(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力駆動システムが前記定常電力モードである間、第1DCバス及び第2DCバスのうちの一方は、定常状態にあり、前記複数の可変構成直列型バッテリーボックスの電気エネルギーを使用して前記モータを駆動させ、第1DCバス及び第2DCバスのうちの他方は、待機状態である、請求項1に記載の電力駆動システム。
前記駆動電圧切替処理は、バス電圧調整処理を備え、待機状態である第1DCバス又は第2DCバスは、前記電力変換器により充放電され、これにより、当該待機状態である第1DCバス又は第2DCバスは、目標駆動電圧に調整される、請求項2に記載の電力駆動システム。
前記駆動電圧切替処理は、電流負荷分散処理を備え、前記可変構成直列型バッテリーボックス切替処理が実行される間、第1DCバス及び第2DCバスは、所定の比率で第1駆動パワートランジスタモジュール及び第2駆動パワートランジスタモジュールを介して前記モータに電気エネルギーを出力する、請求項4に記載の電力駆動システム。
前記電力駆動システムの起動中においては、前記制御部は、第1パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ、第2パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ、及び第3パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタのオン/オフ状態をオンにし、第1可変構成直列型バッテリーボックス、第2可変構成直列型バッテリーボックス、及び第3可変構成直列型バッテリーボックスの電気エネルギーが、第1パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ、第2パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ、及び第3パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタを介して、第1DCバスに送信される、請求項6に記載の電力駆動システム。
前記電力駆動システムが定常電力モードから駆動電圧切替モードに変更されると、前記制御部は、前記電力変換器を制御し、これにより、待機状態の第2DCバスの電圧を増加させる、請求項7に記載の電力駆動システム。
待機状態である第2DCバスの電圧が前記電力変換器によって増加されると、前記制御部は、第1パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタのオン/オフ状態をオフにし、第1可変構成直列型バッテリーボックスの出力電圧を変更し、第1パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタのオン/オフ状態をオンにする、請求項8に記載の電力駆動システム。
第1パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタのオン/オフ状態がオンにされると、前記制御部は、第2パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタのオン/オフ状態をオフにし、第2可変構成直列型バッテリーボックスの出力電圧を変更し、第2パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタのオン/オフ状態をオンにする、請求項9に記載の電力駆動システム。
第2パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタのオン/オフ状態がオンにされると、前記制御部は、第3パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタのオン/オフ状態をオフにし、第3可変構成直列型バッテリーボックスの出力電圧を変更し、第3パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタのオン/オフ状態をオンにする、請求項10に記載の電力駆動システム。
前記制御部は、第1駆動パワートランジスタモジュール及び第2駆動パワートランジスタモジュールの動作を制御し、前記制御部が第1駆動パワートランジスタモジュールを制御して出力電力が減少する間、前記制御部は、第2駆動パワートランジスタモジュールを制御して出力電力を増加させる、請求項11に記載の電力駆動システム。
前記制御部は、目標駆動電圧を設定し、第1DCバスが定常状態にあり且つ第2DCバスが待機状態である場合においては、第1DCバスの電圧を用いて、第2DCバスの電圧が前記目標駆動電圧に調整される、請求項11に記載の電力駆動システム。
前記制御部が第1駆動パワートランジスタモジュールを制御して出力電力を減少させる間において、前記制御部は、第2駆動パワートランジスタモジュールを制御して出力電力を増加させ、且つ前記制御部は、第2モータドライブの出力電力に基いて第2電力変換器及び第3電力変換器からの出力電力を制御し、これにより、第3DCバスの電圧を安定させる、請求項14に記載の電力駆動システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1及び2を参照する。
図1は、本発明の第1実施形態に係り、複数の可変構成直列型バッテリーボックスを備える電力駆動システムのアーキテクチャを模式的に示している。
図2は、
図1の第1可変構成直列型バッテリーボックスの内部回路アーキテクチャを模式的に示している。
図1及び2に示すように、本実施形態の電力駆動システム1は、電気自動車、特に大型電気自動車(例えば、電気バス又は電気トラック)に適用される。電力駆動システム1によって、電気自動車を走行させる第1モータ170が、駆動される。本実施形態では、電力駆動システム1は、複数の可変構成直列型バッテリーボックス、複数のパワートランジスタ、第1DCバス141、第2DCバス142、第1駆動パワートランジスタモジュール161、第2駆動パワートランジスタモジュール162、第1電力変換器150、及び制御部を備える。制御部の例は、
図1に示す車両コンピュータ201を含むものだが、これに限定するものではない。更に、車両コンピュータ201によって、複数の可変構成直列型バッテリーボックス、複数のパワートランジスタ、第1DCバス141、第2DCバス142、第1駆動パワートランジスタモジュール161、第2駆動パワートランジスタモジュール162と第1電力変換器150の動作が制御され、複数の可変構成直列型バッテリーボックス、複数のパワートランジスタ、第1DCバス141、第2DCバス142、第1駆動パワートランジスタモジュール161、第2駆動パワートランジスタモジュール162、第1電力変換器150、及び第1モータ170についての動作情報及び電気エネルギー情報が取得される。
【0015】
図1に示すように、複数の可変構成直列型バッテリーボックスは、第1可変構成直列型バッテリーボックス110、第2可変構成直列型バッテリーボックス120、及び第3可変構成直列型バッテリーボックス130を備える。第1可変構成直列型バッテリーボックス110、第2可変構成直列型バッテリーボックス120及び第3可変構成直列型バッテリーボックス130は、同じ内部回路アーキテクチャを有するため、第1可変構成直列型バッテリーボックス110の内部回路アーキテクチャのみを以下説明するものとする。
図2では、第1可変構成直列型バッテリーボックス110の内部回路アーキテクチャが示されているが、第2可変構成直列型バッテリーボックス120の内部回路アーキテクチャ及び第3可変構成直列型バッテリーボックス130は、ここでは詳細説明を省略する。第1可変構成直列型バッテリーボックス110は、複数のバッテリーモジュールを備える。複数のバッテリーモジュールの直列接続構造を再編成することができる。例えば、
