(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第二のセンサーアセンブリーが、前記ミキサーの上流の前記第一または第二のガスと接触する第二の高周波平面型圧電水晶発振器を含む、請求項1に記載のガスミキサー設備。
前記第一または第二の電子バルブのうちの他方の下流のガスの圧力を特定するように作動可能である第三のセンサーアセンブリーをさらに含む、請求項1または2に記載のガスミキサー設備。
前記第三のセンサーアセンブリーが、前記ミキサーの上流の前記第一または第二のガスの他方と接触する第三の高周波平面型圧電水晶発振器を含む、請求項3に記載のガスミキサー設備。
前記第一のセンサーアセンブリーが、使用時に前記混合ガスが流れる導管をさらに含み、前記導管は、使用時にチョーク流を発生させる流量制限オリフィスを前記出口部の上流に有し、前記流量制限オリフィスは、前記オリフィスの上流の上流部分と前記出口部に連結された下流部分とに前記導管を分割し、ここで、前記圧電水晶発振器は、前記上流部分に配置され、前記第一のセンサーアセンブリーは、さらに、前記オリフィスを通る混合ガスの質量流速を測定するように作動可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガスミキサー設備。
ガスミキサー設備を用いてある相対的比率のガスの混合物を提供する方法であって、前記ガスミキサー設備は、第一のガスを供給するための第一のガス源、前記第一のガスとは異なる第二のガスを供給するための第二のガス源、前記第一および第二のガス源からの前記第一のガスおよび第二のガスの対応する流量を調節するための第一および第二の電子バルブ、前記第一および第二の電子バルブの下流に配置されるミキサー、出口部、ならびに第一および第二のセンサーアセンブリーを含み、前記第一のセンサーアセンブリーは、前記混合ガスと接触する高周波平面型圧電水晶発振器を含み、前記方法は、
a)前記第一のガス源から前記第一のガスを受けること、
b)前記第二のガス源から前記第二のガスを受けること、
c)前記第一および第二のガスを混合して混合ガスを形成すること、
d)前記混合ガスと接触する前記高周波平面型圧電水晶発振器の共振周波数を測定すること、
e)前記第二のセンサーアセンブリーを用いて、前記第一または第二の電子バルブのうちの一方の下流でかつ前記ミキサーの上流の対応する第一または第二のガスの圧力を特定すること、
f)前記共振周波数および前記圧力測定から、前記混合ガスの平均分子量を特定すること、ならびに
g)前記特定された平均分子量および前記圧力測定に応答して前記第一および第二の電子バルブを自動制御して、前記混合ガス中の前記第一および第二のガスの前記相対的比率、ならびに前記出口部からの前記混合ガスの圧力または質量流速を制御すること
を含む、ガスミキサー設備を用いてある相対的比率のガスの混合物を提供する方法。
前記第二のセンサーアセンブリーが、第二の高周波平面型圧電水晶発振器を含み、および工程e)が、前記ミキサーの上流の前記第一または第二のガスのうちの対応する一方と接触する前記第二の高周波平面型圧電水晶発振器の共振周波数を測定することを含む、請求項6に記載の方法。
前記第三のセンサーアセンブリーが前記ミキサーの上流の前記第一または第二のガスの他方と接触する第三の高周波平面型圧電水晶発振器を含み、工程h)が、前記ミキサーの上流の前記第一または第二のガスと接触する前記第三の高周波平面型圧電水晶発振器の共振周波数を測定することを含む、請求項8に記載の方法。
前記第一のセンサーアセンブリーが、使用時に前記混合ガスが流れる導管をさらに含み、前記導管は、使用時にチョーク流を発生させる流量制限オリフィスを前記出口部の上流に有し、前記流量制限オリフィスは、前記オリフィスの上流の上流部分と前記出口部に連結された下流部分とに前記導管を分割し、前記方法は、
i)前記共振周波数から、前記オリフィスを通るガスの質量流速を特定すること
をさらに含む、請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。
第一のガスを供給するための第一のガス源、前記第一のガスとは異なる第二のガスを供給するための第二のガス源、前記第一および第二のガス源からの前記第一のガスおよび第二のガスの対応する流量を調節するための第一および第二の電子バルブ、前記第一および第二の電子バルブの下流に配置されるミキサー、出口部、混合ガスと接触する高周波平面型圧電水晶発振器を含む第一のセンサーアセンブリー、第二のセンサーアセンブリー、ならびにプロセッサーを含むガスミキサー設備において、前記プロセッサーに
a)前記第一の電子バルブを制御して前記第一のガス源から前記第一のガスを供給する工程、
b)前記第二の電子バルブを制御して前記第二のガス源から前記第二のガスを供給する工程、
c)前記ミキサーを用いて前記第一および第二のガスを混合して混合ガスを形成させる工程、
d)前記混合ガスと接触する前記高周波平面型圧電水晶発振器の共振周波数を測定する工程、
e)前記第二のセンサーアセンブリーを用いて、前記第一または第二の電子バルブのうちの一方の下流でかつ前記ミキサーの上流の対応する第一または第二のガスの圧力を特定する工程、
f)前記共振周波数および前記圧力測定から、前記混合ガスの平均分子量を特定する工程、ならびに
g)前記特定された平均分子量および前記圧力測定に応答して前記第一および第二の電子バルブを自動制御して、前記混合ガス中の前記第一および第二のガスの相対的比率、ならびに前記出口部からの前記混合ガスの圧力または質量流速を制御する工程
を実行させる、コンピュータープログラム。
前記第二のセンサーアセンブリーが、第二の高周波平面型圧電水晶発振器を含み、および工程e)が、前記ミキサーの上流の前記第一または第二のガスのうちの対応する一方と接触する前記第二の高周波平面型圧電水晶発振器の共振周波数を測定することを含む、請求項11に記載のコンピュータープログラム。
前記第三のセンサーアセンブリーが前記ミキサーの上流の前記第一または第二のガスの他方と接触する第三の高周波平面型圧電水晶発振器を含み、工程h)が、前記ミキサーの上流の前記第一または第二のガスと接触する前記第三の高周波平面型圧電水晶発振器の共振周波数を測定することを含む、請求項13に記載のコンピュータープログラム。
前記第一のセンサーアセンブリーが、使用時に前記混合ガスが流れる導管をさらに含み、前記導管は、使用時にチョーク流を発生させる流量制限オリフィスを前記出口部の上流に有し、前記流量制限オリフィスは、前記オリフィスの上流の上流部分と前記出口部に連結された下流部分とに前記導管を分割し、
i)前記共振周波数から、前記オリフィスを通るガスの質量流速を特定する工程
を前記プロセッサーにさらに実行させる、請求項11〜14のいずれか一項に記載のコンピュータープログラム。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、本発明を用いることができる状況の概略図を示す。ガスシリンダー100、レギュレーター150、および分子量メーター200が提供される。
【0049】
ガスシリンダー100は、ガスシリンダー本体102およびバルブ104を有する。ガスシリンダー本体102は、ガスシリンダーアセンブリー10が平面上で支持なしに自立可能であるように構成された平面基部102aを有する概略円柱形状の圧力容器を含む。
【0050】
ガスシリンダー本体102は、鋼鉄、アルミニウム、および/またはコンポジット材料から形成され、最大およそ900バールgまでの内圧に耐えるように適合され、構成される。開口部106は、基部102aの反対側のガスシリンダー本体102の近位端部に配置され、バルブ104を受けるように適合されたねじ山(図示せず)を含む。
【0051】
ガスシリンダー100は、内部容積Vを有する圧力容器を定める。ガスシリンダー100内には、適切ないかなる流体が収容されてもよい。しかし、本実施形態は、それだけに限定されないが、ダストおよび/または水分などの不純物を含まない精製された永久ガスに関する。網羅的ではないそのようなガスの例は:酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、メタン、三フッ化窒素、一酸化炭素、クリプトン、またはネオンであってよい。
【0052】
バルブ104は、筺体108、出口部110、バルブ本体112、およびバルブシート114を含む。筺体108は、ガスシリンダー本体102の開口部106とかみ合わせるための相補的ねじ山を含む。出口部110は、ガスシリンダー100を、ホース、管、またはさらなる圧力バルブもしくはレギュレーターを例とするガスアセンブリーの他のコンポーネントと接続することを可能とするように適合され、構成される。バルブ104は、所望に応じて、VIPR(圧力低下装置内蔵バルブ(Valve with Integrated Pressure Reduction))を含んでよい。この場合、レギュレーター150は省略されてよい。
【0053】
バルブ本体112は、選択的に出口部110を開または閉とするために、握ることのできるハンドル116の回転によって、バルブシート114に向かって、またはそれから遠ざかるように、軸方向に調節することができる。言い換えると、バルブ本体112のバルブシート112に向かう、またはそれから遠ざかる動きにより、ガスシリンダー本体102の内部と出口部110との間の連結経路の領域が選択的に制御される。そしてこれは、ガスシリンダーアセンブリー100の内部から外部環境へのガスの流量を制御する。
【0054】
レギュレーター150は、出口部110の下流に配置される。レギュレーター150は、入り口部152および出口部154を有する。レギュレーター150の入り口部152は、ガスシリンダー100の出口部110とレギュレーター150との間の連結経路を提供する入り口管156と接続される。レギュレーター150の入り口部152は、ガスシリンダー100の出口部110から高圧のガスを受けるように構成される。これは、適切ないかなる圧力であってもよいが、一般的には、出口部110から出るガスの圧力は、20バールを超えており、100〜900バールの範囲である可能性がより高い。
【0055】
出口部154は、出口管158と接続される。カップリング160は、出口管158の遠位端部に配置され、ガスを必要とするさらなる管またはデバイス(図示せず)と接続されるように適合される。
【0056】
分子量メーター200は、出口部154とカップリング160との間の出口管158と連結されて配置される。分子量メーター200は、レギュレーター150のすぐ下流に配置され、レギュレーター150の下流にてガスの分子量(またはガス混合物の平均分子量)を特定するように構成される。
【0057】
レギュレーター150および分子量メーター200は、
図2においてより詳細に示される。
【0058】
本実施形態では、レギュレーター150は、単一のダイアフラムレギュレーターを含む。しかし、当業者であれば、2つのダイアフラムレギュレーターまたはその他の設備を例とする本発明で用いることが可能である変更を容易に認識するであろう。
【0059】
レギュレーター150は、入り口部152および出口部154と連結されたバルブ領域162を含む。バルブ領域162は、バルブシート166に隣接して配置されるポペットバルブ164を含む。ポペットバルブ164は、ダイアフラム168と接続され、それは、バルブシート166に向かう、およびそれから遠ざかるポペットバルブ164との平行移動によってそれらの間にある開口部170をそれぞれ閉および開とすることを可能とするよう構成される。ダイアフラム168は、シャフト174の周りに配置されるスプリング172の弾性によって偏った状態とされている。
【0060】
レギュレーター150は、全シリンダー圧力(例:100バール)にて、出口部110からガスを受けるが、実質的に一定である固定された低圧力(例:5バール)にて、出口部154にガスを供給するように作動可能である。これは、開口部170の下流のガスの圧力が、スプリング172の偏らせる力とは逆向きにダイアフラム168に作用するように作動可能であるフィードバック機構によって達成される。
図2の実施形態では、レギュレーター150は、固定圧力レギュレーターであり、既知の固定圧力にて、出口部154からガスを供給するように構成される。圧力は、スプリング172の相対的な偏らせる力によって特定される。
【0061】
ダイアフラム168に隣接する領域のガス圧力が指定されたレベルを超えた場合に、ダイアフラム168は、上向き(
図2に対して)に移動するように作動可能である。結果として、ポペットバルブ164は、バルブシート166に近付くように移動し、開口部170のサイズが低下し、その結果、入り口部152から出口部154へのガスの流量が制限される。一般的に、スプリング172の抵抗力およびガスの圧力の競合する力が、ダイアフラムの平衡位置をもたらし、その結果、出口部154にてガスの一定圧力が供給される。
【0062】
分子量メーター200は、筺体202およびセンサーアセンブリー204を含む。筺体202は、鋼鉄、アルミニウム、またはコンポジットを例とする適切ないかなる材料を含んでもよい。筺体は、短フィード管208を介して、出口管158の内部と連結されている内部206を有する。その結果、筺体202の内部206は、出口管158の内部と同じ圧力である。使用時、筺体202は、一般的に、密封され、外部大気から隔離されている。分子量メーター200は、筺体202内のガスの分子量を測定するように構成される。別の選択肢として、分子量メーター200は、筺体202内のガスの均質混合物の平均分子量を測定してもよい。
【0063】
別の選択肢として、筺体202は、出口管158の一部として提供され得る。例えば、出口管158の一部が、センサーアセンブリー204を収容するために拡大され得る。別の選択肢として、センサーアセンブリー204の一部のみが管158内に配置され、残りの部分が、外側またはそれから間隔を空けて配置されてよい。
【0064】
