(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記差動機構は、前記カレンダー機構(700)が備える月カム(9)上の現在の月の期間を測定するための読み取り用フィーラスピンドル(53)を有する読み取り用リフティングレバー(3)を備え、
前記読み取り用リフティングレバー(3)は、前記差動機構(500)の第1の入力を形成し、
前記差動機構(500)の第2の入力は、前記日毎カウントダウン機構(300)が備える三十一車(31)で形成され、この三十一車(31)は、前記日毎カウントダウン機構(300)が備えるメインフィンガー(1)によって位置が合わされ、
毎日日付が変わる時点において前記万年レバー(2)によって操作されて、これによって、前記差動機構(500)の出力において前記付加的調整カム(20)の角位置を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の万年暦機構(100)。
前記差動機構(500)は、差動軸(D2)を軸として回転するようにマウントされるメインアーバー(84)と歯付き遊星キャリアプレート(82)を有する遊星ギア差動機構であり、
前記メインアーバー(84)の下側部分は、駆動車(92)と噛み合う軸車(83)と一体化されており、この駆動車(92)は、日軸(D1)を軸として前記三十一車(31)と共軸であって一体化されており、
前記メインアーバー(84)の上側部分は、軸ピニオン(85)を支えており、
前記歯付き遊星キャリアプレート(82)は、前記メインアーバー(84)の肩部を軸として自由回転するようにマウントされており、
前記歯付き遊星キャリアプレート(82)は、その歯を介して、前記付加的調整カム(20)と一体化されている付加的ピニオン(21)と噛み合い、
前記付加的調整カム(20)は、前記日軸(D1)を軸として回転するようにマウントされている可動な日付調整カムであり、
前記歯付き遊星キャリアプレート(82)は、中心からずれている遊星アーバー(87)を支えており、
前記遊星アーバー(87)は、自由回転するようにマウントされた遊星ピニオン(86)を支えており、
前記遊星ピニオン(86)は、一方では、前記メインアーバー(84)の前記軸ピニオン(85)と噛み合い、他方では、歯付きクラウン(30)と噛み合い、
この歯付きクラウン(30)は、前記読み取り用リフティングレバー(3)と一体化されており、前記遊星ピニオン(86)とのみ噛み合い、これによって、前記歯付きクラウン(30)の前記差動軸(D2)に対するセンタリングを確実にする
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の万年暦機構(100)。
【背景技術】
【0005】
最も伝統的な日付計時器が、特に、文献「Les montres compliquees(複雑な腕時計のガイド)」(Francois Lecoultre著、スイス国ビエンヌのEditions Horlogeresによる出版)に記載されている。
【0006】
即時日付機構において、曜日、月及び日付用の星形車はすべて、万年レバーに備えられ、計時器用ムーブメントのプレートまたはブリッジにピボットマウントされており、かつ、急な運動で日付が変わった場合の日付変更機能をくちばし部と2つの爪の作用によって正確な時点に実現するような、同じ万年レバーによって作動される。このような飛びは、真夜中ごろに行われる。
【0007】
この万年レバーは、くちばし部の1つが月カムの第1のセクターに当接するような休止位置にばねによって戻される。この月カムは、年当たり1回転する12の歯を備えた月の星形車又は4年で1回転する48の歯を備えた星形車によって支えられる。この月カムの半径は、当該月の日の数を表すものであって、これは、深さが大きいこともあり小さいこともあるようなノッチの形態、又は多かれ少なかれ突き出ている部分の形態である。
【0008】
この万年レバーは、ムーブメントに接続され24時間で1回転する車によって不意に回転するために作られ、この車は、ばねによって戻されるレバーにマウントされたローラーに当接させてハート形の部品を駆動するためのピンを支えている。このハート形の部品が先端を通ると、万年レバーのくちばし部を駆動するフィンガーの急な運動をトリガーさせる。
【0009】
