特許第6081882号(P6081882)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6081882
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】無線LAN親機
(51)【国際特許分類】
   H04W 84/12 20090101AFI20170206BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20170206BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20170206BHJP
【FI】
   H04W84/12
   H04W88/08
   H04W72/04 111
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-153648(P2013-153648)
(22)【出願日】2013年7月24日
(65)【公開番号】特開2015-26896(P2015-26896A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2015年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】海沼 義彦
(72)【発明者】
【氏名】寶満 剛
(72)【発明者】
【氏名】鳥海 陽平
(72)【発明者】
【氏名】水谷 亮介
【審査官】 久慈 渉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−015048(JP,A)
【文献】 特開2007−096786(JP,A)
【文献】 特開2012−175545(JP,A)
【文献】 特開2010−239262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用可能な無線チャネル群から選んだ1つの基本チャネルを使用する基本通信モードと、当該無線チャネル群に属する3つの拡張用チャネル及び当該基本チャネルを束ねて同時に使用する拡張通信モードとを電波環境に応じて使い分け可能な無線LAN親機において、
前記無線チャネル群に属する無線チャネルで他局からブロードキャストされるビーコンフレームを受信する他局探知部と、
前記ビーコンフレームに格納されたネットワークの識別子及び当該ネットワークで使用される無線チャネルを示すチャネル情報に基づいて、他のネットワークで使用される無線チャネルを特定するサイトサーベイ部と、
前記拡張通信モードに利用可能な周波数帯群の中で他のネットワークのある周波数帯に属する4つの無線チャネルのいずれかを基本チャネルとして使用する他のネットワークの総数がより少ない周波数帯に属すること、及び他のネットワークで使用される拡張用チャネルと重ならないことを優先する第1選択ポリシーに従って基本チャネルを選ぶチャネル選択部とを備えることを特徴とする無線LAN親機。
【請求項2】
前記チャネル選択部は、他のネットワークによる基本チャネルとしての使用数を無線チャネル単位で数え、前記第1選択ポリシーで候補になる無線チャネルを複数発見した場合、これらの中で前記使用数のより多い無線チャネルを優先する第2選択ポリシーに従って基本チャネルを選ぶ請求項1に記載の無線LAN親機。
【請求項3】
前記他局探知部は、無線チャネル単位で受信強度を測定し、
前記チャネル選択部は、前記第2選択ポリシーで候補になる無線チャネルを複数発見した場合、これらの中で、隣接チャネルにおける前記受信強度の最大値のより低いものを優先する第3選択ポリシーに従って基本チャネルを選ぶ請求項2に記載の無線LAN親機。
【請求項4】
前記チャネル選択部は、前記第3選択ポリシーで候補になる無線チャネルを複数発見した場合、これらの中で周波数のより大きいもの又はより小さいものの一方のみを優先する第4選択ポリシーに従って基本チャネルを選ぶ請求項3に記載の無線LAN親機。
【請求項5】
前記チャネル選択部は、前記第1選択ポリシーで候補になる無線チャネルを発見できなかった場合、前記総数の最も少ない周波数帯の中で周波数のより大きいもの又はより小さいものの一方のみを優先する第5選択ポリシーに従って基本チャネルを選ぶ請求項1から4のいずれか1項に記載の無線LAN親機。
【請求項6】
前記チャネル選択部は、レーダ波で使用されていない周波数帯に属する無線チャネルを優先する第6選択ポリシーに従って基本チャネルを選ぶ請求項1から5のいずれか1項に記載の無線LAN親機。
【請求項7】
利用可能な無線チャネル群から選んだ1つの基本チャネルを使用する基本通信モードと、当該無線チャネル群に属する3つの拡張用チャネル及び当該基本チャネルを束ねて同時に使用する拡張通信モードとを電波環境に応じて使い分け可能な無線LAN親機のコンピュータに、
前記無線チャネル群に属する無線チャネルで他局からブロードキャストされるビーコンフレームを受信する他局探知ステップと、
前記ビーコンフレームに格納されたネットワークの識別子及び当該ネットワークで使用される無線チャネルを示すチャネル情報に基づいて、他のネットワークで使用される無線チャネルを特定するサイトサーベイステップと、
