(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献に例示される包装装置では、以下に示すごとく未だに解決すべき種々の課題を内包している。
すなわち、例えば特許文献1に開示された包装装置では、限られた空間であるループ体の内部空間を周回しなければならないがその構造・動作が効率的になされているとは言い難い。
また、特許文献2に開示された包装装置では、台車駆動手段としての歯付きベルトを環状軌道の内周面全体に亘って設置しているため、台車を駆動するための駆動機構がどうしても複雑になってしまう。
【0008】
一方で特許文献3に開示された包装装置では、包装材の本体を固定してローラチェーンを駆動装置で駆動することにより鋼板ロールを包装させているので、包装材送り出しの機構がやや複雑になってしまうとともに包装材の無駄や包装時にはシワが発生してしまい効率が良いとは必ずしもいえない。
さらに特許文献1〜3によれば、シャトルあるいは台車に搭載された包装材を引っ張り出して被包装物を包装するのであるが、この包装材を引っ張り出す際の包装材にかかる張力を一定化することに関しては何ら着目がなされていない。
【0009】
また、特許文献4に開示された装置構成では、包装材を把持する部位(クランプ)、包装材を切断する部位(カッター)、および切断した包装材を既包装の包装材に添加する部位(シーラー)が一体となって構成されており動作パターンが制限されてしまうことから、包装材端末の処理に関する信頼性が高いとは言えない。
より具体的に特許文献4では、包装材の切断後における包装材の本体からの余り(余剰材とも称する)の長さが一定ではないことから、次の包装処理で被包装材を巻く際に弛みが生じる可能性もある。さらに特許文献4に開示された構成では、包装材の切断位置と封止位置の間に位置する包装材(残余材とも称する)については特に言及がなく、この部位の包装材が原因となって包装が解けてしまう可能性も否めない。
【0010】
本発明は、上記した課題の少なくとも1つを解決するためになされたもので、構造が簡単で且つ高効率に包装材を被包装物に包装することが可能な包装装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記した課題の少なくとも1つを解決するためになされたもので、構造が簡単で且つ上記した張力を一定にするための機構を実現した包装装置およびその張力制御の方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記した課題の少なくとも1つを解決するためになされたもので、引き出された包装材の姿勢に対して容易に追従が可能であるとともに、包装材を切断した後における一方の側(余剰材)の長さがほぼ一定となり、且つ、他方の側(残余材)も着実に被包装物に添加可能な包装材の端末処理システムおよび包装材の端末処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる包装装置は、(1)少なくとも一部で開閉が可能であって、所定のピッチで各々配置されて回転可能な複数のスプロケットを備えた無限軌道と、前記スプロケットから推力が伝達される従動チェーンを備え、前記無限軌道上で周回可能なシャトルと、前記シャトルに搭載されるとともに、前記シャトルの周回に伴って引き出される包装材を保持する包装材供給装置と、少なくとも一部が前記無限軌道に包囲される被包装物を支持する支持装置と、を具備したことを特徴とする。
【0012】
なお、上記(1)の包装装置においては、(2)前記従動チェーンは、第1の線上に配置されて前記スプロケットに連動する第1従動チェーンと、前記第1の線とは異なる第2の線上に配置されて前記スプロケットに連動する第2従動チェーンを含むことが好ましい。
また、上記(2)の包装装置においては、(3)前記無限軌道は、直線部と曲線部とを有し、前記複数のスプロケットは、前記直線部に配置されるとともに前記第1従動チェーンに対応した第1スプロケットと、前記曲線部に配置されるとともに前記第2従動チェーンに対応した第2スプロケットと、を含むことが好ましい。
【0013】
また、上記(1)〜(3)のいずれかに包装装置においては、(4)前記包装材供給装置は、前記包装材を回転可能に支持する支持部と、引き出される前記包装材の一部に生ずる張力が一定となるように維持する張力制御機構と、を備えることが好ましい。
なお、上記(4)の包装装置においては、(5)前記張力制御機構は、前記支持部に支持された包装材と接触して前記包装材の一部を巻き込むロール部材と、前記ロール部材を支持し、前記包装材の外径変化に追従して前記ロール部材を前記包装材の半径方向に移動可能な回動部材と、前記包装材の一部が引き出される方向と逆向きの方向に減速を与える減速機構と、を含むことが好ましい。
【0014】
また、上記(5)の包装装置においては、(6)前記シャトルにはスプリング部材が搭載され、外部から動力の伝達を受けることなく前記スプリング部材によって前記ロール部材を前記包装材に押し付けつつ、前記回動部材によって前記ロール部材を前記半径方向に移動させることが好ましい。
また、上記(4)又は(5)の包装装置においては、前記ロール部材は回転可能に構成され、前記減速機構は、前記ロール部材の回転を抑制するブレーキ機構を含んでいてもよい。
また、上記(4)〜(6)のいずれかの包装装置においては、前記包装材供給装置は、前記張力制御機構の後段に配置されて、引き出された前記包装材の一部に生じた緩みを解消するルーパー部材をさらに有していてもよい。
【0015】
また、上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる包装材の張力制御方法は、(7)少なくとも一部が無限軌道に包囲される被包装物に対し、当該無限軌道上を周回可能なシャトルに搭載された包装材の一部を引き出して包装を行う包装装置における包装材の張力制御方法であって、前記シャトルの周回に伴って前記包装材の一部を引き出すことと、前記引き出された包装材の一部を巻き込むロール部材を前記包装材に押し付けることと、前記包装材の一部が引き出されることによって生じた前記包装材の外径変化に追従させて前記ロール部材を移動させることで、前記包装材の一部に生ずる張力を一定の値に維持すること、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる包装材の端末処理システムは、(8)包装材を搭載するシャトルが無限軌道上で周回することで被包装物に対して包装を行う包装装置における包装材の端末処理システムであって、引き出された前記包装材の一部を把持可能な第1クランプ装置と、前記第1クランプ装置に搭載されて前記包装材の一部を切断するカット機構と、前記第1クランプ装置とは独立して移動制御されるとともに、前記第1クランプ装置が前記包装材を把持する位置とは異なる位置で当該包装材の一部を把持可能な第2クランプ装置と、前記第2クランプ装置に搭載されて、前記カット機構で切断された前記包装材の端末を、既に前記被包装物に包装された包装材上に添加する添付機構と、を備えることを特徴とする。
