置1の伝送制御部において、検出された第1の基地局装置2(切替先)を対象にして無線品質測定を行い、その測定結果である無線品質測定値(受信電力、S/N等)を含む測定報告(例えば、Measurement Report)の制御メッセージを現在通信中の第1の基地局装置2に送信する。
【0064】
現在通信中の第1の基地局装置2では、端末装置1から送信される測定報告の制御メッセージを受信すると、その測定報告に含まれる無線品質測定値に基づいて品質判定を行い、切替先の第1の基地局装置2を決定する。そして、接続要求(例えば、Handover request)の制御メッセージを切替先の第1の基地局装置2に送信する。
【0065】
切替先の第1の基地局装置2では、現在通信中の第1の基地局装置2から送信される接続要求の制御メッセージを受信すると、確認応答(例えば、Handover request ACK)の制御メッセージを現在通信中の第1の基地局装置2に送信する。
【0066】
現在通信中の第1の基地局装置2では、切替先の第1の基地局装置2から送信される確認応答の制御メッセージを受信すると、切替指示(例えば、Mobility from EUTRA command)の制御メッセージを端末装置1に送信する。
【0067】
端末装置1では、現在通信中の第1の基地局装置2から送信される切替指示の制御メッセージを受信すると、接続先切替処理を行い、切替完了(例えば、Handover Complete)の制御メッセージを切替先の第1の基地局装置2に送信する。これにより、端末装置1が、切替先の第1の基地局装置2との間で通信を開始することができる。
【0068】
図2(B)に示す例は、現在通信中の第1の基地局装置2の他に新たな接続先となる第2の基地局装置3を追加する場合である。
【0069】
この場合には、まず、端末装置1の伝送制御部において、検出された第2の基地局装置3を対象にして無線品質測定を行い、その測定結果である無線品質測定値(受信電力、S/N等)を含む測定報告(例えば、Measurement Report)の制御メッセージを現在通信中の第1の基地局装置2に送信する。
【0070】
現在通信中の第1の基地局装置2では、端末装置1から送信される測定報告の制御メッセージを受信すると、その測定報告に含まれる無線品質測定値に基づいて品質判定を行い、追加の第2の基地局装置3を決定する。そして、接続要求(例えば、SCG Addition Indication)の制御メッセージを追加の第2の基地局装置3に送信する。
【0071】
追加の第2の基地局装置3では、端末装置1と現在通信中の第1の基地局装置2から送信される接続要求の制御メッセージを受信すると、確認応答(例えば、SCG Addition/Modification Request)の制御メッセージを第1の基地局装置2に送信する。
【0072】
端末装置1と現在通信中の第1の基地局装置2では、追加の第2の基地局装置3から送信される確認応答の制御メッセージを受信すると、追加指示(例えば、RRC Connection Reconfiguration)の制御メッセージを端末装置1に送信する。
【0073】
端末装置1では、現在通信中の第1の基地局装置2から送信される追加指示の制御メッセージを受信すると、後述するような接続先追加処理を行い、追加完了(例えば、RRC Connection Reconfiguration Complete)の制御メッセージを追加の第2の基地局装置3に送信する。これにより、端末装置1が、現在通信中の第1の基地局装置2および追加の第2の基地局装置3との間での通信を開始することができる。
【0074】
さて、本実施形態では、第1の基地局装置2との間で制御メッセージをやり取りして接続先を選択する接続先選択制御のプログラムが、個別のユーザアプリケーションプログラムに組み込まれており、このユーザアプリケーションプログラムをプロセッサで実行することで実現されるユーザアプリケーション部のうち、端末装置1の通信条件を規定するユーザアプリケーション部が、以下に説明するように、第1の基地局装置2との間で制御メッセージをやり取りして接続先を選択する接続先選択制御(接続先切替、接続先追加および接続先削除に関する制御)を行う。
【0075】
