特許第6082862号(P6082862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6082862
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】高容量電極
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20170213BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20170213BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20170213BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20170213BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20170213BHJP
   H01M 4/70 20060101ALI20170213BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   H01M4/13
   H01M4/133
   H01M4/134
   B82Y30/00
   B82Y40/00
   H01M4/70 A
   H01M4/38 Z
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-209155(P2014-209155)
(22)【出願日】2014年10月10日
(62)【分割の表示】特願2010-547867(P2010-547867)の分割
【原出願日】2009年2月25日
(65)【公開番号】特開2015-43331(P2015-43331A)
(43)【公開日】2015年3月5日
【審査請求日】2014年10月14日
(31)【優先権主張番号】61/067,018
(32)【優先日】2008年2月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/130,679
(32)【優先日】2008年6月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/392,525
(32)【優先日】2009年2月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516323688
【氏名又は名称】トラヴァース テクノロジーズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド アンソニー ロジェスキー
【審査官】 太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−313319(JP,A)
【文献】 特表2010−525549(JP,A)
【文献】 特開2006−179431(JP,A)
【文献】 特開2010−103051(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/071778(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00 − 4/62
B82Y 30/00
B82Y 40/00
H01M 4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン電池における電極に用いるための電気化学的に活性な電極材料であって、
導電性基板と、
前記基板に付着し、前記基板への電気経路を提供する構成された複数の支持フィラメントと、
前記複数の支持フィラメントの各々の全てでなく、少なくとも前記複数の支持フィラメントの幹部に付着しないように覆い、リチウムイオン電池のサイクル中に電解質からのリチウムイオンを吸収及び放出するように構築され、イオンを吸収する際に体積が少なくとも5パーセントから400パーセントまで膨張するドナー/アクセプター材料の層とを備え、
前記電気化学的に活性な材料は,前記リチウムイオン電池のサイクル中にリチウムイオンを吸収及び放出するように構成され、
前記支持フィラメントは、ドナー/アクセプター材料機械的に支持する、電極材料。
【請求項2】
前記複数の支持フィラメントがカーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)又はナノワイヤー(NW)からなり、前記ドナー/アクセプター材料が前記支持フィラメントの各々の全てでなく一部を被覆する、請求項1に記載の電極材料。
【請求項3】
前記ドナー/アクセプター材料が前記支持フィラメントの各々の表面積の25%未満を覆う、請求項1または2に記載の電極材料。
【請求項4】
前記ドナー/アクセプター材料が金属間化合物又は3d族金属酸化物を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の電極材料。
【請求項5】
前記ドナー/アクセプター材料がグラファイトを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の電極材料。
【請求項6】
前記支持フィラメントが金属を含み、前記ドナー/アクセプター材料が前記支持フィラメントに堆積したシリコンを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の電極材料。
【請求項7】
前記支持フィラメントが直接基板に取り付けられた、請求項1〜のいずれか1項に記載の電極材料。
【請求項8】