前記拡張通信モードに利用可能な周波数帯群の中で他のネットワークのある周波数帯に属する4つの無線チャネルのいずれかを基本チャネルとして使用する他のネットワークの総数がより少ない周波数帯に属すること、及び他のネットワークで使用される拡張用チャネルと重ならないことを優先する第1選択ポリシーに従って基本チャネルを選ぶチャネル選択部ステップとを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線アクセスポイントとして動作する自己の配下に無線通信機器を従属させてローカルなネットワークを構築する無線LAN親機、及びその無線LAN親機のコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
法律上、免許の不要な電波の周波数帯を用いた無線伝送路で親機と子機を接続する無線LAN(Local Area Network)が一般家庭やオフィスに普及している。一般に、無線LAN親機と無線通信機器の接続手順として、パッシブスキャン方式が利用されている。パッシブスキャン方式では、無線LAN親機が、所定の通信プロトコルに規定のビーコン(beacon)フレームを定期的にブロードキャストする。無線アクセスポイントを探す無線通信機器は、その通信プロトコルに規定の利用可能な周波数帯でビーコンフレームを探し、ビーコンフレームを受信すると、ビーコンフレームに格納された送信元アドレスの無線LAN親機との間でネットワークの識別子(SSID)の確認をし合い、認証(Authentication)フェーズに移行する。認証された無線通信機器は、その無線LAN親機の配下で無線通信を行う子機となる。
【0003】
このような無線LANを構築するための通信プロトコルとして、5GHz帯で利用可能なIEEE802.11aやIEEE802.11nへの移行が進んでいる。さらに、IEEE802.11nを拡張したIEEE802.11acの正式化が近づき、このドラフト版が策定されている(以下、これら通信プロトコルは、それぞれ11a、11n、11acと略称する)。11acでは11n/11aへの後方拡張性が担保される。現在、そのドラフト版に対応した無線LAN親機の市販が始まっている。今後は、11acに対応の通信モードで動作する無線LAN親機が一般家庭等へ普及していく。
【0004】
集合住宅やオフィスビルでは、近接する複数の無線LANの無線通信エリアが重なり易くなる。11a/11n/11acにおいては、搬送波感知多重アクセス/衝突回避(CSMA/CA:Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式を採用する。CSMA/CA方式では、無線通信エリアが重なる複数の無線LAN親機がいずれも同じ無線チャネルを使用すると、その無線LAN親機が自ら利用する無線チャネルがビジーであるか否かを確認し、ビジーの場合、ランダム時間待って再確認しなければならず、重なる機数が多くなる程、通信効率が悪化する。11n/11acにおいては、複数の無線チャネルを束ねて同時に使用するチャネルボンディングが採用されているので、近接する無線LAN親機間において使用される無線チャネルが重複(競合)する可能性が高くなる。
【0005】
このような重複を避けるため、無線LAN親機には、無線通信エリアが重なる無線LAN親機同士で、Activeにそれぞれの使用するチャネル情報を交換することにより、これら親機間でなるべく使用する無線チャネルが重ならないように制御する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−15048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、今後の普及が進む11acの通信モードでは、チャネルボンディングによって20MHz帯の無線チャネルを4つ束ねて同時に使用することが可能である。11acに対応の無線LAN親機は、周囲の電波環境に合わせて、無線通信に使用する帯域幅を11aの通信モード:20MHz(基本チャネル)と、11nの通信モード:40MHz(規定の20MHz拡張用チャネルと基本チャネルのボンディング)と、11acの通信モード:80MHz(規定の3つの20MHz拡張用チャネルと基本チャネルのボンディング)とを使い分けるように動的制御を行う。11acの通信モードの使用は、基本チャネルを含んだ規定の周波数帯(80MHzの帯域幅)が丸ごと空いているときに限られる。特許文献1に開示された制御装置では、11acの通信モードで利用可能な規定の周波数帯(80MHzの帯域幅)が丸ごと空き易い状況を作り出すことまでは考慮されていない。
【0008】
また、無線LAN親機同士で、Activeに使用するチャネル情報を交換する方式は、特別なフレームの交換を行うため、周囲の無線LAN親機の実装に依存することになる。Active方式では、仮に11acの仕様を考慮したチャネル選択手段を無線LAN親機に実装したとしても、11acの移行過渡期なので、周囲の無線LAN親機と交換、協調することができない。