特に、本実施形態では、フォアグラウンドで動作しているユーザアプリケーション部を端末装置1の通信条件を規定するユーザアプリケーション部とする。なお、フォアグラウンドおよびバックグラウンドに関係なく、優先度が高いユーザアプリケーション部が接続先選択制御を行うようにしてもよい。この場合、ユーザがユーザアプリケーション部に優先度を予め設定しておけばよい。
【0076】
なお、ユーザアプリケーション部とは別に、ユーザアプリケーション部を監視する監視アプリケーション部を設けて、この監視アプリケーション部に接続先選択制御を行わせるようにしてもよい。すなわち、監視アプリケーション部が、通信中のユーザアプリケーション部を監視対象として、そのユーザアプリケーション部の種類や動作状況などに基づいて、接続先を決定するようにしてもよい。
【0077】
この場合、監視アプリケーション部は、フォアグラウンドで動作しているユーザアプリケーション部を監視対象とすればよい。また、ユーザがユーザアプリケーション部に優先度を設定して、監視アプリケーション部が、優先度が高いアプリケーションを監視対象に選択するようにしてもよい。また、一定時間内の通信量が最大となるユーザアプリケーション部を監視対象とするようにしてもよい。
【0078】
次に、接続先切替の場合の手順について説明する。
図3は、接続先切替の場合の手順を示すシーケンス図である。端末装置1は、アプリケーション部と、伝送制御部とに分けて示す。また、前述したように、第2の基地局装置3は、マクロセル基地局である第1の基地局装置2の通信エリア内に複数設置されるスモールセル基地局である。なお、
図3に示す例は、端末装置1が、通信中である第2の基地局装置3(切替元)との通信を切断して、接続先を別の第2の基地局装置3(切替先)に切り替える場合である。
【0079】
端末装置1では、既に動作中のユーザアプリケーション部が第1の基地局装置2および第2の基地局装置3と通信中である。ここで、新たに別のユーザアプリケーション部が起動すると、そのユーザアプリケーション部が通信条件判定を行う。
【0080】
この通信条件判定は、現在通信中の第2の基地局装置3が、ユーザアプリケーション部の要求する通信条件を満足するか否かを判定する。ここで、現在通信中の第2の基地局装置3が、ユーザアプリケーション部の要求する通信条件を満足せず、接続先切替が必要と判断した場合には、候補要求の制御メッセージを、伝送制御部を介して第1の基地局装置2に送信する。一方、現在通信中の第2の基地局装置3が、ユーザアプリケーション部の要求する通信条件を満足し、接続先切替の必要がないと判断した場合には、候補要求の制御メッセージの送信は行わない。
【0081】
この候補要求の制御メッセージは、端末装置1が接続可能な接続先候補としての第2の基地局装置3(切替先)に関する接続先候補情報(接続先候補リスト)を第1の基地局装置2に要求するものである。
【0082】
具体的には、この候補要求の制御メッセージは、接続先候補情報の提供の要否に関する情報、ユーザアプリケーションの用途(マッシブブロードバンド、ミッションクリティカル、マッシブコネクションなど)に関する情報、ユーザ種別(人物、自動車、ロボット、ドローン、船舶、飛行機、気球、センサなど)に関する情報などを含む。ここで、ユーザとは、端末装置1のユーザアプリケーションの利用主体であり、ユーザアプリケーションは、端末装置1を所持する人物が利用する場合や、端末装置1に設けられたセンサが利用する場合や、端末装置1が搭載された機器が利用する場合がある。なお、ユーザ種別に関する情報は、端末装置1を利用する人物などが予め入力しておくようにすればよい。
【0083】
また、端末装置1では、伝送制御部において、検出された第2の基地局装置3(この場合、切替元と切替先の両方)を対象にした無線品質測定を行い、検出された第2の基地局装置3ごとの無線品質測定値(受信電力、S/N等)を含む測定報告の制御メッセージを第1の基地局装置2に送信する。
【0084】
なお、本実施形態では、測定報告の制御メッセージとは別に候補要求の制御メッセージを送信するようにしたが、前記のような候補要求の制御メッセージに含まれる情報を、測定報告の制御メッセージに含めて送信するようにしてもよい。また、測定報告の制御メッセージでは、検出された第2の基地局装置3ごとの測定結果をまとめて送信すればよいが、検出された第2の基地局装置3ごとの測定結果を個別の制御メッセージで送信するようにしてもよい。
【0085】
