特許第6083039号(P6083039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6083039携帯端末にプッシュ通知を行うための通知方法及び通知サーバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6083039
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】携帯端末にプッシュ通知を行うための通知方法及び通知サーバ
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20170213BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20170213BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20170213BHJP
【FI】
   G06F13/00 540P
   H04M11/00 302
   G06Q50/10
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-124937(P2016-124937)
(22)【出願日】2016年6月23日
(62)【分割の表示】特願2016-37379(P2016-37379)の分割
【原出願日】2016年2月29日
【審査請求日】2016年6月23日
(31)【優先権主張番号】特願2015-188195(P2015-188195)
(32)【優先日】2015年9月25日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515268881
【氏名又は名称】株式会社カタリナ
(74)【代理人】
【識別番号】100174078
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 寛
(72)【発明者】
【氏名】山岸 辰雄
(72)【発明者】
【氏名】河本 恭一
(72)【発明者】
【氏名】李 雄柱
(72)【発明者】
【氏名】笠原 俊
【審査官】 寺谷 大亮
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0258409(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0237498(US,A1)
【文献】 特開2013−197861(JP,A)
【文献】 特開2014−235453(JP,A)
【文献】 特開2002−334033(JP,A)
【文献】 特開2002−189675(JP,A)
【文献】 特開2014−003363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
G06Q 50/10
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末にプッシュ通知を表示させるための通知サーバであって、
前記携帯端末との間に確立されるセッションを前記携帯端末の端末識別子に関連づけて記憶する記憶部と、
前記携帯端末の前記端末識別子とともに記憶されたセッション上で、前記携帯端末に対してプッシュ通知情報を送信する通信部と
を備え、
前記記憶部に記憶されるセッションは、ウェブコンテンツを識別するためのウェブ識別子とも関連づけられ、
前記通信部は、前記端末識別子及び前記ウェブ識別子と関連づけられた前記セッション上で、前記携帯端末上で動作するウェブコンテンツを閲覧するためのアプリの表示画面に対してプッシュ通知情報を送信し、
前記プッシュ通知情報により表示される前記プッシュ通知は動画を含み、
前記通信部はさらに、前記携帯端末との間に確立されたセッションが前記記憶部に記憶されていない場合、前記携帯端末に搭載されたOSが利用可能なリモート通知サービスに対して端末識別子を送信して、前記通知サーバと前記携帯端末との間のセッションを確立するための前記携帯端末への仮プッシュ通知を要求し、
前記仮プッシュ通知は、タップ又はクリックされるとウェブコンテンツを閲覧するためのアプリが起動され、前記アプリによってセッション確立モジュールが実行されて前記セッションを確立するためのリクエストが前記通信部によって受信されるものであることを特徴とする通知サーバ。
【請求項2】
前記通知部は、前記通知サーバに入力された端末識別子及びウェブ識別子に基づいて端末識別子及びウェブ識別子とセッションとの対応づけを格納するセッションテーブルを参照して特定されるセッションを用いて、前記プッシュ通知情報の送信を行うことを特徴とする請求項1に記載の通知サーバ。
【請求項3】
前記プッシュ通知情報の送信は、前記ウェブ識別子により識別されるウェブコンテンツが前記表示画面に表示されているときに行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の通知サーバ。
