特許第6082649号(P6082649)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6082649内燃機関の排ガス流れへ尿素溶液を注入するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6082649
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】内燃機関の排ガス流れへ尿素溶液を注入するための方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20170206BHJP
   F01N 3/32 20060101ALI20170206BHJP
   F01N 9/00 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   F01N3/08 B
   F01N3/32 B
   F01N3/32 301Z
   F01N9/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-93704(P2013-93704)
(22)【出願日】2013年4月26日
(62)【分割の表示】特願2010-550051(P2010-550051)の分割
【原出願日】2009年2月2日
(65)【公開番号】特開2013-151943(P2013-151943A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2013年5月20日
【審判番号】不服2016-3143(P2016-3143/J1)
【審判請求日】2016年3月1日
(31)【優先権主張番号】102008013960.2
(32)【優先日】2008年3月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510225306
【氏名又は名称】アルボネアー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(74)【代理人】
【識別番号】100202016
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 喬
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ヒュートヴォール
【合議体】
【審判長】 中村 達之
【審判官】 松下 聡
【審判官】 金澤 俊郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−531843(JP,A)
【文献】 特開2006−132393(JP,A)
【文献】 特開2004−360578(JP,A)
【文献】 特開2007−40118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N3/08
F01N3/32
F01N9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的触媒還元用として内燃機関の排ガス流れ(9)に尿素溶液を圧縮空気によって導入する際の導入制御方法において、
尿素溶液は、外部混合二流体ノズルを使用することで微粒化され、
外部混合二流体ノズルにおいて、尿素溶液は、圧縮空気によって微粒化され、
尿素溶液の噴霧のために供給される圧縮空気の量を、導入される尿素溶液の液滴性状が触媒の作用にとって十分なものになるように、各運転点にて、排ガス温度と排ガス質量流量の運転パラメータに基づいて制御し、かつ、それぞれの場合に要求される最少空気量に低減し
尿素溶液の導入が中断または完了した時に、尿素溶液搬送ラインから尿素溶液を圧縮空気によって排除することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記尿素溶液の導入の中断または完了を、定量ポンプ(3)の停止によって行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的触媒還元用として内燃機関の排ガス流れの中に尿素溶液を噴霧するための配量システム(調量システム)に関する。この配量システムは、尿素溶液を取り出すことができる尿素溶液タンクに接続でき、かつ、圧縮空気供給ラインに接続できる。また、この配量システムは、尿素溶液を圧縮空気によって排ガス流れの中に噴霧できる少なくとも1つのノズルを有する。本発明は、さらに、選択的触媒還元用として内燃機関の排ガス流れの中に尿素溶液を圧縮空気によって噴霧する場合の噴霧の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SCR触媒は、ディーゼルエンジンからの窒素酸化物の排出を防止するために用いられる。このため、還元剤を、配量装置によって排ガスシステムの中に噴霧する。還元剤としてはアンモニアが用いられる。