前記ドナー/アクセプター材料を被包する上部層をさらに備え、前記上部層が金属、ダイヤモンド様炭素、またはSiOを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の電極材料。
【請求項9】
前記ドナー/アクセプター材料を被包する上部層をさらに備え、前記上部層が結合剤又はポリマーを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の電極材料。
【請求項10】
前記支持フィラメントと前記ドナー/アクセプター材料との間に配置された下部層をさらに備える、請求項1〜のいずれか1項に記載の電極材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は,2008年2月25日に出願した米国特許出願第12/392,525号並びに2008年2月25日に出願した米国特許仮出願第61/067,018号及びに2008年6月2日に出願した米国特許仮出願第61/130,679号の優先権を主張する。これら出願の記載をここに参照して援用する。
【0002】
本発明は,電池技術分野である。
【背景技術】
【0003】
電池/燃料電池(バッテリー)の4つの基本設計パラメーターは,エネルギー密度,出力密度,サイクル寿命及び安全性である。エネルギー密度とは電池がどれだけ多くのエネルギーを貯蔵できるかを言い,メガジュール/キログラム(MJ/kg)の単位で測定する。出力密度(出力対重量比率及び比出力とも言う)は単位質量当たりの貯蔵エネルギーをどれだけ速やかに伝達できるかを言い,キロワット/キログラム(kW/kg)の単位で測定する。サイクル寿命とは充電/放電サイクル数に対する電池の充電容量を言う。一般に,サイクル寿命が長いほどより有用である。電池に対する安全性の考慮事項としては,例えば,有害化学物質の放出及び燃焼点への過加熱という人や財産に危害を与えうるプロセスが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は従来のリチウムイオン二次(再充電可能)電池/セル100の断面図である。二次電池/セル100は,アノード120,電解質140,セパレーター130,電解質140及びカソード110を備える。ある場合には,電池のアノード120がグラファイトを含む。グラファイトをアノード120に用いる理由としては,Liイオンインターカレーションの相対的な容易さと,グラファイトの低コストとが挙げられる。或いはまた,アノード120が,アノードのバルク状(巨視的)基板に直接塗布したシリコンを含む。シリコンを用いる理由は,シリコンがグラファイトよりもLiイオンを概略十倍以上インターカレートできることである。残念ながら,シリコンは通常完全なLiイオンインターカレーションで400%以上膨張し,これはシリコンの破壊を生起し,実質的にアノード120へのシリコンの付着を危うくし,それゆえ寿命を短くする。
【0005】
二次電池/セル100間のセパレーター130は,多孔質膜を含む。ある実施態様において,多孔質膜は微細孔ポリオレフィン膜である。微細孔ポリオレフィンは電池内部の反応に関与しない。セパレーター130は通常約50ミクロン厚であり,孔135を備える。孔135の典型的な平均サイズは約2.0ミクロン以上である。
【0006】
二次電池/セル100のカソード110には,通常三つのタイプがある。これら三つのタイプは,層状酸化物(LiCoO,LiMnO又はLiNiOなど),ポリアニオン(リン酸鉄リチウムなど)又はスピネル(酸化マンガンなど)である。カソード110に用いる材料は,一般にバルク材料又はバルク堆積/成長膜である。残念ながら,これら材料の巨視的性質のため,カソード110のバルク材料におけるイオン拡散が充電及び放電サイクル中の酸化還元速度を制限する。低いイオン拡散速度が総合出力密度を制限する。カソードを,電池/セル100から電流を取り出すための電気接点150Aに電気的に接続できる。アノードを,電池/セル100から電流を取り出すための電気接点150Bに電気的に接続できる。
【0007】
二次電池/セル100中の電解質140はLiClO,LiPF,LiBF及び/又はその類似物のような溶媒に溶解した塩とすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の多様な実施態様としては,電解質の第一領域内に配置し,基板と,該基板に付着した複数の支持フィラメントと,該支持フィラメントに付着し,イオンを吸収する際に体積が少なくとも5パーセント膨張するよう構築したイオン吸収材料とを具える電極と,電解質の上記第一領域と第二領域を分離するように構築したセパレーターと,前記電解質の第二領域内に配置したカソードとを備え,上記カソード,アノード及びセパレーターを再充電可能電池として動作するように構築したシステムが挙げられる。
【0009】
本発明の多様な実施態様としては,導電性基板と,該基板に付着し,カーボンナノチューブ(CNT),カーボンナノファイバー(CNF)又はナノワイヤー(NW)をからなる複数の支持フィラメントと,該支持フィラメントの各々の全てでなく一部に付着し,イオンを吸収する際に体積が少なくとも五倍だけ膨張するように構築したイオン吸収材料とを備える電極が挙げられる。
【0010】
本発明の多様な実施態様としては,導電性基板を入手し,少なくとも10:1のアスペクト比(長さ/幅)を有する複数の支持フィラメントを該導電性基板に結合して形成し,電極をつくるために当該複数の支持フィラメントをイオン吸収材料で被覆して電極を創出することを備える方法が挙げられ,前記イオン吸収材料が前記支持フィラメントよりも少なくとも十倍以上のイオン吸収容量を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来の再充電可能電池の断面を示す。
