(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抽出手段は、前記撮像結果から前記被計測物の内周側に生じている陰影を検出し、検出した陰影を基準にして前記被計測物の輪郭線を輪郭線情報として抽出することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の携帯情報端末。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。なお、スマートフォンなどの携帯情報端末に本発明を適用して被計測物のサイズ計測装置としての機能を発揮するように構成した場合を例に挙げて説明を進める。また、被計測物を指輪とし、指輪のサイズ計測を行う場合を例に挙げて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る携帯情報端末の機能構成を説明するためのブロック図である。
図1に示す携帯情報端末100は、記憶部101、検出部102、距離算出部103、固定基準比較部104、画像処理部105、輪郭抽出部106、補正部107、I/F(インタフェース)110、撮像部111、発光部112、入力部113、出力部114、主制御部120を含んで構成される。
【0012】
記憶部101は、携帯情報端末100が行う処理において使用される各種情報を格納する。検出部102は、撮像部111により撮像された指輪と、後述する出力部114の表示画面上に表示されたガイド(後述する
図2(c)に示す点線円)との重畳(重なり合ったこと)を検出する。このように検出部102は、表示画面上における、前記撮像された被計測物と前記ガイドとの重畳を検出する検出手段として機能する。詳細は後述する。
【0013】
距離算出部103は、携帯情報端末100から被計測物である指輪までの距離(後述する
図2(a)に示す距離L)を算出する。このように距離算出部103は、検出部102が重畳を検出したときに携帯情報端末100から被計測物までの距離を距離情報として算出する算出手段として機能する。なお、例えば携帯情報端末100から赤外線等を対象物へ向けて照射して、その反射波を受信するまでの経過時間に基づいて当該対象物までの距離を計測するように構成することができる。
固定基準比較部104は、現物の指輪のサイズと撮像結果に含まれる指輪のサイズとが相対的に同じサイズとなるように、出力部114の表示画面上に表示されたガイドのサイズを規定する基準長さ(単位長さ)を決定する。具体的には、距離情報に基づいて被計測物である指輪のサイズに対してガイドの相対的なサイズを設定する。詳細は後述する。
【0014】
画像処理部105は、撮像画像に対して各種画像処理を行う。輪郭抽出部106は、画像処理後の撮像画像に含まれる指輪の輪郭(輪郭線)を輪郭線情報として抽出する。このように輪郭抽出部106は、検出部102が重畳を検出したときの撮像結果から指輪の輪郭線を輪郭線情報として抽出する抽出手段として機能する。
補正部107は、後述する真円性補正、及び、リング幅調整を行う。例えば、同じサイズの指輪であってもその幅長の違いにより指にフィットしたり、そうでなったりする。補正部107は、指輪サイズの計測結果に基づいて、ユーザが選択した指輪の幅長に応じた指輪サイズとなるような調整値を導出する。このように補正部107は、任意に受付けた幅長の値に応じて、サイズ計測結果である指輪のサイズ(号数)に対する調整値を導出する補正手段として機能する。
【0015】
I/F110は、例えば、インターネット回線Nを介した情報の授受、あるいは無線通信による情報の授受を制御する。また、ユーザは、I/F110を介して、インターネット回線Nに接続された図示しないサーバ装置に格納された各種情報のダウンロードを指示し、ダウンロードした情報を携帯情報端末100において使用することもできる。
撮像部111は、カメラなどであり、撮像手段として機能する。発光部112は、被計測物の方向(被計測物方向)に向けて光を照射する、例えばフラッシュライトである。発光部112は、光を照射する照射手段として機能する。
【0016】
入力部113は、携帯情報端末100が有するキーボード、あるいはポインティングディバイス等の入力装置であり、ユーザからの入力操作を受付ける。
出力部114は、携帯情報端末100が有するディスプレイ等の表示装置である。以下、出力部114を表示手段として機能する表示画面114と表す場合もある。
【0017】