【請求項4】
前記ウェブ識別子は、前記ウェブコンテンツを含むウェブサイトのURLであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通知サーバ。
【請求項5】
前記プッシュ通知情報の送信は、所定の期間の間に前記URLのトップページにアクセスした携帯端末に対して継続して行うことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通知サーバ。
【請求項6】
前記プッシュ通知情報の通知内容は、新たに作成されたウェブページへの導線として前記新たに作成されたウェブページのURLを含むことを特徴とする請求項5に記載の通知サーバ。
【請求項7】
携帯端末にプッシュ通知を表示させるための通知方法であって、
前記携帯端末との間に確立されるセッションを前記携帯端末の端末識別子に関連づけて記憶するステップと、
前記携帯端末の前記端末識別子とともに記憶されたセッション上で、前記携帯端末に対してプッシュ通知情報を送信するステップと
を含み、
前記記憶されるセッションは、ウェブコンテンツを識別するためのウェブ識別子とも関連づけられ、
前記送信は、前記端末識別子及び前記ウェブ識別子と関連づけられた前記セッション上で、前記携帯端末上で動作するウェブコンテンツを閲覧するためのアプリの表示画面に対してプッシュ通知情報を送信することを含み
前記プッシュ通知情報により表示される前記プッシュ通知は動画を含み、
前記携帯端末との間に確立されたセッションが前記記憶部に記憶されていない場合、前記携帯端末に搭載されたOSが利用可能なリモート通知サービスに対して端末識別子を送信して、前記通知サーバと前記携帯端末との間のセッションを確立するための前記携帯端末への仮プッシュ通知を要求し、
前記仮プッシュ通知は、タップ又はクリックされるとウェブコンテンツを閲覧するためのアプリが起動され、前記アプリによってセッション確立モジュールが実行されて前記セッションを確立するためのリクエストを受信させるものであることを特徴とする通知方法。
【請求項8】
コンピュータに、携帯端末にプッシュ通知を表示させるための通知方法を実行させるためのプログラムであって、前記通知方法は、
前記携帯端末との間に確立されるセッションを前記携帯端末の端末識別子に関連づけて記憶するステップと、
前記携帯端末の前記端末識別子とともに記憶されたセッション上で、前記携帯端末に対してプッシュ通知情報を送信するステップと
を含み、
前記記憶されるセッションは、ウェブコンテンツを識別するためのウェブ識別子とも関連づけられ、
前記送信は、前記端末識別子及び前記ウェブ識別子と関連づけられた前記セッション上で、前記携帯端末上で動作するウェブコンテンツを閲覧するためのアプリの表示画面に対してプッシュ通知情報を送信することを含み
前記プッシュ通知情報により表示される前記プッシュ通知は動画を含み、
前記携帯端末との間に確立されたセッションが前記記憶部に記憶されていない場合、前記携帯端末に搭載されたOSが利用可能なリモート通知サービスに対して端末識別子を送信して、前記通知サーバと前記携帯端末との間のセッションを確立するための前記携帯端末への仮プッシュ通知を要求し、
前記仮プッシュ通知は、タップ又はクリックされるとウェブコンテンツを閲覧するためのアプリが起動され、前記アプリによってセッション確立モジュールが実行されて前記セッションを確立するためのリクエストを受信させるものであることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末にプッシュ通知を行うための通知方法及び通知サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレットなどの携帯端末の普及が急激に進んでいる。こうした携帯端末の特徴の1つは、iOS、AndroidといったOSが搭載されており、OSが提供する機能の上で各種アプリケーション(「アプリ」とも呼ぶ。)をインストールすることによってさまざまな情報処理が可能となる点である。
【0003】
多くのアプリ・プロバイダーは、ユーザーのアクティブ率向上等を目的としてユーザーに対するプッシュ通知を用いる。
【0004】
プッシュ通知は、iOS、Androidといった各OSが利用可能なリモート通知サービス(iOSではAPNs、AndroidではGCM)を用いて行われている。リモート通知サービスにおいて、通信の配信先である端末及び当該端末にインストールされたアプリの識別子をそれぞれ管理し、アプリのプロバイダー又はその代行業者から、端末識別子、アプリ識別子、及び、通知内容となるメッセージを受け取ると、指定された端末に対し、指定されたアプリと関連づけられた通知を送信する。
【0005】
