特許第6082910号(P6082910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6082910
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】ゲーム機
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/00 20060101AFI20170213BHJP
【FI】
   A63F9/00 508H
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-257436(P2013-257436)
(22)【出願日】2013年12月12日
(65)【公開番号】特開2015-112345(P2015-112345A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2015年2月19日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.ロケテストの実施 実施開始日 平成25年8月23日 実施した場所 シルクハット川崎ダイス店 神奈川県川崎市川崎区駅前本町8ダイスビルB2 2.ロケテストの実施 実施開始日 平成25年8月30日 実施した場所 ラウンドワン南砂店 東京都江東区南砂六丁目7番15号トピレックプラザ 3.商談会の実施 実施開始日 平成25年9月17日 実施した場所 株式会社コナミデジタルエンタテインメント神奈川事業所 神奈川県座間市東原5丁目1番1号 4.ロケテストの実施 実施開始日 平成25年10月4日 実施した場所 シルクハット川崎ダイス店 神奈川県川崎市川崎区駅前本町8ダイスビルB2 5.ロケテストの実施 実施開始日 平成25年10月10日 実施した場所 ラウンドワン福岡天神店 福岡県福岡市中央区天神2−6−12 6.ロケテストの実施 実施開始日 平成25年10月16日 メトロポリス小牧店 愛知県小牧市間々片山181
(73)【特許権者】
【識別番号】506113602
【氏名又は名称】株式会社コナミデジタルエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(72)【発明者】
【氏名】奥秋 政人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 龍
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 隆
(72)【発明者】
【氏名】佐々 純一
【審査官】 前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−105219(JP,A)
【文献】 特開2012−024167(JP,A)
【文献】 特開2014−151144(JP,A)
【文献】 特開2012−161579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00− 9/20
A63F 9/26−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームフィールドのフィールド面に沿って移動可能な第1の可動部材が設けられ、前記第1の可動部材の移動に応じて前記ゲームフィールド上の複数の第1の遊技動体及び前記第1の遊技動体よりも大きい少なくとも1つの第2の遊技動体を移動させるゲーム機であって、
前記フィールド面に沿って移動するように前記第1の可動部材を駆動する第1の駆動機構と、
前記ゲームフィールド上の第2の遊技動体の移動領域内を移動可能な第2の可動部材と、
前記第2の可動部材を駆動する第2の駆動機構と、
前記第1の可動部材とは異なる態様で、前記第2の可動部材を前記ゲームフィールド上の第2の遊技動体に作用させるように前記第2の駆動機構を制御する駆動制御手段と、
前記第2の遊技動体を検出するフィールド検出手段と、
前記フィールド検出手段で検出された第2の遊技動体に、ゲーム進行に影響する価値を設定する価値設定手段と、
前記価値設定手段で設定された価値を前記第2の遊技動体と対応付けて表示する価値表示手段と、を備え
前記第2の駆動機構は、前記第2の遊技動体の前記ゲームフィールドからの落下が阻止されるように当該第2の遊技動体の移動を制限する制限位置と、前記第2の遊技動体の移動を制限しない非制限位置との間で移動するように前記第2の可動部材を駆動し、
前記価値設定手段には、前記第2の遊技動体に表示された価値を変更する価値変更手段が設けられ、
前記価値変更手段は、前記制限位置に移動した前記第2の可動部材により移動が制限されている第2の遊技動体の価値を変更できるように設けられているゲーム機。