主制御部120は、携帯情報端末100が有する各構成機器を制御する。なお、主制御部は、携帯情報端末100に内蔵されているプロセッサ及び内部メモリを有する一種のコンピュータ装置のハードウエア資源と、所定のコンピュータプログラムとの協働により実現される。なお、携帯情報端末100は、年月日を表す時刻データと制御動作の同期クロックとを出力するRTC(Real Time Clock)モジュールを有する。このように主制御部120は、携帯情報端末100の各処理を統括的に制御する制御手段として機能する。
【0018】
図2は、携帯情報端末100による指輪サイズ計測の様子を説明するための図である。なお、
図2(a)、(b)に示す指輪Rを被計測物として示している。
図2(a)は、水平方向から見た時の携帯情報端末100が指輪Rを撮像している様子を示している。
図2(a)では、机などの水平面に指輪Rが載置され、この指輪Rと並行に、且つ、当該指輪Rと距離Lだけ離れた位置から携帯情報端末100が撮像部111を介して当該指輪Rを撮像している。なお、サイズ計測の際には、発光部112から指輪Rに向けて光が照射されている。また、撮像結果(撮像画像)は、表示画面114上に表示される。
【0019】
図2(b)は、発光部112からの光が照射された状態の指輪Rの様子を説明するための上面図である。例えば、携帯情報端末100から光が照射された際には、指輪Rの内周側には
図2(b)に示すような影(陰影)が生じることになる。そのため、この陰影によるサイズ計測の精度低下を抑制するために、本実施形態に係る携帯情報端末100においては、指輪Rを検出結果(撮像結果)に対して後述する画像処理を行ってから輪郭抽出処理などが行われるように制御される。処理の詳細については、後述する。
【0020】
図2(c)は、指輪サイズ計測を開始した際の携帯情報端末100の表示画面の表示例を示す図である。
図2(c)に示す表示画面114上には、「ガイドにリングを合わせてください。」とのメッセージが表示されており、ユーザは、表示画面114上に表示された点線円をガイドとし、指輪サイズ計測時にはこのガイドに合わせて指輪Rが重なるように携帯情報端末100の向きや位置を調整する。このガイドは、
図2(c)に示すような円形形状に限らず、例えば正方形に形成するなど他の形状であっても良い。この場合、撮像された指輪Rが正方形のガイドに内接したときに重畳したものと検出されるように構成する。
なお、表示画面114上のガイドと指輪Rとが重畳したこと、つまり重なり合ったことは携帯情報端末100の検出部102により検出される。また、ガイドと指輪Rとの重なり具合は、完全一致の場合のみならず、所定の許容範囲を設けてその範囲内においては重畳したと検出されるように構成することもできる。
【0021】
図3は、携帯情報端末100が行う指輪Rのサイズ計測の処理手順の一例を示すフローチャートである。
なお、携帯情報端末100が行う指輪Rのサイズ計測では、最終的にはその内周長さに応じた指輪のサイズ(例えば、8号、9号などの号数)を特定するものとして説明を進める。
【0022】
主制御部120は、サイズ計測用のアプリケーション起動を契機にサイズ計測を開始する。主制御部120は、撮像部111を起動する(S301)。主制御部120は、発光部112の発光開始を指示する(S302)。これにより携帯情報端末100は、被計測物である指輪への光の照射、並びに、当該指輪の撮像が開始される。
【0023】
主制御部120は、検出部102を介して、表示画面114上のガイドと指輪Rが重なり合ったか否か、つまり重畳したか否かを検出する(S303)。なお、以下の処理ではガイドと指輪Rとの重畳が検出されたタイミングの撮像画像に基づいて行われる。
【0024】
[距離算出プロセス]
主制御部120は、距離算出部103を介して、携帯情報端末100から指輪Rまでの距離を算出する(S304)。具体的には、既知の三角法を用いて
図2に示す距離Lを算出する。また、距離Lの算出は、検出部102を介してガイドと指輪Rが表示画面114上において重なり合ったことが検出されたタイミングを契機に実施される。
【0025】
[固定基準値比較プロセス]
主制御部120は、ステップS304の処理により算出された距離Lに基づき、撮像された指輪Rのサイズ計測のために当該指輪Rと固定基準値との比較を行う(S305)。
ここで、撮像された指輪Rと固定基準値との比較について、
図4を用いて説明する。
【0026】
図4は、撮像された指輪Rと固定基準値との比較を説明するための図である。