次に、第1の基地局装置2は、端末装置1から送信される候補要求の制御メッセージおよび測定報告の制御メッセージを受信すると、第2の基地局装置3(この場合、切替元と切替先の両方)に関する品質判定を行い、接続先候補となる第2の基地局装置3に関する接続先候補情報(接続先候補リスト)を生成する。そして、その接続先候補情報を含む接続先候補通知の制御メッセージを端末装置1に送信する。
【0086】
この接続先候補通知の制御メッセージは、接続先候補となる第2の基地局装置3ごとのRAT、周波数、セルID、SSIDなどの情報を含む。ここで、周波数は、接続先候補となる第2の基地局装置3で通信に利用される周波数である。セルIDやSSIDは、第2の基地局装置3を識別するための識別子である。なお、RATや周波数は省略するようにしてもよい。
【0087】
また、この接続先候補通知の制御メッセージには、第1の基地局装置2でしか取得することができない補足情報を付加するようにしてもよい。具体的には、接続先候補となる第2の基地局装置3と端末装置1との間の通信の混雑度に関する情報を付加するようにしてもよい。この混雑度に関する情報としては、アクティブユーザ数(RRC(Radio Resource Control)で接続中の端末装置1)や、無線リソース使用率などである。また、接続先候補となる第2の基地局装置3に接続されたMEC(Mobile Edge Computing)サーバに関する情報を付加するようにしてもよい。このMECサーバに関する情報としては、コンテンツキャッシュの有無、RTT(Round-Trip Time)などである。また、予測スループット値や、第2の基地局装置3の位置情報を付加するようにしてもよい。
【0088】
次に、端末装置1のユーザアプリケーション部は、第1の基地局装置2から送信される接続先候補通知の制御メッセージを、伝送制御部を介して受信すると、その接続先候補通知の制御メッセージに含まれる接続先候補情報に基づいて、接続先選択処理を行う。この処理では、接続先候補情報で接続先候補として列挙された第2の基地局装置3の中から、最適な接続先を選択し、その接続先の無線品質測定値を取得する。そして、接続先の無線品質測定値を含む接続先切替要求の制御メッセージを、伝送制御部を介して第1の基地局装置2に送信する。
【0089】
この接続先切替要求の制御メッセージは、選択した接続先の基地局との接続を要求するものであり、接続先選択処理の選択結果に関する情報を含む。すなわち、接続先として選択した第2の基地局装置3の識別情報、具体的には、接続先として選択した第2の基地局装置3に関するRAT、周波数、セルID、SSIDなどの情報と、接続先として選択した第2の基地局装置3を対象にした無線品質測定の測定結果である無線品質測定値(受信電力やS/N)とを含む。なお、RATや周波数は省略するようにしてもよい。
【0090】
次に、第1の基地局装置2では、端末装置1から送信される接続先切替要求の制御メッセージを受信すると、端末装置1が接続先として選択した第2の基地局装置3に関する品質判定を再度行う。ここで、品質が所定の条件を満たす場合には、端末装置1が接続先として選択した第2の基地局装置3を接続先に決定して、その第2の基地局装置3(切替先)に接続要求の制御メッセージを送信する。そして、第2の基地局装置3から送信される確認応答の制御メッセージを受信すると、切替指示の制御メッセージを端末装置1に送信する。
【0091】
次に、端末装置1の伝送制御部では、第1の基地局装置2から送信される切替指示の制御メッセージを受信すると、切替処理を実施して、第1の基地局装置2に切替完了の制御メッセージを送信する。これにより、接続先とした選択した第2の基地局装置3との接続が確立され、端末装置1で動作中のユーザアプリケーション部は、接続先とした選択した第2の基地局装置3との間で通信を行うことができる。
【0092】
また、第1の基地局装置2では、端末装置1から送信される切替完了の制御メッセージを受信すると、切替元の第2の基地局装置3に切断要求の制御メッセージを送信する。切替元の第2の基地局装置3では、第1の基地局装置2から送信される切断要求の制御メッセージを受信すると、切断処理を行い、確認応答の制御メッセージを第1の基地局装置2に送信する。以上の処理により、端末装置1は、第1の基地局装置2および第2の基地局装置3(切替先)と通信中となる。
