(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属検知機構は、励磁用コイルと、検出用コイルと、磁性材料で形成され前記励磁用コイルおよび前記検出用コイルが巻回されるコアとを有する磁気式のセンサであり、
前記先端検知機構は、発光素子と、前記発光素子からの光を受光する受光素子とを有する光学式のセンサであることを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ICチップが内蔵されたICカードの形状は、国際規格やJIS規格によって規定されており、四隅に丸みを持った略長方形状となっている。また、国際規格やJIS規格に準拠する接触式のICカードでは、
図4(A)に示すように、ICチップの外部接続端子2cは、カード2のおもて面2aに形成されている。また、外部接続端子2cは、カード2の短手方向におけるカード2の一端2dと、カード2の長手方向におけるカード2の一端2eとを基準とする所定の位置に形成されている。カード2の短手方向の一端2dと外部接続端子2cとの距離L1と、カード2の短手方向の他端2fと外部接続端子2cとの距離L2とは異なっている。具体的には、距離L1は、距離L2よりも短くなっている。また、カード2の長手方向の一端2eと外部接続端子2cとの距離L3と、カード2の長手方向の他端2gと外部接続端子2cとの距離L4とは異なっている。具体的には、距離L3は、距離L4よりも大幅に短くなっている。
【0006】
特許文献1に記載のICカードリーダでは、カード2が正しい向きで挿入口に挿入される場合、一般に、おもて面2aを上側に向けた状態で一端2e側から(すなわち、
図4(A)の矢印の方向へ)カード2が挿入される。上述のように、特許文献1に記載のICカードリーダでは、磁性体センサは、正しい向きで挿入口から挿入されたICカードの外部接続端子が通過する位置に配置されているため、特許文献1に記載のICカードリーダにおいて、たとえば、裏面2bを上側に向けた状態で一端2e側から(すなわち、
図4(B)の矢印の方向へ)カード2が挿入されると、このカード2の外部接続端子2cは、磁性体センサが配置された位置とずれた位置を通過する。したがって、このICカードリーダでは、
図4(B)の矢印の方向へカード2が挿入されても、磁性体センサでの検知結果に基づいて、挿入されたカード2の向きが正しくないことを検知することが可能である。
【0007】
一方、特許文献1に記載のICカードリーダにおいて、裏面2bを上側に向けた状態で他端2g側から(すなわち、
図4(C)の矢印の方向へ)カード2が挿入されると、このカード2の外部接続端子2cは、磁性体センサが配置された位置を通過するおそれがある。しかしながら、特許文献1に記載のICカードリーダには、シャッタが設けられており、また、距離L3と距離L4とが大きく相違するため、
図4(C)の矢印の方向へカード2が挿入されても、このカード2の外部接続端子2cが、磁性体センサが配置された位置を通過する前に他端2gがシャッタに当接する。したがって、このICカードリーダでは、
図4(C)の矢印の方向へカード2が挿入されても、磁性体センサでの検知結果に基づいて、挿入されたカード2の向きが正しくないことを検知することが可能である。ただし、このICカードリーダの場合、シャッタを設けないと、
図4(C)の矢印の方向へカード2が挿入されたときに、挿入されたカード2の向きが正しくないことを検知することは困難である。
【0008】
また、本願発明者は、国際規格やJIS規格に準拠する略長方形状のICカードをその短手方向で取り込んで処理するカードリーダの導入を検討している。ICカードを短手方向で取り込んで処理するカードリーダでは、カード2が正しい向きで挿入口から挿入される場合、たとえば、おもて面2aを上側に向けた状態で一端2d側から(すなわち、
図5(A)の矢印の方向へ)カード2が挿入される。また、特許文献1に記載の磁性体センサがこのカードリーダに設けられる場合には、正しい向きで挿入されたカード2の外部接続端子2cが通過する位置に磁性体センサが配置される。
【0009】
そのため、このカードリーダにおいて、たとえば、裏面2bを上側に向けた状態で一端2d側から(すなわち、
図5(B)の矢印の方向へ)カード2が挿入されると、このカード2の外部接続端子2cは、磁性体センサが配置された位置とずれた位置を通過する。したがって、このICカードリーダでは、
図5(B)の矢印の方向へカード2が挿入されても、磁性体センサでの検知結果に基づいて、挿入されたカード2の向きが正しくないことを検知することが可能である。
【0010】
一方、このカードリーダにおいて、裏面2bを上側に向けた状態で他端2f側から(すなわち、
