(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記係止部材は、前記セット部材が前記セット位置へのセット動作を完了した時点で前記リンク部材の接触面に接触して前記リンク部材の移動を許容し、前記セット部材が前記休止位置に戻った際に前記リンク部材の被係止部と当接して前記リンク部材の移動を規制する、請求項2に記載のフォーカルプレンシャッタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化、小型化等を図りつつ、セット部材の反動を防止して、レリーズ動作から撮影完了までのタイムラグを短くすることができ、又、連写する際の連写速度を速めることができ、一連の制御シーケンスを短縮化できるカメラ用のフォーカルプレンシャッタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフォーカルプレンシャッタは、露光用の開口部を有する地板と、開口部を開閉するべく地板に移動自在に設けられた羽根部材と、羽根部材を駆動するべく一方向に付勢された駆動部材と、駆動部材を付勢力に抗してシャッタ動作前のセット位置にセットし得ると共に駆動部材を電磁石によりセット位置に吸着保持した後に休止位置に戻るように付勢されたセット部材と、セット部材にセット動作を行わせる駆動機構と、を備えたフォーカルプレンシャッタであって、上記セット部材が付勢力により休止位置に戻った際に、セット部材が逆向きに移動するのを規制する規制機構を設けた、ことを特徴としている。
この構成によれば、駆動機構により駆動されてセット部材がセット動作を行い、駆動部材(及び羽根部材)がシャッタ動作前のセット位置にセットされると、駆動部材が電磁石によりセット位置に保持された後に、セット部材が(戻しバネ等の)付勢力により休止位置に戻されて駆動部材の機械的な規制が解除され、(電磁石の通電オフによる)羽根部材の走行を可能にする状態になる。
ここで、セット部材が付勢力により休止位置に戻った際に(休止位置においてストッパ等に当接した際に)、規制機構によりセット部材が逆向きに移動する反動(バウンド)が規制されるため、セット部材の休止位置への復帰後即座に羽根部材を走行させてシャッタ動作を完了させることができる。
これにより、レリーズ動作から撮影完了までのタイムラグを短くすることができ、又、連写する際の連写速度を速めることができ、一連の制御シーケンスを短縮化できる。
【0007】
上記構成において、駆動機構は、セット部材に連結されたリンク部材を含み、規制機構は、セット部材が逆向きに移動するのを規制するべくリンク部材の移動を規制するように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、規制機構が、セット部材に連結された駆動機構の一部をなすリンク部材の移動を規制することでセット部材の反動を規制する、すなわち、駆動機構の一部をなす既存のリンク部材の移動を規制するため、セット部材の周りに新たな部品を追加することなく、構造の簡素化、小型化を達成しつつ、規制機構を設けることができる。
【0008】
上記構成において、駆動機構は、リンク部材に連結された揺動部材と、揺動部材にカム作用を及ぼして移動させるべく回転する第1カム部材をさらに含み、規制機構は、第1カム部材と同軸にて一体的に回転する第2カム部材と、セット部材が休止位置に戻った際に第2カム部材のカム作用によりリンク部材の移動を規制し得る位置に位置付けられる係止合部材を含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、例えば、第1カム部材が(例えば、駆動源としてのモータ等により)一方向に回転すると、揺動部材が一方向に移動すると共にリンク部材が一方向に移動して、セット部材がセット動作を行い、駆動部材(及び羽根部材)がセット位置にセットされ、第1カム部材がさらに回転してカム作用を解除すると、(戻しバネ等の)付勢力によりセット部材は休止位置に戻り、又、第2カム部材が一方向に回転してカム作用を解除すると、(付勢バネの付勢力により)係止部材が一方向に移動してリンク部材の移動を規制し得る位置に位置付けられる。
このように、第1カム部材と第2カム部材が同軸にて一体的に回転するように形成されているため、一つの駆動源の駆動力により両方のカム部材を回転させることができ、又、各々のカム部材が適宜カム作用を及ぼす相対的なタイミングを高精度に設定することができる。