さらに、筺体202は、レギュレーター150の一体部分を形成してもよい。例えば、センサーアセンブリー204は、全体がレギュレーター150の出口部154内に配置されてよい。当業者であれば、本発明の範囲内に含まれる変更および代替手段を容易に認識するであろう。
【0065】
センサーアセンブリー204は、駆動回路212と接続された石英水晶発振器210、温度センサー214、および電池216を含む。これらのコンポーネントは、筺体202内に配置される。
【0066】
駆動回路212および石英水晶発振器210について、
図6および7を参照して以降で詳細に記載する。温度センサー214は、サーミスターを含む。適切ないかなるサーミスターが用いられてもよい。サーミスターからは、高い精度は必要とされない。例えば、本実施形態では、0.5℃の精度が適切である。従って、安価な小コンポーネントが用いられてよい。
【0067】
プロセッサー230(
図8を参照して以降で示し、記載する)も、別個に、または駆動回路212の一部として提供されてよい。
【0068】
本設備では、石英水晶発振器210は、常に分子量メーター200の筺体202内の均衡圧力下にあり、その結果、圧力勾配を受けることはない。言い換えると、外部大気と分子量メーター200の内部コンポーネントとの間の圧力差に起因するいかなる機械的ストレスも、筺体202全体にわたって表される。
【0069】
しかし、これは、そうである必要はない。例えば、石英水晶発振器210および温度センサー214のみが筺体202内に配置され、センサーアセンブリー204の残りがその外部に配置されてよい。
【0070】
発明者らは、高圧の影響を受けやすいのは、センサーアセンブリー204の少数のコンポーネントのみであることを見出した。特に、電池などのより大きいコンポーネントが、高圧に弱いものであり得る。しかし、リチウム電池が、ガスシリンダー100内で遭遇する高圧下で特に良好に機能することが見出された。従って、電池216は、リチウムセルを含む。しかし、当業者によれば、別の選択肢としての適切な電力源が容易に考慮される。
【0071】
センサーアセンブリー204を完全に筺体202内に配置することにより、レギュレーター150の設計の際にさらなる柔軟性が得られる。特に、比較的脆弱な電子コンポーネントを、筺体202の強い金属またはコンポジット壁内に完全に配置することにより、環境または不慮の損傷からの高い保護が得られる。このことは、例えば、レギュレーター150を含むガスシリンダー100が、ガスシリンダー、重機械、または粗い表面に隣接して配置される保管領域または倉庫において特に重要である。
【0072】
さらに、センサーアセンブリー204が内部に配置されることにより、塩分、水分、およびその他の汚染物などの環境条件からこれらのコンポーネントが保護される。このことにより、例えば、塩分および水分による損傷を非常に受けやすい高インピーダンス回路を、センサーアセンブリー204の一部分として用いることが可能となる。
【0073】
センサーアセンブリー204が内部に配置されることによる有益性は、石英水晶発振器210などのソリッドステートセンサーデバイスに特有である。例えば、ブルドンゲージなどの従来の圧力センサーは、この方法で配置することができない。水晶系センサーが、一定圧力のガス中に完全に浸漬された状態で作動することができるのに対し、従来の圧力センサーは、均衡圧力を測定することができず、機能するためには、圧力勾配が必要である。従って、従来の圧力ゲージは、測定すべき高圧と大気との間に配置される必要がある。このことは、分子量メーター200の外部コンポーネントが損傷を受けるリスクを高めてしまう。
【0074】
分子量メーターの第二の実施形態を、
図3に示す。
図2の第一の実施形態と共通する
図3に示される第二の実施形態の特徴には、同じ符号が割り当てられ、ここでは再度記載しない。
【0075】
図3の実施形態において、レギュレーター250は、レギュレーター250が出口部154からガスの可変の出口部圧力を提供するように構成されるという点で、
図2の実施形態のレギュレーター150とは異なる。
【0076】
この点において、スプリング172の偏らせる力をユーザーが調節可能であるように、握ることのできるハンドル252が提供される。これは、ダイアフラム168の平衡位置を移動させ、結果として、ポペットバルブ164とバルブシート166との間の平衡間隔を調節する。このことにより、出口部110からの高圧ガス流が通過することのできる開口部170の寸法の調節が可能となる。
【0077】
圧力は、通常、最大約20バールgまで様々であり得る。しかし、当業者であれば、別の選択肢としての設備およびレギュレーター250によって供給され得る圧力が容易に認識されるであろう。さらに、レギュレーターは、圧力の精密な調節が必要とされるオキシアセチレン溶接などの状況で用いるための二次ステージを含んでよい。
【0078】
第二の実施形態は、分子量メーター300を含む。分子量メーター200と共通する分子量メーター300のコンポーネントは、明確にするために、同じ符号が割り当てられる。
【0079】
分子量メーター300は、第一の実施形態の分子量メーター200と非常に類似している。しかし、分子量メーター300は、筺体202内に配置される圧力センサー302をさらに含む。適切ないかなる圧力センサーが用いられてもよい。
【0080】
例えば、圧力センサー302は、圧電抵抗式ダイアフラムセンサーを含んでよい。そのような圧力センサーは、通常、その中に形成された圧電抵抗歪ゲージ(piezo-resistive strain gauges)を有する機械加工されたシリコンダイアフラムを含む。ダイアフラムは、シリコンまたはガラスのバックプレートと融合される。歪ゲージは、一般的に、接続されてホイートストンブリッジを形成し、その出力は、測定された圧力と正比例する。圧力センサー302からの出力は、次に、プロセッサー230に入力することができる。
【0081】
当業者であれば、本発明で用いられ得る別の選択肢としての電子圧力センサーを容易に認識するであろう。言い換えると、圧力センサー302は、ガスの圧力を測定し、その測定値の電子出力を提供することができるいかなるセンサーを含んでもよい。
【0082】
本設備では、石英水晶発振器210および圧力センサー302は、常に分子量メーター200の筺体202内の均衡圧力下にあり、その結果、圧力勾配を受けることはない。言い換えると、外部大気と分子量メーター300の内部コンポーネントとの間の圧力差に起因するいかなる機械的ストレスも、筺体202全体にわたって表される。
【0083】
本発明の第三の実施形態を
図4に示す。
図3の第二の実施形態と共通する
図4に示される第三の実施形態の特徴には、同じ符号が割り当てられ、ここでは再度記載しない。
【0084】
図4の実施形態では、レギュレーター250は、第二の実施形態のレギュレーター250に相当し、出口部154からガスの可変の出口部圧力を提供するように構成される。レギュレーター250のコンポーネントは、既に記載しており、ここではさらに記載しない。
【0085】
第三の実施形態は、分子量メーター400を含む。分子量メーター200、300と共通する分子量メーター400のコンポーネントには、明確にするために、同じ符号が割り当てられる。
【0086】
分子量メーター400は、第一および第二の実施形態の分子量メーター200、300と非常に類似している。しかし、分子量メーター400は、第二の実施形態の圧力センサー302を必要とすることなく、可変圧力レギュレーター250で作動可能である。
【0087】
分子量メーター400は、導管402を含む。導管402の内部は、筺体202の内部206と連結されている。導管402の近位端部は、短管208のすぐ下流に配置され、出口部154と連結された制限オリフィス(restricting orifice)404を含む。制限オリフィス404は、出口部154から導管402に入るガスの圧力を限定する物理的制限を提供するように構成される。従って、制限オリフィス404の下流の導管402内のガスの圧力が、出口部154よりも大きく低下される。
【0088】
導管402の遠位端部406は、大気に解放されている。遠位端部406は、筺体202の下流の導管402のセクションの端部に位置する。典型的な適用の場合、適切な導管402は、2mmの範囲の内径および約100mmの長さを有する。このことにより、大気中のガスが筺体202の内部に逆拡散することがなく、測定の潜在的な誤差が確実に回避される。
【0089】
図4において、導管402は、本質的に直線状に示されているが、導管402は、適切ないかなる形状であってもよい。例えば、よりコンパクトな構成としては、導管をより小さい空間に合わせる目的で、入り組んだ、またはコイルの形状に導管402を構成することである。
【0090】
従って、制限オリフィス404および導管402の離れた遠位端部406(大気圧である)の組み合わされた効果は、筺体202の内部206が、常に大気圧または大気圧に近いことである。これは、出口部154の下流および制限オリフィス404の上流のガスの圧力とは無関係である。
【0091】
その結果として、圧力が常に大気圧であると想定することができることから、圧力ゲージは必要とされない。補正が必要とされる場合は(例えば、大気圧が低下する高い標高の作動の場合)、プロセッサー230にそれを手動で入力することができる。
【0092】
従って、特定の条件下では、圧力値は自動設定、またはユーザーによる手動入力が可能であるために、圧力センサーは必要ではなく、得られた圧力値がプロセッサー230によって用いられて、検出中の1もしくは複数のガスの分子量が特定される。
【0093】
分子量メーターの第四の実施形態を
図5に示す。第四の実施形態は、分子量メーター500に関する。分子量メーター500は、第一および第二の実施形態の分子量メーター200、300、400と非常に類似している。しかし、分子量メーター500は、第二の実施形態の圧力センサー302を必要とせず、可変圧力レギュレーター250(またはその他の可変圧力ガス源)と共に作動可能である。
【0094】
分子量メーター500は、金属不活性ガス(MIG)溶接装置を例とするガスが大気中へ放出されている状況で作動可能である。分子量メーター500は、導管158上、レギュレーター150から充分遠く、大気出口部160に充分近く、それによって、筺体202中の圧力条件が大気圧であることが確保される。
【0095】
分子量メーター200、300、400の設備に加えて、第二の駆動回路512および第二の電池516と接続された石英水晶発振器510を含む第二のセンサーアセンブリー504が提供される。第二の駆動回路512および第二の電池516は、駆動回路212および電池216と非常に類似しており、ここではさらに記載しない。
【0096】
第二の石英水晶発振器510は、開放筺体518を通して外部大気に暴露される。筺体518は、第二の石英水晶発振器510を機械的損傷から保護するが、第二の石英水晶発振器510が大気に暴露されることは可能となるように作動可能である。筺体518は、その遠位端部に形成された貫通孔部を有する覆い付き筺体を含んでよい。
【0097】
第二のセンサーアセンブリー504(石英水晶発振器510を含む)は、大気圧の正確な特定を可能とするように提供される。
図4の実施形態は、特定の条件下にて効果的であり得るが、大気圧の変動によって、分子量の特定に誤差が引き起こされる場合がある。これは、ガスの混合物(後の実施形態で述べるように)が用いられる場合、および上記の実施形態の分子量メーターが不正確な測定値を与える可能性がある場合に特に重要である。
【0098】
以降で述べるように、第二の石英水晶発振器510は、ガスの密度に比例する周波数で共振する。しかし、空気のガス組成は、充分に知られており、一般的に一定である。従って、以下に示す方程式7)を用いることにより、既知の密度および既知の分子量から圧力を特定することができる。この設備は、改善された精度を提供し、製造の費用対効果が高く、および小さいサイズを有する。
【0099】
分子量メーター500の残りのコンポーネントは、第一から第四の実施形態の分子量メーター200、300、400のコンポーネントに類似しており、ここではさらに記載しない。
【0100】
第一から第四の実施形態のいずれも、検出されたガスに対して成された測定の結果をユーザーに示すためのディスプレイ(図示せず)をさらに含んでよい。別の選択肢として、ディスプレイは、分子量メーター200、300、400、500から離れて配置されてよく、該当するデータは、リモート通信されてよい。
【0101】
例えば、第一から第四の実施形態のいずれか1つは、例えばベースステーションとのリモート通信のためのアンテナ(図示せず)をさらに含んでよい。これについては以降で考察する。この場合、アンテナは、筺体202の外側に配置され、ワイヤーまたは同等のコネクターによってセンサーアセンブリー204と接続されてよい。
【0102】
アンテナ自体は、適切ないかなる通信プロトコルを用いるように適合、構成されてもよく;例えば、非網羅的なリストとしては、RFID、ブルートゥース、赤外(IR)、802.11ワイヤレス、周波数変調式(FM)送信、またはセルネットワークであってよい。
【0103】
別の選択肢として、ワンワイヤ通信が実行されてもよい。ワンワイヤ通信の場合、通信に必要であるのは単一の金属導電体のみであり、回路の「戻り」経路は、通信デバイス間の空気を通した容量結合によって提供される。当業者であれば、本明細書で考察する実施形態で用いることが可能である別の選択肢としてのアンテナ(および関連する送信用ハードウェア)を容易に認識するであろう。
【0104】
例えば、通信は、シリンダー100内からの音響送信によって行われてよい。筺体202内に配置される送信機が、音響送信を行ってよい。この送信機は、例えば、単純な固定周波数圧電共振器を含んでよい。
【0105】
相補的な受信機も必要であり、このコンポーネントは、分子量メーター200、300、400、500から離れて配置されてよく、例えばマイクロホンと一体化された位相同期ループ式トーン検出器(phase-locked loop tone detector)などのハードウェアを含んでよい。