通知の形式には、トースト通知と呼ばれるポップアップ通知、ステータスバーにアイコンを表示するステータス通知等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−149070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のプッシュ通知は、いずれの形式であれ、各OSが利用可能なリモート通知サービスの制約により、含ませることのできる情報が限られている。たとえば、特許文献1には、モバイルゲームのプロモーションをプッシュ通知により行うためのシステムが開示されており、プロモーションメッセージとして、ゲーム情報の詳細内容を確認することのできる確認キーが例示され、当該確認キーをユーザーが選択すると、携帯端末機が上記システムに接続して詳細内容を受け取ることができること、あるいは、プロモーションされたゲームのインストール又は実行をできることが説明されている。プッシュ通知としてはユーザーに文字メッセージなどの簡単なメッセージを伝えるに留まっている。
【0008】
本発明の発明者らは、従来のように必ずしも各OSが利用可能なリモート通知サービスを用いずともプッシュ通知を実現可能であることを見出し、本発明をするにいたった。従来の制約に縛られずに、より高い自由度でプッシュ通知の設計が可能となるのである。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、携帯端末にプッシュ通知を行うための通知方法及び通知装置において、自由度の高いプッシュ通知を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、携帯端末にプッシュ通知を
表示させるための通知サーバであって、前記携帯端末との間に確立されるセッションを前記携帯端末の端末識別子に関連づけて記憶する記憶部と、前記携帯端末の前記端末識別子とともに記憶されたセッション上で、前記携帯端末に対してプッシュ通知情報を送信する通信部とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記通信部は、前記携帯端末からの要求を必要とすることなく、前記プッシュ通知情報を送信することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記通知部は、前記通知サーバに入力された端末識別子に基づいて端末識別子とセッションとの対応づけを格納するセッションテーブルを参照して特定されるセッションを用いて、前記プッシュ通知情報の送信を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれかの態様において、前記記憶部に記憶されるセッションは、前記携帯端末にインストールされたアプリのアプリ識別子とも関連づけられ、前記通信部は、前記端末識別子及び前記アプリ識別子と関連づけられた前記セッション上で、前記携帯端末上で動作する前記アプリに対してプッシュ通知情報を送信することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記通知部は、前記通知サーバに入力された端末識別子及びアプリ識別子に基づいて端末識別子及びアプリ識別子とセッションとの対応づけを格納するセッションテーブルを参照して特定されるセッションを用いて、前記プッシュ通知情報の送信を行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第6の態様は、第4又は第5の態様において、前記アプリは、ウェブページを閲覧するためのアプリであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第7の態様は、第4から第6のいずれかの態様において、前記通信部は、前記アプリがフォアグランドの状態であるときに、前記プッシュ通知情報を送信することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の第8の態様は、第1から第3のいずれかの態様において、前記記憶部に記憶されるセッションは、ウェブコンテンツを識別するためのウェブ識別子とも関連づけられ、前記通信部は、前記端末識別子及び前記ウェブ識別子と関連づけられた前記セッション上で、前記携帯端末上で動作するウェブコンテンツを閲覧するためのアプリの表示画面に対してプッシュ通知情報を送信することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の第9の態様は、第8の態様において、前記通知部は、前記通知サーバに入力された端末識別子及びウェブ識別子に基づいて端末識別子及びウェブ識別子とセッションとの対応づけを格納するセッションテーブルを参照して特定されるセッションを用いて、前記プッシュ通知情報の送信を行うことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の第10の態様は、第8又は第9の態様において、前記プッシュ通知情報の送信は、前記ウェブ識別子により識別されるウェブコンテンツが前記表示画面に表示されているときに行われることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