特許第6081907号(P6081907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6081907医療処置のコンピュータ化シミュレーションを行うシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6081907
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】医療処置のコンピュータ化シミュレーションを行うシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20170206BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20170206BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20170206BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   A61B6/00 370
   A61B6/00 331A
   A61B6/00 360B
   A61B6/03 375
   A61B6/03 377
   A61B6/03 360Q
   A61B5/05 380
   A61B5/05 390
   A61B8/00
【請求項の数】37
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-500649(P2013-500649)
(86)(22)【出願日】2011年3月7日
(65)【公表番号】特表2013-521971(P2013-521971A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】IL2011000215
(87)【国際公開番号】WO2011117855
(87)【国際公開日】20110929
【審査請求日】2014年2月25日
(31)【優先権主張番号】12/730,535
(32)【優先日】2010年3月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512245492
【氏名又は名称】シンバイオニクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ブロンステイン ラン
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー ニヴ
(72)【発明者】
【氏名】シロン オフェク
【審査官】 安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−137455(JP,A)
【文献】 特開平11−164833(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0187896(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0191822(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/119691(WO,A1)
【文献】 特開2009−022733(JP,A)
【文献】 特開2009−207677(JP,A)
【文献】 米国特許第05371778(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
A61B 5/055
A61B 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像ガイド処置のコンピュータ化シミュレーションを行う方法であって、
特定の患者に関連する医療画像データを受けるステップと、
前記医療画像データに基づく前記特定の患者の解剖学的構造の患者固有のデジタル3次元(3D)画像ベースのモデルを作るステップと、
前記3D画像ベースのモデルを使用して画像ガイド処置のコンピュータ化シミュレーションを行うステップと、
前記シミュレーションの間、前記3D画像ベースのモデルと、関心事の血管である前記解剖学的構造に対して垂直な又は傾斜した平面における前記3D画像ベースのモデルに重ね合わせた2次元(2D)ビューの前記医療画像データの少なくとも一部と、を同時に表示するステップとを備える方法。
【請求項2】
前記医療画像データと前記画像ベースのモデルとは、統合表示を形成する請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記関心事の血管に垂直な平面における医療画像データを表示する請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記シミュレーションが、物理的な医療ツールのシミュレーション化モデルを含み、前記シミュレーションが、前記医療ツールの前記シミュレーション化モデルを操作することを含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記2次元ビューは、シミュレーション化医療ツールの場所に対応する場所に平面が位置するように、前記画像ベースのモデルと統合される請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記表示するステップは、前記医療画像データの表現における特定の場所に、シミュレーション化医療ツールを表す表示を表示することを含み、前記特定の場所は、前記画像ベースのモデルに対して、前記医療ツールの前記シミュレーション化モデルの少なくとも一部の場所に対応する請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記医療画像データの表示を、前記医療ツールの前記シミュレーション化モデルの移動と同期するステップを備える請求項4の方法。
【請求項8】
前記医療画像データは、医療画像管理システム(PACS)のアーカイブから受けられる請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記医療画像データを、コンピュータ断層撮影(CT)システム、磁気共鳴画像(MRI)システム、X線システム、陽電子射出断層撮影(PET)システム、超音波システム、及び蛍光透視システムのうちの1つから受ける請求項1記載の方法。
【請求項10】
受けた生の医療画像データに基づいて人工的な医療画像データを生成し、前記画像ベースのモデル及び人工的な医療画像データの少なくとも一部を同時に提示するステップを備える請求項1の方法。
【請求項11】
前記2次元ビューは、特定平面に関連する画像を含み、前記表示するステップは、前記画像を、特定平面ビューを提供するように表示するステップを含む請求項1の方法。
【請求項12】
前記表示するステップは、前記画像ベースのモデル及び前記特定平面ビューの統合表示を作る請求項11の方法。
【請求項13】
前記平面が、軸平面、冠状平面、矢状平面、選択された血管に垂直な平面、非平面の表面、及び前記医療画像データを取得するために使われる造影システムに関連する平面のうちの1つである請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記画像は、最大値投影(MIP)を用いて特定表面のビューを提供するためにレンダリングされる請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記医療画像データを表示するステップは、前記医療画像データについての3次元ビューを作るために前記医療画像データをボリュームレンダリングすることを含む請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記医療画像データを表示するステップは、組織、器官及び領域の少なくとも1つを、強調し、マーキングし、示し、参照し、表示することの少なくとも1つを含む請求項1記載の方法。
【請求項17】
特定の患者の医療画像データを受けるステップと、
前記医療画像データに基づいて前記特定の患者からの解剖学的構造の患者固有のデジタル3次元(3D)画像ベースのモデルを作るステップと、
前記3D画像ベースのモデルを使用して画像ガイド処置のコンピュータ化シミュレーションを行うステップと、
前記シミュレーションの間、前記3D画像ベースのモデルと、関心事の血管である前記解剖学的構造に対して垂直な又は傾斜した平面における前記3D画像ベースのモデルに重ね合わせた2次元(2D)ビューの前記医療画像データの少なくとも一部と、を同時に表示するステップと