図2図2Aは本発明の多様な実施態様に係る電極の断面を示し,図2Bは本発明の多様な実施態様に係る図2Aのシード層の詳細を示す断面図であり,図2Cは本発明の多様な実施態様に係る支持フィラメントとインターカレーション層間の下部層及びインターカレーション層を被包する上部層を示す図2Aの電極延長部の部分断面図である。
図3】本発明の多様な実施態様に係る図2Aの支持フィラメントの詳細を示す図2の電極の断面図である。
図4A】本発明の多様な実施態様に係る代替電極の断面を示す。
図4B】本発明の多様な実施態様に係る代替電極の断面を示す。
図4C】本発明の多様な実施態様に係る図4Aの支持フィラメントの詳細を示す断面図である。
図5A】本発明の多様な実施態様に係る代替電極の断面を示す。
図5B】本発明の多様な実施態様に係る図5Aの支持フィラメント及び電極の詳細を示す。
図6A】本発明の多様な実施態様に係る図2Aの電極延長部の線a−aに沿った断面を示す。
図6B】本発明の多様な実施態様に係る図2Aの支持フィラメントの線a−aに沿った断面を示す。
図6C】本発明の多様な実施態様に係る図2Aの支持フィラメントの線a−aに沿った断面を示す。
図7】本発明の多様な実施態様に係る支持フィラメントの更なる実施態様を示す。
図8】本発明の多様な実施態様に係る電極の製造方法及びその任意の使用方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の多様な実施態様としては,優れた電極を備える再充電可能(二次)電池がある。本発明の電極を,二次電池/セル100のカソード及び/又はアノードの一部内に任意に含めて優れた電池を創出する。上記電極は,通常シード層を用いて基板上で成長した又はそれに付着した電極延長部を含む。該電極延長部は,電極の表面積を増加するように構築され,支持フィラメント及びインターカレーション層を備える。多様な実施態様において,支持フィラメント材料としては,カーボンナノチューブ(CNT),カーボンナノファイバー(CNF),ナノワイヤーNW(およそ五マイクロメートル未満の直径を有するワイヤー),金属,半導体,絶縁体,シリコン及び/又はその類似物が挙げられる。CNT,CNF及び/又はNWは単一壁又は多重壁とすることができる。かかる支持フィラメントは,基板への電気経路及びインターカレーション層用の機械的基礎を提供できる。インターカレーション層は,電解質からのイオンの吸収及び/又は供与用の領域を提供する。ここで用いるように,インターカレーション層をアノード及びカソードの両方で使用できる。多様な実施態様において,インターカレーション層は,電解質からのイオンを供与及び/又は受容するように構築したドナー/アクセプター材料(DAM)を含む。このイオン供与及び/又は受容は,吸着及び吸収過程の両方を含む場合がある。インターカレーション層は,イオンの吸収で体積が少なくとも5,10,15,50,100,200又は400パーセントだけ膨張し得る。
【0013】
多様な実施態様において,DAMとしては,シリコン,グラファイト,Sn,Sn−C,金属間化合物,リン化物,窒化物,3D族金属酸化物,又はLiCoPO,LiMnPO,LiMn,LiCoO,LiNiO,MnO,バナジウム酸化物V及びLiV,例えばLi(1−x)VOPO,Li(x)FePO,LiMnO,LiFePOF,ドープされたLiMnなどのポリアニオン材料及び/又はその類似物が挙げられる。DAMを支持フィラメント上に堆積又は成長させる。ある実施態様において,支持フィラメントは,特にインターカレーション層におけるDAMの膨張及び/又は収縮中にDAMを支持するための付加的な強度(例えば,引張り,圧縮,せん断及び/又はその類似物)を備える。ある実施態様において,DAMは支持フィラメントの全てでなく一部を被覆する。例えば,支持フィラメントの一部を未被覆のままとしてもよい。かかる未被覆部は,例えば電極延長部と基板間に可撓性と運動の自由度を提供できる。状況次第では,これによりインターカレーション層におけるDAMの膨張及び/又は収縮中に支持フィラメントのシード層からの分離の可能性を低減する。
【0014】
電極延長部はインターカレーション体積及び表面積を増大させ,それにより電極のエネルギー密度を平坦な表面上に堆積した材料の層にわたって向上する。該電極延長部は基板とインターカレーション層間の柔軟な界面として働くことができ,それによりインターカレーション層の大きな体積膨張度(例えば,2×,4×,6×など)が許容され,同時に材料が基板から分離するリスクを低減できる。電極延長部はまた,インターカレーション材料のバルクにおけるイオン拡散距離を低減できるので,電極の出力密度が向上する。
【0015】
図2Aは電極200の断面図を示す。一つ以上の電極200を,本発明の多様な実施態様に従って,図1の二次電池/セルのような再充電可能電池に使用できる。電極200は,基板210,任意のシード層215及び電極延長部220を具える。電極延長部220は支持フィラメント230及びインターカレーション層240を具える。シード層215を用いて,支持フィラメント230の成長を開始し,電極延長部220の基板210への接続を容易にすることができる。代替的な実施態様において,電極延長部220を基板210に直接接続する。支持フィラメント230はインターカレーション層240を支持し,インターカレーション層240と基板210間に電気経路を提供する。インターカレーション層240は,DAMを含み,イオンのインターカレーション用の表面/体積を提供する。電極200は,通常多重電極延長部220を具える。
【0016】