その回転運動の際には、万年レバーは、月カムから離れ、その運動を終わる際に月カムに道節するように戻る。これは、回転が当該月に生じた場合には、同じ位置に戻り、あるいは日付変更時に作動されたときに月カムが回転した場合には、月カムの第1のセクターの隣のセクターに当接するような位置に戻る。
【0010】
万年レバーの別のくちばし部が曜日の星形車の回転を制御する。日の連続が無期限であるので、特定の機構は必要ではない。なぜなら、この星形車の位置を1ステップずつ増分することで十分であるからである。
【0011】
31の歯を備えた三十一星形車の回転は、31の爪の最初の爪によって達成される。この爪は、万年レバーにピボットマウントされ、この爪の回転は、レバーに固定されたピンによって制限されている。この三十一星形車は、両方がスネールカムである第1のカム及び第2のカムと一体化されて回転する。
【0012】
第1のスネールカムは、回転する月レバーが備える第1のフィーラスピンドルと連係するように構成する。この月レバーは、ばねによって第1のカムの方へ戻される。この第1のカムの機能は、月レバーを適切な時に落とすことである。このために、月レバーは、フィーラスピンドルとは反対側に第2のフィーラスピンドルを有し、この第2のフィーラスピンドルは、12の歯を備えた月星形車と連係し、フィーラスピンドルがスネールカムの大きな半径の部分から小さな半径の部分まで落ちたときに月星形車を1つの歯の分押すように構成する。
【0013】
第2のスネールカムは、万年レバーによって支えらればねによって万年レバー上で休む単一のノッチを有する。このノッチに対して、月末調整用爪と呼ばれる第2の爪が作用する。この第2の爪は、31日よりも少ない数の日しかない月のみに機能する。
【0014】
28日しかない2月の末日においては、万年レバーのくちばし部は、月カムの最も深いノッチにあり、そして、この月の27日から28日に変わる際には、第2の爪が第2のスネールカムのノッチに係合する。万年レバーのこの特定のセッティングによって、万年レバーがその月の28日の真夜中ごろに飛ぶ際に、第2の爪が三十一星形車の4つの歯をともに駆動することを可能になる。同時に、第1のスネールカムは、月レバーの回転を作動させる。この月レバーは、月星形車、したがって、月カムを駆動し、翌月(この場合、3月)に対応するセクターへと移る。結果的に、万年レバーは、第2の爪の落ちが4日遅れるように3月には新しい休止位置となる。したがって、3月28日から4月1日までは、この第2の爪は、三十一星形車の1つの歯を1回駆動するだけである。
【0015】
同様に、30日の月に対応する月カムのノッチは、当該月の30日の夜に第2の爪が三十一星形車の2つの歯を駆動するように構成する。
【0016】
同様に、閏年に29日ある2月の月カムのノッチは、第2の爪が29日の夜に三十一星形車の3つの歯を駆動するように構成する。
【0017】
この実績のあるシステムは、即時万年日付機構の適正動作を確実にするために2つの爪を必要とする。
【0018】
DUBOIS & DEPRAZ SA名義のスイス特許出願CH660440A3は、ムーブメントによって駆動される大きなレバーを有し、5つのフィンガー及び1つの爪を有するような万年暦機構を開示している。この爪は、三十一日車に固定されるスネールカムの周囲に当接する。この車は、四十八月車と連係することができるアクチュエーティングフィンガーを支える。第1のフィンガーは、レバーの一端で形成され、アクチュエーティングフィンガーの経路に置かれ、このアクチュエーティングフィンガーは、二十四時車によって支えられたピンによって駆動することができる。このアクチュエーティングフィンガーは、万年日付機構を作動させるカムを形成する凸状の背部を支える。閏年では、閏年カムが備えるレバーとフィンガーが接触し始める。第3のフィンガーは、十二月カムと連係する。駆動くちばし部を形成する第4のフィンガーは、スネールカムを支える三十一日車の歯と連係し、この第4のフィンガーは、毎日はたらき、他方、レバーによって支えられた爪は、月末においてのみはたらく。第2の駆動くちばし部を形成する第5のフィンガーは、七日星形車と連係する。この構造によって、中断は、1つの飛びで数日間(1日から27日まで)発生するのか又はいくつかの飛びで数日間(28日から31日まで)発生するのかに応じて異なる。結果的に、トルクが不規則的に使用され、機構のふるまいは進行中の月の長さによって異なる。
【0019】