を処理プラットホームによって実行された際に実行させる命令を記憶する非一時的なコンピュータの記憶媒体。
【請求項18】
前記表示するステップは、前記医療画像データ及び前記画像ベースのモデルの統合表示を形成する請求項17記載の記憶媒体。
【請求項19】
前記医療画像データは、前記関心事の血管に垂直な平面において表示される請求項17記載の記憶媒体。
【請求項20】
前記シミュレーションが、物理的な医療ツールのモデルをシミュレーションすることを含み、前記シミュレーションが、前記医療ツールを操作することを含む請求項17記載の記憶媒体。
【請求項21】
前記2Dビューは、前記シミュレーション化医療ツールの場所に対応する場所に平面が位置するように、前記画像ベースのモデルと統合される請求項17記載の記憶媒体。
【請求項22】
前記表示は、前記シミュレーション化医療ツールを表す指示を前記医療画像データの表現内の特定の場所に表示することを含み、前記特定の場所は、前記画像ベースのモデルとの関連で、前記医療ツールの前記シミュレーション化モデルの少なくとも一部の場所に対応する請求項17記載の記憶媒体。
【請求項23】
前記医療画像データの表示を前記医療ツールのシミュレーション化モデルの移動と同期させることを命令が実行させる請求項17記載の記憶媒体。
【請求項24】
前記医療画像データは、医療画像管理システム(PACS)のアーカイブから受けられる請求項17記載の記憶媒体。
【請求項25】
前記医療画像データは、コンピュータ断層撮影(CT)システム、磁気共鳴画像(MRI)システム、X線システム、陽電子射出断層撮影(PET)システム、超音波システム、及び蛍光透視システムのいずれかから受けられる請求項17記載の記憶媒体。
【請求項26】
受けた生の医療画像データに基づく人工的な医療画像データを生成し、前記画像ベースのモデル及び前記人工的な医療画像データの少なくとも一部を同時に提示することを命令が実行させる請求項17記載の記憶媒体。
【請求項27】
受けた生の医療画像データに基づいて、特定平面に関連する画像を生成し、特定平面ビューを提供するように前記画像を表示することを命令が実行させる請求項17記載の記憶媒体。
【請求項28】
前記画像ベースのモデル及び前記特定平面ビューの統合表示を作る命令がさらに実行させる請求項17記載の記憶媒体。
【請求項29】
前記特定平面が一平面と関連し、前記平面が、軸平面、冠状平面、矢状平面、選択された血管に垂直な平面、非平面の表面、及び前記医療画像データを取得するために用いた造影システムに関連する平面のいずれかである請求項27記載の記憶媒体。
【請求項30】
前記画像は、最大値投影(MIP)を使用する特定表面のビューを提供するようにレンダリングされる請求項17記載の記憶媒体。
【請求項31】
前記医療画像データを表示することは、前記医療画像データの3次元ビューを作るように、前記医療画像データをボリュームレンダリングすることを含む請求項17記載の記憶媒体。
【請求項32】
前記医療画像データを表示することは、強調すること、マーキングすること、示すこと、及び参照することの少なくとも1つを含み、かつ、組織、器官及び領域の少なくとも1つを表示することを含む請求項17記載の記憶媒体。
【請求項33】
画像ガイド処置のコンピュータ化シミュレーションを行うためのシステムであって、
患者の医療画像データを生成するイメージングユニットと、
医療画像データを受け、前記医療画像データに基づく前記特定の患者の解剖学的構造の患者固有のデジタル3次元(3D)画像ベースのモデルを作り、物理的な医療ツールのシミュレーション化モデルを作るモデル生成ユニットと、
前記物理的な医療ツールを操作することを含み、前記3次元画像ベースのモデルを使用して画像ガイド処置のコンピュータ化シミュレーションを行うシミュレーションユニットと、
前記デジタル画像ベースのモデル、前記医療ツールのシミュレーション化モデル、及び、関心事の血管である前記解剖学的構造に対して垂直な又は傾斜した平面における前記3D画像ベースのモデルに重ね合わせた2次元(2D)ビューの前記医療画像データの少なくとも一部を、シミュレーションの間、同時表示させる提示ユニットと、を備え、
前記同時表示は、前記医療ツールの前記シミュレーション化モデルが第1位置から第2位置に移動する場合、前記医療画像ベースの前記第1位置に関連する第1医療画像を、前記医療画像ベースの第2位置に関連する第2医療画像に自動的に置き換えるシステム。
【請求項34】
システムから第1ビューを備える生の医療画像データを受けるステップを備え、
前記2Dビューは、前記第1ビューとは異なる第2ビューを生成するために、受けた生の医療画像データから生成される請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記生の医療画像データは、CTシステムから得られ、
前記医療画像データは、X線画像を表示する請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記2Dビューは、医療画像を含み、
前記医療ツールのシミュレーション化モデルが第1位置から第2位置に移動する場合、前記画像ベースのモデルの前記第1位置に関連する第1医療画像が、前記画像ベースのモデルの前記第2位置に関連する第2医療画像に自動的に置き換えるステップをさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項37】
前記2Dビューは、医療画像を含み、
前記表示するステップは、前記医療画像が前記3D画像ベースのモデルにオーバーレイされるシミュレーション化領域から分離したディスプレー領域に同じ医療画像をさらに表示する請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
血管内処置のような多くの侵襲的な医療処置は、最も経験を積んだ介入医にとっても難関となる場合がある。組織がねじれていたり、可視化が困難であったり、病変形態が複雑であったり、そして、他の複雑化要因によって、処置時間が増えたり、蛍光透視に対する露出が増えたり、造影剤の使用が増えてしまう。患部へアクセスする戦略又は機器選択が最善でない場合、貴重な時間を失ってしまう場合がある。したがって、手術前の計画ツール又は手術後の評価ツールとして役立つことがある、不必要なリスクを伴わずに医者を訓練するための画像ガイド処置用シミュレーションシステムが紹介されている。
【背景技術】
【0002】
多くの医療シミュレーションによって、解剖学的構造の所定のモデルに基づく仮想モデルに対して医者が練習することが可能になっている。このような構造は、特定の患者に由来するものではない。したがって、このようなシステムを、手術を行う前に特別の患者の手術を正確に計画するため又は手術後評価のために使用することができない。
【発明の概要】
【0003】
より進歩的なシミュレーションシステムとしては、患者固有の医療画像データを使用する患者固有のシミュレーションシステムがある。患者固有のシミュレーション化介入環境があれば、患者の正確な構造の仮想モデルに対する血管内処置のような、完全で複雑な処置の練習が可能になる可能性があり、これによって、実生活において有効な結果を得られる可能性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明として扱われる対象は、本明細書の末尾において具体的に記載しており明示的に請求されている。しかしながら、本発明は、目的、特徴、利点とともに、構成と動作方法の双方について、添付図面とともに下記の詳細な説明を読むことによって最善に理解できるであろう。
【0005】
図1図1は、本発明のいくつかの実施形態に従って画像ガイド処置をシミュレーションする例示的システムを示す。
図2図2は、本発明のいくつかの実施形態に従って、並列に画像ガイド処置をシミュレーションし、医療画像データを提示する方法を示す流れ図である。
図3図3は、本発明のいくつかの実施形態に従う、シミュレーション化処置及び医療画像データの統合提示に関連する例示的スクリーンショットを示す。
図4図4は、本発明のいくつかの実施形態に従う、シミュレーション化処置及び医療画像データの統合提示に関連する例示的スクリーンショットを示す。
図5図5は、本発明のいくつかの実施形態に従う、シミュレーション化処置及び医療画像データの統合提示に関連する例示的スクリーンショットを示す。
図6図6は、本発明のいくつかの実施形態に従う、シミュレーション化処置及び医療画像データの統合提示に関連する例示的スクリーンショットを示す。
図7図7は、本発明のいくつかの実施形態に従う、医療画像データの提示に用いることができる例示的レンダリングモードを示す。