支持フィラメント230は,直径が概略500ナノメートル未満である(その長さに沿って平均した)。より具体的には,支持フィラメント230の直径が,1〜10ナノメートル,10〜50ナノメートル及び100〜500ナノメートル間で変えることができる。
【0017】
多様な実施態様において,基板210としては,多孔質材料,金属,半導体及び/又は絶縁体が挙げられる。例えば,基板210は,低酸素含有銅を含むことができる。基板210を種々の形状に加工することができる。例えば,基板210は平面(単一面及び両面),円筒状,ひれ付き状及び/又はその類似形状とすることができる。ある実施態様においては,基板210の形状が,入手可能な表面積を最大化するように選択される。多様な実施態様において,基板210の厚さは,二次電池/セル100の特定用途に応じて,1ミクロン〜100ミクロン,100ミクロン〜1ミリメートル,1ミリメートル〜3ミリメートル又はそれを超える範囲にある。
【0018】
任意のシード層215は,多数の機能の一つ以上を果たし,数個の副層を備えることができる。例えば,シード層215が初期層250,中間層及び/又は最終層260を備えることができる。シード層215は,支持フィラメント230の初期成長が起こる領域を調整することにより支持フィラメント230の直径(図3で支持フィラメントの直径310として定義した)を制御するように構築させることができる。初期層250,中間層及び/又は最終層260の相対的及び/又は絶対的厚さを選択して,支持フィラメント230の初期成長の領域,従って支持フィラメント直径310を制御することができる。或いはまた,支持フィラメント直径310を逆ミセル処理を用いて制御し,この場合開始位置の直径310を逆ミセル処理に用いたシード材料の適切な寸法又は量によって決定する。CNT/CNF/NW成長についての当業者は,他の方法も支持フィラメント230の直径を制御するために入手可能であることを知っている。ある実施態様において,シード層215は基板への支持フィラメント230の付着を制御できる。隣接支持フィラメント230間の間隔及び/又は該支持フィラメントの直径がインターカレーション層240内のDAMの予定の厚みを制限でき,そして逆もまた同様である。
【0019】
シード層215は,支持フィラメント230に対する開始点の密度及び/又は成長した開始点の面密度を制御できる。該開始点の密度は,支持フィラメント230の付着点の密度を決める。付着点の密度は,10/cm〜1011cm,一般には10/cm〜1010cmである。開始密度は,単位面積当たりの支持フィラメント開始位置の数,例えば,個数/cmによって表わすことができる。面密度は,シード層215及び基板210から遠位にある支持フィラメント230先端の密度である。該面密度は,本明細書の他所で更に議論するように支持フィラメント230を分岐させる場合があるので,付着点の密度より大きくすることができる。面密度は,単位面積当たりの支持フィラメント先端の数,例えば,個数/cmによって表わすことができる。
【0020】
ある実施態様において,シード層215は基板210上に単一層で堆積した単一材料である。或いはまた,シード層215は,異なる材料の多重(2,3又はそれより多い)副層,例えば初期層250,中間層及び/又は最終層260を含む。シード層215の各副層は多様な機能を発揮するように構築できる。例えば,副層の一つは,層間での原子移動を防止するように構築したバリアー層,二層を一緒に結合するように構築した付着層,下部層又は上部層を化学的/物理的劣化から護るように構築した保護層,導電性を与えるように構築した導電層,二層間の機械的緩衝材として作用するように構築した応力/歪層,下にある基板に対し最終シード材料を結合/放出するように構築した結合/放出層,CNT/CNF/NWの成長を抑制するように構築した層及び/又はCNT/CNF又はNWの成長を開始するためのシード層が挙げられる。薄膜成長及び堆積技術分野の当業者はシード層215の薄膜層状構造が役立ち得る他の有用さがあることを認識する。
【0021】
図2Bは,本発明の多様な実施態様に係る図2Aのシード層215の詳細を示す断面図である。図2Bに示したシード層215は,異なる材料からなる副層の積層体である。本明細書中の他所で記載したように,該副層は,例えば初期層250,中間層255及び/又は最終層260を含む。初期層250は,基板に結合され,中間層255用の基礎を形成する。中間層255を初期層250に堆積し,最終層260用の基礎を形成するように構築する。最終層260を中間層255に堆積し,支持フィラメント230の付着及び成長開始用の位置を提供する用に構築する。或いはまた,最終層260がCNT/CNF/NWの成長を抑制する用に構築される。
【0022】
多様な実施態様において,最終層260は,モリブデン,鉄,コバルト,ニッケル及び/又はその類似物を含む。最終層260内の多様な材料は,成長を開始又は抑制し,及び/又は含まれるCNT,CNF及び/又はNWの付着に備えることができる。中間層255は,例えば,鉄,コバルト,ニッケル,チタン,窒化チタン,アルミニウム及び/又はその類似物を含むことができる。初期層250は,例えば,白金,タングステン,チタン,クロム及び/又はその類似物を含むことができる。代替的な材料をシード層215の副層内に含めうることが分かる。
【0023】
