(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6082021
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】端面発光エッチングファセットレーザ
(51)【国際特許分類】
H01S 5/22 20060101AFI20170206BHJP
H01S 5/24 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
H01S5/22
H01S5/24
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-545967(P2014-545967)
(86)(22)【出願日】2012年12月3日
(65)【公表番号】特表2015-502052(P2015-502052A)
(43)【公表日】2015年1月19日
(86)【国際出願番号】US2012067612
(87)【国際公開番号】WO2013085845
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2014年11月6日
(31)【優先権主張番号】13/690,792
(32)【優先日】2012年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/568,383
(32)【優先日】2011年12月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/619,190
(32)【優先日】2012年4月2日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516132747
【氏名又は名称】メイコム テクノロジー ソリューションズ ホールディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ベーファー アレックス エイ
(72)【発明者】
【氏名】グリーン マルコム アール
(72)【発明者】
【氏名】スタガレスク クリスティアン
【審査官】
百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−135305(JP,A)
【文献】
特開2011−192728(JP,A)
【文献】
特開平06−037402(JP,A)
【文献】
特開平04−340286(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02387479(GB,A)
【文献】
特開平09−216409(JP,A)
【文献】
特開2002−111128(JP,A)
【文献】
特表2009−506550(JP,A)
【文献】
特開平3−179792(JP,A)
【文献】
特表2008−547226(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0051474(US,A1)
【文献】
特開2003−46190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザチップであって、
基板と、
前記基板上のエピタキシャル構造であって、前記エピタキシャル構造は、活性領域を含み、前記活性領域は、光を発生する、エピタキシャル構造と、
第1の方向に延在する前記エピタキシャル構造中に形成される導波路であって、端面発光レーザを画定する前面エッチングファセットおよび後面エッチングファセットを有する、導波路と、
前記エピタキシャル構造中に形成される第1の陥凹領域であって、第1の末端壁と2つの側壁を含み、前記導波路から第1の距離を置いて配設され、前記後面エッチングファセットに隣接した開口部を有し、前記レーザチップのシンギュレーション前に、隣接レーザチップの試験を容易にする、第1の陥凹領域と、
前記エピタキシャル構造中に形成される第2の陥凹領域であって、第2の末端壁と2つの側壁を含み、前記導波路から第2の距離を置いて配設され、前記前面エッチングファセットに隣接した開口部を有する、第2の陥凹領域と、
を備え、
前記第1の陥凹領域への前記開口部および前記第2の陥凹領域への前記開口部は、相互に整列されている、レーザチップ。
【請求項2】
前記第1の末端壁は、前記第1の方向に対して直角以外の角度にある、請求項1に記載のレーザチップ。
【請求項3】
前記後面エッチングファセットは、高反射性材料でコーティングされる、請求項2に記載のレーザチップ。
【請求項4】
前記第2の末端壁は、前記第1の方向に対して直角以外の角度にある、請求項1に記載のレーザチップ。
【請求項5】
前記端面発光レーザは、リッジレーザである、請求項1に記載のレーザチップ。
【請求項6】
前記リッジレーザは、ファブリペロー(FP)型のものである、請求項5に記載のレーザチップ。
【請求項7】
前記リッジレーザは、分布帰還(DFB)型のものである、請求項5に記載のレーザチップ。
【請求項8】