【0093】
次に、接続先追加の場合の手順について説明する。
図4は、接続先追加の場合の手順を示すシーケンス図である。なお、
図4に示す例は、通信中である第1の基地局装置2および第2の基地局装置3の他に、接続先に新たに別の第2の基地局装置3を追加する場合である。
図4において、現在通信中の第2の基地局装置3を、「第2の基地局装置(既存)」と表記し、追加される第2の基地局装置3を、「第2の基地局装置(新規)」と表記している。
【0094】
接続先追加の場合には、
図3に示した接続先切替の場合と略同一であるが、特に、
図3に示した通信を切断する第2の基地局装置3との間での制御メッセージ(切断要求、確認応答)のやり取りが、
図4にはない点で異なっている。
【0095】
また、
図4に示す接続先追加の場合には、通信条件判定において、現在通信中の第2の基地局装置3が、ユーザアプリケーション部の要求する通信条件を満足せず、接続先追加が必要と判断した場合に、候補要求の制御メッセージを送信する。
【0096】
また、
図3に示した接続先切替の場合に、端末装置1と第1の基地局装置2との間でやり取りされる接続先切替要求、切替指示、切替完了の各制御メッセージが、
図4に示す接続先追加の場合には、接続先追加要求、追加指示、追加完了の各制御メッセージとなる。なお、接続先追加要求の制御メッセージの内容は、接続先切替要求の制御メッセージと同様である。
【0097】
なお、
図3および
図4に示す例では、新たなユーザアプリケーション部が起動した際に、接続先選択制御を開始するようにしたが、この接続先選択制御は、種々のタイミングで開始することができる。例えば、端末装置1が非通信状態から通信状態に遷移した場合や、フォアグラウンドで動作しているユーザアプリケーション部がバックグラウンドに変更された場合や、ユーザアプリケーション部の優先度がユーザにより変更された場合に、接続先選択制御を開始するようにしてもよい。また、ユーザアプリケーション部とは別に、ユーザアプリケーション部を監視する監視アプリケーション部を設けるようにしてもよく、この場合、監視アプリケーション部の監視対象となるユーザアプリケーション部が変更された場合に、接続先選択制御を開始する。
【0098】
また、接続先選択制御を開始する際に通信条件判定を省略することもできる。例えば、
図3および
図4に示した例では、新たにアプリケーション部が起動すると、通信条件判定を行うことなく、候補要求の制御メッセージを第1の基地局装置2に送信するようにしてもよい。
【0099】
次に、接続先削除の場合の手順について説明する。
図5は、接続先削除の場合の手順を示すシーケンス図である。なお、
図5に示す例は、通信中である第2の基地局装置3との通信を切断して、接続先から第2の基地局装置3を削除する場合である。
【0100】
端末装置1では、既に動作中のユーザアプリケーション部が第1の基地局装置2および第2の基地局装置3と通信中である。ここで、端末装置1の伝送制御部において、現在通信中の第2の基地局装置3とは異なる第2の基地局装置3を新たに検出して、その第2の基地局装置3との間の接続が完了すると、接続先更新情報をユーザアプリケーション部に通知する。
【0101】
端末装置1のユーザアプリケーション部では、伝送制御部からの接続先更新情報を受け取ると、接続先精査を行う。この接続先精査は、伝送制御部から受け取った接続先更新情報に基づいて、既存の接続先(現在通信中の基地局装置)の要否を判定して、接続先の見直しを行うものである。この接続先精査では、検出された基地局装置2〜4の中に、既存の接続先より適切な接続先がある場合に、既存の接続先を不要と判断して、既存の接続先を削除するものと決定する。また、消費電力節約の観点から既存の接続先を不要と判断した場合にも、その既存の接続先を削除するものと決定する。そして、接続先削除要求の制御メッセージを、伝送制御部を介して第1の基地局装置2に送信する。
【0102】
この接続先削除要求の制御メッセージは、既存の接続先の削除を第1の基地局装置2に要求するものであり、削除する接続先となる第2の基地局装置3の識別情報、具体的には、削除する接続先となる第2の基地局装置3に関するRAT、周波数、セルID、SSIDなどの情報を含む。なお、RATや周波数は省略するようにしてもよい。
【0103】