図8図7は、本発明のいくつかの実施形態に従う、医療画像データの提示に用いることができる例示的レンダリングモードを示す。
【0006】
図を簡明にするため、図示した要素は必ずしも寸法を整合していないことに留意されたい。例えば、明確化のため、これら要素のうちのいくつかの寸法を他の要素と比べて拡大している。また、適切であると考えた場合、対応する要素又は類似の要素であることを示すために、図における参照数字を繰り返し使用している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
下記の詳細な説明においては、本発明を完全に理解できるように、具体的な詳細内容を多く記載する。しかしながら、これらの具体的な詳細内容がなくても本発明を実施できることを当業者が理解できるであろう。他の場面において、本発明をわかりづらくしないように、公知の方法、処置、構成要素、モジュール、ユニット及び/又は回路については、詳細に記載していない。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態は、患者固有の画像ガイド処置用コンピュータ化シミュレーション(patient−specific computerized simulations for image−guided procedures)に関する。いくつかの実施形態では、シミュレーション化処置の性能を実現する方法が、対象を走査することによって受けた医療画像データに基づく解剖学的構造のデジタル画像ベースのモデルを作ることを含むことができる。例えば、対象は、画像ガイド処置を受ける患者である。本発明のいくつかの実施形態によれば、医療画像又は他のデータは、コンピュータ断層撮影(CT)、CT蛍光透視、蛍光透視、磁気共鳴画像(MRI)、超音波、陽電子射出断層撮影(PET)及びX線システム又は他の適切な造影システムのような一又は複数の造影システムから得られた患者固有の医療画像やパラメーターとすることができる。本発明のいくつかの実施形態において、本書で記載した医療画像データを入力として使用して、解剖学的構造、器官、系統又は領域の2D、3D又は4Dモデルを作ることができる。シミュレーションされた解剖学上の器官又は系統は、直観的であり、かつ、解剖学的な様相を正確に描くことができるが、医療関係者がよく知っていて、及び/又は、慣れている、伝統的な画像又は提示とは異なるビューを提供することもできる。例えば、医者は、典型的にはX線又はCTの画像の検査に慣れていて、そのような画像における解剖学的構造又は器官を識別するようによく訓練されていても、シミュレーション化モデルに対しては、器官又はツールの場所又は向きを識別することを判断することが困難であると感じうる。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態によれば、画像ガイド処置のコンピュータ化シミュレーションを行う方法が、特定の患者と関係のあるかもしれない医療画像データを受けるステップと、受けた医療画像データに基づいて解剖学的構造の画像ベースのデジタルモデルを生成するステップと、実際のシミュレーション化画像ガイド処置を行い、デジタルモデル及び医療画像データを同時に表示するステップとを含むことができる。例えば、ディスプレー画面における第1の領域は、解剖学上の器官のシミュレーション化モデルを表示することに特化させ、同じディスプレー又は他のディスプレーの画面における第2の領域は、シミュレーションされた器官に対応するCT画像を表示させるようにすることができる。いくつかの実施形態において、医療画像データ、例えば、CTスライス画像を、オーバレイモードでシミュレーション化モデルに表示することができる。例えば、CTスライス画像を、シミュレーション化モデルが表示された表示領域と同じ表示領域に表示してもよく、さらに、様々な向き又はビューの選択に従って位置させてもよい。
【0010】
本書記載のように、本発明のいくつかの実施形態は、ユーザに画像の様々なビュー及び他の医療データを提供することができる。例えば、提供されるビューが、所定の表面又は平面と関連する。いくつかの実施形態では、受けた生の医療画像データ、人工的に生成された医療画像データ又は生及び人工的な医療画像データの組合せに基づいて、特定表面に関連する画像を生成してもよい。例えば、CTデータを得るために使用される造影システムのビューとは必ずしも関係がないビューを作るために、CTスライス又は他の画像を処理することができる。いくつかの実施形態では、生成されたビューが、特定の平面、表面、角度又は他の態様と必要に応じて関係を有することができる。ビューが生成されるいくつかの例示的平面又は表面が、軸平面、冠状平面、矢状平面、選択された脈管に垂直な平面、非平面の表面、医療画像データを取得するために用いた造影システムに関連する平面、又は仮想の造影システムに関連するシミュレーション化処置の一部を形成する。特定の例示的平面又は表面ビューを本書に記載しているが、本書記載のように、そのようなビューのいずれも生成することができる。用語「表面」、「平面」は、適用可能な脈絡中に存在する場合、ビューの実質的に同じ実体又は態様を意味することがあり、したがって、本書において互換的に用いることができることに留意されたい。例えば、矢状平面ビュー及び矢状表面ビューは、同じビューを意味することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、受けた生の医療画像データに基づいて、特定の表面、視点又は造影システムに関連する画像を生成してもよい。例えば、CTシステムのビューと必ずしも関係がないかもしれないビューを作るためにCTスライス又はデータを処理してもよい。例えば、デジタル画像ベースのモデルに基づいて2次元X線ビューを作ってもよい。特定のシナリオでは、本書に記載されるようなCTシステムからの入力に基づいて、3次元のデジタル画像ベースのモデルを生成してもよい。その後、デジタル画像ベースのモデルに基づいて、X線のビューを生成してもよい。例えば、2次元(2D)のX線のビューを、2次元の表面又は平面に、3次元のデジタル画像ベースのモデルを射影することにより作ってもよい。本発明のいくつかの実施形態において、患者に対するX線カメラのビュー、位置又は場所をユーザが選択することを可能にし、その選択された場所及び/又は位置に配置したX線カメラによって本来は提供されるX線の画像又はビューを作ることができる。したがって、そのような画像を得るために実際のX線カメラを利用しなくても、人工又は合成のX線画像又はビューを生成し提供することができる。別の実施形態では、デジタル画像ベースの3次元モデルを生成するためにCTシステムから受けたデータを使用することができ、また、そのようなモデルを、結腸の診察に使用される結腸内視鏡に付けたカメラによって本来は提供されるビューを生成するために更に使用してもよい。したがって、結腸の内部の態様を公開するビュー又は結腸のビューを生成し、表示することができる。同様に、適用可能な任意の技術又はシステムに関連するビュー又は画像をデジタル画像ベースのモデルに基づいて作ってもよい。通常は様々なシステムを使用することによってのみ作ることができるビュー又は画像を生成する能力は、当業者によって高く評価されるだろう。そのような能力があることによって、コストと時間を相当に節約できるという利点が発生しうる。なぜなら、本発明のいくつかの実施形態において、第1の造影システムから受けたデータに基づいて、第2の異なるシステムに関する出力を提供することができるからである。別の利点は、シミュレーションされたイメージング装置の任意の角度、向き、位置又は場所に関連する画像を合成し提供する能力がありうる。本書に記載されるような仮想システムに関連する人工ビューを、例えば、本書に記載された画像ベースのモデルに加えて又はそれの代わりに表示してもよい。
【0012】