図4(a)は、撮像された指輪Rと固定基準値との比較方法の一例を示している。
図4(a)に示すように、携帯情報端末100の表示画面114上には、撮像された指輪Rと基準スケールとが表示されている。基準スケールとは、例えば単位長さを1[mm]とする目盛が付されたスケールであり、その目盛の幅(隣接する目盛間の距離)は距離Lに応じて相対的に変動するように構成される。
【0027】
例えば、表示画面114上に表示されたガイドのサイズが固定されている場合、号数が異なる指輪をガイドに重ね合わせるためにユーザは、距離Lを調整しながら撮像することになる。つまり、表示画面114上に表示されたガイドの見た目サイズは同じであっても、現物の指輪に対する相対的なサイズは距離Lに応じて変化しているといえる。そのため、目盛の幅を距離Lに応じて相対的に変動させ、変動後の単位長さをそのサイズ計測における固定基準値とする。換言すれば、この固定基準値に基づき、表示画面114上に表示されたガイドの相対的なサイズが設定されることになる。ガイドのサイズが特定されれば、当該ガイドに重なり合っている指輪のサイズも特定可能になる。
【0028】
このような処理を行うことにより、カメラの種別や解像度の違いよる撮像サイズのばらつきなどが排除され、現物の指輪Rと撮像結果に含まれる指輪Rとのサイズ違いなどから生じるサイズ計測誤差の発生を抑制することができる。その結果、指輪Rを実測することなく、撮像結果に基づいて指輪Rのサイズ計測を実施することが可能になる。
【0029】
なお、
図4(b)、(c)に示す方法により撮像された指輪Rと固定基準値との比較が行われるように構成することもできる。
図4(b)では、携帯情報端末100は、例えばクレジットカード、キャッシュカードなどサイズが規格化されている対象物(規格オブジェクト)と共に指輪を撮像する。そして、撮像結果に含まれる規格オブジェクトのサイズと指輪のサイズとを相対的に比較してサイズ計測における固定基準値を設定する。このように、例えば三次元空間における被計測物のサイズを特定するため、ID−1基準(ISO/IEC、JIS等の規格)に対応したカードをアンカーサイズとして設定することができる。
【0030】
また、
図4(c)では、クレジットカード、キャッシュカードなどの規格オブジェクトに替えて、携帯情報端末100が有する仮想規格モジュールを用いて、この仮想規格モジュールのサイズと、撮像結果に含まれる指輪のサイズとを相対的に比較してサイズ計測における固定基準値を設定する。この場合では、クレジットカード、キャッシュカードなどの現物を用意する必要がなくなるため、ユーザのサイズ計測時の利便性が高まることになる。
【0031】
[画像処理プロセス]
図3の説明に戻り、主制御部120は、画像処理部105を介して、撮像結果に対して所定の画像処理を行う(S306)。この画像処理は、撮像画像に対して行うコントラスト調整、色調補正、鮮明度調整などである。例えば、色調を補正することで彩度をなくし、撮像画像の色域・色情報を単純化したり、鮮明度を高めて撮像画像をシャープ化することなどにより、撮像画像の中から指輪Rが撮像されている領域の特定を容易にする。
【0032】
[輪郭抽出プロセス]
主制御部120は、輪郭抽出部106を介して、画像処理後の撮像画像に含まれる指輪Rの輪郭(輪郭線)を抽出する(S307)。輪郭抽出処理は、例えば撮像画像から指輪Rの陰影を検出し、検出した陰影を基準にして指輪Rの輪郭線をトレースする。なお、本処理においては少なくとも指輪Rの内周側の輪郭線を抽出するものとする。
【0033】
[真円性補正プロセス]
主制御部120は、補正部107を介して、ステップS307の処理において抽出された輪郭線に対して、この輪郭線をより正円に近づけるための補正(真円性補正)を行う(S308)。例えば、指輪の内周形状は指への挿抜を容易にするためのなるべく正円に近い形状に形成される。そのため、本処理においては、少なくとも現物の指輪の内周形状と同じ形状になるように、撮像画像から抽出された指輪Rの内周側輪郭線に対して補正を行う。
【0034】
また、携帯情報端末100における真円性補正では、例えば3点法、多点法、疑似真円化法、半径法、直径法などの既知の方法のいずれか、あるいは複数を組み合わせて補正を実施するように構成することができる。
【0035】
[内径及び円周長抽出プロセス]
主制御部120は、ステップS308の処理における補正後の輪郭線の内径、円周長(内周長)それぞれの値を固定基準値に基づいて導出する(S309)。このようにして、撮像画像から指輪Rの内径の値と内周長さの値それぞれが導出される。