第1の基地局装置2では、端末装置1から送信される接続先削除要求の制御メッセージを受信すると、接続先削除処理を実施して、切断要求の制御メッセージを第2の基地局装置3に送信する。第2の基地局装置3では、第1の基地局装置2から送信される切断要求の制御メッセージを受信すると、切断処理を行い、確認応答の制御メッセージを第1の基地局装置2に送信する。第1の基地局装置2では、第2の基地局装置3から送信される確認応答の制御メッセージを受信すると、接続先削除応答の制御メッセージを端末装置1に送信する。
【0104】
端末装置1のユーザアプリケーション部では、第1の基地局装置2から送信される接続先削除応答の制御メッセージを、伝送制御部を介して受信すると、接続先更新処理を行う。この接続先更新処理では、削除された接続先を接続先リスト(接続先情報)から削除する。
【0105】
ここで、
図5に示した例では、新規な第2の基地局装置3を検出したことを契機に、接続先精査を実施するようにしたが、ユーザアプリケーション部が停止した場合や、フォアグラウンド状態のユーザアプリケーション部とバックグラウンド状態のユーザアプリケーション部とが入れ替わった場合に、接続先精査を実施するようにしてもよい。
【0106】
このような接続先削除の制御は、新たな基地局装置2〜4が利用可能になるなどの通信状況に変化が生じた場合や、端末装置1で動作中のユーザアプリケーション部が停止するなどのユーザアプリケーション部の状態に変化が生じた場合に、通信環境を新たな状況に適したものに再構築するため、不要な接続先を削除する処理を行う。
【0107】
例えば、高SHF帯の回線とLTEの回線とを対象にリンクアグリゲーションを行い、高SHF帯の回線のバックアップとしてLTEの回線を利用する場合がある。この場合、WiGig(登録商標)の第3の基地局装置4が新たに検出されると、高SHF帯の回線のバックアップとしては、容量の観点からLTEの回線よりもWiGig(登録商標)の回線がより適切であるため、既存のLTEの回線は不要となる。
【0108】
このとき、LTEの回線を不要な接続先として削除しないと、第1の基地局装置(制御プレーン基地局)2がLTEの回線で通信を行うように指示する場合があり、この場合、端末装置1でWiGig(登録商標)の第3の基地局装置4を利用することができなくなる。
【0109】
なお、
図3〜
図5に示す例では、携帯電話用の無線通信方式による第1の基地局装置2および第2の基地局装置3のみを対象にした例を示したが、無線LANなどの携帯電話用の無線通信方式以外の無線通信方式による第3の基地局装置4を対象にして接続先切替、接続先追加、接続先削除を行うことも可能である。
【0110】
ところで、端末装置1および基地局装置2〜4の間では前記のように種々の制御メッセージが送受信されるが、この制御メッセージによる接続先変更(接続先切替、接続先追加、または接続先削除)は、MAC(Media Access Control)、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)、TCP(Transmission Control Protocol)のいずれかのレイヤで行えばよい。特に、MACにおいてはキャリアアグリゲーション、TCPにおいてはマルチパスTCPを利用するとよい。また、接続先変更(接続先切替、接続先追加、または接続先削除)を行う場合には、RRC(Radio Resource Control)のレイヤで制御メッセージの送受信を行うようにするとよい。
【0111】
次に、端末装置1のハードウェア構成について説明する。
図6は、端末装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0112】
端末装置1は、プロセッサ(制御部)11と、無線インタフェース(通信部)12と、アンテナ13と、メモリ(ワークメモリ)14と、フラッシュメモリやメモリカードなどの記憶デバイス15と、入出力部16と、を備えている。記憶デバイス15は、プロセッサ11で実行されるプログラムなどを格納する。また、入出力部16は、ディスプレイ、スピーカー、操作キーなどで構成される。
【0113】
次に、第1の基地局装置2のハードウェア構成について説明する。
図7は、第1の基地局装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0114】
