特許第6082178号(P6082178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6082178
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】化粧直し用の粉末化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20170206BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20170206BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20170206BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   A61K8/25
   A61K8/02
   A61K8/81
   A61Q1/12
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-56602(P2011-56602)
(22)【出願日】2011年3月15日
(65)【公開番号】特開2012-193128(P2012-193128A)
(43)【公開日】2012年10月11日
【審査請求日】2014年2月19日
【審判番号】不服2015-19679(P2015-19679/J1)
【審判請求日】2015年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100126505
【弁理士】
【氏名又は名称】佐貫 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100131392
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 武司
(74)【代理人】
【識別番号】100151596
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】宗吉 裕樹
【合議体】
【審判長】 大熊 幸治
【審判官】 齊藤 光子
【審判官】 小川 慶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−286733(JP,A)
【文献】 特開平11−5729(JP,A)
【文献】 特開平7−118123(JP,A)
【文献】 特開2007−186433(JP,A)
【文献】 特開2009−256318(JP,A)
【文献】 化粧品用タルク粉 EX−15[online],2010年2月1日,(株)ヤマグチマイカ,[平成26年11月4日検索],インターネット<URL:http://www.yamaguchi−mica.com/J/PRODUCT/COSME/CATALOG/EX−15−MP02.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均摩擦係数(MIU)が0.30以下のタルクを含有する化粧直し用の粉末化粧料であって、該タルクは、タルクを水に分散させスラリーとし、該スラリーに機械力を与えることにより得られたタルクであり、
前記平均摩擦係数(MIU)が0.30以下のタルクの含有量が化粧料全量に対して20〜50質量%である、粉末化粧料。
【請求項2】
ルース状であることを特徴とする請求項1に記載の化粧直し用の粉末化粧料。
【請求項3】
更に、ホスホリルコリン基を有するポリマーで被覆された板状粉体を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の化粧直し用の粉末化粧料。
【請求項4】
前記平均摩擦係数(MIU)が0.30以下のタルクの含有量が化粧料全量に対して30〜40質量%であることを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載の化粧直し用の粉末化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧直し用として好適な粉末化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
メークアップ化粧料、特にファンデーション等のベースメークアップには、しみ、くすみといった肌のトラブルの修正や種々の仕上がりを演出する効果が求められていると同時に、その効果が長時間維持すること、すなわち、化粧崩れせず、化粧持ちが良好であることも求められている。このような要求に応えるため、化粧持ちを向上させる素材をメークアップ化粧料に含有させる試みがなされている。例えば、パーフルオロアルキルアルコキシシラン化合物で表面処理された粉体を化粧料に含有させ、化粧料に撥水撥油性を付与して化粧持ちを向上させる試みがなされている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような手法によっても、肌に長時間メークアップが塗布された場合、化粧崩れが起こり、化粧効果の持続は充分でなかった。
【0003】
