(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6081808
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】簡易構造物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20170206BHJP
E04B 7/00 20060101ALI20170206BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20170206BHJP
E04H 6/02 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
E04B1/343 V
E04B7/00 Z
E04H1/12 A
E04H6/02 C
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-17498(P2013-17498)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-148819(P2014-148819A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(74)【代理人】
【識別番号】100168228
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 達則
(72)【発明者】
【氏名】横井 亮佑
【審査官】
佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−037506(JP,A)
【文献】
特開平06−299607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/343
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と、アームと、取付部材と、屋根とを備え、アームは、屋根を上側から吊って支持するものであり、取付部材は、上下左右の壁面からなり、前後方向に開口する空洞部を有しており、アームの端部が空洞部に挿入してあって通しボルトにより固定してあり、柱は中空部を有するもので、側面の上端部に、上側に開口する切欠部を形成してあり、切欠部は、取付部材より幅が狭くなっており、取付部材を上側から柱の中空部に嵌め込むとともにアームを切欠部に納めてあることを特徴とする簡易構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーポートなどに代表される、柱と、柱に取り付けたアームとを備える簡易構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非特許文献1及び
図7に示すように、左右の柱101とアーム102により屋根104を支持する上吊り型のカーポートがある。このカーポートにおいて、アーム102は、一端が柱101の上端部に固定され、前側に延びており、他端が屋根104の側枠144に固定されている。このうち一端側においては、
図8に示すように、柱101の側面に支持金具103を取り付けてあり、支持金具103が前側に突出する二つの突出片103aを有していて、二つの突出片103aでアーム102を挟み込んでボルト止めしてある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「エクステリア総合カタログ2012−2013(STX0650A)」、三協立山アルミ株式会社、2012年3月、p.776、777
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成のカーポートにおいては、アームを固定するための支持金具が露出しており、意匠性が好ましくなかった。また、アームと柱は何れも長尺の部材であるから、両者を固定する際に、アームのボルト孔と支持金具のボルト孔とを一致させる作業がやりづらいものであった。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、柱と、柱に取り付けたアームとを備え、意匠性が良好であって、かつ施工が容易な簡易構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、柱と、アームと、取付部材と、屋根とを備え、アームは、屋根を上側から吊って支持するものであり、取付部材は、
上下左右の壁面からなり、前後方向に開口する空洞部を有しており、アームの端部が空洞部に挿入してあって通しボルトにより固定してあり、柱は中空部を有するもので、側面の上端部に、上側に開口する切欠部を形成してあり、切欠部は、取付部材より幅が狭くなっており、取付部材を上側から柱の中空部に嵌め込むとともにアームを切欠部に納めてあることを特徴とする。なお、アームは、柱から延びる長尺の部材であって、柱から離れた位置で屋根を上側から支持するためのものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、取付部材が柱の中空部内に納まって外部からは見えなくなり、柱の側面からアームが突出するような外観となるので、意匠性が良好である。また、切欠部の幅が取付部材より狭くなっているので、取付部材を柱の中空部に嵌め込めば、アームが抜け落ちることはなく、ボルト止めしていない状態でも仮置きできる。さらに、取付部材が柱の中空部に嵌め込まれることで、柱に対して取付部材が回転せず、仮置き状態においてアームが自重で下がることもない。そして、仮置き状態において柱とアーム及び取付部材との位置関係が固定されるので、ボルト孔を合わせる作業も必要なく、ボルト止め作業が容易である。