【0009】
上記構成において、係止部材は、セット部材がセット位置へのセット動作を完了した時点でリンク部材の一部に接触しつつリンク部材の移動を許容する接触位置に位置付けられ、セット部材が休止位置に戻った際にリンク部材の一部と対向してリンク部材の移動を規制し得る規制位置に位置付けられるように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、係止部材は、セット動作の完了時点でリンク部材の一部に接触した接触位置に保持されるため、セット部材が休止位置に戻ると即座に接触位置から規制位置に移動してリンク部材の移動を規制することができ、素早い動きで規制動作を行うことができる。
【0010】
上記構成において、リンク部材は、セット部材が移動する面と平行な第1面内で移動するように形成され、係止部材は、第1面に垂直な第2面内で移動するように形成されると共に、接触位置において、第2カム部材から離脱した状態でリンク部材の一部と接触するように付勢されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、係止部材は、リンク部材が移動する第1面と垂直な第2面内で、接触状態から離脱すると付勢力により即座に規制位置に移動することができ、セット部材の反動を確実に防止して、レリーズ動作から撮影完了までのタイムラグをより短くすることができる。
【発明の効果】
【0011】
上記構成をなすフォーカルプレンシャッタによれば、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、セット部材の反動を防止して、レリーズ動作から撮影完了までのタイムラグを短くすることができ、又、連写する際の連写速度を速めることができ、一連の制御シーケンスを短縮化できるカメラ用のフォーカルプレンシャッタを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
この実施形態に係るフォーカルプレンシャッタは、
図1ないし
図3に示すように、地板10、羽根部材としての先羽根20及び後羽根30、先羽根20を駆動する駆動部材としての先羽根駆動レバー40及び付勢バネ50、後羽根30を駆動する駆動部材としての後羽根駆動レバー60及び付勢バネ70、先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60にそれぞれ設けられた被吸着部80、先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60の被吸着部80に対して磁気的吸引力を及ぼすべくそれぞれ対応して設けられた二つの電磁石90、先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60をシャッタ動作前のセット位置にセットするセット部材100、セット部材100を休止位置に向けて回転付勢する付勢バネ110、セット部材100にセット動作を行わせる駆動機構120(リンク部材121、揺動部材122、第1カム部材123、歯車列124、モータ125)、セット部材100が休止位置に戻った際に逆向きに移動するのを規制する規制機構130(係止部材131、付勢バネ132、第2カム部材133)等を備えている。尚、地板10には、上記各機構の裏側に先羽根20を収容する羽根室を画定する中間板(不図示)及び後羽根30を収容する羽根室を画定する裏板(不図示)が所定の間隔をおいて固定されている。
【0014】
地板10は、
図1ないし
図4に示すように、略矩形をなす露光用の開口部11aを画定する平板状の主地板11及び主地板11に対して所定の間隔をおいて固定された支持板12を備えている。
主地板11は、
図1に示すように、開口部11a、円弧状の長孔11b及び長孔11c、先羽根20を回動自在に支持するべく羽根室側に立設された支軸11d,11e、後羽根30を回動自在に支持するべく羽根室側に立設された支軸11f,11g、先羽根駆動レバー40を回動自在に支持するべく羽根室の外側に立設された支軸11h、後羽根駆動レバー60を回動自在に支持するべく羽根室の外側に立設された支軸11i、セット部材100を回動自在に支持するべく羽根室の外側に立設された支軸11j等を備えている。