【0009】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、周囲の無線LAN親機の実装に依存することなく、11ac規格を利用して効率的な無線通信を実施することの可能な無線LAN親機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、この発明は、利用可能な無線チャネル群から選んだ1つの基本チャネルを使用する基本通信モードと、当該無線チャネル群に属する3つの拡張用チャネル及び当該基本チャネルを束ねて同時に使用する拡張通信モードとを電波環境に応じて使い分け可能な無線LAN親機において、前記無線チャネル群に属する無線チャネルで他局からブロードキャストされるビーコンフレームを受信する他局探知部と、前記ビーコンフレームに格納されたネットワークの識別子及び当該ネットワークで使用される無線チャネルを示すチャネル情報に基づいて、他のネットワークで使用される無線チャネルを特定するサイトサーベイ部と、前記拡張通信モードに利用可能な周波数帯群の中で他のネットワークの存在数がより少ない周波数帯に属すること、及び他のネットワークで使用される拡張用チャネルと重ならないことを優先する第1選択ポリシーに従って基本チャネルを選ぶチャネル選択部とを備える構成を採用した。
【0011】
ビーコンフレームの定期送信機能は従来の無線LAN親機も実装している。前記他局探知部は、利用可能な無線チャネル群をスキャンし、無線通信エリアの重ねる他の無線LAN親機を全て探知することができる。前記サイトサーベイ部は、他局探知部で受信したビーコンフレームに格納されたネットワークの識別子及びチャネル情報を取得する。これら識別子とチャネル情報の対応により、サイトサーベイ部は、そのビーコンフレームの送信元がどの無線チャネル(基本チャネルや拡張用チャネル)を使用するかを特定することができる。これは、その送信元の無線LAN親機配下のローカルエリアネットで使用される無線チャネルを知ることに相当する。したがって、この発明に係る無線LAN親機は、周囲の無線LAN親機の実装状況に依存することなく、無線通信エリアの重なる他のネットワークで使用される無線チャネルを全て知ることができる。
また、前記チャネル選択部は、基本チャネルを選ぶため、サイトサーベイ部で特定された情報に基づいて、前記拡張通信モードに利用可能な周波数帯群の周波数帯ごとに他のネットワークの存在数を知ることができる。その存在数は、サイトサーベイ部で特定された全ての識別子のうち、ある周波数帯に属する4つの無線チャネルの中で少なくとも1つと紐付けられている識別子を全て数えた値に相当する。拡張通信モードは、前記基本通信モードの基本チャネルと3つの拡張用チャネルを束ねて同時に使用する通信プロトコルなので、拡張通信モードに11ac規格を適用することができる。
また、チャネル選択部は、前記第1選択ポリシーに従って、拡張通信モードに利用可能な周波数帯群の中でも、その存在数が最も少ない周波数帯から基本チャネルを選ぶ。したがって、この発明に係る無線LAN親機は、なるべく他のネットワークと重ならない周波数帯で、拡張通信モードで無線通信を行うことができる。
また、チャネル選択部は、サイトサーベイ部で特定された情報に基づいて、拡張通信モードに利用可能な周波数帯群の中でも、その存在数が最も少ない周波数帯に属する4つの無線チャネルのそれぞれについて、他の無線LAN親機で使用される拡張用チャネルに該当するか否かを知ることもできる。すなわち、チャネル選択部は、他のネットワークで使用される拡張用チャネルと重ならない無線チャネルを探索することもできる。チャネル選択部は、その探索対象の無線チャネルを発見できた場合、前記第1選択ポリシーに従って、発見した無線チャネルを基本チャネルに選ぶ。このように選んだ基本チャネルは、周囲の無線LAN親機のどれとも基本チャネルのみで重なることになる。すなわち、基本チャネルが空いていれば、拡張通信モードで使用すべき周波数帯が丸ごと空いていることになる。したがって、この発明に係る無線LAN親機は、なるべく他のネットワークと重ならない周波数帯の中でも、拡張通信モードの使用機会を効率よく得ることの可能な基本チャネルを選ぶことができる。
【0012】
前記チャネル選択部は、他のネットワークによる基本チャネルとしての使用数を無線チャネル単位で数え、前記第1選択ポリシーで候補になる無線チャネルを複数発見した場合、これらの中で前記使用数のより多い無線チャネルを優先する第2選択ポリシーに従って基本チャネルを選ぶことが好ましい。例えば、周囲に、基本通信モードしか利用しない無線LAN親機が多い場合、第1選択ポリシーで候補になる無線チャネルが複数発見する場合が起り得る。このような場合でも、第2選択ポリシーで基本チャネルを選んでおけば、なるべく多くの他のネットワークの基本チャネルと自ネットワークで使用する基本チャネルを重ねることになるので、拡張通信モードで使用すべき周波数帯が丸ごと空いている電波環境が最も起こり易くなる。
【0013】
前記他局探知部は、無線チャネル単位で受信強度を測定し、前記チャネル選択部は、前記第2選択ポリシーで候補になる無線チャネルを複数発見した場合、これらの中で、隣接チャネルにおける前記受信強度の最大値のより低いものを優先する第3選択ポリシーに従って基本チャネルを選ぶことも好ましい。第3選択ポリシーによれば、他のネットワークの無線通信が自ネットワークの基本チャネルに隣接するチャネルで行われているとき、その隣接チャネルからの干渉を最も受け難い基本チャネルで自ネットワークの無線通信を行うことができる。
【0014】
前記チャネル選択部は、前記第3選択ポリシーで候補になる無線チャネルを複数発見した場合、これらの中で周波数のより大きいもの又はより小さいものの一方のみを優先する第4選択ポリシーに従って基本チャネルを選ぶことも好ましい。この発明に係る無線LAN親機の普及が進めば、周囲の無線LAN親機として存在する場合も増えてくる。このような場合、この発明に係る無線LAN親機のそれぞれが前記第1選択ポリシー〜第3選択ポリシーによっても基本チャネルの候補を1つに絞れないとき、第4選択ポリシーによって、それぞれが同じ基本チャネルを選び易くなる。
