(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも片面に後述する塗布層を有するものである。
【0013】
[ポリエチレンテレフタレートフィルム]
本発明における配向ポリエチレンテレフタレート(以下、PET略称することがある)フィルムを構成するポリエステルは、全繰返し単位を基準として、エチレンテレフタレート単位が95モル%以上、好ましくは98モル%以上のポリエステルであり、特に好ましくは共重合成分を併用していないホモポリエステルである。共重合ポリエチレンテレフタレートである場合には、共重合成分として、例えば、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸成分や、ジエチレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジオール等のグリコール成分を用いることができる。
【0014】
ポリエチレンテレフタレートの固有粘度は、o−クロロフェノール中35℃において、0.40dl/g以上であることが好ましく、0.50〜0.90dl/gであることがさらに好ましい。固有粘度が0.40dl/g未満の場合には、フィルム製膜時に切断が多発したり、成形加工後の製品の強度が不足することがある。一方、固有粘度が高くなりすぎると溶融粘度が高くなるため、溶融押出が困難であるうえ、重合に長時間を要し生産性も悪くなることがある。
なお、ポリエチレンテレフタレートには、本発明の目的を損なわない範囲で他のポリマーや添加剤を少量含有していてもよく、例えば不活性粒子などの滑剤、顔料、染料などの着色剤、安定剤、難燃剤、発泡剤、紫外線吸収剤などの添加剤が例示される。
【0015】
本発明の積層ポリエステルフィルムは、高い透明性を維持する観点からはPETフィルム中に不活性粒子を含まないことが好ましい。しかし、製造工程での微小なキズ防止や、フィルムの巻取り性を向上させるために、滑剤として少量の不活性粒子を含有させてもよい。不活性粒子は、例えば平均粒径0.01〜2μm、さらには0.05〜1μm、特に0.1〜0.3μmのものを用いるとよい。配合割合としては、配合する層の重量を基準として、例えば100ppm以下、さらに10ppm以下、特に1ppm以下とするのが好ましい。
【0016】
かかるポリエステルからなる配向ポリエチレンテレフタレートフィルムは、一軸延伸フィルムであっても二軸延伸フィルムであってもよいが、面内方向の機械的特性や熱的特性の均一性の点から二軸延伸フィルムであることが好ましい。その際、面方向屈折率(フィルム面内において、任意の一方向の屈折率とそれに垂直な方向の屈折率との平均屈折率)は、フィルムに要求される機械的特性、熱的特性、寸法安定性等の観点から任意に設定可能であるが、通常アッベ屈折計で1.6〜1.7の範囲であり、この範囲にあれば、後述する塗布層を設けた本発明の積層ポリエステルフィルム上にハードコート層などの機能層を設けても、光の干渉斑(色斑感)の発生を抑制することができる。
【0017】
[塗布層]
本発明の積層ポリエステルフィルムは、上記の配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも片面に、もしくは必要に応じて両面に、下記共重合ポリエステルを塗布層の質量を基準として70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上、特に好ましくは90質量%以上含有する塗布層を有する。共重合ポリエステルの割合が70質量%以上であることにより、ハードコート層などの機能層との接着性が良好となり、また、塗布層の屈折率を適正な範囲とすることができるので光の干渉斑を抑制することができる。さらに、塗布層のガラス転移温度(Tg)も適性な範囲となって造膜性が向上し、塗布層のひび割れが低減され、かかるひび割れに起因した接着性低下を抑制することができ、接着性に優れた積層ポリエステルフィルムが得られる。
【0018】
なお、配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの面方向屈折率は通常1.66程度あり、機能層として通常用いられるアクリル系樹脂系ハードコート層の屈折率は1.52程度であるので、塗布層の屈折率は1.57〜1.62の範囲が好ましく、1.58〜1.61の範囲がより好ましく、特に好ましくは1.59〜1.60の範囲である。かかる屈折率は、後述する共重合ポリエステルを採用することにより容易に達成することができる。
塗布層の厚みは、好ましくは50〜100nm、さらに好ましくは70〜90nmである。塗布層の厚みをこの範囲にすることで、そのうえにアクリル系ハードコート層等の機能層を設けたときに、光の干渉斑を抑制する効果がより高まるので好ましい。
【0019】
(共重合ポリエステル)