第1の基地局装置2は、プロセッサ(制御部)21と、無線インタフェース22と、アンテナ23と、メモリ(ワークメモリ)24と、HDD(Hard Disk Device)などの記憶デバイス25と、ネットワークインタフェース26と、を備えている。
【0115】
記憶デバイス25は、プロセッサ21で実行されるプログラムなどを格納する。無線インタフェース22およびアンテナ23は、端末装置1との間で無線通信を行う。ネットワークインタフェース26は、第2の基地局装置3およびコアネットワークとの間で通信を行う。
【0116】
なお、第2の基地局装置3および第3の基地局装置4も、第1の基地局装置2と同様のハードウェア構成を有している。
【0117】
次に、端末装置1の機能的な構成について説明する。
図8は、端末装置1の機能ブロック図である。
【0118】
端末装置1は、ユーザアプリケーション部31と、伝送制御部32と、を備えている。
【0119】
伝送制御部32は、通信部51と、制御メッセージ送受信部52と、品質測定部53と、基地局検出部54と、を備えている。通信部51は、無線インタフェース12およびアンテナ13(
図6参照)により構成される。制御メッセージ送受信部52、品質測定部53および基地局検出部54は、記憶デバイス15(
図6参照)に記憶された伝送制御用プログラムをプロセッサ11に実行させることで実現される。
【0120】
通信部51は、基地局装置2〜4との間で通信を行う。
【0121】
制御メッセージ送受信部52は、通信部51を介して、基地局装置2〜4との間で制御メッセージ(測定報告、切替指示、切替完了、追加指示、追加完了)の送受信を行う。
【0122】
品質測定部53では、基地局装置2〜4を対象にした無線品質測定を行い、無線品質測定値(受信電力、S/N等)を取得する。
【0123】
基地局検出部54では、基地局装置2〜4から送信される信号に基づいて、端末装置が在圏している基地局装置2〜4を検出して、在圏している基地局装置2〜4に関する接続先更新情報を出力する。
【0124】
ユーザアプリケーション部31は、制御メッセージ送受信部41と、通信条件判定部42と、接続先選択部43と、接続先精査部44と、接続先更新部45と、を備えている。このユーザアプリケーション部31は、記憶デバイス15(
図6参照)に記憶されたアプリケーションプログラムをプロセッサ11に実行させることで実現される。
【0125】
制御メッセージ送受信部41では、通信部51を介して、基地局装置2〜4との間で制御メッセージ(候補要求、接続先候補通知、接続先切替要求、接続先追加要求、接続先削除要求)を送受信する。
【0126】
通信条件判定部42では、現在通信中の基地局装置2〜4が、ユーザアプリケーション部31の要求する通信条件を満足するか否かを判定する。ここで、現在通信中の基地局装置2〜4が、ユーザアプリケーション部31の要求する通信条件を満足しない場合には、接続先切替または接続先追加が必要と判断して、制御メッセージ送受信部41において、候補要求の制御メッセージを生成して、その候補要求の制御メッセージを、通信部51を介して基地局装置2〜4に送信する。
【0127】
ここで、例えば、ユーザアプリケーション部31が、音声通話に関するものである場合には、音声の途切れや瞬断を低減するため、低速でも切替頻度が少なくなるように、セル半径が大きいことが通信条件として要求される。また、ユーザアプリケーション部31が、動画視聴(VOD:Video On Demand)に関するものである場合には、ダウンロード時間を短縮するために、通信速度が速いことが通信条件として要求される。
【0128】
また、ユーザアプリケーション部31が、車両を制御対象とする自動運転用車載アプリアプリケーションである場合には、ブレーキやステアリングなどの自動運転制御を行うことから、安全性を確保するために、車両が走行中の場合には、遅延時間が短いことが通信条件として要求される。一方、車両が停車中の場合には、車上荒し等の犯罪の状況を映した映像をリアルタイムで伝送するため、通信速度が高いことが通信条件として要求される。
【0129】
また、ユーザアプリケーション部31が、監視カメラを制御対象とする監視カメラ用アプリケーションである場合には、犯罪や事故などの異常が起きていないことを安定的に通知するため、異常が検知されない通常時には、接続安定性が高いことが通信条件として要求される。一方、異常を検知した場合には、犯罪の状況を映した映像をリアルタイムで伝送するため、通信速度が高いことが通信条件として要求される。