【0036】
[算出結果変換プロセス]
主制御部120は、後述する
図5の変換テーブル(表)を参照して、ステップS309の処理における抽出結果に応じた指輪の号数を特定し(S310)、その結果をサイズ計測結果として表示画面114上に表示する(S311)。以下、変換テーブルについて説明する。
【0037】
図5は、サイズ計測結果から指輪の号数に変換するための変換テーブル(表)の一例を示す図である。なお、この変換テーブルは、例えば記憶部101にあらかじめ記憶される。
図5に示す表では、例えば内周長さを示す円周が52.4[mm]であれば、指輪のサイズは12号となる。
このように、ステップS301〜S311までの一連の処理により、携帯情報端末100において被計測物である指輪Rの号数が特定され、サイズ計測の結果がディスプレイを介してユーザに通知される。この通知について、
図6を用いて説明する。
【0038】
図6は、サイズ計測結果の表示例を説明するための図である。
図6(a)は、サイズ計測中における表示画面114の表示内容を表している。また、
図6(b)は、表示画面114に表示されたサイズ計測結果の一例を表している。
図6(a)に示すように、ガイドと指輪Rが重なり合いの検出を契機に表示画面114に「計測中」と表示してユーザにサイズ計測処理を実施中である旨通知する。例えば、
図3に示すステップS304の処理(距離算出処理)以降は指輪Rを含む対象物の撮像状態を維持する必要がなくなる。そのため、表示画面114に「計測中」と表示することでユーザに撮像状態を解除して良い旨を通知することができる。
【0039】
また、
図3に示すステップS311の処理が終了した際には、
図6(b)に示すようなサイズ計測結果が表示される。
図6(b)では、指輪Rのサイズが「8.5号」である旨ユーザに通知されている。ユーザは、表示画面114上に表示された「マイページに登録」ボタンを選択することにより、サイズ計測結果を記憶部101、あるいは図示しないサーバ装置に保存することができる。また、異なる指輪のサイズ計測を行いたい場合、ユーザは、表示画面114上に表示された「再計測する」ボタンを選択することにより引き続きサイズ計測を行うことができる。
【0040】
なお、本実施形態に係る携帯情報端末100では、さらに、特定された指輪Rの号数をユーザが所望する指輪の幅長(内周面の幅、リング幅)に応じた号数に調整する処理を行うことができるように構成される。ユーザがリング幅調整を行いたい場合、表示画面114上に表示された「リング幅による誤差調整」ボタン(
図6(b)参照)を選択する。以下、リング幅調整の処理について説明する。
【0041】
[リング幅調整プロセス]
図3の説明に戻り、主制御部120は、リング幅による誤差調整の実施指示を受付けたか否かを判別する(S312)。リング幅による誤差調整を実施する場合(S312:Yes)、ステップS313の処理へ進む。また、そうでない場合(S312:No)、一連の処理を終了する。
主制御部120は、補正部107を介して、指輪Rのサイズ計測結果とユーザが指定した指輪幅長とに基づいて当該サイズ計測結果に対して補正を行う(S313)。以下、この補正処理の詳細について説明する。
【0042】
図7は、リング幅調整プロセスにおける携帯情報端末100の画面の変遷の概要を説明するための図である。前述したように、同じ号数の指輪であってもその幅長の違いにより指にフィットしたり、そうでなったりすることがある。例えば、ユーザが指輪Rのリング幅とは異なるリング幅の指輪を購入希望する場合など本リング幅調整プロセスが有効なものとなる。
【0043】
図7(a)に示す表示画面114の上側領域にはリング幅調整に係る説明を表示し、下側領域にはユーザが所望するリング幅を入力可能に構成される。初めにユーザは、
図7(a)の画面上で所望するリング幅を入力する。
【0044】
図7(b)は、指輪Rの外側面が撮像されて表示画面114に表示されている様子を示している。ユーザは、
図7(b)に示すように指輪Rの外側面が撮像可能となるように当該指輪Rの載置向きを変える。なお、リング幅調整処理では指輪Rの外側面の撮像結果に基づいて各処理を進める。そのため、主制御部120は、指輪Rのサイズ計測のときと同じように
