【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、総務省、平成27年度における電波資源拡大のための研究開発の委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
端末装置との間で第1の通信方式により無線通信を行う第1の基地局装置、および前記端末装置との間で第2の通信方式により通信を行う第2の基地局装置と通信を行う通信部と、
制御部と、
を備え、
前記通信部は、前記端末装置から前記第2の基地局装置を経由して送信される端末情報を受信し、
前記制御部は、前記端末情報に含まれる前記端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が移動しているか否かを判定し、移動している前記端末装置の数が所定のしきい値を超える場合には、指向性ビームを回転させながら送信するように通信制御情報を生成し、
前記通信部は、前記通信制御情報を含む通知情報を前記第1の基地局装置に送信することを特徴とするサーバ装置。
端末装置との間で第1の通信方式により無線通信を行う第1の基地局装置、および前記端末装置との間で第2の通信方式により通信を行う第2の基地局装置と通信を行う通信部と、
制御部と、
を備え、
前記通信部は、前記端末装置から前記第2の基地局装置を経由して送信される端末情報を受信し、
前記制御部は、前記端末情報に含まれる前記端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が移動しているか否かを判定し、移動している前記端末装置の数が所定のしきい値以下である場合には、通信条件を取得するためのネゴシエーションの開始を指示する通知情報を生成し、
前記通信部は、前記通知情報を前記第2の基地局装置を介して前記端末装置に送信
することを特徴とするサーバ装置。
【発明を実施するための形態】
【0027】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、端末装置と、この端末装置との間で無線通信を行う基地局装置とを備えた通信システムであって、前記端末装置と、前記端末装置との間で第1の通信方式により無線通信を行って前記端末装置との間でユーザデータを送受信する第1の基地局装置と、前記端末装置との間で第2の通信方式により通信を行って前記端末装置と前記第1の基地局装置との間で行われる通信を補助する第2の基地局装置と、サーバ装置と、を備え、前記端末装置は、自装置の位置情報を含む端末情報を前記第2の基地局装置を介して前記サーバ装置に送信する通信部を有し、前記サーバ装置は、前記端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が移動しているか否かを判定し、移動している前記端末装置の数が所定のしきい値を超える場合には、指向性ビームを回転させながら送信するように通信制御情報を生成する
制御部と、前記通信制御情報を含む通知情報を前記第1の基地局装置に送信する通信部と、を有し、前記第1の基地局装置は、前記通信制御情報に基づいて前記端末装置との間で行われる無線通信を制御する通信制御部を有する構成とする。
【0028】
これによると、複数の端末装置が移動中であっても、第1の基地局装置において端末装置との間で個別にネゴシエーションを行う必要がなくなるため、通信時間を短縮することができる。
【0029】
また、
第2の発明は、
端末装置と、この端末装置との間で無線通信を行う基地局装置とを備えた通信システムであって、前記端末装置と、前記端末装置との間で第1の通信方式により無線通信を行って前記端末装置との間でユーザデータを送受信する第1の基地局装置と、前記端末装置との間で第2の通信方式により通信を行って前記端末装置と前記第1の基地局装置との間で行われる通信を補助する第2の基地局装置と、サーバ装置と、を備え、前記端末装置は、自装置の位置情報を含む端末情報を前記第2の基地局装置を介して前記サーバ装置に送信する通信部を有し、前記サーバ装置は、前記端末装置の位置情報に基づいて通信制御情報を生成する制御部と、前記通信制御情報を含む通知情報を前記第1の基地局装置に送信する通信部と、を有し、前記第1の基地局装置は、前記通信制御情報に基づいて前記端末装置との間で行われる無線通信を制御する通信制御部を有し、前記サーバ装置は、前記端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が移動しているか否かを判定し、移動している前記端末装置の数が所定のしきい値以下である場合には、通信条件を取得するためのネゴシエーションの開始を指示する通知情報を前記第2の基地局装置を介して前記端末装置に送信し、前記端末装置は、前記通知情報に基づいて、前記第1の基地局装置との間で前記ネゴシエーションを開始する構成とする。
【0030】
これによると、移動中の端末装置が少ない場合は、第1の基地局装置と端末装置との間で個別にネゴシエーションを開始させたとしても全体として要する時間は短く、ネゴシエーションにより最適な通信を行うことができる。
【0031】
また、
第3の発明は、端末装置との間で第1の通信方式により無線通信を行う第1の基地局装置、および前記端末装置との間で第2の通信方式により通信を行う第2の基地局装置と通信を行う通信部と、制御部と、を備え、前記通信部は、前記端末装置から前記第2の基地局装置を経由して送信される端末情報を受信し、前記制御部は、前記端末情報に含まれる前記端末装置の位置情報に基づいて
、前記端末装置が移動しているか否かを判定し、移動している前記端末装置の数が所定のしきい値を超える場合には、指向性ビームを回転させながら送信するように通信制御情報を生成し、前記通信部は、前記通信制御情報を含む通知情報を前記第1の基地局装置に
送信する構成とする。
【0032】
これによると、第1の発明と同様に、端末装置から第1の基地局装置に端末装置の存在を直接通知することなく、適切な通信条件による通信を迅速に確立して通信時間の短縮を図ることができる。
【0033】
また、
第4の発明は、端末装置との間で第1の通信方式により無線通信を行う第1の基地局装置、および前記端末装置との間で第2の通信方式により通信を行う第2の基地局装置と通信を行う通信部と、制御部と、を備え、前記通信部は、前記端末装置から前記第2の基地局装置を経由して送信される端末情報を受信し、
前記制御部は、前記端末情報に含まれる前記端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が移動しているか否かを判定し、移動している前記端末装置の数が所定のしきい値以下である場合には、通信条件を取得するためのネゴシエーションの開始を指示する通知情報を生成し、前記通信部は、前記通知情報を前記第2の基地局装置を介して前記端末装置に送信する構成とする。
【0034】
これによると、第1の発明と同様に、端末装置から第1の基地局装置に端末装置の存在を直接通知することなく、適切な通信条件による通信を迅速に確立して通信時間の短縮を図ることができる。
【0039】
また、
第5の発明は、端末装置と基地局装置との間で行われる無線通信を制御する通信制御方法であって、前記端末装置と第1の基地局装置との間でデータを送受信する第1の通信方式とは異なる第2の通信方式により、第2の基地局装置を介して、前記端末装置の位置情報を含む端末情報を前記端末装置からサーバ装置に送信し、前記サーバ装置において、前記端末装置の位置情報に基づいて
、前記端末装置が移動しているか否かを判定し、移動している前記端末装置の数が所定のしきい値を超える場合には、指向性ビームを回転させながら送信するように通信制御情報を生成して、その通信制御情報を含む通知情報を前記第1の基地局装置に送信し、前記第1の基地局装置において、前記通信制御情報に基づいて前記端末装置との間で行われる無線通信を制御する構成とする。
【0040】
これによると、第1の発明と同様に、端末装置から第1の基地局装置に端末装置の存在を直接通知することなく、適切な通信条件による通信を迅速に確立して通信時間の短縮を図ることができる。
【0041】
また、
第6の発明は、端末装置と基地局装置との間で行われる無線通信を制御する通信制御方法であって、前記端末装置と第1の基地局装置との間でデータを送受信する第1の通信方式とは異なる第2の通信方式により、第2の基地局装置を介して、前記端末装置の位置情報を含む端末情報を前記端末装置からサーバ装置に送信し、
前記サーバ装置において、前記端末装置の位置情報に基づいて、前記端末装置が移動しているか否かを判定し、移動している前記端末装置の数が所定のしきい値以下である場合には、通信条件を取得するためのネゴシエーションの開始を指示する通知情報を生成し、前記通知情報を前記第2の基地局装置を介して前記端末装置に送信し、前記端末装置は、前記通知情報に基づいて、前記第1の基地局装置との間で前記ネゴシエーションを開始する構成とする。
【0042】
これによると、第1の発明と同様に、端末装置から第1の基地局装置に端末装置の存在を直接通知することなく、適切な通信条件による通信を迅速に確立して通信時間の短縮を図ることができる。
【0043】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0044】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る通信システムの全体構成図である。
【0045】
この通信システムは、ユーザ端末1(端末装置)1と、アクセスポイント2(第1の基地局装置)2と、セルラー基地局3(第2の基地局装置)3と、制御サーバ(サーバ装置)4と、を備えている。
【0046】