【0130】
この通信条件判定部42は、端末装置1が非通信状態から通信状態に遷移した場合、通信条件を規定するユーザアプリケーション部31が変更された場合の少なくともいずれかの場合に通信条件判定を行う。
【0131】
ここで、通信条件を規定するユーザアプリケーション部31が変更された場合とは、フォアグラウンドで動作しているユーザアプリケーション部31がバックグラウンドに変更された場合や、ユーザアプリケーション部31の優先度がユーザにより変更された場合に、接続先選択制御を開始するようにしてもよい。また、ユーザアプリケーション部とは別に、ユーザアプリケーション部を監視する監視アプリケーション部を設けるようにしてもよく、この場合、監視アプリケーション部の監視対象となるユーザアプリケーション部が変更された場合に、接続先選択制御を開始する。
【0132】
接続先選択部43では、基地局装置2〜4から取得した接続先候補通知の制御メッセージに含まれる接続先候補情報と、ユーザやアプリケーションプログラムにより指定される接続先選択方針とに基づいて、接続先を選択する。この接続先選択部43で接続先を選択すると、制御メッセージ送受信部41において、接続先追加要求または接続先切替要求の制御メッセージを生成して、その接続先追加要求または接続先切替要求の制御メッセージを、通信部51を介して基地局装置2〜4に送信する。
【0133】
この接続先選択部43では、ユーザアプリケーション部31の種別や状態、ユーザアプリケーション部31を利用するユーザ(利用主体)の種別や状態、端末装置1の状態などに基づいて、接続先の選択を行う。ここで、ユーザアプリケーション部31の種別とは、データのダウンロードを行うものか否かや、リアルタイム系(音声や映像)および非リアルタイム系のいずれであるかなどに関するものである。ユーザアプリケーション部31の状態とは、残通信量や、フォアグラウンド状態およびバックグラウンド状態のいずれであるかに関するものである。ユーザの種別とは、人、ロボット、車、船、飛行機、気球、ドローン、センサなどである。ユーザの状態とは、移動速度、位置、危険度(交差点付近等)などである。端末装置1の状態とは、電池残量や発熱量などである。
【0134】
接続先精査部44では、基地局検出部54から受け取った接続先更新情報に基づいて、検出された基地局装置2〜4の中に、既存の接続先(現在通信中の基地局装置)より適切な接続先がある場合に、既存の接続先を不要と判断して、既存の接続先を削除するものと決定する。また、消費電力節約の観点から既存の接続先を不要と判断した場合にも、その既存の接続先を削除するものと決定する。ここで、既存の接続先を削除するものと決定すると、制御メッセージ送受信部41において、接続先削除要求求の制御メッセージを生成して、その接続先削除要求の制御メッセージを、通信部51を介して基地局装置2〜4に送信する。
【0135】
接続先更新部45では、削除した接続先を接続先リスト(接続先情報)から削除および追加した接続先を接続先リストに登録する更新処理を行う。
【0136】
なお、本実施形態では、ユーザアプリケーション部31が、自身がフォアグラウンドで動作していることを検知すると、そのユーザアプリケーション部31の各部が前記の処理を実施する。
【0137】
また、ユーザアプリケーション部を停止したことを契機に接続先精査を実施する場合には、ユーザアプリケーション部とは別に管理アプリケーション部を設けるとよい。この場合、管理アプリケーション部が、接続先精査部44および接続先更新部45を備えたものとなる。
【0138】
次に、第1の基地局装置2の機能的な構成について説明する。
図9は、第1の基地局装置2の機能ブロック図である。
【0139】
第1の基地局装置2は、通信部61と、制御メッセージ送受信部62と、品質判定部63と、接続先削除部64と、を備えている。通信部61は、無線インタフェース22、アンテナ23、およびネットワークインタフェース26(
図7参照)により構成される。制御メッセージ送受信部62、品質判定部63、接続先削除部64は、記憶デバイス25に記憶された伝送制御用プログラムをプロセッサ21(