本書記載のように、CT、MRI又はX線画像のような医療画像データの表示は、シミュレーション化処置の提示、進行又は他の態様と、統合されていたり、調整したり、又は関係していてもよい。いくつかの実施形態では、医療画像データの提示が、ユーザの選択によるものであることができる。例えば、ユーザが、シミュレーション化モデル上の場所をクリックするか、又はシミュレーション化モデルに関連する場所、解剖学上の器官又は領域における関心箇所を別の方法で選択したり表示し、その選択に対応するCT又は他の医療画像が提供されるようにしてもよい。他のいくつかの実施形態では、医療画像データの提示を、シミュレーション化処置の進行、状態、モード又は脈絡に、自動的に同期させたり又は別の調整をしてもよい。例えば、(シミュレーション化モデルにおいて)ステントが位置する(CT造影システムによってイメージングされるような実際の患者の)面積、領域又は体積に関連するCT画像が示されるように、シミュレーション化処置で示されうるカテーテル、ワイヤー、ステント又は別のシミュレーション化ツールの場所に関連するCT画像を自動的に表示してもよい。第1の場所から第2の場所にツールを移動するに従い、第1の場所のCT画像の代わりに第2の場所のCT画像を示すように、(第1の場所に関連する)第1のCT画像を(第2の場所に関連する)第2のCT画像によって自動的に置き換えられてもよい。したがって、医療画像データの提示が、シミュレーション化処置と自動的に同期し、整合し、及び/又は、調整してもよい。また、医療画像データを表示する領域又はシミュレーション化モデルのいずれかにおいて、スケーリング、又は当技術分野にて知られている他の操作を行ってもよい。例えば、ユーザが、シミュレーション化モデルの表示を変更せずに、医療画像データ内の領域においてズームインしたり、あるいは医療画像データを表示する領域のスケールを変更せずに、シミュレーション化モデルを表示する領域のスケール又は大きさを変更してもよい。医療画像データ及びシミュレーション化モデルを提示するために2つの別個のウィンドウ又は表示領域を使用するいくつかの実施形態では、そのようなウィンドウ又は領域の当技術分野において知られているいずれの操作をも可能にすることができる。
【0013】
図1を参照する。図1は、本発明のいくつかの実施形態に従って画像ガイド処置をシミュレーションする例示的システム100を示す。図示するように、システム100は、多くのユニットを有し、かつ、入力及び/又は出力(I/O)ユニットに動作可能に接続するコンピューティングデバイスを含むことができる。システム100は、入力ユニット105、出力ユニット120、モデル生成ユニット110、シミュレーションユニット115、管理ユニット135、データレポジトリー(貯蔵所)140、提示ユニット125、メモリー130及びコントローラ131を含むことができる。入力ユニット105は、マウス、キーボード、タッチスクリーン若しくはタッチパッド、又は任意の適切な入力デバイスを含むことができる。入力ユニット105は、シミュレーションツールを操作する手段を含んでいてもよい。例えば、シミュレーション化カテーテルのようなシミュレーション化ツールをユーザが操作することを可能にするために、入力ユニット105に、ハンドル、アクティベーションボタンなどのような物理的なオブジェクトを、実際の医療ツールとともに接続してもよい。また、入力ユニット105が、例えば、造影システムから、データを受けうる有線又は無線のネットワークインターフェースカード(NIC)を含むことができる。いくつかの実施形態に従って、例えば、通信管理ユニットである、メディエーターユニットが、画像保存通信システム(PACS)のような医療画像を記憶するシステム又はサーバーと通信するためにNICを利用してもよいし、そのようなシステム、サーバー又はアプリケーションから任意の関連するイメージング情報、データ又はパラメーターを得てもよく、また、得られたデータ、情報又はパラメーターをローカルデータレポジトリー140に記憶してもよい。出力ユニット120は、可視出力を可能にするために、ディスプレー画面又はディスプレー画面とインターフェースで接続するコンポーネントを、また、可聴出力を可能にするために、スピーカ又は別のオーディオ装置を含むことができる。出力ユニット120は、ディスプレー、スピーカ、及び/又は他の適切な出力デバイスの一又は複数を含むことができる。出力ユニット120は、ユーザによって動作されたり又は操作されうる物理的な入力デバイスに対して物理的な力又は抵抗(例、摩擦のような抵抗)を与えたり、発生させたり又は生成しうる、力をフィードバックする成分をさらに含むことができる。出力ユニット120及び入力ユニット105は、システム100の他のコンポーネント又はユニットと通信してもよく、また、そのようなユニットが外部システムと通信することを可能にしてもよい。ユニット105、110、115、125及び135は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又はこれらの任意の適切な組合せであったり、これらを含んでいてもよい。
【0014】
図1には、外部の画像データレポジトリー145及びイメージングユニット146も示してある。外部画像レポジトリー145を、任意の適切な又は適用可能なデータベース、レポジトリー又はアーカイブとすることができる。例えば、外部の画像データレポジトリー145を、医療画像管理システム(PACS)のアーカイブ又はレポジトリーとすることができる。当技術分野において知られているように、PACSシステムは、医療画像の記憶、検索、分配及び提示のために専用のコンピューティング及び/又は他の装置を含むことができる。様々なフォーマット、例えば、デジタルイメージングアンドコミュニケーション(DICOM)、に従って、PACSシステムにおける画像を記憶することができる。通常、PACSシステムは、CT、MRI又は他の画像及び関連するデータのようなアーカイビングデータのためのアーカイビングシステムと、患者特有の情報又はプライベートな情報を電送するためのセキュアなネットワークと、そして場合によっては、アーカイビングシステムから画像又は他のデータを受けるコンピューティングデバイスと、を含んだり又はこれらに動作可能に接続される。本発明のいくつかの実施形態は、例えば、ネットワークに接続されたネットワークインターフェースカード(NIC)を介して、PACSシステムとの通信が可能になるように、PACSシステムと相互作用するように構成することができる。管理ユニット135は、例えば、ネットワークを介したり、そして場合によっては、所定のプロトコルに準拠すること及び/又は所定のプロトコルを実装することによって、外部データレポジトリー145とやりとりすることができる。この外部データレポジトリー145はPACSシステムであることができる。CT、MRI又は他の画像及び関連するデータを、PACS又は他のシステムからこのように取り出したり、受けたり又は獲得することができ、さらに、本書に記載のように用いたり、及び/又は、例えば、データレポジトリー140に、記憶されたりバッファリングすることができる。イメージングユニット146は、コンピュータ断層撮影(CT)、CT蛍光透視、蛍光透視、磁気共鳴画像(MRI)、超音波、陽電子射出断層撮影(PET)及びX線システム又は他の任意の適切な造影システムのような造影システムであることができる。図示するように、外部の画像データレポジトリー145によってイメージングユニット146から医療画像データ及び/又は関連するデータを受けることができる。外部レポジトリー145は、他の適用可能な供給元から医療画像データを受けることができる。これは、例えば、リモートのサイト又は病院からネットワークを介して、又はレポジトリー145に接続していてもよいリムーバブル記憶装置によってである。図示したように、システム100は、イメージングユニット146から画像データ及び/又は関連データを直接受けることができる。図示していないが、システム100は、適用可能な任意の供給元からイメージングデータ及び/又は他のデータを受けることができ、したがって、本発明のいくつかの実施形態は、医療イメージングデータ又は他のデータの供給元の種類、性質又は他の態様によっても、そのようなデータが伝達される方法及び/又は受けられる方法によっても制限されない。
【0015】
