【実施例1】
【0021】
本発明の具体的な実施例1について
図1〜8に基づいて説明する。
【0022】
本実施例は、
図1〜3に図示したように起立状態の形状が夫々異なり折り畳み重合可能に設けられた複数の立体1と、この各立体1を折り畳み重合した薄板状のものを区分け収納する複数の立体収納部2aが設けられた収納体2とから成るものである。
【0023】
この立体1は、
図3,4に図示したように紙材を切り抜いた切り抜き体を展開状態から中空の起立状態(正六面体)となるように各部位を折り曲げて構成されたものである。
【0024】
具体的には、立体1は、複数の面状体1A同士をレーザー光で切削形成した直線状凹条から成る折り曲げ部1aを介して連設して成るものであり、少なくとも一つの面状体1Aには折り畳み重合用折り曲げ部1a”が設けられている。
【0025】
本実施例は、複数(6つ)の面状体1Aから成る正六面体であり、即ち、
図3に図示したように折り畳み部1aを介して連設する複数(5つ)の正方形の面状体1Aと、2つの三角形状体を組み合わせて成る1つ正方形の面状体1Aとから成り、展開状態から立体1として構成する際には、適宜な箇所に折り畳み自在に設けた重ね部1bを介して止着部材(両面テープや糊)を介して折り畳み自在に連設しており、正六面体の立体1として構成されている。
【0026】
この重ね部1bを介して連設した部位も立体1として組み立てた後は折り曲げ部1aとして機能し、また、
図4に図示したように天部及び底部を構成する面状体1Aには、レーザーで切削形成した直線状凹条から成る折り畳み重合用折り曲げ部1a”が設けられている。
【0027】
従って、立体1は各折り畳み部1a及び折り畳み重合用折り曲げ部1a”を折り畳むことで中空の起立状態から薄板状の折り畳み重合状態となるように構成されている(
図4,5参照)。
【0028】
また、立体1は、一の面状体1A(立体1の底面)の外面に磁性体4が設けられている。
【0029】
この磁性体4は、シート状の磁石であり、金属薄板状の被着磁体としてのディスプレイ板5に着磁するためのものである。
【0030】
従って、立体1は、ディスプレイ板5に対して磁性体4を介して着脱自在となり、また、この磁性体4がディスプレイ板5に着磁していることで、起立状態が維持されることになる(
図6,7参照)。
【0031】
尚、ディスプレイ板5に磁性体を設け、この磁性体が着磁する被着磁体を立体1に設けても良く、このディスプレイ板5に対する立体1の着脱構造を着磁構造に限らず、例えばループ部とフック部とから成る雌雄連結構造(面ファスナー)で構成しても良い。
【0032】
また、本実施例では、立体1の底面となる面状体1A(磁性体4が設けられる面状体1A)に折り畳み重合用折り曲げ部1a”を設けている。
【0033】
これはなるべく立体1の角部となる折り畳み部以外の折り目を見えにくくして体裁を良くするためのである。
【0034】
また、立体1は、一の面状体1Aと隣接する他の面状体Aとの間に付勢体6(線状ゴム部材)が架設されており、折り曲げ部1a及び折り畳み重合用折り曲げ部1a”を折り曲げて立体1を立体状態とした際、互いに接する面状体1Aの縁部1a”同士が接合するように常時付勢され、立体状態が保形されるように構成されている。
【0035】
従って、立体1を薄板状の折り畳み重合状態から起立状態とした際、隣接する面状体1A同士が内方に付勢され綺麗な立体3が得られることになる。
【0036】
尚、立体3は正六面体に限らず、正多面体(正四面体,正八面体,正十二面体若しくは正二十面体)や柱状体(三角柱,四角柱,五角柱若しくは六角柱)や錐状体(三角錐,四角錐若しくは六角錐)でも良いなど、本実施例の特性を発揮する構成であれば適宜採用し得るものである。
【0037】
本実施例では、立体1を紙製としており、この立体1の外側となる表面には、適宜な柔軟性を有する合成樹脂製部材での加工(例えばポリプロピレン加工)が施されてコーティング層が形成されている。