多様な実施態様において,支持フィラメント230は,NW,CNF及び/又はCNTを含む。支持フィラメント230は,インターカレーション層240の堆積及び成長用の機械的基盤を提供する。支持フィラメント230はまた,インターカレーション層240のDAMに強度(例えば,引張り強度,圧縮強度,せん断強度及び/又はその類似物)を付与することができる。この付加的な強度は,DAMの膨張及び/又は収縮中にインターカレーション層240への損傷を低減又は防止する。多様な実施態様において,支持フィラメント230の材料としては,CNT,CNF,NW,金属,半導体,絶縁体及び/又はその類似物が挙げられる。CNTは,単一壁又は多重壁とすることができる。ある実施態様において,支持フィラメント230のCNT/CNFは,DAMとして作用する用に構築される。
【0024】
ある実施態様において,インターカレーション層240が支持フィラメント230の全てでなく一部を被覆する。その結果,支持フィラメント230の一部が未被覆幹部235を形成する。幹部235は,支持フィラメント230の屈曲と運動のための領域を提供する用に構築される。この屈曲はインターカレーション層240の膨張及び収縮に起因する機械的歪を低減できる。低減がない場合,この応力はシード層215からの支持フィラメント230の破損及び/又は分離を生じうる。幹部235の長さは数オングストローム〜数ミクロンの範囲であってもよい。ある実施態様において,幹部235の長さは,インターカレーション層240が完全に膨張した際にシード層215に達しないか又は辛うじて達するように選択される。多様な実施態様において,幹部の長さは,少なくとも0.1,0.25,0.3,0.5又は1.0マイクロメートルである。ある実施態様において,該幹部235の長さは実質的に1ミクロンよりも長い。幹部235は,通常シード層215に最も近づいた支持フィラメント230の末端に近接して位置する。しかしながら,未被覆幹部235を支持フィラメント230の他の又は代替的な部分に設けることができる。例えば,未被覆幹部235を支持フィラメント230内の分岐に近接して設けることができる。
【0025】
ある実施態様において,幹部235は,全く被覆を有さない領域というよりむしろ,電極延長部220の他の部分に対しインターカレーション層240の低減した被覆を有する領域である。例えば,幹部235は,電極延長部220の他領域で見られるインターカレーション層240の厚みの10,25又は50%未満である厚みを有するインターカレーション層240の被覆を有してもよい。
【0026】
図2Cは,支持フィラメント230及びインターカレーション層240間の任意の下部層290及びインターカレーション層240を被包する任意の上部層295を備える図2Aの電極延長部220の一部の断面図である。ある実施態様において,下部層290は,インターカレーション層240の気相−液相−固相(VLS)成長のためにシード層を提供する用に構築される。或いはまた,下部層290は,金属若しくは一連の金属(例えば,金,銀,銅及び/又はその類似物)又は塩(例えば,LiF)の薄層(一マイクロメートル未満)を含む。他の材料を用いて,所望の効果に応じた下部層290を形成することができる。
【0027】
上部層295をインターカレーション層240上に成長/堆積できる。上部層295はインターカレーション層240を部分的に又は完全に被包できる。上部層295を構成する材料としては,例えば,金,銀,銅及び/又はその類似物などの金属が挙げられる。また,上部層295として,ダイヤモンド様炭素(DLC)又はSiOのような絶縁体,結合剤,ポリマーなどを挙げることができる。上部層295の厚さは,金属,半導体又は絶縁体の場合,通常一マイクロメートル未満である。多様な実施態様において,上部層295の厚さは,結合剤に関しては一マイクロメートル程度,ポリマーに関しては一マイクロメートルよりも厚くてもよい。
【0028】
DAMを多様な方法を用いて支持フィラメント230上に成長/堆積できる。かかる方法としては,例えば,蒸着,スパッタ,PECVD(プラズマ促進化学蒸着),低圧化学蒸着(LPCVD),VLS(気相−液相−固相合成),電気メッキ,無電解メッキ,「無電界」化学蒸着(CVD),有機金属化合物CVD,分子線エピタキシー(MBE)及び/又はその類似物が挙げられる。ある実施態様において,支持フィラメントの表面を覆うDAMの分布は均一である。或いはまた,DAMの分布は支持フィラメント230の全長にわたり均一でない。例えば,幹部450の高さはCNT/CNF/NWの高さの0%〜99%で変化し得る。ある実施態様において,基板210に近接したDAMは,支持フィラメント230の遠位末端に対しより薄い厚みを有する。そのようなものとして,DAMの厚みは支持フィラメント230に沿って基板210からの距離につれて増加してもよい。
【0029】
DAMの膨張はDAMに含まれる材料に左右される。例えば,シリコンの場合,膨張は400%に等しい。Sn(スズ)に関しては,膨張が概略233%である。カソードの膨張は,電極の電解質中への挿入で,かつ電池を過放電まで駆動した場合に起こる。DAMの厚さは数ナノメートル〜数十ミクロンの範囲とすることができる。例えば,多様な実施態様において,上記厚み(非膨張時)は1〜10ナノメートル,10〜1000ナノメートル,1マイクロメートル〜50ミクロンである。カソード上ではアノードと比較してより厚い厚みを任意に使用する。
【0030】
多数の方法を用いて,幹部235を所望の長さにすることができる。かかる方法の一例としては,成長中の支持フィラメント230のアスペクト比の制御,方向性堆積,電着,幹部を分離するための底層での無電解めっき,支持フィラメント230をインターカレーション層240の成長/堆積へ開放するためのマスキング層のスパッタ及び光エッチング,支持フィラメント230の成長前の予備結合層の分離(すなわち,マスクシード位置),有利なアスペクト比(樹状構造など)にするための支持フィラメント230の成長パラメーターの変更,又はDAMによる被覆から支持フィラメント230をフリーにするための堆積及び方向性エッチングの実行が挙げられる。