【0015】
前記チャネル選択部は、前記第1選択ポリシーで候補になる無線チャネルを発見できなかった場合、前記存在数の最も少ない周波数帯の中で周波数のより大きいもの又はより小さいものの一方のみを優先する第5選択ポリシーに従って基本チャネルを選ぶことが好ましい。周囲の無線LAN親機にチャネルボンディングをサポートしたものが多く存在する場合、前記拡張通信モードで利用可能な周波数帯群の中のどこにも、他のネットワークの拡張用チャネルと重ならない無線チャネルが存在しない可能性がある。この発明に係る無線LAN親機の普及が進めば、周囲の無線LAN親機として存在する場合も増えてくる。この発明に係る無線LAN親機のそれぞれが第1選択ポリシーで基本チャネルを選べないとき、第5選択ポリシーによって、それぞれが同じ基本チャネルを選び易くなる。
【0016】
前記チャネル選択部は、レーダ波で使用されていない周波数帯に属する無線チャネルを優先する第6選択ポリシーに従って基本チャネルを選ぶことが好ましい。11acで利用可能な周波数帯群の中には5GHz帯は気象レーダ等のレーダ波と干渉する周波数帯を含むため、国内の電波関係法により、IEEE802.11hに規定されたDFS(dynamic frequency selection)を用いることが義務付けられており、レーダ波を検知した場合、当該気象レーダ波の周波数を含む周波数帯を使用することは許されない。第6選択ポリシーによれば、レーダ波を探知した地域では、気象レーダ波との干渉を避け、それ以外の地域では、不必要に無線チャネルの選択範囲を狭めずに済む。
【0017】
この発明に係る無線LAN親機は、利用可能な無線チャネル群から選んだ1つの基本チャネルを使用する基本通信モードと、当該無線チャネル群に属する3つの拡張用チャネル及び当該基本チャネルを束ねて同時に使用する拡張通信モードとを電波環境に応じて使い分け可能な無線LAN親機のコンピュータに、前記無線チャネル群に属する無線チャネルで他局からブロードキャストされるビーコンフレームを受信する他局探知ステップと、前記ビーコンフレームに格納されたネットワークの識別子及び当該ネットワークで使用される無線チャネルを示すチャネル情報に基づいて、他のネットワークで使用される無線チャネルを特定するサイトサーベイステップと、前記拡張通信モード用に規定された周波数帯群の中で他のネットワークによる存在数のより少ない周波数帯に属すること、及び他のネットワークで使用される拡張用チャネルと重ならないことを優先する第1選択ポリシーに従って基本チャネルを選ぶチャネル選択部ステップとを実行させるためのプログラムを実装することによって、実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
上述のように、この発明は、上記構成の採用により、周囲の無線LAN親機の実装状況に依存することなく、無線通信エリアの重なる他のネットワークで使用される無線チャネルを全て知り、11acを適用可能な拡張通信モードに利用可能な周波数帯群の中でも、なるべく他のネットワークと重ならない周波数帯に属し、しかも拡張通信モードの使用機会を効率よく得ることの可能な基本チャネルを選ぶため、周囲の無線LAN親機の実装に依存することなく、11ac規格を利用して効率的な無線通信を実施することの可能な無線LAN親機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る無線LAN親機による基本チャネル選択処理のメインフローチャート図
図2図1に示す基本チャネル選択処理のサブフローチャート図
図3】実施形態に係る無線LAN親機の要部の機能ブロック図
図4】IEEE802.11acで利用可能なチャネルの概念図
図5図3のチャネル選択部が管理するデータベースのテーブルを示す概念図
図6】実施形態に係る無線LAN親機の電波環境への組込み例を示す概念図
図7図3のチャネル選択部による第1の処理例を示す概念図
図8図3のチャネル選択部による第2の処理例を示す概念図
図9図3のチャネル選択部による第3の処理例を示す概念図
図10図3のチャネル選択部による第4の処理例を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。実施形態に係る無線LAN親機(以下、単に「この無線LAN親機」と呼ぶ。)は、図3に示すように、無線通信インターフェース部1と、有線通信インターフェース部2と、ゲートウェイ処理部3とを備える。無線通信インターフェース部1は、インフラストラクチャ型の無線LANを配下に構築するためのハードウェア資源及びソフトウェア資源からなる。有線通信インターフェース部2は、有線アクセス網と接続するためのハードウェア資源及びソフトウェア資源からなる。ゲートウェイ処理部3は、無線通信インターフェース部1と有線通信インターフェース部2間の伝送処理を行う。これらハードウェア資源には、CPU、MPU等の演算処理装置、演算処理装置で実行させるためのプログラムを記憶しているメモリ、記録媒体等の記憶装置、無線通信用の11acに対応のアンテナ回路、有線接続用のコネクタ、これらを接続する内部バスといったものが含まれている。
【0021】