前記端面発光レーザは、埋め込みヘテロ構造(BH)レーザである、請求項1に記載のレーザチップ。
【請求項9】
前記BHレーザは、ファブリペロー(FP)型のものである、請求項8に記載のレーザチップ。
【請求項10】
前記BHレーザは、分布帰還(DFB)型のものである、請求項8に記載のレーザチップ。
【請求項11】
前記基板は、InPである、請求項1に記載のレーザチップ。
【請求項12】
前記基板は、GaAsである、請求項1に記載のレーザチップ。
【請求項13】
前記基板は、GaNである、請求項1に記載のレーザチップ。
【請求項14】
レーザチップであって、
基板と、
前記基板上のエピタキシャル構造であって、前記エピタキシャル構造は、活性領域を含み、前記活性領域は、光を発生する、エピタキシャル構造と、
第1の方向に延在する前記エピタキシャル構造中に形成される第1の導波路であって、第1の端面発光レーザを画定する第1の前面エッチングファセットおよび第1の後面エッチングファセットを有する、第1の導波路と、
第1の方向に延在する前記エピタキシャル構造中に形成される第2の導波路であって、第2の端面発光レーザを画定する第2の前面エッチングファセットおよび第2の後面エッチングファセットを有する、第2の導波路と、
前記エピタキシャル構造中に形成される第1の陥凹領域であって、第1の末端壁と2つの側壁を含み、前記導波路から第1の距離を置いて配設され、前記第1の後面エッチングファセットおよび前記第2の後面エッチングファセットのうちの1つに隣接した開口部を有し、前記レーザチップのシンギュレーション前に、隣接レーザチップの試験を容易にする、第1の陥凹領域と、
前記エピタキシャル構造中に形成される第2の陥凹領域であって、第2の末端壁と2つの側壁を含み、前記導波路から第2の距離を置いて配設され、前記第1の後面エッチングファセットおよび前記第2の後面エッチングファセットのうちの1つに隣接した開口部を有する、第2の陥凹領域と、
を備え、
前記第1の陥凹領域への前記開口部および前記第2の陥凹領域への前記開口部は、相互に整列されている、レーザチップ。
【請求項15】
前記第1および第2の端面発光レーザのうちの少なくとも1つは、リッジ分布帰還(DFB)レーザである、請求項14に記載のチップ。
【請求項16】
前記第1および第2の端面発光レーザのうちの少なくとも1つは、埋め込みヘテロ構造(BH)分布帰還(DFB)レーザである、請求項14に記載のチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2011年12月8日に出願された米国仮出願第61/568,383号、2012年4月2日に出願された米国仮出願第61/619,190号、および2012年11月30日に出願された米国非仮出願第13/690,792号に対する優先権の利益を主張するものであり、それらの各々の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、エッチングファセットフォトニックデバイスに関し、より具体的には、改善されたエッチングファセットフォトニックデバイスおよびそれらを製作するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体レーザは典型的に、金属有機化学蒸着法(MOCVD)または分子線エピタキシー法(MBE)を通じて、基板上に適切な層状半導体材料を成長させて、基板面に並行な活性層を有するエピタキシャル構造を形成することによって、ウェハ上に製作される。ウェハは次いで、多様な半導体処理ツールにより処理されて、活性層を組み込み、半導体材料に取り付けられる金属接触部を組み込む、レーザ光共振器を生産する。レーザ反射鏡ファセットは典型的に、半導体材料を、その結晶構造に沿って、レーザ光共振器の端面、または末端を画定するように劈開することによって、レーザ共振器の末端において形成され、その結果、バイアス電圧が接触部にわたって印加されるとき、結果として生じる活性層を通じる電流の流れにより、光子が、活性層のファセット端面から出て、電流の流れに対して垂直な方向に発光するようになる。半導体材料は、レーザファセットを形成するように劈開されるので、ファセットの場所および配向は限定され、更に、一旦、ウェハが劈開されると、それは典型的に小片となり、その結果、従来のリソグラフィー技法を容易に使用して、レーザを更に処理することができなくなる。
【0004】