MONTRES BREGUET SA名義の欧州特許出願EP2503411は、カレンダー機構が備える万年レバーの回転運動を1日に1回制御するように構成するムーブメントを有する計時器用のカレンダー機構について記載している。この機構は、万年十二カムを駆動する手段を有し、これは、各月の期間に応じて異なる半径方向の寸法を有する連続する月に対応する12のセクターを有し、1年当たり1回転する。また、この機構は、1つの爪を有し、1つの爪フィンガーを有する。これは、万年レバーにヒンジ付けされており、三十一ラチェット車が備える歯と直接連係するように構成する。この三十一ラチェット車は、直接又は間接的にカレンダー表示手段を制御する三十一スネールカムの回転軸のまわりを一体化されて回転する。カウントダウン機構の位置を決める第2のカムは、現在の月及び現在の日に応じて爪フィンガーと車の間の連係の継続期間を調整するように構成し、作動させる車の歯の数を毎日決める。万年十二カムが備えるピンの位置に応じて万年十二カム上の現在の月の期間を測定するカウントダウン機構によって、爪フィンガーのくちばし部と、三十一ラチェット車との間の連係を制限したり防いだりすることが可能になる。
【0020】
ROGER DUBUIS名義の欧州特許出願EP1349020A1は、大きなフォーマットのディスプレー及び即時飛び機構を備えたカレンダー計時器を開示している。これは、時間指示トレーンと、及び31の歯を備えた車を有するカレンダー車セットとを有する。また、10の歯を備えた単位ピニオンを駆動するための30の歯と1つの歯に対応する空隙を備えた単位車と、及び4つの歯を備えた十の位用星形車を駆動するための4の歯を備えた車とを有し、12の歯を備えた車と一体化されている年カムと、時間指示トレーンに接続され、月当たり1回転、カレンダー車セットを駆動し、年当たり1回転、年カムを駆動する駆動手段を有する。これにおいて、カレンダー車セットは、訂正要素と一体化されており、駆動手段は、時間指示トレーンに接続された車と一体的であって1日当たり1回転する即時飛びカムと、引き込めることができる駆動フィンガーを装備した駆動レバーと、即時飛びカムに対して駆動レバーを押す弾性手段と、訂正要素と噛み合う引き込めることができる駆動フィンガーを有する訂正レバーと、年カムの位置を検出するように意図されたフィーラスピンドルと、及びこれらのレバーを互いに接続するための弾性手段とを有し、フィーラによって検出される年カム位置の関数として、訂正要素と噛み合う訂正レバーの引き込めることができる駆動フィンガーを選択的に配置する。
【0021】
ROTH & GENTA名義の欧州特許出願EPEP1524564A1は、少なくとも1つの月カムを有する年次又は万年暦表示機構を有する計時器について記載している。この機構は、さらに、月の日数を表示するための可動要素を有し、これは、少なくとも1つの固定インジケーター要素及び可動インジケーター要素を月カムに接続するための接続に対して動くことができる。これによって、毎月、この月の日数を表示する可動要素は、固定インジケーター要素に対して、月カムの位置の特徴を有する位置を占める。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、既知の機構よりも容易に計時器内において構成することができる日付機構を提示するものであり、特に、この機構は、複雑な機構によって密集していない腕時計の周領域において構成することができる。
【0029】
本発明は、後退することができるか即時的であるかどうかにかかわらず、カレンダー表示に適用可能である。
【0030】
本発明は、通常の日付機構を万年暦機構に変えるために既存の機構に容易に組み入れられることを意図して考えられた。
【0031】
本発明は、計時器1000用の万年暦機構100に関し、これは、この万年暦機構100のムーブメントを制御する計時器用ムーブメント200を有する。
【0032】
この万年暦機構100は、様々なリフティングレバー及び他のレバーを有する。その形態は、ここでは単に説明のために示したものであり、これらは、実質的に、計時器が備える他の複雑な機構によって、また、いずれの干渉も防ぐ要求によって、決まるものである。これは、実際の機能に必要なものよりも複雑な形態をもたらしうる。
【0033】
同様に、本発明は、任意の所望の周期に適合することができることを理解できるであろう。当業者であれば、ここで具体的に設定した日の周期を変える方法をわかるであろう。同様に、本発明は、28〜31日の月が1年当たり12あるようなここで記載した制御メンバーを、いくつかの異なる周期及び異なる継続時間の振幅を有する他の制御要素に置き換えることによって、特定のカレンダーに使用することができる。例えば、太陰暦などのカレンダーである。