このような、課題を解決するため、メークアップを肌に塗布した後、化粧崩れが起こるたびに、化粧直し用化粧料により、化粧崩れを修正する方法がとられてきた。特に、使用の簡便さから、これら化粧直し用として、粉末化粧料が多用されてきた。化粧直し用粉末化粧料に求められる機能としは、肌上での化粧料の延展性、いわゆるのびに優れること、肌との親和性が高いことが求められる。これら要求に応えるため、平均粒径及び粒度分布が特定範囲のタルクを用いて、のびを向上させる試み(例えば、特許文献2参照)や、タルク、セリサイト、マイカ等の表面を金属セッケンで処理し、粉体の平均摩擦係数を下げ、化粧料の滑り性を向上させ、のびを向上させる試み(例えば、特許文献3参照)がなされている。
【0004】
しかしながら、これら試みでは、肌との親和性が不十分なことや、粉体間での滑り性が不十分であるため、一度塗布したメークアップの残存する、化粧崩れを起こした肌上に塗布した場合に、化粧直し効果が不十分であるという課題が存しており、メークアップが残存する肌上に塗布しても、充分な化粧直し効果が得られる粉末化粧料が求められていた。
一方、表面処理によらず、タルクの平均摩擦係数を低下させ、これを化粧直し用の粉末化粧料に含有させることでメークアップが残存する肌上に塗布しても、充分な化粧直し効果を有する粉末化粧料が得られることは全く知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−137921号公報
【特許文献2】特開2009−286733号公報
【特許文献3】特開2007−45800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
化粧崩れを起こした肌上に均一に塗布することが可能で、化粧直し効果に優れる粉末化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような状況に鑑み、本発明者等は種々のタルクの物理的特性と該タルクを含有する化粧直し用の粉末化粧料の化粧直し効果との関係に関し鋭意研究した結果、平均摩擦係数の一定値以下のタルクを配合した粉末化粧料が、化粧崩れを起こした肌上に均一に塗布され、化粧直し効果に優れ、更に、ホスホリルコリン基を有するポリマーで被覆された板状粉体を含有させることにより、その効果が助長されることを見出し、本発明に至った。 すなわち、本発明は以下に示す通りである。
1)平均摩擦係数(MIU)が0.30以下のタルクを含有する化粧直し用の粉末化粧料。
2)平均摩擦係数(MIU)が0.30以下のタルクの含有量が化粧料全量に対して20〜50質量%であることを特徴とする1)記載の化粧直し用の粉末化粧料。
3)更に、ホスホリルコリン基を有するポリマーで被覆された板状粉体を含有することを特徴とする1)又は2)記載の化粧直し用の粉末化粧料。
4)ルース状であることを特徴とする1)〜3)何れかに記載の化粧直し用の粉末化粧料。
【発明の効果】
【0008】
化粧崩れを起こした肌上に均一に塗布することが可能で、化粧直し効果に優れる粉末化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】試験例2における実施例5のルースパウダーの塗布状態を示した図である。
図2】試験例2における比較例4のルースパウダーの塗布状態を示した図である。
図3】試験例2における比較例5のルースパウダーの塗布状態を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1) 本発明の平均摩擦係数が0.30以下のタルク
本発明の粉末化粧料は必須成分として平均摩擦係数(MIU)が0.30以下のタルクを必須成分として含有することを特徴とする。ここで、平均摩擦係数は以下の方法で測定する。
【0011】
測定粉末を人工皮革上に1mg/cmとなるように指で均一に塗布したものを測定試料とし、カトーテック製摩擦感テスター KES−SEにより、荷重50gの条件下測定した。
【0012】
本発明の平均摩擦係数(MIU)0.30以下のタルクは、例えば、タルクを高濃度で水に分散してスラリーと為し、このスラリーに強い機械力を与えることによって、タルク表面の形状をなめらかに仕上げるという手法等によって、製造することができる。 また、市販品も存するので、これら市販品を入手して使用することも可能である。このような市販品としては、具体的には「タルクEX−15」(山口雲母製)が挙げられる。
【0013】
本発明の粉末化粧料における平均摩擦係数(MIU)が0.30以下のタルクの含有量は粉末化粧料全量に対して20〜50質量%であることが好ましく、30〜40質量%であることがより好ましい。含有量が少なすぎると粉末化粧料を肌上に均一に塗布することが困難となり、化粧直し効果が充分に発揮されない場合があり好ましくない。一方、含有量が多すぎると、肌への密着性が低下し、粉末化粧料の仕上がりが粉っぽくなる場合があり好ましくない。
【0014】
<製造例1>平均摩擦係数(MIU)が0.30以下のタルクの製造例
水700gにタルク(タルカンパウダーPK 林化成株式会社製;前述の方法で測定した平均摩擦係数0.36)300gを、ディスパーを用いて2000rpmで均一分散しタルクスラリーを調製した。さらに、ディスパーを用いてこのスラリーを7000rpmで30分処理した後、濾過、乾燥工程を経て処理タルク1を得た。前述の方法により、処理タルク1の平均摩擦係数を測定したところ、0.28であった。
