(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
真空チャンバーを備え、前記真空チャンバー内の空気を吸引する真空ポンプを装備し、回転ベルトの回転搬送により真空チャンバー内に被包装物の入った包装袋をセットし、前記真空チャンバー内の空気を吸引して非連続的に真空包装するベルト式真空包装機の制御方法において、
真空チャンバーの蓋体の開から閉までの時間から、真空ポンプの立ち上がり時間を差し引いた経過時をポンプ能力の低出力から高出力への切り替わり時とし、
真空チャンバーの真空引きの予め定めた経過時を、高出力から低出力への切り替わり時とする、ベルト式真空包装機の制御方法。
ポンプ能力の低出力から高出力への切り替わりは、蓋体の閉を基準とし、蓋体の閉信号から蓋体が完全に閉まるまでの時間から、真空ポンプの立ち上がり時間を差し引いた経過時をポンプ能力の低出力から高出力への切り替わり時とする、
ことを特徴とする請求項1に記載のベルト式真空包装機の制御方法。
真空チャンバーを備え、前記真空チャンバー内の空気を吸引する真空ポンプを装備し、作業者により真空チャンバー内に被包装物の入った包装袋をセットし、前記真空チャンバー内の空気を吸引して非連続的に真空包装するバッチ式真空包装機の制御方法において、
包装袋セット作業が完了して真空チャンバーの蓋体を閉じる段階で、ポンプ能力の低出力から高出力への切り替え、そして、タイマーがカウントを開始し、予め定めた真空引きのタイムを計測し、タイムが完了すると、ポンプ能力を高出力から低出力に切り替えるバッチ式真空包装機の制御方法。
【背景技術】
【0002】
真空包装機には、大別して、連続的に被包装物を包装袋に真空包装するロータリー式真空包装装置と、作業者が被包装物の入った包装袋を個別にセットしながら非連続的に操作するベルト式真空包装機又はバッチ式真空包装機等がある。本発明は後者の真空包装機において、電力の消費を抑えることのできる省エネタイプの
真空包装機の制御方法を提供することを目的とする発明である。
【0003】
ロータリー式真空包装装置では、連続的に真空包装作業を行うために、真空ポンプのモータを連続回転し、真空ポンプが複数の真空チャンバー内の空気を連続的に吸引しながら運転する必要がある。また、従来のベルト式真空包装機及びバッチ式真空包装機でも、真空包装作業の状態に関係なく、真空ポンプの出力を常に100%の高出力の状態で駆動していた。
【0004】
図9は、従来のベルト式真空包装機の側面図である。この図において、1は間欠回転する短い長さの回転ベルト、2は回転ベルト1を回転駆動する駆動ローラ、3は回転ベルト1を介して駆動ローラ2により回転する従動ローラ、4は回転ベルト1の上部に配置された真空チャンバーを構成する蓋体、5は蓋体4を昇降動させるクランク機構を示している。図示していないが、このベルト式真空包装機には、駆動ローラ2により回転ベルト1を回転駆動するベルト駆動用モータや前記クランク機構5を駆動するクランク機構駆動用モータを備えている。
【0005】
包装袋に被包装物を充填して真空包装するために、回転ベルト1の下流側(
図9の回転ベルト1の右側部)の上部に、クランク機構5により昇降動する真空チャンバーの蓋体4が配置され、この蓋体4が下降して回転ベルト1に密着し、蓋体4内に密封空間を作る。
【0006】
蓋体4と回転ベルト1とからなる真空チャンバーの密封空間は、フレーム6下部に配備された真空ポンプ7に連通しており、同じくフレーム6下部に併設された真空ポンプ駆動用モータ8により駆動され、真空チャンバー内の空気を吸引して包装袋を真空包装する。また、ベルト式真空包装機には、コントロールボックス9が取り付けられている。このコントロールボックス9には、包装機全体をコントロールするメインコントローラが備えられている。
【0007】
