特許第6081807号(P6081807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6081807
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20170206BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20170206BHJP
   H01F 7/128 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   F16K31/06 305B
   H01F7/16 R
   H01F7/16 G
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-16906(P2013-16906)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-149007(P2014-149007A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2016年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088100
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 千明
(72)【発明者】
【氏名】杉山 精一
(72)【発明者】
【氏名】安田 智宏
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−040574(JP,U)
【文献】 実開平03−008405(JP,U)
【文献】 特開平05−060256(JP,A)
【文献】 特開2009−266947(JP,A)
【文献】 特開2006−266375(JP,A)
【文献】 米国特許第06918571(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06−31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンおよび前記ボビンに巻き回されたコイルを有するソレノイドと、前記ソレノイドを内部に収容し、側面に切欠部を有する筒状の電磁部カバーと、前記ボビンに装着されるコネクターハウジングと、を有し、前記ボビンは、前記コイルの巻線が接続されるターミナルを有しており、前記コネクターハウジングは、 前記ターミナルに装着されるコネクター部と、 前記コイル上に配置され、前記切欠部を覆う保護カバーと、を有し、前記コネクター部と前記保護カバーとが一体形成されていると共に、前記保護カバーは、長さ方向に延びるライド溝を側部に有する板状であり、前記切欠部の縁部が、前記スライド溝に挿入されることを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
前記ボビンは、 一端側に配置される先端面と、 他端側に配置される基端と、 前記先端面に設けられ、外周部から中心方向へ延びる係合爪と、 前記基端側に設けられ、側方に延出する板状のボビン側延出部と、を有し、前記ボビン側延出部の両側面には、前記ボビンの周方向に延出する突起である固定部が配置され、前記保護カバーの基端部には、カバー側延出部が一体形成され、前記カバー側延出部の両側部には、前記保護カバーの基端部側に延出するカバー側フランジ部が一体形成され、前記カバー側延出部の間には、前記固定部が固定される被固定部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記電磁部カバーは、一端側が開口した有底筒状であり、円筒状の周面と、前記周面の前記一端側に位置する端部開口部と、前記周面の他端側に位置する円形の底面と、を有し、前記切欠部は、前記端部開口部から前記底面側へ向けて延在する矩形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電磁弁。
【請求項4】
電磁弁本体と、ボビンと前記ボビンに巻き回されたコイルとからなるソレノイドと、前記ボビンに装着されるコネクターハウジングと、を有し、前記電磁弁本体は前記ソレノイドを内部に収容し、側面に切欠部を有する筒状である電磁部カバーを有し、前記ボビンは、前記コイルの巻線が接続されるターミナルを有し、前記コネクターハウジングは、前記ターミナルに装着されるコネクター部と、前記コイル上に配置され、前記切欠部を覆う保護カバーと、を有し、前記コネクター部と前記保護カバーとが一体に形成されている電磁弁の製造方法であって、(a)前記ボビンにコイルを巻き回して前記ソレノイドを形成する工程と、(b)前記ボビンの側方に延びる前記ターミナルを、前記コイル側に折曲する工程と、(c)前記コネクター部を前記ターミナルに装着する工程と、を有すること、共に、前記電磁弁は、前記ボビンが側方に延出した板状のボビン側延出部を有し、前記保護カバーは側方に延出したカバー側延出部を有し、前記カバー側延出部の両側部に、前記コイルの径方向に延出するカバー側フランジ部が、前記保護カバーに一体形成され、前記ボビン側延出部の両側面には、前記ボビンの周方向に延出する突起が設けられており、前記突起を前記カバー側フランジ部間に設けられた被圧入部に圧入する工程を含むことを特徴とする電磁弁の製造方法。