【請求項2】
前記第2の可動部材は、前記第2の遊技動体の移動領域のうち、前記第1の遊技動体の移動領域とは異なる領域を移動する請求項に記載のゲーム機。
【請求項3】
ゲームを実行するゲーム実行手段を備え、
前記駆動制御手段は、前記ゲーム実行手段のゲーム結果に応じて前記第2の駆動機構を制御する請求項1又は2に記載のゲーム機。
【請求項4】
プレイヤの操作を受け付ける操作手段を備え、
前記駆動制御手段は、前記操作手段からの操作入力結果に基づいて前記第2の駆動機構を制御する請求項1又は2に記載のゲーム機。
【請求項5】
前記駆動制御手段は、前記フィールド検出手段の検出結果に基づいて前記第2の駆動機構を制御する請求項1又は2に記載のゲーム機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームフィールド上の遊技動体の移動に応じてゲームが進行するゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームフィールド上のメダルやボール等の遊技動体をプッシャーテーブルの往復運動によって移動させ、その結果に応じてゲームを進行させるいわゆるプッシャーゲーム機が周知である(例えば特許文献1参照)。このようなプッシャーゲーム機では、ゲームフィールドに投入されるメダルやボールがプッシャーテーブルの往復運動に応じて移動し、ゲームフィールド外へ押し出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−46135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したゲーム機では、ゲームフィールド上の遊技動体は、プッシャーテーブルの動作に連係した移動をする。異なる大きさを有する複数種類の遊技動体がゲームフィールド上に存在していても、特定種類の遊技動体に対して異なる動作をさせることが困難である。
【0005】
そこで、本発明は特定種類の遊技動体に対して可動部材に連係した動作とは異なる動作を付与することができるゲーム機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゲーム機は、ゲームフィールドのフィールド面に沿って移動可能な第1の可動部材が設けられ、前記第1の可動部材の移動に応じて前記ゲームフィールド上の複数の第1の遊技動体及び前記第1の遊技動体よりも大きい少なくとも1つの第2の遊技動体を移動させるゲーム機であって、前記フィールド面に沿って移動するように前記第1の可動部材を駆動する第1の駆動機構と、前記ゲームフィールド上の第2の遊技動体の移動領域内を移動可能な第2の可動部材と、前記第2の可動部材を駆動する第2の駆動機構と、前記第1の可動部材とは異なる態様で、前記第2の可動部材を前記ゲームフィールド上の第2の遊技動体に作用させるように前記第2の駆動機構を制御する駆動制御手段と、を備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一形態に係るゲーム機の全体図。
図2】ステーションユニットの上面図。
図3図2のIII−III線で切断した断面図。
図4A図3の一部を拡大した要部拡大図。
図4B図3の一部を拡大した要部拡大図。
図5図2のブロッカーを拡大した要部拡大図。
図6】ゲームフィールドの模式図。
図7】ゲーム機の制御系の構成を示す機能ブロック図。
図8】ステーション制御部のブロッカー制御部が実行するブロッカー制御処理ルーチンを示すフローチャート。
図9】第2の可動部材の他の例を示す図。
図10】第2の可動部材の他の例を示す図。
図11】第2の可動部材の他の例を示す図。
図12】第2の可動部材の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一形態に係るゲーム機の全体図である。ゲーム機1は、多数のプレイヤにゲームを繰り返しプレイさせて収益を上げることを主たる目的として店舗等の所定の施設に設置される。この種のゲーム機1は、アーケードゲーム機と呼ばれることがある。また、ゲーム機1は、メダルを利用する、いわゆるメダルゲーム機である。ゲーム機1は、センターユニットCNと、センターユニットCNの周囲に配置された複数のステーションユニットSTとを備えている。センターユニットCNは、ゲーム機1の中央に配置され、ステーションユニットSTのゲーム結果に応じた各種のゲームを実行する。ステーションユニットSTは、センターユニットCNの周りに配置される。一例として、8台のステーションユニットSTがセンターユニットCNを挟んで4台ずつ両側に配置される。ステーションユニットSTは、メダルを利用したいわゆるプッシャーゲーム、及びそのプッシャーゲームのゲーム結果に応じたデジタル抽選ゲームを実行する。各ステーションユニットSTには、プレイヤが操作する操作手段としての操作部2と、プレイヤの操作に応じてゲームが進行するゲームフィールドGFとが設けられ、ゲームフィールドGFに投入される第1の遊技動体としてのダルMの物理的移動を利用してゲームが進行する。ゲームフィールドGFで提供されるメダルゲームの詳細は後述する。
