(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハブは、前記1つの基準位置中間部、前記2つの隣接位置中間部、前記1つまたは複数の離間位置中間部における前記ハブの半径は、前記ボルト穴形成部における前記ハブの半径よりも小さい
請求項1に記載の車両用軸受装置。
【背景技術】
【0002】
図6および
図7は、従来の車両用軸受装置100を示している。
図7に示されるように、車両用軸受装置100は、ハブ110を有する。
図6に示されるように、ハブ110は、円筒部111およびフランジ部120を有する。フランジ部120は、5つのボルト穴形成部121、1つのピン穴形成部123、および4つのリブ125を有する。ボルト穴形成部121は、ハブ側ボルト穴122を有する。5つのボルト穴形成部121は、フランジ部120の周方向において等間隔に形成されている。
【0003】
ピン穴形成部123は、互いに隣り合うボルト穴形成部121の1つと別の1つとの間に形成されている。ピン穴形成部123は、ハブ側ピン穴124を有する。リブ125は、互いに隣り合うボルト穴形成部121の1つと別の1つとの間に形成されている。ピン穴形成部123および4つのリブ125は、フランジ部120の周方向において等間隔に形成されている。各リブ125は、ハブ側ピン穴124を有していない点においてピン穴形成部123と相違し、その他の点においてピン穴形成部123と同じ構造を有する。なお、特許文献1は、従来の車両用軸受装置100と類似の構造を有する車両用軸受装置を開示している。
【0004】
図7は、車両用軸受装置100およびブレーキロータ130の関係を示している。
ブレーキロータ130は、5つのホイールボルト140および1つのピン150によりハブ110に固定されている。ブレーキロータ130は、5つのロータ側ボルト穴131および1つのロータ側ピン穴132を有する。
【0005】
ブレーキロータ130は、次の手順によりハブ110に固定されている。
最初に、車両用軸受装置100のハブ110がブレーキロータ130に重ね合わせられる。ハブ側ピン穴124は、ロータ側ピン穴132と対向する。ハブ側ボルト穴122は、ロータ側ボルト穴131と対向する。
【0006】
次に、ピン150がロータ側ピン穴132およびハブ側ピン穴124に挿入される。ピン150は、ブレーキロータ130側からロータ側ピン穴132に挿入される。
次に、1つのホイールボルト140がロータ側ボルト穴131およびハブ側ボルト穴122にねじ込まれる。1つのホイールボルト140は、ブレーキロータ130とは反対側からロータ側ボルト穴131にねじ込まれる。残りの4つのホイールボルト140は、同様の手順によりロータ側ボルト穴131およびハブ側ボルト穴122にねじ込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
図1および
図2を参照して、車両用軸受装置10の構成について説明する。
図1に示されるように、車両用軸受装置10は、従動輪用の軸受装置として構成されている。車両用軸受装置10は、外輪11、内輪12、転動体13、およびハブ20を有する。車両用軸受装置10は、ホイールボルト(図示略)およびピン50によりブレーキロータ40と互いに固定されている。
【0014】
内輪12は、ハブ20の外周部分に固定されている。転動体13は、外輪11と内輪12との間、および外輪11とハブ20との間に配置されている。外輪11は、内輪12の周囲に配置されている。内輪12およびハブ20は、外輪11に対して回転する。
【0015】