図5(C)の矢印の方向へ)カード2が挿入されると、このカード2の外部接続端子2cは、磁性体センサが配置された位置を通過する。また、距離L1と距離L2とが大きく相違しないため、特許文献1に記載のICカードリーダのようにシャッタを設けても、
図5(C)の矢印の方向へ挿入されたカード2の他端2fがシャッタに当接したときに、このカード2の外部接続端子2cが磁性体センサに到達するおそれがある。したがって、このカードリーダでは、
図5(C)の矢印の方向へカード2が挿入されると、磁性体センサでの検知結果に基づいて、挿入されたカード2の向きが正しくないことを検知することが困難になる。
【0011】
そこで、本発明の課題は
、国際規格やJIS規格に準拠する略長方形状のICカードをその短手方向で取り込んで処理するカードリーダにおいて、挿入されたICカードの向きが正しいか否かを容易に判別することが可能なカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、
略長方形状に形成されるカードをカードの短手方向で取り込んで処理するカードリーダであって、ICチップが内蔵されたカードが挿入される挿入口と、カードに形成されるICチップの外部接続端子を検知するための金属検知機構と、挿入口から挿入されるカードの、挿入方向における先端を検知するための先端検知機構と
、挿入口から挿入されるカードの厚さ方向と挿入方向とに直交するカードの幅方向におけるカードの両端部を検知するための幅検知機構と、金属検知機構の出力信号と先端検知機構の出力信号と幅検知機構の出力信号とが入力される制御部とを備え、金属検知機構および先端検知機構は、挿入口から正しい向きで挿入されたカードの、挿入方向における先端を先端検知機構が検知したときに、金属検知機構が外部接続端子を検知する位置に配置され
、幅検知機構は、先端検知機構よりも挿入口側に配置され、制御部は、幅検知機構がカードの両端部を検知したときの金属検知機構の出力信号の信号レベルと、先端検知機構が挿入方向におけるカードの先端を検知したときの金属検知機構の出力信号の信号レベルとの差に基づいて挿入口からカードが正しい向きで挿入されたか否かを判別することを特徴とする。
【0014】
本発明のカードリーダでは、外部接続端子を検知するための金属検知機構と、挿入方向におけるカードの先端を検知するための先端検知機構とが、正しい向きで挿入されたカードの挿入方向の先端を先端検知機構が検知したときに、金属検知機構が外部接続端子を検知する位置に配置されている。そのため、本発明では
、挿入方向におけるカードの先端を先端検知機構が検知したときの金属検知機構の出力信号に基づいて、挿入されたICカードの向きが正しいか否かを容易に判別することが可能になる。
【0015】
また、本発明
では、カードリーダは、挿入口から挿入されるカードの厚さ方向と挿入方向とに直交するカードの幅方向におけるカードの両端部を検知するための幅検知機構を備え
ているため、幅検知機構を用いて、カードがその短手方向で挿入されたのか、それとも、その長手方向で挿入されたのかをより容易に判別することが可能になる。また
、幅検知機構を用いて、挿入口から異物が挿入されたのか、それとも、カードが挿入されたのかを検知することが可能になる。
【0016】
また、
本発明では、カードリーダは、金属検知機構の出力信号と先端検知機構の出力信号と幅検知機構の出力信号とが入力される制御部を備え、幅検知機構は、先端検知機構よりも挿入口側に配置され、制御部は、幅検知機構がカードの両端部を検知したときの金属検知機構の出力信号の信号レベルと、先端検知機構が挿入方向におけるカードの先端を検知したときの金属検知機構の出力信号の信号レベルとの差に基づいて挿入口からカードが正しい向きで挿入されたか否かを判別する
ため、カードリーダの周囲温度の変動等の外部要因によって、金属検知機構の出力信号の信号レベルが変動しても、この変動分の影響を抑制した状態で、カードが正しい向きで挿入されたか否かを判別することが可能になる。したがって、カードが正しい向きで挿入されたか否かを精度良く判別することが可能になる。
【0017】
本発明において、カードリーダは、挿入口から挿入されたカードが通過するカード通過路と、カード通過路を開閉するシャッタ部材とを備え、シャッタ部材は、先端検知機構よりもカードリーダの奥側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、シャッタ部材によって、長手方向で挿入されたカードがカードリーダの奥側まで入り込むのを防止することが可能になる。また、このように構成すると、シャッタ部材によって、挿入口から挿入された異物がカードリーダの奥側まで入り込むのを防止することが可能になる。
【0018】