【0106】
ここで、センサーアセンブリー204について、
図6および7を参照してより詳細に記載する。石英水晶発振器210は、石英カット品の平面セクションを含む。石英は、圧電挙動を示し、すなわち、水晶全体にわたって電圧を印加することで、水晶に形状の変化が引き起こされ、機械的な力が発生する。逆に、水晶に機械的な力が加えられると、電荷が発生する。
【0107】
石英水晶発振器210の2つの平行な表面は、水晶の塊全体にわたって電気接続を提供する目的で、金属化される。その金属接点によって電圧が水晶全体に印加されると、水晶は形状を変化させる。交流電圧を水晶に印加することにより、水晶に発振を引き起こすことができる。
【0108】
石英水晶の物理的サイズおよび厚さが、石英水晶の特性、または共振周波数を決定する。実際、水晶210の特性、または共振周波数は、2つの金属化表面間の物理的厚さに逆比例する。石英水晶発振器は、本技術分野にて公知であり、従って、石英水晶発振器210の構造については、ここでさらに記載しない。
【0109】
加えて、石英水晶の共振振動周波数は、水晶が配置される環境に依存して様々となる。真空下では、水晶は、特定の周波数を有する。しかし、この周波数は、異なる環境中では変化する。例えば、流体中では、水晶の振動は、周囲の分子によって減衰されることになり、このことが、共振周波数、および任意の振幅での水晶の発振に必要とされるエネルギーに影響を与える。
【0110】
さらに、周囲の物質が水晶上に堆積することにより、振動する水晶の質量が影響を受け、共振周波数が変化する。物質のそのような吸着または堆積は、一般的に用いられる選択性ガス分析器の基礎を形成するものであり、そこでは、水晶上に吸収層が形成されており、ガスが吸収されるに従って、その質量が増加する。
【0111】
しかし、本発明の場合、石英水晶発振器210にコーティングは適用されない。実際、石英水晶発振器210上への物質の吸着または堆積は、測定の精度が影響を受けかねないことから、本発明の場合は望ましくない。
【0112】
図6に示されるように、本実施形態の石英水晶発振器210は、音叉の形状をしており、32.768kHzの共振周波数で発振するように構成された長さがおよそ5mmである1対のタイン部210aを含む。タイン部210aは、石英の平面セクションに形成される。音叉形状のタイン部210aは、通常、その基本モードで発振し、その場合、それらは、共振周波数で同期して、互いに向かう方向に、および互いから離れる方向に動く。
【0113】
溶融(または非結晶)石英は、温度依存性膨張係数が非常に低く、弾性係数も低い。このことにより、示されるように、基本周波数の温度依存性が低減され、温度の影響が最小限に抑えられる。
【0114】
加えて、ATカットまたはSCカットである石英を用いることが望ましい。言い換えると、石英の平面セクションは、発振周波数の温度係数を、室温近辺での広いピークを有する放物線状となるように定めることができるように、特定の角度でカットされる。従って、水晶発振器は、ピークトップの傾きが精密にゼロとなるように構成することができる。
【0115】
そのような石英水晶は、一般的に、比較的低コストで入手可能である。真空下で用いられる大部分の石英水晶発振器とは対照的に、本実施形態では、石英水晶発振器210は、筺体202中にて、圧力下のガスに暴露される。
【0116】
石英水晶発振器210のための駆動回路212を、
図6に示す。駆動回路212は、いくつかの特定の基準を満たす必要がある。第一に、本発明の石英水晶発振器210は、様々なガス圧に暴露される可能性があり;可能性として、その圧力は、大気圧(ガスシリンダー100が空である場合)から、ガスシリンダーが水素などの圧縮ガスを含有する場合の約900バールgまで様々であり得る。従って、水晶発振器210は、広範囲に及ぶ圧力下で作動(およびある非使用期間後に再作動)することが要求される。
【0117】
従って、石英水晶発振器210の特性値(Q)は、使用の過程で大きく変動することになる。Q値は、発振器または共振器の減衰率に関連する無次元のパラメーターである。換言すれば、それは、その中心周波数に対する共振器のバンド幅を特徴づけ得る。
【0118】
一般的に、発振器のQ値が高いほど、発振器に蓄えられたエネルギーに対するエネルギー喪失率が低くなる。言い換えると、Q値の高い発振器の発振は、外部力の非存在下において、振幅の低下がより遅い。より高いQ値を有する正弦波で駆動される共振器(sinusoidally driven resonators)は、共振周波数にてより大きい振幅で共振するが、それが共振するその周波数近辺の周波数のバンド幅はより小さい。
【0119】
駆動回路212は、Q値の変化に関わらず、石英水晶発振器210を駆動することが可能である必要がある。ガスシリンダー100中の圧力が上昇すると、石英水晶発振器210の発振は次第に減衰され、Q値は低下する。Q値の低下により、駆動回路212の増幅器によってより高いゲインが提供されることが必要となる。しかし、提供される増幅が高過ぎると、駆動回路212、石英水晶発振器210からの応答を区別することが難しくなり得る。この場合、駆動回路212は、単に、関連しない周波数にて、または石英水晶発振器210の非基本モードの周波数にて発振し得る。
【0120】
さらなる制限として、駆動回路212は、光起電力セルなどの補給電力有りまたは無しで、長期間にわたって小型低電力電池で運転する目的で、低電力である必要がある。
【0121】
ここで、駆動回路212について、
図6を参照して記載する。石英水晶発振器210を駆動するために、駆動回路212は、本質的に、石英水晶発振器210からの電圧シグナルを取り、それを増幅し、そのシグナルを逆に石英水晶発振器210へ供給する。石英水晶発振器210の基本共振周波数は、本質的に、石英の膨張および収縮率の関数である。これは、一般的には、水晶のカットおよびサイズによって決定される。
【0122】
しかし、外部因子も、共振周波数に影響を及ぼす。発生された出力周波数のエネルギーが、回路のロスと合致する場合、発振を維持することができる。駆動回路212は、この発振周波数を検出し、維持するように構成される。次に、周波数がプロセッサー230によって測定され(
図9)、これを用いて、ユーザーが求めるガスの適切な特性を算出し、必要である場合は、適切な表示手段へ出力することができる(以降で述べるように)。
【0123】
駆動回路212は、6V電池216によって電力供給される。電池216は、本実施形態において、リチウム電池を含む。しかし、当業者であれば、別の選択肢としての電力源も容易に明らかであり;例えば、充電式および非充電式の両方のその他のタイプの電池、ならびにソーラーセル設備である。
【0124】
駆動回路212は、ダーリントンペア共通エミッタ増幅器218をさらに含む。ダーリントンペアは、第一のトランジスターによって増幅された電流が、第二のトランジスターによってさらに増幅されるように設計された2つのバイポーラNPNトランジスターから成る複合構造を含む。この設計により、各トランジスターが別々に用いられることと比較して、より高い電流ゲインを得ることが可能となる。別の選択肢として、PNPバイポーラトランジスターが用いられてもよい。
【0125】
ダーリントンペア218は、シングルトランジスター(T
1)共通エミッタ増幅器220からのフィードバックコンフィギュレーションで構成される。NPNバイポーラ接合トランジスターを
図4に示す。しかし、当業者であれば、バイポーラ接合PNPトランジスターまたは酸化金属半導体電界効果トランジスター(MOSFET)を例とする、用いることができる別の選択肢としてのトランジスター設備を認識するであろう。
【0126】
変更として、自動ゲイン制御(図示せず)が、ダーリントンペア218と共通エミッタ増幅器220との間のフィードバックループに実装されてよい。これは、例えば
図6に示す最も右側の22k抵抗器の代わりに配置される、電位差計、可変抵抗器、またはその他の適切なコンポーネントの形を取り得る。
【0127】
自動ゲイン制御により、圧力によるQ値の変化、および供給電圧の変化(例えば、電池電力低下状態下)を補償することが可能となる。自動ゲイン制御は、低圧力での適用の場合に特に適用可能であり得る。
【0128】
駆動回路212は、バッファー増幅器222として作用するさらなるNPNエミッタフォロワートランジスターT
2を含む。バッファー増幅器222は、回路と外部環境との間のバッファーとして機能するように構成される。しかし、この特徴は、オプションであり、必要でない場合もあり;例えば、FETが直接接続されて、回路212を駆動してもよい。
【0129】
キャパシター224は、石英水晶発振器210と直列に配置される。この例では、キャパシター224は、100pFの値を有し、水晶が例えば塩またはその他の堆積物によって汚染された状況において、駆動回路212が石英水晶発振器210を駆動することを可能とする。
【0130】
ここで、別の選択肢としての駆動回路240について、
図7を参照して記載する。駆動回路240は、上述の駆動回路204の代わりに用いることができる。上述の駆動回路204とは対照的に、駆動回路240は、
図6の回路のダーリントンペアの代わりに、共通ドレイン酸化金属半導体電界効果トランジスター(MOSFET)増幅器242を含む。MOSFET242は、増幅器ステージの入力インピーダンスが石英水晶発振器202の高インピーダンスと合致可能とする高インピーダンス入力として機能する。言い換えると、MOSFET242は、石英水晶発振器202上の電気的負荷を低減するために、高入力インピーダンスのユニティゲインを提供する。
【0131】
共通ドレインMOSFET増幅器242の出力は、2つの連続するシングルトランジスター(Q2、Q3)共通エミッタ増幅器244に供給される。抵抗器R6およびR8は、これらのトランジスターのためのネガティブフィードバックおよびバイアス電流の両方を提供する。共通エミッタ増幅器244は、高ゲインを提供して石英水晶発振器202の発振を増幅し、本実施形態では、NPNバイポーラ接合トランジスターを含む。しかし、当業者であれば、バイポーラ接合PNPトランジスターまたはMOSFETを例とする、用いることができる別の選択肢としてのトランジスター設備を認識するであろう。
【0132】
キャパシター246は、石英水晶発振器202とアースとの間に接続される。キャパシター246は、本実施形態において、石英水晶発振器202への駆動を増加させるように作動可能である。
【0133】
抵抗器248は、石英水晶発振器202と直列に接続される。抵抗器248は、本実施形態において、56kΩの値を有し、広範囲の圧力にわたって、波形の緩やかな変化のみで回路の発振を可能とする目的で、石英水晶発振器202の発振を減衰する。
【0134】
駆動回路240は、3V電池249によって電力供給される。電池249は、本実施形態において、リチウム電池を含む。しかし、当業者であれば、別の選択肢としての電力源も容易に明らかであり;例えば、充電式および非充電式の両方のその他のタイプの電池、ならびにソーラーセル設備である。別の選択肢として、電気幹線供給設備(mains supply arrangement)が、DC整流および適切な電圧低下後に用いられてもよい。
【0135】
ここで、さらなる別の選択肢としての駆動回路260について、
図8を参照して記載する。
図8に示される駆動回路は、ピアス発振器に類似して設計される。ピアス発振器は、デジタルICクロック発振器から知られている。本質的に、駆動回路260は、シングルデジタルインバーター(トランジスターの形態で)T、3つの抵抗器R
1、R
2、およびR
S、2つのキャパシターC
1、C
2、ならびに石英水晶発振器210を含む。
【0136】
本設備において、石英水晶発振器210は、高選択性フィルター素子として機能する。抵抗器R
1は、トランジスターTのための負荷抵抗器として作用する。抵抗器R
2は、フィードバック抵抗器として作用し、作動のその直線領域にて、インバーターTにバイアスをかける。このことにより、インバーターTが、高ゲイン反転増幅器として作動することが実質的に可能となる。別の抵抗器R
Sは、インバーターTの出力と石英水晶発振器210との間に用いられて、ゲインを制限し、回路中の望ましくない発振を減衰する。
【0137】
石英水晶発振器210は、C
1およびC
2と組み合わされて、Piネットワークバンドパスフィルターを形成する。これにより、180度の位相偏移、および石英水晶発振器のおよそ共振周波数での出力から入力への電圧ゲインが可能となる。上述の駆動回路260は、信頼性が高く、それが比較的少数のコンポーネントを含むことから、安価に製造される。
【0138】
上記で考察したように、センサーアセンブリー204は、石英水晶発振器210からの入力を受けるプロセッサー230、および駆動回路212を含む。プロセッサー230は、ASICまたはFPGAなど、適切ないかなる設備を含んでもよい。
【0139】
プロセッサー230は、ガスの分子量(またはガスの均質混合物の平均分子量)特定の計算を行い、必要に応じてそれを表示し、通信するようにプログラムされる。プロセッサー230の主な入力および出力の概略を
図9に示す。
【0140】
石英水晶発振器210と共に用いられる場合、プロセッサー230は、駆動回路212を含むセンサーアセンブリー204からのシグナルの周波数fまたは周期を測定するように設計されてよい。これは、例えば、一定時間にわたって発振をカウントし、アルゴリズムまたはルックアップテーブルを用いてその周波数を密度値に変換することによって達成することができる。この値が、プロセッサー230に送られる。
【0141】
プロセッサー230は、温度センサー214からの測定された温度Tも受ける。さらに、プロセッサー230は、圧力センサー302から(存在する場合)、または固定圧力値からの圧力値も受ける。この値は、例えば、分子量メーター400、500が大気圧でのみ用いられることになるか、または分子量メーター200の場合にように、固定圧力レギュレーターの出口部で用いられることになる状況において、自動的に設定されてよい。この状況では、固定圧力値がプロセッサー230に入力される。別の選択肢として、固定圧力値は、ユーザーによって手動で入力されてもよい。
