特許第6082113号(P6082113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6082113
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】表示パネル及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20170206BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20170206BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20170206BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20170206BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   G02F1/13 101
   G02F1/1339 505
   G02F1/1335 500
   G02F1/13363
   G09F9/30 310
   G09F9/30 349C
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-527266(P2015-527266)
(86)(22)【出願日】2014年7月8日
(86)【国際出願番号】JP2014068207
(87)【国際公開番号】WO2015008666
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2015年11月9日
(31)【優先権主張番号】特願2013-150775(P2013-150775)
(32)【優先日】2013年7月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】512225287
【氏名又は名称】堺ディスプレイプロダクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】中川 英俊
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−271691(JP,A)
【文献】 特開2003−121828(JP,A)
【文献】 特開2005−010738(JP,A)
【文献】 特開2000−147485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13 101
G02F 1/1335
G02F 1/13363
G02F 1/1339
G09F 9/00 − 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置された複数の表示素子、周縁部に複数の信号入力部を有し、該信号入力部と前記表示素子とを接続する配線が形成された第1透光性基板、及び表示素子間を遮光すると共に、前記複数の表示素子よりなる表示領域の外側を遮光する矩形状の遮光層を備えた第2透光性基板を含む表示パネルにおいて、
前記第1透光性基板及び前記第2透光性基板を貼り合わせるためのシール部材が前記遮光層に重畳された状態にて前記遮光層の周縁に設けられており、
前記表示素子に対する位置を示す標識を、前記シール部材の外側であって、前記第1透光性基板の周縁の少なくとも2箇所に設けてあり、
前記標識は、前記遮光層の周縁の何れかの辺と交差する交差部を有する
ことを特徴とする表示パネル。
【請求項2】
前記交差部は、前記遮光層の周縁の何れかの辺と略90度の角度で交差することを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記標識は、前記交差部に対して直行する平行部を更に有する十字形状のマークであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記標識は、前記配線と同一材料により形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載の表示パネル。
【請求項5】
前記標識は、前記信号入力部と重ならない領域に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1つに記載の表示パネル。
【請求項6】
前記第2透光性基板上に取り付けられ、前記表示素子の配列に応じて取り付け位置が規制される構造体を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1つに記載の表示パネル。
【請求項7】
前記構造体は、前記第1及び第2透光性基板を透過した光の偏光状態を異なる2種類の偏光状態に変換するパターン位相差フィルムであることを特徴とする請求項6に記載の表示パネル。
【請求項8】
請求項1から請求項7の何れか1つに記載の表示パネルと、