ハブ20は、円筒部21およびフランジ部30を有する。円筒部21は、車軸配置穴21Aを有する。車軸配置穴21Aは、円筒部21の軸方向(以下、「軸方向X」)の端部に形成されている。ハブ20は、軸方向X、周方向R、および径方向Zを有する。軸方向Xは、ハブ20の中心軸Pに平行する方向を示す。周方向Rは、ハブ20の中心軸Pまわりの回転方向を示す。周方向Rは、第1周方向RAおよび第2周方向RBを含む。第1周方向RAは、
図2上において中心軸Pに対して時計回りの方向を示す。第2周方向RBは、
図2上において中心軸Pに対して反時計回りの方向を示す。径方向Zは、中心軸Pを中心点とする半径の方向を示す。なお、以下の説明においては、中心軸Pに直交する平面を基準面と記述する。
【0016】
図2に示されるように、フランジ部30は、内周部分31、ボルト穴形成部群32、1つのピン穴形成部34、ならびに、バランス調整部としての第1肉盛部36および第2肉盛部37を有する。フランジ部30は、基準位置中間部38A、第1隣接位置中間部38B、第2隣接位置中間部38C、第1離間位置中間部38D、および第2離間位置中間部38Eを有する。フランジ部30は、ホイール対向面30A(
図1参照)および車体対向面30Bを有する。フランジ部30は、ハブ20の中心軸Pと同軸を有する。フランジ部30の最大の半径(以下、「フランジ最大半径DH」)は、中心軸Pを中心とする仮想円CDにより規定される。フランジ部30の最小の半径(以下、「フランジ最小半径DL」)は、内周部分31の外周面により規定される。
【0017】
図1に示されるように、ホイール対向面30Aは、軸方向Xにおいてブレーキロータ40と対向する。ホイール対向面30Aは、平面形状を有する。車体対向面30Bは、軸方向Xにおいて車体(図示略)と対向する。車体対向面30Bは、曲面形状を有する。
【0018】
図2に示されるように、内周部分31は、円環形状を有する。内周部分31は、円筒部21と一体的に形成されている。内周部分31は、円筒部21の外周部分から径方向Zの外方(以下、「外方ZA」)に向けて突出している。内周部分31のうちの各中間部38A〜38Eに対応する部分は、フランジ最小径DLを有する。
【0019】
ボルト穴形成部群32は、第1ボルト穴形成部32A、第2ボルト穴形成部32B、第3ボルト穴形成部32C、第4ボルト穴形成部32D、および第5ボルト穴形成部32Eを有する。ボルト穴形成部群32は、第1周方向RAまわりにおいて第1ボルト穴形成部32A、第2ボルト穴形成部32B、第3ボルト穴形成部32C、第4ボルト穴形成部32D、および第5ボルト穴形成部32Eの順に各ボルト穴形成部32A〜32Eを有する。各ボルト穴形成部32A〜32Eは、フランジ最大径DHを有する。各ボルト穴形成部32A〜32Eの先端部分は、仮想円CD上に位置する。
【0020】
各ボルト穴形成部32A〜32Eは、それぞれハブ側ボルト穴33を有する。各ボルト穴形成部32A〜32Eは、内周部分31から外方ZAに向けて突出している。各ボルト穴形成部32A〜32Eは、周方向Rにおいて等間隔に形成されている。各ボルト穴形成部32A〜32Eは、周方向Rにおいて所定の間隔を経て互いに隣り合う。各ボルト穴形成部32A〜32Eは、同一の形状を有する。各ボルト穴形成部32A〜32Eの径方向Zの先端部分は、周方向Rの中央部分が外方ZAに最も突出した円弧形状を有する。各ボルト穴形成部62A〜62Dは、周方向Rにおける大きさが互いに等しい。
【0021】
第1ボルト穴形成部32Aおよび第2ボルト穴形成部32Bは、周方向Rにおいて第1離間位置中間部38Dを隔てて互いに隣り合う。第2ボルト穴形成部32Bおよび第3ボルト穴形成部32Cは、周方向Rにおいて第1隣接位置中間部38Bを隔てて互いに隣り合う。第3ボルト穴形成部32Cおよび第4ボルト穴形成部32Dは、周方向Rにおいて基準位置中間部38Aを隔てて互いに隣り合う。第4ボルト穴形成部32Dおよび第5ボルト穴形成部32Eは、周方向Rにおいて第2隣接位置中間部38Cを隔てて互いに隣り合う。第5ボルト穴形成部32Eおよび第1ボルト穴形成部32Aは、周方向Rにおいて第2離間位置中間部38Eを隔てて互いに隣り合う。