【0031】
図3は,図2Aの支持フィラメント230の詳細を示す電極200の断面図である。図3は,明瞭にするためインターカレーション層240を省いた点で図2と相違する。多様な実施態様において,支持フィラメント直径310は,10ナノメートル未満,10〜100ナノメートル,100〜500ナノメートル,500ナノメートルを超える。支持フィラメント直径310は,支持フィラメント230の長さに沿って変化しうる。
【0032】
多様な実施態様において,支持フィラメント230の高さ320は,約1ミクロン〜約100ミクロン,100ミクロン〜500ミクロン,500ミクロン〜約1000ミクロン,又は約1000ミクロンを超える。支持フィラメント230が傾斜又は屈曲すると,この高さが変わる。支持フィラメント230の成長用の開始位置330は,シード基礎を含み,ここで支持フィラメント230の成長の完了後,最終層260がシード層の前層に結合したままである。随意的に,支持フィラメント230がフィラメント延長先端340を含み,ここで成長完了後最終層がシード層の残部から分離し,支持フィラメントの先端上に残留する。
【0033】
図4Aは本発明の多様な実施態様に係る電極400の断面を示す。電極400は,図2Aの電極延長部220の代替的な実施態様である電極延長部420を具える。図4Aは,図4Aに示した電極延長部420が一つ又は複数の分岐を含む点で図2Aと相違する。具体的には,電極延長部420は多重分岐420a,420b及び420cを具える支持フィラメント430を含み,シード層215に接する単一点で単一幹部450を共有する。電極延長部420は,分岐420a〜420cを具える支持フィラメント430に塗布し得るインターカレーション層440を更に含む。支持フィラメント430及びインターカレーション層440は,支持フィラメント230及びインターカレーション層240の代替的な実施態様である。図4Aに示した多重分岐420a〜420cは,電極延長部420の有効表面積の増大をもたらし,従ってインターカレーション層440内のDAMの有効体積及び電極400の表面体積の増大をもたらす。電極400は多重電極延長部420を具えることができる。かかる電極は多重電極延長部220及び420の混合体を具えることができる。
【0034】
図4Bは電極400の代替的な実施態様の断面を示す。電極400は電極延長部425を具える。図4Bは,電極延長部425のインターカレーション層440がDAMによって形成されたインターカレーション分岐445を具える点で図4Aと相違する。一般に,インターカレーション分岐445の分岐構造が0〜10ナノメートル規模である。しかしながら,ある実施態様において,分岐構造の寸法が十ナノメートルより大きくてもよい。同様に,本明細書中の他所で示したように,DAMが電極延長部220のインターカレーション層240内に分岐を形成できる。電極400は多重電極延長部425を任意に具える。電極400は多重電極延長部220,420及び/又は425の混合体を具えることができる。
【0035】
図4Cは,図4Aの支持フィラメント430の詳細を示す断面図である。図4Cは,明瞭にするためインターカレーション層440を省いた点で図4A及び4Bと相違する。図4Cは,図4Cに示した支持フィラメント430が一つ又は複数の分岐430a〜430cを具える一方,図3に示した支持フィラメント230が分岐を具えない点で図3と相違する。支持フィラメント分岐430a〜430cは多様な方法を用いて生成できる。例えば,一つの方法では,支持フィラメント分岐430a,430b及び430cを成長が起こっている間に反応体ガス流量,反応体ガス種及び温度を変えることにより作成する。CNT/CNF/NW成長技術分野の当業者であれば,付加的な分岐430a,430b及び430cを成長させる他の方法があることを知っている。ところで,支持フィラメント430が三本の支持フィラメント分岐430a〜430cを有するものとして示したが,該支持フィラメント430はより多数の分岐又はより少数の分岐を備えることができる。
【0036】
図5Aは,本発明の多様な実施態様に係る電極500の断面を示す。電極500は電極200及び400の代替的な実施態様である。電極500は延長層510を含む。該延長層510は多重電極延長部520の配列を具える。電極延長部520としては,例えば,図2A,4A及び4Bにそれぞれ示したような電極延長部220,420及び/又は425がある。電極500は,本明細書中の他所で議論したように,インターカレーション延長部を有する電極延長部225を更に具えることができる。
【0037】
図5Bは,図5Aの電極500の支持フィラメント230及び430の詳細を示す。図5Bは,明瞭にするため電極延長部520のインターカレーション層240及び440を省いた点で図5Aと相違する。図5A及び図5Bに示すような電極延長部520は,図3及び4Cにそれぞれ示すような支持フィラメント230及び/又は430の秩序的な又は半秩序的な集合体を任意に具える。電極延長部520は,支持フィラメント230及び/又は430を介した基板210への電気経路を提供する。或いはまた,より高い抵抗を多様な用途において用いる。支持フィラメント230及び/又は430はまた,DAMの堆積/成長用の機械的基盤を提供する。支持フィラメント230及び/又は430は,インターカレーション期のDAMの膨張及び/又は収縮中にインターカレーション層240及び440を支持し,インターカレーション層の破損及び/又は電極延長部520の基板210からの分離を防止するために電極延長部520に強度(例えば,引張り強度,圧縮強度,せん断強度及び/又はその類似物)を更に付与する。