【0009】
図2はステーションユニットSTの上面図、図3図2のIII−III線で切断した断面図である。また、図4A及び図4B図3の一部を拡大した要部拡大図である。なお、図2及び図3では、説明の便宜上、適宜の部材を省略している。ステーションユニットSTの操作部2には、メダルMをゲーム機1に投入するメダル投入口11と、投入したメダルMをゲームフィールドGFへ供給するメダル供給部12と、獲得したメダルMを払い出すメダル払出口13とが設けられている。メダル投入口11へ投入されたメダルMは、図示しないメダル検出センサにて検出され、検出されたメダルMの個数がクレジットとして記憶部53に記録される。メダル供給部12には、供給コントローラ12aと、供給方向を調整する調整ハンドル12bとが設けられている。供給コントローラ12aは、水平方向に設けられた回転軸の回りを回転するように構成される。供給コントローラ12aの回転量に応じて、ゲームフィールドGFのメダル供給レール21からメダルMが供給される。調整ハンドル12bは、メダル供給レール21の向きを調整するものである。
【0010】
ゲームフィールドGFには、メダルMを供給するメダル供給レール21と、メダルM及びメダルMよりも大きい第2の遊技動体としてのボールBが載置されるテーブル22と、ゲームフィールドGFのフィールド面としてのテーブル22の上面に沿って前後に移動可能な第1の可動部材としてのプッシャーテーブル23と、テーブル22の前端に位置し、メダルM及びボールBが落下する落下部24と、テーブル22にボールBを供給するボール供給路25と、プッシャーテーブル23とともに、ボールBを到達位置P1〜P3まで案内する案内経路GPを形成する経路形成部材26と、メダルMを検知する複数のチェッカー27と、モニタ28とが設けられている。なお、案内経路GPの詳細については後述する。メダル供給レール21は、供給コントローラ12aの操作に応じて図示しないメダルホッパーから供給されたメダルMをゲームフィールドGFへ案内する。メダルホッパーの構成は、周知技術を利用してよい。
【0011】
プッシャーテーブル23は、プッシャーテーブル23を前後方向に駆動する第1の駆動機構としての駆動機構29(図7)により前後方向に往復運動される。駆動機構29は、メダルM及びボールBを押し出す押出位置Paと、退避位置Pbとの間で往復運動するようにプッシャーテーブル23を駆動する。駆動機構29は周知技術を利用して構成されてよい。プッシャーテーブル23の前方部には、前方へせり出すようにして傾斜面23aが形成される。傾斜面23aには、メダルMを検出する複数のチェッカー27が設けられている。チェッカー27は、傾斜面23aに設けられた貫通孔23bを通過するメダルMを検出する。チェッカー27に進入したメダルMは、テーブル22に落下する。なお、チェッカー27として、光電センサ等の周知技術を利用してよい。
【0012】
テーブル22には、テーブル22の上面を仕切る境界部材30が設けられている。一例として、図2に示すゲームフィールドGFには、2つの境界部材30が設けられている。境界部材30は、テーブル22の上面を前後方向に移動するボールBの移動経路としての複数のレーンL1〜L3(特に区別する必要がない場合、参照符号Lで代表することがある。)を形成する。各レーンL1〜L3は、ボールBが前後方向に移動可能な幅を有している。各レーンL1〜L3に沿って、各レーンL1〜L3を通過するボールBの位置を検出するフィールド検出手段としての複数のボール検出センサ31が設けられている。ボール検出センサ31は、一例として発光部31a及び受光部31bが一組となった赤外線センサで構成される(図6参照)。各レーンL1〜L3の両側にそれぞれ発光部31aと受光部31bとが等間隔に設置され、各レーンL1〜L3の進行方向と垂直な方向に複数の赤外線(図6のレーンL3の破線)が発光する。ボール検出センサ31の検出結果に基づいてボールBの位置が判別される。なお、レーンL1とレーンL2の境界及びレーンL2とレーンL3の境界にそれぞれ配置される発光部31a及び受光部31bは、境界部材30の一部として構成される。
【0013】