【0142】
さらなる別の選択肢として、センサーアセンブリー504(駆動回路512を含む)からのシグナルの周波数fまたは周期を、プロセッサー230が受けてよい。これは、例えば、一定時間にわたって発振をカウントし、アルゴリズムまたはルックアップテーブルを用いてその周波数を圧力値に変換することによって達成することができる(周波数は密度に比例し、空気のガス組成が既知である場合、密度は圧力に比例するため)。この値が、プロセッサー230に送られる。
【0143】
プロセッサー230は、供給された入力に基づいて、石英水晶発振器210が浸漬されているガスの分子量を特定する計算を行うように構成される。プロセッサー230は、分子量メーター200、300、400、500のうちのいずれか1つの一部を含んでよい。
【0144】
分子量が特定されると、このデータは、ローカルメモリに記憶されるか、ディスプレイスクリーン上に表示されるか、またはリモートステーションに送信されてよい。
【0145】
プロセッサー230は、所望に応じて、すべての分子量メーター200において同一となるように大量生産され、異なるガスに対してソフトウェアおよびハードウェアの異なる機能が可能となるように設計されてよい。
【0146】
さらに、プロセッサー230は、プロセッサー230、ならびに駆動回路212および石英水晶発振器210などのさらなるコンポーネントに適用されてよいスタンドバイまたは「スリープ」モードを実装することで、電力消費量を最小限に抑えるように設計されてもよい。
【0147】
種々のスキームが実装されてよく;例えば、プロセッサー230は、毎11秒のうちの10秒間がスタンドバイ状態であってよい。さらに、プロセッサー230は、石英水晶発振器210および駆動回路212の制御を、これらのコンポーネントが大部分の時間はスタンドバイ状態に置かれ、これらのより電力を消費するコンポーネントが30秒ごとに1/2秒間だけスイッチが入った状態となるように行ってよい。
【0148】
センサーアセンブリー204の理論および作動について、ここで、
図10から14を参照して記載する。
【0149】
石英水晶発振器210は、それが配置されている流体の密度に依存する共振周波数を有する。発振する音叉型の平面水晶発振器をガスに暴露することにより、水晶の共振周波数の偏移および減衰が引き起こされる(真空中の水晶の共振周波数と比較した場合)。これにはいくつかの理由がある。水晶の発振に対するガスの減衰効果が存在するが、音叉型水晶発振器210の振動するタイン部210aに隣接するガスは、発振器の有効質量を増加させる。このことは、片側固定弾性棒(one-sided, fixed elastic beam)の運動に従って、石英水晶発振器の共振周波数の低下を引き起こすものであり:
【数1】
ここで、fは、発振の周波数であり、f
0は、真空中での発振の周波数であり、ρは、ガス密度であり、M
0は、定数である。
【0150】
密度ρは、ほとんどすべての場合において、M
0と比較して小さく、従って、この式は、以下の一次方程式によって近似することができ:
【数2】
これは、f
0からの周波数偏移Δfに関して再度表すことができ、方程式3)で示される。
【数3】
【0151】
従って、良好な近似として、周波数の変化は、石英水晶発振器が暴露されるガスの密度の変化に比例する。
図10は、いくつかの異なるガス/ガス混合物に対して、石英水晶発振器210の共振周波数が、密度の関数として直線的に変化することを示している。
【0152】
一般的に、石英水晶発振器210の感度は、大気圧と比較した場合に、例えば250バールの酸素ガス(原子質量数32を有する)で、周波数の5%の変化が見られる感度である。そのような圧力およびガス密度は、永久ガスに用いられる保存シリンダーに典型的なものであり、通常、ほとんどのガスの場合、137から450バールgであり、ヘリウムおよび水素の場合、700または900バールgまでである。
【0153】
石英水晶発振器210は、商業的に供給されるガスのための分子量メーターの一部を形成する密度センサーとしての使用に特に適している。ガスの密度を正確に検知するために、ガスがダストおよび液滴を含まないことが必要であり、これは、商業的に供給されるガスでは保障されるが、空気または大多数の圧力モニタリングの状況ではそうではない。
【0154】
石英水晶発振器210から密度値が得られると、ガスの分子量は、以下から特定することができ:
【数4】
ここで、Pは、ガスの圧力であり、Vは、ガスの体積であり、nは、ガスのモル数であり、Rは、気体定数であり、Tは、温度である。続いて、Vを消去するために:
【数5】
および
【数6】
であり、ここで、MWは、ガスの分子量であり、Mは、ガスの質量である。従って、方程式5)のVを置き換えると:
【数7】
となり、ここで、αは、RTに等しい定数であり、ここで、Rは、気体定数であり、Tは、ケルビン単位の絶対温度である。従って、ガスの既知圧力、密度、および温度に対して、ガスの分子量(または、ガスの混合物の場合は平均分子量)を特定することができる。上記の誘導は、ガスが理想気体に近いことを仮定している。
【0155】
上記の方程式7)に基づいて、圧力が既知である場合(例:圧力が大気圧、または固定圧力レギュレーターの出力である場合)、分子量を正確に特定するには、ガスの温度および密度のみが必要である。それに伴って、圧力および温度が妥当な程度で既知である場合、ガスの分子量は、密度に、または言い換えると、石英水晶発振器の共振周波数に所定の因子を積算したものに実質的に比例する。
【0156】
従って、ガスの分子量(または混合物の平均)は、密度の関数として、圧力の勾配から特定することができ、ここで、方程式7)を再構成すると、以下が得られる:
【数8】
【0157】
図11および12は、分子量測定の実験データを示す。両グラフ共に、同じ4種類のガスに対して、X軸の圧力(バールg)の関数として、Y軸に密度(kg/m
3単位)を示す。これら2つのグラフは、
図10が、300バールgまでの圧力を示し、一方
図11が、100バールgまでの圧力のみを示すこと以外は、同一である。
【0158】
用いた4種類のガスは、
図9に示すように、Ferromax 15(アルゴン:二酸化炭素:酸素混合物)、ヘリウム、二酸化炭素、および酸素である。線の勾配は、分子量に比例する(3つすべてに対してRTが一定であると仮定)。従って、石英水晶発振器210は、ガスまたはガスの混合物の分子量を容易に特定することができる。
【0159】
さらに、石英水晶発振器210の高い精度により、百万分率の分解能での非常に高い精度までの測定が可能となる。高い密度および圧力での石英密度センサー202の直線応答と合わせて、この高精度により、H
2およびHeなどの非常に軽いガスの分子量の正確な測定が可能となる。
【0160】
加えて、
図5の実施形態の場合、分子量メーター500は、大気圧を特定するように作動可能である追加の石英水晶発振器510を含む。この場合、方程式8)を簡便に再構成して、方程式9)を得ることができる:
【数9】
【0161】
上記で示されるように、一般的に空気の組成(すなわち、約78%窒素、約21%酸素、約1%その他)は比較的一定であり、従って、方程式9)を用いて、石英水晶発振器510による密度測定から圧力を特定することができる。
【0162】
この技術の1つの有用な適用は、パージ検出である。
図13および14は、ガスパージ検出の実験データを示す。そのような情報は、パイプラインの自動球状溶接などの状況において極めて重要である。
【0163】
図13は、窒素環境中へ5リットル/分でアルゴンが流入し、続いて窒素が再充填される場合における、X軸の時間(秒)の関数としてのY軸の周波数(Hz)のグラフである。明らかに、周波数の段階的な変化を、高い精度で容易に測定可能である。
【0164】
図14は、同じデータを示すが、但しこの場合、Y軸を分子量(質量単位)に読み替えるように換算している。
【0165】
これらの図は、ほとんどの通常の使用の場合、ガスの分子量を、石英水晶発振器を用いて容易に特定することができることを明らかに示している。さらに、1つのガスが別のガスでパージされる場合に発生する分子量の変化が、明確に明らかにされ、識別可能である。従って、石英水晶発振器210および駆動回路204を用いることで、ガスパージの過程での分子量変化を、充分な精度および時間分解能で算出することができる。
【0166】
ここで、実施形態の作動の方法を、
図15を参照して記載する。以下に記載する方法は、上述した第一から第四の実施形態の各々に適用可能である。
【0167】
[工程550:測定初期化]
工程550において、筺体202内のガスの分子量の測定が初期化される。これは、例えば、筺体202の外側にあるボタンをユーザーが押すことによって起動されてよい。別の選択肢として、測定は、リモート接続によって開始されてもよく、例えば、ワイヤレスネットワークを通してシグナルが送信され、アンテナを通して分子量メーター200、300、400、500によって受信される。
【0168】
さらなる別の選択肢として、または追加として、分子量メーター200、300、400、500は、リモートで、またはタイマーで初期化されるように設計されてよい。方法は、工程552へ進む。
【0169】
[工程552:石英水晶発振器の駆動]
初期化されると、駆動回路212を用いて石英水晶発振器210が駆動される。初期化の過程で、駆動回路212は、水晶210全体にランダムノイズAC電圧を印加する。そのランダム電圧の少なくとも一部は、水晶210に発振を引き起こすのに適する周波数である。水晶210は、次に、そのシグナルと同期して発振を開始する。
【0170】
理解されるように、石英水晶発振器210は、水晶の共振周波数自体が測定されることから、本質的に、独立型検出器およびドライバーである。
【0171】
次に、圧電効果により、石英水晶発振器210の運動が、石英水晶発振器210の共振周波数バンドの電圧を発生させる。次に、駆動回路212は、石英水晶発振器210によって発生されたシグナルを、石英水晶共振器202の周波数バンドで発生されたシグナルが駆動回路212の出力中で支配的となるように増幅する。石英水晶の狭い共振バンドにより、不要な周波数がすべて選別除去され、次に、駆動回路212は、基本共振周波数fで石英水晶発振器210を駆動する。石英水晶発振器210が特定の共振周波数で安定化すると、方法は、工程554へ進む。
【0172】
[工程554:石英水晶発振器の共振周波数測定]
共振周波数fは、筺体202内の環境条件に依存する。本実施形態では、共振周波数の変化Δfは、良好な近似として、筺体202の内部206におけるガスの密度の変化に対してその大きさが比例し、密度の増加と共に減少する。
【0173】
測定を行うために、石英水晶発振器210の周波数は、およそ1秒間にわたって測定される。これにより、読みの安定化、および正確な測定値を特定するために充分な発振のカウントが可能となる。周波数の測定は、プロセッサー230で行われる。プロセッサー230は、測定が開始された時間T
1の記録も行ってよい。
【0174】
周波数が測定されると、方法は、工程556へ進む。
【0175】
[工程556:ガスの温度測定]
工程556では、温度センサー214が、筺体202内のガスの温度を測定する。この測定は、工程554で測定された周波数変化からの分子量の計算の精度を高めるために行われる。
【0176】
温度測定は、特に正確である必要はない。例えば、温度センサー214が0.5℃までの精度である場合、これは、以降の工程での分子量の計算に必要とされる絶対温度値に対して、僅かにおよそ600分の1部の誤差に相当する(通常の大気温度と仮定する)。
【0177】
別の選択肢として、この工程は、単に、プロセッサー230に入力される固定温度値が関与するだけでもよい。これは、例えば、温度が既知である環境が用いられる状況で行われてよい。この場合、温度センサー214は必要ない。
【0178】
[工程558:ガスの圧力の特定]
工程554において石英水晶発振器210の周波数が満足の行く形で測定され、工程556で温度が測定されると、次にプロセッサー230は、筺体202の内部206内のガスの圧力を特定する。
【0179】
これは、筺体202内の測定された圧力に比例する電気シグナルを提供する圧力センサー302(備えられる場合)からの入力値によって行われてよい。これは、第二および第四の実施形態の場合に適用される。
【0180】
別の選択肢として、圧力が妥当な度合いで既知である場合、圧力値は、手動または自動でプロセッサー230に入力されてもよい。これは、固定圧力レギュレーターの出力に相当し得るか(第一の実施形態の場合のように)、または大気圧に相当し得る(第三の実施形態の場合のように)。
【0181】
[工程560:ガスの分子量の特定]
これは、ガスの密度ρ、圧力P、および温度Tが既知である場合に、上記の方程式8)を用いて行われる。従って、工程554で測定される共振周波数が既知であり、工程556で測定される筺体202中のガスの温度Tが既知であり、および工程558で特定されるガスの圧力が既知であれば、分子量(または、ガスの均質混合物の場合は平均分子量)の正確な測定を行うことができる。次に、方法は、工程562へ進む。
【0182】
[工程562:結果の通信および記憶]
ガスの分子量は、いくつかの方法で表示させることができる。例えば、筺体202またはレギュレーター150、250に取り付けられたスクリーン(図示せず)に、ガスの分子量(または平均分子量)が表示されてよい。別の選択肢として、圧力測定は、以降で記載するように、ベースステーションへ、または隣接する付属備品上に配置されるメーターへ、リモート通信されてもよい。
【0183】
後に取り出すために、分子量メーター200、300、400、500。なおさらなる別の選択肢として、時間T
