(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
非導電性部材からなる内周側の第一領域と、非導電性部材および導電性部材からなり、前記第一領域を囲む第二領域とを有し、該第二領域は、導電性部材からなる導電部および非導電性部材からなる絶縁部から構成されるディスク状記録媒体に取り付けられる非接触型データ受送信体に用いられる円環状の導電板を備えたアンテナを有する非接触型データ受送信体であって、
前記導電板は、その中央に厚さ方向に貫通する貫通孔と、ICチップに接続される給電部と、該給電部を基端とし、前記貫通孔の外周に沿って前記導電板の内周側に設けられ、前記導電板を厚さ方向に貫通し、円環の一部が導電板によって遮られて、一部に不連続部分が存在する平面視略円環状のスロットと、該スロットを囲み、該スロットの外周に沿って、等間隔に設けられ、前記導電板を厚さ方向に貫通する複数の平面視円弧状の空隙と、前記複数の空隙のうち隣り合う2つの空隙の間に、前記スロットの外周に沿って、等間隔に設けられた導電部と、を備え、
前記導電板は、前記非接触型データ受送信体を前記ディスク状記録媒体に取り付けた場合に、少なくとも一部が前記ディスク状記録媒体の前記第二領域を構成する前記導電性部材からなる導電部と対向するアンテナと、前記アンテナと電気的に接続されたICチップと、を備えたことを特徴とする非接触型データ受送信体。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のアンテナおよびそれを備えた非接触型データ受送信体、並びに、非接触型データ受送信体を備えたディスク状記録媒体の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0013】
(1)第一実施形態
図1は、本発明の第一実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。なお、
図1では、アンテナがディスク状記録媒体に取り付けられた状態を示している。
本実施形態では、アンテナ10は、ディスク状記録媒体20に取り付けられる非接触型データ受送信体に用いられる円環状の導電板11を備えてなるものである。
【0014】
ディスク状記録媒体20は、その中央に厚さ方向に貫通する貫通孔21が設けられている。また、ディスク状記録媒体20は、非導電性部材からなり、内周側(貫通孔21側)の第一領域22と、非導電性部材および導電性部材からなり、第一領域22を囲む第二領域23とを有している。
図1(b)に示すように、第二領域23は、導電性部材からなる導電部24と、導電部24の両面側に、導電部24を挟持するように設けられ、第一領域22を構成するものと同一の非導電性部材からなる絶縁部25(25A,25B)とから構成されている。すなわち、第二領域23は、導電部24と絶縁部25A,25Bとから構成される積層体である。さらに、導電部24は、内周側(貫通孔21側)に配置され、信号を記録しない非記録領域24Aと、非記録領域24Aを囲むように配置され、信号を記録する記録領域24Bとを有している。
このような構成のディスク状記録媒体20の具体例としては、例えば、CD、DVDなどが挙げられる。
なお、ディスク状記録媒体20としては、第二領域23が、導電部24と、導電部24の両面側に設けられた絶縁部25(25A,25B)とから構成されているものを例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、ディスク状記録媒体は、第二領域が、絶縁部と、その一方の面側に設けられた導電部とから構成されるものであってもよい。
【0015】
第一領域22および第二領域23の絶縁部25を構成する非導電性部材としては、一般的に、ポリカーボネート、非晶質ポリオレフィン(APO)、ガラスなどが挙げられる。
第二領域23の導電部24を構成する導電性部材としては、一般的に、アルミニウム蒸着膜および銀蒸着膜などが挙げられる。
【0016】
アンテナ10の導電板11は、その中央に厚さ方向に貫通する貫通孔12が設けられている。この貫通孔12は、アンテナ10をディスク状記録媒体20に取り付ける場合に、ディスク状記録媒体20の貫通孔21に対応するように設けられている。言い換えれば、導電板11の貫通孔12の直径は、ディスク状記録媒体20の貫通孔21の直径よりも大きくなっており、アンテナ10をディスク状記録媒体20に取り付けた場合に、導電板11の貫通孔12と、ディスク状記録媒体20の貫通孔21とが重ならないようになっている。
【0017】
また、導電板11は、ICチップに接続される給電部13と、給電部13を基端とし、導電板11の外形に沿って内周側(貫通孔12側)に設けられ、導電板11を厚さ方向に貫通する平面視略円環形状のスロット14と、スロット14を囲み、導電板11の外形に沿って間隔を置いて設けられ、導電板11を厚さ方向に貫通する12個の空隙15(15A〜15L)と、を備えている。ここで、スロット14が平面視略円環形状であるとは、円環の一部が導電板11によって遮られて、スロット14の一部に不連続部分が存在していることを言う。