また、取付部材を柱の中空部に挿入することにより、柱の補強を兼ねることになり、連結部の剛性が確保される。さらに、アームと取付部材の連結に際しては、取付部材の空洞部にアームの端部を挿入して通しボルトによりボルト止めする構成であるから、連結が容易であり、また、アームの断面形状が円形や楕円形など、取付部材に当接する平面を有さない場合でも、安定して固定できる。そして、通しボルトによる固定であるから、ボルトに対してボルト孔が大きくクリアランスがあり、固定後であっても、取付部材に対してアームをある程度動かすことができるので、アームに屋根を取り付ける作業も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】柱とアームの取付部分を示し、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図である。
【
図5】柱と梁の取付部分を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図6】アームと梁の取付部分を示し、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【
図8】従来の簡易構造物の柱とアームの取付部分の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の簡易構造物は種々の用途に用いられるが、ここではカーポートの場合を示す。なお、以下において上下左右とは
図3における上下左右を示し、
図3の手前側を前側、奥側を後側とする。この簡易構造物は、
図3及び
図4に示すように、柱1と、アーム2と、屋根4とを備えるものである。柱1は、中空のアルミ形材からなるもので、左右方向に三本、等間隔に並んで設置してある。
図2(a)に示すように、柱1の断面形状は前後に長い略矩形であり、内周側に中空部11を有するが、左側面と右側面の前後方向中央部分がそれぞれ外周側に凸形に突出している。すなわち、中空部11は、前側部分及び後側部分よりも中央部分の方が、左右幅が広くなっている。そして、各柱1の上端部の前側面から、アーム2が前側下方に向けて延びている。アーム2は、中空のアルミ形材からなるもので、
図2(c)に示すように、断面形状は円形である。円形にすることにより、最小の断面積で必要強度を確保している。さらに、各アーム2には、前後に延びる梁41が取り付けてある。より詳しくは、梁41は前側から後側に向けて下方に傾斜しており、梁41の前端から略1/3の箇所が、アーム2の前端に連結してあり、梁41の後端が、柱1の上端から略1/4の箇所に連結してある。そして、各梁41の下面の前端及び後端に、左右に延びる前枠42及び後枠43を取り付けてあり、さらに前枠42及び後枠43の左端及び右端に、それぞれ側枠44を取り付けて四周枠組みしてある。そして、このように四周枠組みした前枠42、後枠43及び側枠44に対して、野縁45やパネル材46を取り付けて屋根4を構成してある。なお、自動車を入れる方向は、前側と左右側のどちらであってもよい。
【0010】
次に、柱1とアーム2の取付部分について詳述する。
図1及び
図2に示すように、柱1の上端部の前側面には、切欠部12を形成してある。切欠部12は、上側に向けて開口するものであって、下側は半円弧状に形成されている。切欠部12の左右方向幅はアーム2の直径に略等しく、半円弧状部分はアーム2の外形に略一致し、アーム2が丁度嵌まる。一方、アーム2の後端には、取付部材3を取り付けてある。取付部材3は、中空のアルミ形材からなるもので、
図2(c)に示すように、断面形状は上下に長い矩形であり、内周側に空洞部31を有し、前後方向に開口する向きである。取付部材3の空洞部31の左右方向幅は、アーム2の直径に略等しく、アーム2が丁度嵌まる。よって、取付部材3の左右方向幅(外寸)は、アーム2の直径及び切欠部12の左右方向幅よりも長くなっている(切欠部12の左右方向幅が、取付部材3より狭くなっている)。また、
図2(b)に示すように、取付部材3を側面視した形状は正方形である。この取付部材3の空洞部31に前側からアーム2の後端を挿入してあり、取付部材3とアーム2にはそれぞれ二つのボルト孔を形成してある。このボルト孔は、ボルト32に対して大きく形成されていてクリアランスが確保されており、二本のボルト32が各ボルト孔に挿入されて取付部材3及びアーム2を右側から水平方向に貫通していて通しボルトとなっており、左側からナット33を締めて固定してある。そして、取付部材3を、上側から柱1の中空部11に嵌め込むとともに、アーム2を切欠部12に納めてある。取付部材3の前後方向幅及び左右方向幅は、何れも柱1の中空部11の前後方向幅及び左右方向幅(前側部分及び後側部分)に略等しく、柱1の中空部11に取付部材3が丁度嵌まり、柱1の左側面及び右側面からボルト止めしてある。この際、取付部材3とアーム2を固定しているボルト32とナット33は、取付部材3の左右側面から突出しているが、これらは中空部11の前後方向中央の幅広の部分に納まるので、柱1と干渉することはない。なお、ボルト32の長さが、取付部材3の左右方向幅と、柱1の中空部11の右側(ボルト32の頭部側)の突出幅の和よりも長くなっており、ナット33が脱落した場合でも、ボルト32が取付部材3から抜けないようになっている。また、アーム2も切欠部12に丁度嵌まっており、アーム2が切欠部12に引っ掛かることにより、取付部材3及びアーム2の下方への移動が規制されている。さらに、
図1、
図2(b)、(c)に示すように、取付部材3を嵌め込んだ柱1の上端に、柱キャップ13を取り付けてある(
