(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6082004
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】髪洗浄キット
(51)【国際特許分類】
A61K 8/41 20060101AFI20170206BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20170206BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20170206BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20170206BHJP
A61K 8/85 20060101ALI20170206BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20170206BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
A61K8/41
A61Q5/02
A61K8/02
A61K8/73
A61K8/85
A61K8/86
A61K8/46
【請求項の数】12
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-525369(P2014-525369)
(86)(22)【出願日】2012年7月17日
(65)【公表番号】特表2014-521732(P2014-521732A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】EP2012064031
(87)【国際公開番号】WO2013026630
(87)【国際公開日】20130228
【審査請求日】2015年5月15日
(31)【優先権主張番号】11178055.7
(32)【優先日】2011年8月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590003065
【氏名又は名称】ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】230105223
【弁護士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】エイブリー,アンドリユー,リチヤード
(72)【発明者】
【氏名】コーシユデル,エザツト
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,グリン
(72)【発明者】
【氏名】ペトコフ,ヨルダン・トドロフ
【審査官】
小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−255680(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/056625(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
髪を洗うためのキットであって、
a)微粒子材料を含むドライシャンプーと、
b)非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤を含む別個のシートとを含むキット。
【請求項2】
前記シートが髪を分けない、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記シートが可撓性である、請求項1または2のいずれかに記載のキット。
【請求項4】
前記シートが、吸着性であり、吸収性であり、またはこれらを混合した性質である、請求項1から3のいずれかに記載のキット。
【請求項5】
前記シートが不織材料を含む、請求項1から4のいずれかに記載のキット。
【請求項6】
前記シートがセルロース繊維を含む、請求項1から5のいずれかに記載のキット。
【請求項7】
前記シートがさらにポリエステル繊維を含む、請求項6に記載のキット。
【請求項8】
前記微粒子材料が、油質を吸収/吸着することができる、請求項1から7のいずれかに記載のキット。
【請求項9】
前記微粒子材料が改質デンプンである、請求項1から8のいずれかに記載のキット。
【請求項10】
前記微粒子材料が、アルミニウムオクテニルスクシネートデンプンである、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
シャンプーの組成物が、総組成物の少なくとも50wt%のエアロゾル噴射剤を含むエアロゾルの形態である、請求項1から10のいずれかに記載のキット。
【請求項12】
髪を洗浄する方法であって、
a)髪にドライシャンプーを適用する工程であって、このドライシャンプーの組成物が微粒子材料を含む工程と、その後に
b)髪を、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤を含む非仕切りシートで拭く工程と
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪を洗浄するキットおよびこのキットの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
髪およびその他の柔軟な表面は、従来から、液体ベースのシャンプーで洗浄されている。液体ベースのシャンプーの代替物が、洗浄するのに水を使用しないドライシャンプーである。しかしながら、髪用のドライシャンプーは、髪を洗浄するのに非効率的であること、そして髪に所望の官能的特性を残さないことが主な原因で、消費者にとりたてて人気があるわけではない。
【0003】
髪は通常、ドライシャンプーを用いて、髪にドライシャンプーを適用し、その後除去することによって、洗浄される。しかしながら、ドライシャンプーを除去すると、髪に「ふわふわの」外観が残ることがある。
【0004】