【0018】
スロット14は、給電部13を基端として、貫通孔12の外周のほぼ全周に沿うように設けられている。
空隙15A〜15Lは、給電部13の近傍の空隙15Aを基準として時計回りに、導電板11の外形に沿って(スロット14の外周に沿って)、ほぼ等間隔に設けられている。空隙15A〜15Lは、スロット14を囲むように導電板11に設けられた開口部である。
【0019】
また、空隙15A〜15L同士の間には、給電部13に対応する部分を基準として時計回りに、導電板11の外形に沿って(スロット14の外周に沿って)、ほぼ等間隔に、導電部16(16A〜16L)が設けられている。言い換えれば、給電部13に対応する部分を0時(12時)として、時計回りに、0時(12時)の位置に導電部16A、1時の位置に導電部16B、2時の位置に導電部16C、3時の位置に導電部16D、4時の位置に導電部16E、5時の位置に導電部16F、6時の位置に導電部16G、7時の位置に導電部16H、8時の位置に導電部16I、9時の位置に導電部16J、10時の位置に導電部16K、11時の位置に導電部16Lが設けられている。
【0020】
また、
図1(b)に示すように、導電板11は、アンテナ10をディスク状記録媒体20に取り付けた場合に、ディスク状記録媒体20の第二領域23を構成する導電部24の非記録領域24Aと対向するようになっている。導電板11とディスク状記録媒体20の第二領域23を構成する導電部24の非記録領域24Aとが対向するとは、アンテナ10がディスク状記録媒体20に取り付けられた状態で、これらを平面視した場合、導電板11とディスク状記録媒体20の第二領域23を構成する導電部24の非記録領域24Aとが重なっていることを言う。
図1(b)において、符号αで示す領域が、導電板11と、ディスク状記録媒体20の第二領域23を構成する導電部24の非記録領域24Aとが重なっている領域である。
なお、アンテナ10をディスク状記録媒体20に取り付けた場合に、導電板11の全体がディスク状記録媒体20の第二領域23を構成する導電部24の非記録領域24Aと対向している必要はなく、少なくとも導電板11の一部がディスク状記録媒体20の第二領域23を構成する導電部24の非記録領域24Aと対向していればよい。
【0021】
導電板11の外径は、特に限定されるものではないが、一般的なCDやDVDなどからなるディスク状記録媒体20に取り付けられることから、例えば、25mm〜50mmである。
また、導電板11の貫通孔12の直径(内径)は、特に限定されるものではないが、一般的なCDやDVDなどからなるディスク状記録媒体20に取り付けられることから、例えば、16mm〜23mmである。
【0022】
スロット14の幅は、特に限定されるものではないが、例えば、2mm〜4mmである。
また、スロット14の開口率、すなわち、導電板11が貫通孔12以外には孔が設けられておらず、一面の板状をなしているものであるとした場合、その板の面積を100%とした場合にスロット14が占める面積率は、例えば、10%〜20%である。
【0023】
空隙15の幅は、特に限定されるものではないが、例えば、1mm〜3mmである。
また、空隙15の開口率、すなわち、導電板11が貫通孔12以外には孔が設けられておらず、一面の板状をなしているものであるとした場合、その板の面積を100%とした場合に空隙15が占める面積率は、例えば、15%〜20%である。なお、空隙15の開口率は、アンテナ10に要求される放熱性や通信距離などに応じて、適宜調整される。
【0024】
導電板11としては、銀、金、白金、銅、アルミニウムなどからなる金属板、または、絶縁性の基材の一面に、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成された導電部を有するもの、絶縁性の基材の一面に貼着した導電性箔をエッチングして形成された導電部を有するもの、絶縁性の基材の一面を金属メッキして、金属メッキからなる導電部を有するものなどが挙げられる。
【0025】
絶縁性の基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙からなる基材などが挙げられる。
【0026】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
【0027】
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度で導電板11の導電部をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。導電板11の導電部をなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜を構成する導電微粒子が互いに接触することにより形成され、この塗膜の抵抗値は10
