特許第6081864号(P6081864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6081864
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】蓋付ケース
(51)【国際特許分類】
   A45C 11/34 20060101AFI20170206BHJP
【FI】
   A45C11/34 102Z
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-109709(P2013-109709)
(22)【出願日】2013年5月24日
(65)【公開番号】特開2014-226406(P2014-226406A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118315
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 博道
(74)【代理人】
【識別番号】100120488
【弁理士】
【氏名又は名称】北口 智英
(72)【発明者】
【氏名】牛久 信一
(72)【発明者】
【氏名】西田 剛史
【審査官】 横山 幸弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−166531(JP,U)
【文献】 特開平11−216014(JP,A)
【文献】 実開昭54−019051(JP,U)
【文献】 実開昭58−084724(JP,U)
【文献】 実開昭48−097316(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 1/00−15/08
B65D 67/00−79/02
B65D 81/18−81/30
B65D 81/38
B65D 85/575
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形状に形成された開口を有する箱状の収納部と、この収納部の開口を閉じるための蓋部と、前記収納部及び前記蓋部のそれぞれにおける長辺に沿った部位同士を相互に連結する帯部とが一体成形され、前記帯部を介して前記蓋部が前記収納部に対して回動可能に取り付けられている蓋付ケースであって、
前記収納部には、当該収納部の底を形成する底板部と、この底板部の周縁に立設される収納側壁部とが備えられ、
前記帯部は、長手方向の両側に沿った端縁のうち、一端縁が第1ヒンジ部として前記収納側壁部に回動可能に連結され、他端縁が第2ヒンジ部として前記蓋部に回動可能に連結され、
前記収納側壁部の高さ寸法をhとし、同収納側壁部の側面における一端縁と前記第1ヒンジ部が連結されている位置との距離をa(ただし、a≧h/2)としたときに、前記帯部の幅寸法wは、
w≧a
との関係を満たすとともに、
前記蓋部は、前記収納部の開口を閉鎖する閉鎖位置から前記収納部の裏側となる裏側位置まで回動可能とされ、裏側位置に配置されると、前記収納部と重なり合うようなっていることを特徴とする蓋付ケース。
【請求項2】
前記蓋部の長辺のうち、前記帯部が連結されていない方の長辺に沿った端縁部を前記収納部に係止するためのストッパが備えられ、
前記ストッパは、
前記収納側壁部及び前記蓋部のうちの一方に回動可能に連結される係止部と、
同収納側壁部及び同蓋部のうちの他方に形成されて、前記係止部を係止可能な被係止部とを備え、
前記係止部は、前記蓋部が閉鎖位置に配置された状態、及び、前記蓋部が裏側位置に配置された状態のいずれにおいても、前記被係止部に係止可能となっていることを特徴とする請求項1記載の蓋付ケース。
【請求項3】
前記蓋部の前記長辺における高さ寸法は、前記収納側壁部の高さ寸法hと同じであり、
前記蓋部が閉鎖位置に配置された状態で、前記収納側壁部における上端位置に前記第1ヒンジ部が設けられ、前記蓋部の前記長辺における上端位置に前記第2ヒンジ部が設けられ、
前記帯部の幅寸法wは、前記収納側壁部の高さ寸法hに等しいことを特徴とする請求項1又は2記載の蓋付ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱状の収納部と、収納部を閉じる蓋部と、収納部及び蓋部を相互に連結する帯部とが一体成形されている蓋付ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉛筆等の筆記具を内部に収納するために、上面が開口された箱状に形成されている収納部と、この収納部の上面の開口を塞ぐための蓋部とが一体成形された蓋付ケースが利用されている。