本発明において、たとえば、金属検知機構は、励磁用コイルと、検出用コイルと、磁性材料で形成され励磁用コイルおよび検出用コイルが巻回されるコアとを有する磁気式のセンサであり、先端検知機構は、発光素子と、発光素子からの光を受光する受光素子とを有する光学式のセンサである。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明では
、国際規格やJIS規格に準拠する略長方形状のICカードをその短手方向で取り込んで処理するカードリーダにおいて、挿入されたICカードの向きが正しいか否かを容易に判別することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(カードリーダの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。本形態のカードリーダ1は、カード2に記録されたデータの読取およびカード2へのデータの記録の少なくとも一方を行うための装置であり、ATM(Automated Teller Machine)等の所定の上位装置に搭載されて使用される。このカードリーダ1は、カード2が挿入される挿入口3が形成されるカード挿入部4を備えている。また、カードリーダ1の内部には、挿入口3から挿入されたカード2が通過するカード通過路5(
図2参照)が形成されている。カード通過路5は、挿入口3に繋がるように形成されている。また、カードリーダ1は、カード通過路5においてカード2を搬送するカード搬送機構を備えている。
【0023】
カード2は、厚さが0.7〜0.8mm程度の塩化ビニール製のカードである。本形態のカード2は、国際規格(たとえば、ISO/IEC7811)やJIS規格(たとえば、JISX6302)に準拠した磁気ストライプ付きかつ接触式のICカードであり、四隅に丸みを持った略長方形状に形成されている。カード2の裏面2bには、磁気データが記録される磁気ストライプ(図示省略)が形成されている。
【0024】
また、カード2には、図示を省略するICチップが内蔵されており、上述のように(すなわち、
図4(A)を用いて説明したように)、カード2のおもて面2aには、外部接続端子2cが形成されている。すなわち、カード2の短手方向の一端2dと、カード2の長手方向の一端2eとを基準とする所定の位置に外部接続端子2cが形成されている。また、一端2dと外部接続端子2cとの距離L1と、カード2の短手方向の他端2fと外部接続端子2cとの距離L2とが異なっており、一端2eと外部接続端子2cとの距離L3と、カード2の長手方向の他端2gと外部接続端子2cとの距離L4とが異なっている。
【0025】
本形態では、
図1に示すX方向でカード2が搬送される。具体的には、X1方向にカード2が挿入されて取り込まれ、X2方向にカード2が排出される。すなわち、X方向は、カード2の搬送方向であり、X1方向は、カード2の挿入方向であり、X2方向は、カード2の排出方向である。また、本形態では、カード2の短手方向とX方向とが一致するように、カードリーダ1にカード2が挿入される。また、カード2の短手方向とX方向とが一致するように、カードリーダ1内でカード2が搬送される。すなわち、カードリーダ1は、カード2の短手方向でカード2を取り込んで処理する。
【0026】
また、X方向に直交するY方向は、挿入口3から挿入されるカード2の幅方向であり、カードリーダ1内に正しい向きで取り込まれたカード2の長手方向である。また、X方向とY方向とに直交する
図1のZ方向は、カードリーダ1内に取り込まれたカード2の厚さ方向である。本形態では、Z方向と鉛直方向とが一致するようにカードリーダ1が配置されている。なお、以下の説明では、X方向を「前後方向」、Y方向を「左右方向」、Z方向を「上下方向」とし、また、X1方向側を「奥(後ろ)」側、X2方向側を「前」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0027】
また、カードリーダ1は、上述の構成に加えて、カード2に当接してカード2に記録された磁気データの読取やカード2への磁気データの記録を行う磁気ヘッドと、カード2の搬送方向に直交する左右方向へ磁気ヘッドを移動させるヘッド移動機構と、カード2の外部接続端子2cに接触してデータの通信を行うためのIC接点ブロックと、IC接点ブロックを移動させる接点ブロック移動機構と、カードリーダ1内に取り込まれたカード2を位置決めするための位置決め機構とを備えている。
【0028】
ヘッド移動機構は、磁気ヘッドが搭載されるキャリッジ、左右方向へキャリッジを案内するガイド軸、キャリッジを左右方向へ送るリードスクリュー、磁気ヘッドを上下動させるためのカム板、および、ガイド軸を中心とするキャリッジの回動を防止するための回動防止軸等を備えている。このヘッド移動機構は、磁気ヘッドを左右方向へ移動させるとともに、磁気ヘッドがカード2の磁気ストライプに当接可能な位置と磁気ヘッドがカード通過路5から退避する位置との間で磁気ヘッドを上下動させる。本形態のヘッド移動機構は、カード通過路5の下側へ磁気ヘッドを退避させる。