レーンL1には、ボールBの移動を制限するブロッカー32が設けられている。図5は、図2のブロッカー32を拡大した要部拡大図である。ブロッカー32には、ボールBに接触してその移動を制限する第2の可動部材としての制限部材32aと、制限部材32aを制限位置Psと非制限位置Ptとの間で所定の経路に沿って駆動する第2の駆動機構としてのソレノイド32bとが設けられている。ソレノイド32bは、内蔵されたソレノイドコイルの励磁及びその励磁の解除により、制限部材32aを制限位置Psと非制限位置Ptとの間で往復駆動させる周知の機構である。制限部材32aは、テーブル22の前端部付近の上方で出没し、ボールBが落下部24に落下することを阻止する。テーブル22上でボールBが移動する移動領域に制限位置Psが位置することでボールBに接触し、移動を制限できる。制限部材32aは、ボールBの移動領域のうち、メダルMの移動領域とは異なる領域を移動するので、メダルMと接触することなくボールBのみと接触することができる。これにより、制限部材32aは、メダルMの移動を制限することなく、ボールBの移動のみを制限することができる。ブロッカー32の駆動は、ステーションユニットSTやセンターユニットCNのゲーム結果やプレイヤの操作等に応じて制御される。ボールBの移動を制限することで、ボールBが落下部24に落下することなくテーブル22に留まる。
【0014】
プッシャーテーブル23には、案内経路GPから供給されるボールBを複数のレーンL1〜L3のいずれかのレーンLに振り分ける振分け部材33が取り付けられている。振分け部材33は棒状の部材で、境界部材30とプッシャーテーブル23との間に亘って設けられている。一例として、振分け部材33の一方の端部がプッシャーテーブル23に固定され、他方は移動可能に境界部材30に支持されている。これにより、振分け部材33はプッシャーテーブル23とともに往復運動する。振分け部材33は、プッシャーテーブル23が退避位置Pbまで移動したときに生じるスペースを区切り、案内経路GPから落下したボールBをいずれかのレーンLに振り分ける。
【0015】
テーブル22の前端から落下部24へメダルMが落下すると、落下した枚数に応じてメダル払出口13からメダルMが払い出される。あるいは、記憶部53にクレジットとして記録するようにしてもよい。所定のゲーム条件を満たすと、ボール供給機構34からボールBが供給され、ボール供給路25を介してテーブル22に案内される。ボール供給路25には、案内されるボールBを検出する供給検出センサ25aが設けられている。供給検出センサ25aは、光電センサや接触センサ等の周知技術を利用してよい。ボール供給機構34は、周知技術を利用して構成されてよい。ボールBが落下部24へ落下すると、落下したボールBの価値に応じて抽選ゲームやメダルMの払い出しが実行される。モニタ28は、例えば液晶ディスプレイ装置等の周知のディスプレイ装置で構成され、様々な抽選ゲームの表示や演出、各種情報等を表示する。
【0016】
ゲームフィールドGFの上方には、ゲームフィールドGFに画像を投影するプロジェクタ35が設けられている。プロジェクタ35は、ゲームフィールドGF上に設定される投影領域に画像(映像を含む。)を投影する。テーブル22に供給されるボールBは白色の素材で構成され、プロジェクタ35により画像が投影される。ボール検出センサ31の検出結果に基づいてボールBに画像が投影される。プロジェクタ35は周知技術を利用してよい。ゲームフィールドGFには、ボールB以外にも白色のスクリーン部材36a、36bが配置され、適宜の画像が表示される。また、境界部材30の上部に配置されるスクリーン部材36cにも適宜の画像が表示される。
【0017】
図1に戻って、センターユニットCNの説明をする。センターユニットCNには、抽選機構41とモニタ42とが設けられている。抽選機構41は、複数の抽選穴が設けられ、いずれかの抽選穴にボールが進入する物理的なルーレット抽選機構である。なお、抽選機構41は物理的抽選機構でなくともよく、モニタ42のみで構成される電子的抽選機構であってもよい。センターユニットCNで実行される抽選は、ルーレット抽選の他にスロット抽選やビンゴ抽選等各種抽選が実行されてよい。また、各種ゲームが実行されてもよい。センターユニットCNは、適宜周知技術を適用して構成してよい。
【0018】
図6は、ゲームフィールドGFの模式図である。図2〜6を参照してゲームフィールドGFでのメダルMの流れの概略を説明する。プレイヤは、貸与されるメダルMの枚数に応じてオペレータに料金を支払い、あるいは仮想通貨を消費する。プレイヤがメダル投入口11にメダルMを投入するとクレジットとしてカウントされ、記憶部53に記録される。プレイヤが、供給コントローラ12aを操作すると、回転量に応じてメダル供給レール21からメダルMがプッシャーテーブル23の上面に供給される。このとき、プレイヤが調整ハンドル12bを操作すると、メダル供給レール21の供給方向を調整することができる。プッシャーテーブル23の上面にあるメダルMの群は、プッシャーテーブル23の往復運動により押し出され、メダルMの群の一部は、テーブル22の上面に移動する。