このような蓋付ケースとしては、収納部及び蓋部の一側縁同士を連結する帯部を設け、この帯部の中間部分を折れ曲がり可能とすることで、収納部に対して蓋部を回動可能に連結したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−82363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のような蓋付ケースでは、蓋部を開くと、収納部の隣に蓋部が並んで配置されるので、収納部だけでなく蓋部も面積を占有するので、狭い机上等で使用する際や、用紙が大きい場合には、蓋部を置くための面積を確保できないことが多く、蓋部が邪魔となり、使い勝手が良くない、という問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、開いた蓋部が邪魔となることがなく、使い勝手の良い蓋付ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の目的を達成するためになされたものである。以下に、本発明の特徴点を、図面に示した発明の実施の形態を用いて説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
(第1発明)
(特徴点)
本発明の第1発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、本第1発明は、長方形状に形成された開口(21A) を有する箱状の収納部(20)と、この収納部(20)の開口(21A) を閉じるための蓋部(30)と、前記収納部(20)及び前記蓋部(30)のそれぞれにおける長辺に沿った部位同士を相互に連結する帯部(40)とが一体成形され、前記帯部(40)を介して前記蓋部(30)が前記収納部(20)に対して回動可能に取り付けられている蓋付ケース(10)であって、前記収納部(20)には、当該収納部(20)の底を形成する底板部(26)と、この底板部(26)の周縁に立設される収納側壁部(27)とが備えられ、前記帯部(40)は、長手方向の両側に沿った端縁のうち、一端縁が第1ヒンジ部(41)として前記収納側壁部(27)に回動可能に連結され、他端縁が第2ヒンジ部(42)として前記蓋部(30)に回動可能に連結され、前記収納側壁部(27)の高さ寸法をhとし、同収納側壁部(27)の側面における一端縁と前記第1ヒンジ部(41)が連結されている位置との距離をa(ただし、a≧h/2)としたときに、前記帯部(40)の幅寸法wは、w≧aとの関係を満たすとともに、前記蓋部(30)は、前記収納部(20)の開口(21A) を閉鎖する閉鎖位置から前記収納部(20)の裏側となる裏側位置まで回動可能とされ、裏側位置に配置されると、前記収納部(20)と重なり合うようなっていることを特徴とする。
【0008】
(第2発明)
(特徴点)
本発明の第2発明は、前述の第1発明において、次の特徴点を備えている。
すなわち、本第2発明は、前記蓋部(30)の長辺のうち、前記帯部(40)が連結されていない方の長辺に沿った端縁部を前記収納部(20)に係止するためのストッパ(50)が備えられ、前記ストッパ(50)は、前記収納側壁部(27)及び前記蓋部(30)のうちの一方に回動可能に連結される係止部(51)と、同収納側壁部(27)及び同蓋部(30)のうちの他方に形成されて、前記係止部(51)を係止可能な被係止部(52)とを備え、前記係止部(51)は、前記蓋部(30)が閉鎖位置に配置された状態、及び、前記蓋部(30)が裏側位置に配置された状態のいずれにおいても、前記被係止部(52)に係止可能となっていることを特徴とするものである。
【0009】
(第3発明)
(特徴点)
本発明の第3発明は、前述の第1又は第2発明において、次の特徴点を備えている。
すなわち、本第3発明は、前記蓋部(30)の前記長辺における高さ寸法が、前記収納側壁部(27)の高さ寸法hと同じであり、前記蓋部(30)が閉鎖位置に配置された状態で、前記収納側壁部(27)における上端位置に前記第1ヒンジ部(41)が設けられ、前記蓋部(30)の前記長辺における上端位置に前記第2ヒンジ部(42)が設けられ、前記帯部(40)の幅寸法wは、前記収納側壁部(27)の高さ寸法hに等しいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