【0003】
アンモニアを自動車に持ち込むことは安全上問題であるので、通常、32.5%の尿素分率の尿素の水溶液が用いられる。排ガス中において、尿素は、150℃を超える温度で気体アンモニアおよびCOに分解する。この尿素分解のパラメータは、本質的に、時間(蒸発および反応時間)と、温度と、噴霧される尿素溶液の液滴サイズとである。このSCR触媒内において、窒素酸化物の排出物は、選択的触媒還元(SCR)によって、約90%還元される。
【0004】
尿素噴霧用の種々のシステムが知られている。尿素の噴霧は圧縮空気によって補助することができ、圧縮空気がエネルギー供与体として用いられる。これは、小さい液滴の実現に有利である。
【0005】
約200℃を超える高温においては、尿素は分解して除去困難な付着物を形成する可能性があり、この付着物はノズルを閉塞することがある。従って、圧縮空気は、高温の排ガス温度における尿素ノズルの周囲を追加的に冷却するためにも用いることができる。尿素溶液は、配量システムによって配量されて、排ガス流れの中に注入され、SCR触媒内で所要の化学反応を惹起する。この場合、窒素酸化物が窒素および水蒸気に転化される。
【0006】
現在自動車に用いられているシステムにおいては、圧縮空気および尿素は、混合チャンバ内で組み合わされ、単純な孔ノズルから排ガス中に噴霧される。この場合、空気の質量流量は、尿素が、混合チャンバ前面の空気流れの中に逆流するのを防ぐために一定値に調整される。これによって、尿素を搬送する領域と尿素を含まない領域との間に明確な境界が示され、混合システム内での尿素の結晶化が回避される。配量システムにおいて、尿素のみが時折流入するような領域は避けなければならない。このような領域では、尿素水溶液が乾燥して尿素の結晶が形成され、空気流路または尿素流路が塞がれる危険性があるからである。
【0007】
既知のシステムの場合、尿素の結晶化の結果としての閉塞の傾向が欠点である。液体の尿素によってこのような結晶を再溶解することが可能であるが、少なくとも時折、システムの閉塞を回避できない場合がある。
【0008】
商用車は、一般的に、ブレーキ装置および他の付加的な用途用として圧縮空気システムを有する。このシステムの空気圧力は、ほとんどの場合10バールより高い。既知のシステムにおいては、商用車のこの圧縮空気システムの圧縮空気を、既知の配量システムによる尿素の微粒化乃至細分化もしくは噴霧のためとしても使用する。
【0009】
しかし、この場合、配量システムによる連続的な空気消費のために、結果的にエンジンの燃料消費量が増大することが不利である。また、空気の供給を、尿素配量システムの形態の付加的な用途に適合させなければならないことも不利である。この場合、特に、出力増大した複数コンプレッサが必要になる点が不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、微粒化が圧縮空気によって補助される配量システムであって、しかも圧縮空気の消費が最少化されるような配量システムを利用可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、本発明に従って、請求項1による尿素溶液の噴霧の制御方法とによって達成される。本発明の有利な実施形態が、それぞれの従属請求項に示される。
【0012】
選択的触媒還元用として内燃機関の排ガス流れの中に尿素溶液を噴霧するための配量システムであって、尿素溶液を取り出すことができる尿素溶液タンクに接続でき、かつ、圧縮空気供給ラインに接続でき、さらに、この配量システムは、尿素溶液を圧縮空気によって排ガス流れの中に噴霧できる少なくとも1つのノズルを有する配量システムにおいて、この配量システムが、圧縮空気供給ラインの圧力および/または空気量および/または弁開時間を制御できる空気制御弁を有すること、および、圧縮空気供給ラインにおける圧力および/または空気量を測定するためのセンサを、前記空気制御弁とノズルとの間に配置することが、特に有利である。
【0013】
従って、尿素溶液を排ガスの流れの中に注入または噴霧するための本発明による配量システムにおいては、圧縮空気供給ラインの空気圧力が、監視されかつ要求に合致するように制御される。