【0034】
本出願人による欧州特許出願EP2503411の内容を参照によって本明細書に組み入れる。既知の方法、特に、この欧州特許出願EP2503411に記載の方法では、ムーブメント200は、万年暦機構100が備える万年レバー2の回転運動を1日当たり1回させるように構成する。好ましい実施形態においては、図に示すように、万年暦機構100は、通常の年又は閏年の2月の期間を調整する機構を有する。別の変種においては、よく知られている世紀の最後の年の場合も調整する機構を有する。
【0035】
本発明に係る万年暦機構100は、現在の月の期間を決め、日毎カウントダウン機構300によって現在の月が変わるごとに更新されるように構成するカレンダー機構700と、及び毎日の日付が変わる時点において、日毎カウントダウン機構300及びカレンダー機構700の両方から得られた情報に基づいて日毎カウントダウン機構300の運動を制御するように構成する差動機構500とを組み合わせる。
【0036】
より詳細には、万年暦機構100は、カレンダー機構700と、月末調整機構600を有する日毎カウントダウン機構300と、及び差動機構500とを有し、カレンダー機構700は、現在の月の期間を決めるように構成し、日毎カウントダウン機構300によって現在の月が変わるごとに更新され、差動機構500は、毎日日付が変わる時点において、日毎カウントダウン機構300から得られた現在の日についての情報及びカレンダー機構700から得られた現在の月の期間についての情報に基づいて、月末調整機構600の車セットの運動を制御するように構成する。
【0037】
カレンダー機構700は、好ましくは、通常の部品、特に、以下において「月カム」9と呼ぶ万年十二カムを有する。これは、月軸D4のまわりを回転し、以下のいくつかの異なる形態をとることができる。
−
図1〜12に示すように、連続する月に対応する12のセクターを有するカムであって、これは、各月の期間に応じて異なる半径方向の寸法を有し、1年当たり1回転し、カムによって支えられた閏年カム79と組み合わさって、現在の年の2月の期間を決めるもの、又は
−
図13に示すように、閏年を含む4年の期間にわたる連続月に対応する48のセクターを有する四年カム、又は
− 別の形態
である。
【0038】
以下に示すように、この月カム9は、万年暦機構100自身によって駆動され、1年当たり1回転する。
【0039】
閏年カムを使用する変種では、月カム9は、4つの歯を備える閏年車及び12の歯を備えるラチェット車と共軸であって月軸D4を軸とする。月カム9は、マルタ十字カムなどの閏年カムを支え、この閏年カムの回転は、4つの歯を備えた閏年車によって制御される。このような月カム9及び閏年車で形成されるアセンブリーは、月表示インジケーターを支持ないし駆動する。
【0040】
月カム9は、ジャンパーばね89によって所定位置に保持される月ラチェット69と一体化されて回転する。月カム9は、
図1において円で囲って示した28/29/30/31の日数の期間に対応する一連の異なる経路を示した単純化された説明用の表現として図において示した。当然、カレンダー機構700には、通常の月のシーケンス及び月の期間調整を行う伝統的な月カムを組み入れることもできる。
【0041】
カレンダー機構700は、さらに、既知の手法で、軸D5のまわりを回転するリフティングレバー12を有し、これは、ばね(図示せず)によって戻される。このリフティングレバー12は、フィーラスピンドル512を支える。これは、日毎カウントダウン機構300に備えられ、「三十一カム」4と呼ぶ日付スネールカムの輪郭42を追跡する。日毎カウントダウン機構300については、下で詳細に説明する。このフィーラスピンドル512は、輪郭42に含まれる半径方向のランプ43を通過する際に、三十一カム4の作用の下で、月が変わるごとに、急な飛びを行うように構成する。このリフティングレバー12は、さらに、フック8を支える。これは、月が変わる際に月ラチェット69を牽引して、1ステップ進ませるように構成する。
【0042】
このリフティングレバー12は、さらに、カレンダー表示インジケーター412を動作させるラック912を支える。これは、計時器1000の表示手段400の一部を形成する。
【0043】