【0022】
ハブ側ボルト穴33は、軸方向Xにおいて各ボルト穴形成部32A〜32Eを貫通している。ハブ側ボルト穴33は、雌ねじを有する。5つのハブ側ボルト穴33は、周方向Rにおいて等間隔に形成されている。
【0023】
基準位置中間部38A、第1隣接位置中間部38B、第2隣接位置中間部38C、第1離間位置中間部38D、および第2離間位置中間部38Eは、円環形状のフランジの一部分が肉抜きされたことにより形成された空間に相当する。
【0024】
基準位置中間部38Aは、基準面上において内周部分31、仮想円CD、第3ボルト穴形成部32Cの側部、および第4ボルト穴形成部32Dの側部により囲まれた空間に相当する。基準位置中間部38Aは、基準面上において、ハブ20の中心軸Pを介して第1ボルト穴形成部32Aと対向する。
【0025】
第1隣接位置中間部38Bは、基準面上において内周部分31、仮想円CD、第3ボルト穴形成部32Cの側部、および第2ボルト穴形成部32Bの側部により囲まれた空間に相当する。第1隣接位置中間部38Bは、周方向Rにおいて第3ボルト穴形成部32Cを挟んで基準位置中間部38Aと隣り合う。
【0026】
第2隣接位置中間部38Cは、基準面上において内周部分31、仮想円CD、第4ボルト穴形成部32Dの側部、および第5ボルト穴形成部32Eの側部により囲まれた空間に相当する。第2隣接位置中間部38Cは、周方向Rにおいて第4ボルト穴形成部32Dを挟んで基準位置中間部38Aと隣り合う。
【0027】
第1離間位置中間部38Dは、基準面上において内周部分31、仮想円CD、第2ボルト穴形成部32Bの側部、および第1ボルト穴形成部32Aの側部により囲まれた空間に相当する。第1離間位置中間部38Dは、周方向Rにおいて第2ボルト穴形成部32Bを挟んで第1隣接位置中間部38Bと隣り合う。
【0028】
第2離間位置中間部38Eは、基準面上において内周部分31、仮想円CD、第5ボルト穴形成部32Eの側部、および第1ボルト穴形成部32Aの側部により囲まれた空間に相当する。第2離間位置中間部38Eは、周方向Rにおいて第5ボルト穴形成部32Eを挟んで第2隣接位置中間部38Cと隣り合う。
【0029】
ピン穴形成部34は、内周部分31と一体的に形成されている。ピン穴形成部34は、内周部分31から外方ZAに向けて突出している。ピン穴形成部34は、基準位置中間部38Aに形成されている。ピン穴形成部34は、基準面上においてフランジ部30の中心軸Pを挟んで第1ボルト穴形成部32Aと対向している。ピン穴形成部34は、ハブ側ピン穴35を有する。各ピン穴形成部34の外方ZA側の先端部分は、周方向Rの中央部分が径方向Zの外方ZAに最も突出した円弧形状を有する。
【0030】
ピン穴形成部34の長さ(以下、「挿入部長さHP」)は、各ボルト穴形成部32A〜32Eの長さ(以下、「形成部長さHB」)よりも小さい。挿入部長さHPは、基準面上において、内周部分31の外周面を通過する仮想円CCからピン穴形成部34の先端部分までの距離を示す。形成部長さHBは、基準面上において、内周部分31の外周面を通過する仮想円CCから各ボルト穴形成部32A〜32Eの外方ZA側の先端部分までの距離を示す。
【0031】
図1に示されるように、ピン穴形成部34の厚さ(以下、「挿入部厚さTP」)は、各ボルト穴形成部32A〜32Eの厚さ(以下、「形成部厚さTB」)よりも小さい。挿入部厚さTPは、軸方向Xにおいて、ピン穴形成部34におけるホイール対向面30Aから車体対向面30Bまでの距離を示す。形成部厚さTBは、軸方向Xにおいて、各ボルト穴形成部32A〜32Eのホイール対向面30Aから車体対向面30Bまでの距離を示す。