劈開されたファセットの使用から生じる前述のおよび他の難点は、エッチングを通じて半導体レーザの反射鏡ファセットを形成するためのプロセスの開発につながった。米国特許第4,851,368号に記載される、このプロセスはまた、レーザが、同じ基板上で他のフォトニックデバイスとモノリシックに集積化されることを可能にする。それはまた、劈開バー試験の代わりに、製造費を削減したウェハレベルの試験を可能にする。この作業は更に拡張され、エッチングファセットに基づくリッジレーザプロセスが、IEEE Journal of Quantum Electronics, volume 28,No.5,pages 1227−1231,May 1992に開示された。しかしながら、エッチングファセットを使用して製作されるFPおよびDFB端面発光レーザは、ウェハ上の試験結果を歪めるであろうレーザの前面ファセットから隣接レーザの後面ファセットへのレーザ出力の干渉のために、最密充填することができなかった。レーザを離間して、隣接レーザ間に無駄な空間を残すことが解決策となってきた。例えば、DFBレーザについて、この無駄な空間は、およそ100μmであり、それは所与のウェハから生産され得る有用なレーザチップの数を大幅に低減する。
【発明の概要】
【0005】
一般に、一態様において、本発明は、隣接レーザ間の無駄な空間を最小にしながら製作可能である、端面発光レーザを特長とする。レーザの前面エッチングファセットは、第1のレーザの前面ファセットからの光が、第2の隣接レーザの後面ファセットからの干渉および後面反射を伴わずに出射し得るように、隣接レーザチップの後側上の陥凹領域に対面する。
【0006】
本発明は、第1のエッチングファセットの端面発光半導体レーザを有するチップを含み得、そのチップは、陥凹領域を含有することにより、第1のレーザを含有するチップに隣接し、前面ファセットがチップに対面している、第2のエッチングファセットの端面発光半導体レーザが、第2のレーザの特性の試験中に歪みを回避しながら相互に最密に離間されることを可能にする。これは、ウェハから生産され得るチップの数の大幅な増加を可能にする。
【0007】
他の実施形態は、次の特長のうちの1つ以上を含む。陥凹領域は、後面反射を最小限にするために傾斜した末端壁を有することができる。レーザの後面ファセットはまた、隣接レーザチップの前側上の陥凹領域に対面してもよく、その陥凹領域は、角度をつけられた末端壁を有してもよい。チップは、それらの長さに沿って完全な陥凹領域または完全な開口部を有してもよく、後面反射を最小限にするために相互からオフセットされてもよい。
【0008】
1つの特定の実施形態において、レーザチップは、基板と、その基板上のエピタキシャル構造であって、そのエピタキシャル構造が活性領域を含み、その活性領域が光を発生する、エピタキシャル構造と、第1の方向に延在するエピタキシャル構造中に形成される導波路であって、端面発光レーザを画定する前面エッチングファセットおよび後面エッチングファセットを有する、導波路と、該エピタキシャル構造中に形成される第1の陥凹領域であって、導波路からある距離を置いて配設され、後面エッチングファセットに隣接した開口部を有し、レーザチップのシンギュレーション前に、隣接レーザチップの試験を容易にする、第1の陥凹領域とを含んでもよい。
【0009】
この特定の実施形態の追加の態様によれば、第1の陥凹領域は、第1の末端壁を有する。
【0010】
この特定の実施形態の追加の態様によれば、第1の末端壁は、第1の方向に対して直角以外の角度にある。
【0011】
この特定の実施形態の追加の態様によれば、後面エッチングファセットは、高反射性材料でコーティングされる。
【0012】
この特定の実施形態の追加の態様によれば、レーザチップは、前面エッチングファセットに隣接した開口部を有する、該エピタキシャル構造中に形成され、導波路から第2の距離を置いて配設される第2の陥凹領域を更に含んでもよく、その第2の陥凹領域は、第2の末端壁を含む。
【0013】
この特定の実施形態の追加の態様によれば、第2の末端壁は、第1の方向に対して直角以外の角度にある。
【0014】
この特定の実施形態の追加の態様によれば、第1の陥凹領域への開口部および第2の陥凹領域への開口部は、相互に整列される。
【0015】
他の特定の実施形態において、端面発光レーザは、リッジレーザである。
【0016】
この特定の実施形態の追加の態様によれば、リッジレーザは、ファブリペロー(FP)型のものである。
【0017】
この特定の実施形態の追加の態様によれば、リッジレーザは、分布帰還(DFB)型のものである。
【0018】
この特定の実施形態の追加の態様によれば、端面発光レーザは、埋め込みヘテロ構造(BH)レーザである。
【0019】
この特定の実施形態の追加の態様によれば、BHレーザは、ファブリペロー(FP)型のものである。
【0020】
この特定の実施形態の追加の態様によれば、BHレーザは、分布帰還(DFB)型のものである。
【0021】
この特定の実施形態の追加の態様によれば、基板は、InPである。
【0022】
この特定の実施形態の追加の態様によれば、基板は、GaAsである。
【0023】
この特定の実施形態の追加の態様によれば、基板は、GaNである。
【0024】