【0038】
従って、このコーティング層により水分で濡れたりしても破損せず、度重なる使用にも耐え得るなど極めて耐久性に秀れることになり、例えば立体を強く触ることで該立体1を理解する幼児や視覚障害者などの使用にも十分耐え得る強度を具備することになる。
【0039】
尚、立体1は、紙製に限らず、例えば合成樹脂など、薄く且つ曲げに強い素材であれば適宜採用し得るものである。
【0040】
収納体2は、
図1,2に図示したように適宜な合成樹脂製の部材で形成したものであり、起立状態の形状が夫々異なる複数の立体1を折り畳み状態で該立体1ごとに区分け収納する複数の立体収納部2a同士を積層状態(並設状態)に設けたフォルダータイプのものである。
【0041】
具体的には、収納体2は、正面部2A,底面部2B,左右側面部2C,2D及び背面部2Eで構成されて上部開口部を有するものであり、この背面部2Eの上端部には蓋部2Fが設けられ、この蓋部2Fの先端部を正面部2Aに止着することで上部開口部は閉塞されるように構成されている。
【0042】
また、左右側面部2C,2Dは、交互に折り返した蛇腹状に形成されており、左右対向する内側折り縁同士間に仕切り板2bが架設され、この仕切り板2bで仕切られた各空間が立体収納部2aとして構成されている。
【0043】
従って、立体収納部2aは、前後方向の開口巾が可変自在に設けられており、正面部2Aと背面部2Eを接離方向に移動させることで各立体収納部2aの開口巾を広狭することができる。
【0044】
また、立体収納部2aには、収納する立体1の形状を表示する表示部3が設けられている。
【0045】
この表示部3は、
図1,2に図示したように仕切り板2bの上端所定位置に突片を設けて構成されており、この各表示部3には、各立体収納部2aに収納する立体1の名称が記載されている。尚、この表示部3への立体1の表示は名称の記載に限らず、色や形状で表示するものであっても良い。
【0046】
以下、本実施例の製造方法について説明する。
【0047】
先ず、レーザー光を照射するレーザー照射装置(図示省略)に立体の設計図(展開図)を入力する。
【0048】
続いて、この設計図に基づいてレーザー照射装置から照射されるレーザー光により、立体1の切り抜きを行う。また、各折り畳み部1a及び折り畳み重合用折り曲げ部1a”をレーザー光により形成する。重ね部1bは一体に形成しても別部材で形成しても良い。
【0049】
尚、本実施例では、レーザー照射装置から所定巾のレーザー光を照射することで前述した切り抜き作業を行う構成であるが、例えば巾広のレーザー光を照射して型(マスク)を通過させることでレーザー光を所定巾(型に形成したスリット巾)とすることで、前述した切り抜き作業を行うようにしても良く、この場合より一層の量産性の向上が望める。
【0050】
続いて、レーザー光の照射により切り抜かれた立体原型を、各折り畳み部1a及び折り畳み重合用折り曲げ部1a”を折り曲げたり、隣接する面状体1A同士を止着部材で止着したりして立体1を組み立てる。
【0051】
本実施例は上述のように構成したから、薄板状の折り畳み重合状態の立体1を収納体2から取り出し、この立体1を中空の起立状態として、手に持って触ったり鑑賞したりして体感することができる。
【0052】
従って、収納体2の立体収納部2aに収納された立体1の出し入れが薄板状のものの出し入れの為、極めて簡易に行えるため、手軽に立体1に接することができて教材として最適なものとなる。
図8は被着磁体としての黒板7(垂直壁面)に立体1を着磁させて教材として使用している場合である。
【0053】