【0032】
ハブ側ピン穴35は、軸方向Xにおいてピン穴形成部34を貫通する。ハブ側ピン穴35は、ピン50が挿入される部分として形成されている。ハブ側ピン穴35は、雌ねじを有する。ハブ側ピン穴35の中心軸は、第1ボルト穴形成部32Aのハブ側ボルト穴33およびフランジ部30の中心軸Pを通過する仮想線LA上に位置する。
【0033】
図2に示されるように、第1肉盛部36は、第1ボルト穴形成部32Aと一体的に形成されている。第1肉盛部36は、第1ボルト穴形成部32Aのうちの第1周方向RA側の側部に形成されている。第1肉盛部36は、第1離間位置中間部38Dに形成されている。第1肉盛部36の厚さは、形成部厚さTBよりも小さい。なお、第1肉盛部36の厚さは、第1肉盛部36におけるホイール対向面30A(
図1参照)から車体対向面30Bまでの寸法を示す。
【0034】
第2肉盛部37は、第1ボルト穴形成部32Aと一体的に形成されている。第2肉盛部37は、第1ボルト穴形成部32Aのうちの第2周方向RB側の側部に形成されている。第2肉盛部37は、第2離間位置中間部38Eに形成されている。第2肉盛部37の厚さは、形成部厚さTBよりも小さい。なお、第2肉盛部37の厚さは、第2肉盛部37におけるホイール対向面30A(
図1参照)から車体対向面30Bまでの寸法を示す。
【0035】
第1肉盛部36は、体積VAおよび重量WAを有する。第2肉盛部37は、体積VBおよび重量WBを有する。ピン穴形成部34は、体積VCおよび重量WCを有する。体積VAおよび体積VBの和は、体積VCと等しい。重量WAおよび重量WBの和は、重量WCと等しい。このため、第1肉盛部36および第2肉盛部37は、ピン穴形成部34と重量のバランスが取れている。
【0036】
図1を参照して、ブレーキロータ40のハブ20への固定方法について説明する。ブレーキロータ40は、5つのロータ側ボルト穴41および1つのロータ側ピン穴42を有する。
【0037】
ブレーキロータ40は、次の手順によりハブ20に固定されている。
最初に、車両用軸受装置10のハブ20がブレーキロータ40に重ね合わせられる。ハブ側ピン穴35は、ロータ側ピン穴42と対向する。ハブ側ボルト穴33は、ロータ側ボルト穴41と対向する。
【0038】
次に、ピン50がロータ側ピン穴42およびハブ側ピン穴35に挿入される。ピン50は、ブレーキロータ40側からロータ側ピン穴42に挿入される。
次に、1つのホイールボルト(図示略)がロータ側ボルト穴41およびハブ側ピン穴35にねじ込まれる。1つのホイールボルト(図示略)は、ブレーキロータ130とは反対側からロータ側ボルト穴41にねじ込まれる。残りの4つのホイールボルト(図示略)は、同様の手順によりロータ側ボルト穴41およびハブ側ピン穴35にねじ込まれる。
【0039】
車両用軸受装置10の作用を比較例のハブとの対比により説明する。
比較例のハブ(以下、「比較ハブ」)は、第1肉盛部36および第2肉盛部37が存在していない点においてハブ20と相違し、その他の点においてハブ20と同一の構成を有する。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、ハブ20の構成と共通する比較ハブの構成に対してハブ20の各構成の符号と同一の符号を付す。
【0040】