【0029】
IC接点ブロックは、カード2の外部接続端子2cに接触する複数のIC接点バネ等を備えている。接点ブロック移動機構は、IC接点バネが外部接続端子に接触可能な位置と、IC接点バネがカード通過路5から退避する位置との間でIC接点ブロックを移動させる。本形態の接点ブロック移動機構は、カード通過路5の上側へIC接点バネを退避させる。位置決め機構は、カードリーダ1内に取り込まれたカード2の奥端が当接する位置決め部材等を備えている。この位置決め機構は、磁気ヘッドやIC接点ブロックがデータの読取や記録を行う際に、カード2を位置決めする。
【0030】
(カード挿入部の構成)
図2、
図3は、
図1に示すカード挿入部4の概略構成を説明するための図である。カード挿入部4は、カードリーダ1の前面側部分を構成している。このカード挿入部4は、カード2の外部接続端子2cを検知するための金属検知機構10と、挿入口3から挿入されたカード2の奥端(すなわち、挿入方向におけるカード2の先端)を検知するための先端検知機構11と、カード2の幅方向(Y方向)の両端部を検知するための幅検知機構12と、カード通過路5を開閉するシャッタ部材13とを備えている。
【0031】
金属検知機構10は、励磁用コイルと、検出用コイルと、磁性材料で形成され励磁用コイルおよび検出用コイルが巻回されるコアとを有する磁気式のセンサである。この金属検知機構10は、前後方向において、先端検知機構11よりも前側に配置されている。また、金属検知機構10は、左右方向において、正しい向きで挿入されたカード2(すなわち、磁気ヘッドによる磁気データの読取および記録やIC接点ブロックによるデータの読取および記録が可能な向き(すなわち、カードリーダ1でのカード2の処理が可能な向き)で挿入されたカード2)の外部接続端子2cが通過する位置に配置されている。
【0032】
本形態では、おもて面2aを上側に向けた状態でカード2の短手方向の一端2d側から挿入口3にカード2が挿入される場合が、カード2が正しい向きで挿入される場合であり、おもて面2aを上側に向けた状態で一端2d側からカード2が挿入口3に挿入されると、金属検知機構10によってカード2の外部接続端子2cが検知される。なお、おもて面2aを下側に向けた状態でカード2の短手方向の他端2f側から挿入口3にカード2が挿入されても、外部接続端子2cが金属検知機構10の配置位置を通過すると、金属検知機構10によって外部接続端子2cが検知される。
【0033】
先端検知機構11は、発光素子と、発光素子からの光を受光する受光素子とを有する光学式のセンサである。本形態の先端検知機構11は、透過型の光学式センサであり、カード通過路5を上下方向で挟むように発光素子と受光素子とが配置されている。先端検知機構11は、前後方向において、金属検知機構10よりも奥側に配置されている。なお、先端検知機構11は、反射型の光学式センサであっても良い。
【0034】
本形態では、
図2に示すように、挿入口3から正しい向きで挿入されたカード2の奥端を先端検知機構11が検知したときに、金属検知機構10が外部接続端子2cを検知する位置に、金属検知機構10および先端検知機構11が配置されている。すなわち、前後方向における金属検知機構10と先端検知機構11との距離は、挿入口3から正しい向きで挿入されたカード2の奥端と外部接続端子2cとの距離と略等しくなっている。そのため、
図3に示すように、おもて面2aを下側に向けた状態で他端2f側からカード2が挿入口3に挿入されると、カード2の奥端を先端検知機構11が検知したときに、金属検知機構10は外部接続端子2cを検知しない。
【0035】
幅検知機構12は、前後方向において、先端検知機構11よりも前側に配置されている。この幅検知機構12は、カード挿入部4の左右の両端側に配置されカード通過路5に出没可能な2個の検知レバー17と、2個の検知レバー17のそれぞれの動きを検知する2個の光学式または機械式のセンサとを備えている。カードリーダ1にカード2が挿入される前の待機時には、検知レバー17の一部がカード通過路5内に配置されている。この状態で、カード2の短手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入されると、2個の検知レバー17のそれぞれに、カード2の左右両端のそれぞれが接触して、検知レバー17が回動する。そのため、2個のセンサでの検知結果に基づいて、カード2の短手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入されたか否かが検知される。
【0036】