1でのガスの圧力は、時間ログを作製するために、前記プロセッサー230のローカルメモリに記憶されてよい。
【0185】
[工程564:センサーアセンブリーの電源オフ]
分子量メーター200、300、400、500を常時作動状態に保持しておく必要はない。逆に、非使用時に分子量メーター200、300、400、500のスイッチを切ることによって電力消費を低減することは有益である。これにより、電池216の寿命が長くなる。
【0186】
駆動回路212の設計により、筺体202中の圧力に関係なく、石英水晶発振器210の再スタートが可能である。従って、分子量メーター200、300、400、500は、電池の電力を節約するために、必要である限り、シャットダウンされてよい。
【0187】
本発明に従う分子量メーターの重要な適用は、フィードバック式ガスミキサーである。そのような設備では、2つの異なるガスが、精密な濃度および比率で混合される必要がある。これは、例えば、アルゴンおよび二酸化炭素の混合物が必要とされ、二酸化炭素の比率が詳しく定められているMIG溶接での適用などの状況で必要とされ得る。別の選択肢として、多くのヘルスケアまたは医療での適用においても、ガスの精密な混合物が必要とされ、この場合、特定の種類のガスの相対的比率が、高い精度で既知であることが必要とされ得る。
【0188】
本発明に従うガスミキサーの実施形態を、
図16に示す。
図16は、先の実施形態の分子量メーター500と共に用いられるガスミキサー600を示す。
【0189】
ガスミキサー600は、第一のガス源602および第二のガス源604を含む。この実施形態では、ガス源602、604は、高圧下で永久ガスを保存するように構成されるガスシリンダーを含む。各シリンダーは、第一の実施形態で示したバルブ104に類似していてよいバルブ(図示せず)を含む。
【0190】
各ガスシリンダー内に含まれるガスは、異なっており、必要とされる用途に応じて選択される。例えば、溶接への適用では、アルゴンおよび二酸化炭素の混合物が用いられる。別の選択肢として、医療への適用では、酸素および窒素の混合物が必要とされ得る。
【0191】
第一および第二のガス源602、604は、それぞれ、第一および第二の供給ライン606、608と接続されている。逆止バルブ610、612が、各々の第一および第二のガス源602、604の下流の第一および第二の供給ラインにそれぞれ配置され、ガス源602、604へ向かってのガスの逆流が防止される。
【0192】
さらに、メインバルブ614が、逆止バルブ610の下流の第一の供給ライン606に配置される。メインバルブ614は、手動で作動可能であり、適切ないかなる形態を取ってもよい。例えば、メインバルブ614は、単純なオン/オフバルブの形態を取ってよく、または流量調節バルブ(adjustable flow valve)、VIPR、もしくはレギュレーターを含んでもよい。別の選択肢として、メインバルブ614は、ガスミキサー600から離れたユーザーによって電子制御されてもよい。ガスの混合物の全体の流速(以降で述べる)は、メインバルブ614によって設定される。
【0193】
ソレノイドバルブ616が、逆止バルブ612の下流の第二の供給ライン608に配置される。ソレノイドバルブ616は、ソレノイドバルブ616の本体に配置される一式のコイル(図示せず)を通る電流に応答して動くことができるアーマチュア(図示せず)を含む。アーマチュアは、ガスがソレノイドバルブ616を通ってその下流のコンポーネントへ流れることを可能とするために、ソレノイドバルブ616を開または閉とするように動くことができる。
【0194】
ソレノイドバルブ616は、通常時開の状態であってよい。言い換えると、ソレノイドバルブ616を通る電流が存在しない場合、アーマチュアは、ソレノイドバルブ616が開となるように後退した位置にあり、すなわち、第二のガス源604からのガスが、そこを通ってソレノイドバルブ616の下流のコンポーネントへと流れることができる。ソレノイドバルブ616に電流が印加されると、アーマチュアは後退し、ソレノイドバルブ616は閉となり、そこを通るガスの流れが止められる。本実施形態では、ソレノイドバルブ616は、直線方向に連続的に可変である。
【0195】
当業者であれば、本発明で用いることが可能である異なる型のソレノイドバルブを容易に認識するであろう。例えば、アーマチュアは、選択的作動可能流量制限部(selectably-operable flow restriction)として直接作用してもよい。別の選択肢として、アーマチュアは、ダイアフラムへ直接作用することも可能である。さらなる別の選択肢として、アーマチュアは、ダイアフラムの動きを調節する目的で、ソレノイドバルブ616の下流の供給ライン608と連結された狭い導管を通る流量を制御することも可能である。そのような設備は、ダイアフラムパイロットバルブとして知られている。ソレノイドバルブ616は、以降で述べるように、分子量メーター500によって制御される。
【0196】
第一および第二の供給ライン606、608は、いずれも、ミキサーユニット618と接続されている。ミキサーユニット618は、第一および第二の供給ライン606、608からの2つの流れを組み合わせ、組み合わされた流れを第三の供給ライン620へ送るように作動可能である。ミキサーユニット618は、単に2つの流れを組み合わせるように作用し、ガスの比率または各流れの圧力を変化させるものではない。
【0197】
ガスミキサー600は、第四の実施形態の分子量メーター500を含む。本設備では、分子量メーター500は、第三の供給ライン620内のその出力部622に隣接するその遠位端部に配置される第一の石英水晶発振器210を含む。出力部622は、大気中へ開放されている。従って、第一の石英水晶発振器210が受ける圧力は、良好な近似として、大気圧に相当する。
【0198】
分子量メーター500はまた、
図5の実施形態と同様に、ミキサー600の外側の、大気圧に暴露される第二の石英水晶発振器510も含む。この場合、第二の石英水晶発振器510は、出力部近傍(しかし出力部自体ではない)に配置されることで、出力部622からのガス流による影響を受けない状態が維持され、正確な圧力の読みが確保される。
【0199】
加えて、分子量メーター500は、ソレノイドバルブ616と、および分子量メーター500のセンサーアセンブリー204と接続された電子ソレノイド駆動部652を含む。
【0200】
ソレノイド駆動部652は、センサーアセンブリー204からのシグナルを受け、そのシグナルに応答してソレノイドバルブ616を制御するように構成される。従って、分子量メーター500は、ソレノイドバルブ616を通してガスの流量を制御するように作動可能である。言い換えると、分子量メーター500およびソレノイドバルブ616は、第二の供給ライン608に沿ってミキサーユニット618までのガスの流れの圧力調節を、精密にリモートで行うことを可能とするフィードバックループを形成する。従って、ミキサーユニット618中で混合されるガスの比率を、以降で述べるように、精密に制御することができる。
【0201】
ソレノイド駆動部652は、ソレノイドバルブ616を制御するための適切ないかなる駆動回路を含んでもよい。1つの適切な回路は、センサーアセンブリー204から演算増幅器の負端子への入力を有する演算増幅器の設備であってよい。従って、可変抵抗器が、正端子へ取り付けられてよい。この可変抵抗器は、一定の基準レベルを提供し、比較器として作用するように構成されていてよい。基準レベルは、自動または手動で変更されてよい。
【0202】
センサーアセンブリー204からソレノイド駆動部652への入力は、ソレノイドバルブ616を作動させる。例えば、センサーアセンブリー204(または、別の選択肢として、プロセッサー230)からの入力シグナルが特定の閾値レベルを超える場合に、ソレノイド駆動部652がソレノイドバルブ616を作動させてよい。ソレノイドバルブ616は、デジタル式に制御されてよく(すなわち、オンまたはオフ)、この場合、DC電圧が、最大および最小値の間で変化される。別の選択肢として、ソレノイド駆動部652からのDC電圧が連続的に可変であって、ソレノイドバルブ616を通る流量の制限量が正確に調節されてよい。
【0203】
加えて、または別の選択肢として、ソレノイド駆動部652は、AC成分を含むDC出力によってソレノイドバルブ616を制御してもよい。ソレノイドバルブ616からのアーマチュアの伸びは、印加電流におよそ比例することから、これは、ソレノイドバルブ616のアーマチュアの振動を引き起こす。そのような振動は、アーマチュアの静摩擦を緩和し、すなわち、アーマチュアの引っ掛かりまたは詰まりを防止する手助けとなる。
【0204】
別の選択肢として、FET、プロセッサー、またはASICなどのその他の制御設備が、ソレノイドバルブ616の作動の制御に適宜用いられてもよい。さらに、ソレノイドバルブ616は、アーマチュアまたは類似物の正確な動きを可能とするために、デジタル(すなわち、オン/オフ)またはアナログ(すなわち、連続的に可変)モードのいずれかで作動されてよい。
【0205】
図16には、分子量メーター500の主要なコンポーネントが、ソレノイドバルブ616から分離されて示される。このような状況では、ソレノイドバルブ616は、センサーアセンブリー204とソレノイド駆動部652との間のワイヤレス通信によってリモート制御されてよい。
【0206】
ここで、ガスミキサー600の作動について記載する。これまでに考察したように、分子量メーター500は、ガスの分子量またはガスの平均分子量を特定することができる。2つのガスが異なる比率で混合される場合、このガス混合物の平均分子量は、各ガスの相対的比率に応じて変化することになる。従って、個別の各ガスの分子量の知見と共に、混合物の平均分子量の測定を行い、ならびに圧力(第二の石英水晶発振器510から)および温度(温度センサー214から)の測定を行うことにより、混合物中の各ガスの比率を特定することができる。
【0207】
第一のガス源602からのガスのメイン流速は、メインバルブ614によって設定され、上述のように、これはユーザーによって作動可能である。これが設定されると、分子量メーター500は、所望される比率のガス混合物を得るために、ソレノイドバルブ616を制御して、第二のガス源604から正しい量のガスを供給することができる。これは、ソレノイド駆動部652によって行われる。
【0208】
従って、第二のガス源604からのガスの比率が高過ぎる場合、分子量メーター500は、ソレノイド駆動部652を介して、ソレノイドバルブ616を閉じるか、または部分的に閉じ、第二のガス源604からのガスの流量を制限する。同様に、第二のガス源604からのガスの比率が低過ぎる場合、分子量メーター500は、ソレノイド駆動部652を介して、ソレノイドバルブ616を開くか、または部分的に開き、第二のガス源604からのガスの流量を増加させる。
【0209】
上記の実施形態は、混合物中の各ガスの比率を信頼性高く、正確に特定し、維持することができる、ガス混合物を提供する低コストで信頼性の高い強固な方法を提供する。
【0210】
ガスミキサー700の別の選択肢としての実施形態を、
図17に示す。先の実施形態のガスミキサー600が、ユーザーによって特定される圧力での2つの異なるガスの所望される比例混合物を供給するように作動可能であるのに対し、ガスミキサー700は、ガス圧力および2つのガスの比率の両方を電子制御するように作動可能である。
【0211】
ガスミキサー700は、ガスAを供給するための第一のガス源702、およびガスBを供給するための第二のガス源704を含む。本実施形態では、ガス源702、704は、高圧下の永久ガスを保存するように構成されるガスシリンダーを含む。各シリンダーは、第一の実施形態で示したバルブ104に類似していてよいバルブ(図示せず)を含む。各ガスシリンダー内に含有されるガスA、Bは、異なっており、
図16の実施形態の場合のように、必要とされる用途に応じて選択される。
【0212】
第一および第二のガス源702、704は、それぞれ、第一および第二の供給ライン706、708に接続される。逆止バルブ710、712が、各々の第一および第二のガス源702、704の下流の第一および第二の供給ラインにそれぞれ配置され、ガス源702、704へ向かってのガスの逆流が防止される。
【0213】
第一のソレノイドバルブ714が、逆止バルブ710の下流の第一の供給ライン706に配置される。第一のソレノイドバルブ714は、第一のソレノイドバルブ714の本体に配置される一式のコイル(図示せず)を通る電流に応答して動くことができるアーマチュア(図示せず)を含む。アーマチュアは、ガスが第一のソレノイドバルブ714を通ってその下流のコンポーネントへ流れることを可能とするために、第一のソレノイドバルブ714を開または閉とするように動くことができる。ガスの混合物の全体としての流速(以降で記載)は、以降で記載するように、ソレノイドバルブ714によって設定される。
【0214】
第二のソレノイドバルブ716が、逆止バルブ712の下流の第二の供給ライン708に配置される。ソレノイドバルブ716は、第一のソレノイドバルブ714と非常に類似しており、ガスが第二のソレノイドバルブ716を通ってその下流のコンポーネントへ流れることを可能とするために、開または閉とするように作動可能である。
【0215】
第一および/または第二のソレノイドバルブ714、716は、通常時開の状態であってよい。言い換えると、第一および/または第二のソレノイドバルブ714、716を通る電流が存在しない場合、アーマチュアは、ソレノイドバルブ714、716が開となるように後退した位置にあり、すなわち、第一および/または第二のガス源702、704からのガスが、そこを通ってソレノイドバルブ714、716の下流のコンポーネントへと流れることができる。ソレノイドバルブ714、716に電流が印加されると、アーマチュアは後退し、ソレノイドバルブ714、716は閉となり、そこを通るガスの流れが止められる。本実施形態では、ソレノイドバルブ714、716は、直線方向に連続的に可変である。
【0216】
