(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6082045
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】レンズモジュール位置決め構造
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20060101AFI20170206BHJP
G02B 7/04 20060101ALI20170206BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20170206BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
G02B7/02 C
G02B7/02 Z
G02B7/04 E
H04N5/225 D
H04N5/232 E
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-48025(P2015-48025)
(22)【出願日】2015年3月11日
(65)【公開番号】特開2015-176151(P2015-176151A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2015年3月12日
(31)【優先権主張番号】103109003
(32)【優先日】2014年3月13日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】505259022
【氏名又は名称】台湾東電化股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100111442
【弁理士】
【氏名又は名称】小原 英一
(72)【発明者】
【氏名】▲せん▼ 益良
【審査官】
登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−178723(JP,A)
【文献】
特開2010−066286(JP,A)
【文献】
特開2010−074626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G02B 7/04
H04N 5/225
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに垂直な関係にあるX軸、Y軸及びZ軸で定義されるとともに、画像センサモジュール、光学レンズモジュール及び補償機構を備えるレンズモジュール位置決め構造であって、
前記画像センサモジュールは、X−Y軸上に位置し、画像キャプチャ経路がZ軸上に位置し、回路基板及び画像センサ部材を含み、
前記光学レンズモジュールは、撮像光軸を有するとともに、Z軸上に位置し、前記画像センサモジュールに対応し、
前記光学レンズモジュールは、筐体、レンズ搭載部、下ばね、コイル及び少なくとも1つの磁性素子を含み、
前記磁性素子及び前記コイルは、互いに位置が対応して前記筐体及び前記レンズ搭載部上に配設され、
前記補償機構は、前記画像センサモジュールと前記光学レンズモジュールとの間に配設され、前記光学レンズモジュールのZ軸方向に対する傾斜角度を補償するとともに、凸弧面と、前記凸弧面に対応した凹弧面とを含み、
前記凸弧面及び前記凹弧面のうちの一つは、前記光学レンズモジュールの撮像光軸と同期で連動し、前記凸弧面が前記凹弧面上で摺動し、前記光学レンズモジュールの前記撮像光軸と前記画像センサモジュールの前記画像キャプチャ経路との間に発生するZ軸に対する傾斜を調整して補償し、
前記回路基板に固定されるフレームと、前記画像センサ部材上に位置する前記フレームにはキャプチャされた光影が画像センサモジュール上に投射されるための中空部が設けられ、
前記光学レンズモジュール下に固定されるとともに、前記フレームに接触するベースと、金属からなり、フック端を有し、前記フレーム上に形成された少なくとも1つの凹溝に配設され、前記ベースの貫通孔に挿設される少なくとも1つの弾性固定部材とをさらに備え、
前記下ばね上の少なくとも1つの結合部は、前記フック端により前記ベース上に固定され、前記フック端の他方の端部は、前記画像センサモジュールの回路基板と電気的に接続された導電端であり、前記弾性固定部材及び前記下ばねを介して電流が前記回路基板から前記コイルへ送られることを特徴とするレンズモジュール位置決め構造。
【請求項2】
前記画像センサモジュールは、前記補償機構下に位置するとともに、前記画像センサ部材は、前記回路基板上に配設されるとともに、前記光学レンズモジュールを介して外部からの光線画像をキャプチャすることを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール位置決め構造。
【請求項3】
前記ベース上には、前記補償機構の前記凸弧面が形成され、