シャッタ部材13は、前後方向において、先端検知機構11よりも奥側に配置されている。具体的には、シャッタ部材13は、カード挿入部4の奥端に配置されている。シャッタ部材13には、ソレノイド等を有するシャッタ部材13の駆動機構が連結されており、シャッタ部材13は、カード通過路5に配置されてカード通過路5を閉鎖する閉鎖位置と、カード通過路5の下側に退避してカード通過路5を開放する開放位置との間で移動可能となっている。
【0037】
金属検知機構10、先端検知機構11および幅検知機構12は、カードリーダ1の制御部15に接続されており、制御部15には、金属検知機構10の出力信号、先端検知機構11の出力信号および幅検知機構12の出力信号が入力される。制御部15は、金属検知機構10の出力信号、先端検知機構11の出力信号および幅検知機構12の出力信号に基づいて、挿入口3からカード2が正しい向きで挿入されたか否かを判別する。
【0038】
具体的には、まず、制御部15は、幅検知機構12からの出力信号に基づいて、カード2の短手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入されたか否かを判別する。また、本形態では、カード2の短手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入された場合であって、おもて面2aを上側に向けた状態で一端2d側から挿入口3にカード2が挿入された場合(すなわち、正しい向きでカード2が挿入口3に挿入された場合)には、
図2に示すように、先端検知機構11がカード2の奥端を検知したときに金属検知機構10が外部接続端子2cを検知するが、裏面2bを上側に向けた状態で他端2f側から挿入口3にカード2が挿入される場合(
図3参照)、裏面2bを上側に向けた状態で一端2d側から挿入口3にカード2が挿入される場合(
図5(B)参照)、おもて面2aを上側に向けた状態で他端2f側から挿入口3にカード2が挿入される場合(すなわち、間違った向きでカード2が挿入口3に挿入された場合)には、先端検知機構11がカード2の奥端を検知したときに金属検知機構10は外部接続端子2cを検知しない。
【0039】
そのため、制御部15は、先端検知機構11がカード2の奥端を検知したときの金属検知機構10の出力信号に基づいて、その短手方向が前後方向と一致するように挿入口3から挿入されたカード2が正しい向きで挿入口3から挿入されたか否かを判別する。具体的には、制御部15は、幅検知機構12がカード2の両端部を検知したときの金属検知機構10の出力信号の信号レベルと、先端検知機構11がカード2の奥端を検知したときの金属検知機構10の出力信号の信号レベルとを取得し、この2つの信号レベルの差に基づいて、その短手方向が前後方向と一致するように挿入口3から挿入されたカード2が正しい向きで挿入口3から挿入されたか否かを判別する。
【0040】
(カードリーダの概略動作)
以上のように構成されたカードリーダ1では、挿入口3からカード2が挿入される前の待機時に、シャッタ部材13は閉鎖位置にあり、カード通過路5を閉鎖している。シャッタ部材13は、幅検知機構12での検知結果に基づいてカード2の短手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入されたことが検知されるとともに、金属検知機構10での検知結果に基づいておもて面2aを上側に向けた状態で一端2d側から挿入口3にカード2が挿入されたことが検知されると、開放位置へ移動する。すなわち、カード2が正しい向きで挿入口3から挿入されたことが検知されると、シャッタ部材13は開放位置へ移動する。
【0041】
また、カード2が正しい向きで挿入口3から挿入されたことが検知されると、カード搬送機構がカード2を奥側へ搬送して、磁気ヘッドによる磁気データの読取、記録や、IC接点ブロックによるデータの読取、記録が行われる。
【0042】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のカードリーダ1は、幅検知機構12を備えている。そのため、本形態では、上述のように、カード2の短手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入されたか否かを容易に判別することができる。また、本形態では、挿入口3から正しい向きで挿入されたカード2の奥端を先端検知機構11が検知したときに、金属検知機構10が外部接続端子2cを検知する位置に、金属検知機構10および先端検知機構11が配置されている。そのため、本形態では、上述のように、先端検知機構11がカード2の奥端を検知したときの金属検知機構10の出力信号に基づいて、その短手方向が前後方向と一致するように挿入口3から挿入されたカード2が正しい向きであるか否かを容易に判別することができる。すなわち、本形態では、挿入口3から挿入されたカード2が正しい向きであるか否かを容易に判別することができる。
【0043】