本発明の塗布層に含有される共重合ポリエステルは、該共重合ポリエステルの全ジカルボン酸成分(100モル%)を基準として、ナフタレンジカルボン酸成分を60〜90モル%、炭素数6〜12のアルキレンジカルボン酸成分および炭素数4〜10のアルキレングリコール成分を合計15〜50モル%、前記式(I)で示されるフルオレン構造を有するグリコール成分を5モル%以上20モル%未満、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分を0.1〜5モル%含むものである。
【0020】
ナフタレンジカルボン酸成分の割合が上記範囲にあることにより、共重合ポリエステルの屈折率を高くすることができ、容易に塗布層の屈折率を上述の好ましい範囲とすることができ、光の干渉斑を抑制することができる。また、溶剤に対する塗布層の耐膨潤性も良好なものとなる。このナフタレンジカルボン酸成分の割合が下限未満になると、共重合ポリエステルの屈折率が低くなるため、結果として塗布層の屈折率が低くなって光の干渉斑を抑制する効果が不十分となる。さらに有機溶剤に対する膨潤性が大きくなる(耐溶剤性が悪化)ため、ハードコート層などの機能層用塗布液中の有機溶剤に接触した際に膨潤して塗布層の厚み斑に起因する干渉斑が発生しやすくなるだけでなく、耐ブロッキング性も低下するため好ましくない。他方、ナフタレンジカルボン酸成分の割合が多くなるほど共重合ポリエステルの屈折率は大きくなるので、塗布層としては他の(後述する架橋剤やその他の成分等)の割合を増やすことができる。しかし、同時に共重合ポリエステルのガラス転移温度(Tg)が高くなって塗布層のガラス転移温度も高くなる傾向にあり、塗布層の造膜性が低下して、得られる積層ポリエステルフィルムの接着性が低下しやすくなる。したがって、ナフタレンジカルボン酸成分の含有量の好ましい下限は65モル%であり、好ましい上限は85モル%、より好ましくは80モル%、さらに好ましくは75.9モル%、特に好ましくは70モル%である。
【0021】
ここでナフタレンジカルボン酸成分としては、2,7−ナフタレンジカルボン酸成分や2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、1,4−ナフタレンジカルボン酸成分等があげられるが、なかでも2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が好ましい。
【0022】
また、共重合ポリエステルの全酸成分を基準として、炭素数6〜12のアルキレンジカルボン酸成分および炭素数4〜10のアルキレングリコール成分を合計15〜50モル%含有している。好ましくは、炭素数6〜12のアルキレンジカルボン酸成分を0〜39.9モル%および炭素数4〜10のアルキレングリコール成分を0〜50モル%を含有し、かつ該アルキレンジカルボン酸成分と該アルキレングリコール成分の合計が15〜50モル%となるように含有している態様である。このため、共重合ポリエステルのTgを低くすることができ、塗布層のTgを低くすることができる。その結果、配向ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布層を形成する際に通常採用されるインラインコーティング法でも、塗布層の造膜性に優れているので、乾燥・延伸条件下で塗布層に割れ(クラック)が発生するのを抑制し、接着性に優れた積層ポリエステルフィルムが得られる。特に、配向ポリエステルフィルムの製造に同時二軸延伸法を採用し、塗布層の形成にインラインコーティング法を採用する場合には、予熱・乾燥温度が比較的低くなりやすいために本発明の効果が大きく特に好ましい。また、接着性、耐ブロッキング性にも優れる。
【0023】
上記アルキレンジカルボン酸成分と上記アルキレングリコール成分の合計量が下限未満になると、共重合ポリエステルのTgが十分には下がらないため、得られる積層ポリエステルフィルムの接着性が不十分なものとなる。他方、上記アルキレンジカルボン酸成分またはアルキレングリコール成分が上限を超えるか、両者の合計が上限を超える場合には、耐ブロッキング性が低下するだけでなく、他の共重合成分の含有量が少なくなることとなる結果、共重合ポリエステルの屈折率が低くなって光干渉斑を抑制する効果が不十分となる。また、塗布層の耐溶剤性も低下する恐れがある。そのような観点から、アルキレンジカルボン酸成分とアルキレングリコール成分の合計量は、20〜50モル%の範囲とするのが好ましい。
【0024】
好ましく用いられる炭素数6〜12のアルキレンジカルボン酸成分(炭素数4〜10のアルキレン基を有するジカルボン酸成分)としては、例えば1,4−ブタンジカルボン酸成分、1,6−ヘキサンジカルボン酸成分、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸成分、1,8−オクタンジカルボン酸成分、1,10−デカンジカルボン酸成分等をあげることができる。中でも、適度なTgが得られるという観点から、炭素数4〜8のアルキレン基を有するジカルボン酸成分が好ましく、炭素数4〜6のアルキレン基を有するジカルボン酸成分がさらに好ましい。