【0015】
(2) 本発明のホスホリルコリン基を有するポリマーで被覆された板状粉体。
本発明の粉末化粧料は、粉末化粧料と肌との親和性が向上するので、更に、ホスホリルコリン基を有するポリマーで被覆された板状粉体を含有することが好ましい。被覆に用いられるホスホリルコリン基を有するポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸構造、ポリメタクリル酸構造などの通常化粧料で使用されるポリマー基体にアルキル基などの基とともにホスホリルコリン基が直接またはスペーサーを介して結合したポリマーを挙げることができる。このようなポリマーとしては、具体的には、ポリ2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ブチルメタクリレートコポリマー、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ブチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレートコポリマー等が例示できる。
【0016】
かかるポリマーは該当する構造を有するモノマーを常法により重合することにより得られるが、市販品も多く存在するので、かかる市販品を入手し使用することもできる。市販品としては、具体的には「リピジュアHM」、「リピジュアPMB」、「リピジュアA」、「リピジュアS」又は「リピジュアNR」(いずれも日本油脂株式会社製)等が例示できる。
【0017】
また、前述のポリマーを被覆する基体としての板状粉体としては、具体的にはタルク、マイカ、セリサイト、チタンマイカ、窒化硼素等が例示される。これらの内では、タルク、セリサイトが特に好ましい。
【0018】
基体粉体へのホスホリルコリン基を有するポリマーの被覆量は、被覆粉体中0.01〜5質量%であることが好ましく、0.05〜2質量%であることがより好ましい。被覆量が少なすぎると、該粉体を含有させた粉末化粧料の肌への密着感が不足し、肌上に均一に塗布されない場合があり好ましくない。また、多すぎると、被覆粉体同志の凝集により、該粉体を含有させた粉末化粧料が凝集し、肌上に均一に塗布されない場合があり好ましくない。
【0019】
本発明のホスホリルコリン基を有するポリマーで被覆された板状粉体は、例えば、前述のポリマーを水等の溶媒に溶解し、ここに基体となる板状粉体を混合し、攪拌して均一系と為し、溶媒を揮散させるという方法により製造することができるが、市販品も存するので、かかる市販品を入手して使用することもできる。このような市販品としては、具体的には「リピジュアタルク」(日本油脂株式会社製:2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレートコポリマー0.1質量%をタルク99.9質量%に被覆)等が例示できる。
【0020】
本発明の粉末化粧料におけるホスホリルコリン基を有するポリマーで被覆された板状粉体の含有量は1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。含有量が少なすぎると、該粉体を含有させた粉末化粧料の肌への密着感が不足し、肌上に均一に塗布されない場合があり好ましくない。また、多すぎると、被覆粉体同志の凝集により、該粉体を含有させた粉末化粧料が凝集し、肌上に均一に塗布されない場合があり好ましくない。
【0021】
<製造例2>ホスホリルコリン基を有するポリマーで被覆された板状粉体の製造例
ポリ2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン0.2gを水500mlに溶解し、均一水溶液とした。この水溶液にセリサイト(「セリサイトFSE」 三信鉱工社製)
99.8gを添加し、ディスパーを用いて2000rpmの条件で攪拌し、均一分散スラリーを得た。該スラリーを105℃で48時間乾燥し、ポリマー処理セリサイト1を得た。
【0022】
(3) 本発明の粉末化粧料
本発明の粉末化粧料は必須成分として、平均摩擦係数0.30以下のタルク、更に、必要に応じて、ホスホリルコリン基を有するポリマーで被覆された板状粉体を含有する。
【0023】
更に、本発明の化粧料は上記成分以外に通常化粧料で使用される任意成分を発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。かかる任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、酸化コバルト、群青、紺青、酸化亜鉛の無機顔料類、表面処理されていても良い、酸化鉄二酸化チタン焼結体等の複合顔料、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、表面処理されていても良い、微粒子酸化亜鉛、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤等のB領域の紫外線吸収剤、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
【0024】
また、本発明の化粧料は平均摩擦係数0.30以下のタルク、さらに、必要に応じて、ホスホリルコリン基を有するポリマーで被覆された板状粉体及び上記任意成分を常法により処理することにより得られる。