該表示パネルが備える複数の表示素子を駆動する駆動部と
を備えることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン位相差フィルムなどの構造体が取り付けられる表示パネル及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立体映像表示方式の1つとして、パッシブ方式(偏光眼鏡方式)による表示方式が知られている。この表示方式では、液晶パネルからの出射光を異なる2種の偏光状態とし、一方の偏光のみを透過する偏光板を右眼用に、他方の偏光のみを透過する偏光板を左眼用にして構成された偏光眼鏡を通じて表示画面を観察させることで、立体感のある画像として認識させるものである。
【0003】
液晶パネルからの出射光を異なる2種の偏光状態にするために、パターン位相差フィルムが利用される(例えば、特許文献1を参照)。パターン位相差フィルムは、位相差が異なる領域を規則的に配置したパターン位相差層を含み、例えば、直線偏光を透過させることによって、夫々の領域を透過する直線偏光を偏光状態が異なる2種類の円偏光(又は楕円偏光)に変換するように構成されている。
【0004】
このようなパターン位相差フィルムを液晶パネルに貼り合わせることにより、液晶パネルを透過する直線偏光を偏光状態の異なる2種類の円偏光(又は楕円偏光)に変換することができる。したがって、1つの画面内で右眼用の映像及び左眼用の映像をそれぞれ表示し、右眼用の映像を一方の偏光状態に変換し、左眼用の映像を他方の偏光状態に変換することで、上述の偏光眼鏡を通じて観察したときに立体感を有する映像として認識されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4508280号公報
【特許文献2】特開2007−4111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
パッシブ方式の立体映像表示では、パターン位相差フィルムが有する2種類の位相差領域のうち一方を、右眼用映像を表示する表示領域内の画素群に対応させ、他方を、左眼用映像を表示する表示領域内の画素群に対応させる必要があるため、液晶パネルに対するパターン位相差フィルムを貼り合わせる際の位置精度が求められていた。
【0007】
従来、液晶パネルに含まれる遮光層としてのブラックマトリクスを加工して、貼り合わせ位置の基準を示す櫛状のアライメントマークを形成し、このようなアライメントマークを基準として偏光板を整列させる技術が提案されていた(例えば、特許文献2を参照)。
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載のアライメントマークを形成するためには、カラーフィルタ基板上のブラックマトリクスを削り出す必要があるため、アライメントマーク部分に隙間が生じる可能性があり、この隙間からバックライトの光が漏れる虞があるという懸念が生じていた。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ブラックマトリクスを加工することなく、パターン位相差フィルムなどの構造体の取り付け位置の基準を示す標識を基板上に設けることができる表示パネル及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の表示パネルは、マトリクス状に配置された複数の表示素子、周縁部に複数の信号入力部を有し、該信号入力部と前記表示素子とを接続する配線が形成された第1透光性基板、及び表示素子間を遮光すると共に、前記複数の表示素子よりなる表示領域の外側を遮光する矩形状の遮光層を備えた第2透光性基板を含む表示パネルにおいて、前記表示素子に対する位置を示す標識を、前記第1透光性基板の周縁の少なくとも2箇所に設けてあり、前記標識は、前記遮光層の周縁の何れかの辺と交差する交差部を有することを特徴とする。
【0011】
本願の表示パネルは、前記交差部は、前記遮光層の周縁の何れかの辺と略90度の角度で交差することを特徴とする。
【0012】
本願の表示パネルは、前記標識を、前記第1透光性基板及び第2透光性基板を貼り合わせるためのシール部材の外側に設けてあることを特徴とする。
【0013】
本願の表示パネルは、前記標識は、前記配線と同一材料により形成されていることを特徴とする。
【0014】
本願の表示パネルは、前記標識は、前記信号入力部と重ならない領域に設けられていることを特徴とする。
【0015】
本願の表示パネルは、前記第2透光性基板上に取り付けられ、前記表示素子の配列に応じて取り付け位置が規制される構造体を更に備えることを特徴とする。
【0016】
本願の表示パネルは、前記構造体は、前記第1及び第2透光性基板を透過した光の偏光状態を異なる2種類の偏光状態に変換するパターン位相差フィルムであることを特徴とする。
【0017】
