【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明に係る制御システムは、(1)警報対象への接近を警報音声の出力で行う音声警報機能と、警報対象への接近を曲の再生によって行う曲警報機能とを備えることを特徴とする。
【0007】
このようにすることで、警報対象への接近を「音声」で知ることができるとともに、「曲の再生」によって接近警報中であることを知ることもできる。したがって、従来に比べ音による接近警報をよりわかりやすく、煩わしさがなく、緊迫感を継続させることも可能となる接近警報を実現することができる。
【0008】
曲は、特に緊迫感を有する曲とするとよい。また、接近するにしたがって盛り上がるなど接近していく感じが音から感じ取れる曲とするとよい。接近警報であることが運転者にとってすぐにわかる曲とするとよい。
(2)前記曲の再生は、前記警報音声の出力時間よりも長い時間にわたって行う構成とするとよい。
【0009】
このようにすることで、曲の再生によって接近警報中であることを知ることができる可能性が高まる。また、短時間で終わる警報音声を聞き逃したとしても、警報音声よりも長時間にわたって再生される曲を聞きとれる可能性は高く、曲が流れていることによって接近警報中であると認識できる可能性が高くなる。よって、従来に比べ、さらに音による接近警報をよりわかりやすく、煩わしさがなく、緊迫感を継続させることも可能となる接近警報を実現することができる。
(3)前記曲の再生は、前記警報音声の出力の終了時点よりも後の時点まで行う構成とするとよい。
このようにすることで、たとえ警報音声を聞き逃したとしても、曲が聞き取れれば接近警報中であることを知ることができる。
【0010】
曲の再生は、例えば、警報音声の出力の終了時点よりも後の時点から開始してもよいし、警報音声の出力中の時点から開始してもよいし、警報音声の出力の開始時点から開始してもよいし、警報音声の出力の開始時点よりも前の時点から開始してもよい。
【0011】
(4)前記警報音声として、当該警報対象の種類に関する内容を含む警報音声を出力し、前記曲の再生は、前記警報音声の出力の開始時点よりも前の時点から開始する構成とするとよい。
【0012】
このようにすることで、曲の再生の開始によって警報対象への接近を知ることができ、その後になされる警報音声に聞き耳をたてて注意することが可能となる。そして、そのように注意して聞いた警報音声の内容から詳細なその警報対象の種類を把握することができる。
【0013】
曲の再生は、例えば、警報音声の出力の開始時点よりも前の時点で終了してもよいし、警報音声の出力の開始時点で終了してもよいし、警報音声の出力中の時点で終了してもよいし、警報音声の出力の終了時点で終了してもよいし、警報音声の出力の終了時点よりも後の時点で終了してもよい。
(5)前記曲の再生は、前記警報音声の出力中を含む音声警報の前後にわたって行う構成とするとよい。
このようにすることで、音声警報と曲による警報の双方が同時になされることとなり、従来に比べ音による接近警報をよりわかりやすくなる。
例えば、曲の少なくとも一部が音声警報のBGMとして機能するよう曲を構成すると特によい。
(6)前記曲の再生の終了時点が、前記警報対象が所定の離反関係になった時点となるように調整する制御を行う構成とするとよい。
【0014】
このようにすることで、警報対象が所定の離反関係となった時点に曲の再生が終了する可能性が高くなる。したがって、曲の再生が終了したことによって、警報対象が所定の離反関係になったと認識できる。
【0015】
所定の離反関係としては、例えば、警報対象の位置を現在位置が通過したとみなせる時点としたり、警報対象の位置へ現在位置が接近しているのではないとみなさせる時点としたりするとよい。
(7)前記曲の再生の終了時点が、前記警報対象と所定の離反関係になった時点となるように調整する制御は、曲の一部を繰り返す制御とするとよい。
【0016】