このようにして、リフティングレバー12は、日付を連続的に表示し、そのフィーラスピンドル512は、三十一カム4の周にて休む。月末には、フィーラスピンドル512が三十一カム4の半径方向のランプ43を飛び越える。このことによって、リフティングレバー12が軸D5のまわりに最大に動くときに、月ラチェット69が回転運動する。これによって、牽引力がはたらく。月ラチェット69の回転は、これと一体化されている月カム9の回転を引き起こす。
【0044】
日毎カウントダウン機構300は、計時器用ムーブメント200とのインタフェース部分において、万年レバー2を有する。万年レバー2は、計時器1000のプレート又はブリッジに対して回転し、ムーブメント200は、1日当たり1回、万年レバー2の急な回転を引き起こす。この万年レバー2は、ムーブメント200によって駆動されないときには、ばねによって休止位置に戻される。
【0045】
特定の実施形態において、万年暦機構100は、万年レバー2の瞬間的な回転を引き起こすように構成する即時機構が真夜中に急な日毎の動作を行うような即時日付機構である。
【0046】
第1の運動系の例においては、ムーブメント200の二十四時車のフィンガーとの万年レバー2の日毎の連係によって、万年レバー2を1日当たり1回回転させ、そのアームの1つは、曜日の表示のために、ジャンパーばねによって位置合わせされた七星形車を作動させる。
【0047】
第1の運動系の例においては、即時機構は、複数のピンを支えるバレルを有し、その各ピンは、万年レバーに備えられるフィーラフィンガーと相互作用するように構成して、万年レバーを瞬間的に回転させる。このようにして、万年レバー2は、万年レバー2のフィーラフィンガーに作用するピンの作用の下で、毎日真夜中に回転する。したがって、本発明は、カレンダー計時器において日付を変えるために通常確保される22:00の時間から24:00の時間までの期間を解放する。この期間中は、他の操作は、推奨されないか又は禁止される。
【0048】
日毎カウントダウン機構300は、メインフィンガー1を有し、これは、ピボット軸62において万年レバー2の一端にヒンジ付けされている。このメインフィンガー1は、万年レバー2の日毎の回転の際に、「三十一ラチェット車」31と呼ぶラチェット車が備える歯と連係するように構成する。この三十一車31は、三十一スネールカム4と一体化されて日軸D1のまわりを回転する。メインフィンガー1は、ばね(図示せず)によって戻される。
【0049】
メインフィンガー1は、月の28日まで、メインフィンガー1のくちばし部51を介して、毎日1ステップずつ三十一車31を回転させる。月末の訂正は、現在表示されている月に応じて変わる。
【0050】
特定の実施形態において、メインフィンガー1は、ピボット軸62とくちばし部51の間で曲がっている。
【0051】
メインフィンガー1は常に、同じ移動距離となる。
【0052】
特定の好ましい変種において、三十一車31は、連続的に回転する後退しない車であるが、本発明は、後退するカレンダーにも後退しないカレンダーにも用いることができる。後退する表示の場合には、この機能は、三十一車31の下流で行われる。
【0053】
上で説明したように、三十一カム4は、半径方向のランプ43を備えたスネール形の周を有する。リフティングレバー12のフィーラスピンドル512は、毎日、この外周上の当該日の位置を把握し、リフティングレバー12が回転することで、日付表示インジケーター412を更新する。
【0054】
本発明によると、作動を必要とする三十一車31の歯数を毎日決めるために、日毎カウントダウン機構300は、月末調整機構600を有する。この月末調整機構600は、現在の月及び現在の日の関数として、メインフィンガー1と三十一車31の間の連係の継続期間を調整するように構成する。
【0055】
この月末調整機構600は、特定の実施形態(これに制限されない)において、
図1〜12に示すように、付加的カム20を有する。この付加的カム20は、日軸D1を軸として三十一カム4及び三十一車31と共軸であるような可動な調整カムであって、その三十一車31に対する角偏差は変わり、31日よりも少ない日数の月においては、調整する日数を決める。
【0056】
この付加的カム20は、月末調整機構600が備える付加的フィンガー10と連係するように構成する。この付加的フィンガー10は、万年レバー2に応じて回転する。万年レバー2は、メインフィンガー1と同じ形態で、付加的フィンガー10を1日当たり1回押し、付加的フィンガー10も常に同じ移動距離を有する。