前記フレーム上には、前記凹弧面が形成され、
前記凹弧面が前記凸弧面に接合されることを特徴とする請求項2に記載のレンズモジュール位置決め構造。
【請求項4】
前記光学レンズモジュールは、レンズ、上ばねを更に含み、
前記レンズは、前記レンズ搭載部上に配設され、前記レンズ搭載部は、前記上ばね及び前記下ばねを介して前記筐体の収容空間中に弾性挟持され、
前記コイルに電流が印加されると、前記磁性素子に磁力が生じ、前記レンズ搭載部が前記収容空間内でZ軸方向へ変位することを特徴とする請求項1に記載のレンズモジュール位置決め構造。
【請求項5】
前記画像センサ部材は、CCD又はCMOSの受光部であり、
前記光学レンズモジュールは、ズームレンズモジュール又はフォーカスレンズモジュールであることを特徴とする請求項2に記載のレンズモジュール位置決め構造。
【請求項6】
前記上ばね及び前記下ばねは、金属からなり、中空シート状構造を呈する弾性プレートから機械プレス成形方式により製作されることを特徴とする請求項4に記載のレンズモジュール位置決め構造。
【請求項7】
前記補償機構の前記凸弧面は、前記レンズ下に配設され、
前記凹弧面には、前記凸弧面が接合され、
前記レンズと前記レンズ搭載部との間には間隙が形成されることを特徴とする請求項4に記載のレンズモジュール位置決め構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズモジュール位置決め構造に関し、特に、補償機構を利用し、光学レンズモジュールと画像センサモジュールとが結合されたときに発生するZ軸方向の傾斜誤差(tilt)を許容範囲内にし、好適な撮像効果を得る、レンズモジュール位置決め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1を参照する。
図1は、従来のズームレンズ又はフォーカスレンズを示す分解斜視図である。
図1に示すように、従来のフォーカスレンズで使用する機械伝動式フォーカス機構7は、高価な精密駆動部材71を用い、レンズ群72が設けられた搭載部73を駆動する動力源(例えば、ステッピングモータ、超音波モータ、圧電アクチュエータなど)及び非常に多くの伝動部材が必要である。
そのため機械構造が複雑であるだけでなく、製造工程が煩雑な上、体積が大きくて高コストであり、消費電力が非常に大きいという欠点があり、コストを下げることは困難であった。
【0003】
初期の写真撮影技術は非常に複雑で、明るさを測定して手動でフォーカスし、フィルムを巻き上げる必要があったが、多くの手間がかかるため、作業に間違いが生じる虞があった。特に、シャッターチャンスを逃してしまうと取り返しがつかないため、この時代の写真撮影にはカメラマンに高い能力が求められていた。
50年代、60年代の機械化・自動化の発展に伴い、自動明かり測定技術及び電動フィルム巻上げ装置が開発された。このことからも判るように、撮影技術は自動化に向かった。また、撮影速度の決定に必要な「オートフォーカスシステム」の技術は、当時のカメラメーカが開発に力を注いでいた分野であった。
【0004】
科学技術の発展に伴い、従来の専用撮影装置は高画質で軽量・薄型に向かい、多様化した情報時代の新製品に適合し、ステッピングモータを利用して機械式にズームレンズを駆動するが、体積を減らすことは困難であるという欠点があり、製品全体を軽量・薄型化することが困難な理由の一つとなっている。
【0005】
また、メーカは、電磁技術を応用し、ボイスコイルモータ(Voice Coil Motor:VCM)に搭載した電子フィードバックコントロール(feedback control)によりコイル偏移量を監視し、従来のステッピングモータを代替し、駆動構造は、送りのバックラッシュ及び部品の製造誤差により位置決め精度が不足してしまう可能性を減らすことができる。
また、各種異なる機能を有する製品が整合され、例えば、撮影機能とモバイル通信機能を有する携帯電話とを結合させ、撮影機能とパーソナルデジタルアシスタントとを結合させるか、撮影機能とノート型パソコンとを結合させ、高性能なビデオ機能を得ていた。
【0006】
従来のレンズモジュールの全ての光学レンズモジュールは、Z軸方向でX−Y軸平面上の画像センサモジュール上に垂直に設置され、画像センサモジュールが光学レンズモジュールを介して外部に対して光画像のキャプチャを行い、レンズモジュールを組立てる際、予めZ軸傾斜(tilt)を調整する機構は備えていなかった。
いわゆる「Z軸傾斜」とは、光学レンズモジュールの撮像光軸と画像センサモジュールの画像キャプチャ経路との間のZ軸方向に対する傾斜誤差のことであるが、出荷前のレンズモジュールにZ軸傾斜の調整機能を付与することはできなかった。即ち、レンズモジュールを組立てる過程では、接触面の凹凸により撮像光軸が、画像センサモジュールの画像キャプチャ経路に傾斜を発生させ、レンズが変位する際に光軸に沿って移動する位置の線形性及び再現性(例えば、真直度又は光軸垂直度など)に悪影響を与える虞があった。