図2(a)では省略してある)。柱キャップ13は、略平板形状の上面部13aと、上面部13aの前側端から下方に向けて延びる側面部13bからなる。上面部13aは、柱1の上端の開口部とほぼ同じ形状で、柱1の上端を塞いでおり、側面部13bは、切欠部12とほぼ同じ左右方向幅であって下端部は半円弧状に形成されていて、アーム2の上側の切欠部12を塞いでいる。なお、柱キャップ13は、前側部分において取付部材3にネジ止めしてあり、後側部分において柱1の後側面にネジ止めしてある。
【0011】
次に、梁41と、柱1及びアーム2との取付部分について、それぞれ詳述する。まず、梁41と柱1については、
図5に示すように、柱連結部材5によって連結してある。柱連結部材5は、平面視した形状が略H形の金具であり、二つのコ字形部51a,51bがそれぞれ前側及び後側に向けて開口している。そして、前側のコ字形部51aが梁41の後端を後側からくわえ込み、後側のコ字形部51bが柱1の上端から略1/4の箇所を前側からくわえ込んでおり、それぞれ左右方向にボルトを貫通させてボルト止めしてある。なお、柱1の中空部11の、柱連結部材5を取り付けた高さ位置には、補強部材6を挿入して強度を高めてある。この補強部材6は、取付部材3と全く同じものを共用しているが、中空部が上下方向に開口する向きとなっている(側面視した形状が正方形であるから、どちらの向きでも同様に挿入できる)。
【0012】
また、梁41とアーム2については、
図6に示すように、アーム連結部材7によって連結してある。アーム連結部材7は、正面視した形状が略H形の金具であり、二つのコ字形部71a,71bがそれぞれ下側及び上側に向けて開口している。そして、下側のコ字形部71aが梁41の前端から略1/3の箇所を上側からくわえ込み、上側のコ字形部71bがアーム2の前端を下側からくわえ込んでおり、それぞれ左右方向にボルトを貫通させてボルト止めしてある。なお、アーム2の前端部には円盤形状のアームキャップ21をネジ止めしてあり、アーム2の開口部を塞いである。また、梁41の前端部には梁キャップ47をネジ止めしてあり、梁41の開口部を塞いである(
図4)。
【0013】
このように構成した簡易構造物によれば、柱1とアーム2の取付部分において、取付部材3が柱1の中空部11内に納まって外部からは見えなくなり、柱1の側面からアーム2が突出するような外観となるので、意匠性が良好である。また、切欠部12の左右方向幅が取付部材3より狭くなっているので、取付部材3を柱1の中空部11に嵌め込めば、取付部材3が切欠部12の周縁部に係合してアーム2が抜け落ちることはなく、ボルト止めしていない状態でも仮置きできる。さらに、取付部材3の前後方向幅及び左右方向幅が、何れも柱1の中空部11の前後方向幅及び左右方向幅に略等しく、柱1の中空部11に取付部材3が丁度嵌まるので、柱1に対して取付部材3が回転しない。特に、取付部材3にはアーム2が取り付けてあることにより回転力(
図2(b)において時計回り)が働くが、取付部材3の小口面(前側面及び後側面)が柱1の前側面及び後側面に内側から当接しているので、回転が確実に防止され、仮置き状態においてアーム2が自重で下がることもない。そして、仮置き状態において柱1とアーム2及び取付部材3との位置関係が固定されるので、ボルト孔を合わせる作業も必要なく、ボルト止め作業が容易である。また、取付部材3が断面略矩形の形材からなるものであるから、それ自身の剛性が高く、これを柱1の中空部11に挿入することにより、柱1の補強を兼ねることになり、連結部の剛性が確保される。さらに、アーム2と取付部材3の連結に際しては、取付部材3の空洞部31にアーム2の端部を挿入して通しボルトによりボルト止めする構成であるから、連結が容易であり、また、アーム2の断面形状が円形で取付部材3に当接する平面を有さないにもかかわらず、安定して固定できる。そして、水平方向に貫通する通しボルトによる固定であって、ボルト32に対してボルト孔が大きくクリアランスがあるから、固定後であっても、取付部材3に対してアーム2をある程度上下方向に動かして角度調整することができるので、アーム2に屋根4(梁41)を取り付ける作業も容易となる。なお、このように連結部分が動くものであっても、完成状態では、柱1と、アーム2と、梁41とで三角形を構成することにより、各部材は相互に固定されて強固な構造となるので問題はない。
【0014】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、柱やアームの本数は、簡易構造物の大きさ(カーポートであれば駐車台数)に応じて適宜増減できる。また、アームは、下方に傾斜して延びるもののほか、水平向きのものや、上方に傾斜して延びるものであってもよい。さらに、アームの断面形状については、円形のほか、楕円形や矩形などであってもよく、どのような形状であっても、容易かつ確実に取付部材を固定することができる。また、取付部材は、形材からなるもののほか、鋳物からなるものであってもよく、その断面形状は、矩形のほか、円形や楕円形などであってもよい。そして取付部材は、上記のように柱の中空部に丁度嵌まって全く回転できないもののみならず、何処かの最大長が柱の中空部の前後方向(アームが挿入される方向)の幅よりも長いことにより、一定角度以上は回転できないものであれば、仮置き状態においてアームが脱落しない。さらに、梁と、柱及びアームの取付構造については、一例を示したものであり、必要強度や、施工性、意匠性などを考慮して自由に設定できる。また、この簡易構造物は、カーポート以外に、テラスやバルコニーなどとして使用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0015】
1 柱
2 アーム
3 取付部材
4 屋根
11 中空部
12 切欠部
31 空洞部