図2に示すように、複数のバッテリーモジュールは、第1バッテリーモジュール211、第2バッテリーモジュール221、第3バッテリーモジュール231、及び第4バッテリーモジュール241を備える。更に、車両コンピュータ201からの指令によって、バッテリーモジュール211、221、231、及び241各々におけるリレーモジュールは、バイパスループと切替可能に接続される。所定のバッテリーモジュールにおけるリレーモジュールがバイパスループと接続されると、当該バッテリーモジュールは、休止モードに切り替えられる。すなわち、バッテリーモジュール211、221、231、及び241各々は、第1可変構成直列型バッテリーボックス110の電源ループから切替可能に断絶される。第1バッテリーモジュール211におけるリレーモジュールは、第1正リレー212及び第1負リレー213を備える。第2バッテリーモジュール221におけるリレーモジュールは、第2正リレー222及び第2負リレー223を備える。第3バッテリーモジュール231におけるリレーモジュールは、第3正リレー232及び第3負リレー233を備える。第4バッテリーモジュール241におけるリレーモジュールは、第4正リレー242及び第4負リレー243を備える。第1正リレー212、第1負リレー213、第2正リレー222、第2負リレー223、第3正リレー232、第3負リレー233、第4正リレー242、及び第4負リレー243は、切替可能に互いに直列に接続される。更に、第4負リレー243は、アース端子Gと電気的に接続される。第1可変構成直列型バッテリーボックス110と同様に、
図1に示す第2可変構成直列型バッテリーボックス120及び第3可変構成直列型バッテリーボックス130は、かかる電力系統に接続している。
【0016】
第1可変構成直列型バッテリーボックス110は、第1バッテリーボックスモニタボード202を更に含む。更に、第1バッテリーモジュール211、第2バッテリーモジュール221、第3バッテリーモジュール231、及び第4バッテリーモジュール241は、それぞれのバッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)214、224、234、及び244を有する。バッテリー管理システム214、224、234、及び244各々によって、充電状態やバッテリーコア温度情報などの、対応するバッテリーモジュールについての関連情報が測定され出力される。更に、測定結果は、第1バッテリーボックスモニタボード202に送信される。第1バッテリーボックスモニタボード202が、これらの測定結果を車両コンピュータ201に送信すると、車両コンピュータ201は、第1バッテリーモジュール211、第2バッテリーモジュール221、第3バッテリーモジュール231、及び第4バッテリーモジュール241の優先度を計算する。第1バッテリーボックスモニタボード202は、バッテリー管理システム214、224、234、及び244と通信状態にあり、第1可変構成直列型バッテリーボックス110におけるすべてのバッテリー管理システムの情報を収集することができる。すなわち、第1バッテリーボックスモニタボード202によって、バッテリー管理システム214、224、234、及び244に受信されたバッテリーモジュールの情報が収集される。更に、車両コンピュータ201からの指令によって、第1バッテリーボックスモニタボード202は、第1可変構成直列型バッテリーボックス110におけるすべてのリレーモジュールを管理し制御する。これらのリレーモジュールは、
図2に示すように、第1正リレー212、第1負リレー213、第2正リレー222、第2負リレー223、第3正リレー232、第3負リレー233、第4正リレー242、及び第4負リレー243である。その結果、これらのリレーモジュールを使用するか否かを切り替えることができる。更に、第1バッテリーモジュール211は、シングルバッテリーコアストリング215を有し、第2バッテリーモジュール221は、シングルバッテリーコアストリング225を有し、第3バッテリーモジュール231は、シングルバッテリーコアストリング235を有し、第4バッテリーモジュール241は、シングルバッテリーコアストリング245を有する。
【0017】
本実施形態において、電力駆動システム1は、駆動電圧切替処理を実行するために、複数の可変構成直列型バッテリーボックスを使用する。更に、
図1に示すように、複数のパワートランジスタは、第1パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ111、第1パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ112、第2パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ121、第2パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ122、第3パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ131、及び第3パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ132を備える。第1可変構成直列型バッテリーボックス110は、第1パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ111及び第1パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ112と電気的に接続される。第2可変構成直列型バッテリーボックス120は、第2パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ121及び第2パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ122と電気的に接続される。第3可変構成直列型バッテリーボックス130は、第3パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ131及び第3パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ132と電気的に接続される。更に、第1パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ111、第2パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ121、及び第3パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ131は、第1DCバス141と電気的に接続される。第1パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ112、第2パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ122、及び第3パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ132は、第2DCバス142と電気的に接続される。その結果、第1可変構成直列型バッテリーボックス110は、第1パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ111及び第1パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ112を介して、第1DCバス141及び第2DCバス142に電気エネルギーをそれぞれ供給する。第2可変構成直列型バッテリーボックス120は、第2パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ121及び第2パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ122を介して、第1DCバス141及び第2DCバス142に電気エネルギーをそれぞれ供給する。第3可変構成直列型バッテリーボックス130は、第3パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ131及び第3パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ132を介して、第1DCバス141及び第2DCバス142に電気エネルギーをそれぞれ供給する。