そのため、撮像光軸傾斜が発生する現象により、レンズモジュールが単体で出荷される際、Z軸傾斜を許容範囲内に制御することは困難であり、レンズモジュールの結像品質又はレンズが変位するときの位置決め精度に悪影響を与える虞があったため、改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−219675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、補償機構を利用して光学レンズモジュールと画像センサモジュールとが結合されたときに発生するZ軸方向の傾斜を許容範囲内にし、好適な撮像効果を得る、レンズモジュール位置決め構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、互いに垂直な関係にあるX軸、Y軸及びZ軸で定義されるとともに、画像センサモジュール、光学レンズモジュール及び補償機構を備えるレンズモジュール位置決め構造であって、前記画像センサモジュールは、X−Y軸上に位置し、画像キャプチャ経路がZ軸上に位置し、前記光学レンズモジュールは、撮像光軸を有するとともに、Z軸上に位置し、前記画像センサモジュールに対応し、前記補償機構は、前記画像センサモジュールと前記光学レンズモジュールとの間に配設され、前記光学レンズモジュールのZ軸方向に対する傾斜角度を補償するとともに、凸弧面と、前記凸弧面に対応した凹弧面とを含み、前記凸弧面及び前記凹弧面のうちの一つは、前記光学レンズモジュールの撮像光軸と同期で連動し、前記凸弧面が前記凹弧面上で摺動し、前記光学レンズモジュールの前記撮像光軸と前記画像センサモジュールの前記画像キャプチャ経路との間に発生するZ軸に対する傾斜を調整して補償することを特徴とするレンズモジュール位置決め構造が提供される。
【0010】
前記画像センサモジュールは、前記補償機構下に位置するとともに、回路基板及び画像センサ部材を含み、前記画像センサ部材は、前記回路基板上に配設されるとともに、前記光学レンズモジュールを介して外部からの光線画像をキャプチャすることが好ましい。
【0011】
前記回路基板に固定される上、前記画像センサ部材上に位置するフレームと、前記光学レンズモジュール下に固定されるとともに、前記フレームに接触するベースとをさらに備え、前記ベース上には、前記補償機構の前記凸弧面が形成され、前記フレーム上には、前記凹弧面が形成され、前記凹弧面が前記凸弧面に接合されることが好ましい。
【0012】
前記光学レンズモジュールは、筐体、レンズ、レンズ搭載部、上ばね、下ばね、コイル及び少なくとも1つの磁性素子を含み、前記磁性素子及び前記コイルは、互いに位置が対応して前記筐体及び前記レンズ搭載部上に配設され、前記レンズは、前記レンズ搭載部上に配設され、前記レンズ搭載部は、前記上ばね及び前記下ばねを介して前記筐体の収容空間中に弾性挟持され、前記コイルに電流が印加されると、前記磁性素子に磁力が生じ、前記レンズ搭載部が前記収容空間内でZ軸方向へ変位することが好ましい。
【0013】
前記凹弧面は、複数のバンプを含み、前記複数のバンプの頂端が前記凸弧面と接触され、Z軸方向に対して傾斜調整を行うことが好ましい。
【0014】
前記画像センサ部材は、CCD又はCMOSの受光部であり、前記光学レンズモジュールは、ズームレンズモジュール又はフォーカスレンズモジュールであることが好ましい。
【0015】
前記上ばね及び前記下ばねは、金属からなり、中空シート状構造を呈する弾性プレートから機械プレス成形方式により製作されることが好ましい。
前記補償機構の前記凸弧面は、前記レンズ下に配設され、前記凹弧面には、前記凸弧面が接合され、前記レンズと前記レンズ搭載部との間には間隙が形成されることが好ましい。
【0016】
フック端を有し、前記フレーム上に形成された少なくとも1つの凹溝に配設され、前記ベースの貫通孔に挿設される少なくとも1つの弾性固定部材をさらに備え、前記下ばね上の少なくとも1つの結合部は、前記フック端により前記ベース上に固定されることが好ましい。
【0017】
前記弾性固定部材は金属からなり、前記フック端の他方の端部は、前記回路基板と電気的に接続された導電端であり、前記下ばねを介して電流が前記回路基板から前記コイルへ送られ、前記コイルが通電されると磁性が発生して前記磁性素子に磁力が印加されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、従来のフォーカスレンズを示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造を別の角度から見たときの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造を示す平面図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の第1実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造の線A−Aに沿った断面図である。