このようにすれば曲の一部の繰り返しによって所定の離反関係になった時点で曲の再生が終了する。曲の記録容量を削減できるとともに、単純な制御でコストをかけずに調整ができる。曲の一部としては、例えば所定の繰り返し可能なメロディの部分とするとよい。
(8)前記曲はサビの部分を備え、前記曲のサビの部分の再生と前記警報音声の出力とが関連する時点でなされるようにする制御を行う構成とするとよい。
【0017】
このようにすれば、警報音声の出力と関連する時点で、サビの部分を聞くことができる。したがって、サビの存在を認識することで警報との関連性を認識することができる。
【0018】
曲のサビの部分の再生と警報音声の出力とが関連する時点として、例えば、警報音声の出力後にサビが再生されるようにすれば、例えば警報音声で警報した接近関係が継続していることを認識でき、接近への緊迫感を継続させることが容易にできる。サビの部分は一般には曲の先頭ではなく中にある。したがって、サビに至るまでの曲の部分が再生されていることによって、予め警報対象への接近を知ることができる。この状態で曲の再生がサビに差し掛かると、例えば「いよいよ警報対象が近くになってきたな」という感覚を与えることができる。しかも、そのサビと警報対象への接近を知らせる警報音声とは関連して報知される。したがって、従来に比べ音による接近警報をよりわかりやすく、煩わしさがなく、緊迫感を継続させることも可能となる接近警報を実現することができる。
【0019】
曲のサビの部分の再生と警報音声の出力とが関連する時点として、例えば、警報音声の出力前にサビが再生されるようにすれば、例えばサビが流れたらその後警報音声が流れることが予測できるため、サビが流れたら警報音声に注意することができる。曲のサビの部分の再生と警報音声の出力とが関連する時点として、例えば、サビの再生中に警報音声を再生すれば、この両者の効果を得ることができるので最も望ましい。
【0020】
(9)前記曲のサビの部分の再生と前記警報音声の出力とが関連する時点でなされるようにする制御は、前記曲のサビの部分の再生中に、前記警報音声の出力を行う制御とするとよい。
【0021】
このようにすれば、曲のサビの部分の再生中に、警報音声の出力がなされるので、従来の単なる音声による警報に比べ、警報の聞き逃しを抑制することができる。
【0022】
再生中としては、例えば、再生開始の時点としてもよいし、再生開始してしばらくしてからでもよい。曲のサビの部分の再生中に、前記警報音声の出力を行う制御としては、例えば、サビの部分の再生を判定して、警報音声を出力する構成とするとよい。
【0023】
(10)前記警報音声は複数の種類の音声フレーズの組み合せからなり、前記曲のサビの部分の再生と前記警報音声の出力とが関連する時点でなされるようにする制御は、前記警報音声の中で所定の種類のフレーズの再生中に前記警報音声の出力を行う制御とするとよい。
【0024】
このようにすれば、警報音声の中の所定の種類のフレーズがサビの再生によって強調される。したがって、例えば、警報音声の中で特に重要な種類のフレーズについて従来よりも容易に把握できる。
【0025】
所定の種類のフレーズは、例えば、警報対象の注意レベルを示すフレーズとしたり、警報対象の種類を示すフレーズとしたり、警報対象への接近度合いを示すフレーズとしたりするとよい。
【0026】
(11)前記曲のサビの部分の再生と前記警報音声の出力とが関連する時点でなされるようにする制御として、前記曲の再生の開始時点を調整する制御を備える構成とするとよい。
【0027】
このようにすれば、簡単な構成で曲のサビの部分の再生と警報音声の出力とが関連する時点でなされることとなる。例えば曲の再生中にその再生状態を変更しなくても単にその曲を再生するだけで、簡単な構成で曲のサビの部分の再生と警報音声の出力とが関連する時点でなされる。
【0028】
(12)前記曲は前記サビの部分の前に繰り返し再生可能な部分を備え、前記曲のサビの部分の再生と前記警報音声の出力とが関連する時点でなされるようにする制御として、当該繰り返し再生可能な部分を繰り返し再生する回数を調整する制御を備える構成とするとよい。