モデル生成ユニット110は、例えば、器官の脈管システム又は対象の体内の他の関心分野のような解剖学的構造の3次元解剖学的モデルである、デジタルモデル及びそのグラフィック表現を生成するためのコンポーネント又はモジュールを含むことができる。例えば、入力ユニット105を介してCTシステムから受けた医療画像である、造影システムから受けた情報に従って、モデルをモデル生成ユニット110によって生成してもよい。本発明のいくつかの実施形態が、解剖学的構造のデジタル画像ベースのモデルを生成する方法又はシステムに制限されないことを理解されるであろうし、そのようなモデルを生成するために本発明の範囲から外れることなく任意の方法又はシステムを用いることができる。シミュレーションユニット115は、画像ガイド処置のシミュレーションを生成するコンポーネントを含むことができる。例えば、シミュレーションユニット115を用いて、例えば、画像ガイド処置のための前手順として、ユーザがシミュレーションを行う場合、出力ユニット120の1つとすることができる、モニターに、例えば、モデル生成ユニット110によって作られる、デジタルモデルのグラフィック表現及びシミュレーションプロセスを表示することができる。(例えば、モデル生成ユニット110による)解剖学上の器官、系統、断面又は領域のデジタルモデル、及び(例えば、シミュレーションユニット115による)処置のシミュレーションのデジタルモデルの生成は、米国特許出願公報US2009/0177454に記載されているような方法、システム及び/又は他の態様に従うことができる。コントローラ131は、例えば、中央処理装置プロセッサ(CPU)である、任意の適切なコントローラ又はプロセシングユニットであることができる。メモリー130は、任意の適切なメモリーのコンポーネント、デバイス、チップ又はシステムであることができ、コントローラ131によって実行されてもよいアプリケーション又は他の実行可能コード、及び/又は、例えば、コントローラ131によって実行されるアプリケーション又はプログラムによって用いられうるデータである、データを記憶してもよい。例えば、モデル生成ユニット110及び/又はシミュレーションユニット115を実装する実行可能コード、アプリケーション又はモジュールを、メモリー130にロードし、コントローラ131によって実行してもよい。
【0016】
本書に記載されるようなシステム100は、例示的システムであることが理解されるであろう。本発明のいくつかの実施形態によれば、単一の演算デバイスにシステム100を実装してもよく、又は代わりに、2つ以上の異なる演算デバイスにおける分配された構成においてシステム100を実装してもよい。例えば、モデル生成ユニット110は、第1の演算デバイスにて動作して第1の管理ユニットによって管理されてもよく、これに対し、シミュレーションユニット115は、別の演算デバイスにて動作して、第1の管理ユニットと通信する第2の管理ユニットによって管理されてもよい。別の例示的実施形態では、管理ユニット135が、ある演算デバイスにて動作し、モデル生成ユニット110は、第2の演算デバイスにて動作してもよく、また、シミュレーションユニット115は第3の演算デバイスにて動作してもよい。
【0017】
提示ユニット125は、シミュレーション化処置及び関連する医療画像データのビデオ、オーディオ又は他の態様を、制御、調整又は管理することができる。例えば、提示ユニット125は、複数の供給元からデータ、パラメーター又は他の情報を受け、受けた又は獲得したデータをユーザに対する提示に取り入れてもよい。提示ユニット125は、単一の提示内にて、多くの供給元からの情報の提示を調整、同期、又はその他関連させることができる。例えば、提示ユニット125は、画像ガイドされたシミュレーション化処置の提示及び/又はパフォーマンスと、例えば、CT画像である、医療画像データの提示を調整したり又は同期することができる。代替的に又は付加的に、提示ユニットは、ユーザ選択に従って情報の提示を発生させることができる。例として、また、本書に記載したように、そのような選択に従って、ユーザからのビュー選択を受けてもよいし、また、医療画像データを提示することができる。管理ユニット135は、任意のモジュール、ユニット、アプリケーション又は他の適用可能なエンティティーとやりとりをすることができ、流れ、処置又は本書に記載されるような他の態様の協調、スケジューリング、アービトレーション、監督及び/又は管理を行うことができる。
【0018】
図2を参照する。図2は、本発明のいくつかの実施形態に従って画像ガイド処置をシミュレーションする方法を記載する例示的フローチャートを示す。この方法は、まもなく処置される特定の対象又は患者と関連がありうる患者固有の医療画像データを受けることを含むことができる(ボックス210)。CTスキャナーやMRIスキャナーのようなイメージング又は走査システムから直接受けたり、又は画像保存通信システム(PACS)のような外部の画像データレポジトリーから受けたりすることができる。当業者に理解されるように、他の適用可能な供給元から医療画像を受けてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、受けた医療データをローカルに、又はデータレポジトリー140のようなデータレポジトリー内に保存してもよい。いくつかの実施形態によれば、場合によっては受けたデータに基づいてデータを生成してもよい。例えば、300のCT画像で構成するセットに基づいて、600の拡張セットを生成してもよい。例えば、画像の初期セットを検査することによって、例えば、コントローラ131によって実行された実行可能コードである、本発明のいくつかの実施形態は、付加的に画像を生成ないし作り、そして画像の新しいセットを作ることができる。例えば、イメージングユニットの1cmの移動当たり1つの画像を取得することにより所与の画像セットが作られる場合、イメージングユニットの0.5cmの移動を反映するように画像を人工的に生成することにより新しいセットを作ることができる。例えば、オリジナルセット中の2つの連続画像に基づいて、例えば、2つの原画像間の変異を観察することによって、人工的に付加的な画像を生成することができる。このような人工的に生成された画像を、わかりやすかったり、関連する患者の人体又は他の態様を適切に表現したりすることができる画像の新しいセットを作るために、2つの原画像間に挿入することができる。このような画像の生成は、本書に記載されるように、本発明のいくつかの実施形態に対して、より良い解像度を提供し、医療データとシミュレーション化処置との相関を向上させることができる。本書記載のように受けたり又は拡張した、1セットの画像は、例えば、データレポジトリー140に、ローカルに記憶することができる。
【0020】
本書に記載されるように、例えば、造影システムによって取得されたり、造影システムから受けた、生の医療画像データを処理することができる。本書に記載されるようにビュー又は画像ベースのモデルを生成する前に、医療画像データの処理を行ってもよい。例えば、獲得したピクセル又は他の画像関連データに適用される補間によって、レンダリングするためのピクセルを作ってもよい。例えば、獲得したCTスライスの補間によって、CTスライスを人工的に生成してもよい。本発明のいくつかの実施形態によって医療画像データに適用することがある処理の別の例として、当分野において知られているウィンドウ変換がある。これは、例えば、本書記載のように造影システムから受けてもよく又は人工的に生成されてもよい、画像のコントラスト又は輝度のような態様を向上させたり、変更したり、又は修正するために行われる。
【0021】
ボックス215に示すように、本方法は、医療画像データに基づいて解剖学的構造のモデルを生成することを含むことができる。解剖学的構造の生成は、例えば、ボックス210に示すように受けたり及び/又は本書記載のように生成されたりするように、医療データの検査及び/又は処理に基づくことができる。イメージングデータが患者固有のものである場合、例えば、実際の特定の患者をイメージングないし走査することや特定患者の画像データに基づいて拡張することによって作られる場合、解剖学的モデルも患者固有とすることができる。すなわち、本書記載のように生成されたモデルが、特定の実際の患者を表したものであることができる。モデル生成は、米国特許出願公報US2009/0177454に記載されているような方法又は他の態様によるものであることができる。
【0022】
ボックス225に示すように、本方法は、(生成された解剖学的モデルに基づいてもよい)画像ガイド処置のシミュレーションを同時に行い、関連する医療画像データを提示することを含むことができる。例えば、シミュレーション化処置の進行中、本書記載のように、関連する医療画像データを表示してもよい。本書に記載されるようにモデルの生成に使用される医療画像データが患者固有のものである場合、本書記載のように生成されたモデルもまた、患者固有のものであってもよく、したがって、本書に記載されるような処置のシミュレーションは、患者固有のものであることができる。すなわち、実際の特定の患者に対して行なわれた実際の処置を反映したり、シミュレーションしたり、又はこれに関連する。本発明のいくつかの実施形態によれば、シミュレーション化処置は、ツールのシミュレーション化モデルのような付加的な情報とともにモニターに表示することができる、解剖学的モデルのグラフィック表現を含むことができる。いくつかの実施形態では、解剖学的な構造又は器官及びツールのグラフィック表現が、実際の解剖学的又は物理的な品質、特性、特徴、性質又は態様を表しうる。例えば、移動したり、曲がったり、収縮したり、圧力や薬品などに対して反応したり、出血する。画像ガイド処置のシミュレーションは、例えば、本書に記載されるようなモデルである、解剖学的な器官の画像又はグラフィック表現を含むことができる。これは、回転されたり、又は位置を決められたり、又は実際の解剖学的システムを模倣するために作られていてもよい。例えば、時間とともに変化したり進展したり、医療ツールないし物の操作や、やりとりに応じて形状を変えたり、出血したり、又は実際の解剖学的な器官のふるまい及び関連するツール、薬品又は他の態様を提示ないし表示する。例えば、カテーテル、ステント又は他のツール、デバイス又は要素をすべて示し、さらにシミュレーションしてもよい。したがって、医者は、実際の手術の前手順として(例えば、手術の練習又は手術のシミュレーション)、計画手順の一部として、トレーニングセッションとして、又は処置の後の手順として、画像ガイド処置(ボックス225に示すように)のコンピュータ化シミュレーションを行ってもよい。