比較ハブは、1つのピン穴形成部34を有する。このため、各ボルト穴形成部32A〜32Eを同一の形状に設定しても、ピン穴形成部34の存在により、比較ハブ全体としての重量のバランスが取れない。このため、比較ハブ全体としての重量のバランスを取ることが好ましい。重量のバランスを取る方法の1つは、基準位置中間部38A以外の各中間部38B〜38Eにおいて、ピン穴形成部34と同一または類似の形状を有するリブを形成する方法を提供する。この方法は、各中間部38B〜38Eのそれぞれにリブを形成するため、比較ハブの重量が増加する。このため、重量のバランスが取れる一方、軽量化の点において好ましくない。
【0041】
ハブ20は、1つのピン穴形成部34に加え、第1肉盛部36および第2肉盛部37を有する。第1肉盛部36および第2肉盛部37は、協働してピン穴形成部34との重量のバランスを取る。一方、ハブ20は、1つのピン穴形成部34との重量のバランスを取るためのバランス調整部を第1隣接位置中間部38Bおよび第2隣接位置中間部38Cに有していない。このため、比較ハブよりも重量が小さくなる。すなわち、ハブ20は、重量のバランスが取れ、かつ軽量化に貢献する構造を有する。
【0042】
第1実施形態の車両用軸受装置10は、以下の効果を奏する。
(1)フランジ部30は、離間位置中間部38D,38Eにバランス調整部としての肉盛部36,37を有する。このため、ハブ20は、重量のバランスを取ることができ、かつ比較ハブと比較してハブ20を軽量化することができる。
【0043】
(2)ハブ20の基準位置中間部38A、隣接位置中間部38B,38C、離間位置中間部38D,38Eにおけるハブ20の半径は、各ボルト穴形成部32A〜32Eにおけるハブ20の半径よりも小さい。すなわち、フランジ部30は、基準位置中間部38A,隣接位置中間部38B,38C、および離間位置中間部38D,38Eが肉抜きされている。このため、ハブ20をより軽量化することができる。
【0044】
(第2実施形態)
第2実施形態の車両用軸受装置10は、第1実施形態の車両用軸受装置10と比較して次の部分において異なる構成を有し、その他の部分において同一の構成を有する。第1実施形態の車両用軸受装置10は、5つのボルト穴33を有する。第2実施形態の車両用軸受装置10は、4つのボルト穴63を有する。
【0045】
図3に示されるように、フランジ部30は、内周部分31、ボルト穴形成部群62、1つのピン穴形成部64、ならびに、バランス調整部としての第1肉盛部66および第2肉盛部67を有する。フランジ部30は、基準位置中間部68A、第1隣接位置中間部68B、第2隣接位置中間部68C、および離間位置中間部68Dを有する。
【0046】
ボルト穴形成部群62は、第1ボルト穴形成部62A、第2ボルト穴形成部62B、第3ボルト穴形成部62C、および第4ボルト穴形成部62Dを有する。ボルト穴形成部群62は、第1周方向RAまわりにおいて第1ボルト穴形成部62A、第2ボルト穴形成部62B、第3ボルト穴形成部62C、および第4ボルト穴形成部62Dの順に各ボルト穴形成部62A〜62Dを有する。
【0047】
各ボルト穴形成部62A〜62Dは、それぞれハブ側ボルト穴63を有する。各ボルト穴形成部62A〜62Dは、周方向Rにおいて等間隔に形成されている。各ボルト穴形成部62A〜62Dは、周方向Rにおいて所定の間隔を経て互いに隣り合う。各ボルト穴形成部62A〜62Dは、同一の形状を有する。各ボルト穴形成部62A〜62Dは、周方向Rにおける大きさが互いに等しい。
【0048】
第1ボルト穴形成部62Aおよび第2ボルト穴形成部62Bは、周方向Rにおいて第1離間位置中間部68Dを隔てて互いに隣り合う。第2ボルト穴形成部62Bおよび第3ボルト穴形成部62Cは、周方向Rにおいて第1隣接位置中間部68Bを隔てて互いに隣り合う。第1ボルト穴形成部62Aおよび第4ボルト穴形成部62Dは、周方向Rにおいて第2隣接位置中間部68Cを隔てて互いに隣り合う。第3ボルト穴形成部62Cおよび第4ボルト穴形成部62Dは、周方向Rにおいて基準位置中間部68Aを隔てて互いに隣り合う。