【0017】
なお、上記(8)の包装材の端末処理システムにおいては、(9)前記第1クランプ装置は、前記包装材の一部を把持する第1把持ハンドと、前記第1把持ハンドを前記無限軌道の内側に対して進退移動させるとともに、前記進退移動する方向を軸として前記第1把持ハンドを回転させる駆動部と、を含むことが好ましい。
さらに、上記(8)又は(9)の包装材の端末処理システムにおいては、(10)前記第2クランプ装置は、前記包装材の一部を把持する第2把持ハンドと、前記第2把持ハンドを6軸自由度で駆動する駆動アームと、前記被包装物又は当該被包装物に包装された包装材に対する距離を計測する計測センサーと、を含むことが好ましい。
【0018】
また、上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる包装材の端末処理方法は、(11)包装材を搭載するシャトルが無限軌道上で周回することで被包装物に対して包装を行う包装装置における包装材の端末処理方法であって、第1クランプ装置の第1把持ハンドで、前記包装材の本体と前記被包装物の間に位置する前記包装材の一部を把持する工程と、前記第1クランプ装置とは独立して移動制御される第2クランプ装置の第2把持ハンドで、前記第1把持ハンドとは異なる位置で当該包装材の他の一部を把持する工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
なお、上記(11)の包装材の端末処理方法では、前記被包装物に対する包装処理を開始するとき前記第2把持ハンドで当該包装材を把持した後で前記包装材を引き出し、引き出された前記包装材に対して前記第1把持ハンドで当該包装材の一部を把持し、前記第1把持ハンドが前記包装材を把持した後に、前記第2把持ハンドは前記包装材の把持を解除し、前記シャトルの周回に応じて前記無限軌道の内側から前記第1把持ハンドが退避し、前記シャトルが周回して前記被包装物を包装する前記包装材の一部が重なったとき以降に、前記第1把持ハンドは前記包装材の把持を解除することが好ましい。
また、上記(11)の包装材の端末処理方法では、前記被包装物に対する包装処理を完了するとき前記第1把持ハンドと第2把持ハンドで当該包装材を把持した後で、前記第1把持ハンドと第2把持ハンドの間に位置する前記包装材の一部をカット機構で切断し、前記包装材を切断した後で、前記包装材の端末を把持する前記第2把持ハンドを前記被包装物に対して接近させるとともに、前記第2クランプ装置の添付機構で前記包装材の端末を既に前記被包装物に包装された包装材上に添加することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、包装材を搭載して動力源を内蔵しない軽量なシャトルが無限軌道を周回するので、構造が簡単であっても迅速で且つ正確に包装材を被包装物に包装することが可能となる。
又は、本発明によれば、引き出される一部の包装材にかかる張力を一定にすることができるので、無限軌道を周回するシャトルの位置に関わらず包装材の緩みを抑制することができ、過大なテンションによるフィルムの破断を防ぐことができる。これにより、構造を複雑化させることなく引き出される包装材の緩みを有効に抑制することが可能となる。
又は、本発明によれば、包装材の姿勢が一様でないとしても容易に追従が可能であるとともに、切断した包装材の端末のうち余剰材を適切に処置することができる。さらには、切断した包装材の端末のうち残余材についても着実に被包装物に添加することができる。これにより、包装材の端末における処理のバラつきを抑制しつつ信頼性が高い包装を実現することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、以下の説明中において適宜X方向、Y方向、およびZ方向をそれぞれ規定したが、本発明の権利範囲を意図的に限定又は減縮するものでない。なお以下で詳細に説明する特徴的な構造以外の構造については、例えば上述した特許文献1乃至4など他の公知の包装装置で用いられる構造を参照してもよい。
【0023】
≪実施形態≫
<包装装置1の構成>
図1は本発明の実施形態にかかる包装装置1を示す模式図である。
同図から明らかなとおり、本実施形態にかかる包装装置1は、少なくとも一部で開閉が可能な無限軌道2と、この無限軌道2上で周回可能なシャトル3と、このシャトル3に搭載されて包装材L(後述)を保持する包装材供給装置4と、この包装材Lにより包装される被包装物Sを支持する支持装置5と、を少なくとも具備している。
また、
図1(b)に特に示されるように、本実施形態の包装装置1は、包装材Lの端末を処理するための第1クランプ装置60および第2クランプ装置70を含んで構成されている。なお、
図1では説明の便宜上、1つのシャトル3が描かれているが、これに限られず2つ以上の任意の数のシャトル3(及び包装材供給装置4)が無限軌道2上で周回される形態であってもよい。
【0024】
本実施形態で用いられる被包装物Sには特に制限はないが、好適な被包装物Sの例として例えば上記したロール状に巻かれた鋼板、金属線の束などの線材コイルが挙げられる。なお本実施形態でいう包装装置は、フィルムや紙材で被包装物Sを巻き付けるための装置をいい、被包装物Sを結束するための結束装置をも含む概念である。
また、包装材Lは、上述した被包装物Sを拘束するための材料であれば種々適用が可能であり、例えば公知の延伸性樹脂フィルムや拘束用途の弾性変形可能な紙材などが挙げられる。
【0025】