【0025】
本発明の粉末化粧料の形状としては、プレス状、ルース状等が例示できるが、化粧崩れを起こし、塗布したメークアップ化粧料が残存する肌への密着感が良好であることから、ルース状であることが好ましい。
【実施例】
【0026】
以下、実施例に基づき、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
【0027】
<実施例1〜4、比較例1〜3>
下記、表1に示す処方に従って、本発明の粉末化粧料及び比較例の粉末化粧料を調製した。すなわち、(イ)成分をヘンシェルミキサーで混合し、丸穴スクリーンを装着したパルベライザーで粉砕した。さらに、この混合物を再びヘンシェルミキサーで攪拌しながら、(ロ)成分を添加して混合し、さらに、ヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、ルースパウダーを得た。なお表1中の数字は、質量%を表す。
【0028】
【表1】
* 1)山口雲母製:平均摩擦係数0.27
* 2)林化成株式会社製:平均摩擦係数0.36
* 3)日本タルク株式会社製:平均摩擦係数0.47
* 4)特開2007−45800号記載の製造法に準拠して調製
平均摩擦係数 0.27
【0029】
<試験例1>粉末化粧料の化粧直し効果の評価
表2記載のメークアップベースを塗布後、表3記載のパウダーファンデーションを塗布した女性パネラーに、40℃の恒温室で1時間すごしてもらい、化粧崩れを誘導した。室温条件下で、実施例1〜4及び比較例1〜3のルースパウダーで化粧直ししてもらい、化粧直し中のルースパウダーの肌上での延展性、化粧直し後の粉浮き状態、化粧直し効果を、熟練評価者5名で官能評価した。比較例1の評価を3点とし、官能評価では5段階の評価を行い、5名の平均点を評価したルースパウダーの得点とした。各評価基準は以下の通りである。結果を表4に示す。なお、表2及び表3中の数字は質量%を表す。

評価基準
肌上での延展性:比較例1と比較して、非常に優れている 5点、優れている 4点
同等 3点、劣っている 2点、かなり劣っている 1点、
粉浮きの無さ:比較例1と比較して、非常に優れている 5点、優れている 4点
同等 3点、劣っている 2点、かなり劣っている 1点、
化粧直し効果:比較例1と比較して、非常に優れている 5点、優れている 4点
同等 3点、劣っている 2点、かなり劣っている 1点、
【0030】
【表2】
【0031】

【表3】
【0032】
【表4】
表4の結果から、本発明のルースパウダーは化粧直し用として用いた場合、化粧崩れを起こした肌上での延展性も良好で、肌浮きが生ぜず、均一に塗布され、化粧直し効果に優れていることが証明された。
【0033】
<実施例5〜8、比較例4,5>
下記、表5に示す処方に従って、本発明の粉末化粧料及び比較例の粉末化粧料を調製した。すなわち、(イ)成分をヘンシェルミキサーで混合し、丸穴スクリーンを装着したパルベライザーで粉砕した。さらに、この混合物を再びヘンシェルミキサーで攪拌しながら、(ロ)成分を添加して混合し、さらに、へリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、ルースパウダーを得た。なお表5中の数字は、質量%を表す。また、試験例1に従って各ルースパウダーの化粧直し効果を評価した。結果を表6に示す。

【0034】
【表5】


* 1)山口雲母製:平均摩擦係数0.27
* 2)林化成株式会社製:平均摩擦係数0.36
* 3)日本タルク株式会社製:平均摩擦係数0.47
* 4)日本油脂株式会社製:2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン/ステアリルメタクリレートコポリマー0.1質量%をタルク99.9質量%に被覆
【0035】
【表6】

表6の結果から、ホスホリルコリン基を有するポリマーで被覆された板状粉体を併用することにより、本発明のルースパウダーの肌上での延展性、粉浮きの無さ共に向上し、化粧直し効果がより向上することが分かる。
【0036】
<試験例2>
人工皮革上に、表2のメークアップベースを指で均一に塗布し、さらに、その上に表3のパウダーファンデーションをパフで均一に塗布した。この上から、オレイン酸とエタノールを1:1で混合した液体を噴霧した後、キムワイプに噴霧した液体を吸い取り、疑似化粧崩れ肌を作成した。この疑似化粧崩れ肌に、実施例5、比較例4,比較例5のルースパウダーを塗布して、化粧直しを施し、これらの試料での各ルースパウダーの塗布状態を走査型電子顕微鏡により観察した。結果を図1〜3に示す。
【0037】
図1〜3から明らかなように比較例4,5のルースパウダーは化粧崩れ起こした肌上で、厚く盛り上がって塗布された部分を有し、塗布状態が不均一であるのに対し、本発明のルースパウダーは化粧崩れを起こした肌に均一に塗布されるので、優れた化粧直し効果を発揮することが分かる。また、このような効果を発揮させるためには、平均摩擦係数(MIU)が0.30以下のタルクを含有させることが必須であることも分かる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は化粧料等に利用できる。
図1
図2
図3