ユーザ端末1は、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、PCなどであり、WiGig(登録商標、第1の通信方式)による通信機能と、セルラー方式(第2の通信方式)による通信機能とを備えている。アクセスポイント2は、ユーザ端末1との間でWiGigにより通信を行い、ユーザ端末1との間でユーザデータを送受信する。セルラー基地局3は、ユーザ端末1との間でセルラー方式により通信を行い、ユーザ端末1とアクセスポイント2との間で行われる無線通信をアシスト(補助)する。制御サーバ4は、ユーザ端末1とアクセスポイント2との間で行われる無線通信を効率よく実施するための制御を行う。
【0047】
さて、WiGigなどの無線LANにおいては、隠れ端末によりパケットが衝突する、いわゆる隠れ端末問題がある。この隠れ端末問題とは、あるユーザ端末1がアクセスポイント2に対してパケットを送信するのと同時に、そのユーザ端末1の通信エリア外に存在する別のユーザ端末1がアクセスポイント2にパケットを送信することで、アクセスポイント2においてパケットの衝突が発生することである。
【0048】
本実施形態では、この隠れ端末問題をRTS/CTSを用いて回避する。このRTS/CTSでは、例えば、ユーザデータのアップロード時には、ユーザデータを送信したいユーザ端末1がアクセスポイント2にRTS(Request to Send)を送信し、その応答としてアクセスポイント2がCTS(Clear to Send)をRTSの送信元であるユーザ端末1に送信することで、そのユーザ端末1に送信権を与える。このとき、周辺に存在する他のユーザ端末1でもCTSを受信するが、送信権を与えられた端末が自己ではないことがCTSに含まれる端末IDからわかるため、その他のユーザ端末1はCTSに含まれる送信禁止期間(NAV:Network Allocation Vector)においてパケットの送信を控える。これにより、アクセスポイント2においてパケットの衝突が発生することを避けることができる。
【0049】
なお、ユーザデータのダウンロード時には、ユーザデータを送信したいアクセスポイント2がユーザ端末1にRTSを送信し、その応答としてユーザ端末1がCTSをRTSの送信元であるアクセスポイント2に送信することで、そのアクセスポイント2に送信権を与える。
【0050】
このRTS/CTSなどの制御情報の送信は、指向性のビームパターンで送信する場合は、送信対象として設定された相手にのみ送信されるように制御できる。また、無指向性のビームパターン(オムニパターン)で送信する場合は、送信権を与える端末IDのリストに端末IDを追加、削除することにより、特定のユーザ端末1にのみ送信権を与えるように制御できる。
【0051】
また、ユーザ端末1とアクセスポイント2との間の通信に用いられるWiGigは、IEEE802.11adで規定される無線LANの一種で、ミリ波に属する60GHz帯を使用した高速の無線通信規格であり、数Gbps程度の通信が可能であるが、到達距離が短く、障害物に弱い特徴がある。そこで、WiGigでは、電波到達距離を伸ばすビームフォーミングを適用することが有効である。
【0052】
このビームフォーミングでは、電波を特定の方向に集中的に照射する、すなわち、指向性ビームを細くすることで、電波到達距離を伸ばす技術であり、ネゴシエーションにより、送信側および受信側、すなわち、ユーザ端末1およびアクセスポイント2の双方において最適なビーム角度を求めて、その送信側および受信側の最適なビーム角度の組み合わせで通信が行われる。
【0053】
次に、第1実施形態に係る通信システムにおける制御情報の送信状況について説明する。
図2は、本通信システムにおける制御情報の送信状況を示す説明図である。なお、ここでは制御情報のうち、CTSを送信する場合を例にとって説明するが、RTSを送信する場合においても同様である。
【0054】
本実施形態では、アクセスポイント2において、アクセスポイント2からユーザ端末1までの距離に応じて、送受信ビームの指向性を制御する。すなわち、
図2(A)に示すように、アクセスポイント2からユーザ端末1までの距離がしきい値Dt未満である場合には、無指向性のビームパターン(オムニパターン)で制御情報(CTS)を送信し、
図2(B)に示すように、アクセスポイント2からユーザ端末1までの距離が所定のしきい値Dt以上である場合には、指向性のビームパターンで制御情報を送信する。また、指向性のビームパターンで通信を行う場合には、アクセスポイント2から見たユーザ端末1の方向を求めて、その方向に基づいてビーム角度(セクタID)を設定する。
【0055】
このように、本実施形態では、指向性のビームパターンで通信を行う場合に、ユーザ端末1およびアクセスポイント2の位置情報に基づいて、送受信ビームの指向性を制御するため、最適なビーム角度を取得するためのネゴシエーションが不要になる。
【0056】
なお、指向性のビームパターンで通信を行う場合には、通信を確実に行うために、最適なビーム角度を取得するためのビームフォーミングに関するネゴシエーションを行うようにしてもよい。
【0057】
次に、第1実施形態に係るユーザ端末1、アクセスポイント2および制御サーバ4の概略構成について説明する。
図3は、ユーザ端末1、アクセスポイント2および制御サーバ4の概略構成を示すブロック図である。
【0058】
ユーザ端末1は、位置情報取得部11と、無線LAN通信部12と、セルラー通信部13と、制御部14と、情報格納部15と、を備えている。
【0059】
位置情報取得部11は、GPS(Global Positioning System)などの衛星測位システムにより自装置の位置情報を取得する。
【0060】
無線LAN通信部12では、アクセスポイント2との間で制御情報(RTS/CTSなど)およびユーザデータを無線LAN、特にWiGig(登録商標)の無線通信方式により送受信する。この無線LAN通信部12は、ビームの指向性を調整することができるスマートアンテナを備えている。セルラー通信部13では、自装置の位置情報および端末ID(端末識別情報)を含む端末情報をセルラー方式によりセルラー基地局3に送信する。なお、セルラー基地局3は、セルラー方式以外の他の通信方式(例えばWiFiなど)に対応したWiFi基地局などであってもよい。
【0061】
情報格納部15では、端末IDや、位置情報取得部11で取得した自装置の位置情報や、制御部14で実行されるプログラムなどが格納される。
【0062】
制御部14は、情報収集部21と、ビーム制御部22と、を備えている。この制御部はプロセッサで構成され、制御部14の各部は、情報格納部15に記憶されたプログラムをプロセッサに実行させることで実現される。
【0063】
情報収集部21では、端末情報として、位置情報取得部11で取得した自装置の位置情報と、情報格納部15に格納された端末IDを収集する。ビーム制御部22では、無線LAN通信部12のスマートアンテナの送受信ビームを制御する。
【0064】
アクセスポイント2は、無線LAN通信部(第1の通信部)31と、ネットワーク通信部(第2の通信部)32と、制御部33と、情報格納部34と、を備えている。
【0065】
無線LAN通信部31では、ユーザ端末1との間で制御情報(RTS/CTSなど)およびユーザデータをWiGig(登録商標)の無線通信方式により送受信する。この無線LAN通信部31は、ビームの指向性を調整することができるスマートアンテナを備えている。
【0066】
ネットワーク通信部32では、自装置の位置情報、通信エリアの範囲に関する通信エリア情報、およびアクセスポイントIDを含むアクセスポイント情報を制御サーバ4に送信する。また、ネットワーク通信部32では、制御サーバ4から送信される通知情報を受信する。
【0067】
情報格納部34では、アクセスポイントIDや、通信エリア情報や、制御部33で実行されるプログラムなどが格納される。
【0068】
制御部33は、情報収集部41と、ビーム制御部(通信制御部)42と、を備えている。この制御部33はプロセッサで構成され、制御部33の各部は、情報格納部34に記憶されたプログラムをプロセッサに実行させることで実現される。
【0069】
情報収集部41では、アクセスポイント情報として、情報格納部34に格納された自装置の位置情報を収集する。ビーム制御部42では、ネットワーク通信部32で受信した通知情報に含まれるビーム制御情報、すなわち、指向性および無指向性のビームパターンのいずれを用いるかに関するビームパターン判定結果と、指向性のビームパターンを用いる場合のビーム角度とに基づいて、無線LAN通信部31のスマートアンテナの送受信ビームを制御する。
【0070】
制御サーバ4は、ネットワーク通信部51と、制御部52と、情報格納部53と、を備えている。
【0071】
ネットワーク通信部51では、セルラー基地局3から送信される端末情報と、アクセスポイント2から送信されるアクセスポイント情報とを受信する。また、ネットワーク通信部51では、制御部52で生成した通知情報をアクセスポイント2に送信する。
【0072】
情報格納部53では、ネットワーク通信部51で受信した端末情報およびアクセスポイント情報や、制御部52で実行されるプログラムなどが格納される。
【0073】
制御部52は、距離取得部61と、端末方向取得部62と、ビームパターン判定部63と、ビーム制御条件設定部64と、通知情報生成部65と、を備えている。この制御部52はプロセッサで構成され、制御部52の各部は、情報格納部53に記憶されたプログラムをプロセッサに実行させることで実現される。
【0074】
距離取得部61では、ユーザ端末1およびアクセスポイント2の位置情報に基づいて、アクセスポイント2からユーザ端末1までの距離を算出する。端末方向取得部62では、アクセスポイント2およびユーザ端末1の位置情報に基づいて、アクセスポイント2から見たユーザ端末1が位置する方向を取得する。
【0075】
