【発明の効果】
【0012】
本発明のポリエステル系樹脂組成物の製造方法は、ポリテトラフルオロエチレンを使用する場合の問題点を解決し、操作、作業上の不安定性がなく、解砕等の余計な工程が不要で、ポリテトラフルオロエチレンの凝集物の発生が極めて少なく、樹脂組成物の均質性および再現性に優れ、長期にわたる安定生産が可能なポリエステル系樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0013】
[発明の概要]
本発明のポリエステル系樹脂組成物の製造方法は、ポリテトラフルオロエチレン(A)を含有するポリエステル系樹脂組成物を製造するにあたり、ポリテトラフルオロエチレン(A)に、ポリエステル樹脂パウダー(B)及び/又はタルク(C)を予めブレンドしたものを用いることを特徴とする。
【0014】
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
以下に記載する各構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。なお、本願明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0015】
[ポリエステル樹脂]
本発明の樹脂組成物の主成分であるポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物の重縮合、オキシカルボン酸化合物の重縮合あるいはこれらの化合物の重縮合等によって得られる熱可塑性のポリエステルであり、ホモポリエステル、コポリエステルの何れであってもよい。
【0016】
ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体が好ましく使用される。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフォン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルイソプロピリデン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、アントラセン−2,5−ジカルボン酸、アントラセン−2,6−ジカルボン酸、p−ターフェニレン−4,4’−ジカルボン酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸等が挙げられ、テレフタル酸が好ましく使用できる。
【0017】
これらの芳香族ジカルボン酸は2種以上を混合して使用しても良い。これらは周知のように、遊離酸以外にジメチルエステル等をエステル形成性誘導体として重縮合反応に用いることができる。
なお、少量であればこれらの芳香族ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸を1種以上混合して使用することができる。
【0018】
ポリエステル樹脂を構成するジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、へキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等の脂環式ジオール等、およびそれらの混合物等が挙げられる。なお、少量であれば、分子量400〜6,000の長鎖ジオール、すなわち、ポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を1種以上共重合せしめてもよい。
また、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールも用いることができる。
【0019】
また、上記のような二官能性モノマー以外に、分岐構造を導入するためトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三官能性モノマーや分子量調節のため脂肪酸等の単官能性化合物を少量併用することもできる。
【0020】
ポリエステル樹脂としては、通常は主としてジカルボン酸とジオールとの重縮合からなるもの、即ち樹脂全体の50質量%、好ましくは70質量%以上がこの重縮合物からなるものを用いる。ジカルボン酸としては芳香族カルボン酸が好ましく、ジオールとしては脂肪族ジオールが好ましい。
【0021】
なかでも好ましいのは、酸成分の95モル%以上がテレフタル酸であり、アルコール成分の95質量%以上が脂肪族ジオールであるポリアルキレンテレフタレートである。その代表的なものはポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートである。これらはホモポリエステルに近いもの、即ち樹脂全体の95質量%以上が、テレフタル酸成分及び1,4−ブタンジオール又はエチレングリコール成分からなるものであるのが好ましく、特にポリブチレンテレフタレートが好ましい。
【0022】
ポリブチレンテレフタレートは、イソフタル酸、ダイマー酸、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリアルキレングリコール等が共重合されているものも好ましい。なお、これらの共重合体は、共重合量が、ポリブチレンテレフタレート全セグメント中の1モル%以上、50モル%未満のものをいう。中でも、共重合量が好ましくは2〜50モル%、より好ましくは3〜40モル%、特に好ましくは5〜20モル%である。