【0025】
また、好ましく用いられる炭素数4〜10のアルキレングリコール成分としては、例えば1,4−ブタンジオール成分、1,6−ヘキサンジオール成分、1,4−シクロヘキサンジオール成分、1,8−オクタンジオール成分、1,10−デカンジオール成分等を挙げることができる。中でも、適度なTgが得られるという観点から、炭素数4〜8のアルキレングリコール成分が好ましく、炭素数4〜6のアルキレングリコール成分がさらに好ましい。
【0026】
なお、共重合ポリエステルに他の共重合成分を含有させて他の機能を付与しようとする場合は、酸成分として含有させることがやりやすく、また重合反応もしやすいため、酸成分に共重合の余地を残しておくという観点から、上記のアルキレンジカルボン酸成分とアルキレングリコール成分の中では、アルキレングリコール成分として含有させる方がより好ましい。
【0027】
また、共重合ポリエステルの全酸成分を基準として、前記式(I)で示されるフルオレン構造を有するグリコール成分を5モル%以上20モル%未満含んでいるので、共重合ポリエステルのTgを適度に低い温度に維持しながら、屈折率を好ましい範囲とすることができる。前記式(I)で示されるフルオレン構造を有するグリコール成分の含有量が5モル%未満の場合には、共重合ポリエステルの屈折率を好ましい範囲とすることが難しくなり、光の干渉斑を抑制できない。他方20モル%以上の場合には、共重合ポリエステルのTgが高くなりすぎるため、塗布層の造膜性が低下して得られる積層ポリエステルフィルムの透明性が低下するだけでなく、接着性も低下する。このような観点から、好ましい下限値は3モル%であり、さらに好ましくは5%であり、好ましい上限値は15モル%であり、さらに好ましくは10%である。
【0028】
好ましく用いられる前記式(I)で示されるフルオレン構造を有するグリコール成分としては、例えば9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン成分、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)-2-メチルフェニル]フルオレン成分を挙げることができる。
【0029】
さらに本発明の共重合ポリエステルは、全酸成分を基準として、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分の含有量が0.1〜5モル%である。これにより、湿熱環境下における接着性を高くすることができる。多くなりすぎると湿熱環境下における接着性が低くなる傾向にあるので、0.1〜4.5モル%の範囲が特に好ましい。他方、含有量が少なすぎても、溶媒(特に水溶媒)に分散させたり溶解させたりする効果が低下し、均一な塗布がし難くなる傾向にあり、それにより接着性、特に湿熱環境下における接着性が低くなる傾向にある。かかる観点から、0.2モル%以上が好ましく、0.4モル%以上がより好ましい。
【0030】
このスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分、5−カリウムスルホイソフタル酸成分、5−リチウムスルホイソフタル酸成分、5−ホスホニウムスルホイソフタル酸成分等が挙げられるが、水分散性良化の点から、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分が最も好ましい。
【0031】
以上に説明した本発明の共重合ポリエステルは、上記の成分に加えて、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体成分を5〜25モル%、さらには10〜20モル%含有していることが好ましく、これにより屈折率を維持しながら、Tgをより好ましい範囲とすることができ、接着性も向上する。なお、エチレンオキサイドの平均付加モル数はビスフェノールA1モルに対して2〜4モルの範囲が適当である。
【0032】
また、上記の成分に加えて、屈折率を維持しながら共重合ポリエステルのTgをより好適な範囲とするために、テレフタル酸および/またはイソフタル酸を20〜39.9モル%、特に24〜34モル%含有していることが好ましい。なかでもイソフタル酸成分が、より適したTgを得やすいので好ましい。
【0033】
本発明の共重合ポリエステルは、上記以外の酸成分やジオール成分を含有していてもよく、酸成分としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸などを例示することができ、またジオール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、キシレングリコール、ジメチロールプロパンなどを例示することができる。さらに若干量であれば、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多官能酸成分、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの多官能ヒドロキシ成分や、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール等のポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分を用いてもよい。本発明においては、特にジオール成分としては、上述の必須あるいは好ましいジオール成分を必須あるいは好ましい含有量で含有し、その余のジオール成分がエチレングリコール成分である態様が好ましい。
