(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6082076
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】可聴アラーム又は音楽を生成する電子デバイス
(51)【国際特許分類】
G10K 9/122 20060101AFI20170206BHJP
G04G 13/02 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
G10K9/122 171
G04G13/02 Z
G10K9/122 173
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-195633(P2015-195633)
(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公開番号】特開2016-75902(P2016-75902A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2015年10月1日
(31)【優先権主張番号】14187778.7
(32)【優先日】2014年10月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】マッシミリアーノ,ブラッコ
【審査官】
千本 潤介
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭54−136194(JP,A)
【文献】
実開昭59−141398(JP,U)
【文献】
実開昭57−148472(JP,U)
【文献】
特開平04−313369(JP,A)
【文献】
米国特許第05181019(US,A)
【文献】
特開2012−105241(JP,A)
【文献】
特開平03−085022(JP,A)
【文献】
実開昭63−066899(JP,U)
【文献】
実開昭60−145500(JP,U)
【文献】
実開昭60−076400(JP,U)
【文献】
特開昭63−267098(JP,A)
【文献】
実開昭61−055983(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 9/122
G04G 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1のコイル(L1)及びブザーを含み、前記ブザーは、前記第1のコイル(L1)と直列に接続した少なくとも1つのコンデンサ(Cb)を含む電子デバイスであって、前記電子デバイスを作動すると可聴アラーム又は音楽を生成する、可聴アラーム又は音楽を生成する電子デバイス(1)であって、
前記電子デバイス(1)は、前記コンデンサ(Cb)からの信号の導関数を生成するために、前記第1のコイル(L1)と前記ブザーの前記コンデンサ(Cb)との間の接続ノードに接続した微分回路(3)、及び前記微分回路(3)の微分信号(Vder)と基準電圧(Ref)とを比較する比較器(4)をフィードバック・ループ内に含み、前記比較器は、出力信号(Vcomp)を前記第1のコイル(L1)に供給して前記コンデンサ(Cb)にかかる前記信号を増幅し、少なくとも1つの可聴アラームを生成するようにすることを特徴とする、電子デバイス。
【請求項2】
前記比較器(4)は、前記微分信号(Vder)を受け入れる第1の正入力、及び前記基準電圧(Ref)を受け入れる第2の負入力を含み、前記コンデンサ(Cb)が充電段階にあるときは出力信号(Vcomp)を高い状態、即ち正電圧で前記第1のコイル(L1)に供給するようにし、前記コンデンサ(Cb)が放電段階にあるときは低い状態、即ちゼロ電圧で出力信号(Vcomp)を前記第1のコイル(L1)に供給するようにすることを特徴とする、請求項1に記載の電子デバイス(1)。
【請求項3】
前記比較器(4)の前記第2の負入力は、前記コンデンサ(Cb)の前記充電段階全体を通して出力信号を高い状態で前記第1のコイル(L1)に供給するために、供給電圧(Vdd)の半分に等しい電圧として定義した基準電圧を受け取ることを特徴とする、請求項2に記載の電子デバイス(1)。
【請求項4】
前記比較器(4)はヒステリシス比較器であることを特徴とする、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記微分回路(3)は、微分コンデンサ(C1)及び抵抗器(R1)を含み、前記微分コンデンサ(C1)は、一方を前記第1のコイル(L1)と前記ブザーの前記コンデンサ(Cb)との間の前記接続ノードに接続し、他方を増幅器(13)の第1の負入力に接続し、前記増幅器の第2の正入力は、ゼロ電圧又は接地端子に接続し、前記抵抗器(R1)は、前記第1の負入力と、前記微分信号(Vder)を供給する前記増幅器(13)の出力との間に接続することを特徴とする、請求項1に記載の電子デバイス(1)。