【請求項5】
前記保護カバーの先端には、前記コイルの径方向内側へ向けて延出するカバー側舌片が一体形成され、前記カバー側舌片の中央先端部には、矩形状の係合穴が開設され、前記電磁弁本体には、先端側へと延出するスリーブが設けられ、前記スリーブの基端には鍔部が設けられており、前記カバー側舌片を、前記鍔部と前記ボビンの端面との間に挿入して、前記係合穴と前記端面に設けられた係合爪とを係合する工程と、を含むことを特徴とする請求項に記載の電磁弁の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧回路に用いられる電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁弁としては、リニアソレノイドが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このリニアソレノイドは、ボビンに巻回されたコイルが樹脂モールドされており、モールドタイプの電磁弁が構成されている。
【0004】
一方、他の電磁弁としては、図3に示すように、モールドレスタイプの電磁弁801が知られている。この電磁弁801は、電磁弁本体802とノズル803とによって構成されており、ノズル803内には、スプール804が収容されている。
【0005】
前記電磁弁本体802は、容器状の電磁部カバー811を備えており、該電磁部カバー811内には、ソレノイド812が収容されている。前記電磁部カバー811の周面には、端部開口部813から軸方向奥側へ向けて延在する切欠部814が設けられており、前記端部開口部813から前記ソレノイド812を収容する際に、該ソレノイド812に設けられたターミナル815との干渉が防止されるように構成されている。
【0006】
前記ソレノイド812内には、当該ソレノイド812で励磁されるコア821と該コア821の先端に連結パイプ822を介して連結されたヨーク823とが収容されており、前記コア821と前記ヨーク823との間には、プランジャー824が収容されている。
【0007】
これにより、前記ソレノイド812の通電状態に応じて前記プランジャー824が作動するように構成されており、これに応じて前記スプール804を駆動できるように構成されている。
【0008】
このような電磁弁801において、前記ソレノイド812のボビン831には、前記ターミナル815を包囲するコネクター部832が取り付けられており、前記ソレノイド812のコイル833に通電する為のハーネスを接続できるように構成されている。
【0009】
【特許文献1】特開2012−134234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前者のモールドタイプの電磁弁にあっては、外力によるコイル巻線の傷付きやコンタミの浸入に対しては有利であるが、二次樹脂成形時の成形圧に対する管理やコストアップに対する抑制が課題となる。
【0011】
また、後者のモールドレスタイプの電磁弁801においては、二次樹脂成形を行わないので、低コスト化を図ることができるが、外力によるコイル巻線の傷付きやコンタミ浸入に対する対策が必要となる。
【0012】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、低コストで所定の品質を確保することができる電磁弁を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために本発明に係る電磁弁にあっては、ソレノイドを電磁部カバーで包囲する際に、前記ソレノイドに設けられたターミナルとの干渉を回避する為の切欠部が前記電磁部カバーの周面に設けられた電磁弁において、前記ターミナルに装着されるコネクター部に、前記ソレノイドの巻線上に配置され前記切欠部を閉鎖する保護カバーが一体形成されてなるコネクターハウジングを備えた。
【0014】
すなわち、ソレノイドを包囲する電磁部カバーには、前記ソレノイドを収容する際に当該ソレノイドに設けられたターミナルとの干渉を回避する為の切欠部が設けられている。
【0015】
しかし、当該電磁弁は、コネクターハウジングを備えており、該コネクターハウジングは、前記ターミナルに装着されるコネクター部と、前記ソレノイドの巻線上に配置されるとともに前記切欠部を閉鎖する保護カバーとが一体形成されている。
【0016】
このため、前記ターミナルに前記コネクターハウジングのコネクター部を装着することで、前記ソレノイドの巻線は、前記保護カバーで保護されるとともに、電磁部カバーに開設された前記切欠部は、当該保護カバーで閉鎖される。
【0017】