【0034】
本発明の共重合ポリエステルの好ましい固有粘度(IVと省略することがある。)の範囲は、0.2〜0.8dl/gであり、下限はさらに0.3dl/g、特に0.4dl/gであることが好ましく、上限はさらに0.7dl/g、特に0.6dl/gであることが好ましい。ここで固有粘度は、オルトクロロフェノールを用いて35℃において測定した値である。
【0035】
また、本発明の共重合ポリエステルのガラス転移温度(Tg)は、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にインラインコーティングする際の塗膜形成性(造膜性)や接着性の点から70℃以下であることが好ましく、耐ブロッキング性の点からは40℃以上、特に45℃以上であることが好ましい。また、共重合ポリエステルの屈折率は、塗布層の屈折率を前述の好適な範囲として光の干渉斑(色斑感)を抑制することが容易となるので、1.58〜1.65の範囲、さらに1.60〜1.63の範囲、特に1.61〜1.62の範囲にあることが好ましい。共重合ポリエステルのTgと屈折率を同時に満足させるためには、前述の共重合ポリエステルに関する要件を採用すればよい。
好ましく用いられる共重合ポリエステルとして、例えば下記の共重合ポリエステルを例示することができる。
【0036】
[共重合ポリエステルの好ましい態様1]
(A2)ナフタレンジカルボン酸成分を60〜90モル%
(B2)炭素数6〜12のアルキレンジカルボン酸成分を0〜39.9モル%、炭素数4〜10のアルキレングリコール成分を0〜50モル%、該アルキレンジカルボン酸成分と該アルキレングリコール成分の合計が15〜50モル%
(C2)前記式(I)で表わされるフルオレン構造を有するグリコール成分を5モル%以上20モル%未満
(D2)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加体成分を5〜25モル%
(F2)スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分を0.1〜5モル%
(ただし、上記モル%は、共重合ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%に対する値である。)
含む共重合ポリエステル。
【0037】
[共重合ポリエステルの好ましい態様2]
(A3)ナフタレンジカルボン酸成分を60〜80モル%
(B3)炭素数4〜10のアルキレングリコール成分を15〜50モル%
(C3)前記式(I)で表わされるフルオレン構造を有するグリコール成分を5モル%以上20モル%未満
(D3)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加体成分を5〜25モル%
(E3)テレフタル酸成分および/またはイソフタル酸成分を20〜39.9モル%
(F3)スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分を0.1〜5モル%
(ただし、上記モル%は、共重合ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%に対する値である。)
含む共重合ポリエステル。
【0038】
[共重合ポリエステルの好ましい態様3]
(A4)ナフタレンジカルボン酸成分を60〜80モル%
(B4)炭素数4〜10のアルキレングリコール成分を15〜50モル%
(C4)前記式(I)で表わされるフルオレン構造を有するグリコール成分を5モル%以上20モル%未満
(E4)テレフタル酸成分および/またはイソフタル酸成分を20〜39.9モル%
(F4)スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分を0.1〜5モル%
(ただし、上記モル%は、共重合ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%に対する値である。)
含む共重合ポリエステル。
【0039】
[共重合ポリエステルの好ましい態様4]
(A5)ナフタレンジカルボン酸成分を60〜75.9モル%
(B5)炭素数4〜10のアルキレングリコール成分を15〜50モル%
(C5)前記式(I)で表わされるフルオレン構造を有するグリコール成分を5モル%以上20モル%未満
(D5)ビスフェノールAエチレンオキサイド付加体成分を5〜25モル%