本願の表示装置は、前述の表示パネルと、該表示パネルが備える複数の表示素子を駆動する駆動部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本願によれば、新たな工程を加えることなくパターン位相差フィルムなどの構造体を取り付けるための位置の基準を示す標識(アライメントマーク)を、TFT配線等が形成されたTFT側ガラス基板上に形成することができる。このアライメントマークを、ブラックマトリクスにより形成した場合には、アライメントマークの形状によっては静電気放電(ESD)の原因となり得るが、本願では、例えば、TFT配線を形成する工程と同一工程にて形成することができるため、静電気放電の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施の形態に係る液晶表示パネルの要部構成を示す平面図である。
図2】本実施の形態に係る液晶表示パネルの要部構成を示す側面図である。
図3】FPRフィルムの一例を示す平面図である。
図4】FPRフィルムの一例を示す縦断面図である。
図5】アライメントマークの形成位置の一例を示す模式図である。
図6】アライメントマークの近傍領域の部分拡大図である。
図7図6に示すA−A線における断面図である。
図8】アライメントマークの他の形状を示す模式図である。
図9】配線パターンにおける配線の一部を利用したアライメントマークの一例を示す模式図である。
図10】本実施の形態に係る液晶表示装置の駆動系の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の適用例の1つとして、パターン位相差フィルムを備えた液晶表示パネルについて図面を用いて具体的に説明する。
図1は本実施の形態に係る液晶表示パネルの要部構成を示す平面図であり、図2はその側面図である。本実施の形態に係る液晶表示パネル1は、TFT側ガラス基板110(TFT : Thin-Film transistor)、液晶層120、及びCF側ガラス基板130(CF : Color Filter)を含む。
【0021】
TFT側ガラス基板110は、透光性を有する矩形状の基板であり、CF側ガラス基板130より少しだけ広い面積を有している。TFT側ガラス基板110の一面には、例えば、マトリクス状に配置される複数の表示画素のそれぞれに対応した画素電極及びTFT(不図示)が形成される。また、TFT側ガラス基板110の周縁部には、各表示画素への走査信号(又はデータ信号)が入力される信号入力部60,60,…が設けられ、信号入力部60,60,…と各表示画素とを接続する信号配線がTFT側ガラス基板110の一面に形成される。
【0022】
CF側ガラス基板130は、透光性を有する矩形状の基板であり、TFT側ガラス基板110に対向して設けられる。CF側ガラス基板130におけるTFT側ガラス基板との対向面には、図に示していない対向電極が設けられる他、各表示画素に対応して表示領域を格子状のパターンで区画するブラックマトリクス151と、表示領域の周囲の領域を遮光する額縁部152とからなる遮光層150が設けられる。本実施の形態では、図2に示すように、CF側ガラス基板130の縁部近傍にまで遮光層150(額縁部152)を設けていることを特徴の1つとしている。なお、額縁部152は矩形状をなし、額縁部152のエッジは、表示領域内に並ぶ表示画素の横方向又は縦方向のラインと平行に形成されているものとする。
【0023】
TFT側ガラス基板110及びCF側ガラス基板130は、両基板の間に空隙を設けた状態でシール材180により貼り合わされており、この空隙に液晶物質を封入することで液晶層120を形成している。
【0024】
このような液晶表示パネル1に対し、パターン位相差フィルム、偏光板、タッチパネルなどの、表示画素の配列に応じてその取り付け位置が規制される構造体を取り付けることができる。本実施の形態では、図2に示す如く、CF側ガラス基板130の表面にパターン位相差フィルム200(以下、FPRフィルム200,FRP : Film-type Patterned Retarder)を貼り合わせた場合を例に挙げ、その構成について説明を行う。
【0025】
図3はFPRフィルム200の一例を示す平面図であり、図4はその縦断面図である。FPRフィルム200は、例えば、面内遅相軸及び面内位相差の少なくとも一方が互いに異なる第1領域201と第2領域202とを備え、これらの第1領域201及び第2領域202を交互に配置したストライプ状のパターンを有している。第1領域201及び第2領域202は、それぞれ横方向(図に示すX軸方向)に対して平行に延在する帯状の形状を有している。そして、FPRフィルム200は、第1領域201を透過する直線偏光を例えば右円偏光に変換し、第2領域202を透過する直線偏光を例えば左円偏光に変換することで、異なる2種類の偏光状態を作り出している。
【0026】