前記回転ベルト1の上面に、角柱状のシール台(図示せず)が回転ベルト1の回転方向に所定間隔を開けて複数本固定されている。これらのシール台は、回転ベルト1の幅方向に配置され、このシール台と対応させて、蓋体4の上部裏面にも上部シール部(図示せず)を備えており、前記シール台と前記上部シール部により袋口をシールするシーラを構成している。
【0008】
図10は、従来のベルト式真空包装機で作業を行う際の作業の1工程と真空ポンプ7の作動状態を示した説明図である。この
図10の上段が作業工程を示しており、下段は真空ポンプ駆動用モータ8の運転状況を示している。通常、真空包装作業は、前工程でセットした被包装物の入った包装袋を真空チャンバー内で真空包装している間に、次工程の被包装物の入った包装袋の袋口を回転ベルト上のシール台にセットして待機する。
【0009】
前工程の包装袋が真空チャンバー内で真空状態になった段階で、真空チャンバー内のシーラにより袋口をシールし、シールした袋口を冷却した後、クランク機構5により蓋体4が持ち上げられて真空チャンバー内を開放した後、回転ベルト1を回転させて前工程の包装袋を搬出シュート10で受け止めた後、搬出する。
【0010】
前記回転ベルト1の回転と同時に、セットした次工程の包装袋が蓋体4の下部に至ると、蓋体4が下降して真空チャンバー内を真空にして真空包装を行う。以上のような工程を繰り返して真空包装を行うが、真空ポンプ駆動用モータ8は作業中100%の状態で駆動し続けている。
【0011】
図11は、従来から知られたバッチ式真空包装機の側面図である。バッチ式真空包装機は、作業者により真空チャンバー22内にセットした包装袋の残留空気を真空ポンプ21にて吸引し、その後、袋口を真空チャンバー22内に設けられたシーラ(図示せず)によりシールして冷却した後、真空チャンバー22の蓋体22Aを開放して、包装袋を取り出す。このバッチ式真空包装機は、前記のベルト式真空包装機のように回転ベルト1を備えておらず、個別に真空チャンバー22に被包装物を充填した包装袋をセットして真空包装を行う。
【0012】
図11に示すバッチ式真空包装機は、被包装物の入った包装袋をセットするチャンバー本体22Bと、このチャンバー本体22Bに軸支された蓋体22Aとを備え、前記チャンバー本体22Bと蓋体22Aとによって真空チャンバー22を構成している。
【0013】
前記チャンバー本体22Bには、シーラの一方を構成する角柱状のシール台(図示せず)が配置されている。シーラの他方を構成するシールバー(図示せず)は、前記シール台の上方位置に対応する蓋体22Aの上部裏面に設けられている。前記シール台は、チャンバー本体22B側に取り付けられた押し上げシリンダー(図示せず)に連結され、押し上げシリンダーの操作により昇降可能となっている。シール台が押し上げシリンダーで押し上げられるとシール台上面がシールバーに押し付けられる。
【0014】
真空チャンバー22は、フレーム23下部に配備された真空ポンプ21に連通しており、同じくフレーム23の下部に併設された真空ポンプ駆動用モータ24により駆動され、真空チャンバー22内の空気を吸引する。また、バッチ式真空包装機には、コントロールボックス25が取り付けられている。このコントロールボックス25には、包装機全体をコントロールするメインコントローラ等が備えられている。
【0015】
図12は、従来のバッチ式真空包装機で作業を行う際の作業工程と真空ポンプの作動状態を示した説明図である。この
図12の上段は作業工程を示しており、下段は真空ポンプ駆動用モータ24の運転状況を示している。通常、真空包装作業は、
図12の上段に示すように、被包装物の入った包装袋をセットして真空チャンバー22内の真空引きを開始し、十分に包装袋内が真空状態になった段階で、真空チャンバー22内のシーラで袋口をシールし、シールした袋口を冷却した後、真空チャンバー22内を開放し、蓋体22Aを開いて真空包装を完了した包装袋を取り出して真空包装作業が完了する。このバッチ式真空包装機も真空ポンプ駆動用モータ24は作業中100%の状態で駆動し続けている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下において、図面を用いて本発明を応用した