【0023】
ポリエステル樹脂の固有粘度は、0.5〜2dl/gであるものが好ましい。成形性及び機械的特性の点からして、0.6〜1.5dl/gの範囲の固有粘度を有するものが好ましい。固有粘度が0.5dl/gより低いものを用いると、得られる樹脂組成物が機械的強度の低いものとなりやすい。また2dl/gより高いものでは、樹脂組成物の流動性が悪くなり成形性が悪化する場合がある。なお、ポリエステル樹脂の固有粘度は、テトラクロロエタンとフェノールとの1:1(質量比)の混合溶媒中、30℃で測定するものとする。
【0024】
[ポリテトラフルオロエチレン(A)]
本発明において、ポリテトラフルオロエチレン(A)は、テトラフルオロエチレンを主成分とする単量体を、従来から知られている重合方法によって得られるものをいう。ポリテトラフルオロエチレン(A)は、難燃性のポリエステル系樹脂組成物に、燃焼時のドリップし難い性質を付与するように機能する。ポリテトラフルオロエチレン(A)には、ポリテトラフルオロエチレン(A)の特性を損なわない範囲で、共重合成分として、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィンや、パーフルオロアルキルビニル(メタ)アクリレート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを含ませることができる。共重合成分の含有量は、テトラフルオロエチレンに対して10質量%以下とするのが好ましい。
【0025】
ポリテトラフルオロエチレン(A)は、ビニル系単量体を重合してなる多層構造を有するフルオロエチレン重合体も使用することができ、このようなフルオロエチレン重合体としては、ポリスチレン−フルオロエチレン複合体、ポリスチレン−アクリロニトリル−フルオロエチレン複合体、ポリメタクリル酸メチル−フルオロエチレン複合体、ポリメタクリル酸ブチル−フルオロエチレン複合体等が挙げられる。
【0026】
なお、ポリテトラフルオロエチレン(A)は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
【0027】
また、ポリテトラフルオロエチレン(A)の平均粒径は、特に制限はないが、1〜1,000μmであることが好ましい。平均粒径が3μmを下回る場合は、樹脂組成物の耐ドリップ性が低下する可能性があり、また1,000μmを超える場合は、ポリテトラフルオロエチレンが凝集しやすくなり、成形体とした場合に白点異物等の外観不良を引き起こす可能性があるため好ましくない。このような観点より、ポリテトラフルオロエチレン(A)の平均粒径は、2〜800μmであることがより好ましく、3〜750μmであることがさらに好ましく、5〜700μmであることが特に好ましい。ここでポリテトラフルオロエチレンの平均粒径は、電子顕微鏡観察で測定された粒子径分布のメジアン径(D50)をいう。
【0028】
ポリテトラフルオロエチレン(A)は、乳化重合で得られたポリテトラフルオロエチレン、懸濁重合により重合したポリテトラフルオロエチレンがあり、そのいずれでも使用できるが、従来の方法では取り扱い性が悪かった乳化重合品を本発明の方法においては、十分効果的に使用できるという点でより意義があるので好ましい。
【0029】
ポリテトラフルオロエチレン(A)の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、その下限は好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、さらに好ましくは0.05質量部以上、特に好ましくは0.1質量部以上であり、また、その上限は好ましくは5質量部以下で、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。ポリテトラフルオロエチレン(A)の含有量が前記範囲の下限値以下の場合は、滴下防止剤による難燃性の効果が不十分となり、含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、樹脂組成物を成形した成形品の外観不良や機械的強度の低下が生じる可能性がある。
【0030】
[ポリエステル樹脂パウダー(B)]
本発明の製造方法において、ポリテトラフルオロエチレン(A)に予めブレンドするポリエステル樹脂パウダー(B)は、ポリエステル樹脂ペレットを粉砕して得られる粉体状のものである。ポリエステル樹脂としては前述したものが使用でき、中でもポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましく使用できる。
ペレットを粉砕する手段とは、ペレットを微細化する手段をいい、ペレットを粗粉砕しその後微粉砕する多段粉砕方式や、微細化まで一段で行う方式等があるが、その方式は限定されるものではない。具体的な粉砕手段としては、ハンマーミル、ターボミル、ジェットミル、ピンミル、遠心ミル、ロートプレックス、パルベルイザー、湿式粉砕、チョッパーミル、ウルトラローター等を用いる粉砕手段が挙げられ、常温あるいは冷凍粉砕方式を用いることができる。これらの粉砕方式を採用する際には、温度上昇防止の工夫がなされれいる方式が有用で、具体的にはパルベライザー(独、Herbold社製)、ウルトラローター(独、Altenburger Machenen Jachering社製)などを用いる手段が有用である。