の第11の態様は、第8から第10のいずれかの態様において、前記ウェブ識別子は、前記ウェブコンテンツを含むウェブサイトのURLであることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の第12の態様は、第4から第11のいずれかの態様において、前記セッションは、前記アプリが起動されている間、維持されることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の第13の態様は、第4から第12のいずれかの態様において、前記セッションは、前記アプリの起動に伴い確立されることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の第14の態様は、第1から第13のいずれかの態様において、前記セッションは、WebSocket規格に準拠することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の第15の態様は、第1から第14のいずれかの態様において、前記プッシュ通知情報の通知内容は、文字、静止画及び動画のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0025】
また、本発明の第16の態様は、第1から第15のいずれかの態様において、前記プッシュ通知情報によるプッシュ通知は、前記携帯端末の表示画面にポップアップとして表示されることを特徴とする。
【0026】
また、本発明の第17の態様は、第1から第16のいずれかの態様において、前記プッシュ通知は、前記携帯端末の表示画面の少なくとも1部に配置されることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の第18の態様は、第17の態様において、前記プッシュ通知は、実況動画のためのワイプとして配置されることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の第19の態様は、第1から第18のいずれかの態様において、前記通信部は、前記携帯端末との間に確立されたセッションが前記記憶部に記憶されていない場合、前記携帯端末に搭載されたOSが利用可能なリモート通知サービスに対して端末識別子、及び、前記携帯端末にインストールされたアプリのアプリ識別子を送信して前記携帯端末への仮プッシュ通知を要求することを特徴とする。
【0029】
また、本発明の第20の態様は、第19の態様において、前記リモート通知サービスは、APNs又はGCMであることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の第21の態様は、第19又は20の態様において、前記仮プッシュ通知は、タップ又はクリックされることにより、前記アプリ識別子により識別されるアプリを起動するものであり、前記記憶部は、前記仮プッシュ通知がタップ又はクリックされた前記携帯端末の端末識別子及びタップ又はクリックにより起動されるアプリのアプリ識別子と関連づけて前記携帯端末と前記管理サーバとの間に確立されるセッションを記憶することを特徴とする。
【0031】
また、本発明の第22の態様は、第21の態様において、前記通信部は、前記記憶部に前記セッションが記憶されたことに応じて、前記セッション上で、前記携帯端末に対してプッシュ通知情報を送信することを特徴とする。
【0032】
また、本発明の第23の態様は、第22の態様において、前記通信部は、前記携帯端末からの要求を必要とすることなく、前記プッシュ通知情報を送信することを特徴とする。
【0033】
また、本発明の第24の態様は、携帯端末にプッシュ通知を表示させるための通知方法であって、前記携帯端末との間に確立されるセッションを前記携帯端末の端末識別子に関連づけて記憶するステップと、前記携帯端末の前記端末識別子とともに記憶されたセッション上で、前記携帯端末に対してプッシュ通知情報を送信するステップとを含むことを特徴とする。
【0034】
また、本発明の第25の態様は、コンピュータに、携帯端末にプッシュ通知を表示させるための通知方法を実行させるためのプログラムであって、前記通知方法は、前記携帯端末との間に確立されるセッションを前記携帯端末の端末識別子に関連づけて記憶するステップと、前記携帯端末の前記端末識別子とともに記憶されたセッション上で、前記携帯端末に対してプッシュ通知情報を送信するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明の一態様によれば、従来のように携帯端末の各OSが利用可能なリモート通知サービスを用いてプッシュ通知を行うのではなく、通知を行う通知サーバと通知先である携帯端末との間にセッションを確立し、当該セッション上で、携帯端末に対してプッシュ通知情報を送信するため、自由度の高いプッシュ通知を可能とし、たとえばユーザーによるプッシュ通知の認知を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明にかかる通知サーバと携帯端末との関係を示す図である。