本発明は、水を使用することなく、そして髪に「ふわふわの」外観を持たせることなく髪を洗浄する方法およびキットを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、髪を洗うためのキットを提供し、
a)微粒子材料を含むドライシャンプーと、
b)非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤を含む別個の基質と
を含む。
【0006】
本発明はさらに、髪を洗浄する方法に関し、
a)髪にドライシャンプーを適用する工程であって、前記ドライシャンプーの組成物が微粒子材料を含む工程と、
b)髪を、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤を含む基質で拭く工程と
を含む。
【0007】
第3の態様において、本発明は、髪のふわふわの外観を軽減するための、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤を含む基質の使用に関する。
【0008】
本発明の文脈において、吸収/吸着粉末材料が、油質および脂肪質、特に皮脂に見られるものを吸収/吸着することができる材料として、規定される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】例Aならびに1、2および3により処理した洗浄手順後のスイッチを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、髪を洗浄するキットおよび方法に関する。
【0011】
ドライシャンプーは、水の使用を必要とせずに、表面の洗浄を達成する洗浄製品である。本発明のドライシャンプーは、微粒子材料を含み、微粒子材料は好ましくは、油質を吸着および/または吸収することができる。
【0012】
このような微粒子材料は、デンプン、改質デンプン、タルク、シリコーンエラストマおよびこれらの混合物からなる群から選択されてよい。好ましくは、吸収粉末材料は、デンプン(例えばコーンデンプン)または改質デンプン材料である。最も好ましいのは、アルミニウムオクテニルスクシネートデンプンおよび/またはコメデンプンである。
【0013】
吸収粉末ベースの濃度は、総組成物の少なくとも3wt%、より好ましくは少なくとも5wt%である。シャンプー組成物は、粉末状組成物である場合、好ましくは総組成物の少なくとも50wt%の吸着粉末材料を含む。
【0014】
ドライシャンプーは好ましくは、非水性ベースの洗浄組成物である。
【0015】
好ましいフォーマットは粉末状組成物またはスプレーであり、特に有利なのはエアロゾルスプレーである。
【0016】
本発明のドライシャンプーが水性ベースの製品でない場合、総組成物の好ましくは2wt%未満の水、より好ましくは1wt%未満の水、最も好ましくは0.5wt%未満の水を含むのが有利である。
【0017】
組成物がエアロゾルの形態で用いられる場合、組成物は基質から、好ましくは髪から、好ましくは20から40cm離れて適用され、短時間作用した後に除去されてよい。
【0018】
粉末として用いられる場合、粉末状組成物は基質の上へ、特に髪の上へ振り落とされ、短時間作用した後に、梳きまたはブラッシングによって除去されてよい。
【0019】
本発明のスプレーは、スプレーとして材料を送達するために、任意の従来の噴射剤を利用してよい。適切な噴射剤の例として、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、プロパン、n−ブタンまたはイソブタン等の材料が挙げられる。炭化水素ベースの噴射剤が好ましい。
【0020】
噴射剤の濃度は、所望される通りに調整されてよいが、通常、総組成物重量に基づいて約20重量%から約90重量%、好ましくは総組成物重量の50から80重量%である。
【0021】
適切なスプレーコンテナが当該技術において周知であり、従来の非エアロゾルポンプスプレー、すなわち「アトマイザ」、先に述べた噴射剤を有するエアロゾルコンテナまたは缶、および噴射剤として圧縮空気を利用するポンプエアロゾルコンテナが挙げられる。
【0022】
組成物はさらに、シリカ等の凝結防止剤を含んでよい。
【0023】
組成物は、より低級な(C1からC5)鎖アルコール、好ましくはエタノールを含有してよい。低級鎖アルコールの濃度は、総組成物の1wt%から10wt%の濃度で存在することが好ましく、より好ましくは3から8wt%である。これらの濃度は、エアロゾルベースの製品において特に有利である。
【0024】
好ましくは、ドライシャンプーは、総組成物の2wt%未満、より好ましくは0.5wt%未満、最も好ましくは0.1wt%未満の界面活性剤を含む。
【0025】
本発明に従うドライシャンプーは、当然、髪美容調製物における従来の添加剤(香水、シリコーンおよび緩和剤等)を含んでもよい。
【0026】
本発明のキットは基質を含み、好ましくは基質は髪を分けない、すなわち基質は櫛でもブラシでもない。好ましくは、基質はシート、より好ましくは可撓性シートである。
【0027】
好ましくは、基質は水不溶性である。「水不溶性」によって意味されるのは、基質が水(20℃)に溶解しないこと、または水(20℃)へ浸漬して直ぐに容易に分裂しないということである。水不溶性基質は、髪からの、ドライシャンプーおよび皮脂の除去用インプリメントまたはビークルである。
【0028】
多種多様な材料が基質として用いられてよい。好ましい実施形態として、経済的であり、かつ種々の材料が容易に入手可能であることから、不織の基質が用いられる。不織によって意味されるのは、層が、織物に織られる繊維ではなく、シート、マットまたはパッド層に形成される繊維から構成されるということである。
【0029】
繊維は、ランダム(すなわち、ランダムに整列される)であってもよいし、梳毛(すなわち、主に一方向に向きが定められるように梳かれる)されてもよい。さらに、不織の基質は、ランダムでありかつ梳毛された繊維の層の組合せから構成されてよい。