【
図6B】
図6Bは、本発明の第1実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造を示す部分拡大図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造を示す断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第3実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造のフレーム及びベースを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(第1実施形態)
まず、
図2、
図3、
図4、
図5、
図6A及び
図6Bを参照して説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造を示す分解斜視図である。
図3は、本発明の第1実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造を別の角度から見たときの分解斜視図である。
図4は、本発明の第1実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造を示す斜視図である。
図5は、本発明の第1実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造を示す平面図である。
図6Aは、本発明の第1実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造の線A−Aに沿った断面図である。
図6Bは、本発明の第1実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造を示す部分拡大図である。
図2、
図3、
図4、
図5、
図6A及び
図6Bに示すように、本発明の第1実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造は、互いに垂直な関係にあるX軸、Y軸及びZ軸で定義されるとともに、画像センサモジュール11、光学レンズモジュール12、補償機構13、フレーム14、ベース15及び少なくとも1つの弾性固定部材16を含む。
【0021】
本発明の第1実施形態において、画像センサモジュール11は、X−Y軸上に位置し、画像キャプチャ経路5がZ軸上に位置し、回路基板111及び画像センサ部材112を含む。画像センサ部材112は、回路基板111上に配設され、画像センサ部材112を介して光学レンズモジュール12が外部からの光線画像をキャプチャする。画像センサ部材112は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)の受光部である。
【0022】
本発明の第1実施形態において、光学レンズモジュール12は、撮像光軸9を有するとともに、Z軸上に位置し、画像センサモジュール11に対応し、最適な結像条件下において、光学レンズモジュール12の撮像光軸9と画像センサモジュール11の画像キャプチャ経路5とがZ軸方向で重なる。また、光学レンズモジュール12は、ズームレンズモジュール又はフォーカスレンズモジュールでもよい。光学レンズモジュール12は、筐体121、レンズ122、レンズ搭載部123、上ばね124、下ばね125、コイル126及び少なくとも1つの磁性素子127を含む。
【0023】
補償機構13は、画像センサモジュール11と光学レンズモジュール12との間に配設され、光学レンズモジュール12のZ軸方向に対する傾斜角度を補償するとともに、凸弧面131と、凸弧面131に対応した凹弧面132とを含む。凸弧面131及び凹弧面132のうちの一つは、光学レンズモジュール12の撮像光軸9と同期で連動する。
【0024】
本発明の第1実施形態において、フレーム14は、中空部142を有
し、フレーム14の底面143を介して回路基板111に固定されて画像センサ部材112上に位置する。ベース15は、光学レンズモジュール12を収容する穿孔154を有する。穿孔154を介し、フレーム14の中空部142によりキャプチャされた光影が、画像センサモジュール11上に投射される。ベース15は、接合面152を介して光学レンズモジュール12下に固定され、フレーム14と接触される。
【0025】
本発明の第1実施形態の光学レンズモジュール12は、ベース15を介して、画像センサモジュール11上に配設されたフレーム14上に結合される。言い換えると、補償機構13の凸弧面131は、ベース15の接合面152と表裏の関係に形成される。凹弧面132は、フレーム14の底面143と表裏の関係に形成される。凹弧面132は、凸弧面131と接合される。