【0023】
ボックス225に示すように、本フローは、関連する医療画像データを提示することを含むことができる。本発明のいくつかの実施形態によれば、関連する医療画像データの提示を、画像ガイド処置の関連するシミュレーションの実行と同時にないし同時発生的に行ってもよい。いくつかの実施形態では、医療画像データの提示は、シミュレーション化処置の進行、状態、モード、脈絡又は任意の適切な態様と同期させたり又は調整してもよい。例えば、医療画像データが特定の患者に関連し、そして、本書に記載されたモデル及びシミュレーションもまた患者固有のものである場合、例えば、造影システムによって特定の患者から得られた医療画像データである、患者固有の医療画像データを、例えば、シミュレーション化処置が進行中に、シミュレーション化処置と一緒に提示することができる。例えば、医療画像データ及びシミュレーション化処置を同時に提示するために1つのディスプレーを使用してもよい。例えば、図3に示すようにである。
【0024】
図3も参照する。図3は、本発明のいくつかの実施形態に従う、シミュレーション化医療処置及び例示的CT画像データの統合提示に関連する例示的スクリーンショット300を示す。CTデータは通常、大量の画像として生成され保存される。これは、走査されたエリアの3次元のボックス又はボリュームを全体として形成するスライスと呼ぶことがある。このボリュームを、ボリュームレンダリングテクニックを使用して全体としてレンダリングしてもよいし、あるいは本書にてCTスライスとも呼ぶ、2次元のスライスをサンプリングし表示してもよい。簡明にするために、当技術分野において知られているように、CT画像又はCTスライスという用語を本書において使用する。しかし、例えば、MRI、X線、超音波又は任意の適切なイメージングデータ又は他のデータである、任意の医療画像データもまた同様に使用でき、したがって、本発明のいくつかの実施形態は、医療データの種類、供給元又は性質によって制限されないことが理解できるであろう。
【0025】
図3に示すように、ディスプレーを多くの領域、例えば、3つの領域310、320及び330に、分割してもよい。第1の領域310は、シミュレーション化処置に関連していてもよく、したがって、解剖学的構造の患者固有のデジタル画像ベースのモデルを提示することができる。この例示的ディスプレーでは、画像ベースのモデルは、脈管を表す。領域310は、シミュレーション化処置の間にユーザによって操作された物理的な介在医療ツールを表す、シミュレーションされた又は仮想の医療ツールのモデルをさらに表示することができる。例えば、カテーテル312を血管311に関連させて示してもよい。一シミュレーション化処置は、例えば、医者によって講じられた処置によって発生する、カテーテルの移動、さらに、解剖学上の器官及びツールの反応又は他の行動あるいは他の態様を示すことを伴ってもよい。例えば、シミュレーションが進行するに従い、血管311内を移動するようにカテーテル312を示すことができ、実際の生きている器官によって通常見られたり示される現象に対して、移動したり、曲げたり、又は反応したり、示したりするように、血管311を示してもよい。
【0026】
図3の330に示すように、第2の領域又はエリアは、関連する医療画像データのために専用としたり、関連するようにできる。例えば、332に示すように、CTスライス画像を示してもよい。本書記載のように、医療画像データの提示に関して、様々な情報、提示モード及び他の特徴を可能にすることができる。例えば、シミュレーション領域310に示した様々な要素のそれぞれを、医療画像データ領域330に、示したり、マーキングしたり、強調したり、参照したり、又は表示させたりすることができる。このようなビューの相関は、当業者が高く評価するであろう。例えば、331に示すように、シミュレーション領域310において示されうるシミュレーション化ツール又はシミュレーション化ツールの一部の場所を、医療画像データに対して、マーキングしたり、強調したり、示したり、参照したり、又は表示してもよい。例えば、331に示した「+」指示によって、領域330に示したCTスライス画像332に対して、カテーテル312の先端の場所を表すことができる。したがって、医者は、シミュレーション領域310及び医療画像データ領域330の両方を観察することによって、カテーテルの先端の場所を確認したり判断することができ、あるいは自身の向きを変えることができる。
【0027】
他のいくつかの実施形態では、医療画像データに対して、他の態様、詳細、パラメーター又は関連情報を表示したり、示したり、強調したり、あるいは参照することができる。例えば、医療画像データにおいて特定の血管を所定の色によって示したり強調してもよく、医療画像データにおける血管の場所をユーザが容易に判断することが可能になる。このような血管をモデルにおいても同様に示すことができ、画像ベースのモデルによって提供されるビューと、医療画像データによって提供されるビューとをユーザがお互い関連づけることを可能にする。例えば、モデルによって示されうる特定の組織、特定の器官又は特定の領域を、医療画像データにおいて、強調したり、示したり、参照したり、あるいは表示したり又は医療画像データを参照して表示することができる。
【0028】
医者他の医療関係者がCT画像のような画像を観察することによって情報を検討することに慣れていることがあるので、本書に記載されるようなシミュレーション化処置と、CT、MRI、X線又は他の物療装置とを統合化することが、明白な有益性を有し、当業者によって高く評価されるであろう。
【0029】
本書に記載されるような提示又は関連する医療画像データと、シミュレーション化モデル及び/又は処置との相関、同期、協調及び/又は統合は、適用可能な任意の設計又は構成によって実装及び/又は実行することができる。例えば、図1に示すように、提示ユニット125は、シミュレーションの状態、脈絡、進行又は他の態様に関連する任意の関連情報又はパラメーターを得るために、シミュレーションユニット115とやりとりをすることができる。提示ユニット125はさらに、医療画像データを得るためにデータレポジトリー140(又は他の任意の適用可能なデータレポジトリー)とやりとりをすることができる。したがって、シミュレーションに関連するいずれの関連情報及び医療画像データを所有するので、提示ユニット125は、医療画像データの提示をシミュレーション化処置と調整したり、同期させたり、あるいは関連づける。例えば、シミュレーション化処置に用いられるシミュレーション化モデルが医療画像データに基づいて生成されるにつれて、シミュレーション化モデルは、関連する医療画像データへの参照を含むことができる。当技術分野において知られているように、多くのオブジェクト、構造又は要素に関連する相互参照を、互いに要素を関連づけるために使用してもよい。例えば、シミュレーション化モデルの特定領域又はボリュームが、特定のCTフレーム又はスライスに基づくことができる。したがって、シミュレーション化モデルにおける要素及び画像医療データの要素に関連する相互参照が、シミュレーション化モデル及び/又は処置の提示を関連する医療データ適切な医療データと、相関させたり、調整したり、同期させたり、あるいは関連させるために、維持したり用いることができる。例えば、提示ユニット125は、シミュレーションユニット115又はモデル生成ユニット110から医療画像データ要素(例えば、特定のCT画像)への参照を受けたり獲得することができ、そのような参照を、データレポジトリー140から適切なCT画像を検索するために使用してもよいし、そのようなCT画像を332に示すようにさらに表示してもよい。
【0030】