【0014】
選択的触媒還元用として内燃機関の排ガス流れの中に圧縮空気によって尿素溶液を噴霧する場合の噴霧を制御する本発明による方法においては、微粒化用として尿素溶液に供給される圧縮空気の量が、噴霧される尿素溶液の液滴性状が触媒の作用にとって十分なものになるように、各運転点において、排ガス温度および排ガス質量流量の運転パラメータに基づいて制御され、かつ、それぞれの場合に要求される最少空気量に低減されることが特に有利である。
【0015】
このため、本発明による配量システムおよび本発明による尿素溶液噴霧の制御方法においては、圧縮空気を、対応する制御弁によって制御しながら供給する。供給される空気量は、各運転点において、液滴の性状が触媒の作用にとって辛うじて十分になる程度に抑えられる。これは、エンジンの各運転点において、空気を配量する量を、運転パラメータに応じて適合させることによって行われる。この場合、運転パラメータとして、特に排ガス温度および/または排ガス質量流量を測定して空気量の制御部に送る。すなわち、空気量が、現時点のエンジン運転点に基づいて、それぞれの場合において再調整される。
【0016】
ノズルにおける空気量の低下は、液滴性状の悪化、すなわち液滴径の増大を意味する。要求される最低限の液滴性状は、それぞれの運転点において要求される触媒の効率の程度に依存している。圧縮空気量は、それぞれの要求に対応して必要最少限度に抑えられる。これによって、自動車のエンジンの燃料消費は大幅に低下する。
【0017】
この配量システムの特に好適な実施形態においては、空気制御弁が比例制御弁である。比例制御弁を用いることによって、圧縮空気供給ラインの空気供給量、すなわち尿素溶液噴霧用として排ガス流れの中に送入される空気量の正確な制御が可能になる。
【0018】
空気制御弁とノズルとの間に配置されるセンサは、圧力センサとするのが好ましい。この圧力センサによって、圧縮空気システム内の圧力を空気制御弁の後ろで監視する。
【0019】
特に好ましい実施形態においては、配量システムが、エンジン制御システムから排ガスの質量流量の信号を受け取る。排ガスの質量流量は、吸気された空気の質量流量および燃料の質量流量からエンジンの制御装置によって計算され、排ガスの質量流量の信号として供給される。代替方式として、配量システムが、排ガス質量流量を測定するセンサを有する。代替的にまたは追加的に、配量システムが排ガス温度を測定するセンサを有することが好ましい。
【0020】
排ガスの質量流量の信号および/または排ガス温度から、それぞれのエンジンの運転点に応じて存在する排ガス温度および/または排ガス質量流量の運転パラメータを決定し、配量システムの対応する制御電子装置において評価して、測定される運転パラメータに応じて圧縮空気供給ラインの圧力および/または空気量および/または弁開時間を制御することが可能になる。
【0021】
空気量の配量を適合させるための影響因子は、特に、
−排ガス温度
−排ガス質量流量
−尿素質量流量
−触媒の効率の必要程度
−触媒サイズ
−尿素配量点と触媒との間の予備混合部分
である。
【0022】
従って、本発明による配量システムによって、空気量を、各個別の運転点において、それぞれの境界条件に基づいて最適化することが可能である。
【0023】
特に好ましい実施形態においては、圧縮空気供給ラインが絞り弁を有する。絞り弁を配置することによって、ノズルへ供給する前の空気圧力システムにおける空気圧力を対応して低下させることができる。
【0024】
特に好ましい実施形態においては、配量システムが、尿素溶液を搬送する定量ポンプを有する。特に、この定量ポンプは、それぞれの運転点において尿素溶液の供給流量をその定量ポンプの対応する作動によって適合させることが可能な方式によって、尿素溶液の要求される質量流量に制御し得る定量ポンプとすることができる。
【0025】
尿素出口と圧縮空気供給ラインとの間には、接続ラインを設けることが好ましい。この場合、この接続ラインは逆止弁を有する。
【0026】
配量休止時には空気の供給を完全に中断するために、高温領域から尿素を除去することが必要である。これは付着物の形成を避けるためである。そうしないと、尿素が高温で分解して付着物を生成し閉塞を生じさせるであろう。圧縮空気ラインの構成によって、すなわち、尿素ラインと圧縮空気供給ラインとの間に接続ラインを設けることによって、配量休止時に圧縮空気によって尿素の蓄積をフリーブローすることができ、このような付着物を防止できる。この接続ラインには逆止弁が挿入され、その開圧力が、配量時に設定される空気弁後の空気圧力を超える値に設定される。