【0018】
本実施形態において、第1駆動パワートランジスタモジュール161及び第2駆動パワートランジスタモジュール162は、連動することで第1モータドライブ163として第1モータ170を駆動させる。第1駆動パワートランジスタモジュール161は、第1DCバス141−第1モータ170間において電気的に接続され、第1DCバス141は、第1駆動パワートランジスタモジュール161に電気を供給する。第2駆動パワートランジスタモジュール162は、第2DCバス142−第1モータ170間において電気的に接続され、第2DCバス142は、第2駆動パワートランジスタモジュール162に電気を供給する。第1電力変換器150は、第1DCバス141−第2DCバス142間において電気的に接続される。車両コンピュータ201からの指令により電力駆動システム1が駆動電圧切替処理を実行する間、定常電力モードのDCバスの電気によって、第1電力変換器150を介して待機状態のDCバスの電圧が目標駆動電圧となるように調整される。限定するものではないが好ましくは、第1駆動パワートランジスタモジュール161及び第2駆動パワートランジスタモジュール162は、DC-ACコンバータである。
【0019】
第1モータ170によって、電気自動車が走行する。車両コンピュータ201からの指令により電力駆動システム1が定常電力モードである間は、第1駆動パワートランジスタモジュール161及び第2駆動パワートランジスタモジュール162のうちの一方のみが第1モータ170に電気エネルギーを送信する。この状況の下では、複数の可変構成直列型バッテリーボックス110、120、及び130は、第1モータ170に電気エネルギーを供給する駆動パワートランジスタモジュールに対応するDCバスに対してのみ、電気を供給する。第1モータ170に電気エネルギーを供給しない他の駆動パワートランジスタモジュールは、車両コンピュータ201からの指令を待つ待機状態となる。
【0020】
車両コンピュータ201からの指令によって電力駆動システム1が駆動電圧切替モードである間、可変構成直列型バッテリーボックス110、120、及び130が出力電圧を調整するバッテリーモジュール間の直列接続を逐次再編成することで出力電圧を調整する。そして、待機状態である駆動パワートランジスタモジュールと対応するDCバスに接続されると、第1駆動パワートランジスタモジュール161及び第2駆動パワートランジスタモジュール162のうち元々定常電力モードである方は、出力電力及び出力電流を徐々に減少させ、元々待機状態である他方は、車両コンピュータ201により要求された目標駆動電圧に基づいて出力電力及び出力電流を徐々に増加させる。可変構成直列型バッテリーボックス110、120、及び130の全てが待機状態である駆動パワートランジスタモジュールに対応するDCバスと接続されると、待機状態である駆動パワートランジスタモジュールは、電気エネルギーを供給する定常電力モードに変更される。この状況の下では元々定常電力モードである駆動パワートランジスタモジュールは、電気エネルギーを供給しないように待機状態に切り替えられる。
【0021】
車両コンピュータ201からの指令によって電力駆動システム1は駆動電圧切替処理を実行している間、電力駆動システム1は、バス電圧調整処理、可変構成直列型バッテリーボックス切替処理、及び電流負荷分散処理を実行する。バス電圧調整処理において、待機状態であるDCバスは、第1電力変換器150によって充電又は放電され、これによりDCバスの電圧は、車両コンピュータ201により設定された目標駆動電圧に調整される。可変構成直列型バッテリーボックス切替処理において、可変構成直列型バッテリーボックスの複数のバッテリーモジュールの直列接続構成が変更される。その結果、少なくとも2つの可変構成直列型バッテリーボックスの出力電圧は、目標駆動電圧に排他的に調整される。可変構成直列型バッテリーボックスの出力電圧が切り替えられた後に、可変構成直列型バッテリーボックスは待機状態であるDCバスに電気エネルギーを供給し始める。電流負荷分散処理では、第1駆動パワートランジスタモジュール161及び第2駆動パワートランジスタモジュール162からの出力電流の比率が調整される。換言すると、可変構成直列型バッテリーボックス切替処理の実行中には、第1DCバス141及び第2DCバス142は、所定の比率で且つ対応する駆動パワートランジスタモジュールを介して第1モータ170に電気エネルギーを出力する。
【0022】
電力駆動システム1が駆動電圧切替モードである間は、第1駆動パワートランジスタモジュール161及び第2駆動パワートランジスタモジュール162は、出力電力比率及び出力電流比率を調整する。その結果、対応するDCバスにおける種々の電圧は、第1モータ170に電気エネルギーを同時に出力する。
【0023】
以下、
図3A及び3Bのフローチャートを参照し、本発明の電力駆動システム1の動作を詳細に説明する。なお、シンボルA及びBは、フローチャートにおける対応するステップを示す。
図3A、3B、及び4を参照する。
図3A及び3Bは、
図1の電力駆動システムの動作に関するフローチャートである。
図4は、
図1の電力駆動システムにより処理される関連する電圧信号又は電流信号の時間変化を示す図である。
図3A及び3Bにおいて、ステップS501〜S506は、電力駆動システム1の基本的な起動処理を示し、ステップS507〜S519は、電力駆動システム1の第1駆動電圧切替処理を示し、ステップS520は電力駆動システム1の定常状態を示し、ステップS521〜S532は、電力駆動システム1の第2駆動電圧切替処理を示す。
【0024】
まず、電力駆動システム1を起動する。その間、車両コンピュータ201は、電力駆動システム1における第1可変構成直列型バッテリーボックス110、第2可変構成直列型バッテリーボックス120、第3可変構成直列型バッテリーボックス130、及び内部の構成要素又は回路が正常であるかどうかを確認する(ステップS501)。
【0025】
そして、可変構成直列型バッテリーボックス110、120、及び130各々において互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数Nが計算される。ここで、互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数Nは、可変構成直列型バッテリーボックス110、120、及び130各々において互いに直列接続されたバッテリーモジュールの数である(ステップS502)。
【0026】
一実施形態では、ステップS502の起動処理の後に車両コンピュータ201が、可変構成直列型バッテリーボックス110、120、及び130各々においてバッテリーモジュールが1つだけ有効となるように設定してもよい。すなわち、互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数Nは1と設定される。
【0027】
そして、車両コンピュータ201からの指令によって、可変構成直列型バッテリーボックス110、120、及び130の各々において互いに直列接続された目標数Nのバッテリーモジュールが有効化され、可変構成直列型バッテリーボックス110、120、及び130のリレーとバイパスループは、互いに直列接続された目標数Nのバッテリーモジュールを対応する可変構成直列型バッテリーボックスの電源ループと接続するように構成される(ステップS503)。