他の特定の実施形態において、レーザチップは、基板と、その基板上のエピタキシャル構造であって、そのエピタキシャル構造が活性領域を含み、その活性領域が光を発生する、エピタキシャル構造と、第1の方向に延在するエピタキシャル構造中に形成される第1の導波路であって、第1の端面発光レーザを画定する第1の前面エッチングファセットおよび第1の後面エッチングファセットを有する、第1の導波路と、第1の方向に延在するエピタキシャル構造中に形成される第2の導波路であって、第2の端面発光レーザを画定する第2の前面エッチングファセットおよび第2の後面エッチングファセットを有する、第2の導波路と、該エピタキシャル構造中に形成される陥凹領域であって、第1の後面エッチングファセットおよび第2の後面エッチングファセットのうちの1つに隣接した開口部を有し、レーザチップのシンギュレーション前に、隣接レーザチップの試験を容易にする、陥凹領域とを含んでもよい。
【0025】
この特定の実施形態の追加の態様によれば、第1および第2の端面発光レーザのうちの少なくとも1つは、リッジ分布帰還(DFB)レーザである。
【0026】
この特定の実施形態の追加の態様によれば、第1および第2の端面発光レーザのうちの少なくとも1つは、埋め込みヘテロ構造(BH)分布帰還(DFB)レーザである。
【0027】
他の特定の実施形態において、レーザチップは、基板と、その基板上のエピタキシャル構造であって、そのエピタキシャル構造が活性領域を含み、その活性領域が光を発生する、エピタキシャル構造と、第1の方向に延在するエピタキシャル構造中に形成される導波路であって、端面発光レーザを画定する前面エッチングファセットおよび後面エッチングファセットを有する、導波路と、導波路に平行な方向にあり、かつそれからある距離を置いた、レーザチップのシンギュレーション前に、隣接レーザチップの試験を容易にする、エピタキシャル構造中の完全な開口部とを含んでもよい。
【0028】
1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および下の説明において述べられる。記載される実施形態の他の特長、対象物、および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0029】
前述のおよび追加の対象物、特長、および利点は、添付の図面と併せた、それらの好ましい実施形態の次の詳細な説明から当業者に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】端面発光エッチングファセットレーザの斜視図である。
【
図2】
図1と同様の2つの隣接した端面発光エッチングファセットレーザの上平面図である。
【
図3(a)】隣接レーザ間の分離が比較的小さい、エッチングファセットファブリペロー端面発光エッチングファセットレーザの光対電流およびスペクトル特性を示す。
【
図3(b)】隣接レーザ間の分離が比較的小さい、エッチングファセットファブリペロー端面発光エッチングファセットレーザの光対電流およびスペクトル特性を示す。
【
図4(a)】隣接レーザ間の分離が比較的大きい、エッチングファセットファブリペローレーザの光対電流およびスペクトル特性を示す。
【
図4(b)】隣接レーザ間の分離が比較的大きい、エッチングファセットファブリペローレーザの光対電流およびスペクトル特性を示す。
【
図5】本発明による端面発光エッチングファセットレーザの斜視図である。
【
図6】
図5と同様の本発明による2つの隣接した端面発光エッチングファセットレーザの上平面図である。
【
図7】本発明による隣接した端面発光二重共振器エッチングファセットDFBレーザの上平面図である。
【
図8】レーザチップがレーザの各行において相互からオフセットされた、2つの隣接した端面発光エッチングファセットレーザの上平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、リッジ40を含むエッチングファセットレーザが製作される、活性領域80を含むエピタキシャルで堆積された導波路構造を有する、基板90の斜視図を示す。エッチングファセットリッジレーザメサ10および20は、メサ10に対応するレーザの前面ファセット50が、メサ20に対応するレーザの後面ファセットから距離70を置かれるように、基板上に位置付けられる。
【0032】
図2は、
図1にあるものと同様の2つの隣接したエッチングファセットリッジレーザの上平面図を示す。ワイヤボンドパッド30は、パッドへのワイヤ・ボンディングを可能にし、また電流がリッジに導かれてレーザが動作することを可能にするために、提供される。レーザメサ10および20は、それぞれ、チップ15および25上に位置付けられる。チップ15および25は、
図2におけるチップの境界を画定する線に沿った、シンギュレーションプロセスを通じて形成される。
【0033】