支持板12は、
図1に示すように、二つの電磁石90を保持する保持部12a,12b、支軸11h,11i,11jを嵌合させて固定する嵌合孔12c,12d,12e、ネジにより主地板11に固定する固定部12f,12g等を備えている。
【0015】
先羽根20は、
図1及び
図6に示すように、3枚の羽根本体21,22,23、羽根本体21,22,23を連結する2つのアーム24,25により構成されている。
アーム24は、支軸11dにより回動自在に支持されると共に、その一部が先羽根駆動レバー40の駆動ピン41に連結されている。
アーム25は、支軸11eにより回動自在に支持されている。
そして、アーム24が、
図6に示すように、先羽根駆動レバー40により上方に向けて(反時計回りに)駆動されることにより、3枚の羽根本体21,22,23が展開して開口部11aを閉鎖し、一方、
図1に示すように、先羽根駆動レバー40により下方に向けて(時計回りに)駆動されることにより、3枚の羽根本体21,22,23が重なり合って開口部11aを開放するようになっている。
【0016】
後羽根30は、
図1及び
図6に示すように、3枚の羽根本体31,32,33、羽根本体31,32,33を連結する2つのアーム34,35により構成されている。
アーム34は、支軸11fにより回動自在に支持されると共に、その一部が後羽根駆動レバー60の駆動ピン61に連結されている。
アーム35は、支軸11gにより回動自在に支持されている。
そして、アーム34が、
図6に示すように、後羽根駆動レバー60により上方に向けて(反時計回りに)駆動されることにより、3枚の羽根本体31,32,33が重なり合って開口部11aを開放し、一方、
図1に示すように、後羽根駆動レバー60により下方に向けて(時計回りに)駆動されることにより、3枚の羽根本体31,32,33が展開して開口部11aを閉鎖するようになっている。
【0017】
先羽根駆動レバー40は、
図2及び
図7に示すように、アーム24が連結される駆動ピン41、セット部材100が係合して反時計回りに回転力が及ぼされる係合部42、被吸着部80を保持する保持部43等を備えており、支軸11hにより回動自在に支持されている。
駆動ピン41は、主地板11の長孔11bに挿入されると共に、時計回りに回転した回転端において長孔11bに固定されたゴム等の緩衝部材(不図示)に当接して停止するようになっている。
【0018】
付勢バネ50は、捩りコイルバネであり、
図2及び
図7に示すように、支軸11hの周りに配置されており、一端部(不図示)が先羽根駆動レバー40の一部に掛止され、他端部(不図示)が支軸11hに先羽根駆動レバー40と同軸に回転可能に配置されて支持板12(のラチェット爪)により位置決めされる調整車(ラチェット筒)55に掛止されて、先羽根駆動レバー40を
図2中の時計回りに回転付勢する付勢力を及ぼすように形成されている。
【0019】
後羽根駆動レバー60は、
図2及び
図7に示すように、アーム34が連結される駆動ピン61、セット部材100が係合して反時計回りに回転力が及ぼされる係合部62、被吸着部80を保持する保持部63等を備えており、支軸11iにより回動自在に支持されている。
駆動ピン61は、主地板11の長孔11cに挿入されると共に、時計回りに回転した回転端において長孔11cに固定されたゴム等の緩衝部材(不図示)に当接して停止するようになっている。
【0020】
付勢バネ70は、捩りコイルバネであり、
図2及び
図7に示すように、支軸11iの周りに配置されており、一端部(不図示)が後羽根駆動レバー60の一部に掛止され、他端部(不図示)が支軸11fに後羽根駆動レバー60と同軸に回転可能に配置されて支持板12(のラチェット爪)により位置決めされる調整車(ラチェット筒)75に掛止されて、後羽根駆動レバー60を
図2中の時計回りに回転付勢する付勢力を及ぼすように形成されている。
【0021】
被吸着部80は、
図2及び
図7に示すように、電磁石90の鉄芯部材91に吸着される鉄片81、鉄片81を一方向に付勢する付勢バネ82等により構成されている。
電磁石90は、
図1に示すように、支持板12の保持部12a,12bに保持されており、所定の長さの鉄芯部材91、鉄芯部材91の周りおいてボビンに巻回された励磁用のコイル92等により構成されている。