【請求項6】
前記電子デバイスは、前記電子デバイスを作動したときに前記コンデンサ(Cb)を事前充電するために、前記第1のコイル(L1)と前記コンデンサ(Cb)との間の前記接続ノードに接続した事前充電回路(9)を含むことを特徴とする、請求項1から5のうちいずれか一項に記載の電子デバイス(1)。
【請求項7】
前記電子デバイス(1)は、前記コンデンサ(Cb)にかかる発振信号の振幅を制限するために、前記第1のコイル(L1)と前記コンデンサ(Cb)との間の前記接続ノードに接続した電圧制限器回路(8)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電子デバイス(1)。
【請求項8】
前記コンデンサ(Cb)は、前記第1のコイル(L1)に接続した第1の電極、及びスイッチ(7)によりゼロ電圧又は接地端子に接続した第2の電極を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電子デバイス(1)。
【請求項9】
前記電子デバイス(1)は、前記スイッチ(7)により前記コンデンサ(Cb)の前記第2の電極に接続した第2のコイル(L2)を含み、
前記スイッチ(7)は、前記コンデンサ(Cb)の前記第2の電極を前記接地端子又は前記第2のコイル(L2)に接続するために制御ユニット(5)により制御されるものであることを特徴とする、請求項8に記載の電子デバイス(1)。
【請求項10】
前記第2のコイル(L2)のもう一方の端部は、論理ユニット(6)に接続し、前記論理ユニット(6)は、前記制御ユニット(5)によって制御されるマルチプレクサ(10)により前記第1のコイル(L1)にも接続し、前記比較器(4)の前記出力信号(Vcomp)は、やはり前記マルチプレクサ(10)により前記第1のコイル(L1)に供給され、前記マルチプレクサ(10)は、前記制御ユニット(5)の選択信号(Sel)によって制御されるものであり、前記選択信号(Sel)の第1の状態において、前記第1のコイル(L1)を前記比較器(4)の前記出力信号(Vcomp)に接続し、前記コンデンサ(Cb)の前記第2の電極を前記接地端子に接続し、前記選択信号(Sel)の第2の状態において、前記第1のコイル(L1)を前記論理ユニット(6)に接続し、前記コンデンサ(Cb)の前記第2の電極を前記第2のコイル(L2)に接続することを特徴とする、請求項9に記載の電子デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可聴アラーム又は音楽を生成する電子デバイスに関する。該デバイスは、時計等の可搬式電子機器に取り付けられる。このデバイスは、特に、容量型ブザーに接続した少なくとも1つのコイルを含む。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1つのブザー、具体的には圧電素子を備える従来の電子システムには、ブザーに連結したコイルが設けられており、ブザー及びコイルの両方は、制御回路に接続する。制御回路は、供給電圧源の2つの端子の間にコイル及びブザーと直列に配置したトランジスタを含むことができる。電子システムがアラーム等の音を生成する動作状態にある場合、パルスがトランジスタのゲート又はベースに印加されてコイル及びブザーにより形成した組立体を励振させる。
【0003】
一般に、コイル及びブザーにより形成した組立体の共振周波数の関数として制御回路の周波数を調節することが求められる。このことを実現するには、共振周波数を測定する第1の段階を設けなければならない。次に、フィードバック・ループにおいて、機械音生成組立体の応答をサンプリングして制御パルスの周波数を調節できる。この周波数は、必要とする電気エネルギーを制限しながら十分な音量を有する音を生成するために、機械音生成組立体の共振周波数の近くに調節しなければならない。しかし、制御回路にとって、この調節した周波数で永続的に動作することは困難であることに留意されたい。というのは、機械組立体は、経時的にその物理的パラメータの自然な変化を受けることが多いためである。販売後の作業で共振システムを交換することも、元のデバイスの効率を損なうおそれがある。このことは、そのような従来の電子システムの欠点とみなされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、現況技術の上述した欠点を克服した、可聴アラーム又は音楽を生成する電子デバイスを提供することであり、経時的な共振システムの変化に関わらず、低い供給電圧で高音量のアラーム又は音楽を生成するようにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的で、本発明は、独立請求項1に記載する特徴を含む、可聴アラーム又は音楽を生成する電子デバイスに関する。