(E5)テレフタル酸成分および/またはイソフタル酸成分を20〜39.9モル%
(F5)スルホン酸塩基を有するジカルボン酸成分を0.1〜5モル%
(ただし、上記モル%は、共重合ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%に対する値である。)
含む共重合ポリエステル。
【0040】
以上に詳述した本発明の共重合ポリエステルは、従来公知のポリエステル製造技術により製造することができる。例えば2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、イソフタル酸またはそのエステル形成性誘導体および5−ナトリウムスルホイソフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を、テトラメチレングリコール、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加体成分と反応せしめてモノマーもしくはオリゴマーを形成し、その後真空下で重縮合せしめることによって所定の固有粘度の共重合ポリエステルとする方法で製造できる。その際、反応を促進する触媒、例えばエステル化もしくはエステル交換触媒、重縮合触媒を用いることができ、また種々の添加剤、例えば安定剤等を添加することもできる。
【0041】
本発明の共重合ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも片面に塗布されるが、ポリエステルフィルムを製膜する際に塗布するインラインコーティング法が好ましいので、該共重合ポリエステルを水分散体として用いることが好ましい。水分散体とする方法は特に限定する必要はなく、従来公知の方法を採用すればよい。
【0042】
(架橋剤)
本発明の塗布層には、上述の共重合ポリエステルに加えて架橋剤を配合することが好ましい。好ましく用いられる架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メラミン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤などを例示することができ、これらは1種類を用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0043】
エポキシ系架橋剤としては、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等が挙げられ、ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ−1、4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としては、例えばN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサンが挙げられる。
【0044】
オキサゾリン系架橋剤としては、オキサゾリン基を含有する重合体が好ましい。付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであればよく、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸のエステル部にポリアルキレンオキシドを付加させたもの等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン、等のα、β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
【0045】
メラミン系架橋剤としては、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロールメラミン誘導体に低級アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を反応させてエーテル化した化合物およびそれらの混合物が好ましい。メチロールメラミン誘導体としては、例えば、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等が挙げられる。
【0046】
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、1,6−ジイソシアネートヘキサン、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ポリオール変性ジフェニルメタン−4、4’−ジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ビトリレン−4,4’ジイソシアネート、3,3’ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0047】
これらの架橋剤のうち特にオキサゾリン系架橋剤が、取扱い易さや塗布液のポットライフ等の点から好ましい。