そして、コイル92への通電により、鉄芯部材91を通る磁力線を発生させて、対向する被吸着部80(の鉄片81)に対して磁気的吸引力を及ぼすようになっている。
【0022】
セット部材100は、
図2及び
図7に示すように、支軸11jにより、羽根部材(20,30)が移動する面と平行な面内で回動自在に支持されており、先羽根駆動レバー40の係合部42に係合し得る係合部101、後羽根駆動レバー60の係合部62に係合し得る係合部102、駆動機構120のリンク部材121が連結される連結部103、付勢バネ110の一端部111が掛止される掛止部104等を備えている。
【0023】
付勢バネ110は、捩りコイルバネであり、
図2及び
図7に示すように、支軸11jの周りに配置されており、一端部111がセット部材100の掛止部104に掛止され、他端部112が地板10(主地板11又は支持板12)の一部10aに掛止されて、セット部材100を
図2中の反時計回りに回転付勢して休止位置に戻す付勢力を及ぼすように形成されている。
そして、セット部材100は、駆動機構120が及ぼす駆動力により、付勢バネ110の付勢力に抗して
図1及び
図2に示す休止位置(露光動作完了位置)から時計回りに回転すると、係合部101が係合部42に回転力を及ぼしかつ係合部102が係合部62に回転力を及ぼして、
図6及び
図7に示すように、先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60をそれぞれの付勢バネ50,70の回転付勢力に抗しつつ反時計回りに回転させてシャッタ動作前のセット位置にセットするセット動作を行い、一方、セット位置において先羽根駆動レバー40が電磁石90により吸着保持されかつ後羽根駆動レバー60が電磁石90により吸着保持された状態で、付勢バネ110の付勢力により反時計回りに回転して休止位置に戻ると、
図11及び
図2に示すように、係合部101が係合部42から離脱しかつ係合部102が係合部62から離脱して、先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60の時計回りの回転を許容する状態とするものである。
【0024】
駆動機構120は、
図1ないし
図3に示すように、一部図示を省略した主地板11上に配置されており、セット部材100に連結されたリンク部材121、リンク部材121に連結された揺動部材122、揺動部材122にカム作用を及ぼす第1カム部材123、第1カム部材123(及び第2カム部材133)に回転力を伝達する歯車列124、歯車列124に噛合する駆動歯車125aを有するモータ125等を備えている。
リンク部材121は、
図1ないし
図3に示すように、一端部121a、屈曲して形成されると共に長孔を有する他端部121b、係止部材131の係合部131aが接触し得る接触面121c、接触面121cに隣接して形成され係止部材131の係合部131aが対向して移動を規制し得る被係止部121d等を備え、セット部材100が移動(回動)する面と平行な第1面内で移動自在に支持されており、一端部121aがセット部材100の連結部103に連結され、他端部121b(長孔)が揺動部材122の一端部122a(ピン)に連結されている。
接触面121cは、
図9及び
図10に示すように、係止部材131が接触位置にあるとき、係合部131aの平面部分と接触するように形成されている。
被係止部121dは、
図2及び
図3に示すように、係止部材131が規制位置にあるとき係合部131aの縁部分と対向して移動が規制されるように形成されている。
揺動部材122は、
図3に示すように、ピンを有する連結部122a、一部図示を省略した主地板11の支軸に支持される枢支部122b、第1カム部材123によりカム作用を受けるフォロワ部122c等を備えており、リンク部材121が移動する第1面に垂直な第2面内で枢支部122bを支点として揺動するように形成されている。
第1カム部材123は、カメラ本体又は他の基板に設けられた支軸(不図示)が通される支軸孔123a、揺動部材122のフォロワ部122cに対してカム作用を及ぼす第1カム部123bを備えている。
そして、第1カム部123bは、
図3示す状態→
図5に示す状態→
図8に示す状態に至るまで反時計回りに回転すると、揺動部材122及びリンク部材121を介して、セット部材100を休止位置から時計回りに回転させてセット部材100にセット動作を行わせ、さらに