【0019】
テーブル22の上面のメダルMの群上には、ボールBが載置されている。ボールBは、ゲーム進行に応じてテーブル22に供給され、いずれかのレーンLに進入する。ボール供給路25からゲームフィールドGFに供給されたボールBがいずれかのレーンLに進入し、ボール検出センサ31にてボールBが検出されると、プロジェクタ35によりボールBに価値が表示される。プッシャーテーブル23の往復運動によりメダルMの群が押し出され、メダルMの群の移動に付随してボールBも移動する。落下部24に落下したメダルMは、メダル払出口13から払い出される。あるいは、クレジットとして記録される。メダルMがチェッカー27に進入すると、メダルMの検出結果に基づいてスロットゲーム処理が実行される。このスロットゲームは、モニタ28に表示される。スロットゲームに当選し、一例としてプレイヤにメダルMの配当が生じると、配当に相当する数のメダルMが図示しないメダル供給口からゲームフィールドGFに払い出される。また、スロットゲームに当選したときの特典として、ゲームフィールドGFに様々なボールBを供給してもよい。
【0020】
テーブル22上のボールBには、ボールBの価値に関する情報を示す画像がプロジェクタ35により投影される。ボールBには、例えば、種類や属性、性質、特典等のゲーム進行に影響する価値が設定される。具体的には、落下部24に落下することによりゲームフィールドGFにメダルMを供給するメダルボールB1や、センターユニットCNでの抽選を実行する抽選ボールB2、チャンスゲーム(例えば、ステーションユニットSTで実行される物理抽選や電子抽選等の各種ゲーム)を実行するチャンスボールB3、センターユニットCNでのジャックポット抽選を実行するJPボールB4等がある。これらは一例であり、ゲームに応じて適宜の種類のボールBを設けてよい。ボール検出センサ31により各ボールBの位置が検出され、ボールBの移動に応じて投影される画像も移動する。ボールBは、テーブル22に載置されている間に価値が変化する。ボールBの価値は、テーブル22の上面でのボールBの配置や、ゲーム進行に応じて変化する。例えば、いずれかのレーンLにボールBが3つ並ぶ等のボールBの配置による場合、ボール検出センサ31の検出結果に基づいてボールBの価値を変化させる。ステーションユニットSTで実行されるスロットゲーム等のゲーム進行による場合、ゲーム結果に応じてボールBの価値を変化させればよい。また、レーンL1にはブロッカー32が設けられているので、図6に示すように制限部材32aを制限位置Psに位置させることでボールBをテーブル22上に留めることができる。そうすると、ボールBは、価値変化の対象となり続け、プレイヤが所望する価値まで変化させることができる。
【0021】
図7は、ゲーム機1の制御系の構成を示す機能ブロック図である。ゲーム機1には、センターユニットCN及び各ステーションユニットSTの動作を管理するユニット管理部51が設けられている。ユニット管理部51は、各ステーションユニットSTのゲーム結果に応じてセンターユニットCNのゲームを実行し、また、対応するステーションユニットSTのゲーム進行にセンターユニットCNのゲーム結果を反映させる。なお、図7では、センターユニットCNの図示を省略しているが、周知技術を利用して構成されている。
【0022】
各ステーションユニットSTには、ステーション制御部52と、記憶部53とが設けられている。ユニット管理部51及びステーション制御部52は、ゲーム機1のハードウエア(CPU及びその内部記憶装置としてのメモリを含む。)とソフトウエアとの組合せによって実現される論理的装置である。ステーション制御部52は、プッシャーテーブル23を駆動する駆動機構29、ブロッカー32の制限部材32aを駆動するソレノイド32b、テーブル22上のボールBを検出するボール検出センサ31、及びプロジェクタ35等とそれぞれ接続され、ステーションユニットST毎にゲーム進行に必要な信号やデータを送信あるいは受信する。ステーション制御部52は、他にもゲーム実行や設定に必要な各種センサ、機構、部材等と接続され、信号やデータの送受信や、動作を制御したりしている。
【0023】