【0006】
可聴アラーム又は音楽を生成する電子デバイスの特定の実施形態は、従属請求項2から10のうちいずれか一項で定義する。
【0007】
可聴アラームを生成する電子デバイスの1つの利点は、正のフィードバック・ループを設けることにあり、この正のフィードバック・ループにおいて、容量型アラーム・デバイス又はブザーにかかる電圧の導関数を測定する。共振効果は、コイル及びブザーにより形成した組立体の共振周波数を計算する必要なく、ブザーの物理的パラメータのあらゆる変動又は変化とは無関係に得られる。
【0008】
可聴アラーム又は音楽を生成する電子デバイスの目的、利点及び特徴は、図面により示す少なくとも1つの非限定実施形態に基づき、以下の説明でより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による、可聴アラーム又は音楽を生成するデバイスの様々な構成要素の簡略図である。
【
図2】本発明による、可聴アラーム又は音楽を生成するデバイスの様々な信号の図である。
【
図3】本発明によるデバイスを動作する間、コンデンサによる第1の近似値としてモデル化した、ブザーの出力信号の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、当業者に周知である電子デバイスの全ての電子構成要素は、簡略的にのみ説明する。
【0011】
図1は、電子デバイス又は電子回路1の一実施形態を示す。電子デバイス1は、電池等の従来の供給電圧源により動力供給される。電子デバイス1は、音又は音楽Soutを生成する容量型ブザーCbに接続した第1のコイル又は誘導子L1から形成した組立体2を含む。第1のコイルL1は、ブザーCbの第1の電極に接続する一方で、ブザーCbの第2の電極は、スイッチ7によりゼロ電圧又は接地端子に接続できる。
【0012】
ブザーCbは、圧電素子を上に配置する音響メンブレンから形成できることに留意されたい。この圧電素子は、電気的に作動してメンブレンを振動させることができ、こうして音又は音楽を生成する。圧電素子は、一般に、第1の分岐の抵抗器内の第1の電極と第2の電極との間に形成し、誘導子内の第1の電極と第2の電極との間に形成し、第1のコンデンサ内の第1の電極と第2の電極との間に直列に形成し、第2の平行分岐の第2のコンデンサ内の第1の電極と第2の電極との間に形成する。第2のコンデンサは、第1の分岐の他の構成要素よりもはるかに大きさが大きいものであり、第1の近似値として、前記圧電素子をコンデンサCbとみなすことが可能である。これらの条件において、本明細書では、メンブレンによる音又は音楽の生成は、コンデンサCbの作動により得られるので容量型ブザーと呼ぶ。
【0013】
フィードバック・ループでは、電子デバイス1は、微分回路3も含み、微分回路3は、第1のコイルL1とブザーCbとの間の接続ノードに接続する。微分回路3は、ブザーCbの第1の電極にかかる信号の導関数を生成するために設ける。微分回路3の出力における微分信号Vderは、比較器4の第1の入力に供給され、比較器4の第2の入力は、微分回路3の微分信号Vderと比較するための基準電圧Refを受け取る。好ましくは、比較器4の第1の入力は、正入力である一方で、比較器4の第2の入力は、負入力である。更に、基準電圧Refは、電子デバイスの供給電圧Vddの半分、即ちVdd/2で設定できる。比較器4の出力信号Vcompは、第1の誘導子L1の自由端に供給され、ブザーCbによる音又は音楽Soutの生成を起動する。
【0014】
基準電圧Refは、供給電圧源Vddに直列に接続した第1の抵抗器Rd1及び第2の抵抗器Rd2から構成する抵抗分割器によって得ることができ、供給電圧源Vddは、電子デバイス1の様々な構成要素に動力供給することに留意されたい。好ましくは、フォロワ増幅器14も、2つの抵抗器Rd1及びRd2の接続ノードに接続した正入力、及びフォロワ増幅器14の出力に接続した、基準電圧Refを供給する負入力を備えることができる。2つの抵抗器が同じ抵抗値を有する場合、Vdd/2に等しい基準電圧Refが提供されることになるが、2つの抵抗器は、ブザーCbの所望の駆動方式に応じて基準電圧Refを変更するために異なる抵抗値を有することもできる。