無限軌道2は、金属製の構造体であって、閉鎖経路を形成する環状軌道を有する。この無限軌道2は、上記した環状軌道に沿って配置されてシャトル3を駆動させるための種々の部材(後述する所定のピッチで夫々配置されて回転可能な複数のスプロケット21など)を備えている。換言すれば、本実施形態の無限軌道2は、少なくとも一部で開閉が可能であって、所定のピッチで各々配置されて回転可能な複数のスプロケットを備えている。
シャトル3は、無限軌道2上を周回可能な構造体であって、例えば一般構造用圧延鋼材(SS400など)やアルミニウムなどの金属で形成されている。そしてシャトル3は無限軌道2内に設置された駆動部からの推力が伝達される従動チェーン33などを備えている。
包装材供給装置4は、シャトル3に搭載されるとともに、上述した包装材Lを支持してシャトル3の周回に伴って包装材Lを引き出すことができる。また、包装材供給装置4は、引き出される包装材Lの一部に生ずる張力が一定となるように維持する張力制御機構41を備えている。換言すれば、本実施形態の包装材供給装置4は、シャトル3に搭載されるとともに、シャトル3の周回に伴って引き出される包装材Lを保持する機能を有している。この包装材供給装置4は、後に別途図面を用いて詳述される。
【0026】
支持装置5は、無限軌道2を支持する第1支持部51と、上述した被包装物Sを回転可能に支持する第2支持部52を備えた構造体であり、例えば一般構造用圧延鋼材(SS400など)や機械構造用炭素鋼(S45Cなど)等の金属からなるフレーム構造で構成されている。換言すれば、本実施形態の支持装置5は、少なくとも一部が無限軌道2に包囲される被包装物Sを支持する機能を有している。また、支持装置5には、後述する駆動チェーン22や開閉機構23、被包装物支持部52などを駆動するための不図示の制御装置53が搭載されている。そして作業者は、制御装置53に備えられたタッチパネル式表示部などを操作することにより、この駆動チェーン22や開閉機構23、被包装物支持部52を駆動制御する。
【0027】
第1支持部51は、無限軌道2の下側の二箇所において、ネジなどの公知の締結部材を介して無限軌道2を固定している。また、第2支持部52は、被包装物Sを回転可能に支持する一対のローラーを含んで構成されている。
一方、支持装置5内には電動モータ54が搭載され、上述した制御装置53の制御の下で電動モータ54を介して被包装物支持部52を回転させることにより、包装処理中に被包装物Sが順次回転して適切なラッピングが可能となっている。なお、この電動モータ54は不図示の商用電源と接続されて電力が適宜供給されるようになっている。
【0028】
第1クランプ装置60は、包装材Lの少なくとも一部をクランプ可能である。後述のとおり、本実施形態の第1クランプ装置60は、包装材Lの切断位置を基準とした場合に余剰材となる側の包装材Lを把持することが可能となっている。この第1クランプ装置60は、Y方向に関して進退移動が可能であるとともに、Y軸周りに回転可能に構成されている。そして後述する包装処理の際には、第1クランプ装置60のクランプ部63は、Y方向に関して無限軌道2内の位置と無限軌道2内から離脱した位置との間で移動が可能となっている。
なお第1クランプ装置60の詳細な構成は、後に
図6を用いて詳述する。
【0029】
第2クランプ装置70は、包装材Lの少なくとも一部をクランプ可能である。後述のとおり、本実施形態の第2クランプ装置70は、包装材Lの切断位置を基準とした場合に残余材となる側の包装材Lを把持することが可能となっている。この第2クランプ装置70は、典型的には6自由度のロボットハンドの先端に設けられ、無限軌道2内外で任意の位置および姿勢を取ることが可能となっている。そして後述する包装処理の際には、第2クランプ装置70は、第1クランプ装置60と協働して包装材Lの端末処理を実行することが可能となっている。
なお第2クランプ装置70の詳細な構成は、後に
図7を用いて詳述する。
【0030】
次に
図1および2を用いて、本実施形態に係る無限軌道2の詳細な構造について説明する。
なお、
図2(a)は無限軌道2のうち直線部Dにおける部分斜視図を示し、
図2(b)は曲線部Cにおける部分斜視図を示し、
図2(c)は無限軌道2における直線部Dと曲線部Cの位置関係を示している。
本実施形態の無限軌道2は、構造躯体としてのフレーム20、フレーム20内で回転可能に接地される複数のスプロケット21、このスプロケット21を回転させるための駆動チェーン22、この無限軌道2の一部を開閉させるための開閉機構23、および駆動チェーン22を駆動させる電動モータ24などを含んで構成されている。
【0031】
フレーム20は、例えば一般構造用圧延鋼材(SS400など)や機械構造用炭素鋼(S45Cなど)等の金属で構成され、その内周側には複数のスプロケット21や駆動チェーン22などが設置される。
スプロケット21は、例えば一般構造用圧延鋼材(SS400など)や機械構造用炭素鋼(S45Cなど)等の金属をプレス加工や切削加工などすることにより製造され、上述したとおり直線部D内で設置される第1スプロケット21a(
図2(a))と、曲線部C内に配置される第2スプロケット21b(
図2(b))とを含んで構成されている。換言すれば、本実施形態の第1スプロケット21aは、直線部Dに配置されるとともに第1従動チェーン(後述)に対応している。また、第2スプロケット21bは、曲線部Cに配置されるとともに第2従動チェーン(後述)に対応している。
【0032】
駆動チェーン22は、X方向に沿って複数設けられ、無限軌道2の上記した閉鎖経路に沿って千鳥状態で(一方の駆動チェーン22の始端と他方の駆動チェーン22の終端の一部とがY方向に関して互いに重複するように)配置されている。なお、この駆動チェーン22は、電動モータ24(
図1参照)からの動力を受けてスプロケット21を回転駆動させることが可能となっている。
図2(a)や(b)に示されるように、駆動チェーン22は一対の駆動用スプロケット25と噛み合っており、この駆動用スプロケット25と同軸で一体となっているスプロケット21が駆動チェーン22の駆動により回転する仕組みとなっている。なお、この電動モータ24も上述した商用電源と接続されて電力が適宜供給されるようになっている。
開閉機構23は、被包装物Sを無限軌道2に対して着脱する際に、開口端部E(
図1参照)を境にして無限軌道2の一部を不図示のモータを介して開閉させる機構である。このモータも、上記した商用電源と接続されている。なお、開閉機構23はモータを介さずに上記した無限軌道2の一部を開閉させてもよい。