【0049】
5つのハブ側ボルト穴63は、周方向Rにおいて等間隔に形成されている。
基準位置中間部68A、第1隣接位置中間部68B、第2隣接位置中間部68C、および離間位置中間部68Dは、円環形状のフランジの一部分が肉抜きされたことにより形成された空間に相当する。
【0050】
基準位置中間部68Aは、基準面上において内周部分31、仮想円CD、第3ボルト穴形成部62Cの側部、および第4ボルト穴形成部62Dにより囲まれた空間に相当する。基準位置中間部68Aは、基準面上において、ハブ20の中心軸Pを介して離間位置中間部68Dと対向する。
【0051】
第1隣接位置中間部68Bは、基準面上において内周部分31、仮想円CD、第3ボルト穴形成部62Cの側部、および第2ボルト穴形成部62Bの側部により囲まれた空間に相当する。第1隣接位置中間部68Bは、周方向Rにおいて第3ボルト穴形成部62Cを挟んで基準位置中間部68Aと隣り合う。
【0052】
第2隣接位置中間部68Cは、基準面上において内周部分31、仮想円CD、第4ボルト穴形成部62Dの側部、および第1ボルト穴形成部62Aの側部により囲まれた空間に相当する。第2隣接位置中間部68Cは、周方向Rにおいて第4ボルト穴形成部62Dを挟んで基準位置中間部68Aと隣り合う。
【0053】
離間位置中間部68Dは、基準面上において内周部分31、仮想円CD、第2ボルト穴形成部62Bの側部、および第1ボルト穴形成部62Aの側部により囲まれた空間に相当する。離間位置中間部68Dは、周方向Rにおいて第2ボルト穴形成部62Bを挟んで第1隣接位置中間部68Bと隣り合う。離間位置中間部68Dは、周方向Rにおいて第1ボルト穴形成部62Aを挟んで第2隣接位置中間部68Cと隣り合う。
【0054】
ピン穴形成部64は、基準位置中間部68Aに形成されている。ピン穴形成部64は、基準面上においてフランジ部30の中心軸Pを挟んで離間位置中間部68Dと対向している。ピン穴形成部64は、ハブ側ピン挿入穴65を有する。
【0055】
第1肉盛部66は、第2ボルト穴形成部62Bと一体的に形成されている。第1肉盛部66は、第2ボルト穴形成部62Bのうちの第2周方向RB側の側部に形成されている。第1肉盛部66は、離間位置中間部68Dに形成されている。第1肉盛部66の厚さは、形成部厚さTBよりも小さい。なお、第1肉盛部66の厚さは、第1肉盛部66におけるホイール対向面30A(
図1参照)から車体対向面30Bまでの寸法を示す。
【0056】
第2肉盛部67は、第1ボルト穴形成部62Aと一体的に形成されている。第2肉盛部67は、第1ボルト穴形成部62Aのうちの第2周方向RB側の側部に形成されている。第2肉盛部67は、離間位置中間部68Dに形成されている。第2肉盛部67の厚さは、形成部厚さTBよりも小さい。なお、第2肉盛部67の厚さは、第2肉盛部67におけるホイール対向面30A(
図1参照)から車体対向面30Bまでの寸法を示す。
【0057】
第1肉盛部66は、体積VDおよび重量WDを有する。第2肉盛部67は、体積VEおよび重量WEを有する。ピン穴形成部64は、体積VFおよび重量WFを有する。体積VDおよび体積VEの和は、体積VFと等しい。重量WDおよび重量WEの和は、重量WFと等しい。このため、第1肉盛部66および第2肉盛部67は、ピン穴形成部64と重量のバランスが取れている。
【0058】
第2実施形態の車両用軸受装置10は、第1実施形態の(1)および(2)の効果に準じた効果を奏する。このため、第2実施形態の車両用軸受装置10は、ハブの重量のバランスを取り、かつ軽量化に貢献することができる。
【0059】
(その他の実施形態)