塗布層にかかる架橋剤を含有させることによって、塗布層の耐溶剤性(耐膨潤性)および耐ブロッキング性を向上させることができるが、多くなりすぎると共重合ポリエステルの割合が少なくなり、塗布層の屈折率が低下して光の干渉斑を抑制することが難しくなるだけでなく、塗布層が硬くなって接着性も低下する傾向にあるので、架橋剤の含有割合は、塗布層の質量100質量%あたり、1〜30質量%の範囲とするのが好ましく、特に5〜10重量%の範囲とするのが好ましい。
【0048】
(その他の成分)
本発明の塗布層には、本発明の目的を阻害しない範囲内で各種添加剤を配合することができる。例えばフィルムの滑り性、耐傷付き性、塗布時の濡れ性などを改善するために、粒子、ワックス類、界面活性剤、濡れ調整剤等を添加してもよく、その他帯電防止剤、紫外線吸収剤などを配合してもよい。
例えば粒子を添加することによって、フィルムの滑性、耐傷付き性を向上することができる。かかる粒子としては、有機粒子、無機粒子、有機無機複合粒子のいずれでもよいが、透明性を保持したまま耐傷付き性も向上させるという観点から、粒径の大きな粒子(大粒子)と、粒径の小さな粒子(小粒子)の両方を含有することが好ましい。
【0049】
大粒子の平均粒径は、80〜1000nmの範囲が適当であり、より好ましくは100〜400nmの範囲、さらに好ましくは130〜350nmの範囲である。これにより滑性、耐傷付き性に優れる。なお、大粒子は塗布層から脱落しやすいため、無機粒子表面を有機物(例えばアクリル)で被覆した有機無機複合粒子であることが好ましい。
塗布層における大粒子の含有量は、塗布層の質量に対して、好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%であり、大粒子を添加する効果がより得やすい。
【0050】
小粒子の平均粒径は、10nm以上、100nm未満の範囲が適当であり、より好ましくは20〜80nm、さらに好ましくは30〜60nmである。これにより耐ブロッキングに優れる。小粒子は、硬度の観点から、無機粒子であることが好ましく、金属酸化物粒子であることが好ましい。金属酸化物粒子としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子等が挙げられる。中でも、コストに優れるという観点から、シリカ粒子、チタニア粒子が好ましい。
塗布層における小粒子の含有量は、塗布層の質量に対して、好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは1〜3質量%であり、小粒子を添加する効果がより得やすい。
【0051】
[積層ポリエステルフィルムの製造方法]
以上に説明した本発明の積層ポリエステルフィルムは、例えば以下の方法により製造することができる。すなわち、配向が完了する前の未延伸フィルムまたは部分配向フィルムに塗膜を設けた後に延伸熱固定するインラインコーティング法により製造するのが、厚みの薄い塗布層を均一に得ることが容易であり、また強固な塗布層が得られ、さらに、生産性にも優れるので好ましい。製膜方法は、逐次二軸延伸法であってもよいし、同時二軸延伸法であってもよい。フィルムへの傷付き抑制の観点からは、同時二軸延伸法が好ましい。一方で同時二軸延伸法では、二軸を同時に延伸するために、塗布層を形成するための塗液を塗布後に延伸するに際しては、塗布層の造膜性がより厳しいものとなる。そのため、特にこのような場合において本発明はとりわけ有用である。
【0052】
以下、同時二軸延伸法を採用した場合の好ましい方法について説明する。まず、十分に乾燥したポリエチレンテレフタレートをTm+10℃ないしTm+30℃(ただし、Tmはポリエチレンテレフタレートの融点)の温度で溶融し、シート状に押出し、冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとする。次いで、該未延伸フィルムにおいて塗布層を形成したい側の表面に、塗布層を形成するための塗液をロールコーターで塗布して、塗膜を有する未延伸フィルムをえる。このとき、得られる積層ポリエステルフィルムにおける塗布層の厚みが好ましくは50〜100nm、さらに好ましくは70〜90nmとなるように塗布する。次いでこれを、90〜110℃で予熱し、同時二軸延伸機で、二軸方向に同時に、TgないしTg+70℃の温度(ただし、Tgはポリエチレンテレフタレートのガラス転移温度)で、縦方向(製膜機械軸方向。以下、長手方向またはMDと呼称する場合がある。)に好ましくは2.5〜5.0倍、さらに好ましくは3.0〜4.0倍、横方向(製膜機械軸方向に垂直な方向。以下、幅方向またはTDと呼称する場合がある。)に好ましくは2.5〜5.0倍、さらに好ましくは3.0〜4.0倍で延伸した後に、(Tg+60℃)〜Tmの温度で熱固定し、好ましくは熱収縮率を調整するために熱弛緩処理することによって、配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に塗布層を有する積層ポリエステルフィルムを得ることができる。