記憶部53は、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、EEPROMといった不揮発性の記憶媒体を含む装置である。記憶部53には、ゲーム機1でゲームを実行するためのゲームプログラム54と、プレイデータ55とが記録されている。その他、ゲームの実行に必要な各種のデータが記憶されている。プレイデータ55には、プレイヤがプレイした各種ゲームの結果や取得したアイテム等のゲーム内容に関するデータが記録されている。記憶部53には上記以外にもゲーム進行に必要な各種のデータが記録されている。
【0024】
ステーション制御部52が記憶部53に記憶されたゲームプログラム54を読み取って実行することにより、ステーション制御部52の内部には論理的装置としてのゲーム実行部57及びブロッカー制御部58が設けられる。ゲーム実行部57は、ゲームの進行に必要な各種の処理を実行する。ブロッカー制御部58は、プッシャーテーブル23とは異なる態様で、制限部材32aをゲームフィールドGF上のボールBに作用させるようにソレノイド32bを制御する。ブロッカー32の制限部材32aは、制限位置PSと非制限位置Ptとの間で移動し、ボールBに作用する。なお、図7では、1つのステーションユニットSTを図示しているが、ゲーム機1には実際には同様の構成の複数のステーションユニットSTが設けられている。
【0025】
図8は、ステーション制御部52のブロッカー制御部58が実行するブロッカー制御処理ルーチンを示すフローチャートである。ブロッカー制御処理は、レーンL1を移動するボールBの移動を制限するための処理である。ブロッカー制御処理は、ステーションユニットST及びセンターユニットCNで実行されるゲーム中に実行される。ブロッカー制御部58は、ソレノイド32bの駆動条件を満たすか否かを判別する(ステップS1)。非制限位置Ptから制限位置Psへ制限部材32aを移動させる場合、駆動条件として、例えば、ステーションユニットSTのモニタ28に表示されるスロットゲームでゲームフィールドGF上のボールBの価値が変化する当り役のリーチとなることや、センターユニットCNのジャックポット抽選に当選してゲームフィールドGF上に大量のメダルMの払い出しがあること、レーンL1に所定数(例えば2つ)のボールBが進入すること等が設定される。
【0026】
駆動条件を満たすと、ブロッカー制御部58は、ソレノイド32bを駆動し(ステップS2)、今回の処理を終了する。制限位置Psに制限部材32aを移動させる場合、図6に示すようにボールBは制限部材32aに接触してレーンL1上に留まる。そうすると、ボールBの価値を変化させることができる。一例として、チャンスボールB3をJPボールB4に進化させたり、メダルボールB1による供給メダル枚数を増やしたりといったことができる。価値の変化はゲーム状況に応じて適宜設定されてよい。一方で、制限位置Psから非制限位置Ptへ制限部材32aを移動させる場合、ステップS1の駆動条件として、ボールBの移動制限対象となる各種ゲームが終了すること、駆動後所定時間が経過すること、レーンL1に所定数(例えば3つ)のボールBが進入すること等が設定される。非制限位置Ptに制限部材32aを移動させると、移動が制限されていたボールBは落下部24に落下し、落下したボールBの価値に応じてプレイヤにメダルM付与、各種ゲーム実行等の特典が付与される。
【0027】
上述の処理によれば、ブロッカー32は、駆動条件を満たすと(ステップS1)、制限部材32を移動させるようにソレノイド32bを駆動する(ステップS2)。ゲームフィールドGF上でボールBが留まることができ、プッシャーテーブル23の往復運動によって付与される動作とは異なる動作をボールBに付与することができる。したがって、ゲームフィールドGF上のボールBの動きをプレイヤの戦略に応じて変化させることができ、ゲームの興趣を高めることができる。なお、ブロッカー制御部58が実行するステップS1及びS2の処理が駆動制御手段として機能する。
【0028】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、ゲームフィールドGF上のボールBの移動を制限する部材としてブロッカー32を例に説明したがこれに限られない。例えば、ボールBをレーンL1の前後方向に移動させる可動部材32aAであってもよい。図9は、可動部材32aAの他の例を示す図である。可動部材32aAは、前方側に位置する第1位置Pu1と後方側に位置する第2位置Pu2との間で往復移動するように、駆動機構32bAに駆動される。駆動機構32bAとして、周知のアクチュエータを利用してよい。例えば、第1位置Pu1と第2位置Pu2との間に挟まれた可動部材32aAの可動領域にボールBがある場合、可動部材32aAが第1位置Pu1から第2位置Pu2に移動するとボールBは後方へ、第2位置Pu2から第1位置Pu1へ移動するとボールBは前方へそれぞれ移動する。可動部材32aAはボールBの進路の妨げにならないように上方へも移動できるように構成すればよい。また、この場合、前後方向へ可動部材32aAを移動させなければ、ボールBの移動を制限する制限部材としても利用ができる。