無線通信インターフェース部1は、国内電波関係法で許される11ac(ドラフト版)規格に対応したものとなっている。したがって、この無線LAN親機は、利用可能な無線チャネル群から選んだ1つの基本チャネルを使用する基本通信モード(11a規格相当)と、当該無線ャネル群に属する1つの拡張用チャネルと当該基本チャネルを束ねて同時に使用する第1の拡張通信モード(11n規格相当)と、当該無線チャネル群に属する3つの拡張用チャネル及び当該基本チャネルを束ねて同時に使用する第2の拡張通信モード(11ac規格相当)とを、周囲の電波環境に応じて動的に使い分けることが可能になっている。
【0022】
図4に示すように、11a/11n/11acで利用可能な無線チャネル群は、5GHz帯に規定されており、各無線チャネルは、20MHzである。これら無線チャネルには、それぞれ36〜140のチャネル番号が割り当てられている。基本通信モード(11a)で使用する1つの無線チャネルが基本チャネルとなる。
【0023】
第1の拡張通信モード(11n)で利用可能な基本チャネルと、これにチャネルボンディングする拡張用チャネルの組み合わせパターンは、(基本チャネル番号,拡張チャネル番号)として、(36,40)、(40,36)、(44,48)、(48,44)、(52,56)、(56,52)、(60,64)、(64,60)、(100,104)、(104,100)、(108,112)、(112,108)、(116,120)、(120,116)、(124,128)、(128,124)、(132,136)、(136,132)に限られている。
【0024】
第2の拡張通信モード(11ac)で利用可能な周波数帯は、(36,40,44,48)を合わせた周波数帯、(52,56,60,64)を合わせた周波数帯、(100,104,108,112)を合わせた周波数帯、(116,120,124,128)を合わせた周波数帯に限られる。基本チャネルが属する周波数帯のみが利用可能である。以下、(36,40,44,48)の周波数帯は、W52と呼ぶ。(52,56,60,64)の周波数帯は、W53と呼ぶ。(100,104,108,112,116,120,124,128)を合わせた周波数帯は、W56と呼ぶ。W52は、レーダ波で使用されない周波数帯である。W52、W53の使用は、屋内のみに限定される。W56は、屋内、屋外を問わず使用可能である。W53、W56は、レーダ波で使用される。W53、W56を使用する無線LAN親機は、レーダ波を検知すると、直ちに電波送出を停止する必要がある。
【0025】
第1の拡張通信モード(11n)で使用する周波数帯(いわゆる40MHzチャネル)、第2の拡張通信モード(11ac)で使用する周波数帯(いわゆる80MHzチャネル)のうち、基本チャネルを含む方の半分は、制御フレームの送受信、ビーコンフレームの送信、CSMA/CAによるビジー確認用の管理フレームの送受信に使用される周波数帯であり、プライマリチャネルと呼ばれる。残り半分は、プライマリチャネルで行うように規定されているフレームを除いたデータ通信にのみ使用される周波数帯であり、セカンダリチャネルと呼ばれる。
【0026】
図3に示すように、無線通信インターフェース部1は、ビーコンフレーム生成部11と、他局探知部12と、サイトサーベイ部13と、DFS部14と、チャネル選択部15とを有する。
【0027】
ビーコンフレーム生成部11は、使用中の通信モードの規格に従って、ビーコンフレームを生成し、定期的にブロードキャストする。
【0028】
他局探知部12は、無線チャネル群に属する無線チャネルで他局からブロードキャストされるビーコンフレームを受信する。
【0029】
サイトサーベイ部13は、他局探知部12で受信したビーコンフレームに格納されたネットワークの識別子及び当該ネットワークで使用される無線チャネルを示すチャネル情報に基づいて、他のネットワークで使用される無線チャネルを特定する。サイトサーベイ部13は、ビーコンフレームから特定した情報(ネットワークの識別子、無線チャネルを含む)をチャネル選択部15に通知する。
【0030】
ここで、ネットワークの識別子(SSID)は、1機の無線LAN親機を無線アクセスポイントとして構築されるネットワーク(BSS:Basic service set)に付与するネットワーク名である。ネットワークの識別子は、例えば、無線通信インターフェース部1に割り当てられているMACアドレスを利用したBSSIDである。チャネル情報は、基本チャネル、使用する周波数帯の帯域幅、拡張用チャネルを全て含む必要はなく、規格に基づいて、基本チャネル、全ての拡張用チャネル(1つ又は3つの20MHzチャネル)を特定できる信号としてビーコンフレームに格納される。
【0031】
ビーコンフレーム生成部11によって生成されるビーコンフレームには、自ネットワークに割り当てられている前述のネットワークの識別子及び自ネットワークで使用する無線チャネルを示す前述のチャネル情報が格納される。
【0032】
他局探知部12は、無線チャネル(36〜140)の全てをスキャンし、どの無線チャネルで受信した11a/11n/11acのどの規格のビーコンフレームであっても、全て読み取る。このスキャンは、必要な時期に行えばよく、例えば、チャネル選択部15からの要求に応じてスキャンを行うようにすることができる。
【0033】
他局探知部12は、無線チャネル単位で受信強度(RSSI:Received signal strength indicator)を測定し、その最大値をチャネル選択部15に通知する。