図3に示すステップS301〜S307までの処理と同様の処理を行う。また、指輪Rのサイズ計測に続いてリング幅調整を行う場合であれば、主制御部120は、ステップS301、302の各処理に替えて、撮像部111が起動されていること、発光部112が発光していることを確認する処理を行う。
【0045】
主制御部120は、輪郭抽出部106を介して、画像処理後の撮像画像に含まれる指輪Rの輪郭(輪郭線)を抽出する。本処理において指輪Rの外側面の輪郭線が抽出される。なお、必要に応じて輪郭線を補正する処理を行うように構成しても良い。
【0046】
主制御部120は、抽出した輪郭線の幅方向の長さ(
図7(b)に示す基準スケール方向)を固定基準値に基づいて導出する。このようにして、撮像画像から指輪Rの幅長が特定される。
主制御部120は、指輪Rの幅長に基づいて、後述する
図8の補正テーブル(表)を参照することにより、ユーザが入力したリング幅に応じた号数の調整値を特定する。
【0047】
リング幅計測結果と調整値は、
図7(c)に示すように表示画面114上に表示される。
図7(c)では、リング幅計測結果が3[mm]であり、購入予定リング幅が6[mm]であれば+1号、つまり1号大きいサイズの指輪がユーザの指にフィットする旨を通知している。
【0048】
また、ユーザは、表示画面114上に表示された「マイページ登録」ボタンを選択することにより、サイズ計測結果に関連付けてリング幅計測結果と調整値を記憶部101、あるいは図示しないサーバ装置に保存することができる。また、所望のリング幅を変えたい場合、ユーザは、表示画面114上に表示された「再計測」ボタンを選択することにより引き続きサイズ計測を行うことができる。
【0049】
図8は、リング幅調整における補正値(補正号数)の一例を示す補正テーブル(表)である。なお、この変換テーブルは、例えば記憶部101にあらかじめ記憶される。
図8に示す補正テーブルでは、ユーザが購入希望する指輪の幅と計測された指輪の幅との差分に応じて調整値(号数)が特定されるように構成される。また、
図8に示す補正テーブルでは、リング幅計測結果よりも相対的に購入希望する指輪の幅が大きい場合の調整値と、相対的に購入希望する指輪の幅が小さい場合の調整値とを分けて設定している。
また、
図8に示す補正テーブルのように、「ゆるめ」「きつめ」などのユーザの好みに対応するための補正値を設定することもできる。この場合、例えば
図7(a)に示す表示画面114においてユーザの好みを設定可能に構成する。なお、ユーザの好みの指定がない場合、「自動補正」の各調整値が適用される。
【0050】
例えば、自動補正であり、且つ、リング幅計測結果が3[mm]、購入希望の指輪のリング幅が6[mm]である場合、リング幅計測結果よりも相対的に購入希望する指輪の幅が大きく、且つ、その差分が3.0〜3.9[mm]範囲となるため調整値は+1号となる。
【0051】
このように、本実施形態に係る携帯情報端末では、撮像画像に基づいて指輪サイズを計測することができる。さらに、指輪のサイズ計測結果に基づいて、ユーザが所望するリング幅に応じた指輪サイズを特定することができる。これにより、ユーザは、指輪のサイズを計測するために店舗等に出向くことなく容易に、且つ、高い精度で指輪サイズの確認を行うことができる。また、既に所持している指輪の幅とは異なる幅の指輪を購入希望する際においてもフィット感を損なわないサイズ(号数)が確認できるため、例えばオンラインショップにおいて指輪が購入できるなどのユーザの利便性が向上する。なお、サイズ計測結果から指輪の号数に変換するための変換テーブル(表)を海外サイズに対応させることで海外製の指輪のサイズ計測にも適用することができる。また、指輪を例に挙げて説明したが、被計測物を環状に形成されたのも以外のものであっても本発明を適用することができる。
【0052】
[変形例]
ここでは、前述したID−1基準に対応したカード(サイズ:85.60×53.98[mm])などの規格化されている所定の比較対象物と共に被計測物を撮像して、その撮像結果を用いて当該被計測物のサイズ計測を行う場合について説明する。具体的には、被計測物と共に撮像されたカードのサイズと当該被計測物のサイズとの相対的な比較によりサイズ計測を行う。そのため、前述した距離算出プロセス(
図3:ステップS304の処理)を省略することができる。
【0053】
この場合、携帯情報端末の検出部102は、表示画面114上にキャッシュカードなどの所定の比較対象物と被計測物とが表示されたことを検出する。また、輪郭抽出部106は、検出部102が所定の比較対象物と被計測物とが表示されたことを検出したときの撮像結果から当該被計測物の輪郭線を輪郭線情報として抽出する。そして、主制御部120は、所定の比較対象物のサイズを基準に被計測物の相対的なサイズを設定し、設定結果と輪郭線情報とに基づいて被計測物のサイズを特定する。