(第1発明の効果)
以上のように構成されている本発明は、次のような効果を奏するものである。本発明の効果について、図8を参照しながら以下に説明する。
すなわち、本発明の第1発明では、図8の如く、収納部1に設けられた収納側壁部1Aの高さ寸法をhとし、収納側壁部1Aの側面における一端縁αと第1ヒンジ部3Aが連結されている位置との距離をa(ただし、a≧h/2)とした。さらに、帯部3の幅寸法wをw≧aとした。よって、収納側壁部1Aの側面における一端縁α側に帯部3を倒した状態でも、また、収納側壁部1Aの側面における他端縁β側に帯部3を倒した状態でも、第2ヒンジ部3Bの位置は、収納側壁部1Aの側面における端縁位置と一致するか、収納側壁部1Aの側面からはみ出た位置に配置される。
すると、収納側壁部1Aの側面における一端縁α側に帯部3が倒れている状態でも、また、収納側壁部1Aの側面における他端縁β側に帯部3が倒れている状態でも、蓋部2は、帯部3の第2ヒンジ部3Bを中心に回動させて、収納部1に重ねることができる。
このため、例えば、収納側壁部1Aの側面における他端縁β側に、帯部3が倒れた状態で、蓋部2が収納部1の開口を閉鎖するように帯部3を形成した場合、帯部3の第2ヒンジ部3Bを中心に、蓋部2を回動することで、収納部1の開口を開閉することができる。
ここで、蓋部2が収納部1の開口を閉鎖している状態で、収納側壁部1Aの側面における他端縁β側に倒れている帯部3を、蓋部2ともども回動させて一端縁α側に倒し、さらに、帯部3の第2ヒンジ部3Bを中心に蓋部2を回動すれば、蓋部2は、収納部1の裏側となる裏側位置γまで移動するようになる。
従って、本第1発明によれば、蓋部2を開いても、収納部1の下に蓋部2を重ねて配置することができるので、蓋部2を置くための面積を確保する必要がなく、蓋部2が邪魔になることがなく、蓋付ケースの使い勝手が良くなり、これにより、前記目的を達成することができる。
【0011】
(第2発明の効果)
本発明の第2発明によれば、前述した第1発明の効果に加え、次のような効果を奏することができる。
すなわち、本第2発明によれば、蓋部の長辺のうち、帯部が連結されていない方の長辺に沿った端縁部を収納部に係止するために、蓋部が閉鎖位置に配置された状態、及び、蓋部が裏側位置に配置された状態のいずれにおいても、蓋部の端縁部を収納部に係止できるストッパを設けたので、蓋部が不意に開いて、収納部に入っていたものが外部に散乱する等の不具合を防止できるうえ、蓋部を裏側位置に配置した状態で、蓋付ケースを持ち上げても、収納部の下に重なり合っていた蓋部が不意に垂れ下がることがないので、蓋部が不意に垂れさがることに起因する不具合、例えば、蓋部が不意に垂れさがったはずみで、蓋付ケースを落としてしまう等の不具合を防止することができ、この点からも、蓋付ケースの使い勝手をよくすることができる。
【0012】
(第3発明の効果)
本発明の第3発明によれば、前述の第1又第2の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
すなわち、本発明の第3発明によれば、蓋部の長辺における高さ寸法を、収納側壁部の高さ寸法hと同じにし、蓋部が閉鎖位置に配置された状態で、収納側壁部における上端位置に第1ヒンジ部を連結し、蓋部の長辺における上端位置に第2ヒンジ部を連結し、且つ、帯部の幅寸法wを、収納側壁部の高さ寸法hに等しくしたので、閉鎖位置又は裏側位置から蓋部を回動させる際に、第2ヒンジ部を中心とした蓋部の回動角度範囲を大きく確保でき、蓋部の回動操作が容易に行えるようになり、この点からも、蓋付ケースの使い勝手をよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る蓋付ケースを示す斜視図である。
図2】前記実施形態に係る蓋付ケースを示す底面側から見た斜視図である。
図3】前記実施形態に係る蓋付ケースを示す展開状態の側面図である。
図4】前記実施形態に係る蓋付ケースのストッパ廻りを示す正面図である。
図5】前記実施形態に係る蓋付ケースを示す平面図である。
図6】前記実施形態に係る嵌合部及び被嵌合部を示す断面図である。
図7】前記実施形態に係る収納側壁部廻りを示す断面図である。