【0038】
DAMは,支持フィラメント230及び/又は430の全てでなく一部を被覆できる。ある実施態様において,支持フィラメントの大部分をDAMによって被覆する。しかしながら,支持フィラメント230及び/又は430の幹部235が未被覆,実質的に未被覆又は最小限に被覆されたままでもよい。これは,インターカレーション層240及び/又は440内のDAMが膨張/収縮中に屈曲及び運動できる一方,基板210からシード層215で分離する支持フィラメント230及び/又は430の分離の可能性を低減する効果を有する。多様な実施態様において,インターカレーション層は,支持フィラメント230及び/又は430の90〜99%,75〜90%,25〜75%及び25%未満を覆う。
【0039】
インターカレーション層240及び/又は440内のDAMの厚みは,支持フィラメント230及び/又は430の多様な特徴によって決定できる。これらの特徴としては,最隣接の支持フィラメントの間隔ねすなわち支持フィラメント間隔530と,支持フィラメント230及び/又は430の直径310とが挙げられる。
【0040】
多様な方法を用いてDAMを支持フィラメント230及び/又は430上に成長/堆積させてインターカレーション層440を形成することができる。これらの方法としては,蒸着,スパッタリング,PECVD,低圧化学蒸着(LPCVD),VLS,電着及び無電解めっきが挙げられる。
【0041】
多様な方法を用いて,延長層510の適切な高さを得ることができる。これらの方法の一例としては,方向性堆積行いながらの成長した支持フィラメント230のアスペクト比への依存,幹部を隔離するための底層での電着又は無電解めっき,支持フィラメント230をDAM成長/堆積へ開放するためのマスク層のスパッタ及び光エッチング,支持フィラメント230及び/又は430の成長前の予備結合層の隔離(すなわち,マスクシード位置),有利なアスペクト比(樹状構造など)を達成するための支持フィラメント230及び/又は430の成長パラメーターの変更,又はDAM被覆から支持フィラメント230及び/又は430をフリーにするための堆積及び方向性エッチングの実行が挙げられる。
【0042】
ある実施態様において,支持フィラメント230及び/又は430の初期成長の直径310は,シード層215の最終層の厚さによって決まる。例えば,多様な実施態様において,シード層215の厚さは,150オングストローム未満,150〜500オングストローム,500オングストロームより厚い。また,シード層215の最終層に用いる材料は,支持フィラメントの初期直径310を制御できる。例えば,所定厚みのニッケルは,支持フィラメント230及び/又は430の初期成長中に支持フィラメント直径310をもたらし,これは同じ厚みの鉄によって作られた直径とは実質的に異なる。標準的なリソグラフィー技術を適用してシード層215の最終層における所定直径の開始位置330を印刷することができ,支持フィラメント230及び/又は430の初期成長中の直径310を制御する。
【0043】
延長層510の開始密度540は単位面積当たりの開始位置数という用語で表現できる。開始密度540は支持フィラメント間隔530の平均値によって決まる。延長層510の面密度560は単位面積当たりの先端550個数という用語で表現できる。面密度560は開始密度及び支持フィラメント230及び/又は430当たりの先端550の平均数によって決まる。開始密度540及び面密度560並びに支持フィラメント間隔530は,直径310を制御する同じパラメーターによって部分的に決定できる。多様な実施態様において,最終シード層の厚み,材料選択,逆ミセルプロセス技術の相違,リソグラフィーパターン及び/又はその類似物はすべて,開始密度540及び/又は面密度560の決定に関与しうる。ある実施態様において,支持フィラメント間隔530は支持フィラメント230及び/又は430の直径310によって影響を受ける。
【0044】
支持フィラメント230及び/又は430の基板210への付着は,シード層の材料選択及び採用した特定の成長プロセスによって部分的に決まる。ある実施態様において,炭化物をCNT/CNFの基礎に形成して付着性を付与でき,その結果先端の成長を暗示する。また,一部の例において,基盤の成長により付着性を付与できる。
【0045】
図6Aは,線分a−aに沿った図2Aの電極延長部220の一実施態様の断面を示す。支持フィラメント230の周囲に層を形成するDAMを図6Aに示す。図6Bは,線分a−aに沿った図2Aの電極延長部220の一実施態様の断面を示す。図6Bは,図6Bのインターカレーション層240が本明細書の他所で議論したナノ構造を形成する多様な方法を用いて作ったDAM突起610を具える点で図6Aと相違する。DAM突起は基部620及び先端630を具える。基部離間隔640は隣接DAM突起610のDAM基部620間の距離である。先端離間隔650は隣接DAM突起610のDAM先端630間の距離である。DMA基部離間隔640の最小距離は,およそゼロである。
【0046】
図6Cは,線分a−aに沿った図2Aの電極延長部220の一実施態様の断面を示す。図6Cは,電極延長部220が図4Bに示した分岐430a〜430cと同様な分岐670を具える点で図6Aと相違する。分岐670はインターカレーション層240を具える。インターカレーション層240は,任意に分岐670全体を被覆しない。そこで,分岐の幹部660を分岐670に沿ってインターカレーション層240と支持フィラメント230間に形成する。ある実施態様において,分岐先端の離隔距離655はインターカレーション層240の選択した厚さによって決まり,分岐基部の離隔距離645はインターカレーション層440の膨張及び分岐670の直径によって決まる。
