特許第6082012号(P6082012)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6082012
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】耐地雷座席装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/15 20060101AFI20170206BHJP
   B60N 2/44 20060101ALI20170206BHJP
   B60N 2/38 20060101ALI20170206BHJP
   B62D 21/00 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   B62D21/15 Z
   B60N2/44
   B60N2/38
   B62D21/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-531178(P2014-531178)
(86)(22)【出願日】2012年9月13日
(65)【公表番号】特表2014-527935(P2014-527935A)
(43)【公表日】2014年10月23日
(86)【国際出願番号】EP2012068013
(87)【国際公開番号】WO2013041447
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2015年7月7日
(31)【優先権主張番号】202011105911.5
(32)【優先日】2011年9月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514073385
【氏名又は名称】ラインメタル マン ミリタリー ビークルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス バイバー
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0264082(US,A1)
【文献】 カナダ国特許出願公開第02504928(CA,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0025570(US,A1)
【文献】 特表2013−533148(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0084897(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02306139(EP,A2)
【文献】 独国特許出願公開第102008028872(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 21/15
B60N 2/38
B60N 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐地雷座席装置であって、座席(11)を収容するための座席支持用フレーム(2)を有し、座席支持用フレーム(2)は車両の屋根(4)に締結可能とされているものにおいて、
前記車両の屋根(4)に連結されている少なくとも1本のガイドチューブ(1)であって、内部に前記座席支持用フレーム(2)が軸方向に変位可能な形で取り付けられているガイドチューブ(1)と
前記車両の屋根(4)と前記座席支持用フレーム(2)の上部を連結している少なくとも1つの保持用ベルト(3)と、を具備し、
前記少なくとも1つの保持用ベルト(3)が、前記爆発時で、規定の荷重に達した場合に引裂して開放する少なくとも1つの引裂開放型シーム(6)を有する、
ことを特徴とする耐地雷座席装置。
【請求項2】
引裂開放型シーム(6)が、接着結合、溶接および/または縫製されている、ことを特徴とする請求項1に記載の耐地雷座席装置。
【請求項3】
シーム(6)の数、シームの幾何形状および/またはシーム(6)の材料により引裂開放力を設定できる、ことを特徴とする請求項1に記載の耐地雷座席装置。
【請求項4】
ベルト材料がそれ自体耐引裂性を有しており、それが繊維製品由来のもの、皮革、ポリエステルの、いずれか、または、組み合わせ、でつくられる、ことを特徴とする請求項3に記載の耐地雷座席装置。
【請求項5】
保持用ベルト(3)がループ(5)を介して車両の屋根(4)に締結される、ことを特徴とする請求項1〜4の一項に記載の耐地雷座席装置。
【請求項6】
座席支持用フレーム(2)がGRP(ガラス繊維強化プラスチック)および/またはCRP(炭素繊維強化プラスチック)から構成されているか、または構造がそれらで包まれている、ことを特徴とする請求項1〜5の一項に記載の耐地雷座席装置。
【請求項7】
複数の前記保持用ベルト(3)が前記座席支持用フレーム(2)に取り付けられている、ことを特徴とする請求項1〜6の一項に記載の耐地雷座席装置。
【請求項8】
前記保持用ベルト(3)が異なる長さの複数のベルトから成り、引裂開放型シームを有する最も短いベルトが、地雷爆発時に引裂し、より長いベルトは、座席(11)と乗員を所定の運動距離の後に捕捉する、
ことを特徴とする請求項1〜4、6の一項に記載の耐地雷座席装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドチューブなどを介した車両構造または車両シャシに対する少なくとも1つの取付け具と引裂開放型シームを伴う少なくとも1つのベルトを有する耐地雷座席装置および耐地雷座席支持用フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術から、多数の座席支持用フレーム、ベルトを用いた座席取付け具が公知である。
【0003】
例えば、特許文献1は、特に軍事車両用の、水平方向に配置され垂直方向に変位可能である座席支持ブラケットに締結される車両座席を有する緩衝用座席フレームについて記述している。例えば地雷の爆発時に発生するような大きな加速力が発生した場合に、例えば前記加速力が少なくとも部分的に座席装置によって吸収される状況を達成する目的で、座席支持ブラケットを保持するブラケットサポートの中にエネルギー歪曲(energy−distoring)要素が組込まれ、こうしてエネルギー吸収用要素は休止位置から別の位置へと伸長するようになっており、その結果、車両の屋根または車両の天井との関係において座席の高さが変化し、離隔距離は増大させられる。ここで、ブラケットサポートは、車両の屋根に固定的に連結されている。
【0004】
特許文献2も同様に耐地雷座席支持用フレームについて記述している。これは、市販の座席装置の耐地雷型統合のための支持用フレームである。予期すべき地雷の荷重に応じて、支持用フレームは、ベルトを用いてかまたは衝突要素を介して車両の屋根に対して、そして底面においてベルトを介して床に対して固く締結され得、それ自体独自の調整オプションおよび/または機能的アクチュエータを有する従来の座席を収容するのに役立つ。