図2】一実施形態にかかるウェブコンテンツへのプッシュ通知の表示例を示す図である。
図3】一実施形態にかかるセッションの確立方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0038】
(本発明の概要)
本発明は、従来のように携帯端末の各OSが利用可能なリモート通知サービスを用いてプッシュ通知を行うのではなく、図1に示すように、通知を行う通知サーバ110と通知先である携帯端末120との間にセッションを確立し、当該セッション上で、携帯端末120に対してプッシュ通知情報を送信する。
【0039】
通知サーバ110は、CPUなどの処理部111と、記憶部112と、通信部113とを備え、所定のプログラムを実行することで、以下で説明する各機能を実現する。記憶部112には、通知サーバ110と携帯端末120との間に確立されるセッションが、当該携帯端末120の端末識別子に関連づけて記憶される。端末識別子としては、たとえばIPアドレスが挙げられる。
【0040】
上記セッションは、WebSocket規格に準拠するものとすることができる。セッション上でプッシュ通知を行うためには通知サーバ110から携帯端末120への下り方向の通信が必要となるが、WebSocketを用いることによって、双方向通信、特に全二重通信が可能となる。すなわち、通知サーバ110は、携帯端末120からの要求を必要とすることなく、任意のタイミングでプッシュ通知の配信を行うことができる。
【0041】
通知部112がプッシュ通知を行う通知先の特定は、端末識別子とセッションとの対応づけを格納するセッションテーブルを記憶部113に記憶しておき、通知サーバ110に入力された端末識別子に基づいて当該セッションテーブルを参照してセッションを特定することによって行うことができる。通知サーバ110としては、複数の配信先を含む配信先リストを読み込み、特定されたセッションにプッシュ通知を行っていくバッチ処理を採用してもよい。
【0042】
各セッションは、携帯端末120にインストールされたアプリのアプリ識別子とも関連
づけることができ、この場合、通信部112は、端末識別子及びアプリ識別子と関連づけられたセッション上で、携帯端末120上で動作する当該アプリに対してプッシュ通知を送信することができる。アプリ識別子としては、たとえば逆ドメイン形式(パッケージ名を逆ドメイン記法で記述し一意性を持たせる識別法)が挙げられる。通知先の特定は、セッションテーブルにアプリ識別子も格納し、通知サーバ110に入力された端末識別子及びアプリ識別子に基づいて当該セッションテーブルを参照することにより可能である。端末識別子及びアプリ識別子を別個の識別子としてもよいし、1組の端末及びアプリを識別する識別子を用いてもよい。当該アプリは、たとえば、ウェブページを閲覧するためのアプリとすることができる。また、当該アプリがフォアグランドの状態であるときにプッシュ通知情報を送信するようにすることができる。
【0043】
送信されるプッシュ通知情報の通知内容には、文字、静止画及び動画、3Dコンテンツのうちの少なくとも1つを含むことができ、携帯端末120の表示画面にポップアップとして表示される。具体的には、プッシュ通知情報を携帯端末120が受信すると、携帯端末120は、当該プッシュ通知情報に含まれるコンテンツバイナリデータとHTML、CSS、JSなどのウェブページを構成する構造化データとを解析し、携帯端末120の表示画面上にコンテンツと構造化データを組み立ててポップアップとしてウェブページを再構築することによって、プッシュ通知を表示させる。
【0044】
通知内容は、アプリ・プロバイダーが作成し、通知サーバ110又は通知サーバ110が接続可能なコンテンツマネジメントシステム(CMS)(図示せず)にそれぞれに識別子を付して記憶しておけばよい。
【0045】
プッシュ通知は、携帯端末120の表示画面の少なくとも1部に配置することができ、用途に応じて位置・大きさ・形状を調整可能である。
【0046】
このようにすることで、本発明にかかる通知サーバ110は、セッションが確立されていることを条件に(後述)、任意の端末に任意のタイミングで、静止画、動画等のリッチなコンテンツを含む任意のプッシュ通知を高い自由度で配信することができる。携帯端末120からの要求を不要とできるため、携帯端末120の省エネ化を図ることができる。また、携帯端末120からの要求に応じて通知を行うと要求の待ち時間が遅延となるところ、本発明によれば、高速なプッシュ通知が実現可能である。
【0047】
(ウェブコンテンツへのプッシュ通知)
本発明の一実施形態では、携帯端末120上で動作するウェブページなどのウェブコンテンツを識別するウェブ識別子と関連づけてセッションを確立し、図2に示すように、当該セッション上で、携帯端末120上で動作するウェブコンテンツを閲覧するためのアプリの表示画面に対してプッシュ通知情報を送信する。
