【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様は、
電極シート用の金属箔を所定の搬送ラインに沿って長手方向に搬送しつつ前記金属箔の表裏両面に所定の塗工膜を塗布して電池用電極シートを製造する電池用電極シートの製造方法であって、
表面側塗工膜を形成した前記金属箔に
対し、前記搬送ラインの幅方向における基準位置であるラインセンタに対する前記表面側塗工膜の幅方向に関する中央位置のズレ量を求め、このズレ量に基づき前記表面側塗工膜が形成された前記金属箔のエッジ位置を検出するセンサを移動
させ、該センサが検出する前記表面側塗工膜が形成された前記金属箔のエッジ位置が所定位置となるように前記金属箔をその幅方向に移動させて、前記中央位置が前記ラインセンタに合致するように前記金属箔の位置を調整した後に
、前記金属箔に裏面側塗工膜を形成することを特徴とする電池用電極シートの製造方法にある。
【0014】
本態様によれば、表面側塗工膜の中央位置を、基準となるラインセンタに合致させることができるので、ラインセンタに中央位置が合致するよう形成される裏面側塗工膜の中央位置を表面側塗工膜の中央位置に合致させることができる。この結果、表面側塗工膜および裏面側塗工膜のエッジ位置を高精度に合致させることができる。
また、金属箔のエッジの計測位置がズレ量の分だけ幅方向に移動されるので、移動された位置を基準として金属箔のエッジを計測することができる。この結果、金属箔をズレ量分だけ移動させて金属箔の中央位置をラインセンタに合致させることができる。
【0017】
本発明の第
2の態様は、
第
1の態様に記載する電池用電極シートの製造方法において、
前記ズレ量は下記式(1)で算出することを特徴とする電池用電極シートの製造方法にある。
【0018】
【数1】
【0019】
ただし、W
Tは金属箔の幅、W
E1は一方側の未塗工部(金属箔のエッジ位置と表面側塗工膜エッジ位置との間の領域)の幅、W
E2は他方側の未塗工部の幅、Xは搬送ラインの端部と金属箔の端部との距離、W
Dは搬送ラインの端部からラインセンタまでの距離である。
【0020】
本態様によれば、ズレ量を求めるための具体的なパラメータに基づいて具体的なズレ量を容易に算出することができる。
【0021】
本発明の第
3の態様は、
第
2の態様に記載する電池用電極シートの製造方法において、
上式(1)
のWT−
(W
E1+W
E2)の代わりに表面側塗工膜の幅W
Cを用いたことを特徴とする電池用電極シートの製造方法にある。
【0022】
本態様によれば、表面側塗工膜の幅W
Cを用いて第3の実施の形態と同様にズレ量を容易に算出することができる。
【0023】
本発明の第4の態様は、
シート状の電極板を基準となるラインセンタに沿って搬送する搬送ラインと、金属箔の表面側に表面側塗工膜を塗布・形成する表面側塗工部と、該表面側塗工部の下流側に配設され前記金属箔の裏面側に裏面側塗工膜を塗布・形成する裏面側塗工部とを有する電池用電極シートの製造装置であって、
前記裏面側塗工部の上流側において前記金属箔の幅方向の位置を調整する位置調整手段を有し、
前記位置調整手段は、前記ラインセンタに対する前記表面側塗工膜の幅方向の中央位置のズレ量を算出するズレ量算出部と、
前記ズレ量算出部が算出したズレ量に基づき前記表面側塗工膜が形成された前記金属箔のエッジ位置を検出するセンサ
を移動させるとともに、該センサが検出する前記表面側塗工膜が形成された前記金属箔のエッジ位
置が所定位置となるように前記金属箔をその幅方向に移動させて、前記金属箔の中央位置が前記ラインセンタに合致するように前記金属箔の位置を調整する位置調整部と、を有するように構成したことを特徴とする電池用電極シートの製造装置にある。
【0024】
本態様によれば、表面側塗工膜の中央位置を、基準となるラインセンタに合致させることができるので、ラインセンタに中央位置が合致するよう形成される裏面側塗工膜の中央位置を表面側塗工膜の中央位置に合致させることができる。この結果、表面側塗工膜および裏面側塗工膜のエッジ位置を高精度に合致させることができる。
【0025】
本発明の第
5の態様は、
第
4の態様に記載する電池用電極シートの製造装置において、
前記位置調整手段は、前記ズレ量に応じて前記金属箔の幅方向におけるエッジ計測位置が変更されるように前記金属箔の幅方向に移動してエッジ計測を行うエッジ計測手段と、このエッジ計測手段の計測結果に基づき前記金属箔をズレ量の分だけ幅方向に移動させる移動修正手段とを有することを特徴とする電池用電極シートの製造装置にある。
【0026】
本態様によれば、金属箔のエッジの計測位置がズレ量の分だけ幅方向に移動されるので、移動された位置を基準として金属箔のエッジを計測することができる。この結果、金属箔をズレ量分だけ移動させて金属箔の中央位置をラインセンタに合致させることができる。
【0027】
本発明の第
6の態様は、
第
4または第
5の態様に記載する電池用電極シートの製造装置において、
前記ズレ量算出手段は、
前記搬送ラインの左右両側における前記金属箔のエッジ位置と前記表面側塗工膜のエッジ位置との間の領域である未塗工部の幅W
E1、W
E2を計測する未塗工幅計測手段と、
前記搬送ラインの端部と前記金属箔の端部との間の距離Xを計測する他のエッジ位置計測手段と、
前記未塗工幅計測手段および他のエッジ位置計測手段で計測した前記幅W
E1、W
E2および距離Xとともに、事前に測定して記憶されている前記金属箔の幅W
Tおよび前記搬送ラインの端部から前記ラインセンタまでの距離W
Dに基づき次式(1)によりズレ量Z
Rを算出する演算処理手段とを有することを特徴とする電池用電極シートの製造装置にある。
【0028】
【数1】
【0029】
本態様によれば、ズレ量を求めるための具体的なパラメータに基づいて具体的なズレ量を容易に算出することができる。
【0030】
本発明の第
7の態様は、
第
6の態様に記載する電池用電極シートの製造装置において、
前記ズレ量算出
部は、前記未塗工幅計測手段の代わりに前記表面側塗工膜の幅W
Cを計測する塗工幅計測手段を有し、
前記演算処理手段は、上式(1)
のWT−
(W
E1+W
E2)の代わりに表面側塗工膜の幅W
Cを用いてズレ量を算出することを特徴とする電池用電極シートの製造装置にある。
【0031】
本態様によれば、表面側塗工膜の幅W
Cを用いて第7の態様と同様にズレ量を容易に算出することができる。