特許第6083073号(P6083073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6083073プランター、プランターの製造方法、プランターを用いた植栽方法、プランター装置、および、プランター装置を用いた植栽方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6083073
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】プランター、プランターの製造方法、プランターを用いた植栽方法、プランター装置、および、プランター装置を用いた植栽方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/02 20060101AFI20170213BHJP
   A01G 27/00 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   A01G9/02 B
   A01G9/02 103G
   A01G9/02 E
   A01G27/00 502L
   A01G27/00 503C
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-238567(P2014-238567)
(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公開番号】特開2016-96803(P2016-96803A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2015年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】514301657
【氏名又は名称】グリーンストリート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(74)【代理人】
【識別番号】100194984
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 圭太
(72)【発明者】
【氏名】原 貴夫
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5319498(JP,B2)
【文献】 特表2012−516151(JP,A)
【文献】 実用新案登録第2529284(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00 − 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部が開口した筒状体であり、各端部に亘る長さであると共に、植栽する植物の地上部分を外部へ露出可能な細長い幅の窓部が周壁に形成された胴部と、
該胴部の両端の開口部分を閉塞すると共に、液体が流通可能な液体出入口を有する蓋部材と
前記窓部の長さ方向と略同じ長さであると共に、同窓部よりも幅が狭く、同窓部の一部を閉塞可能な部材である閉塞要素とを備える
プランター。
【請求項2】
前記閉塞要素は、棒状または板状であり、その両端が前記蓋部材によって固定される
請求項1記載のプランター。
【請求項3】
前記胴部内の空間に収まり、かつ、同胴部の内面と当接する大きさの外周を有する内部フレーム部と、該内部フレーム部と繋がっており、前記窓部近傍の同胴部外面に係止され、かつ、同窓部の長さ方向と交差する方向に延びた押さえ片部とを有する変形防止部材を備える
請求項1または請求項2記載のプランター。
【請求項4】
前記胴部内の空間に収まり、かつ、同胴部の内面と当接する大きさの外周を有する内部フレーム部と、該内部フレーム部と繋がっており、前記窓部近傍の同胴部外面に係止され、かつ、同窓部の長さ方向と交差する方向に延びた押さえ片部と、前記閉塞要素を通して保持する保持要素とを有する変形防止部材を備える
請求項1または請求項2記載のプランター。
【請求項5】
前記蓋部材は、前記胴部の両端の開口部分と相対する面に、開口縁に外嵌めされるフランジ部を有する構造である
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載のプランター。
【請求項6】
前記液体出入口は、前記蓋部材から突出した筒体である
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5記載のプランター。
【請求項7】
前記胴部または前記蓋部材のいずれかの箇所に、装飾場所または装飾物へ取り付けるための取付手段を備える
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項6記載のプランター。
【請求項8】
熱可塑性合成樹脂を用いた押出成形によって、両端部が開口した筒状であり、かつ、一方の端部の開口部分から他方の端部の開口部分にかけて植栽する植物の地上部分を外部へ露出可能な幅の窓部が形成された胴部を成形する工程と、
前記胴部の両端の開口部分を閉塞可能な大きさである共に、液体が流通可能な液体出入口を有する一対の蓋部材を成形する工程と、
前記蓋部材を、前記胴部の両端の開口部分の各々に取り付けて同開口部分を閉塞すると共に、前記窓に、同窓部の長さ方向と略同じ長さであって同窓部よりも幅が狭く、同窓部の一部を閉塞可能な部材である閉塞要素を取り付ける工程とを備える