【0033】
なお本実施形態では、第1の線R1(後述)上に配置される第1スプロケット21aのY方向における位置(以下、「第1配置形態」とも称する)は、第2の線R2(後述)上に配置される第2スプロケット21bのY方向における位置((以下、「第2配置形態」とも称する))と異なっている。
より詳細には、
図3に示されるとおり、曲線部Cにおいては、A−A断面、B−B断面およびC−C断面で示されるように第2スプロケット21bが第2配置形態で配置されている。一方で、直線部Dにおいては、D−D断面およびE−E断面で示されるように第1スプロケット21aが第1配置形態で配置されている。
【0034】
次に
図4及び
図5を用いて、本実施形態に係るシャトル3及び包装材供給装置4の詳細な構造について説明する。
まず
図4(a)〜(c)に示されるように、本実施形態のシャトル3は、基台31と、基台31内に配置される従動チェーン33(33a、33b)を含んで構成されている。さらにシャトル3は、基台31上に包装材供給装置4を支持可能となっている。
基台31は例えば一般構造用圧延鋼材(SS400など)やアルミニウムなどの金属で構成され、基台31の上面には不図示の締結部材を介して包装材供給装置4が固定される。また、基台31の下面にはチェーンマウンター32を介して一組の従動チェーン33が設置される。
【0035】
従動チェーン33は、第1の線R1上に配置されて第1スプロケット21aに連動する第1従動チェーン33aと、第1の線R1とは異なる第2の線R2上に配置されて第2スプロケット21bに連動する第2従動チェーン33bを含んでいる。
本実施形態では、第1スプロケット21aは無限軌道2の直線部D(
図1参照)に配置されているので、
図4(b)に示すように第1従動チェーン33aはその外形が直線状となっている。一方、第2スプロケット21bは無限軌道2の曲線部C(
図1参照)に配置されているので、
図4(c)に示すように第2従動チェーン33bは曲線部Cに倣うようにその外形形状は曲線状となっている。
【0036】
なお、
図4(b)および(c)に示されるように、本実施形態では、シャトル3の進行方向(X方向)に関し、第1従動チェーン33aのX方向における長さは、第2従動チェーン33bのX方向における長さよりも短くなっている。これによりシャトル3は直線部Dでは安定して直線移動ができるとともに、曲線部Cでは直線部Dからの切り替えがスムーズにガタ付き無く行うことが可能となる。なお、第1チェーンマウンター32aのX方向における長さは、第2チェーンマウンター32bのX方向における長さと同じにしてもよいし、第2チェーンマウンター32bのX方向における長さよりも長くしてもよい。
【0037】
また、本実施形態のチェーンマウンター32は、従動チェーン33に対応した形状を備えている。すなわちチェーンマウンター32は、第1従動チェーン33aを搭載する平板状(表面が平面状)の第1チェーンマウンター32aと、第2従動チェーン33bを搭載する蒲鉾状(スプロケット21に向けて凸状の表面を有し、この表面は上述した所定の曲率半径に対応する曲面である)の第2チェーンマウンター32bとを含んで構成されている。
【0038】
なお、本実施形態では隣り合う第2スプロケット21b間の距離P2(
図4(c)参照)は、第2従動チェーン33bの進行方向(X方向)における長さよりも短くなっている。従って、シャトル3が無限軌道2上を周回する際に推進力が途切れなく第2スプロケット21bを通じて伝達されることになっている。
また、直線部Dにおいても、隣り合う第1スプロケット21a間の距離P1(
図4(b)参照)は、第1従動チェーン33aの進行方向(X方向)における長さよりも短くなっている。従って、シャトル3が無限軌道2上を周回する際に、直線部Dにおいても推進力が途切れなく第1スプロケット21aを通じて伝達されることになる。
【0039】
また、
図4(d)に示すように、本実施形態では、無限軌道2のうち曲線部Cにおいては、シャトル3側の第1従動チェーン33aはスプロケット21とは噛み合っておらず、フリーの状態となっている。一方で駆動チェーン22が駆動することで回転する第2スプロケット21bと第2従動チェーン33bとが噛み合っており、これによりシャトル3は進行方向への推力を得て無限軌道2上を周回可能となっている。
【0040】
図4(e)、(f)及び
図5(a)に示されるように、包装材供給装置4は、公知の締結部材などを介してシャトル3の基台31に搭載(固定)され、シャトル3が無限軌道2上を移動することにより包装材Lの一部が引き出されて被包装物Sが包装される仕組みとなっている。
より具体的に本実施形態の包装材供給装置4は、包装材Lを回転可能に支持する支持部41を有するとともに、シャトル3の周回に伴って支持部41に支持された包装材Lの一部を引き出す機能を備えている。
【0041】
支持部41は、シャトル3の基台31上に搭載(固定)されてなり、例えば中空又は中実の金属棒がベアリングなどの公知の軸受を介して回転可能に支持された構造となっている。
そして本実施形態の包装材供給装置4は、引き出される包装材Lの一部に生ずる張力が一定となるように維持する張力制御機構42を更に備えていることが特徴の1つとなっている。
【0042】
張力制御機構42は、ロール部材42aと、回動部材42bと、減速機構42cと、を含んで構成されている。
なお、本実施形態においては、シャトル3には包装材供給装置4のスプリング部材43が搭載されている。これにより、外部から動力の伝達を受けることなくスプリング部材43によってロール部材42aを包装材Lに押し付けることができるとともに、回動部材42bによってロール部材42aを半径方向Rに移動させることが可能となっている。
【0043】
ロール部材42aは、支持部41に支持された包装材Lと接触して包装材Lの一部を巻き込む機能を有している。本実施形態のロール部材42aは、例えば金属又は樹脂などの棒状部材が公知の軸受を介して回転可能に回動部材42bに支持されている。そしてロール部材42aのうち包装材Lと接触する接触面は、機械又は薬品による研磨処理などの表面加工が施されており、この接触面における摩擦係数がμ
0となっている。また、