なお、カメラライト点灯(
図3:ステップS302の処理)を行うか否かは、撮像環境に応じて任意に設定することができる。また、表示画面114上にガイドを表示する必要がなくなるため、表示画面の表示領域を有効活用できるとともに、処理負荷の軽減を図ることができる。
【0054】
また、例えばサイズが規格化されているクレジットカード、キャッシュカードなどはその発行元に応じてカード表面の色が異なる場合がある。また、携帯情報端末が有するフラッシュライトを使用せず、例えば屋外で自然光が照射された状態における計測、あるいは室内の蛍光灯下における計測の場合、カード表面の色相によって計測制度の低下を招く恐れがある。
【0055】
図9は、カード色の違いによる測定精度への影響度合いを説明するための図である。
図9(a)〜(c)は、各計測パターンに応じたカード表面の色の違いによる、被計測物の輪郭の認識結果を示している。計測パターンは撮像環境を表しており、パターン1が蛍光灯の真下、パターン2が蛍光灯の斜め下、パターン3が机の下、パターン4がスタンドライトの下、パターン5が屋外(晴れ)、パターン6が屋外(曇り)となっている。また、「◎」は良好、「△」は認識可能、「×」は認識不可能を表している。
図9に示すように、いわゆる赤系の色においては、撮像環境によっては認識率が低下してしまうことが多いことが見て取れる。
なお、
図9では、異なる48色のカードを用いて検証しているが、この色数に限定するものではない。
【0056】
図10は、指輪サイズ(号数)に応じた、カード色の違いによる測定精度への影響度合いを説明するための図である。
図9においてはカード色と撮像環境の違いによって測定精度に影響を及ぼすことは説明した。
図10に示すように、さらに指輪サイズによっても測定精度に影響を及ぼすことがある。例えば、パターン3の条件においては、指輪号数1号であれば良好と判断される色数は38色、つまり
図9に示す48色中のカードにうち38色分しか良好なとならず、また、指輪号数15号の場合であっても42色に留まることが見て取れる。
【0057】
この場合、主制御部120は、画像処理部105を介して、撮像画像の認識色をレベル判断して補正を行う。これは、比較対象物として用いるカードの色により、被計測物の陰影の濃度、光の反射などの変化、被計測物の光の反射を抑えてこれらの要因が測定精度への影響してしまうことを防ぐためである。
また、携帯情報端末が有する露出計(例えば、イメージセンサ方式)を介して比較対象物に照射される光の強度が所定の値以下(例えば、100ルクス)であると検知された場合、例えば150ルクス〜30000ルクス以上(晴れの日の屋外環境)となるように、当該携帯情報端末のフラッシュライトを起動させる。このようにして、携帯情報端末が有する露出計の検知結果に応じて露光パラメータを平滑化する補正を行うように構成することもできる。なお、光の強度は、カメラ機能の特性・解像度などを踏まえた上で、例えば所定の値として200ルクスなどと任意に設定することができる。
【0058】
このように構成された携帯情報端末では、撮像画像に基づいて被計測物のサイズを計測する際に当該携帯情報端末から被計測物までの距離を算出するプロセスが不要となる。また、携帯情報端末が有するフラッシュライトを使用しない場合であっても、使用するカードの色相に応じた色相補正が行われるため、より精度の高い計測を行うことができる。また、撮像環境に応じて携帯情報端末が有するフラッシュライトが点灯される。
なお、被計測物は指輪などの円環形状物の他、例えばその内周形状が矩形形状のもの、あるいは楕円形状のものなどであっても本発明を適用することができる。
【0059】
前述したID−1基準に対応したカード(サイズ:85.60×53.98[mm])などの規格化されている所定の比較対象物と共に被計測物を撮像して、その撮像結果を用いて当該被計測物のサイズ計測を行う場合については既に述べた通りである。ここでは、撮像の際にID−1基準に対応したカードが水平に載置されていない場合、あるいは当該カードに対して携帯情報端末100が相対的に傾いた状態で撮像した場合における傾き補正(角度補正)について説明する。なお、この角度補正により真円性補正の精度をより高めることができる。また、一例としてカードが傾いて載置されているものとして説明を進める。