ビームパターン判定部63では、距離取得部61で取得した距離を所定のしきい値と比較して、ビームパターンを判定する。すなわち、距離が所定のしきい値Dt以上である場合には、指向性のビームパターンを用いるものと判定し、距離がしきい値Dt未満である場合には、無指向性のビームパターン(オムニパターン)を用いるものと判定する。ビーム制御条件設定部64では、指向性のビームパターンで通信を行う場合に、端末方向取得部62で取得した、アクセスポイント2から見たユーザ端末1が位置する方向に基づいて、ビーム角度を設定する。
【0076】
通知情報生成部65では、アクセスポイント2に送信する通知情報を生成する。この通知情報には、端末IDと、指向性および無指向性のビームパターンのいずれを用いるかに関するビームパターン判定結果、および指向性のビームパターンを用いる場合のビーム制御条件(ビーム角度(セクタID))に関するビーム制御情報(通信制御情報)と、が含まれる。
【0077】
なお、
図3では、セルラー基地局3の構成を省略しているが、セルラー基地局3は、セルラー通信部と、ネットワーク通信部と、を備えている。セルラー通信部では、ユーザ端末1から送信される端末情報を受信する。ネットワーク通信部では、セルラー通信部で受信した端末情報を制御サーバ4に送信する。
【0078】
次に、第1実施形態に係るユーザ端末1、アクセスポイント2、セルラー基地局3および制御サーバ4で行われる処理の手順について説明する。
図4は、ユーザ端末1、アクセスポイント2、セルラー基地局3および制御サーバ4で行われる処理の手順を示すシーケンス図である。
図5は、ユーザ端末1で行われる処理の手順を示すフロー図である。
図6は、アクセスポイント2で行われる処理の手順を示すフロー図である。
図7は、制御サーバ4で行われる処理の手順を示すフロー図である。
【0079】
まず、ユーザ端末1では、情報収集部21において、自装置の端末情報(位置情報、端末ID)を収集する(
図5のST101)。そして、セルラー通信部13において、セルラー基地局3を経由して端末情報を制御サーバ4に送信する(
図5のST102)。
【0080】
また、アクセスポイント2では、情報収集部41において、自装置のアクセスポイント情報(位置情報、アクセスポイントID)を収集する(
図6のST201)。そして、ネットワーク通信部32において、アクセスポイント情報を制御サーバ4に送信する(
図6のST202)。このとき、アクセスポイント2が保持している周辺のアクセスポイント2のリスト、あるいは周辺のアクセスポイント2の位置情報も送信する。
【0081】
なお、ユーザ端末1では、端末情報を定期的に送信するようにしてもよいが、位置情報に変化があった場合、すなわち、ユーザ端末1が移動したときに端末情報を送信するようにしてもよい。この場合、制御サーバ4では、端末情報を受信すると、位置情報を更新することで、最新の位置情報を保持することができる。一方、アクセスポイント2は移動しないため、設置時などにアクセスポイント2からアクセスポイント情報を制御サーバ4に送信すればよい。
【0082】
制御サーバ4では、ネットワーク通信部51において、ユーザ端末1から送信される端末情報や、アクセスポイント2から送信されるアクセスポイント情報を受信すると(
図7のST301)、その端末情報およびアクセスポイント情報を情報格納部53に蓄積する(
図7のST302)。
【0083】
次に、アクセスポイント2の制御部33では、ユーザ端末1からのデータ送信要求(RTS)、または、ネットワークからのデータ受信要求があるか否かを判定し(
図6のST203)、データ送信要求またはデータ受信要求がある場合には(
図6のST203でYes)、ネットワーク通信部32において、データ送受信要求の通知を制御サーバ4に送信する(
図6のST204)。
【0084】
制御サーバ4では、ネットワーク通信部51において、アクセスポイント2から送信されるデータ送受信要求の通知を受信すると(
図7のST303でYes)、距離取得部61において、端末情報の位置情報およびアクセスポイント情報の位置情報に基づき、アクセスポイント2からユーザ端末1までの距離を取得する(
図7のST304)。そして、ビームパターン判定部63において、距離取得部61で取得した距離を所定のしきい値と比較して、指向性のビームパターンと無指向性のビームパターン(オムニパターン)とのいずれを用いるかを決定する(
図7のST305)。
【0085】
ここで、指向性のビームパターンで通信を行う場合には(
図7のST306でYes)、端末方向取得部62において、アクセスポイント2から見たユーザ端末1が位置する方向を取得する(
図7のST307)。そして、ビーム制御条件設定部64において、端末方向取得部62で取得した、アクセスポイント2から見たユーザ端末1が位置する方向に基づいて、ビーム角度(セクタID)を設定する(
図7のST308)。
【0086】
なお、無指向性のビームパターンで通信を行う場合には(
図7のST306でNo)、端末方向取得処理(
図7のST307)やビーム制御条件設定処理(
図7のST308)は省略される。
【0087】
次に、通知情報生成部65において、端末IDと、指向性および無指向性のビームパターンのいずれを用いるかに関するビームパターン判定結果と、ビーム制御条件設定部64で設定されたビーム制御条件とに関するビーム制御情報を含む通知情報を生成する(
図7のST309)。そして、ネットワーク通信部51において、通知情報生成部65で生成した通知情報をアクセスポイント2に送信する(
図7のST310)。
【0088】
アクセスポイント2では、ネットワーク通信部32において、制御サーバ4から送信される通知情報を受信すると(
図6のST205でYes)、ビーム制御部42において、通知情報に含まれるビームパターン判定結果およびビーム制御情報に基づいて、指向性および無指向性のビームパターンのいずれかに設定するとともに、指向性のビームパターンを用いる場合のビーム角度を設定するビーム制御を行いながら、無線LAN通信部31において、ユーザ端末1に制御情報(CTS)を送信する(
図6のST206)。
【0089】
以上の処理が、ユーザ端末1、アクセスポイント2、および制御サーバ4の各々において情報収集を停止するまで(ST103,ST207,ST311でYes)繰り返される。
【0090】
(第1実施形態の変形例)
次に、第1実施形態の変形例について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図8は、第1実施形態の変形例にかかるユーザ端末1、アクセスポイント2および制御サーバ4の概略構成を示すブロック図である。
【0091】
第1実施形態では、制御サーバ4において、距離取得、ビームパターン判定、端末方向取得、およびビーム制御条件設定の各処理を行って、これらの処理の結果であるビームパターン判定結果およびビーム角度を含む通知情報をアクセスポイント2に送信するようにしたが、この変形例では、距離取得、ビームパターン判定、端末方向取得、およびビーム制御条件設定の各処理をアクセスポイント2で行うようにしている。
【0092】
すなわち、この変形例では、第1実施形態において制御サーバ4に設けられていた距離取得部61、端末方向取得部62、ビームパターン判定部63、およびビーム制御条件設定部64が、アクセスポイント2に設けられており、制御サーバ4からユーザ端末1の位置情報を含む通知情報をアクセスポイント2に送信して、距離取得、ビームパターン判定、端末方向取得、およびビーム制御条件設定の各処理がアクセスポイント2で行われる。
【0093】
なお、この変形例では、距離取得、ビームパターン判定、端末方向取得、およびビーム制御条件設定の各処理の全てをアクセスポイント2で行うようにしたが、距離取得、ビームパターン判定、端末方向取得、およびビーム制御条件設定の各処理を制御サーバ4とアクセスポイント2で分担するようにしてもよい。
【0094】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図9は、第2実施形態に係る通信システムにおける制御情報の送信状況を示す説明図である。なお、ここでは制御情報のうち、CTSを送信する場合を例にとって説明するが、RTSを送信する場合においても同様である。
【0095】
アクセスポイント2の通信エリア内に位置するユーザ端末1が通信エリア外に移動する場合があり、この場合、通信エリア外に移動しようとするユーザ端末1に制御情報(CTS)を送信しても無駄である。そこで、本実施形態では、アクセスポイント2の通信エリア外に移動する可能性が高いユーザ端末1が見つかると、そのユーザ端末1を制御情報の送信対象から除外して制御情報を送信しないようにする。
【0096】
また、アクセスポイント2の通信エリア外に位置するユーザ端末1が通信エリア内に移動する場合があり、この場合、通信エリア内に移動しようとするユーザ端末1に制御情報を送信することが望ましい。そこで、本実施形態では、アクセスポイント2の通信エリア内に移動する可能性が高いユーザ端末1が見つかると、そのユーザ端末1を制御情報の送信対象に追加して制御情報を送信するようにする。
【0097】
次に、第2実施形態に係るユーザ端末1、アクセスポイント2および制御サーバ4の概略構成について説明する。
図10は、ユーザ端末1、アクセスポイント2および制御サーバ4の概略構成を示すブロック図である。なお、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成については、その説明を適宜に省略する。
【0098】
ユーザ端末1の制御部14は、端末情報収集部21およびビーム制御部22の他に、移動速度算出部23と、移動方向算出部24と、を備えている。
【0099】
移動速度算出部23では、位置情報取得部11で取得した自装置の現在の位置情報とその時刻、情報格納部15に格納された過去の位置情報とその時刻とに基づいて、自装置の移動速度を算出する。移動方向算出部24では、位置情報取得部11で取得した自装置の現在の位置情報と、情報格納部15に格納された過去の位置情報とに基づいて、自装置の移動方向を算出する。