図8】本発明の作用・効果を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態である一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係る蓋付ケース10は、図1に示すように、平たい直方体状に形成され、内部に図示しない棒状筆記具、例えば、複数の色鉛筆を収納するものとなっている。
また、蓋付ケース10は、合成樹脂製のものであり、長方形状に形成された開口21A を有する箱状の収納部20と、この収納部20の開口21A を閉じるための蓋部30と、図2に示すように、収納部20及び蓋部30のそれぞれにおける長辺に沿った部位同士を相互に連結する帯部40とが一体成形された本体部11を備えている。
【0015】
このうち収納部20には、図2の如く、底面21の四つの角隅近傍から、図2中、それぞれ上方へ突出する脚部22が設けられている。
また、収納部20の底面21には、それぞれ大小二つの凹部23, 24が設けられている。凹部23, 24のうち、大きいほうの凹部23の底板部25は、波板状に形成されている。
蓋付ケース10は、波状に形成された底板部25におけるU字形の谷部分の内部に、図示しない色鉛筆をそれぞれ配置することで、複数の色鉛筆を落ち着きよく収納することができるようになっている。
【0016】
ここで、蓋部30は、帯部40を介して収納部20に対して回動可能に、当該収納部20に取り付けられている。
すなわち、収納部には、図3に示すように、当該収納部の底、換言すると、底面21を形成する底板部26と、この底板部26の周縁に立設される収納側壁部27とが備えられている。
【0017】
帯部40は、長手方向の両側に沿った端縁のうち、一端縁が第1ヒンジ部41として収納側壁部27に回動可能に連結され、他端縁が第2ヒンジ部42として蓋部30に回動可能に連結されている。
以上において、収納側壁部27の高さ寸法をhとし、収納側壁部27の側面における一端縁αと第1ヒンジ部41が連結されている位置との距離をa(ただし、a≧h/2)としたときに、帯部40の幅寸法wは、
w≧a
との関係を満たす寸法となっている。
そして、蓋部30は、収納部20の開口21A を閉鎖する閉鎖位置δから収納部20の裏側となる裏側位置γまで回動可能とされ、裏側位置γに配置されると、収納部20と重なり合うようなっている。
【0018】
蓋部30の長辺における端縁部分の高さ寸法jは、収納部20に設けられた収納側壁部27の高さ寸法hと同じとなっている。
そして、蓋部30が閉鎖位置δに配置された状態で、収納側壁部27における上端位置に第1ヒンジ部41が設けられ、蓋部30の長辺における上端位置に第2ヒンジ部42が設けられている。
ここで、帯部40の幅寸法wは、収納側壁部27の高さ寸法hと等しくなっている。
【0019】
図2に戻って、蓋部30及び収納側壁部27における図2中の手前の側面には、図2の如く、帯部40に対応した凹部31, 28が設けられている。
凹部31は、帯部40が蓋部30側に倒れた際に、蓋部30の当該側面から突出しないように、帯部40を内部に収納するものである。
凹部28は、帯部40が収納部20側に倒れた際に、収納側壁部27の当該側面から突出しないように、帯部40を内部に収納するものである。
【0020】
図1に戻って、収納部20における帯部40が連結されていない収納側壁部27には、蓋部30の長辺のうち、帯部40が連結されていない方の長辺に沿った端縁部32を収納部20に係止するためのストッパ50が設けられている。
ストッパ50は、収納側壁部27に回動可能に連結される係止部としての係止片51と、
蓋部30に形成されて、係止片51を係止可能な被係止部としての突片52とを備えたものとなっている。
【0021】
このうち、突片52の先端縁には、図1中において上下に突出する図示しない突条が設けられている。この突条によって、突片52の先端部分は、断面形状が略T字形となっている。
係止片51には、先端近傍を貫通するとともに、図1中、左右方向に細長い長孔53が形成されている。この長孔53における長手方向に延びる内側面には、対抗する内側面に向かって突出する係止爪54が設けられている。
【0022】
ここで、係止片51は、図4に示されるように、蓋部30が閉鎖位置δに配置された状態では、係止爪54が、図4中、上方から突片52に向かって延び、突片52の前記突条に係止されるようになっている。
一方、係止片51は、図4の如く、蓋部30が裏側位置γに配置された状態では、係止爪54が、図4中、下方から突片52に向かって延び、突片52の前記突条に係止されるようになっている。