図10に示す状態を経て
図12に示す状態に至るまで回転すると、揺動部材122に対するカム作用を解除して(フォロワ部122cから離脱して)、付勢バネ110の付勢力によりセット部材100が休止位置に戻るのを許容するようになっている。
【0025】
規制機構130は、
図1ないし
図3に示すように、リンク部材121の移動を規制し得る係止部材131、係止部材131を一方向に回転付勢する付勢バネ132、係止部材131に対してカム作用を及ぼす第2カム部材133等を備えている。
係止部材131は、
図1ないし
図3に示すように、リンク部材121の接触面121cに対して離脱可能に接触しかつ被係止部121dに対向して離脱可能に係合し得る係合部131a、一部図示を省略した主地板11の支軸に支持される枢支部131b、第2カム部材133によりカム作用を受けるフォロワ部131c等を備えており、リンク部材121が移動する第1面に垂直な第2面内で枢支部131bを支点として揺動するように形成されている。
付勢バネ132は、枢支部131bの周りに配置された捩りコイルバネであり、一端部132aが係止部材131の一部に掛止され、他端部132bが一部図示を省略した主地板11に掛止されて、係止部材131を第2カム部材133に近づく向きに(
図3中の時計回りに)回転付勢する付勢力を及ぼすように形成されている。
第2カム部材133は、カメラ本体又は他の基板に設けられた支軸(不図示)が通される支軸孔133a、係止部材131のフォロワ部131cに対してカム作用を及ぼす第2カム部133bを備えており、第1カム部材123と同軸にて一体的に回転するように形成されている。
【0026】
そして、第2カム部133bは、
図3示す状態を経て
図5に示す状態に至るまで反時計回りに回転すると、フォロワ部131cにカム作用を及ぼして係止部材131を規制位置から反時計回りに回転させて規制を解除する解除位置まで移動させ、さらに
図8に示す状態を経て
図10に示す状態に至るまで回転すると、係止部材131に対するカム作用を解除して(フォロワ部131cから離脱して)、付勢バネ132の付勢力により係止部材131の係合部131a(の平面部分)がリンク部材121の接触面121cに接触するのを許容し、さらに
図12に示す状態に至るまで回転すると、フォロワ部131cを係合させて係止部材131を規制位置(係合部131aの縁部分が被係止部121dに対向する位置)に位置付けるようになっている。
ここでは、第2カム部材133が第1カム部材123と同軸にて一体的に回転するように形成されているため、一つの駆動源(モータ125)の駆動力により両方のカム部材(第1カム部材123、第2カム部材133)を回転させることができ、又、各々のカム部材(123、133)が適宜カム作用を及ぼす相対的なタイミングを高精度に設定することができる。
【0027】
すなわち、第1カム部材123が、モータ125により一方向に回転すると、揺動部材122が一方向に移動すると共にリンク部材121が一方向に移動して、セット部材100がセット動作を行い、先羽根駆動レバー40(及び先羽根20)及び後羽根駆動レバー60(及び後羽根30)がセット位置にセットされ、第1カム部材123がさらに回転してカム作用を解除すると、付勢バネ110の付勢力によりセット部材100は休止位置に戻り、又、第2カム部材133が第1カム部材123と一緒に一方向に回転してカム作用を解除すると、付勢バネ132の付勢力により係止部材131が一方向に移動してリンク部材121の移動を規制し得る位置に位置付けられるようになっている。
このように、規制機構130が、セット部材100に連結された駆動機構120の一部をなすリンク部材121の移動を規制することでセット部材100の反動を規制する、すなわち、駆動機構120の一部をなすリンク部材121の移動を規制するため、セット部材100の周りに新たな部品を追加することなく、構造の簡素化、小型化を達成しつつ、規制機構を設けることができる。
【0028】