【0100】
端末情報収集部21では、端末情報として、位置情報取得部11、移動速度算出部23および移動方向算出部24でそれぞれ取得した位置情報、方向情報および速度情報を収集する。
【0101】
アクセスポイント2の制御部33では、ネットワーク通信部32で受信した通知情報に基づいて、制御サーバ4で指定されたユーザ端末1を制御情報(CTS)の送信対象から除外して制御情報を送信しないようにする制御と、制御サーバ4で指定されたユーザ端末1を制御情報の送信対象に追加して制御情報を送信する制御とが行われる。なお、これは指向性ビームパターンで特定の方向に向かって送信する場合であって、送信対象から除外されたユーザ端末1の方向には送信しないようにするものである。また、無指向性ビームパターン(オムニパターン)で送信する場合は、制御情報(CTS)は同報送信されることになるが、送信権を与える端末IDのリストから除外しておくことで、制御情報(CTS)において送信の許可を与えないようにすることができる。
【0102】
制御サーバ4の制御部52は、距離取得部61、端末方向取得部62、ビームパターン判定部63、ビーム制御条件設定部64、および通知情報生成部65の他に、端末移動状況判定部66を備えている。
【0103】
端末移動状況判定部66では、アクセスポイント2の通信エリアの範囲に関する通信エリア情報と、端末情報(位置、移動速度、移動方向)とに基づいて、ユーザ端末1について、現在位置するアクセスポイント2の通信エリア外から退出する可能性が高いか否かを判定し、また、アクセスポイント2の通信エリア内に進入する可能性が高いか否かを判定する。
【0104】
通知情報生成部65では、端末移動状況判定部66の判定結果に基づいて、アクセスポイント2の通信エリア外に退出する可能性が高いユーザ端末1がある場合には、その端末IDと、制御情報(CTS)の送信対象から除外して制御情報を送信しないように指示する情報とを含む通知情報を生成する。また、アクセスポイント2の通信エリア内に進入する可能性が高いユーザ端末1がある場合には、その端末IDと、制御情報の送信対象に追加して制御情報を送信するように指示する通知情報を生成する。
【0105】
なお、送信対象から除外/追加する代わりに、送信権を与える端末IDのリストから、通信エリア外に退出する可能性が高いユーザ端末1の端末IDを除外する、または通信エリア内に進入する可能性が高いユーザ端末1を追加するようにしてもよい。
【0106】
次に、第2実施形態に係るユーザ端末1、アクセスポイント2、セルラー基地局3および制御サーバ4で行われる処理の手順について説明する。
図11は、ユーザ端末1、アクセスポイント2、セルラー基地局3および制御サーバ4で行われる処理の手順を示すシーケンス図である。
図12は、アクセスポイント2で行われる処理の手順を示すフロー図である。
図13は、制御サーバ4で行われる処理の手順を示すフロー図である。
【0107】
なお、
図11では、ユーザ端末1が、アクセスポイント2(退出側)の通信エリア内から通信エリア外に移動し、アクセスポイント2(進入側)の通信エリア外から通信エリア内に移動する場合について説明する。また、ユーザ端末1で行われる処理の手順は第1実施形態(
図5)と同様であり、そのフロー図は省略する。また、以下の説明では、第1実施形態と同様の処理については、その説明を適宜に省略する。
【0108】
制御サーバ4では、ネットワーク通信部51において、アクセスポイント2から送信されるデータ送受信要求の通知を受信すると(
図13のST303でYes)、端末移動状況判定部66において、ユーザ端末1について、現在位置するアクセスポイント2の通信エリア外から退出する可能性が高いか否かを判定し(
図13のST321)、また、アクセスポイント2の通信エリア内に進入する可能性が高いか否かを判定する(
図13のST322)。
【0109】
ここで、アクセスポイント2のエリア外に退出する可能性が高いユーザ端末1があると(
図13のST321でYes)、そのユーザ端末1を制御情報(CTS)の送信先から除外するものとする(
図13のST323)。また、アクセスポイント2のエリア内に進入する可能性が高いユーザ端末1があると(
図13のST322でYes)、そのユーザ端末1を制御情報(CTS)の送信先に追加するものとする(
図13のST324)。
【0110】
次に、通知情報生成部65において、端末移動状況判定部66の判定結果に基づいて、ユーザ端末1を指定して制御情報の送信先から除外する指示、または、ユーザ端末1を指定して制御情報の送信先へ追加する指示を含む通知情報を生成する(
図13のST309)。そして、ネットワーク通信部51において、通知情報生成部65で生成した通知情報をアクセスポイント2に送信する(
図13のST310)。
【0111】
次に、アクセスポイント2では、制御サーバ4から送信される通知情報を受信すると(
図12のST205でYes)、制御部33において、通知情報に含まれる指示の内容が送信先の除外であるか否かの判定(
図12のST221)と、指示の内容が送信先の追加であるか否かの判定(
図12のST222)とを行う。
【0112】
ここで、指示の内容が送信先の除外である場合には(
図12のST221でYes)、指定されたユーザ端末1を送信先から除外してそのユーザ端末1への制御情報(CTS)の送信を中止する(
図12のST223)。また、指示の内容が送信先の追加である場合には(
図12のST222でYes)、指定されたユーザ端末1を送信先に追加してそのユーザ端末1に制御情報(CTS)を送信する(
図12のST224)。
【0113】
なお、
図12では、第1実施形態の
図6に記載した処理(ST206)を省略しているが、制御情報を送信するユーザ端末1については前記の処理が行われる。また、
図13では、
図7に記載した処理(ST304〜ST308)を省略しているが、制御情報を送信するユーザ端末1については前記の処理が行われる。
【0114】
なお、本実施形態では、制御サーバ4において、アクセスポイント2の通信エリア情報と、端末情報(位置、速度、移動方向)とに基づいて、端末移動状況、すなわち、ユーザ端末1の通信エリアに対する退出・進入の可能性の高さを判定して、送信対象に対する除外・追加の指示を含む通知情報をアクセスポイント2に送信するようにしたが、ユーザ端末1の位置情報と、アクセスポイント2の通信エリア情報を制御サーバ4からアクセスポイント2に送信して、アクセスポイント2において、ユーザ端末1の通信エリアに対する退出・進入の可能性の高さを判定させるようにしてもよい。
【0115】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図14は、第3実施形態に係る通信システムにおける制御情報の送信状況を示す説明図である。なお、ここでは制御情報のうち、CTSを送信する場合を例にとって説明するが、RTSを送信する場合においても同様である。
【0116】
アクセスポイント2から見たユーザ端末1の方向が複数のユーザ端末1で近接していると、その複数のユーザ端末1に同時にまとめて制御情報(CTS)を送信することができる。そこで、本実施形態では、アクセスポイント2から見たユーザ端末1の方向が複数のユーザ端末1で近接している場合には、その複数のユーザ端末1に1本の指向性ビームで同時に送信可能なビーム制御条件(ビーム幅、ビーム角度および送信パワー)を求めて、そのビーム制御条件に基づいてビームを制御して制御情報を送信する。
【0117】
ここで、同時に制御情報を送信するユーザ端末1は、アクセスポイント2から見たユーザ端末1の方向が近接して、1本の指向性ビームの到達範囲内に存在すればよく、ユーザ端末1同士が近接している場合の他、ユーザ端末1同士が離れている場合もある。また、1台のユーザ端末1に送信する場合と比較すると、送信対象となる複数のユーザ端末1が1本のビームの到達範囲内に含まれるように、送信パワーを抑えてビーム幅を太くする制御が行われる。
【0118】
このように、本実施形態では、1本の指向性ビームで複数のユーザ端末1に同時に制御情報を送信することができるため、通信時間を短縮することができる。
【0119】
また、本実施形態では、第1実施形態と同様に、アクセスポイント2からユーザ端末1までの距離に応じてビームパターン(指向性、無指向性)を切り換え、指向性ビームで通信を行う場合には、アクセスポイント2から見たユーザ端末1の方向に基づいて、指向性ビームの角度を設定する。これにより、ネゴシエーションが不要になり、通信時間を短縮することができる。
【0120】
なお、指向性のビームパターンで通信を行う場合には、通信をより確実に行うために、最適なビーム角度(セクタID)を取得するためのビームフォーミングに関するネゴシエーションを行うようにしてもよい。また、ユーザ端末1の位置情報を用いずに、1本の指向性ビームで複数のユーザ端末1に同時に制御情報を送信する制御を行うこともできる。すなわち、ネゴシエーションで取得したビーム角度(セクタID)が隣り合わせの複数のユーザ端末1があると、両者のビーム角度をまとめたビーム角度を設定することで、複数のユーザ端末1に1本の指向性ビームで同時に制御情報を送信することができる。
【0121】
次に、第3実施形態に係るユーザ端末1、アクセスポイント2および制御サーバ4の概略構成について説明する。
図15は、ユーザ端末1、アクセスポイント2および制御サーバ4の概略構成を示すブロック図である。なお、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成については、その説明を適宜に省略する。
【0122】
アクセスポイント2のビーム制御部42では、ネットワーク通信部32で受信した通知情報に含まれるビーム制御情報(ビーム幅、ビーム角度および送信パワー)に基づいて、送信ビームを制御する。
【0123】