基板90は、例えば、III−V型化合物、またはその合金で形成されてもよく、それは好適にドープされてもよい。InP等の基板は、金属有機化学蒸着法(MOCVD)または分子線エピタキシー法(MBE)等のエピタキシャル堆積によるように、活性領域80を含む光導波路を形成する連続した層が上に堆積される、上面を含む。半導体レーザ構造は、InAIGaAs系量子井戸および障壁と共に形成され得る、活性領域80に隣接した、InP等の、活性領域80よりも低い指数の半導体材料から形成される上部および下部クラッド領域を含有してもよい。下部クラッドは、部分的にエピタキシャル堆積を通じて、および一部には基板を使用することによって、形成されてもよい。例えば、InP基板90上に次の層を有する、1310nm発光エピタキシャル構造を使用することができる: 0.5μm n−InP;0.105μm AlGaInAs下級領域;5つの6nm厚の圧縮歪AlGaInAs量子井戸を含有し、各々が10nmの引張歪AlGaInAs障壁によって挟まれている、活性領域80;0.105μm AlGaInAs上級領域;1.65μm厚のp−InP上部クラッド;および高濃度p−ドープ InGaAsキャップ層。構造はまた、湿式エッチストップ層を有してもよい。
【0034】
エッチングファセットレーザの主要な利益のうちの1つは、劈開ファセットレーザについて、試験が、バーレベルの試験とは対照的に、ウェハレベルで行われることである。しかしながら、ウェハ上の試験の十分な利益を可能にするために、距離70は、後面ファセット60から前面ファセット50への後面反射および干渉を防止するのに十分に大きくなければならない。前面ファセット50は、光のほとんどがメサ10に対応する端面発光レーザから現れる場所である。例えば、距離70が、約2μmのリッジ幅のInP系1310nmファブリペロー(FP)リッジレーザについて50μmである場合、後面反射に起因する望ましくない特性が
図3において観察され、ここで
図3(a)は、レーザ光対電流(またはLI)特性が50mA前後で変化し始めることを示し、対応する問題が、
図3(b)において、50mAよりも上で現れ、つまり、レーザのスペクトル特性は、50mAを上回る電流で、FPモードの異常な二重分布を有する。各スペクトルは、
図3(b)において、明確さのためにオフセットされる。
【0035】
2μmリッジ幅の1310nm FPレーザについて、距離70を100μm以上まで増加させることによって、後面反射および干渉からの影響が最小限にされ、悪影響は、
図4(a)のLI特性、および
図4(b)のスペクトルにおいてもはや見られなくなる(ここで各スペクトルは、明確さのためにオフセットされる)。
図4(b)におけるスペクトル結果は、FPモードの正規分布を示す。距離70はまた、格子がエピタキシャル構造中に組み込まれる、分布帰還(DFB)レーザのウェハ上の試験においても非常に重要である。距離70が小さすぎる場合、後面反射は、DFBレーザの特性における変化を引き起こし得、結果として、シンギュレーション後に得られるレーザ特性が異なる場合があり、ウェハ上の試験の値を大幅に低減する。100μm以上の距離70を選択することによって、後面反射の望ましくない影響は、1310nm DFBレーザについて排除されている。しかしながら、距離70を100μm以上まで増加させることは、ウェハから得ることができるチップの数を大幅に低減する、無駄な空間である。
【0036】
図5は、リッジ140を含むエッチングファセットレーザが製作される、活性領域180を含む、上述のものと同様の、エピタキシャルで堆積された構造を有する、基板190の斜視図を示す。エッチングファセットレーザは、2つの隣合わせたレーザメサの前面および後面ファセットの平面が相互に対面する(かつ対応して、2つの隣合わせたレーザメサの後面および前面ファセットの平面が相互に対面する)ように、基板上に、前面から後面および後面から前面の交互の様式で配設される。この配設において、レーザメサ110のエッチングリッジ140は、隣合わせたレーザメサ120中に形成される陥凹157と整列される。エッチングファセットリッジレーザメサ110および120は、メサ110に対応するレーザの前面ファセット150が、陥凹領域157の壁155から距離170を置かれるように、基板上に位置付けられる。壁155は、前面ファセット150への後面反射を最小限にするために、入射レーザビームに対して直角以外の角度にあり得る。陥凹領域は、壁155が高さ5μm前後であり、陥凹領域の床面が活性領域の平面より下で約2.9μmであるように、5μm前後の深さである。壁155が直角以外の角度にある場合の実例において、距離170は、ウェハ上の試験に有害であるレベルの後面反射および干渉を回避しながら、100μmから減らすことができる。
【0037】
図6は、
図5と同様の2つの隣接した端面発光エッチングファセットレーザの上平面図を例示する。実際には、
図6の2つの隣接した端面発光レーザは、ユニット建築ブロックとして使用され、行および列でウェハ上に配置される。メサ120に対応するレーザの後面ファセット160は、高反射率コーティングされ、したがって、後面反射の影響は、過度に大きくはない。それにもかかわらず、後面反射を最小限にするために陥凹領域167が提供される。陥凹領域167の壁165もまた、後面ファセット160への後面反射を最小限にするために、入射レーザビームに対して直角以外の角度にあり得る。レーザメサ110および120は、それぞれ、チップ115および125上に位置付けられる。チップ115および125は、