【0034】
DFS部14は、IEEE802.11hに規定のレーダ波スキャンを実行する。DFS部14は、スキャン結果をチャネル選択部15に通知する。
【0035】
チャネル選択部15は、利用可能な無線チャネル(36〜140)群から基本チャネルを選ぶ。基本チャネルを選ぶタイミングは、この無線LAN親機で無線LANを構築する初期設定を行うとき、DFS部14によってレーダ波が検知されたとき等、適宜に決定することができる。
【0036】
チャネル選択部15は、他局探知部12、サイトサーベイ部13から通知された情報に基づいてデータベースを更新する。図5にサイトサーベイ部13に含まれたデータベースのテーブル構造を概念的に例示する。図3に示すチャネル選択部15は、他のネットワークの識別子(項目名:SSID)と、当該ネットワークで使用される基本チャネルを示すチャネル番号の値(項目名:基本チャネル)と、他のネットワークの通信モードを示す使用帯域幅の値(項目名:使用帯域幅)と、他のネットワークからのビーコンフレームの受信強度の値(項目名:RSSI)とを紐付けて管理する。
【0037】
また、チャネル選択部15は、そのデータベースを検索して、他のネットワークによる基本チャネルとしての使用数を無線チャネル単位で数えることができる。この使用数は、ある無線チャネルを使用している他のネットワークの総数を意味する。1つの無線チャネルを検索キーにしたヒット数が、その使用数に相当する。他のネットワークの数は、前述のデータベース上において、ネットワークの識別子(SSID)の数に相当する。
【0038】
また、チャネル選択部15は、そのデータベースを検索して、第2の拡張通信モード(11ac)に利用可能な周波数帯W52、W53、(100,104,108,112)、(116,120,124,128)群の周波数帯ごとに、他のネットワークの存在数を計算することができる。この存在数は、ある周波数帯に属する4つの無線チャネルのいずれかを基本チャネルとして使用する他のネットワークの総数を意味する。これら4つの無線チャネルについて前記使用数を数え、これら値の集計値が、その存在数に相当する。
【0039】
また、チャネル選択部15は、周波数帯W52、W53、(100,104,108,112)、(116,120,124,128)の間で前記存在数の大小関係を比較することができる。
【0040】
また、チャネル選択部15は、周波数帯W52、W53、(100,104,108,112)、(116,120,124,128)から前記存在数の少ない順に周波数帯を選択し、その選択した周波数帯に属する4つの無線チャネルを対象として、他のネットワークで使用される拡張用チャネルの有無を無線チャネル単位で判別することができる。この判別は、基本チャネルと使用帯域幅に相当の11n/11acで規定された既知の組み合わせパターンに基づいて行うことができる。
【0041】
チャネル選択部15は、第1選択ポリシー〜第6選択ポリシーに従って、基本チャネルを選ぶ。
【0042】
第1選択ポリシーは、前記他のネットワークの存在数がより少ない周波数帯に属すること、及び、他のネットワークで使用される拡張用チャネルと重ならないことを優先して、基本チャネルを選ぶことである。
【0043】
第2選択ポリシーは、前記第1選択ポリシーで候補になる無線チャネルを複数発見した場合、これらの中で、他のネットワークによる基本チャネルとしての前記使用数のより多い無線チャネルを優先して、基本チャネルを選ぶことである。
【0044】
第3選択ポリシーは、前記第2選択ポリシーで候補になる無線チャネルを複数発見した場合、これらの中で、隣接チャネルにおける前記受信強度の最大値のより低いものを優先して、基本チャネルを選ぶことである。隣接チャネルは、ある無線チャネルにとって、自己の片隣又は両隣に規定された1つ又は2つの無線チャネルの総称を意味する。隣接チャネルにおける前記受信強度の最大値は、隣接チャネルが1つの場合、その受信強度の最大値を意味し、2つの場合、これらの受信強度の値を比較し、その大きい方の受信強度の値を意味する。
【0045】
第4選択ポリシーは、前記第3選択ポリシーで候補になる無線チャネルを複数発見した場合、これらの中で、周波数のより大きいもの又はより小さいものの一方のみを優先して、基本チャネルを選ぶことである。ここで、周波数の大小いずれを採用するかは、特に問わない。
【0046】
第5選択ポリシーは、前記第1選択ポリシーで候補になる無線チャネルを発見できなかった場合、前記存在数の最も少ない周波数帯の中で、周波数のより大きいもの又はより小さいものの一方のみを優先して、基本チャネルを選ぶことである。ここで、周波数の大小いずれを採用するかは、特に問わない。第5選択ポリシーは、第1選択ポリシーでの分岐になるので、第2選択ポリシー〜第4選択ポリシーに対して優位になる。
【0047】
例えば、図6は、無線通信エリアが互いに重なる多数の無線LAN親機(1台目〜7台目)が乱立する電波環境を示している。この電波環境は、(36〜48)の周波数帯において、1台目及び5台目によって使用される無線チャネルが存在するため、前記存在数は2となる。同様に(52〜64)の周波数帯、及び(100〜112)の周波数帯のそれぞれにおいて、前記存在数は2となる。(116〜128)の周波数帯において、前記存在数は1となる。1台目〜7台目と無線通信エリアの重なる8台目として、この無線LAN親機が新たな無線LANを構築する場合、この無線LAN親機は、1台目〜7台目からのビーコンフレームを頼りに、第1選択ポリシー及び第5選択ポリシーに従って、最も混雑しない(116〜128)の周波数帯から基本チャネルを自動的に選ぶことができる。