図5(b)に示されるように、引き出された包装材Lがロール部材42aを介して引き出される方向が転換される程度に、支持部41に支持された包装材Lと接触して包装材Lの一部を巻き込むように構成されている。
【0044】
回動部材42bは、例えば基台31上に回動可能に配置され、上記したとおりロール部材42aを支持する機能を備えている。このように回動部材42bはロール部材42aを支持しつつ基台31上で回動可能であり、さらにこのロール部材42aはスプリング部材43により包装材L側に押し付けられている。これにより回動部材42bは、包装材Lの外径変化に追従してロール部材42aを包装材Lの半径方向Rに移動させることが可能となっている。換言すれば、本実施形態の回動部材42bは、ロール部材42aを支持し、包装材Lの外径変化に追従してロール部材42aを包装材Lの半径方向に移動させることが可能となっている。
【0045】
減速機構42cは、例えば回動部材42bに搭載されて、包装材Lの一部が引き出される方向と逆向きの方向に減速を与える機能を備えている。なお、この減速機構42cは、回動部材42bに搭載される例に限定されず、例えばロール部材41aや基台31に搭載されていてもよい。
ここで本実施形態の減速機構42cは、
図5(b)に示すように、ロール部材41aの回転を抑制するブレーキ機構Brを含んで構成されている。このブレーキ機構Brとしては、例えば自動車や自転車などにも適用されているディスクブレーキが例示でき、ロール部材42aの少なくとも一端面に設置される。そして
図5(b)に示すとおり、ロール部材42aを所定の圧を以って挟持することで、ブレーキ機構Brはロール部材42aの回転に所定の減速効果を付与することが可能となっている。
【0046】
なお、包装材供給装置4は、前記張力制御機構の後段に配置されて、引き出された前記包装材の一部に生じた緩みを解消するルーパー部材44をさらに有していることが好ましい。これにより、無限軌道2をシャトル3で周回する際にどうしても包装材Lが撓んでしまうときがある場合であっても、このルーパー部材44が緩衝作用(バッファ作用)を発揮して上記した緩みによるシワの発生などを抑制することができる。
また、包装材供給装置4は、上記以外にもガイドローラーなど上述した特許文献などにも用いられる公知の構成を含んでいてもよいが、ここではその説明は省略する。
【0047】
次に
図5(c)を用いて、張力制御機構42によって引き出される包装材Lの一部に生ずる張力が一定となる原理について説明する。なお、この張力制御機構42を用いた包装材Lの張力制御方法では、まずシャトル3の周回に伴って包装材Lの一部が引き出され、次にこの引き出された包装材の一部を巻き込むロール部材42aを包装材Lに押し付け、そして包装材Lの一部が引き出されることによって生じた包装材Lの外径変化に追従させてロール部材42aを移動させることで包装材Lの一部に生ずる張力を一定の値に維持することが行われる。
すなわち、
図5(c)に示すとおり、支持部41に支持された包装材Lの一部が包装材供給装置4により引き出されたことを想定する。
このとき、引き出された包装材Lは、ロール部材42aの接触面に倣って引き出し方向を変化させながら、後段に設置される部材(上記したルーパー部材44など)へと引き出されていく。
【0048】
また、本実施形態では、減速機構42c(ブレーキ機構Br)がロール部材42aに対して一定の圧力でブレーキをかけており、ロール部材42aの回転に対して逆向きの力(減速する方向の力)がロール部材42aに付与されている。
ここで
図5(c)に示すように、支持部41から引き出された包装材Lにかかる張力をT
1とし、引き出された包装材Lがロール部材42aの接触面と接触する角度をθとする。すると、上述したとおりロール部材42aの上記接触面は摩擦係数がμ
0であるので、ロール部材42aを経て引き出された包装材Lにかかる張力T
2は以下に示す式(1)で表現される。
【0049】
[数1]
T
2=e
μ0θ・T
1 ・・・(1)
【0050】
なお、上記した特許文献2を含む従来の包装材供給装置においては、包装材Lを使用するに伴って包装材Lの径が変化するので、この包装材Lの残量に応じてT1の値は変化する。
これに対して本実施形態では、包装材Lの使用によってその径が変化したとしても、回動部材42bとスプリング部材43の作用により、ロール部材42aは包装材Lの最外周面に常時接近していることができる。
【0051】
これにより、支持部41から引き出された際の包装材Lにかかる張力T
1の値は実質的に変化せずほぼ一定の値を取ることができるとともに、引き出された包装材Lがロール部材42aの接触面と接触する長さは変わらないのでθも一定となる。
したがって、式(1)で表現されるT
2の値も実質的に変化せず、包装材Lの径の変化(すなわち使用の状態)に依らず一定の値となる。
【0052】
なお、本実施形態では包装材Lにおける径の変化を監視せずに張力T
2を一定にする機構を実現したが、この態様に限られない。
例えば包装材Lにおける径の変化を検出する公知の厚み検出センサー(光学センサーや超音波測定器、厚みゲージなど)を包装材供給装置4に配置し、この厚み検出センサーの検出結果に応じて減速機構42c(ブレーキ機構Br)がロール部材42aに付与する圧力を調整してもよい。
【0053】
これにより、張力T
1が変化したとしても、この変化に応じて減速機構42c(ブレーキ機構Br)によるブレーキ度合を変化させることで張力T
2を一定の値に維持することが可能となる。
また、減速機構42c(ブレーキ機構Br)によるブレーキ度合を変化させる場合には、回動部材42bも省略してもよく、この場合にはロール部材42aは半径方向Rに移動せず固定して包装材供給装置4に設置される。
【0054】
次に、
図6および
図7を用いて本実施形態の第1クランプ装置60と第2クランプ装置70の構成について説明する。
まず
図6に示すとおり、第1クランプ装置60は、引き出された包装材Lの一部を把持する機能を有し、直動機構61、回転機構62、クランプハンド63、およびカット機構64を含んで構成されている。この第1クランプ装置60は、包装材Lの端末処理において第2クランプ装置70と協働する機能を有している。
直動機構61は、第1クランプ装置60の「駆動部」に相当し、後述するクランプハンド63をY方向に関して進退移動させる。この直動機構61としては種々の公知の構成が適用可能であり、例えばモータとベアリングを用いた組み合わせなどが挙げられる。