また、本発明に係る電磁弁においては、前記ソレノイドのボビンに巻線を巻回してコイルを形成した後、前記ターミナルを前記コイル側に折曲し、前記コネクターハウジングの前記コネクター部を前記ターミナルに装着するとともに、前記コネクターハウジングを圧入構造及び係合構造で前記ソレノイドに装着する。
【0018】
すなわち、コネクターハウジングを装着する際には、ソレノイドのボビンに巻線を巻回してコイルを形成した後、ターミナルを前記コイル側に折曲する。このため、巻線巻回前に前記ターミナルがコイル側に延出する場合と比較して、巻線の巻回が容易に行われる。
【0019】
そして、前記コネクターハウジングのコネクター部が前記ターミナルに装着されるとともに、前記コネクターハウジングが圧入構造及び係合構造によって前記ソレノイドに装着される。
【0020】
さらに、本発明に係る電磁弁では、前記コネクターハウジングが装着された前記ソレノイドを前記電磁部カバーで包囲する際に、前記切欠部の縁部がスライド挿入されるスライド溝を前記保護カバーに設けた。
【0021】
すなわち、前記コネクターハウジングが装着された前記ソレノイドを前記電磁部カバーで包囲する際には、前記切欠部の縁部が、前記保護カバーに設けられたスライド溝に沿ってスライド挿入される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明に係る電磁弁にあっては、ターミナルにコネクターハウジングのコネクター部を装着することで、ターミナルとの干渉防止用に電磁部カバーに設けられた切欠部を、コネクターハウジングの保護カバーで覆うことができる。
【0023】
これにより、前記電磁部カバー内のソレノイドの巻線を前記保護カバーで保護することができるとともに、前記電磁部カバーに開設された前記切欠部を前記保護カバーで閉鎖することができる。
【0024】
このため、ソレノイドをモールドするモールドタイプの電磁弁と比較して、二次樹脂成形時の成形圧に対する管理やコストアップに対する抑制対策が不要となる。また、モールドレスタイプの電磁弁と比較して、外力によるコイル巻線の傷付きやコンタミ浸入に対する対策が不要となる。
【0025】
これにより、低コストで所定の品質を確保することができる。
【0026】
また、本発明に係る電磁弁において、コネクターハウジングを装着する際には、ソレノイドのボビンに巻線を巻回してコイルを形成した後、ターミナルを前記コイル側に折曲することができる。このため、巻線巻回前に前記ターミナルがコイル側に延出する場合と比較して、巻線の巻回を容易に行うことができる。
【0027】
そして、前記コネクターハウジングのコネクター部を前記ターミナルに装着するとともに、前記コネクターハウジングを、圧入構造及び係合構造によって前記ソレノイドに装着することができる。これにより、装着容易性を高めることができる。
【0028】
さらに、本発明に係る電磁弁では、コネクターハウジングが装着されたソレノイドを電磁部カバーで包囲する際に、該電磁部カバーの切欠部の縁部を前記保護カバーに設けられたスライド溝に沿ってスライド挿入するこで、当該電磁部カバーを組み付けることができる。
【0029】
これにより、当該電磁部カバーとのシール性を向上することができ、コンタミの浸入を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施の形態を示す断面図である。
図2】同実施の形態を示す分解斜視図である。
図3】従来の電磁弁を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。
【0032】
図1は、本実施の形態にかかる電磁弁1を示す図であり、該電磁弁1は、自動車の自動変速機の油圧制御に用いられるものである。
【0033】
この電磁弁1は、電磁弁本体11を備えており、該電磁弁本体11の電磁部カバー12内には、ボビン13にコイル14が巻回されてなるソレノイド15が収容されている。該ソレノイド15内には、当該ソレノイド15で励磁されるコア16が収容されており、該コア16の端部には、連結パイプ17を介してヨーク18が連結されている。
【0034】
前記コア16と前記ヨーク18との間には、プランジャー21が収容されており、該プランジャー21にはロッド22が貫通した状態で固定されている。前記プランジャー21より延出したロッド22の部位は、軸受け23,23を介して前記コア16及び前記ヨーク18に支持されており、当該プランジャー21は、軸方向へ移動自在に支持されている。
【0035】
これにより、前記ソレノイド15を通電して前記コア16を励磁した際には、前記プランジャー21が前記コア16で吸引され、前記プランジャー21より延出したロッド22を先端側へ移動できるように構成されている。
【0036】
この電磁弁本体11には、先端側へ延出するスリーブ31が設けられており、該スリーブ31は、基端に設けられた鍔部32が前記電磁部カバー12の端部に形成されたカシメ部33によって前記電磁弁本体11に固定されている。前記スリーブ31は、円筒状に形成されており、その側面には、複数のポート34,・・・が設けられている。
【0037】