【0057】
三十一カム4及び付加的カム20は両方とも、同じ方向に大きくなるスネール形のカムである。それらのそれぞれは、急な半径方向のランプ42、43を有する。
【0058】
付加的フィンガー10は、三十一車31の適切な歯数を駆動することによって、現在の月の日及び期間に応じて、月末の日付調整を制御するように構成する。
【0059】
メインフィンガー1は、付加的フィンガー10と三十一車31と連係して、万年暦作動機能を行う。
【0060】
毎月の最後の普通の日はその月の28日である。
【0061】
28日の夜に、月末調整機構600は、以下の特定の動作を行わなければならない。
− 28日ある月の場合、翌月(この場合、3月)の初日まで飛ぶためには、4つの歯の調整を行わなければならない。
− 29日ある月の場合、翌月(この場合、3月)の初日まで飛ぶためには、3つの歯の調整を行わなければならない。
− 30日ある月の場合、翌月まで飛ぶためには、2つの歯の調整を行わなければならない。
− 31日ある月の場合、通常の1つの歯の飛びが行われる。
【0062】
このように、適切な飛びを確実にする運動を付加的カム20に伝えなければならない。
【0063】
これを達成するために、本発明の差動機構500は、日毎カウントダウン機構300及びカレンダー機構700の両方から得られた情報に基づいて日毎カウントダウン機構300を動作させる。より具体的には、差動機構500は、月カム9と三十一カム4、又は三十一車31(三十一カム4と三十一車31どうしは一体化されているので、これらは結局は同じことである)の位置の関数として、付加的カム20の角位置を制御するように構成する差動機構である。
【0064】
まとめると、本発明によれば、日毎カウントダウン機構300は、月カム9と三十一カム4の間の差動機構500によって制御される。
【0065】
この機構は、前記の欧州特許出願EP1349020A1及び欧州特許出願EP1524564A1の従来技術とは異なっている。なぜなら、前者の欧州特許出願EP1349020A1では、差動機構は単純な乗算器を形成し、後者の欧州特許出願EP1524564A1では、差動機構は、2月の管理にのみ関わっている。本発明では、差動機構500は、各月の毎日の日付が変わる際に、可動な日付調整カム20の運動を制御する。
【0066】
現在の月における日の数を決めるためには、万年暦機構100は、差動機構500において、月カム9上の現在の月の期間を測定する読み取り用フィーラスピンドル53を有する読み取り用リフティングレバー3を備える。
【0067】
この読み取り用フィーラスピンドル53は、現在の月に応じて月軸D4から半径Rmの位置に配置される。この半径Rmは、可変であり、当該月における日の数に依存する。
【0068】
月が変わるごとに、月ラチェット69の回転は、月ラチェット69と一体化されている月カム9の回転を引き起こし、翌月に対応する半径Rmを、対向する読み取り用フィーラスピンドル53に与える。
【0069】
本発明によると、この読み取り用フィーラスピンドル3は、差動機構500の第1の入力を形成する。
【0070】
この差動機構500は、遊星ギア差動機構である(これに限定されない)。この差動機構500は、差動軸D2を軸として回転するようにマウントされる、以下のものを有する。
− 下側部分が軸車83と一体化されているメインアーバー84であって、この軸車83は、日軸D1を軸として三十一車31と共軸であり三十一車31と一体化されている駆動車92と噛み合う。
− メインアーバー84の上部は、軸ピニオン85を支える。
− メインアーバー84の肩部のまわりを自由に回転するようにマウントされた歯付き遊星キャリアプレート82であって、遊星キャリアプレート82は、その歯を介して、可動な日付調整カムと一体化されている付加的ピニオン21と噛み合い、付加的カム20は、日軸D1を軸に回転するようにマウントされており、この付加的カム20は、その特定の角位置にて付加的フィンガー10と当接連係するように構成する。
− 歯付き遊星キャリアプレート82は、中心からずれている遊星アーバー87を支えている。
− 遊星アーバー87は、自由回転するようにマウントされている遊星ピニオン86を支えている。この遊星ピニオン86は、一方では、メインアーバー84の軸ピニオン85と噛み合い、他方では、歯付きクラウン30と噛み合う。