【0028】
そして、第1パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ111、第2パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ121及び第3パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ131が、逐次オン(オン/オフ状態におけるオン:以下単にオンやオフと表記)にされる。その結果、対応する可変構成直列型バッテリーボックスは、第1パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ111、第2パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ121、及び第3パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ131を介して第1DCバス141に電気エネルギーを供給する(ステップS504)。ステップS504において、第1パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ112、第2パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ122、及び第3パワートランジスタセットの第2パワートランジスタ132は全てオフにされる。その結果、可変構成直列型バッテリーボックスは、第2DCバス142に電気エネルギーを供給せず、第2駆動パワートランジスタモジュール162もオフにされる。更に、ステップS504の動作は、
図4における時刻t1〜時刻t3にも表れている。
【0029】
続いて、車両コンピュータ201からの指令によって電力駆動システム1が定常電力モードとなる。この状況の下では、全ての可変構成直列型バッテリーボックスが、第1モータ170を動かすために、第1DCバス141及び第1駆動パワートランジスタモジュール161に安定した電気エネルギーを継続的に供給する(ステップS505)。更に、ステップS505の動作は、
図4の時刻t3〜時刻t4にも表れている。
【0030】
次に、車両コンピュータ201は、互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数Nを増加又は減少させる必要があるかどうかを電気自動車の駆動条件に基づいて判定する(ステップS506)。例えば、電気自動車の速度が増加しより多くの電気エネルギーが必要な場合、互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数Nを増加させる。一方、電気自動車の速度が減少しより少ない電気エネルギーでよい場合、互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数Nを減少させる。いくつかの実施形態では、ステップS506の車両コンピュータ201が、互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数Nを増加又は減少させるかを第1モータ170の回転速度に基づいて決定することができる。例えば
図4に示すように第1モータ170の回転速度が増加し駆動電圧を増加させる必要がある場合、又は第1モータ170の回転速度が減少し駆動電圧を1単位分だけ減少(One Decrement)させる必要である場合、互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数Nを車両コンピュータ201からの指令に基づく必要数に変更する。
【0031】
車両コンピュータ201が、電気自動車の駆動条件に基づいて互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数Nを増加も減少もさせる必要はないと判定する場合、電力駆動システム1は再びステップS506を実行する。一方、車両コンピュータ201が、電気自動車の駆動条件に基づいて互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数Nを、増加又は減少させる必要があると判定する場合、ステップS507を実行する。すなわち、車両コンピュータ201からの指令に従って第1電力変換器150は、互いに直列接続されたバッテリーモジュールの現在の目標数Nに対応する電圧と等しくなるように第2DCバス142の電圧を調整する。加えて、第2DCバス142は、複数の可変構成直列型バッテリーボックス110、120、及び130の電源ループと接続する準備が整う。第1電力変換器150は、互いに直列接続されたバッテリーモジュールの現在の目標数Nに対応する電圧と等しくなるように第2DCバス142の電圧を調整する(ステップS507)ので、対応する第2駆動パワートランジスタモジュールが電気エネルギーの供給を開始するときには、可変構成直列型バッテリーボックスの電源ループにはサージ電流が生じない。更に、ステップS507の動作はまた、
図4の時刻t5〜時刻t7にも表れている。ステップS507において、車両コンピュータ201からの指令によって第2DCバス142の電圧を、第1DCバス141の電圧より1単位分だけ増加(One Increment)させる。
【0032】
ステップS507の後、第1パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ111は、車両コンピュータ201からの指令によってオフにされる。その結果、第1可変構成直列型バッテリーボックス110の電源ループは、第1DCバス141への電気エネルギーの供給を停止する。その間、第2可変構成直列型バッテリーボックス120及び第3可変構成直列型バッテリーボックス130は、第2パワートランジスタセットの第1パワートランジスタ121及び第3パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ131を介して、第1DCバス141に電気エネルギーを継続的に供給する(ステップS508)。更に、ステップS508の動作は、
図4の時刻t5〜時刻t6にも表れている。時刻t6の後に、第1パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ111は、オフにされる。
【0033】
次に、互いに直列接続された目標数Nのバッテリーモジュールが車両コンピュータ201により選択され且つ第1可変構成直列型バッテリーボックス110の電源ループに接続される。そして、第1可変構成直列型バッテリーボックス110のバッテリーボックスモニタボードは、対応するリレーモジュールのリレーを制御する。その結果、第1可変構成直列型バッテリーボックス110における互いに直列接続された目標数Nのバッテリーモジュール以外の非選択のバッテリーモジュールは、休止モードに切り替えられる(ステップS509)。更に、ステップS509の動作は、
図4の時刻t6〜時刻t7にも表れている。時刻t7では、第1可変構成直列型バッテリーボックス110におけるバッテリーモジュール間の直列接続が再編成され、電源ループの電圧が調整される。
【0034】
そして、第1パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ112は、車両コンピュータ201からの指令によってオンにされる。その結果、第1可変構成直列型バッテリーボックス110の電源ループは、第1パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ112を介して第2DCバス142への電気エネルギーの供給を開始する(ステップS510)。更に、ステップS510の動作は、
図4の時刻t7〜時刻t8にも表れている。
【0035】