また、本実施例は、互いに起立状態の立体形状が夫々異なる複数の立体1と、この各立体1を折り畳み重合した薄板状のものを区分け収納する複数の立体収納部2aが設けられた収納体2とから成り、様々な形状の立体1を手に持って触ったり鑑賞することができ、しかも、各立体1を収納体2に収納する際には、起立状態の各立体1を折り畳み重合状態として薄板状とし、この折り畳み重合状態とした薄板状の各立体1を該立体1ごとに収納体2の収納部2a夫々に整然と収納することができる。
【0054】
従って、この立体1を使用しない場合には薄型コンパクトな収納状態とすることができるから、例えば保管や持ち運び等が良好に行えることになる。
【0055】
また、本実施例は、立体1の表面には合成樹脂製のコーティング層が形成されているから、極めて耐久性に秀れることになる。
【実施例2】
【0056】
本発明の具体的な実施例2について
図9〜13に基づいて説明する。
【0057】
本実施例は、複数の面状体1A同士を折り曲げ部1aを介して連設して成るものであり、折り曲げ部1a(及び折り畳み重合用折り曲げ部1a”)を折り曲げて立体1を立体状態とした際、互いに接する面状体1Aの縁部1a'同士を着磁構造8により接合可能に設けた場合である。
【0058】
具体的には、
図9〜13に図示したように折り畳み重合状態から立体状態とした際、互いに離反状態から接する面状体1A夫々の縁部1a'同士のうち一方の縁部1a'に磁石体8a(ネオジューム磁石)を設け、この磁石体8aが着脱自在に着磁する被着磁体8b(着磁性を備えた薄板状のステンレス)を他方の縁部1a'に設けて着磁構造8を構成している。
【0059】
従って、折り畳み重合状態から立体状態とした際、この着磁構造8による着磁作用により立体状態が保持されることになる。
【0060】
また、本実施例では、前述した実施例1と異なり、隣接する面状体1A同士を付勢する付勢体6は設けていない。
【0061】
具体的には、付勢体6を用いて隣接する面状体1A同士を付勢させる設計は難しくなるが、この点、着磁構造8であれば簡易である。
【0062】
また、付勢体6は耐久性が悪くて長期的にその作用を発揮し難いが、この点、着磁構造8であればこの問題点は解消される。
【0063】
しかも、付勢体6は常に立体状態になろうとする力が作用することになる為、折り畳み重合させても扁平した状態が得にくく、よって、収納体2の立体収納部2aに対して収納し難く、良好な収納状態が得られない場合があるが、この点、前述した着磁構造8を採用することで、折り畳み重合状態とした際にはこの立体状態になろうとする力は作用しないから、確実に扁平した状態が得られ、よって、納体2の立体収納部2aに対する収納がスムーズに行えるのは勿論、良好な収納状態が得られることになる。
【0064】
図9〜11は正六面体、
図12,13は四角錐であり、正六面体は、
図11に図示したように折り畳み重合状態から立体状態とした際、面状体1A夫々の縁部1a'同士が直交した重合状態となり、面接触が得易い構造であるから、被着磁体8bとして金属薄板が採用されており、四角錐は、
図13に図示したように折り畳み重合状態から立体状態とした際、面状体1A夫々の縁部1a'同士が傾斜した重合状態となり、面接触が得にくい構造であるから、より強力な着磁効果が得られるよう、被着磁体8bとして磁石が採用されている。
【0065】
また、本実施例では、一の面状体1A(立体1の底面)の内面に磁性体4が設けられているが、この磁石体4が設けられた面状体1Aの外面には、磁石体4が設けられていることを示す目印9が設けられている。
【0066】
尚、立体1が例えば正四面体や三角錐体の場合、接合する面状体1Aの縁部1a'夫々には折り畳み重合用折り曲げ部1a”が連設され、更に、この折り畳み重合用折り曲げ部1a”は接合する面状体1Aの縁部1a'に対して略直角状態で連設される。
【0067】
その余は実施例1と同様である。
【0068】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。