このスリーブ31内には、スプール41が収容されており、該スプール41は、軸方向へ移動自在に保持されている。該スプール41は、円柱状の軸部42と、該軸部42より大径の弁部43,・・・とで構成されており、各弁部43,・・・は、前記スリーブ31の内側面に摺接するように構成されている。
【0038】
このスプール41の先端に設けられた弁部43端面と、前記スリーブ31先端を閉鎖する栓部材51との間には、コイルスプリング52が弾持されており、当該スプール41は、前記軸部42の基端面が前記プランジャー21より延出したロッド22の先端に当接するように付勢されている。
【0039】
これにより、前記コイルスプリング52で基端側に付勢された前記スプール41は、前記プランジャー21が作動した際に前記先端側へ駆動されるように構成されている。
【0040】
前記電磁弁本体11の前記電磁部カバー12は、図2にも示すように、円形の底面61と円筒状の周面62とによって一端が開口した有底筒状に形成されており、前記周面62には、端部開口部63から前記底面61側へ向けて延在する矩形状の切欠部64が設けられている。これにより、前記端部開口部63から前記ソレノイド15を収容する際に、該ソレノイド15に設けられたターミナル65,65と電磁部カバー12との干渉が防止されるように構成されている。
【0041】
この電磁部カバー12の前記端部開口部63の開口縁は、図1にも示したように、当該電磁部カバー12内に前記ソレノイド15を収容した後、カシメられるように構成されており、前記カシメ部33が形成されるように構成されている。
【0042】
前記ソレノイド15の前記ボビン13には、図2に示したように、その基端側に側方に延出した板状のボビン側延出部71が設けられており、該ボビン側延出部71には、前記コイル14の巻線が接続された前記ターミナル65,65が設けられている。このターミナル65,65は、初期段階において前記ボビン側延出部71に沿って延設されており、前記ボビン13に巻線が巻回されコイル14が形成された後に当該コイル14側に折曲されるように構成されている。前記ボビン側延出部71の両側面には、前記ボビン13の周方向に延出する突起が設けられており、各突起により圧入部72,72が構成されている。
【0043】
このボビン13の先端面には、図1に示したように、係合爪81が設けられおり、該係合爪81は、当該ボビン13の外周部から中心方向へ向かうに従って厚肉となるように構成されている。
【0044】
前記ターミナル65,65には、図2に示したように、コネクターハウジング91が装着されるように構成されている。該コネクターハウジング91は、前記ターミナル65,65に装着されるコネクター部92と、前記ソレノイド15のコイル14上に配置され前記電磁部カバー12の切欠部64を閉鎖する保護カバー93とが一体形成されてなる。
【0045】
該保護カバー93は、湾曲した板状に形成されており、図2中上方へ向けた突出した断面円弧状に形成されている。この保護カバー93の基端部には、図2中上方へ向けて延出したカバー側延出部94が一体形成されており、該カバー側延出部94の両側部には、基端側に延出するカバー側フランジ部95,95が一体形成されている。両カバー側フランジ部95,95の間には、前記ボビン側延出部71に設けられた前記圧入部72,72を圧入可能な被圧入部96が形成されており、当該コネクターハウジング91を、この圧入構造によって前記ボビン13に装着できるように構成されている。
【0046】
前記カバー側延出部94には、矩形筒状の前記コネクター部92が一体形成されており、該コネクター部92には、前記保護カバー93の長さ方向に延在するコネクター挿入穴101が開設されている。このコネクター挿入穴101は、幅広に形成された幅広部と、該幅広部の上部に設けられた幅狭部とで構成されており、ハーネスに設けられた図外のコネクターを挿入できる矩形状に形成されている。
【0047】
前記コネクター挿入穴101には、当該コネクターハウジング91を前記ソレノイド15に装着した状態で、前記ボビン側延出部71にて折曲された前記ターミナル65,65が挿入され配置されるように構成されており、当該コネクター挿入穴101に前記コネクターを挿入した状態で、当該コネクターに設けられたハーネスを前記ターミナル65,65に電気的に接続できるように構成されている。
【0048】
前記保護カバー93の先端には、裏面側へ向けて延出するカバー側舌片111が一体形成されており、該カバー側舌片111の中央先端部には、矩形状の係合穴112が開設されている。前記カバー側舌片111は、図1にも示したように、前記スリーブ31の前記鍔部32と前記ソレノイド15の前記ボビン13端面との間に挿入できるように構成されており、挿入時には、前記カバー側舌片111が前記ボビン13端面に設けられた前記係合爪81を乗り越え、当該係合爪81が前記係合穴112に挿入された状態で両者が係合するように構成されている。これにより、当該コネクターハウジング91を、この係合構造(スナップフィット構造)によって前記ソレノイド15に装着できるように構成されている。
【0049】