− この歯付きクラウン30は、読み取り用リフティングレバー3と一体化されており、これと数字6の形の部品を形成し、そのテール部の端は、読み取り用フィーラスピンドル53である。この歯付きクラウン30は、遊星ピニオン86とのみ噛み合う。これによって、差動軸D2に対するセンタリングが確実になる。
【0071】
差動機構500の第2の入力は、メインフィンガー1によって位置が合う三十一車31によって形成される。
【0072】
差動機構500の出力は、付加的カム20で形成され、これは、遊星キャリアプレート82の誘導された運動によって制御される。
【0073】
差動機構500は可逆的であり、入力又は出力を切り替えることができる。この具体例は以下のような場合である。万年レバー2がメインフィンガー1及び付加的フィンガー10に運動を与える場合に、付加的フィンガー10が付加的カム2と干渉し、これによって、遊星キャリアプレート82に回転運動を与え、これが、差動機構500に入力され、軸車83に出力され、この軸車83は、正確な歯数飛ばすために必要な回転運動を与えるように三十一車31を駆動する。
【0074】
このようにして、読み取り用フィーラスピンドル53の半径方向の位置Rmは、毎月、歯付きクラウン30の特定の角位置を決める。
【0075】
この歯付きクラウン30の角位置と、三十一車31の角位置に直接リンクされる軸車83の角位置との組み合わせによって、アーバー87の位置が決まる。これは、軸車83と噛み合いながら歯付きクラウン30の中で回転する。このようにして、遊星キャリアプレート82の角位置、したがって、付加的カム20の角位置が決まる。この付加的カム20は、付加的ピニオン21と一体化されており、遊星キャリアプレート82によって回転制御されている。
【0076】
まとめると、差動機構の惑星車は、従来の万年暦機構においてこの目的のために用いられる大きなレバーの代わりに、月カムから情報を得る。
【0077】
付加的フィンガー10は、三十一カム4の特定の角位置において三十一カム4を駆動するように構成する。
【0078】
再び、これは、当該月に不用意な訂正がなされることを防ぐためである。このために、月末調整機構600は、さらに、安全機構を有する。この安全機構は、三十一カム4及び三十一車31の特定の角位置において、付加的フィンガー10による付加的カム20へのアクセスを可能とし、そして、三十一カム4の他の角位置において、付加的フィンガー10の付加的カム20へのアクセスを防ぐように構成する。
【0079】
より詳細には、単純な好ましい一実施形態において、
図1〜11に示すように、三十一カム4は、その面の1つ(ここでは三十一車31に対向している下側部分)を越えて突き出ている特定の輪郭を有する偏差要素40を有する。この特定の輪郭は、この安全機構を形成している。
【0080】
三十一カム4の角位置に応じて、この偏差要素40は、付加的フィンガー10のチップ102による付加的カム20の輪郭22への又は半径方向のランプ23へのアクセスを可能にするか又は防ぐ。
【0081】
実際に、特定の位置では、偏差要素40は、付加的フィンガー10の下側面101に対して斥力をはたらかせて、それによる付加的カム20の輪郭22へのアクセスを防ぐ。その際に万年レバー2によって与えられる付加的フィンガー10の軸方向運動は、付加的カム20、付加的ピニオン21及び遊星キャリアプレート82の角位置に対して影響を与えない。
【0082】
月末ではない月の1日から27日までのいわゆる普通の日には、調整フィンガー10がカム前面23に合うことはない。調整フィンガー10は、付加的カム20の輪郭上を滑り、又は偏差要素40の平坦部分上を滑る。これは、付加的カム20の外側輪郭に接する。このようにして、偏差要素40は、調整フィンガー10を離して、付加的カム20を、接触せずに任意の方向、前進方向又は後退方向に、回転させる。このようにして、月が変わる際に付加的カム20の前面23が後退方向に動く場合には、偏差要素40は、翌日に変わる際に付加的フィンガー10が調整を行うことを防ぐ。例えば、月の1日から3日に日付が不用意に変わることを防ぐ。
【0083】
月の終わりの日々においては、調整フィンガー10は、カム前面23と合い、これを押す。その際に、調整フィンガー10は、差動機構500の遊星キャリアプレート82を回転させ、したがって、三十一車31のラチェットを回転させる。この推進の際には、偏差要素40の遠位端44は、日軸D1から最も遠くになっており、これが調整フィンガー10を離す。この調整フィンガー10は、もはや付加的カム20の前面23を捕捉しておくことができない。メインフィンガー1だけが三十一車31のラチェットを押すことができる。これによって、この三十一車31は、行われた調整に対応する新しい位置の方に回転する。