真空包装機の制御方法について説明する。なお、本発明のベルト式真空包装機及びバッチ式真空包装機の機械的構成は、
図9及び
図11に示した構成と同じであって、前記「背景技術」で説明した内容と重複するので、包装機自体の構成の説明は省略し、必要に応じてこれらの図面の符号を援用しながら電源コントロール部等とその作用について説明する。
【0026】
一般的に、矩形波PWM方式の電源回路は、三相交流電源からの電流をコンバータの三相全波整流回路により全波整流し、この全波整流した一定電圧をインバータにより周波数を変えると同時に高周波のチョッピングを行って平均電圧を変え、真空ポンプ駆動用モータの電力として、時系列な働きに応じて高出力と低出力の電力に切り替えながら駆動用モータに電力を供給する。なお、PWM方式は駆動モータの騒音、振動が大きいが、周波数変化に対する電圧変化の応答遅れが少なく、高応答特性が得られる。
【0027】
前記矩形波PWM方式と基本原理は同じであるが、チョッピングパルスを等間隔ではなく両端が薄く中央を厚くして等価的に出力電圧波形が正弦波となるように工夫した等価正弦波PWM方式を用いてもよい。その他、PWM方式以外にPAM(Pulse Amplitude Modulation)方式についても簡単に後述する。
【0028】
図1は本発明の真空包装機の電源コントロール部の一例を示した回路図であって、ベルト式真空包装機とバッチ式真空包装機に用いることができる。この
図1において、左側は三相交流電源を示し、中央は真空包装機のコントロールボックス9,25内の電源コントロール部を示し、右側は真空ポンプ7,21の駆動用モータ8,24の巻き線と真空チャンバーの状態を検出する検知素子31を示している。以下において、これらの構成に関し順次説明する。
【0029】
本発明の真空ポンプは、三相交流電源32により駆動される。三相交流電源32を用いるのは、単相交流電源に比べて電力のバランスが取れ、バランスを取る為の回路や機構を要せず電源設備の容積を小さくできるためである。三相交流は、a相、b相、c相の3つの相からなり、それぞれの相の相電圧を、Va、Vb、Vcの記号で表し、相電圧Va、Vb、Vcの間には120度ずつ位相差がある。
【0030】
前記三相交流電源32は、直列2個のダイオードを3列並列に配置し、三相全波整流回路を構成する計6個のダイオードD1〜D6により全波整流される。三相交流Va相は直列のダイオードD1とD2間に接続され、Vb相は直列のダイオードD3とD4間に接続され、Vc相は直列のダイオードD5とD6間に接続されている。なお、
図1では三相全波整流回路を示すが、三相半波整流回路であってもよい。
【0031】
図1の回路図から明らかなように、三相全波整流回路33は、最も相電圧の高い相から電流が流れ込んで、最も相電圧の低い相から電流が流れ出る。したがって、出力電圧Voutは3つの線間電圧の最大絶対値と等しくなる。なお、前記全波整流回路には、平滑コンデンサC1が並列に接合され、この平滑コンデンサC1の効果で出力電圧Voutのリップル電圧が減少する。
【0032】
三相交流電源32は、前記平滑コンデンサ付の三相全波整流回路33により、平滑な直流電流に変換され、モータ駆動回路(バイポーラ駆動回路)34側に入力される。前記モータ駆動回路34は、6つの半導体素子Tr1−Tr6を用いて駆動用モータ8,24を駆動する回路であって、直列2個のNPN型バイポーラトランジスタを3列平行に配置すると共に、各バイポーラトランジスタに対して駆動用モータ8,24のモータ巻線LU、LV、LWからの逆起電力を抑制するダイオードを並列に接続している。