【0048】
第6選択ポリシーは、レーダ波で使用されていない周波数帯に属する無線チャネルを優先して、基本チャネルを選ぶことである。第6選択ポリシーは、技術上、第1選択ポリシー〜第5選択ポリシーと独立に採用可能なので、これらに対して適宜の優先順位にすることができる。
【0049】
チャネル選択部15が、第1選択ポリシー〜第6選択ポリシーに従って、基本チャネルを選ぶ処理内容を具体例に基づいて説明する。この具体例では、第4選択ポリシー、第5選択ポリシーにおいて、周波数のより小さいもの、すなわちチャネル番号の若番を優先することにしている。
【0050】
チャネル選択部15は、基本チャネルを選ぶ処理の開始命令を受けると、図1に示すメインルーチンを開始する。先ず、チャネル選択部15は、他局探知部12に対し、無線チャネル(36〜140)の全てのスキャンを要求する(ステップS1)。他局探知部12は、スキャンで受信したビーコンフレームをサイトサーベイ部13に渡し、サイトサーベイ部13は、格納されたネットワークの識別子等を読み取り、チャネル選択部15に通知する。チャネル選択部15は、他局探知部12からのスキャン結果の通知に基づいて、前述のデータベースを更新する(ステップS2)。これら(ステップS1)、(ステップS2)の実行により、チャネル選択部15は、周囲の無線LAN親機の実装状況に依存することなく、無線通信エリアの重なる他のネットワークで使用される無線チャネルを全て知ることができる。
【0051】
チャネル選択部15は、前述のデータベースを検索して、前記存在数が最も少ない周波数帯が1つ存在するか否かを判断する(ステップS3)。ここで、YESの場合、チャネル選択部15は、その1つの周波数帯に属する4つの無線チャネルを対象として、他のネットワークで使用される拡張用チャネルと重ならない無線チャネルを探索する(ステップS4)。ここで、1つも発見できず、NOの場合、チャネル選択部15は、前述のデータベースから探索対象にした周波数帯を削除し(ステップS5)、(ステップS3)に戻る。例えば、図7に概念的に示すように、前記存在数をA〜Dとし、B<A<C,Dの場合、B、Aの順に探索することになる。このようにSSID数の同じ周波数帯C,Dが複数存在する場合、例外処理として、W52、W53、W56の優先順かつ周波数のより小さい周波数帯を優先して、基本チャネルを選ぶようにすればよい。これは、レーダ波との干渉を避けつつ、他のネットワークの基本チャネルと自ネットワークの基本チャネルを重ねる目的の達成に好適なためである。
【0052】
(ステップS5)で探索に失敗した周波数帯のレコードを次々と削除するため、図1に示すように、(ステップS3)でNOの場合、第2の拡張通信モード(11ac)で利用可能な全ての周波数帯で、他のネットワークで使用される拡張用チャネルと重ならない無線チャネルが発見できなかったことになる。したがって、チャネル選択部15は、第5選択ポリシーに従って、最後までデータベースに残っている中で、チャネル番号の最も若いチャネルを基本チャネルに選ぶことになる(ステップS6)。
【0053】
(ステップS4)でYESの場合、チャネル選択部15は、探索対象の周波数帯に拡張用チャネルと重ならない無線チャネルが複数存在するか否かを判断する(ステップS7)。
ここで、NOの場合、図8に概念的に示すように、第1選択ポリシーを満足する無線チャネルが1つしか存在しないため、図1に示すように、チャネル選択部15は、その無線チャネルを基本チャネルに選ぶ(ステップS8)。
【0054】
(ステップS7)で、YESの場合、図9に概念的に示すように、他のネットワークで使用される拡張用チャネルと重ならない無線チャネルを複数発見しているので、図1に示すように、チャネル選択部15は、第2選択ポリシー〜第4選択ポリシー用のサブルーチンを開始する(ステップS9)。
【0055】
図2にサブルーチンを示すように、チャネル選択部15は、その探索対象の周波数帯に属する4つの無線チャネルを対象に、前述のデータベースを検索して、それぞれ他のネットワークによる基本チャネルとしての使用数を数え、これらの中で前記使用数が最も多い無線チャネルが1つ存在するか否かを判断する(ステップS10)。ここで、YESの場合、図9に概念的に示すように、第2選択ポリシーで最優先すべき無線チャネルが1つしか存在しないため、図2に示すように、チャネル選択部15は、その無線チャネルを基本チャネルに選ぶ(ステップS11)。
【0056】
(ステップS10)でNOの場合、図10に概念的に示すように、第2選択ポリシーで最優先すべき無線チャネルが複数存在するため、図2に示すように、チャネル選択部15は、前述のデータベースを検索して、これらの中で、隣接チャネルにおける前記受信強度の最大値が最も低いものが1つ存在するか否かを判断する(ステップS12)。ここで、YESの場合、第3選択ポリシーで最優先すべき無線チャネルが1つしか存在しないため、チャネル選択部15は、その無線チャネルを基本チャネルに選ぶ(ステップS13)。図10の例では、候補とする無線チャネル52の隣接チャネル48、56の受信強度がともに−70dBmなので、第3選択ポリシーでの最大値は、−70dBmとなる。候補とする無線チャネル60の隣接チャネル56、64の受信強度が−70dBm、−60dBmなので、第3選択ポリシーでの最大値は、−70dBmとなる。その他の候補の無線チャネル56、64のそれぞれにおける第3選択ポリシーでの最大値は、−60dBmになるので、無線チャネル56、64は落選する。したがって、第3選択ポリシーで最優先すべき無線チャネル52、60が複数存在するため、(ステップS12)でNOの場合に該当する。