【0047】
図7は,本発明の多様な実施態様に係る支持フィラメントの更なる実施態様を示す。これらの実施態様は,支持キャップ710及び支持カラー720を含む。支持キャップ710及び支持カラーは,インターカレーション層240を付着し得る付加的な表面領域を提供する。支持カラー720を,開始位置近傍(任意にシード層215と接する)か又は支持フィラメント230もしくはその分岐の長さに沿ったいずれかの場所に配置できる。
【0048】
ある実施態様において,支持キャップ710及び/又は支持カラー720の幅は,インターカレーション層を完全に膨張した際に該インターカレーション層240の幅と少なくとも同等であるように選択する。例えば,インターカレーション層が完全に膨張したときに160ナノメートルの直径を有する場合,支持キャップ710及び/又は支持カラー720は少なくとも160ナノメートルである。
【0049】
多様な実施態様において,支持キャップ710及び/又は支持カラー720は,DAM用の係留点並びに電極延長部425の長さに沿ったDAMの膨張用拘束体として作用できる。例えば,支持キャップ710は,繰り返しの膨張及び収縮の結果としてDAMが支持フィラメント430の末端から立ち去るのを防止するように構築することができる。支持キャップ710及び/又は支持カラー720は,支持フィラメント430の直径における変形例である。他の変形も可能である。例えば,直径を周期的な基調で徐々に及び/又は急激に変えることができる。ある実施態様において,支持フィラメント430は,基板210から遠位のほうが,基板210に近接したものと比較してより大きな直径を有する。
【0050】
図8は,本発明の多様な実施態様に係る電極を製造し,任意に用いる方法を示す。導電性基板受入工程810において,基板210を入手する。基板210をシード層215の添加又は支持フィラメント230の直接結合のために調製できる。基板210を第三者が提供できるか又は上記第三者が図8の方法を行うことで製造できる。
【0051】
任意のシード層形成工程815において,シード層215を基板210上に形成する。シード層形成工程815は,支持フィラメント230を基板210に直接結合する実施態様においては任意である。ある実施態様において,シード層形成工程815はシード層215の一つを超える副層の堆積又は成長工程を具える。
【0052】
支持フィラメント形成工程820において,複数の支持フィラメント230をシード層215又は基板210上に形成する。多様な実施態様において,形成された支持フィラメント230は,少なくとも5:1,10:1,20:1,50:1又は100:1のアスペクト比(長さ/幅)を有する。
【0053】
被覆工程825において,支持フィラメント形成工程820で形成した支持フィラメント230をインターカレーション層240で被覆して電極を形成する。本明細書の他所で議論したように,支持フィラメント230の幹部235は,任意に未被覆のままか又は支持フィラメント230の他の区域より薄い厚みの被覆を有する。多様な実施態様において,支持フィラメント230に塗布したインターカレーション層240は,該支持フィラメント230よりもイオン吸着又は吸収容量が少なくとも二倍,五倍又は十倍大きい。
【0054】
任意の電解質工程830において,工程825で形成した電極を電解質溶液に入れる。該電極はカソード又はアノードとすることができる。ある実施態様において,被覆支持フィラメント230の電解質との接触配置は,インターカレーション層240のイオンの取り込みと膨張を生起する。
【0055】
任意の電池工程835において,工程825で形成した電極を再充電可能電池の一つのセルに入れる。該電極をカソード又はアノードとして使用できる。ある実施態様において,工程825を用いて形成した電極を再充電可能電池のカソード及びアノードの両方で使用する。
【0056】
任意のサイクル電池工程840において,工程835の電池を繰り返しサイクルした(充電及び放電)。このプロセスにおいて,インターカレーション層240は,複数の支持フィラメント230の基板210からの脱着なしにイオンを繰り返し吸収及び放出する。ここに記載した優れた電極のある実施態様を用いる再充電可能電池が,電荷輸送容量の相当な損失なしに600回を超えて完全にサイクルできることを見出した。このサイクル能力は幹部235の存在又は寸法に依存しうる。この繰り返しサイクル能力を達成するとともに,インターカレーション層440を欠くシステムと比較して六倍を超える充電容量の向上を同時に達成することができる。
【0057】
幾つかの実施態様をここに具体的に説明し及び/又は記載した。しかしながら,変更及び変形を上記教示により,かつ添付請求項の範囲内でその精神及びその意図した範囲から逸脱することなく保護されることが分る。例えば,追加の結合剤層を用いて電極延長部220を含む電極を被覆することができる。この結合剤層は,イオンがインターカレーション層240に通しかつそれから通過するように構築したイオン透過膜を具えることができる。
【0058】
ここで論じた実施態様は本発明の例証である。本発明のこれら実施態様は,説明するため参照として記載したため,記載した方法及び/又は具体的構造の多様な変更や変形は当業者にとって明白でありうる。本発明の教示に基づく,及びそれを通じてこれらの教示が当該技術を進展させた,全ての変更,適用及び変形は本発明の精神及び範囲内であると解釈される。それゆえ,これらの記載及び図面は限定的な意味で解釈されてはならず,本発明は決して説明した実施態様のみ限定するものではないと理解される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8