図1に示したモータ巻線LU、LV、LWのパターンは、120°間隔に配置されたスター結線であるが、デルタ結線であってもよい。
図1のスター結線は、モータ巻線LU、LV、LWを中心点でひとまとめにし、モータ巻線LUの他端は半導体素子Tr1―Tr2間のU相に接合し、モータ巻線LVの他端は半導体素子Tr3―Tr4間のV相に接合し、モータ巻線LWの他端は半導体素子Tr5―Tr6間のW相にそれぞれ接合している。
【0033】
モータ駆動回路34の各モータ巻線LU、LV、LWへの通電は、電気角60°ごとに変化し、U相、V相、W相の順に循環あるいは逆循環に通電される。スター結線の場合は、3相(U相、V相、W相)のモータ巻線(LU、LV、LW)の、いずれか2つのモータ巻線、例えば、U相ではモータ巻線LU、LVに同時に通電される。
【0034】
次に、モータ駆動回路34のトランジスタTr1−Tr6を制御するためのゲートドライブ回路35について説明する。
図1に示すように、モータ巻線LU、LV、LWに対応させて120°間隔で位置検出素子36が配置されている。この位置検出素子36は、磁力によって出力電圧が変化するホール素子が使用されている。
図2に示すように、この位置検出素子36からの出力は位置検出回路37に入力される。位置検出回路37では、位置検出素子36からの出力が小さいので、増幅するかコンパレータ(図示せず)を用いてスイッチング出力に変換している。
【0035】
位置検出回路37からの出力はロジック回路38に入力される。ロジック回路38は、3個の並列に配置されたNOT回路38Aと、6個の並列に配置されたAND回路38Bとから構成され、位置検出回路37からの信号を受け、駆動用モータ8,24のロータの位置検出を行い、モータ巻線LU、LV、LWの励磁順序を決定する。そして、ロジック回路38のモータドライブ信号はPWM信号発生回路39に入力される。
【0036】
次に、PWM信号発生回路39について説明する。PWM信号発生回路39の原理は、オペアンプによるPWM信号発生回路と、クロック回路を使ったPWM信号発生回路があるが、
図3はクロック回路39Aを使ったPWM信号発生回路39を示している。ただし、PWM信号発生回路39はオペアンプでもクロック回路の何れを用いたものであってもよい。
【0037】
図3のクロック回路39Aは、タイマー用ICを使用している。発信周波数は抵抗Ra、Rbの値と、コンデンサCaの値によって決定される。ロジック回路38のAND回路38Bからの信号は、クロック回路39Aと後述する積分回路39Bの間に配されたスイッチング素子TR1のベースに入力される。このスイッチング素子TR1により、クロック回路39Aから連続的に発生する
図5(A)の方形波(PWM波)を、ロジック回路38により生成した
図5(B)のモータドライブ信号と合成して、
図5の(C)の合成PWM波に変換することができる。
【0038】
前記のように、ロジック回路38のモータドライブ信号にクロック回路39Aで発生しPWM波を乗せた合成PWM波を積分回路39Bで三角波に変換する。この積分回路39Bにはオペアンプ39bが使用されている。前記クロック回路39Aの出力端子とオペアンプ39bのマイナス入力端子とは、抵抗Rcを介して繋がっており、この抵抗Rcの値により、三角波の振幅を変えることができる。さらに、オペアンプ39bのマイナス入力端子と出力端子の間に、抵抗RfとコンデンサCbが並列に接続されている。このコンデンサCbの値によっても三角波の振幅を変えることができる。抵抗Rfは出力が徐々にドリフトするのを防止する。オペアンプ39bのプラス入力端子にはRdとReの分圧抵抗RdとReが接続している。この分圧抵抗RdとReの抵抗比を変えると、三角波の中心電圧が上下する。
【0039】