【0027】
配量運転時には、圧縮空気ライン内の圧力はこの逆止弁の開圧力未満であるので、逆止弁は閉じられる。圧縮空気によって尿素ラインをブローして空にするために、定量ポンプによる尿素の供給を停止して、空気弁を、短時間、但し圧力が逆止弁の開圧力を超え得るに十分な時間、開く。圧縮空気ラインにおける絞りのために、配量ライン中に圧力の落差が生じ、圧縮空気が尿素を排ガスシステムの中に排出して、このラインはブローされて空になる。短時間の空気噴出後、尿素は配量ノズルからブローされ、空気供給を完全に停止できる。
【0028】
配量システムは圧縮空気コンプレッサを有することが好ましい。配量システムの搭載環境に圧縮空気の供給ラインがないか、あるいは不十分な圧縮空気供給ラインしかない場合、このような圧縮空気コンプレッサによって、配量システムへの必要な圧縮空気の供給が可能になる。
【0029】
配量システムは制御装置を有することが好ましい。この制御装置は、1つまたは複数のセンサから得られる測定値に基づいて、空気弁および/または絞り弁および/または定量ポンプおよび/または圧縮空気コンプレッサを制御するためのものである。
【0030】
配量システムの1つ以上の構成要素を、センサの測定値、すなわち現時点の運転パラメータに基づいて制御するこのような制御装置を配置することによって、配量システムの運転の最適化、すなわち空気の最適化を、特に有利に実現できる。すなわち、このような制御装置によって、尿素の供給流量および空気の供給流量を、内燃機関および選択的触媒還元用触媒の現時点の運転パラメータに最適に適合させる−従って制御する−ことが可能になる。
【0031】
配量システムは尿素溶液タンクを有することが好ましい。配量システム自体が尿素溶液タンクを有することによって、尿素溶液タンクが装備済みでない搭載環境においても、配量システムを追加設置することが可能である。
【0032】
好ましい実施形態においては、配量システムが二流体ノズルを有する。この二流体ノズルは外部混合ノズルであることが特に好ましい。
【0033】
選択的触媒還元用として内燃機関の排ガス流れの中に尿素溶液を圧縮空気によって噴霧または注入する場合の本発明による制御方法は、尿素溶液の噴霧が中断または完了した時に、尿素溶液搬送ラインから尿素溶液を圧縮空気によって排除するように構成される点が好ましい。
【0034】
従って、この方法は、基本的に、尿素溶液供給の完了または中断を、圧縮空気の供給が完了または中断される前の時点において実行し、尿素溶液供給の中断または完了後においては、圧縮空気を、尿素溶液搬送部分の圧縮空気による清浄化のために用いるように構成される点が好ましい。この方式によって、尿素は、特に、配量システムの高温領域から除去される。この方式を採用しなければ、尿素が高温度において分解し、付着物を形成して閉塞をもたらす可能性があるであろう。
【0035】
圧縮空気によって尿素ラインをブローして空にするために、定量ポンプによる尿素の供給を停止して、空気制御弁を、短時間、但し圧力が、尿素ラインおよび圧縮空気ラインの間の接続ライン中の逆止弁の開圧力を超え得るに十分な時間、開く。この結果、配量ライン中に圧力の落差が生じ、圧縮空気が尿素を排ガスシステムの中に排出し、従って尿素搬送ラインがブローされて空になる。短時間の空気噴出後、尿素は配量ノズルからブローされ、空気供給を完全に停止できる。
【0036】
このため、尿素溶液の噴霧を、定量ポンプを停止することによって中断または完了することができる。
【0037】
配量を再開する前に、最初に、尿素がノズルに流入する前にノズルを冷却するために、圧縮空気を、通常の配量空気の供給量を超える値に調整することが有用である。
【0038】
尿素をラインからブローして排除することは、全システムを停止する場合にも有利である。尿素は−11℃未満の温度で凍結し、この際、尿素の水溶液は約10%膨張する。これは寒冷圧力(凍結圧力)をもたらし、構成要素を破壊する可能性がある。従って、システムを完全に停止する前に、尿素をブローしてノズルから排出する必要がある。
【0039】
これは、特に、尿素供給の完了後に、全システムを圧縮空気によって清浄化する、すなわち、尿素を圧縮空気によってブローしてシステムから排出することによって行うことができる。
【0040】