【0031】
ポリエステル樹脂パウダー(B)の平均粒径としては、0.5〜3,000μmであることが好ましい。0.5μm未満では、ポリテトラフルオロエチレン(A)とポリエステル樹脂パウダー(B)及び/又はタルク(C)の予備ブレンド物が凝集しやすく崩壊性が不十分であり、樹脂組成物中のポリテトラフルオロエチレンの分散が不十分となり凝集物が発生しやすい傾向にある。3,000μmを超える場合もまた、ポリテトラフルオロエチレンの分散が不十分となり、凝集物が発生しやす傾向にある。ポリエステル樹脂パウダー(B)の平均粒径は、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは100μm以上であり、また2,500μm以下であることがより好ましく、1,300μm以下であることがさらに好ましい。ここでポリエステル樹脂パウダーの平均粒径は、振動篩機を使用して求めた粒度分布図から求めた粒子径分布のメジアン径(D50)をいう。
【0032】
[タルク(C)]
ポリテトラフルオロエチレン(A)に予めブレンドするタルク(C)は、その種類に特に限定はなく、一般に市販されているタルクを使用することができる。
タルクは、鉱石を粉砕したのみで圧縮または造粒していないタルクでもよく、或いは圧縮又は造粒された形態のものでも使用できる。
予めブレンドするタルク(C)としては、圧縮または造粒していないタルクが好ましいい。
タルク(C)の平均粒径は、8μm以下であることが好ましく、より好ましくは6μm以下、更に好ましくは5μm以下であり、その下限としては0.5μmであることが好ましい。ここでタルクの平均粒径は、レーザー回折法で測定されたD50(粒子径分布のメジアン径)をいう。
【0033】
[ポリエステル樹脂パウダー(B)、タルク(C)のブレンド量]
ポリテトラフルオロエチレン(A)に予めブレンドするポリエステル樹脂パウダー(B)とタルク(C)の量の、好ましい態様は以下の通りである。
(1)ポリエステル樹脂パウダー(B)をブレンドする場合の量は、ポリテトラフルオロエチレン(A):ポリエステル樹脂パウダー(B)の質量比で、1:0.5〜1:100であることが好ましく、より好ましくは、(A):(B)が1:1.5〜1:50、さらに好ましくは1:2.5〜1:30である。
(2)タルク(C)をブレンドする場合の量は、ポリテトラフルオロエチレン(A):タルク(C)の質量比で、1:0.5〜1:20であることが好ましく、より好ましくは、(A):(C)が1:0.8〜1:5である。
(3)ポリエステル樹脂パウダー(B)及びタルク(C)をブレンドする場合の量は、ポリテトラフルオロエチレン(A):ポリエステル樹脂パウダー(B):タルク(C)の質量比で、1:0.5〜100:0.5〜20であり、より好ましくは、(A):(B):(C)が1:0.8〜50:0.5〜10、さらに好ましくは1:0.8〜30:0.5〜6である。
上記の範囲を外れると、ポリテトラフルオロエチレン(A)の凝集や固化が起きやすくなる。
【0034】
なお、上記したブレンド量は、ポリテトラフルオロエチレン(A)に予めブレンドする量であって、最終的に製造される目的物のポリエステル系樹脂組成物の所要の量に満たない部分は、他の必要な成分と共に、溶融混練時に追加して添加されるのは勿論である。
【0035】
[予備ブレンド]
本発明のポリエステル系樹脂組成物の製造方法は、ポリテトラフルオロエチレン(A)に、ポリエステル樹脂パウダー(B)及び/又はタルク(C)を予めブレンドしたものを用いる。
ポリテトラフルオロエチレン(A)にポリエステル樹脂パウダー(B)又はタルク(C)をブレンドする方法は、いずれの方法でもよく、ポリテトラフルオロエチレン(A)にポリエステル樹脂パウダー(B)及び/又はタルク(C)を各種のブレンダーやミキサー等を使用してブレンドすればよい。
ブレンド時の温度は、特に制限はなく、常温で構わない。また、ブレンドの質量比は、上記した通りである。
【0036】
このようにブレンドすることにより、ポリテトラフルオロエチレンは解れやすくなり、取り扱い性が格段に向上し、フィード性を極めて良くすることができる。また、ポリテトラフルオロエチレンの分散性が向上し、得られるポリエステル系樹脂組成物中に、凝集物が発生しにくくなる。
ポリテトラフルオロエチレン(A)にポリエステル樹脂パウダー(B)及び/又はタルク(C)をブレンドしたものは、そのまま樹脂組成物の製造に直ちに使用することができるが、直ちに使用せずに保管することもできる。
保管する場合、密閉容器又は袋に密封しておくような必要はなく、そのまま長期間保管しても固化してしまうようなことはない。
【0037】
[ポリエステル系樹脂組成物の製造]
このようなブレンド後のポリテトラフルオロエチレン予備ブレンド物と、ポリエステル樹脂、さらにはその他成分を混合して、ポリエステル系樹脂組成物を製造する方法は、ポリエステル系樹脂組成物調製の常法に従って行うことができる。本発明においては、ポリテトラフルオロエチレン予備ブレンド物と混合するポリエステル樹脂として、予備ブレンド物に用いるポリエステル樹脂パウダーと同種のものを使用することが好ましく、ポリブチレンテレフタレート樹脂を用いることがさらに好ましい。