なお、かかる延伸温度は、塗布層における共重合ポリエステルのガラス転移温度よりも45℃以上高い温度であることが好ましく、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは55℃以上高い温度であることである。これにより塗布層の造膜性がより優れたものとなり、接着性の向上効果を高くすることができる。また、塗布層のガラス転移温度よりも40℃以上高い温度であることが好ましく、より好ましくは45℃以上、さらに好ましくは53℃以上高い温度であることであり、これによっても塗布層の造膜性がより優れ、接着性の向上効果を高くすることができる。次いで熱固定は、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムについては210〜240℃の範囲内の温度で、1〜60秒の時間熱固定処理するのが好ましい。また、塗膜は、上記工程でかかる熱により乾燥、および必要に応じて硬化し、塗布層となる。
【0053】
なお、塗布層を形成するための塗液は、塗布層を構成する各成分を混合して、粘度や塗布厚み等を考慮して適度に希釈して調整する。希釈に用いる溶媒としては、水が好ましく、すなわち塗液が水系であることが好ましい。塗液の固形分濃度は5〜20質量%とすることが好ましく、良好な塗布外観を得ることができる。
【実施例】
【0054】
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
【0055】
(1)共重合ポリエステルのガラス転移温度
共重合ポリエステルサンプル10mgを、測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(デュポン社製・V4.OB2000型DSC)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させ、300℃で5分間保持した後取出し、直ちに氷の上に移して急冷した。このパンを再度、示差熱量計に装着し、25℃から20℃/分の速度で昇温させて、ガラス転移温度を測定した。
【0056】
(2)共重合ポリエステルの屈折率
共重合ポリエステルの溶液または分散体を90℃で板状に乾固させて、アッベ屈折率計(D線589nm)で測定した。
【0057】
(3)塗布層のガラス転移温度
塗布層を形成するための塗液を90℃で板状に乾固させたサンプル10mgを、測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(デュポン社製・V4.OB2000型DSC)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させガラス転移温度を測定した。
【0058】
(4)塗布層の屈折率
塗布層を形成するための塗液を90℃で板状に乾固させて、アッベ屈折率計(D線589nm)で測定し、塗布層の屈折率とした。
【0059】
(5)塗布層厚み
包埋樹脂でフィルムを固定して断面をミクロトームで切断し、2%オスミウム酸で60℃、2時間染色して、透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM2010)を用いて、塗布層の厚みを測定した。
【0060】
(6)積層フィルムのヘーズ値
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用してフィルムのヘーズ値を測定した。なお、かかるヘーズの高低により塗布層表面におけるヒビの態様を評価することができ、条件が同一であれば、ヘーズが高い方が、表面ひびが多いこととなり、好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.7%以下、さらに好ましくは0.6%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
【0061】
(7)耐ブロッキング性
2枚のフィルムを、塗膜形成面同士が接するように重ね合せ、これに、60℃、80%RHの雰囲気下で17時間にわたって0.6kg/cm2の圧力をかけ、その後、剥離して、その剥離力により耐ブロッキング性を下記の基準で評価した。
◎: 剥離力< 98mN/5cm・・・耐ブロッキング性極めて良好
○: 98mN/5cm≦剥離力<147mN/5cm・・・耐ブロッキング性良好
△:147mN/5cm≦剥離力<196mN/5cm・・・耐ブロッキング性やや良好
×:196mN/5cm≦剥離力 ・・・耐ブロッキング性不良
【0062】
(8)耐膨潤性
ハードコート層を積層した後のフィルムを上記(5)と同様に塗布層の厚みを測定した。ハードコート層を積層する前の塗布層厚みをd0、積層した後の塗布層厚みをdhとしたとき、下記式1により、塗布層の膨潤率E(%)を求めた。
E=dh/d0×100
上記膨潤率Eに対して下記のように評価した。