【0029】
このようにすれば、簡単な構成で曲のサビの部分の再生と警報音声の出力とが関連する時点でなされることとなる。例えば曲の再生速度等を変更しなくても繰り返し再生する回数を調整するだけで、曲のサビの部分の再生と警報音声の出力とが関連する時点でなされる。
【0030】
(13)前記曲は、サビの部分を含まない繰り返し再生可能な第一の曲と、サビの部分を含む第二の曲とを備え、前記第二の曲のサビの部分の開始時点で前記警報音声の出力を開始する構成とするとよい。
【0031】
このようにすれば、曲のサビの部分の再生開始時点と警報音声の出力の開始時点との、警報対象に対する接近状態に関するばらつきを抑えることが容易にできる。すなわち、警報音声の出力の開始時点を、警報対象との接近状態が一定の範囲にある場合に収めることが容易にできる。
【0032】
第一の曲は、例えば繰り返し再生時に曲の終端部と曲の開始部が不連続であると認識されない曲とするとよく、特に、繰り返し再生時に曲の終端部と曲の開始部が連続した曲と運転者に感じられる曲とするとよい。第一の曲の終端部と第二の曲の開始部とは不連続であると認識されないよう第一の曲の終端部と第二の曲の終端部を構成するとよく、特に、第一の曲の終端部と第二の曲の開始部が連続した1つの曲と運転者に感じられる曲の構成とするとよい。
【0033】
(14)前記第二の曲の長さは、10秒から30秒の範囲であり、前記第二の曲は、曲の開始部付近にサビの開始部を備え、前記第二の曲の終了時点が前記警報対象の通過とみなされる時点となるように制御する構成とするとよい。
【0034】
このようにすれば、警報対象の通過とみなされる時点からおおむね10秒から30秒程度の秒数手前の時点からサビの再生が始まる。また、警報対象の通過とみなされる時点で曲の再生が終了する可能性が高くすることが容易にできる。
例えば第一の曲の再生回数をこのように第二の曲の長さを加味して、警報対象の通過とみなされる時点で曲の再生が終了するように調整するとよい。
【0035】
(15)前記警報音声の出力を行う時点よりも前の時点で、移動速度に関する情報を取得し、当該移動速度に関する情報に基づいて、前記第一の曲の繰り返し回数を決定する制御を行う構成とするとよい。
このようにすれば、警報対象の通過とみなされる時点で曲の再生が終了する可能性を容易に高めることができる。
例えば、第一の曲の繰り返し回数を時速40km/hのときには、時速80km/hのときの2倍の回数とするとよい。
【0036】
(16)前記警報音声として、当該警報対象までの距離に関する内容を含む警報音声を出力し、前記第二の曲の再生開始から再生終了までに要する時間と、前記警報音声の出力を行う時点よりも前の時点での移動速度に関する情報とに基づいて、当該警報音声の内容である当該警報対象までの距離に関する内容を決定する構成とするとよい。
【0037】
警報音声の内容である当該警報対象までの距離に関する内容が、警報音声の出力を行う時点よりも前の時点での移動速度と、第二の曲の再生開始から再生終了までに要する時間とに基づいて決定される。したがって、警報音声の内容である距離に関する情報が実際の距離に近い内容とすることが容易にできるとともに、曲のサビの部分の再生開始時点と警報音声の出力の開始時点との、警報対象に対する接近状態に関するばらつきを抑えることが容易にできる。特に第二の曲の再生開始から再生終了までに要する時間は一定の時間(固定時間)とするとよい。
【0038】
(17)前記警報音声として、当該警報対象までの距離に関する内容を含む警報音声を出力し、前記曲のサビの開始時点から曲の終了時点までの長さが一定であり、前記曲の終了時点が前記警報対象の通過とみなされる時点となるように制御する構成とするとよい。
このようにすれば、曲の終了時点が警報対象の通過とみなされる時点となる可能性を高めることを容易にできる。
例えば、曲のサビの開始時点から曲の終了時点までの長さは、10秒から30秒程度の中の固定された一定の秒数とするとよい。
【0039】