−5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0028】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型あるいは架橋/熱可塑併用型(ただし、熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型あるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0029】
また、導電板11の導電部をなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、導電板11の導電部をなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0030】
このアンテナ10の給電部13に、
図2に示すように、ICチップ31を実装することにより、給電点13を介して、アンテナ10とICチップ31が電気的に接続された非接触型データ受送信体40が得られる。
アンテナ10の給電部13にICチップ31を実装するには、異方性導電性接着剤などが用いられる。
【0031】
アンテナ10によれば、導電板11の外形に沿って内周側に設けられ、導電板11を厚さ方向に貫通するスロット14を囲み、導電板11の外形に沿って間隔を置いて設けられ、導電板11を厚さ方向に貫通する複数の空隙15を設けたので、導電板11からの放熱を抑制することができるから、アンテナ10にICチップ31を実装する際に熱圧ヘッドの温度を上げなくとも、異方性導電性接着剤が硬化するために必要な熱量を確保することができ、熱圧ヘッドからの熱によってICチップ31やアンテナ10の基材が劣化することを防止できる。
また、導電板11は、アンテナ10をディスク状記録媒体20に取り付けた場合に、ディスク状記録媒体20の第二領域23を構成する導電部24の非記録領域24Aと対向するようになっているので、導電板11と、ディスク状記録媒体20の第二領域23を構成する導電部24の非記録領域24Aとの間で電磁結合が生じるため、アンテナ10の正面(
図1(a)および
図2において紙面方向)からの通信距離が、アンテナ10を単独で用いた場合よりも20〜30%伸ばすことができる。
【0032】
なお、アンテナ10およびアンテナ10を備えた非接触型データ受送信体40は、ディスク状記録媒体20とは別体のものであって、それ自体で無線通信機能を有する。アンテナ10の導電板11が、ディスク状記録媒体20の第二領域23を構成する導電部24の非記録領域24Aと対向するように、アンテナ10または非接触型データ受送信体40をディスク状記録媒体20に取り付けることにより、上述のように、アンテナ10の通信距離を向上することができる。
【0033】
また、本実施形態では、アンテナ10の導電板11に、12個の空隙15(15A〜15L)が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明にあっては、空隙の数や間隔は、アンテナに要求される放熱性や通信距離に応じて適宜調整されるものであり、例えば、導電板の空隙が、後述する第二実施形態のように設けられていてもよい。
【0034】
(2)第二実施形態
図3は、本発明の第二実施形態を示す概略平面図である。
本実施形態では、アンテナ50は、上述のディスク状記録媒体20に取り付けられる非接触型データ受送信体に用いられる円環状の導電板51を備えてなるものである。
【0035】
アンテナ50の導電板51は、その中央に厚さ方向に貫通する貫通孔52が設けられている。導電板51の貫通孔52の直径は、ディスク状記録媒体20の貫通孔21の直径よりも大きくなっており、アンテナ50をディスク状記録媒体20に取り付けた場合に、導電板51の貫通孔52と、ディスク状記録媒体20の貫通孔21とが重ならないようになっている。
【0036】
また、導電板51は、ICチップに接続される給電部53と、給電部53を基端とし、導電板51の外形に沿って内周側(貫通孔52側)に設けられ、導電板51を厚さ方向に貫通する平面視略円環形状のスロット54と、スロット54を囲み、導電板51の外形に沿って間隔を置いて設けられ、導電板51を厚さ方向に貫通する4個の空隙55(55A〜55D)と、を備えている。ここで、スロット54が平面視略円環形状であるとは、円環の一部が導電板51によって遮られて、スロット54の一部に不連続部分が存在していることを言う。
【0037】
スロット54は、給電部53を基端として、貫通孔52の外周のほぼ全周に沿うように設けられている。