以上において、係止片51は、蓋部30が閉鎖位置δに配置された状態、及び、蓋部30が裏側位置γに配置された状態のいずれにおいても、突片52に係止可能となっている。
【0023】
蓋部30には、図5に示すように、外部から収納部の内部を視認させるために開口された窓部33と、図6に示すように、当該蓋部30の外側の面34を覆うとともに窓部33を塞ぐ透明カバー材60とが設けられている。
透明カバー材60の短辺に沿った端縁部分61は、図6の如く、L字形状に折れ曲がっている。この端縁部分61の折れ曲がった先端近傍には、蓋部30の短辺に沿った端縁部分35に向かって突出する被嵌合部としての嵌合突起62が設けられている。
蓋部30の短辺に沿った端縁部分35には、透明カバー材60の嵌合突起62を嵌合させる嵌合部としての凹部36が設けられている。
【0024】
図5に戻って、透明カバー材60の、図5中、上方に配置されている端縁部分61には、図5に示すように、折れ曲がった先端近傍が部分的に切り欠かれた切り欠き部63が設けられている。この切り欠き部63を通して、蓋部30の端縁部分35の一部分が外部に露出している。
この蓋部30の端縁部分35における透明カバー材60から露出した部分には、コインCを差し込むことができるスリット状の凹部35A が設けられている。
このような凹部35A に差し込まれたコインCを抉ることにより、蓋部30から透明カバー材60が外れるようになっている。
【0025】
ここで、透明カバー材60は、通常の使用では蓋部30から不意に外れることがない。また、幼児等の子供では、蓋部30から取り外すことができないが、大人等がコインCを利用することで、簡単に、蓋部30から取り外すことができるようになっている。
そして、蓋部30から取り外された透明カバー材60は、その端縁部分61を蓋部30の端縁部分35に沿わせて蓋部30に向かって押し付けることで、蓋部30に容易に装着可能となっている。
【0026】
また、蓋部30の長辺に沿った端縁部分37には、図5の如く、当該端縁部分37のほぼ全長にわたって延びるとともに、図7に示すように、当該蓋部30の厚さ方向に突出する側壁部38が設けられている。
この側壁部38の図7中における上側の先端部分39は、透明カバー材60の表側の面よりも、図7中、上方となる位置に達している。
【0027】
また、側壁部38には、先端部分39の透明カバー材60側の角部が面取りされて傾斜面39A が設けられている。
図3に戻って、傾斜面39A には、図3の如く、蓋部30が裏側位置γに配置された状態で、収納部20におけるヒンジ40が連結されていない側の長辺近傍に配置された脚部22が当接するようになっている。
この傾斜面39A に対する脚部22の当接高さ位置は、裏側位置γに配置された蓋部30に対して収納部20が平行となり、ひいては、蓋部30が裏側位置γに配置された状態の蓋付ケース10が水平面に置かれた際に、収納部20が水平となるように設定されている。
【0028】
蓋部30及び透明カバー材60の間には、図6及び図7の如く、紙や合成樹脂等からなるシート状に形成された表示部70が介装されている。この表示部70の表側の面には、例えば、この蓋付ケース10に収納される棒状筆記具に関する情報が印刷されている。
また、表示部70は、図5の如く、蓋部30に形成された窓部33の図5中の下方に配置されている。
【0029】
ここで、蓋部30から透明カバー材60を取り外した後、表示部70を新たな表示部に交換し、再度、蓋部30に透明カバー材60を取り付ければ、表示部70を交換することが可能となっている。
これにより、使用者が表示部70に描かれた絵等の表示物に飽き、新たな表示物に交換したい場合、あるいは、表示部70を自分の描いた絵に交換したい場合に、表示部70の交換が可能となっている。
特に、テレビ等に新しくキャラクターが登場した際に、当該キャラクターの描かれた新しい表示部をインターネット経由等で配布し、今までの表示部70を配布された表示部に交換すれば、子供にありがちな、新しいキャラクターを商品化した新製品が欲しいだけの理由による買い替えを防止することができ、当該蓋付ケース10、及び、その内部に収納された物を長く使用してもらえるようになる。
【0030】
(実施形態の効果)