◎:100≦E<130・・・膨潤性極めて良好
○:130≦E≦200・・・膨潤性良好
△:200<E・・・膨潤性不良
【0063】
(9)ハードコート層接着性(初期接着性)
ハードコート層を形成したフィルムのハードコート層に1mm2のクロスカットを100個入れ、セロハンテープ(ニチバン社製)をその上に貼り付け、指で強く押し付けた後、90°方向に剥離し、ハードコート層が残存した個数により下記のように評価を行った。
◎:90<残存個数≦100・・・接着性極めて良好
○:80<残存個数≦ 90・・・接着性良好
△:70<残存個数≦ 80・・・接着性やや良好
×: 残存個数≦ 70・・・接着性不良
【0064】
(10)ハードコート層接着性(湿熱接着性)
ハードコート層を形成したフィルムを常圧下において100度の沸水(イオン交換水)に2時間つけた後に、上記(9)と同様にして接着性評価を行った。
【0065】
(11)光の干渉斑
ハードコート層を形成したフィルムを用いて、ハードコート層を形成した面とは反対側の面を黒色マジックで塗りつぶして反対面からの反射光の影響を無くした上で、分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)を用いて、分光反射率を測定した。波長500〜600nmでの反射率を測定し、その反射率の振幅を下記の基準で評価した。その際、反射率の長周期変動を補正して得られた短周期振幅で評価した。測定された反射率の振幅が大きいほど干渉斑が発生することとなり、ディスプレイとしての視認性が低下する。
◎: 反射率振幅≦0.5% ・・・干渉斑極めて良好
○:0.5%<反射率振幅≦1.0% ・・・干渉斑良好
×:1.0%<反射率振幅 ・・・干渉斑不良
【0066】
[実施例1〜12、比較例1〜6]
溶融ポリエチレンテレフタレート([η]=0.63dl/g、Tg=78℃)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いでその両面に、固形分が表1、2に示す組成からなる、固形分濃度10質量%の水性塗液を、延伸後の得られる塗布層の厚みが75nmとなるようにロールコーターで均一に塗布した。
次いで、この塗布フィルムを温度100℃で予熱し、乾燥し、同時二軸延伸機において120℃で縦方向に3.2倍、横方向に3.7倍で縦横方向を同時に延伸し、220℃で60秒間熱固定し、厚み125μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に塗布層を有する積層ポリエステルフィルムを得た。得られた積層ポリエステルフィルムの特性を表1、2に示す。
【0067】
さらに、得られた積層フィルムからB4サイズに切り出したフィルムサンプルの塗布層のうえに、以下の組成からなるUV硬化組成物をメチルエチルケトンで固形分濃度40質量%になるように希釈し、マイヤーバーを用いて塗布し、直ちに70℃1分で乾燥し、強度80W/cmの高圧水銀灯で30秒間紫外線を照射して硬化させ、ハードコート層を形成した。なお、硬化後のハードコート層膜厚が5μmとなるようにマイヤーバーの番手を調整した。
(UV硬化組成物)
ペンタエリスリトールアクリレート :45重量%
N−メチロールアクリルアミド :40重量%
N−ビニルピロリドン :10重量%
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン: 5重量%
このハードコート層を積層したフィルムの干渉斑、密着性の結果を表1、2に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
表中のNDCAは2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、TAはテレフタル酸成分、IAはイソフタル酸成分、NSIAは5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分、C4Gはテトラメチレングリコール成分、C8Gはオクタメチレングリコール成分、BPA−4はビスフェノールAのエチレンオキサイド4モル付加体成分(三洋化成工業製 ニューポールBPE−40)、BPEFは9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン成分、EGはエチレングリコール成分を意味する。
【0071】
また、架橋剤としてオキサゾリン架橋剤(日本触媒社製商品名エポクロスWS−700)、粒子1としてはシリカアクリル複合微粒子(平均粒径:250nm)(日本触媒社製 商品名ソリオスター)、粒子2としてはシリカフィラー(50nm)(日産化学株式会社製 商品名スノーテックス)、界面活性剤としてはポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成工業社製 商品名ナロアクティーN−70)を用いた。
表中のIVはo−クロロフェノール、35℃の条件で測定した固有粘度を表わす。