制御サーバ4の制御部52は、距離取得部61、端末方向取得部62、ビームパターン判定部63、ビーム制御条件設定部64、および通知情報生成部65の他に、端末方向比較部67を備えている。
【0124】
端末方向比較部67では、端末方向取得部62で取得した、アクセスポイント2から見た各ユーザ端末1の方向を比較して、1本の指向性ビームの到達範囲に基づく所定の範囲内で方向が近接する複数のユーザ端末1を見つけ出す。ビーム制御条件設定部64では、端末方向比較部67において方向が近接するものと判定された複数のユーザ端末1に1本の指向性ビームで同時に送信可能なビーム制御情報(ビーム幅、ビーム角度および送信パワー)を取得する。
【0125】
通知情報生成部65では、端末IDと、指向性および無指向性のビームパターンのいずれを用いるかに関するビームパターン判定結果、および指向性のビームパターンを用いる場合のビーム制御条件(ビーム幅、ビーム角度および送信パワー)に関するビーム制御情報とを含む通知情報を生成する。
【0126】
次に、第3実施形態に係るユーザ端末1、アクセスポイント2、セルラー基地局3および制御サーバ4で行われる処理の手順について説明する。
図16は、ユーザ端末1、アクセスポイント2、セルラー基地局3および制御サーバ4で行われる処理の手順を示すシーケンス図である。
図17は、制御サーバ4で行われる処理の手順を示すフロー図である。
【0127】
なお、ユーザ端末1で行われる処理の手順は前記の実施形態(
図5)と同様であり、そのフロー図は省略する。また、アクセスポイント2で行われる処理の手順も前記の実施形態(
図6)と同様であり、そのフロー図は省略する。また、以下の説明では、第1実施形態と同様の処理については、その説明を適宜に省略する。
【0128】
制御サーバ4では、ネットワーク通信部51において、アクセスポイント2から送信されるデータ送受信要求の通知を受信すると(
図17のST303でYes)、距離取得部61において、アクセスポイント2からユーザ端末1までの距離を取得する(
図17のST304)。そして、ビームパターン判定部63において、距離取得部61で取得した距離を所定のしきい値と比較して、指向性のビームパターンと無指向性のビームパターン(オムニパターン)とのいずれを用いるかを判定する(
図17のST305)。
【0129】
ここで、指向性のビームパターンで通信を行う場合には(
図7のST306でYes)、端末方向取得部62において、アクセスポイント2から見たユーザ端末1が位置する方向を取得する(
図7のST307)。次に、端末方向比較部67において、端末方向取得部62で取得した各ユーザ端末1の方向を比較して、方向が近接する複数のユーザ端末1を見つけ出す(
図17のST331)。
【0130】
次に、ビーム制御条件設定部64において、端末方向比較部67において方向が近接するものと判定された複数のユーザ端末1に1本の指向性ビームで同時に送信可能なビーム制御条件(ビーム幅、ビーム角度および送信パワー)を取得する(
図17のST308)。
【0131】
次に、通知情報生成部65において、端末IDと、ビームパターン判定部63の判定結果、すなわち、指向性および無指向性のビームパターンのいずれを用いるかに関するビームパターン判定結果と、ビーム制御条件設定部64で設定されたビーム制御条件とに関するビーム制御情報を含む通知情報を生成する(
図17のST309)。そして、ネットワーク通信部51において、通知情報生成部65で生成した通知情報をアクセスポイント2に送信する(
図17のST310)。
【0132】
アクセスポイント2では、ネットワーク通信部32において、制御サーバ4から送信される通知情報を受信すると(
図6のST205でYes)、ビーム制御部42において、通知情報に含まれるビームパターン判定結果およびビーム制御条件に基づいて、指向性および無指向性のビームパターンのいずれかに設定するとともに、指向性のビームパターンを用いる場合のビーム角度を設定するビーム制御を行って(
図6のST206)、無線LAN通信部31において、ユーザ端末1に制御情報(CTS)を送信する(
図6のST207)。
【0133】
なお、本実施形態では、制御サーバ4において、端末方向比較などの処理を行って、その処理の結果であるビーム制御情報を含む通知情報をアクセスポイント2に送信するようにしたが、端末方向比較の処理をアクセスポイント2で行うようにしてもよい。
【0134】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図18は、第4実施形態に係る通信システムにおける制御情報の送信状況を示す説明図である。なお、ここでは制御情報のうち、CTSを送信する場合を例にとって説明するが、RTSを送信する場合においても同様である。
【0135】
指向性のビームパターンで通信を行う場合、ユーザ端末1が移動すると、ユーザ端末1の移動先の位置で最適な通信を行うためのビーム制御条件を取得する必要がある。本実施形態では、過去にユーザ端末1がアクセスポイント2と通信を行ったときのビーム制御情報を含む端末情報を、制御サーバ4がユーザ端末1から収集して履歴情報として蓄積し、アクセスポイント2の通信相手となるユーザ端末1に関する適切な通信条件を、そのユーザ端末1の位置情報から履歴情報を参照して取得して、そのユーザ端末1の通信条件をアクセスポイント2に送信する。アクセスポイント2では、通信条件に基づいてCTSを送信する。なお、履歴情報に、過去にユーザ端末1がアクセスポイント2と通信を行ったときの通信品質の情報も含めるようにするとよい。このようにすると、ユーザ端末1の位置情報に近接する複数の履歴情報の中から、最も通信品質の良い履歴情報を選択することができる。
【0136】
特に本実施形態では、ビーム制御情報(ビームパターン、ビーム角度(セクタID)など)を含む端末情報を履歴情報として蓄積し、前記の実施形態と同様に、遠距離の場合に指向性のビームパターンで通信を行う場合に、履歴情報を参照してユーザ端末1の位置情報から、ユーザ端末1のビーム制御条件を決定して、そのビーム制御条件に基づいてビームを制御して制御情報(CTS)を送信する。一方、近距離の場合には、第1実施形態と同様に、無指向性のビームパターン(オムニパターン)で通信を行うが、この場合、履歴情報を参照することなく、ユーザ端末1の位置情報から求められる距離で判断すればよい。
【0137】
このように、本実施形態では、過去に他のユーザ端末1がアクセスポイント2と通信を行ったときの通信制御条件に関する履歴情報に基づいて、アクセスポイント2の通信相手となるユーザ端末1の通信制御条件を取得するため、移動先の位置での適切な通信制御条件を取得するためのネゴシエーションが不要になる。
【0138】
次に、第4実施形態に係るユーザ端末1、アクセスポイント2および制御サーバ4の概略構成について説明する。
図19は、ユーザ端末1、アクセスポイント2および制御サーバ4の概略構成を示すブロック図である。
【0139】
ユーザ端末1では、第1実施形態と同様に、自装置の位置情報および端末IDを含む端末情報を制御サーバ4に送信するが、本実施形態では、この他に、無線LAN通信部12によるアクセスポイント2との間の通信時にビーム制御部22でビーム制御を行ったときのビーム制御条件(ビームパターン、ビーム角度など)に関するビーム制御情報を端末情報として制御サーバ4に送信する。
【0140】
制御サーバ4の情報格納部53では、ネットワーク通信部51において受信した端末情報(端末ID、位置情報、ビーム制御情報)を履歴情報として蓄積する。すなわち、アクセスポイント2の通信エリア内の各位置で過去にユーザ端末1がアクセスポイント2と通信を行ったときのビーム制御条件がユーザ端末1の位置情報と対応づけた状態で格納される。
【0141】
制御サーバ4の制御部52は、ビーム制御条件設定部64と、通知情報生成部65と、を備えている。
【0142】
ビーム制御条件設定部64では、ユーザ端末1の現在の位置情報と、情報格納部53に格納された履歴情報とに基づいて、ユーザ端末1の現在位置に対応するビーム制御条件を決定する。すなわち、情報格納部53に格納された履歴情報の中から、ユーザ端末1の現在位置または所定の範囲内で近接する位置で過去に通信を行ったときのビーム制御条件を取得して、そのビーム制御条件を今回のビーム制御条件とする。なお、履歴情報に、過去にユーザ端末1がアクセスポイント2と通信を行ったときの通信品質の情報も含め、ユーザ端末1の位置情報に近接する複数の履歴情報の中から、最も通信品質の良い履歴情報を選択し、この中からビーム制御条件を取得するようにしてもよい。
【0143】
通知情報生成部65では、ビーム制御条件設定部64で取得したビーム制御条件に関するビーム制御情報を含む通知情報を生成する。
【0144】
次に、第4実施形態に係るユーザ端末1、アクセスポイント2、セルラー基地局3および制御サーバ4で行われる処理の手順について説明する。
図20は、ユーザ端末1、アクセスポイント2、セルラー基地局3および制御サーバ4で行われる処理の手順を示すシーケンス図である。
図21は、制御サーバ4で行われる処理の手順を示すフロー図である。
【0145】
なお、ユーザ端末1で行われる処理は第1実施形態(
図5)と同様であり、そのフロー図は省略する。また、アクセスポイント2で行われる処理も前記の実施形態(
図6)と同様であり、そのフロー図は省略する。また、以下の説明では、第1実施形態と同様の処理については、その説明を適宜に省略する。
【0146】
制御サーバ4では、ネットワーク通信部51において、ユーザ端末1からセルラー基地局3を介して送信される端末情報(端末ID、位置情報、ビーム制御情報)を受信すると(
図21のST301)、その端末情報を履歴情報として情報格納部53に蓄積する(
図21のST302)。
【0147】
そして、ネットワーク通信部51において、アクセスポイント2から送信されるデータ送受信要求の通知を受信すると(