或いは、互いに対応するように配置し、補償機構13の凹弧面132は、ベース15の接合面152に対応した側面に形成され、凸弧面131は、フレーム14の底面143に対応した側面に形成されるが、これらに関してはここでは詳述しない。
【0026】
ベース15は、レンズ搭載部123下に固定され、レンズ122、レンズ搭載部123、上ばね124、下ばね125、コイル126及び磁性素子127を筐体121内に閉鎖するため、ベース15下に形成された凸弧面131は、光学レンズモジュール12の撮像光軸9と同期で連動し、凸弧面131がフレーム14の凹弧面132上で摺動し、光学レンズモジュール12の撮像光軸9と画像センサモジュール11の画像キャプチャ経路5との間に発生するZ軸に対する傾斜誤差(即ちZ軸傾斜(tilt))を許容範囲内に調整する。
【0027】
また、筐体121は、実質上、収容空間1211を内部に有する中空ハウジング構造である。磁性素子127及びコイル126は、互いに位置が対応して筐体121及びレンズ搭載部123上に設置され、第1実施形態のレンズモジュール位置決め構造1の磁性素子127は、4組の磁石が筐体121内の四隅にそれぞれ配設され、レンズ搭載部123の外周に設置されたコイル126にそれぞれ対応する。
レンズ搭載部123上に固定されたコイル126に電流が印加されると、磁性素子127に磁力が生じ、レンズ搭載部123が収容空間1211内でZ軸方向へ変位し、フォーカス又はズームの目的を達成することができる。
【0028】
レンズ122は、ねじ部を利用してレンズ搭載部123中に螺着される。レンズ搭載部123は、上ばね124及び下ばね125を介して筐体121内の収容空間1211中に弾性挟持される。つまり、上ばね124の内リングには、レンズ搭載部123の端面上の対応した所定の複数の固定バンプ1231を係合する複数の固定孔1241が環状分布され、上ばね124の内リングと接続した外リングは、筐体121の収容空間1211内に挟持・固定され、レンズ搭載部123は、上ばね124を介して下ばね125を収容空間1211中に弾性挟持する。上ばね124及び下ばね125は、金属からなり、中空シート状構造を呈する弾性プレートから機械プレス成形方式により製作される。
【0029】
本発明の第1実施形態において、固定部材16は、2組である上、フレーム14の同一側辺に位置する。弾性固定部材16は、それぞれフック端161を有し、フック端161は、フレーム14上の2つの凹溝141内にそれぞれ配設され、ベース15上に形成された2つの貫通孔151中に挿通され、フック端161を利用して下ばね125上の2つの結合部1251がベース15上にそれぞれ固定される。言い換えると、ベース15の接合面152上に複数の固定バンプ153をそれぞれ設け、下ばね125の複数の固定孔1252に対応して係合される。
ベース15と光学レンズモジュール12とが結合される接合面152は、弾性固定部材16を介して下ばね125が接合面152上に弾性係合される。本発明の第1実施形態の弾性固定部材16は、金属からなり、フック端161に位置する他端は、回路基板111と電気的に接続された導電端162であり、下ばね125を介して電流が回路基板111からコイル126上へ伝わり、コイル126が通電されて磁性が生じ、磁性素子127に磁力が印加されると、レンズ搭載部123を筐体121内の収容空間1211中でZ軸方向へ変位させる。
【0030】
図6A及び
図6Bを参照して説明する。
図6A及び
図6Bに示すように、本発明の第1実施形態において、光学レンズモジュール12と画像センサモジュール11とを組み合わせる際、接触面の表面の凹凸により発生する撮像光軸9と画像キャプチャ経路5との間の傾斜により、光学レンズモジュール12の撮像光軸9と画像センサモジュール11の画像キャプチャ経路5とにZ軸方向に対して傾斜が発生することがある。
そのため、ベース15上に形成された凸弧面131と、フレーム14上に形成された凹弧面132との間の2つの弧面間が摺動され、光学レンズモジュール12の撮像光軸9と画像センサモジュール11の画像キャプチャ経路5との間のZ軸方向に対する傾斜誤差を修正し、接着剤により凸弧面131と凹弧面132とを接着し、光学レンズモジュール12と画像センサモジュール11との接触面の表面の凹凸により発生する傾斜誤差を補償し、Z軸傾斜(tilt)を許容範囲内に調整してもよい。
【0031】
以下、本発明の他の実施形態では、大部分の要素は、前述の実施形態と同じか類似しているため、同様の部材及び構造については以下では詳述せず、同じ部材に対しては同じ名称同じ符号を付し、類似の部材には同様の名称が付されるが、元の符号に英文字を加えて区別しているが、これらに関しては詳述しないことをここで予め述べておく。
【0032】
(第2実施形態)
図7を参照して説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造を示す断面図である。