(18)前記警報音声として、当該警報対象までの距離に関する内容を含む警報音声を出力し、前記曲のサビの開始時点における前記警報対象との接近距離を、前記警報音声の出力を行う時点よりも前の時点で推定し、当該推定された距離に応じて前記警報音声の前記警報対象までの距離に関する内容を変更する構成とするとよい。
このようにすれば、実際の警報対象との距離に近い距離に関する内容が、警報音声として出力されることとなる。
【0040】
(19)前記警報音声として、当該警報対象までの距離に関する内容を含む警報音声を出力し、当該警報音声の内容である当該警報対象までの距離に関する内容の決定を前記警報音声の出力を行うよりも前の移動状態に基づいて行う構成とするとよい。
【0041】
このようにすれば、警報音声の内容である当該警報対象までの距離に関する内容の精度を高めることができる。したがって、警報音声の内容と実際の警報対象への接近状態との間にずれが生じて、違和感を感じたり、実際の警報対象を通過したものと誤信したりすることを防止できる。移動状態としては、例えば、速度を用いるとよい。
【0042】
(20)警報対象までの距離に関する内容は、距離に応じた複数の段階に対応したものを備え、前記距離に応じていずれかの段階の内容を警報音声として出力する構成とするとよい。
【0043】
このようにすれば、どの程度の距離であるのか、容易に把握することができる。例えば、距離は400m、500m、600mの3段階を設け、警報音声として「警報対象まで400mです」「警報対象まで500mです」「警報対象まで600mです」の3パターンの中から選択した警報音声を出力するとよい。
(21)前記警報音声として、前記警報対象に現在位置が至るまでの時間または距離の少なくともいずれか一方を出力する構成とするとよい。
【0044】
このようにすれば、警報対象までにあとどのくらいで至るのか、数値で確実に知ることができるとともに、曲警報機能による警報により、接近警報中であることを知ることもできる。したがって、従来に比べ音による接近警報をよりわかりやすく、煩わしさがなく、緊迫感を継続させることも可能となる接近警報を実現することができる。
【0045】
(22)前記警報対象への接近として、予め記憶された警報対象の位置と現在の位置とが所定の接近関係になった場合と、警報対象物が発する周波数の電波を受信し、当該電波の受信状況が所定の受信状態になった場合とを備える構成とするとよい。
【0046】
例えば、警報対象が速度取締用のマイクロ波レーダーである場合、そのマイクロ波レーダーの周波数の電波を受信しその信号強度が所定値以上の場合に、所定の受信状態になったと場合とするとよい。また、緊急車両が発する特定周波数の電波を受信しその信号強度が所定値以上の場合に、所定の受信状態になったと場合とするとよい。
(23)前記警報音声は前記警報対象の種類に応じて複数備え、接近している警報対象の種類に応じた警報用の曲を再生する機能を備える構成とするとよい。
【0047】
このようにすれば、どの種類の警報対象への接近しているのかを音声を聞くことで知ることができるとともに、曲を聞くことでその曲の種類によってどの種類の警報対象への接近しているのかを知ることができる。例えば、警報音声を聞き逃したりしても、曲の種類でどの警報対象への接近かがわかる。したがって、従来に比べ音による接近警報をよりわかりやすく、煩わしさがない。
(24)前記曲の再生の音量は、前記警報音声の出力の音量よりも小さくする構成とするとよい。
このようにすれば、曲の再生によって警報音声の内容が聞き取りにくくなることを防止でき、より確実に警報内容を知ることができる。
【0048】
(25)前記警報音声の出力の音量と、前記曲の再生の音量とを、それぞれ別に設定する制御を行う構成とするとよい。例えば、ユーザからの操作に応じて、双方の音量を個別に設定する構成とするとよい。
(26)(1)〜(25)のいずれかに記載の制御システムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとして構成するとよい。