【0030】
不織の基質は、天然および合成の種々の材料から構成されてよい。天然によって意味されるのは、材料が植物、動物、昆虫、または植物、動物および昆虫の副産物に由来するということである。合成によって意味されるのは、材料が、主に種々の人工材料から、またはさらに改変された天然材料から得られるということである。従来ベースの出発材料は、通常、一般的な合成の、もしくは天然のテキスタイル長繊維のいずれか、またはこれらの混合物を含む繊維状ウェブである。
【0031】
セルロース繊維が好ましい天然繊維である。セルロース繊維の非限定的な例として、木材パルプ繊維、ワタ繊維、アサ繊維、ジュート繊維、アマ繊維およびこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。木材パルプ繊維が好ましいが、全ワタ繊維(例えばワタパッド)は通常使用されない。
【0032】
ポリエステルが好ましい合成繊維である。特に好ましいのは、合成繊維および天然繊維の混合物である。最も好ましいのは、ポリエステル繊維およびセルロース繊維の混合物である。
【0033】
基質は、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、または両性/双性イオン性界面活性剤から選択される界面活性剤を含む。陰イオン性界面活性剤が特に好ましい。
【0034】
好ましい陰イオン性界面活性剤として、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルカリルスルホネート、アルカノイルイセチオネート、アルキルスクシネート、アルキルスルホスクシネート、N−アルキルサルコシネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、およびアルファ−オレフィンスルホネート、特にこれらのナトリウム、マグネシウム、アンモニウムならびにモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン塩がある。アルキル基およびアシル基は通常、8つから18の炭素原子を含有し、不飽和であってもよい。アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボキシレートは、1分子につき1つから10のエチレンオキシドユニットまたはプロピレンオキシドユニットを含有してもよい。
【0035】
より好ましい陰イオン性界面活性剤として、ナトリウムオレイルスルホスクシネート、アンモニウムラウリルスルホスクシネート、アンモニウムラウリルサルフェート、ナトリウムココイルイセチオネート、ナトリウムラウリルイセチオネートおよびナトリウムN−ラウリルサルコシネートがある。最も好ましい陰イオン性界面活性剤として、ナトリウムラウリルサルフェート、ナトリウムラウリルエーテルサルフェート(n)EO(nは1から3に及ぶ)、アンモニウムラウリルサルフェートおよびアンモニウムラウリルエーテルサルフェート(n)EO(nは1から3に及ぶ)がある。
【0036】
好ましい両性および双性イオン性界面活性剤として、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホグリシネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アシルタウレートおよびアシルグルタメート(アルキル基およびアシル基は、8つから19の炭素原子を有する)が挙げられる。より好ましい両性および双性イオン性界面活性剤として、ラウリルアミンオキサイド、ココジメチルスルホプロピルベタインがあり、最も好ましくはラウリルベタイン、コカミドプロピルベタインおよびナトリウムコカンフォプロピオネートがある。
【0037】
界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であってもよい。好ましい非イオン性界面活性剤として、脂肪族(C
8−C
18)一次もしくは二次直鎖または分枝鎖アルコール、あるいはフェノール(アルキレンオキシド、通常エチレンオキシドを有し、かつ6から30のエチレンオキシド基を通常有する)の縮合産物がある。
【0038】
基質上の界面活性剤の総量は、ワイプの総重量の好ましくは0.1wt%から5wt%、より好ましくは0.2wt%から2wt%である。
【0039】
好ましくは、界面活性剤は溶液としてワイプに適用され、より好ましくは、溶液は、0.1wt%から5wt%の界面活性剤、より好ましくは0.2wt%から3wt%の界面活性剤を含む。
【0040】
溶液が水性ベースの溶液であるならば、非常に好ましい。
【0041】
ワイプは、好ましくはワイプ材料の界面活性剤溶液に対する重量比が3:1から1:3であり、より好ましくはワイプ材料の界面活性剤溶液に対する重量比が1:2から2:1である。
【0042】
本発明は次に、以下の非限定的な実施例によって説明される。
【0043】
比較例が文字によって説明され、本発明の実施例は数字によって説明される。
【実施例】
【0044】
1)およそ150mgのヒトモデル皮脂を、4つの2.5g、6インチ長の髪スイッチにそれぞれ揉みこんだ。分配はスイッチの全体で均一にし、全て油状に見えた。モデル皮脂の組成を表1に挙げる。
【表1】
【0045】
2)洗浄:
各スイッチに、表2のドライシャンプーを2秒間スプレーして、髪1グラムにつきおよそ20mgの製品を付着させた。21.6cm×21.6cm(8.5インチ×8.5インチ)の、ポリエステル/セルロースのwt比が45:55の、場合によって界面活性剤を含む不織ワイプ(表3)を、各スイッチに沿って10回擦り付けた。髪に櫛を一度通過させて、髪を一列に並べた。スプレーし、拭き、そして梳くというこのプロセスはその後、もう1度繰り返した。工程1にて適用したモデル皮脂のローディングが高かったためである。
【表2】
【表3】
【0046】
本発明の実施例で処理したスイッチが、比較例のものよりもふわふわでないように見えることがわかる。