【0057】
(ステップS12)でNOの場合、図2に示すように、チャネル選択部15は、第4選択ポリシーに従って、これらの中で最もチャネル番号の若いチャネルを基本チャネルに選ぶことになる(ステップS14)。したがって、図10の例では、無線チャネル52が基本チャネルに選ばれる。
【0058】
なお、上述の(ステップS6)、(ステップS8)、(ステップS11)、(ステップS13)、(ステップS14)において、周波数帯W53又はW56に属する周波数帯から基本チャネルを選ぶことになる場合、例外処理として、第6選択ポリシーによる判断を行う。この判断には、選んだW53又はW56に属する周波数帯を対象にDFS部が60秒間レーダ波探索を行い、レーダ波を検知しなかった場合は、その対象の周波数帯から基本チャネルを選び、検知した場合、60秒前のスキャン結果のうち、30分以内にレーダ波の存在が確認された無線チャネルを含む周波数帯を除いて、再度、第1選択ポリシー〜第5選択ポリシーに従って基本チャネルを選ぶようにすることができる。なお、第6選択ポリシーにより、周波数帯W53、W56を対象にレーダ波をスキャンし、レーダ波が検知された周波数帯を全て排除し、これにより、11ac上かつ国内電波関係法上、第2の拡張通信モード(11ac)に利用可能な周波数帯群を確定してから、第1選択ポリシー〜第5選択ポリシーに従って、基本チャネルを選ぶようにすることも可能である。
【0059】
上述のように、この無線LAN親機は、他の無線LAN親機のビーコンフレームに格納された情報に基いて、周囲の無線LANで使用される基本チャネルを全て知り、第1選択ポリシーによるチャネル探索を前記存在数の最も少ない周波数帯から始め、探索対象の周波数帯内で候補になる無線チャネルの発見できなかった場合、存在数の次に少ない周波数帯を探索対象とし、候補になる無線チャネルを1つだけ発見した場合、当該発見した無線チャネルを基本チャネルに決定し、候補になる無線チャネルを複数発見した場合、第2選択ポリシー、第3選択ポリシー、第4選択ポリシーの優先順で各選択ポリシーを最も満足する無線チャネル、すなわち他のネットワークで使用される基本チャネルと可及的に重ね、他のネットワークで使用される無線チャネルとの干渉を可及的に避けることの可能な無線チャネルを基本チャネルに決定し、第1選択ポリシーを満足する無線チャネルを第2の拡張通信モード(11ac)で利用可能な全ての周波数帯で発見できなかった場合でも、第5選択ポリシーにより、混雑の最も少ない周波数帯に基本チャネルを決定し、第6選択ポリシーに係る例外処理により、レーダ波の干渉を避けつつ、レーダ波に使用される周波数帯も対象に基本チャネルを探すことができるので、電波環境に応じ、11ac規格を利用してセカンダリチャネルの利用機会を最大限に高めた基本チャネルの選択を自動的に実施することの可能な無線LAN親機を提供することができる。
【0060】
上述の(ステップS1)〜(ステップS14)に係る処理は、この無線LAN親機のOS、BIOS、ファームウェア等のソフトウェア資源や上述の演算処理装置等のハードウェア資源からなるコンピュータに実行させるプログラムによって実現されている。なお、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、当該記録媒体をドライブにセットしてコンピュータに読み込ませるようにしてもよい。また、コンピュータは、WWWシステムを利用している無線LAN親機であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、プログラムは、サーバから、クライアントとなる無線LAN親機に送信し、インストールするようにしてもよい。サーバから送信する伝送媒体は、有線、無線、通信網の種類を問わない。また、プログラムは、無線LAN親機のコンピュータにすでに記録されているプログラムと差分ファイルの組み合わせて完成するものであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータに内蔵されるハードディスク等の非一過性の記憶媒体、プログラムを無線LAN親機に送信する場合のサーバやクライアントとなるコンピュータ内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものが挙げられる。
【0061】
この発明の技術的範囲は、上述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載に基く技術的思想の範囲内での全ての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0062】
11 ビーコンフレーム生成部
12 他局探知部
13 サイトサーベイ部
14 DFS部
15 チャネル選択部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10