図21のST303でYes)、ビーム制御条件設定部64において、ユーザ端末1の現在の位置情報と、情報格納部53に格納された履歴情報とに基づいて、ユーザ端末1の現在位置に対応するビーム制御条件を決定する(
図21のST341)。
【0148】
次に、通知情報生成部65において、端末IDと、ビーム制御条件設定部64で取得したビーム制御情報を含む通知情報を生成する(
図21のST309)。そして、ネットワーク通信部51において、通知情報生成部65で生成した通知情報をアクセスポイント2に送信する(
図21のST310)。
【0149】
アクセスポイント2では、ネットワーク通信部32において、制御サーバ4から送信される通知情報を受信すると(
図6のST205でYes)、ビーム制御部42において、通知情報に含まれるビーム制御情報に基づいて、指向性および無指向性のビームパターンのいずれかに設定するとともに、指向性のビームパターンを用いる場合のビーム角度を設定するビーム制御を行って(
図6のST206)、無線LAN通信部31において、ユーザ端末1に制御情報(CTS)を送信する(
図6のST207)。
【0150】
なお、本実施形態では、過去にユーザ端末1がアクセスポイント2と通信を行ったときのビーム制御情報を、ユーザ端末1から制御サーバ4に送信して、そのビーム制御情報を履歴情報として制御サーバ4に蓄積するようにしたが、ビーム制御情報に、最適なビーム制御条件とともに、それ以外の適切なビーム制御条件に関する情報を含めて制御サーバ4に蓄積するようにしてもよい。
【0151】
すなわち、通常、ビームフォーミングに関するネゴシエーションにより最適なビーム制御条件を取得して、その最適なビーム制御条件にしたがって通信を行うが、その最適なビーム制御条件以外の適切なビーム制御条件、例えば2番目、3番目に適切なビーム制御条件をネゴシエーションにより取得し、制御サーバ4において、複数のビーム制御条件に優先順位を付与した状態でビーム制御情報を管理するようにする。
【0152】
このようにすると、優先順位が最も上位のビーム制御条件で制御情報(CTS)の送信が失敗した場合に、優先順位が次順位のビーム制御条件で制御情報の送信を再度行うことで、制御情報を確実に送信することができる。
【0153】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図22は、第5実施形態に係る通信システムにおける制御情報の送信状況を示す説明図である。なお、ここでは制御情報のうち、CTSを送信する場合を例にとって説明するが、RTSを送信する場合においても同様である。
【0154】
指向性のビームパターンで通信を行う場合、ユーザ端末1が移動すると、ユーザ端末1の移動先の位置における最適なビーム制御条件を取得するために、ユーザ端末1とアクセスポイント2との間でビームフォーミングに関するネゴシエーションを行う必要がある。このとき、移動しているユーザ端末1が多数ある場合に、各ユーザ端末1と個別にネゴシエーションを行うと、時間がかかる。そこで、本実施形態では、指向性ビームを回転させながら制御情報(CTS)を送信する。
【0155】
この指向性ビームを回転させながら制御情報を送信するビーム回転制御は、アクセスポイント2の通信エリア内に存在する移動中のユーザ端末1が多い場合に有効であり、本実施形態では、移動しているユーザ端末1の数が所定のしきい値を超える場合、ビーム回転制御を行う。
【0156】
ここで、しきい値は、予め設定された固定値としてもよいが、ユーザ端末1の総数に占める移動しているユーザ端末1の割合で規定することもできる。例えば、ビーム回転制御を行う条件を、ユーザ端末1が1台だけでも移動している場合、過半数のユーザ端末1が移動している場合、全てのユーザ端末1が移動している場合としてもよい。なお、全てのユーザ端末1が移動していない場合には、各ユーザ端末1にビームの指向性を合わせた個別送信で制御情報を送信すればよい。
【0157】
次に、第5実施形態に係るユーザ端末1、アクセスポイント2および制御サーバ4の概略構成について説明する。
図23は、ユーザ端末1、アクセスポイント2および制御サーバ4の概略構成を示すブロック図である。なお、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成については、その説明を適宜に省略する。
【0158】
アクセスポイント2のビーム制御部42では、ネットワーク通信部32で受信した通知情報に含まれるビーム制御情報(ビーム回転制御の有無など)に基づいて、ビーム制御が行われる。ビーム制御情報においてビーム回転制御が指示された場合には、ビームを回転させながら制御情報を送信するビーム回転制御を行う。
【0159】
制御サーバ4の制御部は、端末移動状況判定部66を備えている。この端末移動状況判定部66では、ユーザ端末1の位置情報に基づいて、各ユーザ端末1が移動しているか否かを判定し、移動しているユーザ端末1に関する値(台数または割合)を所定のしきい値と比較して、ビームを回転させながら制御情報を送信するビーム回転制御を行うか否かを判定する。
【0160】
通知情報生成部65では、ビーム回転制御を行うか否かに関する情報を含む通知情報を生成する。なお、ビーム回転制御を行わないユーザ端末1に関する通知情報には、第1実施形態と同様に、端末IDと、指向性および無指向性のビームパターンのいずれを用いるかに関するビームパターン判定結果と、指向性のビームパターンを用いる場合のビーム制御条件とに関するビーム制御情報が含まれる。
【0161】
次に、第5実施形態に係るユーザ端末1、アクセスポイント2、セルラー基地局3および制御サーバ4で行われる処理の手順について説明する。
図24は、ユーザ端末1、アクセスポイント2、セルラー基地局3および制御サーバ4で行われる処理の手順を示すシーケンス図である。
図25は、制御サーバ4で行われる処理の手順を示すフロー図である。
【0162】
なお、ユーザ端末1で行われる処理は第1実施形態(
図5)と同様であり、そのフロー図は省略する。また、アクセスポイント2で行われる処理も第1実施形態(
図6)と同様であり、そのフロー図は省略する。また、以下の説明では、第1実施形態と同様の処理については、その説明を適宜に省略する。
【0163】
制御サーバ4では、ネットワーク通信部51において、アクセスポイント2から送信されるデータ送受信要求の通知を受信すると(
図25のST303でYes)、距離取得部61において、アクセスポイント2からユーザ端末1までの距離を取得する(
図25のST304)。そして、ビームパターン判定部63において、距離取得部61で取得した距離を所定のしきい値と比較して、指向性のビームパターンと無指向性のビームパターン(オムニパターン)とのいずれを用いるかを決定する(
図25のST305)。
【0164】
ここで、指向性のビームパターンで通信を行う場合には(
図25のST306でYes)、端末移動状況判定部66において、移動しているユーザ端末1が多い、すなわち、移動しているユーザ端末1が所定のしきい値以上であるか否かを判定する(
図25のST351)。
【0165】
ここで、移動しているユーザ端末1が少ない場合には(
図25のST351でNo)、端末方向取得部62において、アクセスポイント2から見たユーザ端末1が位置する方向を取得する(
図25のST307)。そして、ビーム制御条件設定部64において、端末方向取得部62で取得した、アクセスポイント2から見たユーザ端末1が位置する方向に基づいて、ビーム角度(セクタID)を設定する(
図25のST308)。
【0166】
なお、無指向性のビームパターンで通信を行う場合や(
図25のST306でNo)、移動しているユーザ端末1が多い場合には(
図25のST351でYes)、端末方向取得処理(ST307)やビーム制御条件設定処理(
図25のST308)は省略される。
【0167】
次に、通知情報生成部65において、端末IDと、指向性および無指向性のビームパターンのいずれを用いるかに関するビームパターン判定結果と、ビーム回転制御の有無に関する情報と、ビーム制御条件設定部64で設定されたビーム制御条件とに関するビーム制御情報を含む通知情報を生成する(
図25のST309)。そして、ネットワーク通信部51において、通知情報生成部65で生成した通知情報をアクセスポイント2に送信する(
図25のST310)。
【0168】
アクセスポイント2では、ネットワーク通信部32において、制御サーバ4から送信される通知情報を受信すると(
図6のST205でYes)、ビーム制御部42において、通知情報に含まれるビーム制御情報に基づいて、指向性および無指向性のビームパターンのいずれかに設定し、指向性のビームパターンを用いる場合で、ビーム回転制御が指示された場合には、無線LAN通信部31において、ビームを回転させながらユーザ端末1に制御情報(CTS)を送信する(
図6のST206)。
【0169】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図26は、第6実施形態に係るユーザ端末1とアクセスポイント2との間のネゴシエーションの状況を示す説明図である。
【0170】
多数のユーザ端末1が移動している場合には、第5実施形態(
図22参照)のように、ビームを回転させながら制御情報を送信すればよいが、移動しているユーザ端末1が少ない場合には、その移動しているユーザ端末1に制御情報(CTS)を個別に送信する方が効率的である。このとき、制御情報の送信にあたって、ユーザ端末1の移動先の位置における最適なビーム制御条件を取得するために、ユーザ端末1とアクセスポイント2との間でビームフォーミングに関するネゴシエーションを行う必要がある。
【0171】
そこで、本実施形態では、ユーザ端末1が所定数(例えば1台)しか移動していない場合に、その移動しているユーザ端末1に、ネゴシエーションの開始を指示する通知情報を、制御サーバ4からセルラー基地局3を経由してユーザ端末1に送信する。そして、ユーザ端末1からアクセスポイント2にネゴシエーション要求を送信して、ユーザ端末1とアクセスポイント2との間のネゴシエーションを行う。