【0015】
本発明の原理によれば、第1の誘導子L1及びブザーCbから構成する組立体2を有するフィードバック・ループは、ブザーのコンデンサCbが充電段階にある場合は第1のコイルL1を正電圧又は正電圧パルスで駆動するように構成する。反対に、第1のコイルL1は、ブザーのコンデンサCbが放電段階にある場合はゼロ電圧を受け取る。したがって、比較器4の出力信号Vcompは、正電圧パルスを供給するための高い状態、及びゼロ電圧を供給するための低い状態にある。
【0016】
フィードバック・ループ内の正のフィードバックで発振を生じさせることにある、本発明のこの原理では、ブザー又は可聴アラームのコンデンサCbに貯蔵したエネルギーを増大することが可能である。第1のコイルL1とコンデンサCbとの間の接続ノードにおける発振は、共振周波数に強制的に近付けられる。したがって、ブザーの共振周波数を計算する段階を設けることはもはや必要ない。というのは、コンデンサCbにかかる駆動信号は、電子デバイスのライフ・サイクル全体にわたって、各アラーム又はブザーに対して共振効果をもたらすことができるためである。
【0017】
図1を参照しながら説明する一実施形態によれば、微分回路3は、コンデンサCbにかかる信号の導関数を生成するために、微分コンデンサC1、抵抗器R1及び増幅器13を含む構成を含むことができる。微分コンデンサC1の第1の電極は、第1のコイルL1とブザーのコンデンサCbとの間の接続ノードに接続でき、第2の電極は、増幅器13の第1の入力に接続する。増幅器13の第2の入力は、好ましくは接地端子に接続する。微分抵抗器R1は、増幅器13の第1の入力と、出力信号Vderを供給する増幅器13の出力との間に配置する。増幅器13の第1の入力は、負入力である一方で、増幅器13の第2の入力は、正入力である。
【0018】
微分回路3は、コンデンサCbが生成した発振信号のレベル及び振幅を調節する手段(図示せず)を含むこともできる。この発振信号は、好ましくは−10Vから+10Vの間で変動できる正弦波電圧である。微分回路信号は、原則的に、その電圧が電子デバイス3の供給電圧Vddよりも低い信号でなければならない。供給電圧Vddは、約1V程度とすることができる。
【0019】
比較器4は、ヒステリシス比較器であってもよいことに留意されたい。ヒステリシス比較器は、微分信号Vderと基準電圧Refとの比較に基づき、第1のコイルL1に供給される出力信号Vcompの2つの状態を明確に定義でき、基準電圧Refは、Vdd/2、又は用途に従って調節した別の電圧とすることができる。
【0020】
電子デバイス1は、第1のコイル又は誘導子L1とブザーのコンデンサCbとの間の接続ノードに接続した事前充電回路9を含むこともできる。電子デバイス1が動作状態にあるとき、この事前充電回路9はコンデンサCbを充電する。最初にコンデンサCbを事前充電しておくと、微分回路3がゼロ微分信号Vderを供給するのを防ぎ、全てのフィードバック・ループ構成要素が、音又は音楽の発生を禁止する定常状態のままでいるのを防止する。
【0021】
電子デバイス1は、第1のコイル又は誘導子L1とブザーのコンデンサCbとの間の接続ノードに接続した電圧制限器8も含むことができる。コンデンサCbにかかり生じる交流電圧の振幅は、メンブレンによって音の生成のために増大されるので、電圧制限器8は、発振を規定の電圧振幅に制限する。電圧制限器は、コンデンサCbと平行に組み付けた、規定の遮断電圧を有する2つの逆平行ダイオードとして考案できる。
【0022】
電子デバイス1は、第2のコイル又は誘導子L2も組立体2内に含むことができる。この第2のコイルL2は、スイッチ7によりブザーのコンデンサCbの第2の電極に接続する。第2のコイルL2のもう一方の端部は、DSP論理ユニット6に接続する。このDSP論理ユニット6は、制御ユニット5により制御されるマルチプレクサ10により第1のコイルL1の自由端にも接続できる。
【0023】
DSP論理ユニット6並びに第1のコイルL1及び第2のコイルL2は、例えば音楽を生成するように構成する。したがって、デジタル・オーディオ信号は、DSP論理ユニット6内で生成できる。DSP論理ユニットは、シグマ−デルタ回路内に配置したFIRデジタル・フィルタも含まなくてはならず、このシグマ−デルタ回路には、信号をデジタル・フィルタリングしてブザーCb内で音楽又はメロディを生成する2つのコイルL1及びL2を必要とする。
【0024】