【0048】
ウェブ識別子としては、たとえば、ウェブコンテンツを含むウェブサイトのURLが挙げられる。この場合、通知サーバ110は、まずウェブサイトが読み込む通知サーバ110と全二重通信状態を確立するモジュールが当該セッションに関連づけられたURLが携帯端末120上で閲覧されているか否かを判定し、閲覧されている場合、プッシュ通知情報を送信する。プッシュ通知情報を携帯端末120が受信すると、携帯端末120は、当該プッシュ通知情報に含まれるコンテンツバイナリデータとHTML、CSS、JSなどのウェブページを構成する構造化データとを解析し、携帯端末120の表示画面上にコンテンツと構造化データを組み立ててポップアップとしウェブページを再構築することによって、プッシュ通知を表示させる。
【0049】
このようにすることで、ウェブページなどのウェブコンテンツに対して直接的にプッシ
ュ通知を行うことが可能となる。
【0050】
なお、アプリが特定のURLにアクセスするものである場合にはアプリ識別子がウェブ識別子であることがある。
【0051】
また、ウェブページに対してプッシュ通知を行う場合、ユーザーが閲覧しているサイト(コンテンツ)の閲覧を邪魔しないようにポップアップではないバナー形式のような違う表現で表すこともできる。
【0052】
(セッション管理)
本発明にかかるセッションの管理には、いくつかの実施形態が挙げられる。
【0053】
各セッションは、アプリに関連づけられている場合、アプリの起動に伴い確立し、アプリが起動されている間、維持することができる。
【0054】
アプリがフォアグランド・バックグランドのいずれの状態においてもセッションを維持しておきつつ、フォアグランドの状態においてのみプッシュ通知情報の送信を行うようにしてもよい。
【0055】
また、各セッションは、URLに関連づけられている場合、当該URLから別のURLに遷移したことに応じて破棄することができる。
【0056】
(セッションの確立方法)
本発明にかかるセッションの確立方法には、大別して少なくとも2通りが挙げられる。第1の方法は、携帯端末120上で動作するアプリにセッション確立用モジュールを組み込む方法である。当該アプリが携帯端末120上で起動すると当該モジュールが実行されて、管理サーバ110とのセッションの有無を判定し、セッションが無ければ携帯端末120から管理サーバ110に、セッションを確立するためのリクエストと合わせて端末識別子又は端末識別子及びアプリ識別子が送信されてセッションが確立され、管理サーバ110の記憶部113に記憶されたセッションテーブルに新たに確立されたセッションが格納される。管理サーバ110は、受け取ったリクエストに対してセッション確立のために端末識別子又は端末識別子及びアプリ識別子を元に判断し、対象クライアントであればレスポンスを返すことで、セッションの確立を行うことができる。
【0057】
第2の方法は、携帯端末120上で動作するウェブコンテンツを閲覧するためのアプリによってアクセスされるウェブサーバにセッション確立用モジュールを記憶しておき、当該ウェブサーバに携帯端末120からアクセスがあると、ウェブコンテンツとともに当該モジュールを携帯端末120に送信する。携帯端末120では上記アプリが当該モジュールを実行してセッションが確立される。上記モジュールは、ウェブサーバに記憶しておいてもよいし、当該ウェブサーバから接続可能な別のサーバ上に記憶しておいてもよい。別のサーバ上に置いておくことでモジュールのアップデートなどのメンテナンスが容易になる。
【0058】
通知サーバ110は、たとえばオペレータが通知サーバ110上で提供される管理画面からプッシュ通知の通知先の指定を行うと、各通知先との間でセッションの有無の判定を行う(S301)。セッションが確立されている場合にはプッシュ通知を行うが(S302)、セッションが確立されていない場合、各OSが利用可能なリモート通知サービスを用いて仮にプッシュ通知(「仮プッシュ通知」とも呼ぶ。)を行うことができる(S303)。ユーザーが仮プッシュ通知をタップ又はクリックすると、通知サーバ110と携帯端末120との間に上記第1又は第2の方法によってセッションの確立が可能となる(S304)。
【0059】
管理サーバ110においては、通知先として指定された端末識別子及びアプリ識別子に対応するセッションが確立していなかったことをセッションテーブルでたとえばフラグを立てて状態を保持しておき、フラグが立っている間に新たにセッションが確立されたことに応じて、確立中と同様にCMS等から通知内容を取得し、確立された当該セッション上で上記アプリの表示画面に対してプッシュ通知を行う。
【0060】
(ユーザー行動履歴)
通知サーバ110と携帯端末120との間にセッションが確立されている際に、通知サーバ110は、携帯端末120からフィンガープリントなどのユーザー識別子を当該セッション上で受信することができる。なお、「フィンガープリント」とは、ブラウザーの種類及びバージョン、OSの種類及びバージョン、画面解像度、利用可能なフォント、プラグイン、時間帯、言語及びフォントの設定、ハードウエア構成情報等のうちの少なくとも複数を組み合わせて、その違いに基づいてユーザーを特定するものをいう。