【0055】
回転機構62は、第1クランプ装置60の「駆動部」に相当し、後述するクランプハンド63をY方向周りに回転させる。この回転機構62としては種々の公知の構成が適用可能であり、例えばモータとベアリングの組み合わせなどが挙げられる。
このように、本実施形態では、直動機構61と回転機構62により駆動部が構成されている。これにより、クランプハンド63を無限軌道2の内側に対して進退移動させるとともに、進退移動する方向を軸としてクランプハンド63を回転させることが可能となっている。
【0056】
クランプハンド63は、第1クランプ装置60の「第1把持ハンド」に相当し、包装材Lの一部を把持することが可能となっている。なおクランプハンド63としては種々の公知の挟み機構が適用可能であり、片開きタイプや両開きタイプなど適宜用いることができる。
カット機構64は、第1クランプ装置60に搭載され、例えば被包装物Sとクランプハンド63の把持位置の間に位置する包装材の一部を切断する機能を有している。なおカット機構64としては、例えば物理的に鋭利な刃を用いてもよいし、熱を利用して焼き切るヒートカッティング機構を用いてもよい。
【0057】
第2クランプ装置70は、第1クランプ装置60とは独立して移動制御されるとともに、第1クランプ装置60が包装材Lを把持する位置とは異なる位置で当該包装材Lの一部を把持可能である。また、この第2クランプ装置70は、包装材Lの端末処理において第1クランプ装置60と協働する機能を有している。
具体的に
図7に示すとおり、第2クランプ装置70は、接続端71、本体72、クランプハンド73、添付機構74、および計測センサー75を含んで構成されている。
接続端71は、駆動アームRA(
図1参照)と接続される部位であり、例えばボルトなど公知の締結材を介して本体72側と駆動アームRAとが固定される。なお駆動アームRAは、クランプハンド73を6自由度で移動可能であり、例えば6自由度を有するロボットハンドが好適である。また、駆動アームRAは、6自由度のロボットハンドでなくともよく他の公知の駆動機構を用いてもよい。
【0058】
本体72は、後述するクランプハンド73や添付機構74、計測センサー75などを搭載する。
クランプハンド73は、第2クランプ装置70の「第2把持ハンド」に相当し、包装材Lの一部を把持することが可能となっている。なおクランプハンド73としては種々の公知の挟み機構が適用可能であり、片開きタイプや両開きタイプなど適宜用いることができる。
【0059】
添付機構74は、第2クランプ装置70に搭載され、第1クランプ装置60のカット機構64で切断された包装材Lの端末(残余材)を、既に被包装物Sに包装された包装材L上に添付する機能を有している。より具体的には、本実施形態の添付機構74はブラシ状であって、端部が本体72の底面に取り付けられている。この添付機構74のY方向における幅Lは、少なくとも包装材Lの幅よりも広くなるように設定されている。なお、添付機構74の具体的な材質は上記したブラシに限られず、例えばヘラ状のプラスチック板や弾性変形可能なゴム板など他の部材を用いてもよい。
計測センサー75は、被包装物S又は当該被包装物Sに包装された包装材Lに対する距離を計測する機能を有している(詳細な動作は後述する)。本実施形態の計測センサー75は、本体72に取り付けられて角度調整が可能となっている。この計測センサー75の機構としては特に制限はなく、例えば光学センサーなど種々の公知のセンサーを適用することができる。
【0060】
<包装動作>
次に、上記した実施形態における包装装置1を用いた包装動作の一例を説明する。
[初期準備]
包装材Lを用いて被包装物Sをラッピングするに際し、まず作業者は制御装置53を操作して開閉機構23を駆動させて無限軌道2の一部を開状態にさせる。
そして開口端部Eが開いた状態で、例えば不図示の台車に載置された被包装物S(上記した線材コイルなど)を被包装物支持部52上に載置する。このとき、被包装物Sの少なくとも一部は、無限軌道2の内側に挿入された状態(
図2など参照)となっている。
【0061】
被包装物Sが被包装物支持部52に載置された後は、開閉機構23によって開状態である無限軌道2の一部を閉じることで上記した閉鎖経路が形成される。
一方で、シャトル3に固定された包装材供給装置4の包装材支持軸41には、被包装物Sを包装するための包装材Lが、その端末が少しだけ引き出された状態で設置される。なお、この包装材Lの設置方法としては種々の方法が適用可能であり、例えばフォークリフトやクレーンなどの搬送用機械を用いて設置してもよいし人力によって包装材Lを包装材支持軸41に設置してもよい。
【0062】
包装材Lと被包装物Sがそれぞれ設置された後、
図8に示す基準フローに則って包装材Lを用いた被包装物Sへの包装処理がなされる。
[包装処理]
すなわち、まずステップ1として、フィルム(包装材L)交換後の最初の包装か否かが判断される。後述のとおり、包装材Lを使い切るまでに複数個の被包装物Sをラッピングすることもある。包装材Lを最初に使うときは、二回目以降と動作が異なるため本ステップで最初の包装か否かを判断しているのである。
【0063】
ステップ1で最初の包装であると判断されたときは、第1開始シーケンスが制御装置53によって実行される(ステップ2)。
本実施形態の第1開始シーケンスについて、
図9及び
図11を用いて具体的に説明する。
最初に、第1把持ハンド(クランプハンド63)を待機位置(Y方向に直進すれば
図11(b)の位置となる場所)に移動させるとともに、シャトル3を原点位置(例えば無限軌道2のうち下側の直線部Dにおける端部。
図11(a)参照)へそれぞれ移動させる(ステップ21)。
次に、
図11(a)に示すように、第2把持ハンド(クランプハンド73)で包装材供給装置4に搭載された包装材Lを把持して引き出す処理を行う(ステップ22)。これにより、包装材Lの一部を把持したまま第2把持ハンドは被包装物Sの上方へ移動して位置付けられる。
【0064】
次いで、
図11(b)に示すように、第2把持ヘッドの位置は固定したままで、第1把持ハンドをクランプ位置へ移動させる(ステップ23)。このとき、第1把持ハンドは、第2把持ハンドとシャトル3との間に位置付けられている。