【0005】
特許文献3は、ここではヘリコプターの側壁である側壁に締結可能であるエネルギー吸収用座席器具を開示している。
【0006】
特許文献4は、座席シェルのサブフレームのためのさまざまな伸縮式緩衝用変形形態を開示している。
【0007】
装甲車両用の特許文献5に記載の座席は、車両の屋根に対し締結されるサスペンションシステムに連結される座席フレームを有しており、この連結は、側面で行なわれる。
【0008】
特許文献6は、車両の屋根上に座席カバーを収容するためのサスペンションリンケージのヒンジ式サスペンションについて記述している。弾性サスペンションベルトは、エネルギーを吸収する既定の破断点として既定の耐引裂性を有する別個に縫製された少なくとも1つのループを有する。
【0009】
特許文献7は、さらなる座席システムに基づくものである。ここでは、座席は、ベルトサスペンションシステムを介して、特に車両の屋根に懸吊され得る。ベルトは、巻き取り器具を用いて巻上げられて、座席を持ち上げることができる。
【0010】
ベルトを用いて締結可能であるさらなる座席システムを、なかんづく、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15および特許文献16から収集することができる。特許文献17は、座席フレームに対する締結を開示している。
【0011】
特許文献18は、シームを用いて縫製される保持用ベルトを有するセーフティーシート(safety seat)を規定している。シームは、それが引裂無くベルトのバンドと少なくとも同一の伸長を受けるような形で選択される。
特許文献19は、圧力または衝撃波によって引裂開放する引裂開放要素について規定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2208643A1号
【特許文献2】独国特許出願公開第102008063804A1号
【特許文献3】欧州特許出願公開第0078479A1号
【特許文献4】独国特許出願公開第10130623A1号
【特許文献5】欧州特許出願公開第1916148A1号
【特許文献6】欧州特許第1593542B1号
【特許文献7】独国特許出願公開第102008028872A1号
【特許文献8】欧州特許出願公開第2103478A2号
【特許文献9】独国特許第102004009557B3号
【特許文献10】独国特許出願公開第102007006013A1号
【特許文献11】独国特許第第102008005422B3号
【特許文献12】独国特許第102007019348B3号
【特許文献13】独国特許第102004062350B3号、
【特許文献14】米国特許出願公開第3314720A号
【特許文献15】国際公開第2009/12537A1号
【特許文献16】国際公開第2008/086967A1号
【特許文献17】米国特許第6,378,939B1号
【特許文献18】独国特許第102007002816号
【特許文献19】独国特許出願公表第602005002282T2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、座席とその取付け具および車両構造の分断を実現し、乗員に作用するエネルギーの削減をもたらす耐地雷座席支持用フレームを示すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。有利な改良がサブクレーム中に規定されている。
【0015】
解決法は、それ自体は水平方向平面内に作用する駆動−動的および/または衝突荷重のみを吸収できかつ吸収しなければならないガイドチューブに加えて座席支持用フレームに連結される少なくとも1つ、好ましくは複数の保持用ベルトを組込むという概念に基づいている。前記ベルトは少なくとも1つの引裂開放型シームを有する。爆発時で、既定の荷重に達した場合に、前記シームは引裂開放し、規定の運動距離を可能にする。これは例えば、(引裂開放型シームと共に縫製された)ベルト内のループによってもたらされる。規定の運動距離を使い切ると、ベルトの伸長は座席および乗員の衝撃を制動する。運動距離を可能にするループの代りに、ベルトは異なる長さの複数のベルトでも構成され得る。引裂開放型シームを伴う最も短かいベルトは、地雷の爆発時に引裂すると考えられ、一方より長いベルトは規定の運動距離の後、座席と乗員を捕捉する。その結果、乗員に作用する力は削減される。当然のことながら、引裂開放または引裂開放力は、シームの数、シームの幾何形状およびシームの材料によって、個別にまたは組合せた形で、乗員の許容荷重との関係において設定され得る。
【0016】
しかしながら、一変形形態として、引裂開放型シームを、接着結合、溶接などによってと同様、縫製と組合せた形などでも提供することができる。この場合、規定の荷重において確実に引裂開放が行われるように保証しなければならないと考えられる。
【0017】
単純に図示した例示的実施形態を用いて原理を簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ガイドチューブおよび保持用ベルトを伴う座席支持用フレームのわずかに斜視的な図を示す。
図2図1からの取付け具の拡大図を示す。
図3図2のB−B断面の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、座席11を収容するための座席支持用フレーム2を伴う座席装置10を示しており、ここでこの座席装置10はガイドチューブ1(ここでは2本のガイドチューブ)内を軸方向に変位可能な形で取付けられ、これらのガイドチューブを介してさらに詳細には示されていない車両の屋根4に連結されている。
【0020】
さらなるより低位の取付け具は、特許文献2で開示されている通りの、より詳細には示されていないベルトによるものである。駆動−動的力または駆動誘発荷重の吸収は、変位可能な取付けによって可能になっている。さらに、座席支持用フレーム2には少なくとも1つの保持用ベルト3が具備され、この保持用ベルトは好ましくは1つのループ5のみを有し、少なくとも1つの引裂開放型シーム6を有する。
【0021】
図2は、車両の屋根への取付け具の拡大図を示し、図3は、座席支持用フレームに対する考えられる保持用ベルト3の締結の図を示す。
【0022】
繊維製品由来のものであり得る耐引裂性材料が、ベルト材料として提供される。同様に皮革、繊維製品と皮革の組合せなども使用可能であり、好ましくはポリエステルを使用できる。
【0023】
好ましい軽量構成のためには、座席支持用フレーム2をGRP(ガラス繊維強化プラスチック)またはCRP(炭素繊維強化プラスチック)で構成することができ、あるいはそれらで構造を包むこともできる。
図1
図2
図3