また、係止部材131は、セット部材100がセット位置へのセット動作を完了した時点でリンク部材121の接触面121cに接触しつつリンク部材121の移動を許容する接触位置に位置付けられ、セット部材100が休止位置に戻った際にリンク部材121の被係止部121dと対向してリンク部材121の移動を規制し得る規制位置に位置付けられるように形成されている、すなわち、係止部材131はセット動作の完了時点でリンク部材121の一部(接触面121c)に接触した接触位置に保持されるため、セット部材100が休止位置に戻ると即座に接触位置から規制位置に移動してリンク部材121の移動を規制することができ、素早い動きで規制動作を行うことができる。
さらに、係止部材131は、リンク部材121が移動する第1面に垂直な第2面内で移動するように形成され、接触位置において第2カム部材133から離脱した状態でリンク部材121の一部(接触面121c)と接触するように付勢されているため、係止部材131は、リンク部材121が移動する第1面と垂直な第2面内で接触状態から離脱すると付勢バネ132の付勢力により即座に規制位置に移動することができ、それ故に、セット部材100の反動を確実に防止して、レリーズ動作から撮影完了までのタイムラグをより短くすることができる。
【0029】
次に、このフォーカルプレンシャッタの動作について説明する。
先ず、シャッタ動作完了後(露光動作完了後)の休止状態においては、
図1ないし
図3に示すように、セット部材100は付勢バネ110の付勢力により反時計回りに回転して休止位置に位置し、先羽根駆動レバー40は付勢バネ50の回転付勢力により時計回りに回転して停止し、先羽根20は開口部11aを開放した位置に位置し、又、後羽根駆動レバー60は付勢バネ70の回転付勢力により時計回りに回転して停止し、後羽根30は開口部11aを閉鎖した位置に位置している。
この休止状態において、係止部材131は、
図2及び
図3に示すように、係合部131aが被係止部121dに対向して、リンク部材121の移動を規制する規制位置に位置している。
【0030】
ここで、露光動作前のセット動作の指令により、シャッタ動作の準備指令が発せられると、カム部材(第1カム部材123及び第2カム部材133)が一方向(反時計回り)に回転して、
図5に示すように、先羽根20及び後羽根30並びにセット部材100がそのままの状態で、係止部材131が解除位置に移動する(係合部131aがリンク部材121の被係止部121dから逸脱した位置に移動する)。
そして、カム部材(第1カム部材123及び第2カム部材133)が一方向(反時計回り)にさらに回転すると、
図6ないし
図8に示すように、係止部材131が解除位置に保持された状態で、第1カム部材123が揺動部材122にカム作用を及ぼしてリンク部材121が移動し、セット部材100が付勢バネ110の付勢力に抗して時計回りに回転して、係合部101が係合部42に係合して先羽根駆動レバー40を反時計回りに回転させ、先羽根20が開口部11aを閉鎖する位置に移動し、係合部102が係合部62に係合して後羽根駆動レバー60を反時計回りに回転させ、後羽根30が開口部11aを開放する位置に移動する。これにより、セット部材100によるセット動作が完了する。
すなわち、先羽根駆動レバー40(及び先羽根20)がシャッタ動作前のセット位置(開口部11aを閉鎖した状態)に位置付けられ、後羽根駆動レバー60(及び後羽根30)がシャッタ動作前のセット位置(開口部11aを開放した状態)に位置付けられる。
【0031】
続いて、レリーズ等の信号により、シャッタ動作(露光動作)の指令が発せられると、電磁石90(のコイル92)が通電され、鉄芯部材91が被吸着部80を磁気的吸引力により吸着し、時計回りに回転付勢する付勢バネ50,70の付勢力に抗して、先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60をセット位置に確実に保持して位置決めする。
【0032】
そして、
図9及び
図10に示すように、カム部材(第1カム部材123及び第2カム部材133)が一方向(反時計回り)にさらに回転すると、先羽根20及び後羽根30並びにセット部材100がそのままの状態で、係止部材131のフォロワ部131cが第2カム部材133のカム部133bから離脱し、付勢バネ132の付勢力により係止部材131は時計回りに回転して、係合部131a(の平面部分)がリンク部材121の接触面121cに接触しつつ、係止部材131はその接触した状態に保持される。