313に示すように、医療画像データ要素(例えば、CTスライス画像)をシミュレーション化モデルの提示の上に(又は提示とともに)スーパーインポーズしたり又はオーバーレイしてもよく、あるいはシミュレーション化モデルを医療画像データにスーパーインポーズしたり又は組み合わせてもよい。CTスライス画像のような医療画像データ要素と、本書に記載されるようなシミュレーション化モデルとの統合提示を組み合わせるいずれの提示も生成することができる。例えば、313に示すように、シミュレーション領域310にCT画像スライスを表示してもよい。図示するようにシミュレーション領域に提示された医療画像データ要素を、専用の医療画像データ領域に表示される要素と同一とすることができる。例えば、332に示したCTスライス画像を、313に示したCTスライス画像と同一とすることができる。このような表示モードによって付加的な向きの態様ないしツールを提供することにより、処置中の医者をさらに支援することができる。このことは当業者であれば容易に理解できるであろう。図示するように、特定のビュー角度又は他のビュー属性ないし態様に従って、医療画像データ要素をシミュレーション領域において位置決めしたり又は配向することができる。例えば、313と332に示すように、当技術分野で知られているような軸方向のスライスビューを提示することができる。本発明のいくつかの実施形態によって他のビューも可能とすることができる。例えば、領域320に関して本書に記載されるように、ユーザ選択をベースに又はユーザ選択に従って行う。例えば、図示のように、シミュレーション化モデルとともに示される医療画像データは、示された情報をユーザがより良好に解釈することを可能にすることができる。例えば、医療画像に関連する角度、解剖学上の部分やツールの場所などをユーザが速く容易に判断することを可能にする。
【0031】
320に示すように、第3の領域は、本書に記載されるようにシミュレーション化処置の種々な態様や医療データの表示をユーザが制御することを可能にすることができる、例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)オブジェクトである、ユーザインターフェース要素を含むことができる。例えば、領域330に提示された医療画像データのビューを選択することができる。例えば、図示のように、軸方向ビュー(例えば、領域330のCTスライス332に示すように)、矢状方向ビュー、冠状方向ビュー、Cアームビュー又は脈管選択ビューを選択することができる。図3に示すような例示的ビュー選択又はモードは、本発明の実施形態を制限するものとして解釈されるべきではない。本発明のいくつかの実施形態に従って、他の任意の適用可能なビュー選択、モード又は角度も可能である。同様に、図3に示すようなグラフィック要素及び/又は領域の例示的な分布は、例として提示しただけであり、別の実施形態においては異なっていてもよい。例えば、本書に記載されるような情報、又は他の任意の領域やグラフィック要素の構成を表示するために、いくつかのモニターないしディスプレー画面を使用してもよい。
【0032】
図2に戻り、ボックス230に示すように、本フローは、医療画像データの提示を画像ガイド処置のシミュレーションと調整することを含むことができる。本発明のいくつかの実施形態によれば、様々な提示モードを選択することができる。例えば、医療データ画像群の提示を、シミュレーション化処置に関連する様々な制約、条件、事象又は他の態様に従って、自動的に行うことができる。本発明のいくつかの実施形態において、例えば、関連するシミュレーション化処置の進行、状態及び/又は脈絡に基づいて、医療画像データを自動的に選択したり、提示したり、弛緩したり、又は操作することができる。例えば、領域320に示すように、ツール又はツールの一部の場所に従って医療画像データを提示するモードをユーザが選択することが、チェックボックスによって可能にすることができる。例えば、領域320に示した「先端を追跡」チェックボックスのチェックを付けることによって、本発明のいくつかの実施形態において、例えば、カテーテル312の先端である、シミュレーション化カテーテルの先端の場所に基づいて、医療画像データの提示を更新することができる。例えば、領域310に示した血管311に対するカテーテル312の先端の場所に基づいて、CTスライスを選択して提示することができる。したがって、医療画像データの提示を、シミュレーション化処置の進行に従って行うことができる。
【0033】
代替的に又は付加的に、シミュレーション化モデルにおける場所又は領域の選択に基づいて医療画像データを提示してもよい。例えば、シミュレーション化モデルの特定の場所又は要素上でのマウスのクリックである、選択を検出する際、例えば、専用の領域又はエリアに、関連する医療画像データを表示することができる。このように、シミュレーション化モデルに関するCT、MRI、X線又は他の物療装置のデータを医者に提示することができる。このような提示をシミュレーション化処置の進行中又はオフラインモードで行うことができる。例えば、医者は、シミュレーション化処置を停止したり、中止したり、終了したりすることができ、シミュレーション化モデル(静的ないし冷凍でありうる)を調べることができ、さらに、例えば、モデルの関心事の場所をクリックすることによって、モデルの特定の場所に関連するCT又はMRI画像(本書に記載されるように特定の患者から取得した本物の実画像でありうる)を選択することができる。シミュレーション化モデル上の場所の選択に基づいて医療画像データを提示することは、本書に記載されるような相互参照を用いることによって実現することができる。
【0034】
ボックス235に示すように、本フローは、ビュー選択を受けることを含むことができる。例えば、ユーザは、図3の領域320で示されるビュー選択のうちの1つを選択することができる。ボックス240に示すように、本フローは、シミュレーション化処置が進行中、受けたビュー選択に従って関連する医療画像データを提示することを含むことができる。例えば、当技術分野において知られている3つの直交方向ビュー、軸方向(図3に示すように)、冠状方向及び矢状方向、の1つを選択することができる。例えば、ユーザは、領域320に示した適切なボタンを押すことにより矢状方向ビューを選択して、図4に示すような矢状方向ビューに従ってシミュレーション及び医療画像データの提示を受けることができる。
【0035】
図4をさらに参照する。図4は、本発明のいくつかの実施形態に従うシミュレーション化処置と医療画像データとの統合提示に関連する例示的スクリーンショット400を示す。図4の領域410及び430に示すように、当技術分野において知られているような矢状方向ビューを、例えば、そのビューの選択の際に、本書に記載されるように提供することができる。当技術分野で知られているように、より良好に解剖学的要素の態様を判断するため、又はより良好又は適切なビューを可能にするために、矢状方向ビュー又は他のビューを選択することができる。例えば、医者が興味を持ちうるエリアを他のビューが完全には見せたり、開示したり、露出しない場合である。したがって、適用可能な場合、本発明のいくつかの実施形態を実装するシステムの医者又はユーザは、矢状方向ビューを選択することができ、図4に示すような提示を受けることができる。本書に記載した関連する任意の実施形態、特徴又は態様を、例えば、図4、5、6、7及び8に示したような、本書に記載した任意のビューに適用することができる。これは、例えば、シミュレーション化処置との医療画像データの統合化、CT又は他の画像スライスの自動の選択、置換又は提示、シミュレーションの進行に従った医療画像データの自動提示、シミュレーション化モデルに医療画像データをスーパーインポーズすることである。例えば、431に示すように、医療画像データに対するツールの場所を表示してもよい。これは、例えば、図3の331に表示されている情報と同様である。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、本書に記載された直交方向ビューに加えて、非直交方向ビューが可能とし及び/又は提示することができる。図5をさらに参照する。図5は、本発明の実施形態に従うシミュレーション化処置及び医療画像データの統合提示に関連する例示的スクリーンショット500を示す。図5に示すように、脈管断面ビューを、例えば、本書に記載されるようにそのビューをユーザが選択した際に、提供することができる。本発明のいくつかの実施形態によれば、例えば、特定の脈管に「ズームイン」するために、脈管断面ビューをユーザが選択することができる。いくつかの実施形態では、513に示すような非直交の(「斜位の」)断面に沿って関連するCTスライスを表示してもよい。図示するように、関心事の脈管に垂直な平面に従って配置されたCTスライスを領域530に表示することができ、513に示すように領域510にさらに表示することができる。通常、このようなCTスライスを、領域530の中心に円として関心事の脈管を表示するように配置することができる。本書に記載されるようなシミュレーションと組み合わさった脈管断面ビューの有益性を当業者であれば容易に理解できるであろう。このような統合ビューによって、例えば、血管内をガイドされたカテーテルの位置である、器官内のツールの位置を、医者が容易に調べることができる。例えば、このようなビューは、血管内の障害によって妨害されている可能性があるカテーテルを誘導する医者を補助する点において非常に望ましいことが証明されるであろう。