図7に示すように、本発明の第2実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造1aは、第1実施形態と異なり、補償機構13aの凸弧面131aがレンズ122a下に配設され、凹弧面132aがレンズ搭載部123a内に形成され、凹弧面132aには、凸弧面131aが接合される。ベース15aには、接合面152aと表裏の関係で接触面155aが水平に形成される。
フレーム14aには、底面143aと表裏の関係で載置面144aが水平に形成されている。光学レンズモジュール12aのレンズ搭載部123aは、下部に結合されたベース15aがフレーム14a上に結合されている。即ち、ベース15aの接触面155aとフレーム14aの載置面144aとの2つの接触面を基準とし、レンズ122a下の凸弧面131aを介してレンズ搭載部123a内の凹弧面132a上でZ軸傾斜を許容範囲内に調整する。
【0033】
また、レンズ122aとレンズ搭載部123aとの間はネジ部により螺着されるのではなく、レンズ122aとレンズ搭載部123aとの間には所定の間隙8が形成されている。レンズ122aは、間隙8を利用して、下方に形成された凸弧面131aがレンズ搭載部123a内に形成された凹弧面132a上で、能動的に傾斜角度範囲の調整を行い、光学レンズモジュール12aと画像センサモジュール11との間に取り付けて発生させたZ軸傾斜を許容範囲内に調整し、接着剤によりレンズ122aとレンズ搭載部123aとを固定し、補償機構13aの凸弧面131aを凹弧面132a上に固定し、Z軸傾斜が結像に与える影響を最小に抑えることができるため、画像センサモジュール11は好ましい結像効果を得ることができる。
【0034】
(第3実施形態)
図8を参照する。
図8は、本発明の第3実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造のフレーム及びベースを示す側面図である。
図8に示すように、本発明の第3実施形態に係るレンズモジュール位置決め構造は、第1実施形態と異なり、フレーム14bの底面143bと表裏の関係にある面には複数のバンプ133bが形成されている。即ち、補償機構13bは、環状かつアレイ状に配列された複数のバンプ133bにより、
図2、
図3の第1実施形態の凹弧面132とベース15b上の凸弧面131bとが組み合わされると、複数のバンプ133bの頂端が凸弧面131bと接触され、Z軸傾斜を調整することができる。
【0035】
上述したことから判るように、本発明のレンズモジュール位置決め構造1は、互いに垂直な関係にあるX軸、Y軸及びZ軸で定義されるとともに、画像センサモジュール11、光学レンズモジュール12及び補償機構13を含む。画像センサモジュール11は、X−Y軸上に位置し、画像キャプチャ経路5は、Z軸上に位置する。光学レンズモジュール12は、撮像光軸9を有するとともに、Z軸上に位置し、画像センサモジュール11に対応する。
補償機構13は、画像センサモジュール11と光学レンズモジュール12との間に配設され、光学レンズモジュール12のZ軸方向上の傾斜角度を補償するとともに、凸弧面131と、凸弧面131に対応した凹弧面132とを含む。
【0036】
凸弧面131は、光学レンズモジュール12の撮像光軸9と同期で連動し、凸弧面131と凹弧面132との間で摺動し、補償機構13により光学レンズモジュール12の撮像光軸9と画像センサモジュール11の画像キャプチャ経路5との間に発生するZ軸上の傾斜誤差を補償し、Z軸傾斜を許容範囲内に調整する。
【0037】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0038】
1 レンズモジュール位置決め構造
1a レンズモジュール位置決め構造
5 画像キャプチャ経路
7 機械伝動式フォーカス機構
8 間隙
9 撮像光軸
11 画像センサモジュール
12 光学レンズモジュール
12a 光学レンズモジュール
13 補償機構
13a 補償機構
13b 補償機構
14 フレーム
14a フレーム
14b フレーム
15 ベース
15a ベース
15b ベース
16 固定部材
71 駆動部材
72 レンズ群
73 搭載部
111 回路基板
112 画像センサ部材
121 筐体
122 レンズ
122a レンズ
123 レンズ搭載部
123a レンズ搭載部
124 上ばね
125 下ばね
126 コイル
127 磁性素子
131 凸弧面
131a 凸弧面
131b 凸弧面
132 凹弧面
132a 凹弧面
133b バンプ
141 凹溝
142 中空部
143 底面
143a 底面
143b 底面
144a 載置面
151 貫通孔
152 接合面
152a 接合面
152b 接合面
153 固定バンプ
154 穿孔
155a 接触面
161 フック端
162 導電端
1211 収容空間
1231 固定バンプ
1241 固定孔
1251 結合部
1252 固定孔