【0084】
まとめると、数日間、調整フィンガー10は、偏差要素40の動作によって連結を外され、これによって、調整フィンガー10が付加的カム20に対していずれの作用をも行うことを防ぐ。
【0085】
他の位置において、付加的フィンガー10は、付加的カム20の輪郭22を駆動して、付加的ピニオン21を回転させて、これによって、遊星キャリアプレート82を駆動することができる。
【0086】
図12に示す特定の代替実施形態において、三十一車31は、この安全機構を形成するサプライズ部品29と一体化されており、これは、2つの平坦部分290及び291によって中断される丸い周を有する(これに制限されない)。
【0087】
万年レバー2の日毎の作動の際には、前進した位置にて待機していたメインフィンガー1及び付加的フィンガー10が、メインフィンガー1に対応する三十一車31の歯の上を後退方向に滑る。そして、場合に応じて、付加的カム20の周の上及び/又は付加的フィンガー20用の偏差要素40の上を滑る。
【0088】
差動機構500の存在のために、三十一カム4に対する付加的カム20の角位置が変わる。なぜなら、この角位置は、現在の日と、読み取り用フィーラスピンドル53によって月カム9から得られた現在の月の期間に関連する情報に依存しているからである。これらの前面43及び23の角偏差は、28日からの4日間に制限されている。
【0089】
2つの前面43及び23の間の特定の角偏差は、31日の月に対応するものであって、これに関して、差動機構500は、月カム9上の読み取り用フィーラスピンドル53が30日の位置にあるときには、三十一車31のラチェット上の2つの歯の調整飛びに対応する角偏差を付加的カム20の前面23に与える。この角偏差は、月カム9上の読み取り用フィーラスピンドル53が29日の位置にあるときには、3つの歯の調整飛びに対応し、月カム9上の読み取り用フィーラスピンドル53が28日の位置にあるときには、4つの歯の調整飛びに対応する。31日のときの飛びは、当然、1つの歯の飛びである。
【0090】
本発明は、さらに、計時器用ムーブメント200を有する計時器用機構800であって、日付が変わる時点で、このような万年暦機構100が備える万年レバー2を作動させる機構の日毎の解放を制御するように構成し、カレンダー機構700によって制御される日付表示手段412を少なくとも有する表示機構400を備えるものに関する。
【0091】
本発明は、さらに、このような計時器用ムーブメント800を少なくとも1つ有する計時器1000、特に、腕時計、に関する。
【0092】
本発明によって、大規模な変更なしで、従来の日付機構を四十八カムと十二カムの両方を用いる万年暦機構に変換することが可能になる。
【0093】
本発明は、トルクの引き出しを制限することができるという利点がある。実際に、既知の万年暦においては、1つ又は2つの爪を備えた大きなレバーが、異なる月を訂正するために、大きかったり小さかったりする角度をカバーし、これによって、ムーブメントに対して、大きかったり小さかったりするトルク引き出しを行う。具体的には、2月の場合、従来の万年暦レバーでは、28日間大きな運動をしている。
【0094】
また、訂正モードには相当な違いがある。従来の万年暦では、プッシャーは2月には長い距離を動かなければならず、ユーザーが不用意に曜日と日付を誤って合わすこともある。
【0095】
本発明に係る機構は、この種の誤りをいずれも防ぐことを可能にし、ユーザーは、日と月の表示が正確であることを確かにすることができる。なぜなら、月カムと三十一車の間の日付をずらすことはできないからである。例えば、ユーザーは、2月30日や6月31日を手動訂正によって表示することができない。万年暦によっては、三十一車だけを使用して訂正される。このことは、四十八カムとの連結のためには、四十八カム上の正しい月に戻るために三十一車を47回転させることを手動で行うことが必要である。したがって、前記利点は、些細なことではまったくない。
【0096】
また、大きなレバーを分離する必要なしに、月カムを訂正することができる。
【0097】
まとめると、調整が促進され、レバーの移動距離を小さくすることができ、機構を単純、高信頼性、コンパクトにすることができる。