次に、車両コンピュータ201からの指令によって、第1駆動パワートランジスタモジュール161の出力電流及び出力電力は徐々に減少し、第2駆動パワートランジスタモジュール162の出力電流及び出力電力は徐々に増加する(ステップS511)。この状況の下では、第1駆動パワートランジスタモジュール161及び第2駆動パワートランジスタモジュール162は、種々の強度で同時に出力電流及び出力電力を生成する。更に、ステップS511の動作はまた、
図4の時刻t8〜時刻t9にも表れている。時刻t8の後に、第1可変構成直列型バッテリーボックス110の電源ループは、第2DCバス142及び第2駆動パワートランジスタモジュール162を介して第1モータ170への出力電力の供給を開始する。
【0036】
そして、第2パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ121は、車両コンピュータ201からの指令によってオフにされる。その結果、第2可変構成直列型バッテリーボックス120の電源ループは、第1DCバス141への電気エネルギーの供給を停止する。その間、第3可変構成直列型バッテリーボックス130は、第3パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ131を介して第1DCバス141に電気エネルギーを継続的に供給し、第1可変構成直列型バッテリーボックス110は、第1パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ112を介して第2DCバス142に電気エネルギーを継続的に供給する(ステップS512)。更に、ステップS512の動作はまた、
図4の時刻t9〜時刻t10にも表れている。
【0037】
次に、互いに直列接続された目標数Nのバッテリーモジュールが車両コンピュータ201により選択され且つ第2可変構成直列型バッテリーボックス120の電源ループと接続される。そして、第2可変構成直列型バッテリーボックス120のバッテリーボックスモニタボードは、対応するリレーモジュールのリレーを制御する。その結果、互いに直列接続された目標数Nのバッテリーモジュール以外の非選択の第2可変構成直列型バッテリーボックスにおけるバッテリーモジュールは、休止モードに切り替えられる(ステップS513)。更に、ステップS513の動作はまた、
図4の時刻t10〜時刻t11にも表れている。時刻t11では、第2可変構成直列型バッテリーボックス120におけるバッテリーモジュール間の直列接続が再編成され、電源ループの電圧が調整される。
【0038】
そして、第2パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ122は、車両コンピュータ201からの指令によってオンにされる。その結果、第2可変構成直列型バッテリーボックス120の電源ループは、第2パワートランジスタセットの第2パワートランジスタ122を介して第2DCバス142への電気エネルギーの供給を開始する(ステップS514)。更に、ステップS514の動作はまた、
図4の時刻t11〜時刻t12に差し向けられる。時刻t11の後に、第1可変構成直列型バッテリーボックス110及び第2可変構成直列型バッテリーボックス120の電源ループは、第2DCバス142及び第2駆動パワートランジスタモジュール162を介して第1モータ170に出力電力を供給する。
【0039】
次に、第1駆動パワートランジスタモジュール161が第1モータ170への電気エネルギーの供給を停止するまで、車両コンピュータ201からの指令によって、第1駆動パワートランジスタモジュール161のデューティ・サイクルは、0に向かって徐々に減少し、且つ第1駆動パワートランジスタモジュール161の出力電流及び出力電力は、0に向かって徐々に減少する。そして、第2駆動パワートランジスタモジュール162の出力電流及び出力電力は、車両コンピュータ201により設定された目標駆動電圧に基いて徐々に増加する(ステップS515)。更に、ステップS515の動作はまた、
図4の時刻t12〜時刻t17にも表れている。時刻t17の後に、第1駆動パワートランジスタモジュール161は、第1モータ170への電気エネルギーの供給を停止する。
【0040】
そして、第3パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ131は、車両コンピュータ201からの指令によってオフにされる。その結果、第3可変構成直列型バッテリーボックス130の電源ループは、第1DCバス141への電気エネルギーの供給を停止する。その間、第1可変構成直列型バッテリーボックス110及び第2可変構成直列型バッテリーボックス120は、第1パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ112及び第2パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ122を介して第2DCバス142に電気エネルギーを継続的に供給する(ステップS516)。更に、ステップS516の動作はまた、
図4の時刻t16〜時刻t17にも表れている。
【0041】
次に、互いに直列接続された目標数Nのバッテリーモジュールが車両コンピュータ201により選択され且つ第3可変構成直列型バッテリーボックス130の電源ループと接続され、第3可変構成直列型バッテリーボックス130のバッテリーボックスモニタボードが、対応するリレーモジュールのリレーを制御する。その結果、互いに直列接続された目標数Nのバッテリーモジュール以外の非選択の第3可変構成直列型バッテリーボックス130のバッテリーモジュールは、休止モードに切り替えられる(ステップS517)。更に、ステップS517の動作はまた、
図4の時刻t17〜時刻t18にも表れている。時刻t18では、第3可変構成直列型バッテリーボックス130におけるバッテリーモジュール間の直列接続が再編成され、電源ループの電圧が調整される。
【0042】
そして、第3パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ132は、車両コンピュータ201からの指令によってオンにされる。その結果、第3可変構成直列型バッテリーボックス130の電源ループは、第3パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ132を介して第2DCバス142に電気エネルギーの供給を開始する(ステップS518)。更に、ステップS518の動作はまた、
図4の時刻t18〜時刻t19にも表れている。時刻t19の後に、第1可変構成直列型バッテリーボックス110、第2可変構成直列型バッテリーボックス120、及び第3可変構成直列型バッテリーボックス130の電源ループは、第2DCバス142及び第2駆動パワートランジスタモジュール162を介して第1モータ170に出力電力を供給する。
【0043】
そして、車両コンピュータ201からの指令によって、電力駆動システム1が定常電力モードとなる。この状況の下では、全ての可変構成直列型バッテリーボックスのは、第2DCバス142及び第2駆動パワートランジスタモジュール162に、安定した電気エネルギーを継続的に供給し、第1モータ170を駆動させる(ステップS519)。更に、ステップS505の動作はまた、
図4の時刻t19〜時刻t20にも表れている。
【0044】
次に、車両コンピュータ201は、電気自動車の駆動条件に基づいて互いに直列接続された目標数Nのバッテリーモジュールを増加又は減少させる必要があるかを判定する(ステップS520)。時刻t5及び時刻t20では、車両コンピュータ201は、駆動電圧の1単位分の増加を決定している。
【0045】