空隙55A〜55Dは、給電部53の近傍の空隙55Aを基準として時計回りに、導電板51の外形に沿って(スロット54の外周に沿って)、ほぼ等間隔に設けられている。
【0038】
また、空隙55A〜55D同士の間には、給電部53に対応する部分を基準として時計回りに、導電板51の外形に沿って(スロット54の外周に沿って)、ほぼ等間隔に、導電部56(56A〜56D)が設けられている。言い換えれば、給電部53に対応する部分を0時(12時)として、時計回りに、0時(12時)の位置に導電部56A、3時の位置に導電部56B、6時の位置に導電部56C、9時の位置に導電部56Dが設けられている。
【0039】
また、導電板51は、上述の第一実施形態と同様に、アンテナ50をディスク状記録媒体20に取り付けた場合に、少なくとも導電板51の一部がディスク状記録媒体20の第二領域23を構成する導電部24の非記録領域24Aと対向するようになっている。
【0040】
導電板51の外径は、特に限定されるものではないが、一般的なCDやDVDなどからなるディスク状記録媒体20に取り付けられることから、例えば、25mm〜50mmである。
また、導電板51の貫通孔52の直径(内径)は、特に限定されるものではないが、一般的なCDやDVDなどからなるディスク状記録媒体20に取り付けられることから、例えば、16mm〜23mmである。
【0041】
スロット54の幅は、特に限定されるものではないが、例えば、2mm〜4mmである。
また、スロット54の開口率、すなわち、導電板51が貫通孔52以外には孔が設けられておらず、一面の板状をなしているものであるとした場合、その板の面積を100%とした場合にスロットロット54が占める面積率は、例えば、10%〜20%である。
【0042】
空隙55の幅は、特に限定されるものではないが、例えば、1mm〜3mmである。
また、空隙55の開口率、すなわち、導電板51が貫通孔52以外には孔が設けられておらず、一面の板状をなしているものであるとした場合、その板の面積を100%とした場合に空隙55が占める面積率は、例えば、15%〜20%である。なお、空隙55の開口率は、アンテナ50に要求される放熱性や通信距離などに応じて、適宜調整される。
【0043】
導電板51としては、上述の第一実施形態の導電板11と同様のものが用いられる。
【0044】
アンテナ50によれば、上述の第一実施形態におけるアンテナ10と同様の効果が得られる。
【0045】
(3)第三実施形態
図4は、本発明の第三実施形態を示す概略平面図である。
図4において、
図1に示したアンテナ10と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態において、アンテナ50が、上述の第一実施形態におけるアンテナ10と異なる点は、導電板11において、その外周から空隙15(15A〜15L)のそれぞれに至る不連続部(導電板11または導電板11の導電部が設けられていない不連続な部分)61(61A〜61L)が設けられている点である。
不連続部61A〜61Lは、導電板11の外周と略垂直に交わるように形成されている。
【0046】
なお、本実施形態では、不連続部61A〜61Lが、導電板11の外周と略垂直に交わるように形成されている場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明にあっては、不連続部が、導電板の外周と斜めに交わっていてもよく、不連続部がテーパ形状をなしていてもよい。
【0047】
アンテナ60によれば、上述の第一実施形態におけるアンテナ10と同様の効果が得られる。
【0048】
(4)第四実施形態
図5は、本発明の第四実施形態を示す概略平面図である。
本実施形態では、アンテナ70は、上述のディスク状記録媒体20に取り付けられる非接触型データ受送信体に用いられる円環状の導電板71を備えてなるものである。
【0049】
アンテナ70の導電板71は、その中央に厚さ方向に貫通する貫通孔72が設けられている。導電板71の貫通孔72の直径は、ディスク状記録媒体20の貫通孔21の直径よりも大きくなっており、アンテナ70をディスク状記録媒体20に取り付けた場合に、導電板71の貫通孔72と、ディスク状記録媒体20の貫通孔21とが重ならないようになっている。
【0050】
また、導電板71は、ICチップに接続される給電部73と、給電部73を基端とし、導電板71の外形に沿って内周側(貫通孔72側)に設けられ、導電板71を厚さ方向に貫通するメアンダ形状のスロット74と、スロット74を囲み、導電板71の外形に沿って間隔を置いて設けられ、導電板71を厚さ方向に貫通する複数の空隙75と、を備えている。
【0051】
スロット74は、給電部73を基端として、貫通孔72の外周のほぼ全周に沿うように設けられている。
複数の空隙75は、導電板71の外形に沿って(スロット74の外周に沿って)、メアンダ形状の折り返し部分のそれぞれの間に設けられ、ほぼ等間隔に配置されるとともに、平面視三角形状をなしている。