【0029】
ゲームフィールドGF上にレーンL1〜L3が設けられている例で説明したが、レーンLは設けられていなくてもよい。図10に示すように、可動部材32aBの可動領域にいるメダルボールB1に対して可動部材32aBを接触させて、ボールBを移動させてもよい。可動部材32aBは、所定角度の範囲内で往復運動するように駆動機構32bBに駆動される。ボールBと可動部材32aBの関係に応じて適宜の方向へボールBは移動する。可動部材32aBの長さや駆動する角度を調整して可動領域の大きさを調整してもよい。あるいは、図11に示すように、テーブル22の中央に可動部材32aCを設け、駆動機構32bCにより可動部材32aCを正逆回転可能に駆動してもよい。可動部材32aCが不要なときは垂直方向に立てるようにしてもよい。可動部材は、棒状の部材に限られず、テーブル22の一部をコンベアにしてボールを所定方向へ搬送したり、テーブル22の一部を上昇させて斜面を形成したりしてもよい。
【0030】
上述した形態では、レーンL1にブロッカー32を設けたが、これに限られない。例えば、全てのレーンL1〜L3にブロッカー32がそれぞれ設けられていてもよい。あるいは、図12に示すように共通のブロッカー32Dであってもよい。ブロッカー32Dの制限部材32aDは上下方向に移動する。ボールBの移動を制限するときは下がり、ボールBの移動を制限しないときは上がるようにすればよい。また、上述した形態では、所定の経路に沿って制限部材32a又は可動部材32aA〜32aDを移動させたがこれに限られない。例えば、振り子のような構成の可動部材を上方から吊り下げ、テーブル22の上面のボールBに接触させてもよい。あるいは、風を当てて第2の遊技動体を動かしてもよい。
【0031】
上述した形態では、ステーションユニットSTやセンターユニットCNのゲーム結果に基づいて駆動機構32bを駆動したがこれに限られない。例えば、プレイヤの操作に基づいて駆動機構32bを駆動させてもよい。この場合、図8のステップS1では、プレイヤの操作があることが駆動条件として設定される。プレイヤの操作は操作部2(例えば、押しボタン等)で受け付ければよい。プレイヤの操作に応じて制限部材32a(可動部材32aA〜32aD)が移動するので、プレイヤはボールBを制限させたり、移動させたりすることができる。この操作は、所定のゲーム条件を満たした場合に、所定時間内の操作を許可するようにしてもよい。適宜の変更が可能である。あるいは、レーンL1に存在するボールBの個数に応じて自動的に駆動を制御してもよい。例えば、レーンL1にボールBが2つある場合はボールBの移動を制限させ、ボールBが3つになると1つのボールBを落下部24に落下させ、ボールBが2つになったときに再び移動を制限するようにしてもよい。
【0032】
上述した形態では、第1の遊技媒体としてメダルM、第2の遊技媒体としてボールBでそれぞれ説明したが、これに限られない。例えば、第2の遊技媒体は、楕円体や円筒体等の適宜の形状であってもよい。第1の遊技媒体についても、第2の遊技媒体よりも小さいボール等であってもよい。ゲームに応じて適宜の形状に設定してよい。
【0033】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0034】
本発明の一態様に係るゲーム機(例えば、図7に記載のゲーム機1)は、ゲームフィールド(例えば、図2に記載のゲームフィールドGF)のフィールド面(例えば、図2に記載のテーブル22の上面)に沿って移動可能な第1の可動部材(例えば、図2に記載のプッシャーテーブル23)が設けられ、前記第1の可動部材の移動に応じて前記ゲームフィールド上の複数の第1の遊技動体(例えば、図2に記載のメダルM)及び前記第1の遊技動体よりも大きい少なくとも1つの第2の遊技動体(例えば、図2に記載のボールB)を移動させるゲーム機であって、前記フィールド面に沿って移動するように前記第1の可動部材を駆動する第1の駆動機構(例えば、図7に記載の駆動機構29)と、前記ゲームフィールド上の第2の遊技動体の移動領域内を移動可能な第2の可動部材(例えば、図5に記載の制限部材32a)と、前記第2の可動部材を駆動する第2の駆動機構(例えば、図5に記載のソレノイド32b)と、前記第1の可動部材とは異なる態様で、前記第2の可動部材を前記ゲームフィールド上の第2の遊技動体に作用させるように前記第2の駆動機構を制御する駆動制御手段(例えば、図7に記載のブロッカー制御部58)と、を備えたものである。