尿素溶液を噴霧または注入する場合の本発明による制御方法においては、少なくとも定量ポンプおよび/または少なくとも圧縮空気コンプレッサおよび/または少なくとも空気制御弁の作動を、排ガス温度および排ガス質量流量の運転パラメータに基づいて実行することが好ましい。このため、対応する制御装置によって、構成要素の作動を正確に実施し得るように、さまざまに得られる運転パラメータを評価することができる。
【0041】
図においては、内燃機関の排ガス流れの中に尿素溶液を噴霧するための本発明による配量システムの2つの実施形態を示し、説明している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】配量システムの第1実施形態の系統図を示す。
図2】配量システムの第2実施形態の系統図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図においては、同一の構成要素およびアセンブリには同じ参照番号が付されている。図1は、尿素配量システムの第1実施形態の概略図を示す。
【0044】
尿素は、吸い込みライン2を介して定量ポンプ3によってタンク1から吸引される。定量ポンプ3は、例えば、ストロークごとに規定された量の尿素溶液を輸送する、従って等量で配量する膜ポンプまたは往復動ポンプである。尿素は、圧力ライン4を経由して二流体ノズル5に送られる。この二流体ノズル5は、空気ジェットが尿素を微粒化する外部混合ノズルとするのが好ましい。
【0045】
圧縮空気は、圧縮空気容器6から比例空気弁7に送られる。比例空気弁7は、圧力流れを、電子システム12が規定する値に低下調節する。電子制御ユニット12によってこの値を計算するための入力値は、エンジンの電子システムから供給される排ガスの質量流量のようなエンジンデータと、さらに、排ガス温度と、二流体ノズル5の前の圧縮空気圧力とである。二流体ノズル5の前の圧力は、受け入れた空気の容積流量の基準になる。空気は、圧縮空気ラインおよび逆止弁8を経由して二流体ノズル5に送られる。尿素は、二流体ノズル5において圧縮空気によって微粒化され、排ガスの流れ9に供給される。
【0046】
排ガス質量流量と、空気圧力と、排ガス温度との運転パラメータを測定するために、次のセンサが配置される。すなわち、排ガス質量流量検出用のセンサ11と、二流体ノズル5の前の圧縮空気圧力検出用の圧力センサ16と、排ガスの流れ9内の排ガス温度検出用の温度センサ17とである。図示されていない別の1つの実施形態においては、排ガスの質量流量の信号がエンジン管理システムから提供される。
【0047】
センサ11、16、17の測定値は制御ユニット12に送られる。制御ユニット12においては、得られたセンサデータおよびエンジンデータが評価され、比例空気弁7および定量ポンプ3をその時点の運転データに基づいて作動させる。二流体ノズル5のノズルチップは排ガスの流れ9の中に配置され、尿素は、排ガスラインを経由してSCR触媒10に送られる。この場合、液滴の大部分は蒸発し、尿素はアンモニアに転化される。触媒10内部で、エンジンからの窒素酸化物排出物質がアンモニアによって還元される。
【0048】
比例空気弁7と二流体ノズル5との間の圧力ラインにおける逆止弁8は、ノズル5が閉塞した場合に尿素が圧縮空気ラインの中に押し込まれる可能性を防止する。
【0049】
図2は、本発明による配量システムの第2実施形態を示す。この実施形態においては、尿素が高温度において分解して付着物を形成することを避けるために、配量休止時に尿素を高温領域から除去するように、圧縮空気によって尿素を圧力ラインおよびノズルから排除することが−能動作動する付加的な構成要素なしに−可能である。
【0050】
この場合、比例空気弁7の下流側の圧縮空気ラインを、スプリング付勢される逆止弁14を介して、ライン13によって尿素ライン4と接続する。さらに、比例圧縮空気弁7とライン13の分岐点との下流側の圧縮空気ラインに、流れの絞り15を挿入する。
【0051】
最も簡単な場合には、ラインそのものが流れの絞り15の機能を担うことができる。但し、これはラインが十分な長さを有する場合である。配量運転中、絞り15のライン内の圧力はスプリング付勢される逆止弁14の開圧力より低い。圧縮空気はノズル5を通って流れる。この場合、添加された尿素は微粒化される。定量ポンプ3の停止時に、比例圧力弁7の下流側の圧力が逆止弁14の開圧力を超える値に上昇すると、空気は、尿素の圧力ライン4に流入し、ライン4およびノズル5内の尿素は排除される。従って、エンジンオフ後には、ノズル5の領域には尿素は存在せず、そのため、対寒冷抵抗力が高い。エンジンの運転中においては、配量なしの高温排ガス温度において、付着物が形成することはあり得ない。
図1
図2