【0052】
また、導電板71は、上述の第一実施形態と同様に、アンテナ70をディスク状記録媒体20に取り付けた場合に、少なくとも導電板71の一部がディスク状記録媒体20の第二領域23を構成する導電部24の非記録領域24Aと対向するようになっている。
【0053】
導電板71の外径は、特に限定されるものではないが、一般的なCDやDVDなどからなるディスク状記録媒体20に取り付けられることから、例えば、25mm〜50mmである。
また、導電板71の貫通孔72の直径(内径)は、特に限定されるものではないが、一般的なCDやDVDなどからなるディスク状記録媒体20に取り付けられることから、例えば、16mm〜23mmである。
【0054】
スロット74の幅は、特に限定されるものではないが、例えば、0.5mm〜1mmである。
また、スロット74の開口率、すなわち、導電板71が貫通孔72以外には孔が設けられておらず、一面の板状をなしているものであるとした場合、その板の面積を100%とした場合にスロットロット74が占める面積率は、例えば、10%〜20%である。
【0055】
空隙75の幅は、特に限定されるものではないが、例えば、1mm〜2mmである。
また、空隙75の開口率、すなわち、導電板71が貫通孔72以外には孔が設けられておらず、一面の板状をなしているものであるとした場合、その板の面積を100%とした場合に空隙75が占める面積率は、例えば、15%〜20%である。なお、空隙75の開口率は、アンテナ70に要求される放熱性や通信距離などに応じて、適宜調整される。
【0056】
導電板71としては、上述の第一実施形態の導電板11と同様のものが用いられる。
【0057】
アンテナ70によれば、上述の第一実施形態におけるアンテナ10と同様の効果が得られる。
【0058】
(5)第五実施形態
図6は、本発明の第五実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。なお、
図6では、アンテナがディスク状記録媒体に取り付けられた状態を示している。
図6において、
図1に示したアンテナ10と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態では、アンテナ10が取り付けられるディスク状記録媒体80の構成が上述の第一実施形態と異なっている。
【0059】
ディスク状記録媒体80は、その中央に厚さ方向に貫通する貫通孔81が設けられている。また、ディスク状記録媒体80は、非導電性部材からなり、内周側(貫通孔81側)の第一領域82と、非導電性部材および導電性部材からなり、第一領域82を囲む第二領域83とを有している。
図6(b)に示すように、第二領域83は、導電性部材からなる導電部84と、導電部84の両面側に、導電部84を挟持するように設けられ、第一領域82を構成するものと同一の非導電性部材からなる絶縁部85(85A,85B)とから構成されている。すなわち、第二領域83は、導電部84と絶縁部85A,85Bとから構成される積層体である。さらに、導電部84は、内周側(貫通孔81側)に配置され、信号を記録しない非記録領域84Aと、非記録領域84Aを囲むように配置され、信号を記録する記録領域(図示略)とを有している。
このような構成のディスク状記録媒体80の具体例としては、例えば、CD−R、DVD−R、CD−RW、DVD−RWなどの追記・消去・再書き換え可能な光学メディアなどが挙げられる。
なお、ディスク状記録媒体80としては、第二領域83が、導電部84と、導電部84の両面側に設けられた絶縁部85(85A,85B)とから構成されているものを例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、ディスク状記録媒体は、第二領域が、絶縁部と、その一方の面側に設けられた導電部とから構成されるものであってもよい。
【0060】
第一領域82および第二領域83の絶縁部85を構成する非導電性部材としては、上述のディスク状記録媒体20と同様のものが挙げられる。
第二領域23の導電部24を構成する導電性部材としては、上述のディスク状記録媒体20と同様のものが挙げられる。
【0061】
また、アンテナ10をディスク状記録媒体80に取り付けた場合に、導電板11の貫通孔12と、ディスク状記録媒体80の貫通孔81とが重ならないようになっている。
【0062】
図6(b)に示すように、導電板11は、アンテナ10をディスク状記録媒体80に取り付けた場合に、その外縁部が、ディスク状記録媒体80の第二領域83を構成する導電部84の非記録領域84Aの内縁部と対向するようになっている。導電板11の外縁部とディスク状記録媒体80の第二領域83を構成する導電部84の非記録領域84Aの内縁部とが対向するとは、アンテナ10がディスク状記録媒体80に取り付けられた状態で、これらを平面視した場合、導電板11の外縁部と、ディスク状記録媒体80の第二領域83を構成する導電部84の非記録領域84Aの内縁部とが重なっていることを言う。