【0060】
図11は、傾き補正(角度補正)を行い、真円性補正の精度をより高める方法の一例を説明するための図である。
図11(a)では、カードに指輪を載置した状態での撮像結果を表した図であり、
図11(b)は、カードの一の長辺を軸にカード短辺と水平面(例えば、机の表面)とがある角度(カード仰角)で傾いている状態を表した図であり、
図11(c)は、図右側から左側に向かうように角度補正のプロセスを説明する図である。
【0061】
携帯情報端末100は、撮像結果に基づいてカード画像の水平方向長さ(dc_h_size)とリング画像の水平方向長さ(dr_h_size)を取得して、水平方向を基準にして角度補正を行う。なお、ID−1基準カードサイズの比率は、長辺:短辺=85.60[mm]:53.98[mm]=1.59:1であるとする。
【0062】
初めに、携帯情報端末100は、カード仰角のゼロ補正(カード角度補正計算)を行う。具体的には、1.59 : 1 = dc_h_size :F_dc_v_size、F_dc_v_size = dc_h_size / 1.59との関係に基づいて、長辺を基準にして短辺のカード仰角が角度ゼロのときの長さlsを導出する。このようにして、角度補正後のカードサイズが算出される。
【0063】
次に、携帯情報端末100は、正円復元計算を行う。具体的は、dr_v_size:F_dr_v_size = dc_v_size:F_dc_v_size、F_dr_v_size = (F_dc_v_size * dr_v_size) / dc_v_sizeとの関係に基づき、角度補正後のカードサイズを基準にして指輪の垂直方向長さを導出する。
【0064】
そして、携帯情報端末100は、正円復元計算後の指輪の直径(内径)から実際の指輪サイズを導出する。具体的には、実際の指輪サイズ(Realringsize):F_dr_v_size = 53.98:F_dc_v_size、Realringsize = (53.98 * F_dr_v_size) / F_dc_v_sizeとの関係に基づいて実際の指輪サイズを導出する。
【0065】
上記説明は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲が、これらの例に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれ、例えば上述した各実施形態の一部を適宜組み合わせても良い。
【0066】
また、本発明は、情報処理システム、情報処理装置においてなされる各処理の手順を含む方法であっても良い。
また、本発明は、コンピュータに、上述した情報処理システム、情報処理装置においてなされる各処理の手順を実行させるためのコンピュータプログラムであっても良い。このコンピュータプログラムは、各種記録媒体、あるいはネットワークを介して流布させることが可能なものである。このコンピュータプログラムがROMなどの記憶装置を有するコンピュータにインストールされることで実行可能となり、上述の情報処理システム、情報処理装置を実現する。また、本発明は、上述した情報処理システム、情報処理装置においてなされる各処理の手順を含む方法であっても良い。
また、本発明は、コンピュータに、上述した情報処理システム、情報処理装置においてなされる各処理の手順を実行させるためのコンピュータプログラムであっても良い。このコンピュータプログラムは、各種記録媒体、あるいはネットワークを介して流布させることが可能なものである。このコンピュータプログラムがROMなどの記憶装置を有するコンピュータにインストールされることで実行可能となり、上述の情報処理システム、情報処理装置を実現する。
【解決手段】指輪に向けて光を照射する発光部112、光が照射された指輪を撮像する撮像部111、指輪の撮像結果を表示画面に表示する出力部114を有する。また、表示画面上において所定の形状に形成されたガイドの表示を制御する主制御部120、表示画面上における、前記撮像された被計測物と前記ガイドとの重畳を検出する検出部101、重畳を検出したときに携帯情報端末から指輪までの距離を距離情報として算出する距離算出部103を有する。また、重畳を検出したときの撮像結果から指輪の輪郭線を輪郭線情報として抽出する輪郭抽出部106を有する。主制御部120は、距離情報に基づいて指輪のサイズに対してガイドの相対的なサイズを設定し、設定結果と輪郭線情報とに基づいて指輪のサイズ(号数)を特定する。