通常は各成分及び所望により添加される種々の添加剤を一緒にしてよく混合し、次いで一軸又は二軸押出機で溶融混練する。また各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練し、樹脂組成物を調製することもできる。さらには、ポリエステル樹脂や他の樹脂の一部に他の成分の一部を配合したものを溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りのポリエステル樹脂や他の成分を配合して溶融混練してもよい。ガラス繊維等は、押出機のシリンダー途中のサイドフィーダーから供給することも好ましい。
【0038】
中でも、ポリテトラフルオロエチレン予備ブレンド物と混合するポリエステル樹脂としてペレット状のものを用い、ポリテトラフルオロエチレン予備ブレンド物とポリエステル樹脂ペレットを、別々のフィーダーから押出機にフィードし、溶融混練する方が好ましい。このような方法を採用することにより、各成分の分級を抑制し、難燃性のバラツキがなく、異物の少ない成形品を得られやすい傾向にある。必要に応じて、他の添加剤成分を配合する場合は、ポリテトラフルオロエチレン予備ブレンド物、ポリエステル樹脂ペレット、その他の添加剤成分をぞれぞれ別々のフィーダーから押出機にフィードすることが好ましいが、フィーダーの数に制限がある場合は、各成分の比重を鑑み、比重の近いもの同士を同じフィーダーからフィードすることが、分級を抑制する点で好ましい。
【0039】
溶融混練に際しての加熱温度は、通常220〜300℃の範囲から適宜選ぶことができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、製品不良の原因になる場合がある。また、剪断発熱等に考慮したスクリュー構成の選定が望ましい。混練り時や、後行程の成形時における樹脂組成物の分解を抑制する為、酸化防止剤や熱安定剤の使用が望ましい。
【0040】
[難燃剤]
ポリエステル系樹脂組成物には、難燃剤が配合されることが好ましい。難燃剤としては、公知のプラスチック用難燃剤や難燃助剤が使用可能である。
具体的には、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤(ポリリン酸メラミン、(ジ)ホスフィン酸金属塩等)、窒素系難燃剤(シアヌル酸メラミン、ホスファゼン等)等が好ましく挙げられる。
中でも、ハロゲン系難燃剤と後記する難燃助剤の組み合わせが、少量の配合で効果が発揮されるので好ましく使用できる。
【0041】
ハロゲン系難燃剤は、分子中にハロゲン原子を有する難燃剤をいい、特に臭素含有率が20質量%以上のものが好ましい。より具体的には、ハロゲン系難燃剤は、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル樹脂、臭素化ビスフェノールA、グリシジル臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレートおよび臭素化イミドが好ましく、グリシジル臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレート、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリスチレン系樹脂がより好ましい。
【0042】
ハロゲン系難燃剤の配合量は、要求される難燃レベルにより異なるが、ポリエステル樹脂100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。中でも5〜35質量部が好ましく、8〜25質量部がさらに好ましい。ハロゲン系難燃剤を1質量部以上とすることにより、より効果的な難燃性が得られ、50質量部以下とすることにより、物性、特に機械強度をより高く保つことができる。
【0043】
[難燃助剤]
難燃助剤としては、アンチモン系難燃助剤が好適であり、三酸化アンチモン(Sb
2O
3)、五酸化アンチモン(Sb
2O
5)、アンチモン酸ナトリウム等が挙げられるが、三酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムがより好ましい。
難燃助剤の含有量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、好ましくは2〜12質量部であり、より好ましくは3質量部以上であり、より好ましくは10質量部以下である。
【0044】
[その他成分]
ポリエステル系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の所望の添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、安定剤、強化充填剤、離型剤、紫外線吸収剤、染顔料、蛍光増白剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等が挙げられる。
【0045】
また、ポリエステル樹脂以外の熱可塑性樹脂を、本発明の効果を損わない範囲で含有することができる。その他の熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。