図6(b)において、符号βで示す領域が、導電板11の外縁部と、ディスク状記録媒体80の第二領域83を構成する導電部84の非記録領域84Aの内縁部とが重なっている領域である。
【0063】
本実施形態によれば、上述の第一実施形態と同様の効果が得られる。
また、アンテナ10をディスク状記録媒体80に取り付けた場合、導電板11の外縁部と、ディスク状記録媒体80の第二領域83を構成する導電部84の非記録領域84Aの内縁部とが重なるので、導電板11の給電部13(ICチップが実装される部分)と導電部84が重ならないため、ICチップの実装が不安定であることに起因する、ICチップの回路と導電部84との間で容量結合する危険性がなくなり、歩留り低下を抑制できる。
【0064】
(6)第六実施形態
図7は、本発明の第六実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。なお、
図7では、アンテナがディスク状記録媒体に取り付けられた状態を示している。
図7において、
図1に示したアンテナ10と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態では、アンテナ10が取り付けられるディスク状記録媒体90の構成が上述の第一実施形態と異なっている。
【0065】
ディスク状記録媒体90は、その中央に厚さ方向に貫通する貫通孔91が設けられている。また、ディスク状記録媒体90は、非導電性部材からなり、内周側(貫通孔91側)の第一領域92と、非導電性部材および導電性部材からなり、第一領域92を囲む第二領域93とを有している。
図7(b)に示すように、第二領域93は、導電性部材からなる導電部94と、導電部94の両面側に、導電部94を挟持するように設けられ、第一領域92を構成するものと同一の非導電性部材からなる絶縁部95(95A,95B)とから構成されている。すなわち、第二領域93は、導電部94と絶縁部95A,95Bとから構成される積層体である。さらに、導電部94は、内周側(貫通孔91側)に配置され、信号を記録しない非記録領域94Aと、非記録領域94Aを囲むように配置され、信号を記録する記録領域94Bとを有している。
このような構成のディスク状記録媒体90の具体例としては、例えば、CD、DVDなどが挙げられる。
なお、ディスク状記録媒体90としては、第二領域93が、導電部94と、導電部94の両面側に設けられた絶縁部95(95A,95B)とから構成されているものを例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、ディスク状記録媒体は、第二領域が、絶縁部と、その一方の面側に設けられた導電部とから構成されるものであってもよい。
【0066】
第一領域92および第二領域93の絶縁部95を構成する非導電性部材としては、上述のディスク状記録媒体20と同様のものが挙げられる。
第二領域93の導電部94を構成する導電性部材としては、上述のディスク状記録媒体20と同様のものが挙げられる。
【0067】
また、アンテナ10をディスク状記録媒体90に取り付けた場合に、導電板11の貫通孔12と、ディスク状記録媒体90の貫通孔91とが重ならないようになっている。
【0068】
図7(b)に示すように、導電板11は、アンテナ10をディスク状記録媒体90に取り付けた場合に、ディスク状記録媒体90の第二領域93を構成する導電部94の非記録領域94Aおよび記録領域94Bと対向するようになっている。導電板11とディスク状記録媒体90の第二領域93を構成する導電部94の非記録領域94Aおよび記録領域94Bとが対向するとは、アンテナ10がディスク状記録媒体90に取り付けられた状態で、これらを平面視した場合、導電板11と、ディスク状記録媒体90の第二領域93を構成する導電部94の非記録領域94Aの全域および記録領域94Bの一部領域とが重なっていることを言う。
図7(b)において、符号γで示す領域が、導電板11と、ディスク状記録媒体90の第二領域93を構成する導電部94の非記録領域94Aの全域および記録領域94Bの一部領域とが重なっている領域である。
【0069】
本実施形態によれば、上述の第一実施形態と同様の効果が得られるが、ディスク状記録媒体90の読取面とは反対側の面に、アンテナ10を取り付ける必要がある。このようにアンテナ10を取り付けることにより、アンテナ10との通信が可能となる。
また、アンテナ10をディスク状記録媒体90に取り付けた場合、導電板11と、ディスク状記録媒体90の第二領域93を構成する導電部94の非記録領域94Aの全域とが重なるので、導電板11と、ディスク状記録媒体90の第二領域93を構成する導電部94の非記録領域94Aとの容量結合領域が広くなり、結果として、アンテナ10の通信距離を向上することができる。