続いて、第2把持ハンドが包装材Lを把持した状態で第1把持ハンドも包装材Lを把持した後に、第1クランプ装置60のカット機構64で包装材Lの一部を切断する処理を行う(ステップ24)。
ステップ24で包装材Lを切断した後は、
図11(c)に示すように、第2把持ハンドは包装材Lの切れ端を把持したまま無限軌道2内から退避し、これと並行して第1把持ハンドは回転機構62によって回転するとともにシャトル3が無限軌道2内で周回を開始する(ステップ25)。なお、第2把持ハンドは、上記退避動作の過程において包装材Lの切れ端を不図示の排気ボックスに廃棄する動作を行ってもよい。
また、制御装置53は、シャトル3が周回する動作を行っている最中には第2支持部52を適宜駆動させて被包装物SをXθ方向に回転させる制御を行う。なお、この制御は作業者が目視で操作してもよいし、予めプログラミングして制御装置53により自動で行ってもよい。
【0065】
次に、
図11(d)に示すように、シャトル3が無限軌道2内で2周目となる前に、第1把持ハンドは包装材Lを把持したまま無限軌道2内から外側(例えば−Y方向)へ退避する動作を行う(ステップ26)。これにより、シャトル3の2周目以降において、シャトル3と第1クランプ装置60(第1把持ハンドなど)とが衝突することを回避することが可能となる。
続いて、
図11(e)に示すように、シャトル3が2周目に入った後で、第1把持ハンドは包装材Lの把持を解放する(ステップ27)。より具体的には、包装材Lが被包装物Sに対して二重に重なる部位が出た以降に、第1把持ハンドは包装材Lの把持を解放する動作を行う。これにより、二重に重なった包装材L同士で摩擦力が働いて被包装物Sから包装材Lが抜けてしまうことが抑制される。
なお、上記把持を解放するタイミングとしては、シャトル3が上記原点位置を基準として二周目に入った後、且つ、シャトル3が無限軌道2のうち下側の直線部(被包装物Sの内部を通過する軌道)に入った後となることが好ましい。
そしてステップ27で第1把持ハンドが包装材Lを解放した後は、
図11(f)に示すように、シャトル3が無限軌道上を所定の回数だけ周回する(ステップ28)。この「所定の回数」は、被包装物Sの大きさや包装の厚みなどを考慮して適宜設定される。
【0066】
なお、シャトル3が無限軌道2内を周回するに際しては、制御装置53によりモータ24を駆動させ、その動力を駆動チェーン22に伝達させる。そして駆動チェーン22の駆動に伴って、無限軌道2内に配置された複数のスプロケット21(第1スプロケット21aおよび第2スプロケット21b)がそれぞれ回転運動を開始する。
すると、回転するスプロケット21と噛み合っている従動チェーン33を備えたシャトル3は、無限軌道2上で周回移動を開始する。なお、本実施形態では曲線部Cにおいては第2従動チェーン33bが曲線部Cの曲率半径と同様に曲がっているため、スプロケット21bからの推力が高い効率で第2従動チェーン33bへ伝達される。
このようにしてシャトル3が無限軌道2上における移動を継続して周回することで、包装材供給装置4から供給される包装材Lが被包装物Sに巻き付き、被包装物Sがラッピングされる。
このとき、上記した張力制御機構42の作用により、ロール部材42aを経て引き出された包装材Lにかかる張力T
2はほぼ一定の値となっており、これにより被包装物Sに包装材Lをシワ無くラッピングすることが可能となっている。
【0067】
図8の基準フローに戻って説明を継続する。
ステップ1で最初の包装でないと判定された場合(すなわち被包装物Sは交換したが包装材Lは続けて使用する場合)、第2開始シーケンスが制御装置53で実行される(ステップ3)。
以下、本実施形態の第2開始シーケンスについて、
図10及び
図11を用いて具体的に説明する。
まず第2開始シーケンスの開始前、すなわち被包装物Sを交換した直後においては、シャトル3および第1把持ハンドは終了位置(例えば前回の包装処理を終えた際の位置。
図13(d))にそれぞれ位置している。
【0068】
そして、第2開始シーケンスが開始すると、シャトル3が上記終了位置から無限軌道2上で周回を開始する(ステップ31)。
続いて、
図11(d)に示すように、シャトル3が無限軌道2内で2周目となる前に、第1把持ハンドは包装材Lを把持したまま無限軌道2内から外側(例えば−Y方向)へ退避する動作を行う(ステップ32)。これにより、シャトル3の2周目以降において、シャトル3と第1クランプ装置60(第1把持ハンドなど)とが衝突することを回避することが可能となる。
【0069】
続いて、
図11(e)に示すように、シャトル3が2周目に入った後で、第1把持ハンドは包装材Lの把持を解放する(ステップ33)。より具体的には、包装材Lが被包装物Sに対して二重に重なる部位が出た以降に、第1把持ハンドは包装材Lの把持を解放する動作を行う。これにより、二重に重なった包装材L同士で摩擦力が働いて被包装物Sから包装材Lが抜けてしまうことが抑制される。なお、上記把持を解放するタイミングとしては、シャトル3が上記原点位置を基準として二周目に入った後、且つ、シャトル3が無限軌道2のうち下側の直線部(被包装物Sの内部を通過する軌道)に入った後となることが好ましい。
そしてステップ33で第1把持ハンドが包装材Lを解放した後は、
図11(f)に示すように、シャトル3が無限軌道上を所定の回数だけ周回する(ステップ34)。この「所定の回数」は、被包装物Sの大きさや包装の厚みなどを考慮して適宜設定される。
【0070】
再び
図8の基準フローに戻って説明を継続する。
ステップ2又はステップ3における開始シーケンスを実行した後は、制御装置53はシャトル3が所定の回数の周回を終えたか否かを判定する(ステップ4)。そしてステップ4でNoの場合には、シャトル3の周回を継続する制御を行う。
一方、ステップ4でYesの場合、制御装置53は終了シーケンスを実行する(ステップ5)。
【0071】
ここで本実施形態の終了シーケンスについて、
図12及び
図13を用いて具体的に説明する。
まず終了シーケンスが開始されると、被包装物Sと第2把持ハンドとの距離を計測する(ステップ51)。より具体的には、
図13(a)に示すとおり、シャトル3が無限軌道2を周回している中において、第2クランプ装置70の計測センサー75を被包装物Sの近傍に近づけて計測を行う。これにより、後述する添付処理が精度よく実行可能となる。
【0072】
続いて計測センサー75の計測が完了した後、