オペアンプ39bの出力端子とコンパレータ39Cのプラス入力端子とが接続し、オペアンプ39bで発生した三角波が入力される。ベルト式真空包装機では、コンパレータ39Cのマイナス入力端子に、メインコントローラ26から発する、真空チャンバーの蓋体4の開閉を制御する信号を基にして割り出された指令電圧(後述する指令電圧VL,VH)が入力される。
【0040】
これに対して、バッチ式の真空包装機の場合は、作業者により蓋体が開閉されるので、前記信号に変えて蓋体の開閉を検知する検知素子(例えば、開閉検知スイッチ)31からの信号を基にして割り出された指令電圧VL,VHが入力される。コンパレータ39Cはオペアンプ39bの出力端子からの三角波とメインコントローラ26からの指令電圧VL,VHとを比較し、
図5(D)に示すような変調PWM波を出力する。この変調PWM波を、
図2に示すベース駆動回路40により、モータ駆動回路34を作動させるための信号に変換し、モータ駆動回路34のトランジスタTr1−Tr6のベースに入力する。
【0041】
図4は、PWM信号発生回路39よって発生する変調PWM波の生成を示したものである。この
図4の下層がオペアンプ39bで発生させた三角波50であり、上層はコンパレータ39Cで、三角波50と指令電圧VH,VLとを比較して出力された変調PWM波51である。
【0042】
コンパレータ39Cに、三角波50と指令電圧VHが入力されると、両者が比較され、三角波50と指令電圧VHとの交点の幅が狭いので、幅の狭い変調PWM波51aが発生する。この幅の狭い変調PWM波51aをモータ駆動回路34に入力すると、幅の割合だけ駆動用モータ8、24のモータ巻線LU、LV、LWに電流が流れるので、真空ポンプ7、21の出力は低出力となり、駆動用モータ8、24に流れる電力も小さくなって、その分、省エネとなる。
【0043】
逆に、指令電圧がVLのように低くなると、指令電圧VLと三角波50との交点の幅は右側のように広くなり、前記とは逆に変調PWM波51bの幅は広くなって、駆動用モータ8、24のモータ巻線LU、LV、LWに流れる電力は大きくなり、真空ポンプ7、21の出力は高出力となる。
【0044】
さらに、
図6を用いてベルト式真空包装機の作業工程と真空包装機のポンプ能力について説明する。
図6の最下段に記載したVH及びVLは、前記
図4のメインコントローラ26から出力される指令電圧であり、VHは、真空ポンプ7の駆動用モータ8を低出力で駆動する場合の指令電圧であり、VLは、真空チャンバーの蓋体4内を真空引きするために、真空ポンプ7の出力を高出力で駆動するための指令電圧である。
【0045】
図6に示すように、VHからVLへの切り替わりは、真空チャンバーの蓋体4が完全に閉じられる少し前に設定されており、ポンプ能力は50%から130%に増加する。VHからVLへの切り替わりは、メインコントローラ26から蓋体(開)の信号が発せられた時を基点とするか、蓋体(閉)の信号を基点とし、この何れかの基点から後述する所定の時間が経過した時に、VHからVLへの切り替わりを実施する。
【0046】
例えば、メインコントローラ26から蓋体(開)の信号が発せられてから、コンベア駆動用モータ(図示せず)を駆動して回転ベルト1を回転して先の工程で真空包装した包装袋を搬出し、前記回転ベルト1の回転と同時に、次にセットした次工程の包装袋が蓋体4の下部に至ると、蓋体4が完全に下降して真空引きする準備が完了する。これらの一連の動作時間は経験則に基づいて算出できるので、真空チャンバーの蓋体(開)の信号が発せられてから、蓋体が完全に閉まるまでの経験則に基づく時間から、真空ポンプが130%の能力を発揮するまでの立ち上がり時間を差し引いた経過時をVHからVLへの切り替わり時とする。
【0047】
蓋体(閉)を基準とする場合は、蓋体(閉)の信号が発せられてから、蓋体が完全に閉まるまでの時間から、真空ポンプが能力を発揮するまでの立ち上がり時間を差し引いた経過時をVHからVLへの切り替わり時とする。
【0048】