【0037】
いずれの関心事の要素も、領域630、530、430及び/又は330にて所定の場所に自動的に配置することができる。例えば、シミュレーション化モデル又はシミュレーションに関連する医療ツールを、例えば、領域330の中央である、所定の場所にて示すように、例えば、CTである、医療画像データを示すことができる。代替的に又は付加的に、所定の場所に選択された解剖学上の器官を表示してもよい。例えば、CTスライス画像を領域330、430、530又は630に配置して、これらの領域の中心に、選択された血管を示すようにしてもよい。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態に従って選択され提供されてもよい別の可能性のあるビューは、Cアームビューである。X線カメラの位置を決めるために通常用いられるアームが「C」文字の形状なので、X線カメラに利用可能なビューを呼ぶためにはCアームビューという名称が適切であろう。本発明のいくつかの実施形態によれば、このようなビューの選択に際して、X線カメラの視点をユーザに提供することができる。すなわち、このような位置に配置された、関連するX線カメラ又は別のイメージングデバイスの位置から見られるような解剖学的領域のビューをユーザに提供することができる。このようなビューは、X線の出力又は画像の検討に慣れている医者には高く評価されるだろう。図6をさらに参照する。図6は、本発明のいくつかの実施形態に従うシミュレーション化処置及び医療画像データの統合提示に関連する例示的スクリーンショット600を示す。611に示すように、イメージングデバイス(通常はX線カメラであることができるような)の位置を示し、これによって、画像取得時に表示された情報をイメージングデバイスの位置に医者が関連づけることを可能にしている。本書記載のように、図6の領域630には、領域330、430及び530と同様に、シミュレーション化X線画像を提示することができる。図6の領域610には、シミュレーション化モデルを提示することができる。例えば、領域310、410及び510と同様である。本書記載のように、ユーザがシミュレーション化モデルに対する医療画像データの関係を容易に把握できるように、図6の領域610に示した医療画像データを図6の中の領域610のシミュレーション化モデルの上にスーパーインポーズすることができる。
【0039】
図7をさらに参照する。図7は、本発明のいくつかの実施形態に従う例示的レンダリングモード700を示す。本発明のいくつかの実施形態に従って、図7に示すように、(3次元の解剖学的モデル上の)軸方向、矢状方向及び冠状方向のスライスが組み合わさったレンダリングを行い表示することができる。これは、例えば、図3〜6に示した領域330における2Dスライスを提示することの代わりに又はこれに加えて、図7に示すような単一のモデルに対して任意の数の異なるスライスをともに表示することができる。このようなビューは様々な場合において望ましい。例えば、ボリュームビューが必要な場合ないし有用な場合に望ましい。このような組み合わさったスライスビューを、例えば、本書に記載されるようなCTスライス画像である、2Dビューの代わりに又はこれに加えて、領域330、430、530及び/又は630の1つにおいて表示することができる。図8には、提示されうるさらに別のビューを示す。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によれば、医療画像データの3次元のビューを作るために医療画像データのボリュームレンダリングを使用することができる。本書に記載されたビュー選択によって、様々なレンダリングモードが可能になったり及び/又は様々なレンダリングモードを組み合わせることができる。例えば、ユーザの選択の際に、組み合わさったスライス群のレンダリング又はボリュームレンダリングを行うことができ、本書に記載されたもののような選択されたビューとともにさらに実装することができる。
【0041】
図8をさらに参照する。図8は、本発明のいくつかの実施形態に従う例示的レンダリングモード800を示す。図8に示すように、ボリュームレンダリングを介して又は使用して、医療画像データを提示することができる。ボリュームレンダリングを使用して、例えば、図3〜6の領域330にて、画像又は他のグラフィック情報を表示することができ、解剖のオブジェクト又は器官のボリューム又は深さについての特徴を評価又は検査する必要がある場合に有用でありうる。図8に示すようなボリュームレンダリングされた画像は通常、透過度のパラメーター及び/又は設定に関連づけられ、その透過度を制御して、例えば、包んだり又は隠す部分又は領域によって、本来は隠れてしまう部分又は断面を見ることを可能にすることができる。したがって、透過性を可変とすることができる。図2に戻る。箱245に示すように、本フローは、関連情報を記憶することを含むことができる。例えば、ツールの任意のビュー選択又は移動を含む、シミュレーション化処置を記録して、このような記録を、例えば、トレーニングセッションにて、記憶したり、後で使用することができる。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態は、プロセッサ又はコントローラによって実行されると本書に記載された方法を実行する、例えば、コンピュータが実行可能な命令である、命令がエンコードされていたり、含んでいたり又は記憶する、メモリー、ディスクドライブ又はUSBフラッシュメモリのような、コンピュータ又はプロセッサが読取り可能な媒体又はコンピュータ又はプロセッサの記憶媒体を含むことができる。
【0043】
本発明の実施形態がこの点で制限されるものではないが、本書にて使用されている「複数」という用語は、例えば、「多数」又は「2又はそれより多い」を包含しうる。この「複数」という用語は、2又はそれより多いコンポーネント、デバイス、要素、ユニット、パラメーターなどを記載するために本明細書を通して使用されているだろう。
【0044】
明示的に記載しないかぎり、本書に記載された方法に従ういくつかの実施形態は、特別の順序又はシーケンスに制約されない。また、記載された方法のいくつかの実施形態又はその要素については、同じ時点又は重複する時間にて発生したり又は実行することができる。当分野で知られているように、関数、タスク、サブタスク又はプログラムのような実行可能なコードセグメントの実行を、関数、プログラム又は他のコンポーネントの実行と呼んでいることがある。
【0045】
本発明の実施形態を制限するものではないが、例えば、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「判断」、「確立」、「解析」、「確認」等の用語を用いる議論は、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム又は他の電子的コンピューティングデバイスの動作及び/又はプロセスを指しうる。これらは、コンピュータのレジスター及び/又はメモリー内の物理的な(例えば、電子的)量として表されるデータを、コンピュータのレジスター及び/又はメモリーあるいは操作及び/又は処理を実行する命令を記憶することができる他の情報記憶媒体内において物理的な量として同様に表される他のデータへと操作及び/又は変換する。
【0046】
本発明の特定の特徴を本書に示し記載したが、当業者であれば、多くの修正、置換、変更及び等価物を思い浮かぶことができるだろう。したがって、添付した請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲内の修正及び変更をすべてカバーするように意図しているということを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8