当業者であれば、本発明で用いることが可能である異なる型のソレノイドバルブを容易に認識するであろう。例えば、アーマチュアは、選択的作動可能流量制限部として直接作用してもよい。別の選択肢として、アーマチュアは、ダイアフラムへ直接作用することも可能である。さらなる別の選択肢として、アーマチュアは、ダイアフラムの動きを調節する目的で、ソレノイドバルブ714、716の下流の供給ライン706、708と連結された狭い導管を通る流量を制御することも可能である。そのような設備は、ダイアフラムパイロットバルブとして知られている。ソレノイドバルブ714、716は、以降で述べるように、分子量メーター750によって制御される。
【0217】
第一および第二の供給ライン706、708は、いずれも、ミキサーユニット718と接続されている。ミキサーユニット718は、第一および第二の供給ライン706、708からの2つの流れ(すなわち、ガスAおよびガスB)を組み合わせ、組み合わされた流れ(AおよびBの混合物)を第三の供給ライン720へ送るように作動可能である。ミキサーユニット718は、単に2つの流れを組み合わせるように作用し、ガスの比率または各流れの圧力を変化させるものではない。
【0218】
ガスミキサー700は、分子量メーター750を含む。本設備では、分子量メーター750は、これまでに述べたプロセッサー230に類似のプロセッサー230と接続された第一のセンサーアセンブリー752および第二のセンサーアセンブリー754を含む。
【0219】
第一のセンサーアセンブリー752は、第一のソレノイドバルブ714の下流の第一の供給ライン706内に配置され、そこのガスに浸漬された第一の石英水晶発振器756を含む。第一のセンサーアセンブリー752はまた、先の実施形態の駆動回路212および電池216に非常に類似する駆動回路および電力源(図示せず)も含む。
【0220】
第二のセンサーアセンブリー756は、ミキサーユニット718の下流の供給ライン720内に配置され、そこのガスに浸漬された第二の石英水晶発振器758および温度センサー260を含む。第二のセンサーアセンブリー756はまた、先の実施形態の駆動回路212および電池216に非常に類似する駆動回路および電力源(図示せず)も含む。
【0221】
加えて、分子量メーター750は、ソレノイドバルブ714と、およびプロセッサー230と接続された第一の電子ソレノイド駆動部762、ならびにソレノイドバルブ716と、およびプロセッサー230と接続された第二の電子ソレノイド駆動部764を含む。
【0222】
ソレノイド駆動部762は、プロセッサー230からのシグナルを受け、そのシグナルに応答してソレノイドバルブ714を制御するように構成される。従って、分子量メーター750は、出口部722から出るガス流の全量を、または別の選択肢として、出口部722からの出力圧力を制御するように作動可能である。言い換えると、分子量メーター750およびソレノイドバルブ714は、第一の供給ライン706に沿ってミキサー718までのガスの流量の圧力調節を、精密にリモートで行うことを可能とするフィードバックループを形成する。
【0223】
ソレノイド駆動部764はまた、プロセッサー230からのシグナルを受け、そのシグナルに応答してソレノイドバルブ716を制御するようにも構成される。従って、分子量メーター750は、ガス源702からのガス流に対するガス源704からのガス流の比率を制御するように作動可能である。言い換えると、分子量メーター750およびソレノイドバルブ716は、第一の供給ライン706に沿って流れるガスの比率に対しての、第二の供給ライン708に沿ってミキサー718までのガスの流量の調節を、精密にリモートで行うことを可能とするフィードバックループを形成する。そこで、第二のガス源704からのガスの必要とされる比率が、ユニット718中で混合される。
【0224】
ソレノイド駆動部762、764は、対応するソレノイドバルブ714、716を制御するために適するいかなる駆動回路を含んでいてもよい。1つの適切な回路は、センサーアセンブリー752、756およびプロセッサー230から演算増幅器の負端子への入力を有する演算増幅器の設備であってよい。従って、可変抵抗器が、正端子へ取り付けられてよい。この可変抵抗器は、一定の基準レベルを提供し、比較器として作用するように構成されていてよい。基準レベルは、自動または手動で変更されてよい。
【0225】
プロセッサー230からソレノイド駆動部762、764への入力は、ソレノイドバルブ714、716を作動させる。例えば、プロセッサー230)からの入力シグナルが特定の閾値レベルを超える場合に、ソレノイド駆動部762またはソレノイド駆動部764が、対応するソレノイドバルブ714、716を作動させてよい。ソレノイドバルブ714、716は、DC電圧が最大および最小値の間で変化されるデジタル式(すなわち、オンまたはオフ)で制御されてよい。別の選択肢として、ソレノイド駆動部762、764からのDC電圧が連続的に可変であって、対応するソレノイドバルブ714、716を通る流量の制限量が正確に調節されてよい。
【0226】
加えて、または別の選択肢として、ソレノイド駆動部652は、先の実施形態に関連して述べたように、AC成分を含むDC出力によってソレノイドバルブ616を制御してもよい。
【0227】
別の選択肢として、FET、プロセッサー、またはASICなどのその他の制御設備が、ソレノイドバルブ714、716の作動の制御に適宜用いられてもよい。さらに、ソレノイドバルブ714、716は、アーマチュアまたは類似物の正確な動きを可能とするために、デジタル(すなわち、オン/オフ)またはアナログ(すなわち、連続的に可変)モードのいずれかで作動されてよい。
【0228】
図17には、分子量メーター750の主要なコンポーネントが、ソレノイドバルブ714、716から分離されて示される。このような状況では、ソレノイドバルブ714、716は、プロセッサー230とソレノイドバルブ714、716との間のワイヤレス通信によってリモート制御されてよい。
【0229】
ここで、ガスミキサー700の作動について記載する。これまでに考察したように、分子量メーター750は、ガスAおよびBの混合物の平均分子量を特定することができる。加えて、分子量メーター750は、ガス圧力を特定するようにも作動可能である。2つのガスが異なる比率で混合される場合、このガス混合物の平均分子量は、各ガスの相対的比率に応じて変化することになる。従って、個別の各ガスの分子量の知見と共に、混合物の平均分子量の測定を行い、ならびに圧力および温度の測定を行うことにより、所望される圧力の出力と共に、混合物中の各ガスの比率を特定することができる。
【0230】
第一のガス源702からのガスAのメイン流速は、ユーザーによって設定されるか、または自動で設定されてもよい。これにより、プロセッサー230の設定値が決定される。第一のガス源702からのガスAが、多い方のガスであり、第二のガス源704からのガスBが、少ない方のガスであると仮定する。
【0231】
センサーアセンブリー752を用いて、ソレノイドバルブ714の下流の圧力Pが算出される。第一のガス源の分子量MW
Aが既知(ガス源702からの第一のガスAがパッケージガスであるために)であることから、ソレノイドバルブ714のすぐ下流の圧力は、この場合、方程式10)から特定することができ:
【数10】
ここで、Pは、圧力であり、Rは、気体定数であり、Tは、絶対温度(温度センサー760で測定される)であり、MW
Aは、第一のガス源702からのガスAの分子量であり、ρ
Aは、第一の供給ライン706のソレノイドバルブ714のすぐ下流での測定された密度である。
【0232】
第一の供給ライン706で測定される圧力は、ミキサーユニット718および出力供給ライン720における圧力とおよそ等しいと仮定する。この仮定は、第二のガス源704からのガスの比率が、第一のガス源702からの多い方のガスと比較して少ない方である場合に適用される。
【0233】
センサーアセンブリー752によって測定されるPの測定値は、次に、所望される出力圧力を達成するためにそれに応じてソレノイドバルブ714を制御するように作動可能であるプロセッサー230へ入力される。これは、比例に基づいて行われてよく、プロセッサー230に記憶されている設定値圧力が測定圧力値から差し引かれ、その間の差異を用いて、ソレノイドバルブが制御される。
【0234】
次に、第三の供給ライン720のガスミックスの平均分子量が、センサーアセンブリー754によって特定される。本実施形態では、第二の石英水晶発振器758は、第三の供給ライン720のガス混合物の密度ρ
mixを特定するように作動可能である。次に、ガス混合物の平均分子量MW
mixは、方程式11)から特定することができ:
【数11】
ここで、Pは、第一のセンサーアセンブリー752によって測定される圧力である。ガス混合物の平均分子量(MW
mix)が算出されると、第二のガス源704からの少ない方のガスBの体積パーセント(%B)を、方程式12)に従って特定することができ:
【数12】
これから、次に、方程式13)が得られる:
【数13】
【0235】
次に、ガスBの体積パーセントの値(%B)が、プロセッサー230によって、所望される設定値と比較され、それに従ってソレノイドバルブ716を制御することができる。従って、分子量メーター750は、ガスAおよびBの所望される比率の混合物を得る目的で、第二のガス源704からガスBの正しい量を供給するようにソレノイドバルブ716を制御することができる。これは、ソレノイド駆動部764を介して行われる。
【0236】
従って、第二のガス源704からのガスBの比率が高過ぎる場合、分子量メーター750は、ソレノイド駆動部764を介して、ソレノイドバルブ716を閉じるか、または部分的に閉じ、第二のガス源704からのガスBの流量を制限する。同様に、第二のガス源704からのガスの比率が低過ぎる場合、分子量メーター750は、ソレノイド駆動部754を介して、ソレノイドバルブ716を開くか、または部分的に開き、第二のガス源704からのガスの流量を増加させる。
【0237】
上記の実施形態は、任意の圧力のガスの正確な混合物を提供する低コストで信頼性の高い強固な方法を提供するものであり、すなわち、ガスの圧力は一定で、混合物中の各ガスの比率を、信頼性高く、正確に維持することができる。
【0238】
ガスミキサー800の別の選択肢としての実施形態を、
図18に示す。ガスミキサー800は、ガス圧力および2つのガスの比率の両方を電子制御するように作動可能であり、先の実施形態のガスミキサー700と共通している。ガスミキサー700と共通するガスミキサー800の特徴は、同じ符号が割り当てられ、ここではこれ以上記載しない。
【0239】
ガスミキサー800は、分子量メーター850を含む。本設備では、分子量メーター850は、第一のセンサーアセンブリー752、第二のセンサーアセンブリー754、および第三のセンサーアセンブリー852を含む。各センサーアセンブリー752、754、852は、プロセッサー230と接続されている。第一および第二のセンサーアセンブリー752、754は、ガスミキサー700のものと同一であり、ここではさらに記載しない。
【0240】
第三のセンサーアセンブリー852は、第二のソレノイドバルブ716の下流の第二の供給ライン708内に配置され、そこのガスに浸漬された第三の石英水晶発振器856を含む。第三のセンサーアセンブリー852はまた、先の実施形態の駆動回路212および電池216に非常に類似する駆動回路および電力源(図示せず)も含む。
【0241】
ここで、ガスミキサー800の作動について記載する。これまでに考察したように、分子量メーター850は、ガスAおよびBの混合物の平均分子量を特定することができる。加えて、分子量メーター850は、ガス圧力を特定するようにも作動可能である。2つのガスが異なる比率で混合される場合、このガス混合物の平均分子量は、各ガスの相対的比率に応じて変化することになる。従って、個別の各ガスの分子量の知見と共に、混合物の平均分子量の測定を行い、ならびに圧力および温度の測定を行うことにより、所望される圧力の出力と共に、混合物中の各ガスの比率を特定することができる。
【0242】
第一のガス源702からのガスAのメイン流速は、ユーザーによって設定されるか、または自動で設定されてもよい。これにより、プロセッサー230の設定値が決定される。第一のガス源702からのガスAが、多い方のガスであり、第二のガス源704からのガスBが、少ない方のガスであると仮定する。
【0243】
センサーアセンブリー852を用いて、第二の供給ライン708のソレノイドバルブ716の下流の圧力Pが算出される。ガスBの分子量MW
Bが既知(ガス源704からのガスBがパッケージガスであるために)であることから、ソレノイドバルブ716のすぐ下流の圧力は、この場合、方程式14)から特定することができ:
【数14】
ここで、Pは、圧力であり、Rは、気体定数であり、Tは、絶対温度(温度センサー760で測定される)であり、MW
Bは、第二のガス源704からのガスBの分子量であり、ρ
Bは、第二の供給ライン708のソレノイドバルブ716のすぐ下流での測定された密度である。
【0244】
この値は、センサーアセンブリー752を用いて、方程式9)で成された計算の代わりに用いることもできる。別の選択肢として、両圧力を測定し、その平均を取ることで、以下の方程式15)に示されるように、ミキサーユニット718の下流の圧力をより良好に推定することもできる:
【数15】
【0245】
センサーアセンブリー752およびセンサーアセンブリー852によって測定されるPの測定値は、次に、所望される出力圧力を達成するためにそれに応じてソレノイドバルブ714を制御するように作動可能であるプロセッサー230へ入力される。これは、比例に基づいて行われてよく、測定圧力Pとプロセッサー230に記憶されている設定値圧力との差異の時間に関する積分および/または微分を所望に応じて含めてよい。
【0246】