また、本形態のカードリーダ1は幅検知機構12を備えているため、幅検知機構12を用いて、挿入口3から異物が挿入されたのか、それとも、カード2が挿入されたのかを検知することが可能になる。
【0044】
本形態では、幅検知機構12がカード2の両端部を検知したときの金属検知機構10の出力信号の信号レベルと、先端検知機構11がカード2の奥端を検知したときの金属検知機構10の出力信号の信号レベルとの差に基づいて、その短手方向が前後方向と一致するように挿入口3から挿入されたカード2が正しい向きで挿入口3から挿入されたか否かを判別している。そのため、本形態では、カードリーダ1の周囲温度の変動等の外部要因によって、金属検知機構10の出力信号の信号レベルが変動しても、この変動分の影響を抑制した状態で、その短手方向が前後方向と一致するように挿入口3から挿入されたカード2が正しい向きで挿入されたか否かを判別することが可能になる。したがって、本形態では、カード2が正しい向きで挿入されたか否かを精度良く判別することが可能になる。
【0045】
本形態では、待機時にカード通過路5を閉鎖しているシャッタ部材13は、おもて面2aを上側に向けた状態で一端2d側から挿入口3にカード2が挿入されたことが検知されると、開放位置へ移動する。そのため、本形態では、間違った向きで挿入口3から挿入されたカード2がカードリーダ1の奥側まで入り込むのを防止することができる。また、本形態では、シャッタ部材13によって、挿入口3から挿入された異物がカードリーダ1の奥側まで入り込むのを防止することが可能になる。
【0046】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0047】
上述した形態では、カードリーダ1は幅検知機構12を備えているが、カードリーダ1は幅検知機構12を備えていなくても良い。上述のように、おもて面2aを上側に向けた状態で一端2d側から挿入口3にカード2が挿入された場合(すなわち、正しい向きでカード2が挿入口3に挿入された場合)には、先端検知機構11がカード2の奥端を検知したときに金属検知機構10が外部接続端子2cを検知するが、裏面2bを上側に向けた状態で他端2f側から挿入口3にカード2が挿入される場合、裏面2bを上側に向けた状態で一端2d側から挿入口3にカード2が挿入される場合、および、おもて面2aを上側に向けた状態で他端2f側から挿入口3にカード2が挿入される場合には、先端検知機構11がカード2の奥端を検知したときに金属検知機構10は外部接続端子2cを検知しない。また、カード2の長手方向が前後方向と一致するようにカード2が挿入口3から挿入される場合にも、先端検知機構11がカード2の奥端を検知したときに金属検知機構10は外部接続端子2cを検知しない。
【0048】
そのため、カードリーダ1が幅検知機構12を備えていない場合には、制御部15は、先端検知機構11がカード2の奥端を検知したときの金属検知機構10の出力信号に基づいて、カード2が正しい向きで挿入口3から挿入されたか否かを判別する。具体的には、制御部15は、先端検知機構11がカード2の奥端を検知したときの金属検知機構10の出力信号の信号レベルの絶対値に基づいて、カード2が正しい向きで挿入口3から挿入されたか否かを判別する。なお、カードリーダ1が幅検知機構12を備えている場合であっても、制御部15は、先端検知機構11がカード2の奥端を検知したときの金属検知機構10の出力信号の信号レベルの絶対値に基づいて、カード2が正しい向きで挿入口3から挿入されたか否かを判別しても良い。すなわち、幅検知機構12を使わずに、カード2が正しい向きで挿入口3から挿入されたか否かを判別しても良い。
【0049】
上述した形態では、先端検知機構11は、光学式のセンサであるが、先端検知機構11は、マイクロスイッチ等の機械式のセンサであっても良い。また、先端検知機構11は、カード2に接触して移動するレバー部材と、このレバー部材の動きを検知する光学式または機械式のセンサとから構成されても良い。また、上述した形態では、幅検知機構12は、検知レバー17と検知レバー17の動きを検知するセンサとによって構成されているが、幅検知機構12は、カード2を直接、検知する光学式または機械式のセンサによって構成されても良い。
【0050】
上述した形態では、カードリーダ1は、国際規格やJIS規格に準拠する略長方形状のカード2をその短手方向で取り込んで処理するカードリーダであるが、本発明が適用されるカードリーダは、国際規格やJIS規格に準拠する略長方形状のカード2をその長手方向で取り込んで処理するカードリーダであっても良い。この場合には、カード通過路5を開閉するシャッタ部材13が設けられていなくても、先端検知機構11がカード2の奥端を検知したときの金属検知機構10の出力信号に基づいて、挿入されたカード2の向きが正しいか否かを判別することが可能になる。