本車両用軸受装置は、上記各実施形態以外の実施形態を含む。以下、本車両用軸受装置のその他の実施形態としての上記各実施形態の変形例を示す。なお、以下の各変形例は、互いに組み合わせることもできる。
【0060】
・第1実施形態のハブ20は、基準位置中間部38Aの一部、隣接位置中間部38B,38Cの全体、および離間位置中間部38D,38Eの一部が空間として形成されている。ただし、ハブ20の構成はこれに限られない。例えば、
図4に示す変形例のハブ20は、基準位置中間部38A、隣接位置中間部38B,38C、および離間位置中間部38D,38Eに外周部39を有する。外周部39の外周は、仮想円CDと等しい。外周部39の厚さは、形成部厚さTB、および挿入部厚さTPよりも小さい。なお、外周部39の厚さは外周部39におけるホイール対向面30A(
図1参照)から車体対向面30Bまでの寸法を示す。
【0061】
・第1実施形態の第1肉盛部36および第2肉盛部37は、第1ボルト穴形成部32Aと一体的に形成されている。ただし、第1肉盛部36および第2肉盛部37の構成はこれに限られない。例えば、変形例の第1肉盛部36は、第2ボルト穴形成部32Bの第2周方向RB側の側部に形成されている。変形例の第2肉盛部37は、第5ボルト穴形成部32Eの第1周方向RA側の側部に形成されている。
【0062】
・第2実施形態のハブ20は、フランジ部30に肉盛部66,67が形成されている。ただし、ハブ20の構成はこれに限られない。例えば、
図5に示す変形例のハブ20は、肉盛部66,67を省略している。このハブ20は、フランジ部30にバランス調整部としての突出部69を有する。突出部69は、離間位置中間部68Dの周方向Rの中央部分に形成されている。突出部69は、内周部分31から外方ZAに突出する。突出部69は、ピン穴形成部64と同一の形状を有する。突出部69の体積は、ピン穴形成部64の体積と等しい。突出部69は、ピン穴形成部64と重量のバランスが取れている。なお、突出部69は、ピン穴形成部64と異なる形状を有することもできる。
【0063】
・第2実施形態のハブ20は、基準位置中間部68A、隣接位置中間部68B,68C、離間位置中間部68Dが肉抜きされている。ただし、ハブ20の構成はこれに限られない。例えば、変形例のハブ20は、基準位置中間部68A、隣接位置中間部68B,68C、および離間位置中間部68Dに外周部を有する。外周部の外周は、仮想円CDと等しい。外周部の厚さは、形成部厚さTB、および挿入部厚さTPよりも小さい。なお、外周部の厚さは、外周部におけるホイール対向面30Aから車体対向面30Bまでの寸法を示す。
【0064】
・各実施形態のハブ側ピン穴35は、ピン穴形成部34を貫通する。ただし、ハブ側ピン穴35の構成はこれに限られない。例えば、変形例のハブ側ピン穴35は、ピン穴形成部34を貫通しない。
【0065】
・各実施形態のハブ側ピン穴35は、雌ねじを有する。ただし、ハブ側ピン穴35の構成はこれに限られない。例えば、変形例のハブ側ピン穴35は、雌ねじが形成されていない。
【0066】
・各実施形態のフランジ部30は、肉盛部36,37,66,67の厚さが、形成部厚さTBよりも小さい。ただし、フランジ部30の構成はこれに限られない。例えば、変形例の肉盛部36,37,66,67の厚さは、形成部厚さTBと等しい、または形成部厚さTBよりも大きい。
【0067】
・各実施形態の車両用軸受装置10は、ハブ20と別体の内輪12を有する。ただし、車両用軸受装置10の構成はこれに限られない。例えば、変形例の車両用軸受装置10は、ハブ20と内輪12とが一体的に形成される。
【0068】
・各実施形態の車両用軸受装置10は、従動輪用の軸受装置として構成されている。ただし、車両用軸受装置10の構成はこれに限られない。例えば、変形例の車両用軸受装置10は、駆動輪用の軸受装置として構成されている。