FPRフィルム200におけるストライプ状のパターンは、液晶表示パネル1が備える表示画素の位置に応じて設定される。また、第1領域201の縦方向(図3に示すY軸方向)の幅及び第2領域201の縦方向の幅は、液晶表示パネル1の表示画素の寸法に合わせて設定することができる。液晶表示装置において立体映像表示を行う場合、後述するように、右眼で観察されるための右眼用映像及び左眼で観察されるための左眼用映像を液晶表示パネル1の表示領域内に表示する。これらの右眼用映像及び左眼用映像のうち一方をFPRフィルム200の第1領域201に対応させ、他方をFPRフィルム200の第2領域202に対応させることにより、右眼用映像は右円偏光(又は左円偏光)の光学特性を有し、左眼用映像は左円偏光(又は右円偏光)の光学特性を有するようになる。この結果、一方の偏光のみを透過する偏光板を右眼用に、他方の偏光のみを透過する偏光板を左眼用にして構成された偏光眼鏡を通すことにより、観察者には立体映像として認識されるようになる。
【0027】
このようなFPRフィルム200を液晶表示パネル1に貼り合わせる場合、CF側ガラス基板130上のブラックマトリクス151により区画される表示画素の位置に合わせて貼り合わせる必要がある。このため、本来であれば、CF側ガラス基板130に貼り合わせの位置基準を示すアライメントマークを設け、このアライメントマークを参照してFPRフィルム200を貼り合わせることが好ましい。TFT側ガラス基板110に設けた基準位置を利用する場合、TFT側ガラス基板110とCF側ガラス基板130との貼り合わせ誤差の影響を受けて、FPRフィルム200の貼り合わせ位置がずれる場合があるからである。しかしながら、本実施の形態では、CF側ガラス基板130の縁部近傍にまで遮光層150(額縁部152)を設けているため、CF側ガラス基板130にアライメントマークを設ける領域を十分に確保することができず、CF側ガラス基板130上に設けられるブラックマトリクス151を加工してアライメントマークを形成することは困難である。
【0028】
このような課題を解決するために、本願では、TFT側ガラス基板110の周縁にアライメントマークを設けている。
図5はアライメントマークの形成位置の一例を示す模式図である。前述したように、液晶表示パネル1には、表示画素によって構成される表示領域が設けられ、表示領域の周囲にはブラックマトリクス151と同一の工程で形成される額縁部152が設けられている。額縁部152の周縁には、CF側ガラス基板130とTFT側ガラス基板110との間に液晶物質を封止するためのシール材180が描画される。また、TFT側ガラス基板110における一面側の周縁部には、各表示画素への走査信号(又はデータ信号)が入力される信号入力部60が複数設けられている。
【0029】
アライメントマーク50は、TFT側ガラス基板110の周縁の少なくとも2箇所に形成される。図5に示した例では、TFT側ガラス基板110の上辺に沿って並ぶ信号入力部60,60,…の近傍に2つのアライメントマーク50,50を形成した構成を示している。
【0030】
TFT側ガラス基板110には、信号入力部60の他に、信号入力部60と各表示画素(画素電極及びTFT)とを接続する配線パターン61が形成されるが、アライメントマーク50,50は、このような信号入力部60及び配線パターン61が形成されていない領域に形成されることが好ましい。TFT側ガラス基板110の表面に形成される信号入力部60又は配線パターン61とアライメントマーク50,50とが重なった場合、外部からアライメントマーク50,50を認識することが困難となるためである。
【0031】
図6はアライメントマーク50の近傍領域の部分拡大図であり、図7図6に示すA−A線における断面図である。アライメントマーク50は、長さ0.25mm、線幅0.04mm程度の線形状のマークである。アライメントマーク50は、平面視において、額縁部152のエッジに対して略90度の角度で交差し、アライメントマーク50の一部(例えば、下側0.05mm程度)が額縁部152と重なっていることが好ましい。このようなアライメントマーク50は、例えば、TFT側ガラス基板110に配線パターン61を形成する工程と同一の工程にて、配線パターン61と同一材料により、TFT側ガラス基板110上に形成することができる。
【0032】
アライメントマーク50を読取るためのカメラ視野は1mm×1mm程度の領域であるので、アライメントマーク50の中心から0.5mm×0.5mm程度の領域内に、アライメントマーク50の読取り誤りを発生させるような類似のパターンが存在しないことが好ましい。
【0033】