図13(b)に示す終了位置までシャトル3を移動させて停止する(ステップ52)。なお、上記した終了位置としては、無限軌道2の上側軌道であって被包装物Sの上方が好ましいが、後述する添付処理が可能な限りにおいて特にこの位置に制限されるものではない。これ以降、シャトル3は終了位置で停止したままとなる。
【0073】
次いで、
図13(b)に示すとおり、停止しているシャトル3と被包装物Sとの間に第1把持ハンドと第2把持ハンドが挿入され、これら第1把持ハンドと第2把持ハンドで包装材Lが把持される(ステップ53)。なお、
図1(a)からも明らかなとおり、第1把持ハンドは無限軌道2に対して−Y側から挿入される一方で、第2把持ハンドは無限軌道2に対して+Y側から挿入される。
また、
図13(b)のとおり、第2クランプ装置70が包装材Lを把持するときは、添付機構74が添付処理を行えるよう当該添付機構74を下方に向けることが好ましい。
【0074】
第1把持ハンドと第2把持ハンドで包装材Lが把持した後は、第1クランプ装置60のカット機構64を用いて包装材Lを切断する処理を行う(ステップ54)。このとき、第1クランプ装置60の第1把持ハンドは、包装材Lの把持を維持している。
カット機構64による切断処理が完了した後は、
図13(c)のとおり、添付機構74で包装材Lの端末を被包装物Sに添付する処理を行う(ステップ55)。より具体的には第2クランプ装置70の駆動アームRAは、
図13(c)で示した軌跡に基づいて添付機構74を移動させることで、包装材Lの端末が被包装物S上に既に包装された包装材Lに添付される。これにより、包装材Lの端末が確実で綺麗に被包装材Sに包装されることとなる。
【0075】
添付機構75による添付処理が完了した後は、
図13(d)のとおり、第2把持ハンドを無限軌道2内から退避させて待機位置(例えば
図1(a)で示す位置)まで移動させる(ステップ56)。
以上の動作によって、包装材供給装置4に支持された包装材Lが、シワ無く効率的に被包装物Sに対して包装されることが可能となる。
【0076】
このように本実施形態における包装材Lの端末処理方法は、整理すれば以下の特徴を含んでいるとも言える。
・第1クランプ装置60の第1把持ハンドを用いて包装材Lの本体(支持部41に支持された部位)と被包装物Sの間に位置する包装材Lの一部を把持すること
・第2クランプ装置70の第2把持ハンドを用いて第1把持ハンドとは異なる位置で当該包装材Lの他の一部を把持すること
【0077】
また、被包装物Sに対する包装処理を開始するときは、以下の態様で包装処理が実行されてもよい。
・第2把持ハンドで当該包装材Lを把持した後で包装材Lを引き出すこと
・引き出された包装材Lに対して第1把持ハンドで当該包装材の一部を把持すること
・第1把持ハンドが包装材Lを把持した後に第2把持ハンドは包装材Lの把持を解除し、シャトル3の周回に応じて無限軌道2の内側から第1把持ハンドが退避すること
・シャトル3が周回して被包装物Sを包装する包装材Lの一部が重なったとき以降に、第1把持ハンドは包装材Lの把持を解除すること
【0078】
また、被包装物Sに対する包装処理を完了するときは、以下の態様で包装処理が実行されてもよい。
・第1把持ハンドと第2把持ハンドで当該包装材Lを把持した後で、第1把持ハンドと第2把持ハンドの間に位置する包装材Lの一部をカット機構で切断すること
・包装材Lを切断した後で、包装材Lの端末を把持する第2把持ハンドを被包装物Sに対して接近させるとともに、添付機構74で包装材Lの端末(残余材)を既に被包装物Sに包装された包装材L上に添加すること
【0079】
本実施形態によれば、包装材Lを搭載して動力源を内蔵しない軽量なシャトル3が無限軌道2を周回するので、構造が簡単であっても迅速で且つ正確に包装材Lを被包装物Sに包装することが可能となる。さらに、引き出される一部の包装材Lにかかる張力を一定にすることができるので、無限軌道2を周回するシャトル3の位置に関わらず包装材Lの緩みを抑制することができる。さらに、互いに協働する第1クランプ装置60と第2クランプ装置70を用いて包装材Lの端末における処理を行うので、包装材Lの端末のバラつきを抑制しつつ信頼性が高い包装を実現することが可能となる。
【0080】
なお上記した実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下、上述した実施形態に適用が可能な変形例について説明する。なお、以下の変形例においては、既述の構成と同じ機能・作用を奏するものは同じ参照番号を付し、その説明は適宜省略する。
【0081】
<変形例1>
図14は、本発明の変形例1にかかる張力制御機構を示す模式図である。
上記した実施形態では、
図7に示されるとおり、添付機構74は、クランプハンド73が包装材Lを把持したときに、添付機構74が当該包装材Lとほぼ平行になるように本体72に設けられていた。
これに対して変形例1では、クランプハンド73に把持された包装材Lと添付機構74が非平行となっていることに特徴がある。
【0082】
これにより、
図14に示すとおり、添付処理の際には被包装物Sに向けて移動する際に、添付機構74が移動方向に対してθだけ斜めに傾くことになる。
なお、上記した傾きθは任意の角度を設定することができる。
そして変形例1によれば、添付機構74が添付処理における移動方向に対して斜めに傾いているため、包装材Lの端末をより綺麗に被包装物Sに添付することが可能となる。
【0083】
以上説明した実施形態によれば、引き出される一部の包装材にかかる張力を一定にすることができるので、無限軌道を周回するシャトルの位置に関わらず包装材の緩みを抑制することができる。
なお、上記した実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【解決手段】本発明の包装装置は、複数のスプロケットを備えた無限軌道と、前記スプロケットから推力が伝達される従動チェーンを備えたシャトルと、前記シャトルに搭載される包装材供給装置と、被包装物を支持する支持装置を具備する。さらに前記包装材供給装置は、引き出される前記包装材の一部に生ずる張力が一定となるように維持する張力制御機構を備えることが好ましい。また、包装装置は、互いに協働する第1クランプ装置と第2クランプ装置を備えて包装材の端末処理を行うことが好ましい。