図6におけるチップの境界を画定する線に沿った、シンギュレーションプロセスを通じて形成される。ワイヤボンドパッド130を含むチップ115。レーザメサ110と120との間の分離175は、シンギュレーションが生じることを可能にするのにちょうど十分な大きさである(10μm前後)。分離175の最小化は、同じサイズのウェハから、大幅により多数のレーザのチップが生産されることを可能にした。更に、陥凹領域157または167は、乾式エッチングファセットおよび乾式エッチングリッジが形成されるのと同時に形成され得る。
【0038】
図7は、1チップ当たり2つのレーザ共振器の実例に対する本発明の適用を示す。レーザメサ210および220は、それぞれ、チップ215および225上に位置付けられる。チップ215および225は、
図7におけるチップの境界を画定する線に沿った、シンギュレーションプロセスを通じて形成される。チップ215は、電流をリッジ240および241に提供している、それぞれワイヤボンドパッド230および231を有する、2つのレーザリッジ共振器240および241を含む。リッジレーザ240は、前面ファセット250を有し、リッジレーザ241は、前面ファセット251を有する。隣接したメサは、ファセット250および251の前面において陥凹領域257を有する。陥凹領域は、それぞれファセット250および251から現れる各レーザビームに対して直角から外れた角度にあり得る、2つの壁255および256の終端を有する。前面ファセット250と壁255と間の距離270は、好ましくは100μm超であるが、壁が、ファセット250から現れるレーザビームの直角に対する角度にある場合には、より短い可能性があり得る。同様に、前面ファセット251と壁256と間の距離271は、好ましくは100μm超であるが、壁が、ファセット251から現れるレーザビームの直角に対する角度にある場合には、より短い可能性があり得る。これは、レーザメサ210および220が、所与のウェハから生産され得るチップの数を増加させるのに最小の分離275を有することを可能にする。メサ220における2つのレーザの後面ファセット260および261はまた、後面反射を最小限にするために、メサ210における陥凹領域267に対面し得る。
【0039】
本発明による別の代替手段が
図8に例示され、ここでエッチングファセットの端面発光レーザメサ310、320、321、および322は、それぞれ、チップ315、325、326、および327上に位置付けられ、レーザは、メサ310に対応するレーザについて例示されるように、リッジ340および電流をリッジに提供するためのワイヤボンドパッド330を有する。陥凹領域357は、エッチングファセットレーザチップ320の片側上に、チップの全長に延在して完全に形成されて、完全な開口部を形成している。このようにして、陥凹領域357は、メサ321に対応するレーザの後面ファセット355まで延在する。後面ファセット355は、通常、前面ファセット350から現れる、発光されるレーザ光に対して直角である。距離370は、前面ファセット350と後面ファセット355との間の距離である。レーザメサ310および320は、
図6および7にあるものと同様に、上部から底部方向に最小の分離375を有するが、レーザメサ321および322もまた、左から右方向で最小の分離376を有する。これは、所与のウェハから生産され得るチップの数の増加を更に可能にする。チップの側面は、左から右かつ上部から底部で揃えられる
図6および7におけるチップとは対照的に、左から右で揃えられるのみである。シンギュレーションは、この事実に応じる必要があり、例えば、シンギュレーションは、最初に左から右方向で生じる必要があり、次いでチップは、上部から底部のシンギュレーションによって分離される。
図8および上の説明は、1チップ当たり単一のレーザ共振器の観点からのものであり、同じアプローチが1チップ当たり2つ以上のレーザ共振器に適用可能であることが理解されよう。
【0040】
本発明は、InP基板に基づいている1310nm発光レーザを使用して記載される。しかしながら、例えば、InP、GaAs、およびGaN基板に基づく幾つかの他の異なるエピタキシャル構造が、本発明から利益を得ることができる。例えば、赤外線および可視スペクトル領域における波長を発光する、これらの例となる基板上に活性層を含むエピタキシャル構造の多数の実施例が利用可能である。更に、エッチングリッジを有する端面発光リッジレーザが記載されたが、エッチングファセット埋め込みヘテロ構造(BH)レーザ等の、他の型のエッチングファセットレーザが使用され得ることが理解されよう。
【0041】
本発明は、種々の実施形態の観点から例示されたが、種々の変形および修正が、次の特許請求の範囲に提示される本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく行われてもよいことが理解されよう。更に、図に示される寸法および比率は、必ずしも縮尺通りではないが、構造および方法の顕著な特長を明確に例示するため使用されることが理解されよう。