【0172】
なお、本実施形態では、アクセスポイント2からユーザ端末1にネゴシエーションの要求を送信するようにしたが、ユーザ端末1からアクセスポイント2にネゴシエーションの要求を送信することも可能である。
【0173】
次に、第6実施形態に係るユーザ端末1、アクセスポイント2および制御サーバ4の概略構成について説明する。
図27は、ユーザ端末1、アクセスポイント2および制御サーバ4の概略構成を示すブロック図である。なお、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成については、その説明を適宜に省略する。
【0174】
ユーザ端末1の制御部14では、制御サーバ4からセルラー基地局3を経由して送信される通知情報をセルラー通信部13で受信すると、通信情報に含まれるネゴシエーション開始の指示に応じて、ネゴシエーションを開始し、無線LAN通信部12において、ネゴシエーションの要求をアクセスポイント2に送信する。
【0175】
制御サーバ4の制御部52は、通知情報生成部65の他に、端末移動状況判定部66と、ネゴシエーション開始判定部71と、を備えている。
【0176】
端末移動状況判定部66では、ユーザ端末1の位置情報に基づいて、アクセスポイント2の通信エリア内の各ユーザ端末1が移動しているか否かを判定する。ネゴシエーション開始判定部71では、端末移動状況判定部66の判定結果に基づいて、ネゴシエーションを開始するか否かを判定する。ここでは、移動しているユーザ端末1の数が所定数以下である場合に、ネゴシエーションを開始するものと判定する。
【0177】
通知情報生成部65では、ネゴシエーションの開始を指示する通知情報を生成する。ネットワーク通信部51では、通知情報生成部65で生成した通知情報を、セルラー基地局を経由してユーザ端末1に送信する。
【0178】
次に、第6実施形態に係るユーザ端末1、アクセスポイント2、セルラー基地局3および制御サーバ4で行われる処理の手順について説明する。
図28は、ユーザ端末1、アクセスポイント2、セルラー基地局3および制御サーバ4で行われる処理の手順を示すシーケンス図である。
図29は、ユーザ端末1で行われる処理の手順を示すフロー図である。
図30は、アクセスポイント2で行われる処理の手順を示すフロー図である。
図31は、制御サーバ4で行われる処理の手順を示すフロー図である。
【0179】
なお、以下の説明では、第1実施形態と同様の処理については、その説明を適宜に省略する。
【0180】
制御サーバ4では、ネットワーク通信部51において、アクセスポイント2から送信されるデータ送受信要求の通知を受信すると(
図31のST303でYes)、端末移動状況判定部66において、アクセスポイント2の通信エリア内の各ユーザ端末1が移動しているか否かを判定する(
図31のST361)。次に、ネゴシエーション開始判定部71において、移動しているユーザ端末1の数が所定数以下である場合に、ネゴシエーションを開始するものと判定する(
図31のST362)。
【0181】
次に、通知情報生成部65において、ネゴシエーションを開始する場合には、ネゴシエーションの開始を指示する通知情報を生成する(
図31のST363)。そして、ネットワーク通信部51において、通知情報生成部65で生成した通知情報を、セルラー基地局3を経由してユーザ端末1に送信する(
図31のST364)。
【0182】
ユーザ端末1では、セルラー通信部13において、制御サーバ4からセルラー基地局3を経由して送信される通知情報を受信すると(
図29のST121でYes)、通知情報に含まれるネゴシエーション開始の指示に応じて、ネゴシエーション要求をアクセスポイント2に送信して、アクセスポイント2との間でネゴシエーションを開始する(
図29のST122)。
【0183】
アクセスポイント2では、ユーザ端末1から送信されるネゴシエーション要求を受信すると(
図30のST231でYes)、ユーザ端末1との間でネゴシエーションを開始する(
図30のST232)。そして、ネゴシエーションが完了すると、制御情報(RTS、CTS)をユーザ端末1に送信する(
図30のST233)。このとき、ユーザ端末1からのRTSを受信している場合には、ユーザ端末1にCTSを送信し、ネットワークからの送信要求を受信している場合には、ユーザ端末1にRTSを送信する。
【0184】
なお、第1実施形態と同様に、アクセスポイント2からユーザ端末1までの距離を取得して、その距離を所定のしきい値と比較して、距離がしきい値Dt以上である場合に、ネゴシエーションの開始を指示する通知情報を制御サーバ4からユーザ端末1に送信して、ユーザ端末1とアクセスポイント2との間でネゴシエーションを行わせるようにするとよい。一方、距離がしきい値Dt未満である場合には、無指向性のビームパターン(オムニパターン)で制御情報をユーザ端末1に送信すればよい。
【0185】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図32は、第7実施形態に係る通信システムの全体構成図である。
【0186】
この通信システムは、第1のセルラー基地局5と、第2のセルラー基地局6とを備えている。第1のセルラー基地局5は、前記の実施形態におけるセルラー基地局3と同様である。第2のセルラー基地局6は、D2D通信の機能を有している。この第2のセルラー基地局6は、車両(バスなど)に搭載されている。WiGigのアクセスポイント2も車両に搭載されている。車両にはユーザ端末1を所持したユーザが乗車し、ユーザ端末1は車両内に位置する。
【0187】
また、ユーザ端末1も、D2D通信の機能を有しており、ユーザ端末1と第2のセルラー基地局6との間で制御情報をD2D通信により送受信する。特に本実施形態では、ユーザ端末1からRTSをWiGigによりアクセスポイント2に送信し、第2のセルラー基地局6からユーザ端末1にD2D通信によりCTSを送信する。なお、第1実施形態と同様に、ユーザ端末1とアクセスポイント2との間でユーザデータをWiGigにより送受信する。
【0188】
ここで、D2D通信(セルラーデバイス間通信)とは、セルラー(LTE)をベースにしたデータ通信方式であり、比較的近距離に位置する装置同士がセルラー基地局3を介さずに直接通信を行うことができるようにしたものである。このD2D通信では、使用するチャネルの割り当てなどに関して、第1のセルラー基地局5の支援を受けた上で、ユーザ端末1と第2のセルラー基地局6との間でのD2D通信が開始される。
【0189】
また、本実施形態では、第2のセルラー基地局6からユーザ端末1までの距離を算出し、その距離に基づいて、第2のセルラー基地局6から制御情報をD2D通信により送信する際の送信パワーを制御する。
【0190】
このように本実施形態では、第2のセルラー基地局6からWiGigよりも低い周波数を利用したD2D通信で制御情報を送信することから、より確実に制御情報を送信することができる。また、第2のセルラー基地局6から制御情報をD2D通信で送信する際の送信パワーを、第2のセルラー基地局6からユーザ端末1までの距離に応じて制御するため、第2のセルラー基地局6から効率的に制御情報を送信することができる。
【0191】
次に、第7実施形態に係るユーザ端末1、アクセスポイント2、第2のセルラー基地局6および制御サーバ4の概略構成について説明する。
図33は、ユーザ端末1、アクセスポイント2、第2のセルラー基地局および制御サーバ4の概略構成を示すブロック図である。なお、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成については、その説明を適宜に省略する。
【0192】
ユーザ端末1は、第2のセルラー基地局との間でD2D通信を行うD2D通信部(第3の通信部)17を備えている。
【0193】
アクセスポイント2は、第2のセルラー基地局6との間で通信を行う通信部37を備えている。
【0194】
第2のセルラー基地局6は、D2D通信部81と、基地局間通信部82と、通信部83と、制御部84と、情報格納部85と、を備えている。
【0195】
D2D通信部81では、ユーザ端末1との間でD2D通信を行う。基地局間通信部82では、第1のセルラー基地局5との間で通信を行う。通信部83では、アクセスポイント2との間で通信を行う。
【0196】
制御部84は、送信パワー制御部87を備えている。この送信パワー制御部87では、D2D通信部81でD2D通信により制御情報を送信する際の送信パワーを制御する。情報格納部85では、制御部84で実行されるプログラムなどが格納される。
【0197】
制御サーバ4の制御部52は、距離取得部68と、送信パワー設定部69と、通知情報生成部65と、を備えている。距離取得部68では、ユーザ端末1および第2のセルラー基地局6の位置情報に基づいて、第2のセルラー基地局6からユーザ端末1までの距離を算出する。
【0198】
送信パワー設定部69では、距離取得部68で取得した距離に応じて、第2のセルラー基地局6からD2D通信により制御情報を送信する際の送信パワーを設定する。すなわち、第2のセルラー基地局6からユーザ端末1までの距離が短い場合には、送信パワーを低下させ、第2のセルラー基地局6からユーザ端末1までの距離が長い場合には、送信パワーを増大させる。
【0199】
通知情報生成部65では、第2のセルラー基地局6に送信する通知情報を生成する。この通知情報には、制御情報の送信先となるユーザ端末1の端末IDと、送信パワー設定部69で取得した送信パワーに関する情報と、が含まれる。
【0200】
次に、第7実施形態に係るユーザ端末1、アクセスポイント2、第1のセルラー基地局5、第2のセルラー基地局6および制御サーバ4で行われる処理の手順について説明する。
図34は、ユーザ端末1、アクセスポイント2、第1のセルラー基地局5、第2のセルラー基地局6および制御サーバ4で行われる処理の手順を示すシーケンス図である。