【0061】
セッション確立用モジュール、又は別途の履歴取得用モジュールにユーザー識別子を取得して通知サーバ110に送信する機能を与えておき、たとえば、ユーザーが携帯端末120を用いて第1のウェブページにアクセスしたこと、第1のウェブページから当該第1のウェブページとは異なる第2のウェブページにアクセスしたことなどのユーザー行動履歴とともに通知サーバ110に送信して通知サーバ110の記憶部112又は通信サーバ110からアクセス可能な記憶部に格納してもよい。
【0062】
セッション確立時、又はセッション確立後の所定のタイミングで通知サーバ110が携帯端末120のユーザー識別子を受信するようにしておくと、受信したユーザー識別子に関連づけられた過去のユーザー行動履歴を参照して、当該セッション上での携帯端末120へのプッシュ通知の通知内容を決定することが可能となる。ユーザー行動履歴を参照した活用例としては、例えば、第1のウェブページである商品の詳細ページを見た情報を参照して、第2のウェブページで第1のウェブページで興味を持った商品のおすすめ通知をするといったことが可能になる。
【0063】
(ウェブページ間の誘導・連携)
膨大な数のウェブページが存在する現在、新たに作成されたウェブページへのアクセスを効率的に集めるための手法があれば、それは強く望まれるところであるが、本発明の一態様では、単発のプッシュ通知ではなく、所定の期間の間に既存ウェブページにアクセスしたユーザーに対して当該既存ウェブページとは異なる新規ウェブページに関連づけられたプッシュ通知を送信する。たとえば、新規ウェブページのURLを通知内容に含むプッシュ通知とすることができる。
【0064】
新たに作成されたウェブページへの効率的な導線を与えることの困難さがもたらすこの問題は、当該新たに作成されたウェブページを含むウェブサイトのトップページを上記既存ウェブページとすることで、特に顕著な効果が得られる。記事の見出しなどが並ぶことの多いトップページは、多くのアクセス数があるものの多くのユーザーは短時間でより下位階層のウェブページへと遷移してしまうことから、単発のプッシュ通知では多くのユーザーに配信することが容易ではないが、所定の期間にわたりプッシュ通知を継続することに多くのユーザーを捉えることができる。
【0065】
新規ウェブページが含まれるウェブサイトのトップページの他には、新規ウェブページに関連するウェブサイトのトップページとすることも同様に効果的である。
【0066】
ユーザーが同じドメイン内に滞在中にセッションを維持することが効果的な用途もあり、そのために、携帯端末120からサーバ110にkeep_aliveパケットを送信してもよい。
【0067】
(動画ワイプ)
プッシュ通知の通知内容として、動画、特にオリンピック、高校野球等のスポーツの試合、ロケットの打ち上げ、コンサートなどの実況動画が対象となる場合、本発明の一態様では、ワイプとして表示を行う。本明細書では、「ワイプ」とは、表示領域の隅により小さな領域を設けて別の映像を表示したもの、又はその表示領域を指す用語として用いる。
【0068】
プッシュ通知の性質として、場合によっては、ユーザーが表示しようとするウェブコンテンツの障害となる傾向にある。ウェブコンテンツの閲覧に優先して配信者側が表示させたいもの、たとえば広告、ウェブサイトへのログインパスワードの入力要求、パスワードの変更案内、エラー表示等についてはさほど問題とはならない可能性が高い。しかしながら、おおよその開始日時は分かっているものの正確な開始日時は必ずしも定まっていない実況動画等をユーザーのウェブブラウザにプッシュ通知として表示させることを考えると、開始までの期間はユーザーのウェブブラウザの使用、その他の作業の障害となってしまうおそれがある。
【0069】
本発明の一態様では、実際にイベントの開始時刻又は開始予定時刻が近づいてきたタイミングで、たとえば1時間、30分、10分、5分、1分前等の所定時間前にワイプとして実況動画のプッシュ通知を行う。ワイプの配置位置は、ウェブブラウザなどのアプリの表示領域の右下、右上、左上、左下などの隅とすることができ、また、表示されているページをスクロールしてもワイプの配置位置は固定したままとすることができる。ユーザーが望めば、ワイプをドラッグしてその位置は可変としてもよい。
【0070】
動画ワイプの対象となるイベントとしては、ウェブブラウザが表示しているウェブページ又はウェブサイトの内容に関連するイベント、ユーザーの過去の行動履歴から判定した当該ユーザーの興味に関連するイベントなどとしてもよい。あるいは、通知サーバ110が通知可能な通知先のすべて又は一部に対して一律に配信をしてもよい。
【0071】