図7参照)に実行させることで実現される。
【0140】
通信部61は、端末装置1および第2の基地局装置3との間で通信を行う。
【0141】
制御メッセージ送受信部62は、端末装置1および第2の基地局装置3との間で制御メッセージの送受信を行う。具体的には、端末装置1から送信される候補要求、測定報告、接続先切替要求、接続先追加要求、切替完了、追加完了、接続先削除要求を受信し、接続先候補通知、切替指示、追加指示、接続先削除応答を端末装置1に送信する。また、接続要求、切断要求を第2の基地局装置3に送信し、第2の基地局装置3から送信される確認応答を受信する。
【0142】
品質判定部63では、端末装置1から送信される候補要求および測定報告を制御メッセージ送受信部で受信すると、測定報告に含まれる第2の基地局装置3ごとの通信品質情報と、自装置で収集した第2の基地局装置3に関する情報とに基づいて、第2の基地局装置3に関する品質判定を行い、端末装置1が接続可能な接続先候補となる第2の基地局装置3に関する接続先候補情報(接続先候補リスト)を生成する。この品質判定部63で接続先候補情報が生成すると、制御メッセージ送受信部62において、接続先候補情報を含む接続先候補通知の制御メッセージを生成して、その接続先候補通知の制御メッセージを端末装置1に送信する。
【0143】
接続先削除部64では、端末装置1から送信される接続先切替要求または接続先追加要求の制御メッセージを制御メッセージ送受信部62で受信すると、接続先を削除する処理を行う。
【0144】
次に、端末装置1の接続先選択部43で行われる処理について説明する。
図10は、端末装置1の接続先選択部43で行われる処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0145】
高SHF帯セル(第1の基地局装置2)は高速通信(10Gbps以上)が可能なため、ダウンロードや通信量が大きい場合には高SHF帯セルが適している。一方、アプリケーションのユーザがセンサ系であれば通信量が小さいため、高SHF帯セルを選択する必要がない。また、高SHF帯セルでは、通信エリアが狭いため、端末装置1の移動速度が高いと、通信エリアを短時間で通過するため、高SHF帯セルは不適切である。また、高SHF帯セルでは、高周波回路の使用や、遮蔽に弱く切断率が高いためにバックアップ回線を同時接続する必要があるなどの理由で、電力消費が大きいため、端末装置1の電池残量が少ない場合には、高SHF帯セルは不適切である。
【0146】
そこで、本実施形態では、端末装置1の接続先選択部43において、アプリケーションがデータのダウンロードを行う種別のものであるか否かの判定(ST101)と、アプリケーションの残通信量が所定のしきい値を超えるか否かの判定(ST102)と、アプリケーションのユーザが人物であるか否かの判定(ST103)と、端末装置1の移動速度が所定のしきい値より低いか否かの判定(ST104)と、端末装置1の電池残量が所定のしきい値を超えるか否かの判定(ST105)と、を順次行う。
【0147】
そして、アプリケーションがデータのダウンロードを行う種別のものであり(ST101でYes)、アプリケーションの残通信量が所定のしきい値を超え(ST102でYes)と、アプリケーションのユーザが人物であり(ST103でYes)と、端末装置の移動速度が所定のしきい値より低く(ST104でYes)と、端末装置の電池残量が所定のしきい値を超える場合に(ST105でYes)、高SHF帯セルを選択し(ST106)、それ以外の場合には(ST101〜ST105でNo)、その他のRATのセル(例えばLTEの第2の基地局装置3)を接続先に選択する(ST107)。
【0148】
なお、接続先選択の手順は、これに限定されるものではなく、この他に種々の手順が可能である。
【0149】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【解決手段】基地局装置において、端末装置が接続可能な接続先候補としての基地局装置に関する接続先候補情報を生成して、その接続先候補情報を含む接続先候補通知の制御メッセージを端末装置に送信し、端末装置において、基地局装置と通信を行いながらユーザが要求する情報処理を行うユーザアプリケーション部の要求する通信条件と、接続先候補情報とに基づいて、新たな接続先とする基地局装置を選択する。