次に、第三の供給ライン720のガスミックスの平均分子量が、上記で得られたPの値を用いて、センサーアセンブリー754によって特定される。本実施形態では、第二の石英水晶発振器758は、第三の供給ライン720のガス混合物の密度ρ
mixを特定するように作動可能である。次に、ガス混合物の平均分子量MW
mixは、上記の方程式10)から特定することができ、第二のガス源704からの少ない方のガスBの体積パーセント(%B)は、上記の方程式12)および13)に従って特定することができる。
【0247】
別の選択肢として、ガスBの体積パーセントの値(%B)は、測定された密度を用いて、方程式16)に従って算出することができる:
【数16】
【0248】
加えて、ミキサーの下流の圧力を、必要である場合、方程式17)から算出することもでき:
【数17】
ここで、MW
mixは、上記の方程式12)から特定される。
【0249】
上記実施形態は、任意の圧力のガスの正確な混合物を提供する低コストで信頼性の高い強固な方法を提供するものであり、すなわち、ガスの圧力は一定で、混合物中の各ガスの比率を、信頼性高く、正確に維持することができる。
【0250】
ガスミキサー900の別の選択肢としての実施形態を、
図19に示す。ガスミキサー900は、先の実施形態のガスミキサー600、700、800と共通して、2つのガスの比率を電子制御するように作動可能である。しかし、先の実施形態のガスミキサー700、800とは対照的に、ガスミキサー900は、出口部722からのガスの質量流速を電子制御するように作動可能である。ガスミキサー700、800と共通するガスミキサー900の特徴は、同じ符号が割り当てられ、ここではこれ以上記載しない。
【0251】
ガスミキサー900は、分子量メーター950を含む。本設備では、分子量メーター950は、第一のセンサーアセンブリー752および質量流量アセンブリー952を含む。各アセンブリー752、952は、プロセッサー230と接続されている。第一のセンサーアセンブリー752は、ガスミキサー700、800のものと同一であり、ここではさらに記載しない。
【0252】
質量流量アセンブリー952の実施形態を、
図20に示す。質量流量アセンブリー952のさらなる実施形態を、
図21に示す。
【0253】
まず
図20の質量流量アセンブリー952を参照すると、質量流量アセンブリー952は、本体954およびセンサーアセンブリー956を含む。センサーアセンブリー956は、先の実施形態のセンサーアセンブリーと非常に類似しており、それには、同じ符号が用いられる。
【0254】
本体954は、適切ないかなる材料を含んでもよく;例えば、鋼鉄、アルミニウム、またはコンポジットである。本体954は、導管958および筺体960を含む。導管958は、供給管720の内部と連結されており(
図19)、それと接続するように構成されている。導管958は、出口部722と供給管720との間の連結経路を提供する。
【0255】
オリフィスプレート962が、導管958の内部に配置される。オリフィスプレート962は、制限オリフィス964の境界を定める壁部を含む。オリフィスプレート962は、導管958内の流量制限部を形成する。オリフィス964は、導管958の断面積と比べて小さい断面積Aを有し、それによって、後述するように、オリフィス964を通る流速は、チョーク状態(choked condition)となっている。
【0256】
オリフィスプレート962は、
図20において薄肉プレートとして示されるが、そうである必要はない。オリフィスプレート962は、適切ないかなる壁部の形態を取ってもよく、次第に薄くなるプロファイルを有してよく、または示したものよりも大きい厚さを有してもよい。別の選択肢として、オリフィスプレート962の代わりに、適切ないかなる流量制限部が用いられてもよい。例えば、流量制限部は、残りの部分よりも狭い直径のチューブの一部を含んでよい。当業者であれば、使用時にそれを通してチョーク流が発生する流量制限オリフィス964を提供するために用いられてよい別の選択肢としての流量制限部を容易に認識するであろう。
【0257】
本実施形態において、導管958は、数センチメートルのオーダーの長さを有する。オリフィスプレート962は、0.1mm〜4mmの範囲の直径を有するオリフィス964の境界を定める。これは、チョーク流状態を提供し、窒素またはアルゴンなどのガスに場合に、1から40リットル/分のガス流速を、オリフィス964を通して供給するのに充分である。これよりも分子量が低いガスの混合物の場合、類似の流速を得るために、オリフィス964の直径は、スケールダウンされてよい。別の選択肢として、より大きい流速のためには、オリフィス964を通してチョーク流状態を作り出すために、上流の圧力が下流の圧力よりも充分に高い限りにおいて、オリフィス964は、それに応じてスケールアップされてよい。
【0258】
オリフィスプレート962は、導管958の内部を、オリフィスプレート962の上流にある上流セクション966、およびオリフィスプレート962の下流にある下流セクション968に分割する。使用時、ガスが、供給管720から導管958の上流部分966へ流れると、オリフィスプレート962は、流量制限部として作用し、その結果、導管958の上流部分966と下流部分966との間に圧力差をもたらす。従って、導管958の上流部分966は、第一の圧力P
1および密度ρ
1であり、導管の下流部分968は、第二の(そして使用時は、低い方の)圧力P
2および密度ρ
2である。これについては、より詳細に後述する。
【0259】
筺体960は、導管958の上流部分966に隣接して配置され、センサーアセンブリー956の少なくとも一部を含有するように構成される。筺体960の内部は、大気圧であってよく、または導管958の内部と連結されていてよく、従って、供給ライン720の内部と同じ圧力であってもよい。これにより、筺体960と導管958の内部との間の圧力フィードスルー(pressure feed-through)の必要性が排除される。
【0260】
別の選択肢として、筺体960は、導管958の一部として提供されてよい。例えば、導管958の一部が、センサーアセンブリー956を収容するために広げられてよい。
【0261】
質量流量アセンブリー954は、オリフィス964を通るガスの質量流速を測定するように構成される。このガスは、センサーアセンブリー956によって測定される。センサーアセンブリー956は、先の実施形態で述べたように、駆動回路212、温度センサー214、および電池216と接続された石英水晶発振器210を含む。
【0262】
本実施形態では、石英水晶発振器210および温度センサー222は、導管958の上流部分966の内部と連結されて配置され、一方センサーアセンブリー956の残りのコンポーネントは、筺体960内に配置される。言い換えると、石英水晶発振器210は、オリフィスプレート962の上流のガスに浸漬される。
【0263】
密度値が石英水晶発振器210から得られると、オリフィス964を通るガスの質量流速を、プロセッサー230によって特定することができる。オリフィスを通るこの質量流速は:
【数18】
として定義され、ここで、kは、定数であり、vは、ガスの速度であり、ρ
1は、ガスの上流密度であり、Aは、オリフィスAの断面積である。しかし、ベルヌーイ方程式19)からは、以下の通りである:
【数19】
【0264】
オリフィスの断面積が小さくなると、ガスの速度は上昇し、ガスの圧力は低下する。
【0265】
オリフィス964を通る質量流速の特定は、「チョーク」または「臨界」流として知られる状態に依存する。そのような状況が発生するのは、ガスの速度が音速状態となる場合、すなわち、オリフィスプレート962によって引き起こされる流量の制限が、オリフィス964を通って流れるガスの速度を音速に到達させるようなものである場合である。これは、オリフィス964の前後の圧力比(すなわち、P
1/P
2)が、およそ2以上である場合に発生する。別の選択肢としての方法として、この状態は、上流の絶対圧力P
1が、下流の絶対圧力P
2よりも少なくとも0.5〜1バール高い場合にも一般的に該当する。
【0266】
この条件が満たされると、オリフィス964を通る空気の速度のさらなる増加はほとんどない。従って、v=c(問題となるガス中での音速)であるチョーク流状態では、方程式18)は、以下のようになる:
【数20】
【0267】
従って、固定された断面積Aを有するオリフィスの場合、オリフィス964を通る質量流量は、上流密度のみに依存する。これは、石英水晶発振器210が測定するように構成されるパラメーターである。
【0268】
図22は、質量流速測定の実験データを示す。
図22は、窒素ガスの場合の、X軸のガス流速(リットル/分)の関数としての、Y軸の共振周波数(kHz)のグラフである。示されるように、グラフは高い直線性を有し、石英水晶発振器210を用いて質量流速を正確に測定することができることを示している。
【0269】
さらに、石英水晶発振器210の高い精度により、百万分率の分解能での非常に高い精度までの測定が可能となる。高い密度および圧力での石英密度センサー210の直線応答と合わせて、この高い精度により、H
2およびHeなどの非常に軽いガスの質量流速の正確な測定が可能となる。
【0270】
しかし、上述のように、石英水晶発振器210を用いた質量流量測定は、チョーク流状態下でのみ、すなわち、オリフィス964を通る流速が、そのガス中の音速に近いかまたは等しい場合にのみ正確である。このことは、実際には、正確な測定を得るために、供給ライン720を通る特定の最小ガス流を維持することをユーザーに求めることになる。
【0271】
その結果として、単独で作動する単一の上流石英水晶発振器210は、オリフィス964を通してチョーク流状態が存在するかどうかを示すことができない。
図21の実施形態は、この態様に対処するよう作動可能である。
【0272】
図21の質量流量アセンブリー952では、さらなる石英水晶発振器972を含むさらなるセンサーアセンブリー970が提供される。オリフィス964の上流および下流の両方で圧電センサーを用いることにより、正確な流量測定を達成することが可能となる。
【0273】
方程式19)に関して上記で示したように、質量流速Qは、オリフィス964を通る流体流の速度が音速であるか、または音速に近い場合、上流密度ρ
1に比例する。上記で示したように、この条件が満たされるのは、一般的に、上流圧力の下流圧力に対する比率(すなわち、P
1/P
2)が、およそ2以上である場合である。
【0274】
しかし、実際には、圧力比は不充分であり得る。ベルヌーイの方程式、ならびにチョーク流および音速の確立された理論を適用することで、方程式21)が得られ、
【数21】
ここで、k’は、無次元の定数であり、Aは、オリフィスの面積であり、ρ
1は、上流密度であり、ρ
2は、下流密度である。
【0275】
明らかに、ρ
1/ρ
2≧2である場合、チョーク流状態がオリフィス964の前後で存在すると考えられることから、方程式21)は、上記の方程式20)で近似することができる。従って、この場合は、第一のセンサーアセンブリー956のみからの測定値を用いることで、ρ
1/ρ
2≧2である状況での質量流速の正確な示度を得ることができる。
【0276】
しかし、比率がこれよりも低い場合、方程式18)を用いることで、上流密度ρ
1および下流密度ρ
2の測定にそれぞれ両センサーアセンブリー954、970を用いて質量流速を算出し、チョーク流に達しない状態におけるオリフィス964を通る流速での質量流速を特定することができる。
【0277】
図19に戻ってこれを参照すると、
図20の質量流量アセンブリー952または
図21の質量流量アセンブリー952のいずれかを、ガスミキサー900と共に用いることができる。
【0278】
ここで、ガスミキサー900の作動について記載する。これまでに考察したように、分子量メーター950は、ガスAおよびBの混合物の平均分子量を特定することができる。加えて、分子量メーター950は、出口部722からの質量流速を特定し、電子設定するように作動可能である。
【0279】
2つのガスが異なる比率で混合される場合、このガス混合物の平均分子量は、各ガスの相対的比率に応じて変化することになる。従って、個別の各ガスの分子量の知見と共に、混合物の平均分子量の測定を行い、ならびに圧力および温度の測定を行うことにより、所望される質量流量の出力と共に、混合物中の各ガスの比率を特定することができる。
【0280】
ガス混合物の所望される質量流速は、ユーザーによって設定されるか、または自動設定されてもよい。これにより、プロセッサー230の設定値が決定される。第一のガス源702からのガスAが、多い方のガスであり、第二のガス源704からのガスBが、少ない方のガスであると仮定する。
【0281】
先の実施形態と共通して、センサーアセンブリー752を用いて、ソレノイドバルブ714の下流の圧力Pが算出される。第一のガス源の分子量MW
Aが既知(ガス源702からの第一のガスAがパッケージガスであるために)であることから、ソレノイドバルブ714のすぐ下流の圧力は、この場合、上記の方程式10)から特定することができる。
【0282】
センサーアセンブリー752によって測定されるPの測定値は、次にプロセッサー230によって用いられる。第三の供給ライン720のガスミックスの平均分子量が、質量流量アセンブリー952の一部を形成するセンサーアセンブリー956によって特定される。本実施形態では、石英水晶発振器210は、先の実施形態の発振器758と共通して、第三の供給ライン720の、または導管954の上流部分966のガス混合物の密度ρ
mixを特定するように作動可能である。次に、ガス混合物の平均分子量MW
mixは、上記方程式10)から、プロセッサー230によって特定することができる。
【0283】
方程式20)(ここで、方程式20)中のρ
1は、ρ
mixに相当する)に従って質量流速を算出するためには、この場合、方程式22)から、ガス混合物中の音速を算出する必要があり:
【数22】
ここで、γは、定圧および定体積での比熱の比であり(ガスに応じて1.3から1.667 − これは、例えば多い方のガスに対して、ユーザーによってプリセットされてよい)、Rは、気体定数であり、Tは、オリフィス964の前の混合物の絶対温度である。