動画ワイプの表示手順としては、次のようになる。まず、携帯端末112にプッシュ通知情報を送信する。次に、携帯端末112のウェブブラウザが当該プッシュ通知情報に含まれるスクリプトを実行して当該ウェブブラウザに関連づけてワイプのための表示領域を生成する。そして、当該ワイプにおいて実況動画を自動再生するか、ユーザーから当該ワイプに対する入力に応じて再生を開始する。さらにユーザーからのタップ、クリックなどの入力に応じてワイプを拡大又は全画面表示できるようにしてもよい。
【0072】
プッシュ通知として表示される動画は、表示が行われるウェブページ又はウェブサイトにおいては提供されない動画とすることもできる。このようにユーザーが今閲覧しているウェブコンテンツとは関連性のない又は低いものを表示する際には、上述のようにワイプとして、ユーザーが表示しようとするウェブコンテンツの障害となるリスクを大幅に低減することができる。
【0073】
(効果測定)
各OSが提供するリモート通知サービスはプッシュ通知の効果を確認することは出来ず、効果的なプッシュ通知の戦略を立てることが難しい。セッションを用いる本発明にかかるプッシュ通知では、プッシュ通知後のユーザーアクションなどの情報を管理サーバ110側で取得することができる。たとえば、プッシュ通知にアンケート機能を設け、ユーザーからの反応等を集計することで、より効果的なプッシュ通知を行うための分析が可能になる。
【0074】
(負荷軽減)
通知サーバ110が接続可能な携帯端末の数、或いは同時に確立可能なWebSocketセッション数には制約がある場合がある。そこで、本発明の一態様では、WebSocketセッションが確立された第1の携帯端末を経由してWebSocketセッションが確立されていない第2の携帯端末へのプッシュ通知を行う。
【0075】
まず、第2の携帯端末が通知サーバ110にWebSocketセッションの確立リクエストを行う。次に、通知サーバ110は、確立済みのWebSocketセッション数が所定の上限又はセッション数に達していると判定したときは、確立不可の通知を第2の携帯端末に返す。ここで、通知サーバ110は、WebSocketセッションが確立中の第1の携帯端末のIPアドレスもあわせて返す。第2の携帯端末は、この場合、WebSocket用モジュール又は別途のWebRTC用モジュールによりWebRTC規格に準拠したWebRTCセッションを第1の携帯端末との間で確立する。そして、第1の携帯端末は、通知サーバ110よりプッシュ通知を受信すると、第1の携帯端末の記憶部に記憶されたWebSocket用モジュール又は別途のWebRTC用モジュールによって現在第2の携帯端末とWebRTCセッションが確立中であることに応じて当該プッシュ通知を第2の携帯端末に転送する。
【0076】
このようにして、本発明の一態様では、通知サーバ110の負荷を軽減することが可能である。
【0077】
(その他)
HTML、CSS、JSなどのウェブの表現技術を利用したリッチなプッシュ通知は自由な表現が可能である。その表現態様は、テキストをはじめ、画像、サウンド、動画、透過利用アニメーション、3Dコンテンツ、ゲームなどのプログラムが利用でき、表現の形状もポップアップに留まらない自由な形状を表現することが出来る。
【0078】
付加機能として一方的に情報を表現するプッシュ通知だけではなく、ゲーム性を取り入れたプッシュ通知が可能で、例えばあみだくじのようなプログラムをプッシュ通知し、ユーザーの選択によって当たりが出ると特典を与えるといったプッシュ通知が可能である。
【0079】
付加機能としてあらかじめユーザーが取り決めたパスワードを入力しないとプッシュ通知の内容が確認出来ないプッシュ通知が可能である。
【0080】
ウェブサイレントプッシュ機能として通知サーバ110からユーザーの目には現れないプッシュ通知を送信することが可能で、表示しているウェブページの一部を書き換えて、ページの一部を更新したり、広告領域の広告コンテンツを変更したりといったことが任意のタイミングで可能になる。
【符号の説明】
【0081】
110 通知サーバ
111 処理部
112 記憶部
113 通信部
120 携帯端末
【要約】
【課題】携帯端末にプッシュ通知を行うための通知方法及び通知装置において、自由度の高いプッシュ通知を可能とする。
【解決手段】従来のように携帯端末の各OSが利用可能なリモート通知サービスを用いてプッシュ通知を行うのではなく、図1に示すように、通知を行う通知サーバ110と通知先である携帯端末120との間にセッションを確立し、当該セッション上で、携帯端末120に対してプッシュ通知情報を送信する。通知サーバ110の記憶部112には、通知サーバ110と携帯端末120との間に確立されるセッションが、当該携帯端末120の端末識別子に関連づけて記憶される。このようにすることで、本発明にかかる通知サーバ110は、セッションが確立されていることを条件に、任意の端末に任意のタイミングで、静止画、動画等のリッチなコンテンツを含む任意のプッシュ通知を高い自由度で配信することができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3