電子デバイス1の制御ユニット5は、信号Enによりデバイスの様々な構成要素を可能にし、アラーム等の可聴警告の生成又は音楽若しくはメロディの生成を選択するために使用できる。可聴アラーム又は音楽を生成するために、選択信号Selは、マルチプレクサ10及びスイッチ7を制御する。可聴アラームを選択信号Selの第1の状態で生成するには、第1のコイルL1は、比較器4の出力に接続し、コンデンサCbの第2の電極は、接地に接続する。メロディを選択信号Selの第2の状態で生成するには、第1のコイルをDSP論理ユニット6に接続し、コンデンサCbの第2の電極を第2のコイルL2に接続し、第2のコイルL2は、DSP論理ユニット6にも接続する。
【0025】
上記のように、事前充電回路9は、可聴アラームを自動的に増幅させて生成するために、コンデンサCbを充電してフィードバック・ループを作動させなければならない。当然ながら、フィードバック・ループ初期化段階が完了するとすぐに、事前充電回路9は切断できる。可聴アラームの生成に必要な構成要素のみ、又は音楽若しくはメロディの生成に必要な構成要素のみを制御ユニット5の命令に基づき作動するということも提供できる。しかし、本発明及び、
図1を参照して提示する電子デバイス1の構成によれば、ブザーのコンデンサCb内に貯蔵したエネルギーの増幅又は増大は、可聴アラームの生成時にのみ生じる。この特定のケースにおいて、相補的なDC−DC回路又はチャージ・ポンプ回路を使用せずに、高音量アラームを得ることができる。
【0026】
第1のコイルL1及び第2のコイルL2並びにブザーのコンデンサCbは、上記した電子デバイス1の他の部品と容易に統合できない構成要素であることに留意されたい。非限定的な例として、第1の誘導子L1及び第2の誘導子L2は、100μH程度の誘導値を有することができ、コンデンサCbの静電容量は、10μF程度の値とすることができる。このことにより、可聴範囲内の約5kHzの共振周波数を発生させることが可能になる。微分回路3では、抵抗器R1は、10MOhm程度の抵抗値を有することができ、微分コンデンサC1の静電容量は、10pF程度の値とすることができる。したがって、これら2つの構成要素は、電子デバイス1の他の部品と統合できる。
【0027】
可聴アラームを生成するケースにおいて、
図2は、フィードバック・ループ内の様々な信号を示す。
図2は、まず、正弦波電圧VCbである、コンデンサCbにかかる発振信号を示す。コンデンサCbにかかるこの発振信号をそのAC成分により表す。
図2は、正弦波電圧Vderであるが電圧VCbから90°位相がずれた、微分回路出力における微分信号Vder、及び第1の誘導子を制御するパルス電圧Vcompである比較器出力信号も示す。
【0028】
本発明によれば、パルス電圧Vcompは、コンデンサCbがパルス電圧Vcompの期間の間増大するVCbで充電された場合、正電圧であることに留意されたい。しかし、コンデンサCbを放電する間、電圧VCbは、ゼロ電圧Vcompと共に減少し、このことが望ましい。したがって、コンデンサCbにかかる電圧の自動的な増加は、可聴アラーム生成デバイスが作動するとすぐに、共振周波数を調節する必要がなく生じる。
【0029】
図2に示す信号に応じて、微分信号Vderは、有利には供給電圧Vddの半分に対応する電圧である、比較器内の基準電圧と比較する。このことにより、ブザーのコンデンサCbの充電全体を通して、比較器Vcompの出力で正電圧パルスを供給することが可能になる。にもかかわらず、低い正電圧であれば、本発明によるフィードバック・ループのために、ブザーにより生じる音を増幅させることが可能である。
【0030】
図3は、コンデンサCbにかかる信号の変化を単純に示し、経時的に正弦波電圧が増大することを示す。電圧制限器の影響は、
図3に示さない。理想的な状況では、コンデンサCbにかかる発振の振幅は、最大数キロボルトまで増大できる。しかし、第1のコイル及びブザーに内部抵抗器を用いる通常のケースでは、電圧の最大振幅は、約10ボルトであり、これにより、電子デバイスの多数の構成要素を統合可能にする。
【0031】
上記で示してきた説明より、特許請求の範囲により定義した本発明の範囲から逸脱することなく、電子デバイスのいくつかの変形実施形態を当業者は考案できる。音楽を生成する電子デバイス内への同様のフィードバック・ループの作製を想定することが可能である。電圧制限器に対する電圧制限は、制御ユニットを使用して調節できる。電子デバイスは、作動後、設定した時間期間の後に無効化できる。
【符号の説明】
【0032】
1 電子デバイス
3 微分回路
4 比較器
5 制御ユニット
6 論理ユニット
8 電圧制限器回路
10 マルチプレクサ
13 増幅器