車両コンピュータ201が、電気自動車の駆動条件に基づいて互いに直列接続された目標数Nのバッテリーモジュールを増加も減少もさせる必要はないと判定する場合、電力駆動システム1は再びステップS520を実行する。一方で、車両コンピュータ201が、電気自動車の駆動条件に基づいて互いに直列接続された目標数Nのバッテリーモジュールを増加又は減少させる必要があると判定する場合、ステップS521を実行する。すなわち、車両コンピュータ201からの指令によって、第1電力変換器150は、互いに直列接続されたバッテリーモジュールの現在の目標数Nと対応する電圧と等しくなるように、第1DCバス141の電圧を調整する。加えて、第1DCバス141は、複数の可変構成直列型バッテリーボックス110、120、及び130の電源ループと接続する準備が整う。第1電力変換器150は、互いに直列接続されたバッテリーモジュールの現在の目標数Nに対応する電圧と等しくなるように、第1DCバス141の電圧を調整する(ステップS521)ので、対応する第2駆動パワートランジスタモジュールが電気エネルギーの供給を開始するときには、可変構成直列型バッテリーボックスの電源ループにはサージ電流が生じない。更に、ステップS521の動作はまた、
図4の時刻t20への時刻t22にも表れている。ステップS521において、車両コンピュータ201からの指令によって第1DCバス141の電圧は、第2DCバス142の電圧を、第1DCバス141の電圧より1単位分増加させる。
【0046】
ステップS521の後に、第1パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ112は、車両コンピュータ201からの指令によってオフにされる。その結果、第1可変構成直列型バッテリーボックス110の電源ループは、第2DCバス142への電気エネルギーの供給を停止する。その間、第2可変構成直列型バッテリーボックス120及び第3可変構成直列型バッテリーボックス130は、第2パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ122及び第3パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ132を介して第2DCバス142に電気エネルギーを継続的に供給する。更に、ステップS522の動作はまた、
図4の時刻t24〜時刻t23にも表れている。時刻t24の後に、第1パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ112がオフにされる。
【0047】
次に、互いに直列接続された目標数Nのバッテリーモジュールが車両コンピュータ201により選択され且つ第1可変構成直列型バッテリーボックス110の電源ループと接続される。そして、第1可変構成直列型バッテリーボックス110のバッテリーボックスモニタボードが、対応するリレーモジュールのリレーを制御する。その結果、互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数N以外の非選択の第1可変構成直列型バッテリーボックス110のバッテリーモジュールは、休止モードに切り替えられる(ステップS523)。更に、ステップS523の動作はまた、
図4の時刻t24〜時刻t25にも表れている。時刻t25では、第1可変構成直列型バッテリーボックス110におけるバッテリーモジュール間の直列接続が再編成され、電源ループの電圧が調整される。
【0048】
そして、第1パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ111は、車両コンピュータ201からの指令によってオンにされる。その結果、第1可変構成直列型バッテリーボックス110の電源ループは、第1パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ111を介して第1DCバス141への電気エネルギーの供給を開始する(ステップS524)。更に、ステップS524の動作はまた、
図4の時刻t25〜時刻t26にも表れている。
【0049】
次に、車両コンピュータ201からの指令によって、第2駆動パワートランジスタモジュール162の出力電流及び出力電力は徐々に減少し、第1駆動パワートランジスタモジュール161の出力電流及び出力電力は徐々に増加する(ステップS525)。この状況の下では、第2駆動パワートランジスタモジュール162及び第1駆動パワートランジスタモジュール161は、種々の強度で同時に出力電流及び出力電力を生成する。更に、ステップS525の動作はまた、
図4の時刻t26〜時刻t27にも表れている。時刻t27の後に、第1可変構成直列型バッテリーボックス110の電源ループは、第1DCバス141及び第1駆動パワートランジスタモジュール161を介して第1モータ170への出力電力の供給を開始する。
【0050】
そして、第2パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ122は、車両コンピュータ201からの指令によってオフにされる。その結果、第2可変構成直列型バッテリーボックス120の電源ループは、第2DCバス142への電気エネルギーの供給を停止する。その間、第3可変構成直列型バッテリーボックス130は、第3パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ132を介して第2DCバス142に電気エネルギーを継続的に供給し、第1可変構成直列型バッテリーボックス110は、第1パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ111を介して第1DCバス141に電気エネルギーを継続的に供給する(ステップS526)。更に、ステップS526の動作はまた、
図4の時刻t27〜時刻t28にも表れている。
【0051】
次に、互いに直列接続された目標数Nのバッテリーモジュールが車両コンピュータ201によって選択され且つ第2可変構成直列型バッテリーボックス120の電源ループと接続される。そして、第2可変構成直列型バッテリーボックス120のバッテリーボックスモニタボードが、対応するリレーモジュールのリレーを制御する。その結果、互いに直列接続された目標数Nのバッテリーモジュール以外の非選択の第2可変構成直列型バッテリーボックス120のバッテリーモジュールは、休止モードに切り替えられる(ステップS527)。更に、ステップS527の動作はまた、
図4の時刻t28〜時刻t29にも表れている。時刻t29では、第2可変構成直列型バッテリーボックス120におけるバッテリーモジュール間の直列接続が再編成され、電源ループの電圧が調整される。
【0052】
そして、第2パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ121は、車両コンピュータ201からの指令によってオンにされる。その結果、第2可変構成直列型バッテリーボックス120の電源ループは、第2パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ121を介して第1DCバス141への電気エネルギーの供給を開始する(ステップS528)。更に、ステップS528の動作はまた、
図4の時刻t29〜時刻t30にも表れている。時刻t30の後に、第1可変構成直列型バッテリーボックス110及び第2可変構成直列型バッテリーボックス120の電源ループは、第1DCバス141及び第1駆動パワートランジスタモジュール161を介して第1モータ170に出力電力を供給する。
【0053】
次に、第2駆動パワートランジスタモジュール162が第1モータ170への電気エネルギーの供給を停止するまで、車両コンピュータ201からの指令によって、第2駆動パワートランジスタモジュール162のデューティ・サイクルは、0に向かって徐々に減少し、且つ第1駆動パワートランジスタモジュール161の出力電流及び出力電力は、0に向かって徐々に減少する。そして、第1駆動パワートランジスタモジュール161の出力電流及び出力電力は、車両コンピュータ201により設定された目標駆動電圧に基いて徐々に増加する(ステップS529)。更に、ステップS529の動作はまた、