図35は、アクセスポイント2で行われる処理の手順を示すフロー図である。
図36は、第2のセルラー基地局6で行われる処理の手順を示すフロー図である。
図37は、制御サーバ4で行われる処理の手順を示すフロー図である。
【0201】
なお、ユーザ端末1で行われる処理の手順は第1実施形態(
図5参照)と同様であり、そのフロー図は省略する。また、以下の説明では、第1実施形態と同様の処理については、その説明を適宜に省略する。
【0202】
アクセスポイント2では、アクセスポイント情報を第2のセルラー基地局6および第1のセルラー基地局5を経由して制御サーバ4に送信する(
図35のST202)。このとき、第2のセルラー基地局6では、アクセスポイント2から送信されるアクセスポイント情報の受信に応じて、そのアクセスポイント情報を第1のセルラー基地局5を経由して制御サーバ4に送信する処理が行われるが、この処理については、
図36に示す第2のセルラー基地局6のフロー図では省略している。
【0203】
次に、アクセスポイント2では、無線LAN通信部31において、ユーザ端末1から送信されるRTSを受信すると(
図35のST241でYes)、通信部37において、データ送信要求の通知を第2のセルラー基地局6および第1のセルラー基地局5を経由して制御サーバ4に送信する(
図35のST242)。一方、ユーザ端末1からのRTSを受信しない場合には(
図35のST241でNo)、特に処理は行われない。
【0204】
次に、第2のセルラー基地局6では、通信部63において、アクセスポイント2から送信されるデータ送信要求の通知を受信すると(
図36のST401でYes)、そのデータ送信要求の通知を第1のセルラー基地局5を経由して制御サーバ4に送信する(
図36のST402)。
【0205】
次に、制御サーバ4では、ネットワーク通信部51において、アクセスポイント2から第2のセルラー基地局6を経由して送信されるデータ送受信要求の通知を受信すると(
図37のST303でYes)、距離取得部68において、端末情報および第2のセルラー基地局6の位置情報に基づいて、第2のセルラー基地局6からユーザ端末1までの距離を取得する(
図37のST371)。次に、送信パワー設定部69において、距離取得部68で取得した距離に基づいて、第2のセルラー基地局から制御情報を送信する際の送信パワーを設定する(
図37のST372)。
【0206】
次に、通知情報生成部65において、送信パワー設定部69で設定された送信パワーに関する情報を含む通知情報を生成する(
図37のST373)。そして、通信部において、通知情報生成部で生成した通知情報を、第1のセルラー基地局5を経由して第2のセルラー基地局6に送信する(
図37のST374)。
【0207】
次に、第2のセルラー基地局6では、制御サーバ4から送信される通知情報を受信すると(
図36のST403でYes)、その通知情報に含まれる送信パワーに関する情報に基づいて、D2D通信部81における送信パワーを制御してユーザ端末1に制御情報をD2D通信で送信する(
図36のST404)。
【0208】
(第7実施形態の変形例)
次に、第7実施形態の変形例について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図38は、第7実施形態の変形例に係る通信システムの全体構成図である。
【0209】
第7実施形態では、ユーザ端末1からRTSをアクセスポイント2に送信するようにしたが、この変形例では、ユーザ端末1からRTSをD2D通信で第2のセルラー基地局6に送信し、第2のセルラー基地局6でユーザ端末1からのRTSを受信した旨の通知を第2のセルラー基地局6からアクセスポイント2に送信するようにしている。CTSをD2D通信で第2のセルラー基地局6から送信することは、第7実施形態と同様である。
【0210】
次に、第7実施形態の変形例にかかるユーザ端末1、アクセスポイント2、第1のセルラー基地局5、第2のセルラー基地局6および制御サーバ4で行われる処理の手順について説明する。
図39は、ユーザ端末1、アクセスポイント2、第1のセルラー基地局5、第2のセルラー基地局6および制御サーバ4で行われる処理の手順を示すシーケンス図である。
図40は、第2のセルラー基地局6で行われる処理の手順を示すフロー図である。
図41は、アクセスポイント2で行われる処理の手順を示すフロー図である。
【0211】
なお、ユーザ端末1で行われる処理の手順は第1実施形態(
図5参照)と同様であり、そのフロー図は省略する。また、制御サーバ4で行われる処理の手順は第7実施形態(
図36)と同様であり、そのフロー図は省略する。また、以下の説明では、第1実施形態および第7実施形態と同様の処理については、その説明を適宜に省略する。
【0212】
第2のセルラー基地局6では、D2D通信部81において、ユーザ端末1から送信される制御情報を受信すると(
図40のST421)、制御部64において、受信した制御情報が自装置で扱うものか否かを判定し(
図40のST422)、制御情報が自装置で扱うものでなければ(
図40のST422でNo)、通信部63において、制御情報をアクセスポイント2に送信する(
図40のST423)。
【0213】
次に、アクセスポイント2では、通信部37において、第2のセルラー基地局6から送信される制御情報を受信すると(
図41のST251でYes)、制御部64において、受信した制御情報を解釈し(
図41のST252)、制御情報がRTSである場合には(
図41のST253でYes)、データ送信要求の通知を第2のセルラー基地局6および第1のセルラー基地局5を経由して制御サーバ4に送信する(
図41のST254)。一方、制御情報がRTSでない場合には(
図41のST253でNo)、特に処理は行われない。
【0215】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図42は、第8実施形態に係る通信システムの全体構成図である。
【0216】
この通信システムは、第7実施形態と同様に、D2D通信の機能を有する第2のセルラー基地局6を備えているが、第7実施形態とは異なり、第2のセルラー基地局6は、車両(バスなど)に搭載されたものでなく、アクセスポイント2の近傍に設置される。また、ユーザ端末1は、第7実施形態と同様に、D2D通信の機能を有しており、ユーザ端末1からRTSをWiGigによりアクセスポイント2に送信し、第2のセルラー基地局6からユーザ端末1にD2D通信によりCTSを送信する。
【0217】
また、第7実施形態の変形例と同様に、ユーザ端末1から第2のセルラー基地局6にRTSをD2D通信で送信し、第2のセルラー基地局6からユーザ端末1にCTSをD2D通信で送信するようにしてもよい。
【0218】
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について説明する。なお、ここで特に言及しない点は前記の実施形態と同様である。
図43は、第9実施形態に係る通信システムの全体構成図である。
【0219】
この通信システムは、D2D通信の機能を有するセルラー基地局7を備えている。セルラー基地局7は、アクセスポイント2の近傍に設置される。
【0220】
第7実施形態では、D2D通信の機能を有していない第1のセルラー基地局5を介して、セルラー通信により端末情報をユーザ端末1から制御サーバ4に送信するようにしたが、この第9実施形態では、D2D通信の機能を有するセルラー基地局7を介して、D2D通信により端末情報をユーザ端末1から制御サーバ4に送信する。また、ユーザ端末1は、第7実施形態と同様に、D2D通信の機能を有しており、ユーザ端末1とセルラー基地局7との間でD2D通信により制御情報(RTS、CTSなど)を送受信する。
【0221】
この場合、第7実施形態と同様に、ユーザ端末1からRTSをWiGigによりアクセスポイント2に送信して、セルラー基地局7からユーザ端末1にCTSをD2D通信で送信するようにしてもよく、また、ユーザ端末1からセルラー基地局7にRTSをD2D通信で送信し、セルラー基地局7からユーザ端末1にCTSをD2D通信で送信するようにしてもよい。
【0222】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【0223】
例えば、前記の実施形態では、第1の基地局装置をWiGigのアクセスポイントとし、第2の基地局装置をセルラー基地局としたが、この第2の基地局装置は、セルラー方式以外の無線通信方式を採用したもの、例えば、WiFi(登録商標)などの無線LAN(WiGigを除く)のアクセスポイントとしてもよい。また、この第2の基地局装置は、端末装置と無線で通信を行うものの他、端末装置と有線で通信を行うものであってもよい。また、第1の基地局装置は、WiGigの他に、ミリ波などの高周波数帯を利用した無線通信方式を採用したものであってもよい。
【0224】
また、前記の実施形態では、制御情報としてRTSおよびCTSを送受信する場合の制御について説明したが、送受信される制御情報は、無線LANのビーコン信号であってもよい。さらに、制御情報を送受信する場合の他、ユーザデータを送信する場合の制御に適用することもできる。
【解決手段】ユーザ端末1と、ユーザ端末との間でユーザデータを送受信するアクセスポイント2と、ユーザ端末とアクセスポイントとの間の通信を補助するセルラー基地局3と、制御サーバ4と、を備え、ユーザ端末は、自装置の位置情報をセルラー基地局を介して制御サーバに送信するセルラー通信部13を有し、制御サーバは、ユーザ端末の位置情報に基づいて通信制御情報を生成する制御部52と、通信制御情報を含む通知情報をアクセスポイントに送信するネットワーク通信部51と、を有し、アクセスポイントは、通信制御情報に基づいてユーザ端末との間の無線通信のビームを制御するビーム制御部42を有する。