なお、ポンプ能力130%、50%と言うのは、電源周波数が50Hzの時のポンプ能力を基準の100%として、PWM信号発生回路39による80Hz程度まで周波数を上げた場合のポンプ能力を示したものである。もちろん、130%、50%という数字は10%程度の幅を持たせてもよい。また、前記経験則に基づく時間は固定的なものとせず、所定幅で変更できるようにしてもよい。
【0049】
メインコントローラ26からPWM信号発生回路39にVLの指令電圧が発せられ、従来に比べて130%の高出力のポンプ能力で真空ポンプ7を起動し、蓋体4内および包装袋内の残留空気を真空チャンバー外に排気する。その間、作業者は次の工程の被包装物が入った包装袋を回転ベルト1のセット位置(
図9の左部)上にセットする。
【0050】
メインコントローラ26には、真空引きのタイムが予め定められており、例えば、VHからVLへの切り替わり時又は蓋体22Aが完全に閉じた時から、そのタイムを計測し、そのタイムが経過すると、メインコントローラ26はPWM信号発生回路39にVLからVHに指令電圧を切り替えるので、真空ポンプ7は50%の低出力の駆動に切り替わる。なお、前記では予め定めた真空引きのタイムが完了すると、メインコントローラ26が指令電圧をVLからVHに切り替えたが、VLからVHの指令電圧の切り替えを真空チャンバー22に備えた前記真空ゲージが所定圧(基準値)になった時にメインコントローラ26によって指令電圧を切り替えるようにしてもよい。
【0051】
VLからVHへの切り替わりは、真空チャンバーの蓋体4内の真空引きが完了し、シーラにより袋口のシールを開始する時でもある。真空ポンプ7の駆動用モータ8を停止せずに、真空ポンプ7の能力を50%とするのは、駆動用モータ8の停止と稼働のストップ・アンド・ゴーを繰り返すと稼働時は負荷がかかりすぎるので、故障の原因となるためである。
【0052】
前記のように、真空引きが完了してVHの指令電圧が発せられると、真空チャンバー内の包装袋の袋口をシール台と上部シール部とからなるシーラによって挟持する。そして、上部シール部の発熱体により袋口を加熱し、袋口をシール(熱封止)する。シール完了後、冷却工程および真空開放工程を経て、蓋体4を開く信号がメインコントローラ26から発せられ、蓋体4を開いてワンサイクルの真空包装工程が終了する。
【0053】
次に、
図7を用いてバッチ式真空包装機の作業工程と真空包装機のポンプ能力について説明する。作業者は、真空チャンバー22の蓋体22Aを開いて、真空包装が完了した先の工程の包装袋を取り出し、次の包装袋を真空チャンバー22内にセットする。包装袋セット作業が完了して、作業者が蓋体22Aを閉め始めるか、閉まる途中、又は完全に閉まる何れかの段階で、メインコントローラ26からVLの指令電圧を出力してPWM信号発生回路39に入力されるので、ポンプ能力は130%の状態となる。なお、真空引きのスタートボタン(図示せず)を設け、このスタートボタンを押すことによって蓋体22Aが自動的に閉まる構成とし、前記スタートボタンを押すと、メインコントローラ26からVLの指令電圧が出力するようにしてもよい。何れにしろ、前記のように蓋体22Aを閉じる段階で、真空チャンバー22の蓋体22Aの状態を検知する検知素子31や前記スタートボタンからの信号がメインコントローラ26に発せられ、メインコントローラ26からVLの指令電圧をPWM信号発生回路39へ出力し、VHからVLに切り替える。
【0054】
蓋体22Aを閉じる段階、例えば、蓋体22Aが完全に閉まる時から、メインコントローラ26のタイマーがカウントを開始し、予め定めた真空引きのタイムを計測する。真空引きのタイムが完了すると、メインコントローラ26が指令電圧をVLからVHに切り替えるので、真空ポンプは50%の低出力の駆動に切り替わる。なお、VLの指令電圧が発せられている間の高出力の真空チャンバー22内の真空到達度は蓋体22Aに取り付けた真空ゲージにより確認できる。包装袋内の真空到達度は真空チャンバー22内の真空到達度とほぼ同じになる。