図4の時刻t30〜時刻t35にも表れている。時刻t35の後に、第2駆動パワートランジスタモジュール162は第1モータ170への電気エネルギーの供給を停止する。
【0054】
そして、第3パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ132は、車両コンピュータ201からの指令によってオフにされる。その結果、第3可変構成直列型バッテリーボックス130の電源ループは、第2DCバス142への電気エネルギーの供給を停止する。その間、第1可変構成直列型バッテリーボックス110及び第2可変構成直列型バッテリーボックス120は、第1パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ111及び第2パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ121を介して第1DCバス141に電気エネルギーを継続的に供給する(ステップS530)。更に、ステップS530の動作はまた、
図4の時刻t34〜時刻t35にも表れている。
【0055】
次に、互いに直列接続された目標数Nのバッテリーモジュールが車両コンピュータ201により選択され且つ第3可変構成直列型バッテリーボックス130の電源ループと接続され、第3可変構成直列型バッテリーボックス130が、対応するリレーモジュールのバッテリーボックスモニタボードがリレーを制御する。その結果、互いに直列接続された目標数Nのバッテリーモジュール以外の非選択の第3可変構成直列型バッテリーボックスのバッテリーモジュールは、休止モードに切り替えられる(ステップS531)。更に、ステップS531の動作はまた、
図4の時刻t35〜時刻t36にも表れている。時刻t36では、第3可変構成直列型バッテリーボックス130のバッテリーモジュール間の直列接続が再編成され、電源ループの電圧が調整される。
【0056】
そして、第3パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ131は、車両コンピュータ201からの指令によってオンにされる。その結果、第3可変構成直列型バッテリーボックス130の電源ループは、第3パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ131を介して第1DCバス141への電気エネルギーの供給を開始する(ステップS532)。更に、ステップS532の動作はまた、
図4の時刻t36〜時刻t37にも表れている。時刻t37の後に、第1可変構成直列型バッテリーボックス110、第2可変構成直列型バッテリーボックス120、及び第3可変構成直列型バッテリーボックス130の電源ループは、第1DCバス141及び第1駆動パワートランジスタモジュール161を介して第1モータ170に出力電力を供給する。
【0057】
ステップS532の後、電力駆動システム1は再びステップS506に戻り、定常状態となる。
【0058】
電力駆動システム1が駆動電圧切替モードである場合、バス電圧調整処理は、ステップS507及びステップS521を備える。電力駆動システム1が駆動電圧切替モードである場合、可変構成直列型バッテリーボックス切替処理は、ステップS509、ステップS513、ステップS517、ステップS523、ステップS527、及びステップS531を備える。電力駆動システム1が駆動電圧切替モードである場合、電流負荷分散処理は、ステップS511、ステップS515、ステップS525、及びステップS529を備える。
【0059】
上記の説明にあるように、本発明は、電力駆動システム1を実現するものである。互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数Nは、第1モータ170の回転速度に基づいて増加又は減少する。第1モータ170の回転速度が増加し駆動電圧に係る1単位分の増加が必要な場合、又は第1モータ170の回転速度が減少し駆動電圧に係る1単位分の減少が必要な場合は、互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数は、モータ速度に対応する互いに直列接続されたバッテリーモジュールの必要数に調整される。その結果、各可変構成直列型バッテリーボックスの電源ループにより供給された電圧が、より正確に切り替えられて、各可変構成直列型バッテリーボックスにおけるバッテリーモジュールの直列接続構成が変更される。更に電力駆動システム1が駆動電圧切替処理を実行する際、第1DCバス141又は待機状態の第2DCバス142の電圧は、第1電力変換器150によって、互いに直列接続された目標数のバッテリーモジュールに対応する電圧に調整される。その結果、駆動電圧が切り替えられる際に、サージ電流が生じる問題を抑制することができる。可変構成直列型バッテリーボックスの電源ループ及びバッテリーモジュールを効果的に保護することができるので、特にバッテリーモジュールの寿命が増加する。更に、電気自動車の駆動条件に基づいて電力駆動システム1における互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数Nが増加又は減少されるので、各可変構成直列型バッテリーボックスにおける互いに直列接続されたバッテリーモジュールの数を調整することができる。すなわち、電気自動車の走行中に、バッテリーモジュールの蓄電エネルギーは、リアルタイムで動的な方法によって均衡させることができる。各可変構成直列型バッテリーボックスにおけるバッテリーモジュールの蓄電エネルギーを均衡させることができるので、追加の平衡回路の設置が不要である。換言すると、各可変構成直列型バッテリーボックスにおけるバッテリーモジュールの整合にかかるコストが低減される。本発明の電力駆動システム1を有する大型電気自動車のバッテリーモジュールの整合にかかるコストは、小型電気自動車における同整合にかかるコストに近いので、大型電気自動車が広く普及することが予想される。更に、駆動電圧切替処理を実行し、各可変構成直列型バッテリーボックスの電源ループの電圧を切り替える。更に、第1駆動パワートランジスタモジュール161及び第2駆動パワートランジスタモジュール162は、種々のステップで且つ最適なトランジスタデューティ・サイクルで同時に電気エネルギーを供給することができ、オートマチックシフトのガソリン車(オートマ車)を走行させるパワーのような安定した出力電力が生成されることとなる。その結果、たとえ第1モータ170の回転速度が非常に低い場合やパワートランジスタのデューティ・サイクルが非常に低い場合であっても、トルクリップルが生じる可能性を最小限に抑えることができる。更に、可変構成直列型バッテリーボックスの互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数に基づいて可変構成直列型バッテリーボックスの電源電圧が調整されるので、DCバス電圧を増加させるための追加の昇圧回路の設置が不要となる。このように、電力駆動システム1を用いることで、電気自動車の製造コストを抑えることができる。
【0060】
図5は、本発明の第2実施形態に係り、複数の可変構成直列型バッテリーボックスを備える電力駆動システムのアーキテクチャを模式的に示す図である。
図5の電力駆動システム2のアーキテクチャは、
図1の電力駆動システム1のアーキテクチャと同様である。本実施形態に係る、第1可変構成直列型バッテリーボックス110、第2可変構成直列型バッテリーボックス120、第3可変構成直列型バッテリーボックス130、第1パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ111、第1パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ112、第2パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ121、第2パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ122、第3パワートランジスタセットにおける第1パワートランジスタ131、第3パワートランジスタセットにおける第2パワートランジスタ132、第1DCバス141、第2DCバス142、電力変換器150、第1駆動パワートランジスタモジュール161、第2駆動パワートランジスタモジュール162、及びモータ170、の動作機能は、