このようなアライメントマーク50を基準として、CF側ガラス基板130にFPRフィルム200を貼り合わせることができる。カメラにより、アライメントマーク50と額縁部152のエッジとの交差部分を読み取り、額縁部152のエッジを参照することにより、FPRフィルム200の上下のアライメントをとることができる。また、アライメントマーク50の左右のエッジを参照することにより、FPRフィルム200の左右のアライメントをとることができる。すなわち、アライメントマーク50の左右のエッジにより左右方向の位置合わせを行い、額縁部152のエッジとFPRフィルム200の第1領域201及び第2領域202(例えば、第1領域201及び第2領域202との境界線)とが平行となるように位置決めして、CF側ガラス基板130及びFPRフィルム200を貼り合わせることにより、右眼用映像及び左眼用映像を表示する各ラインの画素群の位置にFPRフィルム200の各位相領域を対応させることができる。
【0034】
なお、本実施の形態では、アライメントマーク50の形状を線形状としたが、線形状に限定されるものではない。図8はアライメントマーク50の他の形状を示す模式図である。図8に示すアライメントマーク50は十字形状のマークである。アライメントマーク50は、額縁部152のエッジに対して略90度の角度で交差する交差部51と、この交差部51に対して直交する(すなわち、額縁部152のエッジと平行な)平行部52とを有する。
【0035】
このようなアライメントマーク50を基準として、CF側ガラス基板130にFPRフィルム200を貼り合わせる場合、カメラにより、アライメントマーク50における交差部分を読み取る。そして、平行部52の上下方向のエッジを参照することにより、FPRフィルム200の上下のアライメントをとることができ、交差部51の左右方向のエッジを参照することにより、FPRフィルム200の左右のアライメントをとることができる。
【0036】
また、図6ではアライメントマーク50を線形状とし、図8ではアライメントマーク50を十字形状としたが、TFT側ガラス基板110上に形成したメタルの一部をくり抜いて形成したメタル抜き形状としてもよいことは勿論のことである。
【0037】
更に、本実施の形態では、アライメントマーク50を独立したマークとして形成する構成としたが、配線パターン61(図5を参照)における配線の一部を利用してマークを形成する構成としてもよい。
【0038】
図9は配線パターンにおける配線の一部を利用したアライメントマークの一例を示す模式図である。前述したように、信号入力部60と額縁部152との間には、複数の配線からなる配線パターン61が設けられているが、この配線パターン61における最も外側の配線61aは、走査信号及びデータ信号を伝送するための配線ではない。このような配線61aを延長させて、FPRフィルム200等の構造物を貼り合わせるための位置基準を示すアライメントマーク61bを設ける構成としてもよい。
【0039】
図9に示すアライメントマーク61bは、配線パターン61における最も外側の配線61aの中途から、額縁部152のエッジに対して略90度の角度で交差する方向に配線を延長して形成した線形状のマークである。このようなアライメントマーク61bは、例えば、配線パターン61を形成する工程と同一の工程にて、配線パターン61と同一材料により、TFT側ガラス基板110上に形成することができる。アライメントマーク61bを読取るためのカメラ視野は1mm×1mm程度の領域であるので、アライメントマーク61bの中心から0.5mm×0.5mm程度の領域内に、アライメントマーク61bの読取り誤りを発生させるような類似のパターンが存在しないことが好ましい。
【0040】
なお、図9に示した例では、配線61aの中途から形成したアライメントマーク61bを示したが、配線61aの一端から、額縁部152のエッジに対して略90度の角度で交差する方向に延長したマークとしてもよい。
【0041】
次に、本実施の形態に係る液晶表示パネルを用いた液晶表示装置の構成について説明する。図10は本実施の形態に係る液晶表示装置の駆動系の構成を示す模式図である。本実施の形態に係る表示装置は、例えば、液晶表示パネル1、ゲートドライバ2、ソースドライバ3、電源回路4、画像メモリ5、制御回路6等を備えた液晶表示装置である。
【0042】
液晶表示パネル1は、マトリクス状に配置された複数の表示素子10,10,10,…を備える。隣接する表示素子間はブラックマトリクス151により遮光されており、各表示素子10を区画することによって、それぞれを表示画素として機能させる。
【0043】
液晶表示パネル1の各表示素子10は、TFT側ガラス基板110に設けられる画素電極(不図示)、CF側ガラス基板130に設けられる対向電極(不図示)、及び画素電極と対向電極との間に封入された液晶層120を含む。制御回路6は、ゲートドライバ2及びソースドライバ3を通じて、各表示素子10に印加する電圧の大きさを制御することにより、各表示素子10における液晶層120の光透過率を調整し、各表示画素での表示輝度を決定する。
【0044】
制御回路6は、各表示素子10における液晶層120に印加する電圧を制御するために、外部から入力される同期信号に基づき、メモリ制御信号、電源制御信号、ソースドライバ制御信号、及びゲートドライバ制御信号を生成し、生成した各制御信号を、それぞれ画像メモリ5、電源回路4、ソースドライバ3、ゲートドライバ2へ出力する。