【0055】
前記のように、真空引きが完了してVHの指令電圧が発せられると、真空チャンバー本体22Bに取り付けた押し上げシリンダーを伸長させてシール台(共に図示せず)が上昇し、包装袋の袋口を前記シール台とシールバーとによって挟持する。そして、シールバー先端の発熱体により加熱し、包装袋の袋口をシール(熱封止)する。シール完了後、冷却工程および真空開放工程を経て、シール台を元の位置に下降させる。その後、作業者が蓋体22Aを開くか、自動的に蓋体22Aが開いて、シール済みの包装袋を取り出し、ワンサイクルの真空包装作業が終了する。
【0056】
なお、前記実施例では、蓋体22Aを閉じる段階、例えば、蓋体22Aが完全に閉まる時、メインコントローラ26のタイマーがカウントを開始し、予め定めた真空引きのタイムが完了すると、メインコントローラ26が指令電圧をVLからVHに切り替えたが、VLからVHの指令電圧の切り替えを真空チャンバー22に備えた前記真空ゲージが所定圧(基準値)になった時にメインコントローラ26によって指令電圧を切り替えるようにしてもよい。
【0057】
前記実施例では、
図1のPWM制御トランジスタ・インバータ回路に基づいて、真空包装機の真空ポンプ7,21をPWM制御する実施例を説明したが、本発明では、
図8に示すPAM制御トランジスタ・インバータ回路により、前記ベルト式真空包装機及びバッチ式真空包装機の真空ポンプ7,21を制御する例を説明する。
【0058】
このPAM制御トランジスタ・インバータ回路は、前記PWM制御トランジスタ・インバータ回路と異なり、三相全波整流回路33の右隣に降圧チョッパ回路60を備えている。降圧チョッパ回路60は、既に公知の回路であるので、詳細な説明は省略するが、一種のスイッチング・レギュレータで、三相全波整流回路33で平滑化された直流電圧に直列にパワートランジスタTRを接続し、このパワートランジスタTRのON−OFFにより電圧制御する回路である。パワートランジスタTRのチョッピング周波数は数kHz〜20kHzから選ばれる。平滑コンデンサC2は、負荷電圧をV
0レベルの直流に保つ働きをする。ダイオードD7は、パワートランジスタTRがOFFの時に、C2の電流が還流する。
【0059】
この降圧チョッパ回路60は、パワートランジスタTRのデューティ比を変えることにより、下記式のように出力電圧を可変することができる。
V
DC(0)=V
DC(I)×t
1/T
ただし、V
DC(0):出力電圧、t
1:パワートランジスタTRのON時間、T:チョッピング周期
【0060】
従って、前記の
図6及び
図7で示した駆動用モータ8,24が低出力の時は、低電圧とし、高出力の時は高電圧とする。この高電圧と低電圧の切り替えはメインコントローラ61が行うが、駆動用モータ8,24が高出力を要するか低出力を要するかの判断は前記PWM制御と同じであるので、省略する。
【0061】
メインコントローラ61の制御信号は、高周波発生回路62に入力される。この高周波発生回路62は、
図3に示すPWM発生回路を用い、PWM信号発生回路39のコンパレータ39Cに、メインコントローラ61からの制御信号を入力し、デューティ比を変えたPWM出力を発生させ、
図8のパワートランジスタTRのベースに入力する。
【0062】
ゲートドライブ回路63は、
図2のゲートドライブ回路と相違してPWM信号発生回路39を必要としないので、位置検出回路37、ロジック回路38、ベース駆動回路40から構成されている。このゲートドライブ回路63の基本的な動作は同じであるので、詳細は省略する。
【0063】
このPAM制御トランジスタ・インバータ回路を用いた真空包装機も、必要なときだけ電圧を上げ、必要でない時は電圧を下げて駆動用モータを駆動するので、真空包装機の省エネを達成することができる。