前記保護カバー93の両側部には、図2に示したように、スライド溝121,121(一方のみ図示)が長さ方向に延設されており、各スライド溝121,121には、前記電磁部カバー12に形成された前記切欠部64の縁部122,122を基端側から挿入できるように構成されている。これにより、前記コネクターハウジング91が装着された前記ソレノイド15を前記電磁部カバー12で包囲する際には、前記切欠部64の対向する縁部122,122を前記各スライド溝121,121に挿入してスライドすることで、当該保護カバー93と前記電磁部カバー12とを係合できるように構成されている。
【0050】
以上の構成にかかる本実施の形態において、ソレノイド15を包囲する電磁部カバー12には、前記ソレノイド15を収容する際に当該ソレノイド15に設けられたターミナル65,65との干渉を回避する為の切欠部64が設けられている。
【0051】
しかし、当該電磁弁1は、コネクターハウジング91を備えており、該コネクターハウジング91は、前記ターミナル65,65に装着されるコネクター部92と、前記ソレノイド15のコイル14上に配置されるとともに前記切欠部64を閉鎖する保護カバー93とが一体形成されている。
【0052】
このため、前記ターミナル65,65に前記コネクターハウジング91のコネクター部92を装着することで、前記ソレノイド15の巻線は、前記保護カバー93で保護されるとともに、前記電磁部カバー12に開設された前記切欠部64は、当該保護カバー93で閉鎖される。
【0053】
このように、前記ターミナル65,65に前記コネクターハウジング91の前記コネクター部92を装着することで、前記ターミナル65,65との干渉防止用に前記電磁部カバー12に設けられた切欠部64を、前記コネクターハウジング91の保護カバー93で覆うことができる。
【0054】
これにより、前記電磁部カバー12内のソレノイド15の巻線を前記保護カバー93で保護することができるとともに、前記電磁部カバー12に開設された前記切欠部64を前記保護カバー93で閉鎖することができる。
【0055】
このため、ソレノイド15をモールドするモールドタイプの電磁弁と比較して、二次樹脂成形時の成形圧に対する管理やコストアップに対する抑制対策が不要となる。また、モールドレスタイプの電磁弁と比較して、外力によるコイル巻線の傷付きやコンタミ浸入に対する対策が不要となる。
【0056】
これにより、低コストで所定の品質を確保することができる。
【0057】
そして、前記ソレノイド15に前記コネクターハウジング91を装着する際には、先ず前記ソレノイド15の前記ボビン13に巻線を巻回してコイル14を形成した後、前記ボビン側延出部71に沿って延在する前記ターミナル65,65を巻回された前記コイル14側に折曲することができる。
【0058】
このため、巻線巻回前に前記ターミナル65,65がコイル14側に延出する場合と比較して、巻線の巻回を容易に行うことができる。
【0059】
そして、前記コネクターハウジング91における前記コネクター部92の前記コネクター挿入穴101に前記ボビン側延出部71より延出した前記ターミナル65,65を挿入する。
【0060】
次に、前記ボビン側延出部71に設けられた前記圧入部72,72をカバー側延出部94の両カバー側フランジ部95,95間に設けられた被圧入部96に圧入するとともに、前記保護カバー93の前記カバー側舌片111を、前記スリーブ31の前記鍔部32と前記ソレノイド15の前記ボビン13端面との間に挿入して、スナップフィットで前記カバー側舌片111の前記係合穴112と前記ソレノイド15側の前記係合爪81を係合する。
【0061】
このように、前記コネクターハウジング91の前記コネクター部92を前記ターミナル65,65に装着するとともに、前記コネクターハウジング91を前記圧入部72,72と前記被圧入部96との圧入構造、及び前記係合穴112と前記係合爪81との係合構造とで前記ソレノイド15に装着することができる。これにより、装着容易性を高めることができる。
【0062】
そして、前記コネクターハウジング91が装着されたソレノイド15を前記電磁部カバー12で包囲する際には、該電磁部カバー12における前記切欠部64の縁部122,122が、前記保護カバー93に設けられたスライド溝121,121に沿ってスライド挿入される。
【0063】
このように、前記電磁部カバー12の切欠部64の縁部122,122を前記保護カバー93に設けられたスライド溝121,121に沿ってスライド挿入するこで、当該電磁部カバー12を組み付けることができる。
【0064】
これにより、当該電磁部カバー12と前記コネクターハウジング91のシール性を向上することができ、電磁部カバー12内のコンタミの浸入を確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 電磁弁
12 電磁部カバー
13 ボビン
14 コイル
15 ソレノイド
62 周面
65 ターミナル
72 圧入部
91 コネクターハウジング
92 コネクター部
93 保護カバー
96 被圧入部
112 係合穴
121 スライド溝
図1
図2
図3