【0035】
本発明のゲーム機によれば、ゲームフィールド上のフィールド面では、第1の可動部材が移動して第1及び第2の遊技動体に作用する。一方、第2の遊技動体に対しては、第2の可動部材が第1の可動部材とは異なる態様で作用する。これにより、第2の遊技動体は、第1の遊技動体とは異なる動作が可能となり、ゲーム性が多様化する。
【0036】
本発明のゲーム機の一態様において、前記駆動制御手段は、前記第2の可動部材を所定の経路に沿って移動させ、前記ゲームフィールド上の第2の遊技動体と接触させて作用させるように前記第2の駆動機構を制御してもよい。これによれば、第2の可動部材を第2の遊技動体と接触させ、移動させることができる。この態様において、前記第2の可動部材による作用が、前記第2の遊技動体の移動を制限させる作用であってもよい。第2の遊技動体の移動を制限することで、ゲームフィールド上に第2の遊技動体を長く留まらせ、ゲーム性を多様化させることができる。この態様において、前記第2の駆動機構が、前記第2の遊技動体の移動を制限する制限位置(例えば、図5に記載の制限位置Ps)と、前記第2の遊技動体の移動を制限しない非制限位置(例えば、図5に記載の非制限位置Pt)との間で移動するように前記第2の可動部材を駆動してもよい。
【0037】
また、上述した態様において、前記第2の可動部材による作用が、前記第2の遊技動体を移動させる作用であってもよい。これによれば、第2の遊技動体に新たな動きを作用させ、ゲーム性を多様化させることができる。この態様において、前記第2の駆動機構が、前記ゲームフィールドのフィールド面に沿った方向に移動するように前記第2の可動部材を駆動してもよい。
【0038】
本発明のゲーム機の一態様において、前記第2の可動部材は、前記第2の遊技動体の移動領域のうち、前記第1の遊技動体の移動領域とは異なる領域を移動してもよい。これによれば、第2の可動部材は第2の遊技動体に接触するので、第2の遊技動体のみを動作させることができる。
【0039】
本発明のゲーム機の一態様において、ゲームを実行するゲーム実行手段(例えば、図7に記載のゲーム実行部57)を備え、前記駆動制御手段は、前記ゲーム実行手段のゲーム結果に応じて前記第2の駆動機構を制御してもよい。これによれば、ゲーム機で提供されるゲームの結果に応じて第2の可動部材が移動し、ゲーム性が多様化し、ゲームの興趣を高めることができる。また、本発明のゲーム機の一態様において、プレイヤの操作を受け付ける操作手段(例えば、図2に記載の操作部2)を備え、前記駆動制御手段は、前記操作手段からの操作入力結果に基づいて前記第2の駆動機構を制御してもよい。これによれば、プレイヤの操作に応じて第2の可動部材が移動するので、ゲーム性が多様化する。また、本発明のゲーム機の一態様において、前記第2の遊技動体を検出するフィールド検出手段(例えば、図2に記載のボール検出センサ31)を備え、前記駆動制御手段は、前記フィールド検出手段の検出結果に基づいて前記第2の駆動機構を制御してもよい。
【0040】
本発明のゲーム機の一態様において、前記第2の遊技動体を検出するフィールド検出手段と、前記フィールド検出手段で検出された第2の遊技動体に価値を設定する価値設定手段(例えば、図7に記載のゲーム実行部57)と、前記価値設定手段で設定された価値を前記第2の遊技動体と対応付けて表示する価値表示手段(例えば、図3に記載のプロジェクタ35)と、をさらに備え、前記価値設定手段には、前記第2の遊技動体に表示された価値を変更する価値変更手段(例えば、図7に記載のゲーム実行部57)が設けられていてもよい。これによれば、ゲームフィールド上の第2の遊技動体は、価値が変化する。ゲームフィールド上で第1の可動部材とは異なる態様で第2の可動部材を第2の遊技動体に作用させることにより、価値を変化させるためにゲームフィールド上に留まらせたり、あるいは、ゲームフィールド外へ排出させたりすることができ、ゲーム性を多様化することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ゲーム機
22 テーブル(フィールド面)
23 プッシャーテーブル(第1の可動部材)
29 駆動機構(第1の駆動機構)
32 ブロッカー
32a 制限部材(第2の可動部材)
32b ソレノイド(第2の駆動機構)
58 ブロッカー制御部(駆動制御手段)
B ボール(第2の遊技動体)
GF ゲームフィールド
M メダル(第1の遊技動体)
ST ステーションユニット
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12