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、収納部20に設けられた収納側壁部27の高さ寸法をhとし、収納側壁部27の側面における一端縁αと第1ヒンジ部41が連結されている位置との距離をa(ただし、a≧h/2)としたときに、帯部40の幅寸法wをw≧aとしたので、収納側壁部27の側面における一端縁α側に、帯部40を倒した状態でも、収納側壁部27の側面における他端縁β側に、帯部3を倒した状態でも、第2ヒンジ部42の位置は、収納側壁部1Aの側面における端縁位置と一致する。
【0031】
すると、収納側壁部27の側面における一端縁α側に、帯部40が倒れている状態でも、収納側壁部27の側面における他端縁β側に、帯部40が倒れている状態でも、蓋部30は、帯部40の第2ヒンジ部42を中心に回動させて、収納部20に重ねることができる。
このため、収納側壁部27の側面における他端縁β側に帯部40が倒れた状態で、蓋部30が収納部20の開口を閉鎖するように帯部40を形成した場合、その他端縁β側に帯部40が倒れた状態で、帯部40の第2ヒンジ部41を中心に、蓋部30を回動することで、収納部20の開口21A を開閉することができる。
【0032】
ここで、蓋部30が収納部20の開口21A を閉鎖している状態で、収納側壁部27の側面における他端縁β側に倒れている帯部40を、蓋部30ともども回動させて一端縁α側に倒し、さらに、帯部40の第2ヒンジ部42を中心に蓋部30を回動すれば、蓋部30は、収納部20の裏側となる裏側位置γまで移動するようになる。
従って、蓋部30を開いても、収納部20の下に蓋部30を重ねて配置することができるので、蓋部30を置くための面積を確保する必要がなく、蓋部30が邪魔になることがなく、蓋付ケース10の使い勝手を良くすることができる。
【0033】
また、蓋部30の長辺のうち、帯部40が連結されていない方の長辺に沿った端縁部を収納部20に係止するために、蓋部30が閉鎖位置δに配置された状態、及び、蓋部30が裏側位置γに配置された状態のいずれにおいても、蓋部30の端縁部を収納部20に係止できるストッパ50を設けた。これにより、蓋部30が不意に開いて、収納部20に入っていたものが外部に散乱する等の不具合を防止できる。また、蓋部30を裏側位置γに配置した状態で、蓋付ケース10を持ち上げても、収納部20の下に重なり合っていた蓋部30が不意に垂れ下がることがない。よって、蓋30部が不意に垂れさがることに起因する不具合、例えば、蓋部30が不意に垂れさがったはずみで、蓋付ケース10を落としてしまう等の不具合を防止することができる。この点からも、蓋付ケース10の使い勝手をよくすることができる。
【0034】
さらに、蓋部30の長辺における高さ寸法jを、収納側壁部27の高さ寸法hと同じにし、蓋部30が閉鎖位置δに配置された状態で、収納側壁部27における上端位置に第1ヒンジ部41を連結し、蓋部30の長辺における上端位置に第2ヒンジ部42を連結し、帯部40の幅寸法wを、収納側壁部27の高さ寸法hに等しくした。これにより、閉鎖位置δ又は裏側位置γから蓋部30を回動させる際に、第2ヒンジ部42を中心とした蓋部30の回動角度範囲を大きく確保でき、蓋部30の回動操作が容易に行えるようになる。この点からも、蓋付ケース10の使い勝手をよくすることができる。
【0035】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形及び改良などをも含むものである。
例えば、前記実施形態では、蓋部30の長辺における高さ寸法j、収納側壁部27の高さ寸法h、及び、帯部40の幅寸法wを等しくしたが、これに限らず、高さ寸法j、高さ寸法h及び幅寸法wが互いに相違していてもよく、要するに、a≧h/2、且つ、w≧aを満たしていればよい。
【符号の説明】
【0036】
1 収納部 1A 収納側壁部
2 蓋部 3 帯部
3A ヒンジ部 3B ヒンジ部
10 蓋付ケース 11 本体部
20 収納部 21A 開口
21 底面 22 脚部
23 凹部 24 凹部
25 底板部 26 底板部
27 収納側壁部 28 凹部
30 蓋部 31 凹部
32 端縁部 33 窓部
34 面 35 端縁部分
36 凹部 37 端縁部分
38 側壁部 39 先端部分
40 帯部 41 ヒンジ部
42 ヒンジ部 50 ストッパ
51 係止片 52 突片
53 長孔 54 係止爪
60 透明カバー材 61 端縁部分
62 嵌合突起 70 表示部
α 一端縁 β 他端縁
γ 裏側位置 δ 閉鎖位置
図1
図2
図3
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図8