図1の上記と同様で、ここでは詳細説明を省略する。
【0061】
本実施形態において、電力駆動システム2は、第3DCバス343、第2電力変換器351、第3電力変換器352、第2モータドライブ363、第3モータドライブ364、及び第4モータドライブ365を更に含む。第3DCバス343を用いることで、第2モータドライブ363、第3モータドライブ364、及び第4モータドライブ365に電気エネルギーが送信される。第1DCバス141の電気エネルギーは、第2電力変換器351を介して第3DCバス343に送信される。第2DCバス142の電気エネルギーは、第3電力変換器352を介して第3DCバス343に送信される。
【0062】
第2モータドライブ363は、電気自動車の第2モータ371を駆動させる。第2モータ371は、電気自動車の転換予備のシステムを動作させる。第3モータドライブ364は、電気自動車の第3モータ372を駆動させる。第3モータ372は、電気自動車のエアコンプレッサを動作させる。第4モータドライブ365は、電気自動車の第4モータ373を駆動させる。第4モータ373は、電気自動車の空調システムを動作させる。
【0063】
本実施形態において、第1モータ170は、電気自動車を駆動(走行)させるもので、第1モータ170は、電気自動車の中で最も大きいモータである。第2モータ371、第3モータ372、及び第4モータ373は、電気自動車における他の補助デバイスを動作させるために使われる。第1モータ170の回転速度は電気自動車の速度によって変わるので、電圧可変DCバスを用いることによって、第1モータ170の機械効率を増加させることができる。しかし、電圧可変DCバスは、第2モータ371、第3モータ372、及び第4モータ373を制御するのには適当ではない。なぜなら、第2モータ371、第3モータ372、及び第4モータ373によって動作(駆動)する補助デバイスが、一定の速度で回転してしまうからである。つまり、第3DCバス343の電圧は一定である。電力駆動システム2は第3DCバス343を更に含むので、電力駆動システム2は、第2モータドライブ363、第3モータドライブ364、及び第4モータドライブ365に、安定なDCバス電圧を供給することができる。その結果、制御性能及び機械効率を強化することができる。
【0064】
いくつかの実施形態において、第2モータドライブ363、第3モータドライブ364、及び第4モータドライブ365の構造は、第1モータドライブ163の構造と同様である。すなわち、第2モータドライブ363、第3モータドライブ364、及び第4モータドライブ365の動作及び構成は、第1モータドライブ163のそれらと同様に、2つの駆動パワートランジスタモジュールにより構成されている(すなわち、第1駆動パワートランジスタモジュール161及び第2駆動パワートランジスタモジュール162)。
【0065】
いくつかの実施形態では、車両コンピュータ201は、第3DCバス343、第2電力変換器351、第3電力変換器352、第2モータドライブ363、第3モータドライブ364、第4モータドライブ365、第2モータ371、第3モータ372、及び第4モータ373と通信状態にある。車両コンピュータ201は、第3DCバス343、第2電力変換器351、第3電力変換器352、第2モータドライブ363、第3モータドライブ364、第4モータドライブ365、第2モータ371、第3モータ372、及び第4モータ373の動作を制御し、第3DCバス343、第2電力変換器351、第3電力変換器352、第2モータドライブ363、第3モータドライブ364、第4モータドライブ365、第2モータ371、第3モータ372、及び第4モータ373についての動作情報及び電気エネルギー情報を取得する。加えて、車両コンピュータ201は、第2モータドライブ363、第3モータドライブ364と第4モータドライブ365からの出力電力に基づいて、第2電力変換器351及び第3電力変換器352の出力電力を更に制御する。その結果、第3DCバス343の電圧が安定する。
【0066】
上記の説明の通り、本発明は、電力駆動システムを実現するものである。互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数は、第1モータの回転速度に基づいて増加又は減少する。第1モータの回転速度が増加し駆動電圧に係る1単位分の増加が必要な場合、又は第1モータの回転速度が減少し駆動電圧に係る1単位分の減少が必要な場合は、互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数は、モータ速度に対応する互いに直列接続されたバッテリーモジュールの必要数に調整される。その結果、各可変構成直列型バッテリーボックスの電源ループにより供給された電圧はより正確に切り替えられて、各可変構成直列型バッテリーボックスにおけるバッテリーモジュールの直列接続構成が変更される。更に電力駆動システムが駆動電圧切替処理を実行する際、第1DCバス又は待機状態の第2DCバスのの電圧は、電力変換器によって、互いに直列接続された目標数のバッテリーモジュールに対応する電圧に調整される。その結果、駆動電圧が切り替えられる際に、サージ電流が生じる問題を抑制することができる。可変構成直列型バッテリーボックスの電源ループ及びバッテリーモジュールを効果的に保護することができるので、特にバッテリーモジュールの寿命が増加する。更に、電気自動車の駆動条件に基づいて電力駆動システムにおける互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数Nが増加又は減少されるので、各可変構成直列型バッテリーボックスにおける互いに直列接続されたバッテリーモジュールの数を調整することができる。すなわち、電気自動車の走行中に、バッテリーモジュールの蓄電エネルギーは、リアルタイムで動的な方法によって均衡させることができる。各可変構成直列型バッテリーボックスにおけるバッテリーモジュールの蓄電エネルギーを均衡させることができるので、追加の平衡回路の設置が不要である。換言すると、各可変構成直列型バッテリーボックスにおけるバッテリーモジュールの整合にかかるコストが低減される。本発明の電力駆動システムを有する大型電気自動車のバッテリーモジュールの整合にかかるコストは、小型電気自動車における同整合にかかるコストに近いので、大型電気自動車が広く普及することが予想される。更に、駆動電圧切替処理を実行し、各可変構成直列型バッテリーボックスの電源ループの電圧を切り替える。更に、第1駆動パワートランジスタモジュール及び第2駆動パワートランジスタモジュールは、種々のステップで且つ最適なトランジスタデューティ・サイクルで同時に電気エネルギーを供給することができ、オートマチックシフトのガソリン車(オートマ車)を走行させるパワーのような安定した出力電力が生成されることとなる。その結果、たとえ第1モータの回転速度が非常に低い場合やパワートランジスタのデューティ・サイクルが非常に低い場合であっても、トルクリップルが生じる可能性を最小限に抑えることができる。更に、可変構成直列型バッテリーボックスの互いに直列接続されたバッテリーモジュールの目標数に基づいて可変構成直列型バッテリーボックスの電源電圧が調整されるので、DCバス電圧を増加させるための追加の昇圧回路の設置が不要となる。このように、電力駆動システムを用いることで、電気自動車の製造コストを抑えることができる。