すなわち、係止部材131は、セット部材100がセット位置へのセット動作を完了した時点で、リンク部材121の一部(接触面121c)に接触しつつリンク部材121の移動を許容する接触位置に位置付けられる。
【0033】
続いて、カム部材(第1カム部材123及び第2カム部材133)が一方向(反時計回り)にさらに回転すると、
図11及び
図12に示すように、先羽根20及び後羽根30がそのままの状態で、揺動部材122のフォロワ部122cが第1カム部材123の第1カム部123bから離脱して揺動部材122が自由に移動できるようになり、付勢バネ110の付勢力により、セット部材100が休止位置に戻ると共にそれに連動してリンク部材121が移動し、係合部131aと接触面121cとの接触が解除されて、係止部材131は付勢バネ132の付勢力により時計回りに回転して、フォロワ部131cが第2カム部133bに係合すると同時に、係合部131a(の縁部分)が被係止部121dに対向する規制位置に位置付けられて、セット部材100が休止位置から逆向きに移動しようとする反動(バウンド)が規制される。
すなわち、係止部材131は、セット部材100が休止位置に戻った際に、リンク部材121の一部(被係止部121d)と対向してリンク部材121の移動を規制し得る規制位置に位置付けられる。
【0034】
その後、二つの電磁石90の通電がそれぞれ異なる所望のタイミングで断たれると、先ず、先羽根駆動レバー40が付勢バネ50の付勢力により時計回りに回転して先羽根20が走行し、所定の時間間隔をおいて、後羽根駆動レバー60が付勢バネ70の付勢力により時計回りに回転して後羽根30が走行し、
図1に示すように、先羽根20が開口部11aを開放しかつ後羽根30が開口部11aを閉鎖する。
以上により、先羽根20及び後羽根30により、開口部11aの開閉動作が行われて、シャッタ動作(露光動作)が完了する。
【0035】
上記のように、セット部材100が付勢力により休止位置(セット動作前の位置)に戻った際に(休止位置においてストッパ等に当接した際に)、規制機構130(係止部材131)によりセット部材100が逆向きに移動する反動(バウンド)が規制されるため、セット部材100の休止位置への復帰後即座に羽根部材(先羽根20及び後羽根30)を走行させてシャッタ動作を完了させることができる。
このように、上記構成をなすフォーカルプレンシャッタによれば、構造の簡素化、小型化等を達成しつつ、セット部材100の反動を防止して、レリーズ動作から撮影完了までのタイムラグを短くすることができ、又、連写する際の連写速度を速めることができ、一連の制御シーケンスを短縮化できるカメラ用のフォーカルプレンシャッタを得ることができる。
【0036】
上記実施形態においては、先羽根20及び後羽根30を備えた構成において、先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60に対して、本発明の構成(規制機構130)を採用した、すなわち二つの羽根部材を備えた構成において本発明を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、一つの羽根部材を備え、単に開口部を開放した状態から閉鎖した状態に移動することでシャッタ動作を行う構成において本願明を採用することもできる。
上記実施形態においては、規制機構として、係止部材131、付勢バネ132、第2カム部材133等を備えた構成を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、セット部材100の反動を規制できるものであれば、その他の構成をなす規制機構を採用することができる。
上記実施形態においては、駆動機構として、リンク部材121、揺動部材122、第1カム部材123等を備えた構成を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、セット部材にセット動作を行わせるものであれば、その他の構成をなす駆動機構を採用することができる。
上記実施形態においては、駆動部材として、所定の軸線回りに回動する先羽根駆動レバー40及び後羽根駆動レバー60を採用し、セット部材として、所定の軸線回りに回動するセット部材100を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、その他の形態をなす駆動部材及びセット部材において、本発明を適用してもよい。