【0284】
次に、流速を、方程式23)に従って算出することができる:
【数23】
【0285】
次に、流速値Qを、予め定めた設定値と比較し、その差異(比例的、所望に応じて時間に関する積分および/または微分を含めてよい)をバルブ714にフィードバックすることにより、それに応じた質量流速の調節を行うことができる。
【0286】
第二のガス源704からの少ない方のガスBの体積パーセント(%B)を、上記の方程式11)および12)に従って特定し、分子量メーター950により、それを適宜調節することができる。
【0287】
上記実施形態は、任意の質量流速のガスの正確な混合物を提供する低コストで信頼性の高い強固な方法を提供するものであり、すなわち、ここで、ガスの一定の質量流量が必要とされ、および混合物中の各ガスの比率を、信頼性高く、正確に維持することができる。
【0288】
ガスミキサー1000の別の選択肢としての実施形態を、
図23に示す。ガスミキサー1000は、先の実施形態のガスミキサー600、700、800、900と共通して、2つのガスの比率を電子制御するように作動可能である。
【0289】
図18のガスミキサー800と共通して、ガスミキサー100は、出口部722からのガスの質量流速を電子制御するように作動可能である。ガスミキサー700、800、900と共通するガスミキサー1000の特徴は、同じ符号が割り当てられ、ここではこれ以上記載しない。
【0290】
ガスミキサー1000は、分子量メーター1050を含む。本設備では、分子量メーター1050は、
図18のガスミキサー800の第一のセンサーアセンブリー752および第二のセンサーアセンブリー754を含む。加えて、分子量メーター1050は、質量流量アセンブリー1052も含む。質量流量アセンブリー1052は、ソレノイドバルブ714の下流およびセンサーアセンブリー756の上流の第一の供給ライン706に配置される。
【0291】
各アセンブリー752、756、1052は、プロセッサー230と接続されている。第一のセンサーアセンブリー752および第二のセンサーアセンブリー756は、ガスミキサー700、800のものと同一であり、ここではさらに記載しない。質量流量アセンブリー1052は、
図20または21のいずれかに示される質量流量アセンブリー952と非常に類似している。本設備において、いずれが用いられてもよい。構造を記載する目的で、本実施形態における違いは、質量流量アセンブリー1052が、先の実施形態の場合のようにミキサーユニット718の下流ではなく、その上流の第一の供給ライン706に配置されることである。
【0292】
ここで、分子量メーター1050の作動について記載する。本実施形態では、質量流量アセンブリー1052は、分子量特定とは本質的に独立しており、石英密度センサー210が両機能のために用いられた先の実施形態とは対照的である。
【0293】
本実施形態では、質量流量アセンブリー1052は、石英水晶発振器210を用いてのオリフィス964の上流のガスAの密度(ρ
A)の測定のためにまず用いられる(
図20/21)。オリフィス964の上流の絶対温度も、温度センサー214を用いて測定される。第一のガス源702からのガスAの質量流速を、次に、方程式22)および23)から特定することができる。
【0294】
次に、流速を、方程式24)に従って算出することができ:
【数24】
ここで、
【数25】
であり、ここで、γは、定圧および定体積での比熱の比であり(ガスに応じて1.3から1.667 − これは、例えば多い方のガスに対して、ユーザーによってプリセットされてよい)、Rは、気体定数であり、Tは、オリフィス964の前のガスAの絶対温度である。
【0295】
次に、プロセッサー230に入力された設定値を用いてソレノイドバルブ714を制御し、オリフィス964を通るガスAの一定流量を維持することができる。この手法を用いることは、単一のガス、ガスA中でチョーク流状態が発生していることから、ガス混合物中の音速のための補正が必要ではないという利点を有する。
【0296】
次に、質量流量アセンブリー1052の下流の圧力Pを、方程式26)に従ってセンサーアセンブリー752によって特定することができ:
【数26】
ここで、ρ’
Aは、センサーアセンブリー752の石英水晶発振器756によって測定される、オリフィス964の下流のガスAの密度である。
【0297】
加えて、石英水晶発振器756を用いて、質量流量アセンブリー1052の作動をチェックし、必要に応じて、
図21に記載の実施形態の操作に従って、補正を提供することもできる。
【0298】
圧力Pが特定されると、ミックスの平均分子量、および%B値を、第二のセンサーアセンブリー754、および上記で列挙し、先の実施形態に関連して述べた方程式11)から13)を用いて特定することができる。
【0299】
加えて、追加のセンサーアセンブリーが、そのように所望される場合は、
図18の実施形態の方法で、第二の供給ライン708に配置されてもよい。
【0300】
上記の実施形態の変更は、当業者に明らかである。ハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントの厳密な設計は異なっていてもよく、それでも、本発明の範囲内に含まれる。当業者であれば、用いられてよい別の選択肢としての設計を、容易に認識するであろう。
【0301】
例えば、上述の実施形態では、基本周波数32.768kHzを有する石英水晶発振器を用いた。しかし、別の選択肢としての周波数で作動する水晶が用いられてもよい。例えば、60kHzおよび100kHzで作動する石英水晶発振器が、上述の実施形態で用いられてよい。異なる水晶における、密度に応じた周波数変化を示すグラフを
図24に示す。さらなる例として、1.8MHzの周波数で作動する水晶発振器が用いられてもよい。
【0302】
より高い周波数で作動することにより、任意のサイクル数あたりのサンプリングに要する時間が短くなることから、より高い頻度でモニタリングすることが可能となる。加えて、より高い周波数の水晶により、水晶の「スリープ」モードにおいて、より小さいデューティサイクルを用いることが可能となる。説明として、ほとんどの場合、水晶および駆動回路は、ほんとんどの時間がスイッチオフで費やされ、測定が必要とされる時に1秒程度スイッチオンとされるだけである。例えば、これは、1分間に1回行われてよい。より高周波数の水晶が用いられる場合、圧力をより早く測定することができる。従って、水晶が作動中である時間を短縮することができる。これにより、電力消費が抑えられ、同時に電池の寿命が改善され得る。
【0303】
加えて、石英水晶発振器の絶対周波数を測定することによる上記実施形態について記載してきた。しかし、ガスシリンダー付随レギュレーターに組み込まれた独立型電子機器の場合、その周波数を、同一の型ではあるが真空または圧力パッケージ中に封入された参照水晶と比較することにより、センサーの周波数の偏移を測定することが有利であり得る。圧力パッケージは、選択された密度でのガスを含有するか、大気条件下のガスを含有するか、またはガスシリンダー外部の大気に開放されていてよい。
【0304】
適切なセンサーアセンブリー1100を
図25に示す。センサーアセンブリー1100は、第一の石英水晶発振器1102および第二の石英水晶発振器1104を含む。第一の石英水晶発振器1102は、真空下の密封容器1106内に配置される参照水晶である。第一の石英水晶発振器1102は、駆動回路1108によって駆動される。
【0305】
第二の石英水晶発振器1104は、先の実施形態で述べた水晶210に類似の水晶である。第二の石英水晶発振器1104は、筺体1106内のガス環境に暴露される。第二の石英水晶発振器1104は、駆動回路1110によって駆動される。
【0306】
この比較は、2つの周波数シグナルを組み合わせ、2つの水晶間の差異に等しい周波数の出力を発生させる電子ミキサー回路1114を用いて行うことができる。この設備により、例えば温度に起因する小さい変化を打ち消すことが可能となる。
【0307】
さらに、差異周波数の測定が必要とされるだけであることから、センサーアセンブリー956で用いられる回路網を単純化することができる。さらに、この手法は、水晶周波数を直接測定することが困難であり得る高周波数(MHz)水晶発振器での使用に特に適している。
【0308】
加えて、密度、質量、または質量流量の測定および表示に必要とされる電子機器のすべてが、ガスシリンダー上またはガスシリンダー中に搭載されている必要はない。例えば、電子機能は、シリンダー上に恒久的に搭載されるユニットと、顧客用ステーションに搭載されるユニットか、または従来の流量メーターに通常は用いられる位置などのシリンダーの出口部に一時的に搭載されるユニットとに分割されてよい。
【0309】
本設備の例を、
図26を参照して示す。この設備は、ガスシリンダー1200、レギュレーター1202、および分子量メーター1204を有するガスシリンダーアセンブリー1200を含む。ガスシリンダー1200、レギュレーター1202、および分子量メーター1204は、先の実施形態に関連してこれまでに述べたガスシリンダー100、レギュレーター150、および分子量メーター200、300、400、500に非常に類似している。
【0310】
本実施形態では、分子量メーター1204は、先の実施形態の石英水晶発振器210および駆動回路212に類似する石英水晶発振器および駆動回路(図示せず)を含む。適切ないずれかのリモート通信プロトコルを介する通信のためのアンテナ1206が提供され;例えば、ブルートゥース、赤外(IR)、またはRFIDである。別の選択肢として、ワンワイヤ通信が用いられてもよい。
【0311】
さらなる別の選択肢として、音響通信法が用いられてもよい。そのような方法の利点は、外部アンテナを必要とせずにリモート通信を行うことができることである。
【0312】
接続管1208が、ガスシリンダー1200の出口部に接続される。接続管は、クイックコネクト接続部(quick connect connection)1210が末端に接続されている。このクイックコネクト接続部1210は、接続配管またはコンポーネントとガスシリンダー1200との接続および分離を、容易に素早く行うことを可能とするものである。
【0313】
クイックコネクトユニット1250は、ガスシリンダー1200との接続のために提供される。コネクター1208との接続のために、相補的なクイックコネクトコネクター1212が提供される。さらに、クイックコネクトユニット1250は、データユニット1252を備える。データユニット552は、ディスプレイ1254、およびガスシリンダーアセンブリー120のアンテナ1204との通信のためのアンテナ1256を含む。ディスプレイ1254は、ディスプレイの電力消費を最小限に抑え、最大限の視認性を得るために、例えば、LCD、LED、または昼光視認可能ディスプレイ(daylight-readable display)を含んでよい。
【0314】
データユニット1252は、ガスシリンダーアセンブリー1200のセンサーアセンブリー1202によって測定される種々のパラメーターを記録してよい。例えば、データユニット1252は、時間に対する分子量を記録してよい。そのようなログは、例えば、重要なコンポーネントへの時間の掛かるガス溶接手順の間にガス流が存在し、それが正しかったことを確認したいと考える溶接施工業者にとって、または特定の顧客の使用に関するデータを企業へ提供するために、有用であり得る。
【0315】
加えて、データユニット1250は、以下の機能:ガスの種類が変わった際の聞こえる、または見える形でのアラームを提供すること;ガスの種類についてのデータを含有し、それを表示すること;マルチモードの作動を提供すること、例えば、供給業者/充填業者用モードおよび顧客用モード;データの入力を可能とすること;シリンダー番号、ガスの種類、分析証明書、顧客歴(誰がどの期間にわたってシリンダーを保有していたか)、安全データなどのデータを提供すること、を提供するように構成されてもよく、ならびにシリンダーは、まとめた形での操作に関する情報を有していてもよい。
【0316】
別の選択肢として、上記の例のすべては、所望に応じて、分子量メーター200、300、400、500に関して考察したように、全体がガスシリンダー100または筺体202上(または内)に配置されるシステムによって処理され、保存され、またはそこから得られてもよい。
【0317】
上記の例は、所望されるいかなる比率でも、および予め特定された質量流速または圧力にて、2つのガスを混合するように作動可能であるミキサー設備を例示する。しかし、これらの設備を直列にして、3つ以上のガスを混合できるようにすることも可能である。例えば、追加のセンサーアセンブリーが、出力部722に付加されてよく、および追加のセンサーアセンブリーが、追加のガス源Cに付加されてよい。一般的に、N個の成分の混合物を得るためには、(2N−1)個のセンサーアセンブリーが必要である。
【0318】
上記実施形態を、石英水晶発振器の使用に関連して記載したが、当業者であれば、やはり用いることが可能である別の選択肢としての圧電材料を容易に認識するであろう。例えば、非網羅的なリストとしては、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ホウ酸リチウム、ベルリナイト、ガリウムヒ素、四ホウ酸リチウム、リン酸アルミニウム、酸化ビスマスゲルマニウム、多結晶チタン酸ジルコニウムセラミック、高アルミナセラミック、ケイ素‐酸化亜鉛コンポジット、または酒石酸二カリウムを含む水晶発振器が挙げられ得る。
【0319】
本発明の実施形態を、例示した例に特に関連して記載した。特定の例を図面で示し、本明細書にて詳細に記載したが、図面および詳細な記載は、開示した特定の形態に本発明を限定することを意図するものではないことは理解されるべきである。本発明の範囲内にて、記載の例に変更および改変を施してよいことは理解されるであろう。