【0045】
画像メモリ5は、入力される表示データを一時的に記憶し、制御回路6から入力されたメモリ制御信号に同期して液晶表示パネル1に表示すべき画素データをソースドライバ3へ出力する。なお、画像メモリ5は、制御回路6に内蔵され、制御回路6の内部処理を経てソースドライバ3へ画像データを出力する構成であってもよい。
【0046】
ここで、入力される同期信号及び表示データは、携帯電話機、携帯型ゲーム機等に搭載されたCPU又はLCDコントロールICから出力されるLCD信号、パーソナルコンピュータ(PC)のCRT出力信号をA/D変換した信号、PC等に搭載されたビデオRAMを制御回路6が直接的に制御して取得した信号等に含まれるものである。
【0047】
電源回路4は、制御回路6から入力された電源制御信号に同期して、ゲートドライバ2用の駆動電圧、及びソースドライバ3用の駆動電圧を生成し、それぞれゲートドライバ2及びソースドライバ3へ出力する。
【0048】
ゲートドライバ2は、制御回路6から入力されたゲートドライバ制御信号に同期して、表示素子に設けられたスイッチング素子をオン/オフ制御する制御電圧を順次出力し、走査線であるゲート配線に印加する。
【0049】
ソースドライバ3は、制御回路6から入力されたソースドライバ制御信号に同期して、画像メモリ5から出力された画素データを取り込み、画素データに応じた信号電圧を順次出力する。ソースドライバ3が出力する信号電圧は、対応するスイッチング素子がオンである場合に、信号線であるソース配線を介して、表示素子10に供給される。
【0050】
液晶表示装置にて立体映像表示を行う場合、液晶表示パネル1の表示領域内で右眼用映像及び左眼用映像を1ラインずつ交互に表示する。例えば、液晶表示パネル1がフルHD(すなわち、1920ドット×1080ライン)の解像度を有する場合、1920ドット×540ライン分の右眼用映像及び左眼用映像をそれぞれ用意し、右眼用映像及び左眼用映像を1ラインずつ交互に表示する。
【0051】
以上のように、本実施の形態では、新たな工程を加えることなくFPRフィルム20などの構造体を取り付けるための位置の基準を示す標識(アライメントマーク50)を、TFT配線等が形成されたTFT側ガラス基板110上に形成することができる。アライメントマーク50を、ブラックマトリクス151により形成した場合、アライメントマーク50の形状によっては静電気放電(ESD)の原因となり得るが、本願では、例えば、ブラックマトリクス151を加工することなくアライメントマーク50を形成することができるため、静電気放電の発生を抑えることができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、TFT側ガラス基板110の上辺に沿って並ぶ信号入力部60,60,…の近傍に2つのアライメントマーク50,50を形成する構成としたが、アライメントマーク50,50を形成する位置はこれらの位置に限定されるものではない。例えば、前述した上限側の2つのアライメントマークに加え、TFT側ガラス基板110の下辺に沿ってアライメントマーク50,50を形成する構成としてもよい。例えば、TFT側ガラス基板110の上下方向に対して対称となる位置に、アライメントマーク50,50を追加した場合、上辺(又は下辺)の2箇所のアライメントマーク50,50について読取り不良が発生したとしても、液晶表示パネル1の上下を反転させることにより他方の2箇所のアライメントマーク50,50の読取りを行うことが可能となる。
【0053】
また、TFT側ガラス基板110の左辺の2箇所又は右辺の2箇所に形成したアライメントマーク50,50を含むものであってもよい。左辺又は右辺の2箇所にアライメントマーク50,50を追加することにより、左右方向だけでなく、上下方向についてもアライメントマーク50,50を参照して、取り付け位置を定めることができる。
【0054】
また、本実施の形態では、液晶表示パネル1に対してFPRフィルム200を取り付ける構成について説明を行ったが、PDパネル、有機ELパネル等の表示パネルに対して、パターン位相差フィルム、偏光板、タッチパネルなどの、表示画素の配列に応じてその取り付け位置が規制される構造体を取り付ける場合に、本願の手法を適用できることは勿論のことである。
【0055】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施の形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 液晶表示パネル
50 アライメントマーク
110 TFT側ガラス基板
120 液晶層
130 CF側ガラス基板
150 遮光層
151 ブラックマトリクス
152 額縁部
200 FPRフィルム
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