プランターの製造方法。
【請求項9】
液体が流通可能な液体出入口を有する蓋部材で筒状体の胴部の両端の開口部分を閉塞して成ると共に、前記胴部の周壁に、各端部に亘る長さで細長い幅の窓部が形成され、該窓部に、同窓部の長さ方向と略同じ長さで同窓部よりも幅が狭くて同窓部の一部を閉塞可能な部材である閉塞要素を有するプランターにより、
前記閉塞要素で前記窓部の開口領域の大きさを調節して前記プランター内に収容された培地の露出と漏れを抑制しつつ、前記窓部から植栽する植物の地上部分を外部へ露出させると共に、前記液体出入口を通じて、同プランター内の前記培地へ給水し、同プランター内の水を排水する
プランターを用いた植栽方法。
【請求項10】
両端部が開口した筒状体であり、各端部に亘る長さであると共に、植栽する植物の地上部分を外部へ露出可能な細長い幅の窓部が周壁に形成された胴部、該胴部の両端の開口部分を閉塞すると共に、液体が流通可能な液体出入口を含む蓋部材、前記窓部の長さ方向と略同じ長さであると共に、同窓部よりも幅が狭く、同窓部の一部を閉塞可能な部材である閉塞要素、を有するプランターと、
該プランターが取り付けられる取付フレームと、
前記液体出入口に接続される給水経路と、給水する水を貯め置く給水タンクとを有し、前記プランターに給水可能な給水手段と、
前記液体出入口に接続される排水経路と、排水を貯め置く排水タンクとを有し、前記プランターからの排水を貯留可能な排水手段とを備える
プランター装置。
【請求項11】
前記プランターが複数であり、各プランターが給水経路と排水経路で通水可能に接続されている
請求項10記載のプランター装置。
【請求項12】
内部電源、あるいは外部電源との接続手段と、
前記内部電源あるいは前記外部電源により作動するポンプと、
前記プランターからの排水を濾過する濾過手段とを備えている
請求項10または請求項11記載のプランター装置。
【請求項13】
濾過された排水を、前記給水タンクへ送る送水経路を備える
請求項12記載のプランター装置。
【請求項14】
液体が流通可能な液体出入口を有する蓋部材で筒状体の胴部の両端の開口部分を閉塞して成ると共に、前記胴部の周壁に、各端部に亘る長さで細長い幅の窓部が形成され、該窓部に、同窓部の長さ方向と略同じ長さで同窓部よりも幅が狭くて同窓部の一部を閉塞可能な部材である閉塞要素を有するプランターを取付フレームに取り付け、前記液体出入口に接続される給水経路と給水する水を貯め置く給水タンクとを有する給水手段、及び前記液体出入口に接続される排水経路と排水を貯め置く排水タンクとを有する排水手段を備えたプランター装置により、
前記閉塞要素で前記窓部の開口領域の大きさを調節して前記プランター内に収容された培地の露出と漏れを抑制しつつ、前記窓部から植栽する植物の地上部分を外部へ露出させると共に、前記給水タンクから液体出入口を通じて、同プランター内の前記培地へ給水し、前記排水タンクへ同プランター内の水を排水する
プランター装置を用いた植栽方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランター、プランターの製造方法、プランターを用いた植栽方法、プランター装置、および、プランター装置を用いた植栽方法に関するものである。
更に詳しくは、単体で、または、複数を組み合わせて、建造物の天井と屋根の間の空間へ立体的に植物を配置可能であって、後述する立体寄植用植木鉢のような従来のプランターよりも製造効率が向上したプランター、プランターの製造方法、プランターを用いた植栽方法、プランター装置、および、プランター装置を用いた植栽方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内または軒下等の壁面を装飾するための部材として、例えば、下記特許文献1に開示された立体寄植用植木鉢9が提案されている。
立体寄植用植木鉢9は、プラスチック製の壁掛型、懸垂型または載置型であり、植木鉢の側壁91に複数の植込穴92を貫設するとともに、植込穴92を囲むように、かつ側壁の上縁開口部の肉厚部の近傍から植木鉢の底壁の近傍に至る範囲の上下方向もしくは左右方向、または放射状に複数のスリットを設け、このスリットによって植込穴側を自由端とする押え片93を形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−22635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図10に示す立体寄植用植木鉢9は、プラスチック製であるが、その形状の複雑さから成形が難しく、また、製造効率の低下を招くものであった。また、立体寄植用植木鉢9は、成形のための金型も高額なものになるため、製造コストが上昇する。
【0005】
更に、立体寄植用植木鉢9は、単独で使用するか、あるいは、単独のもの並べて配置することを想定した構造であって、立体寄植用植木鉢9を相互に組み合わせて、より広い面積を装飾可能な一体の装置として用い、給排水の効率化を図るといった運用は考慮されていない。
【0006】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、単体で、または、複数を組み合わせて、建造物の天井と屋根の間の空間へ立体的に植物を配置可能であって、立体寄植用植木鉢のような従来の縦方向に配置されるプランター(以下「従来のもの」と省略する)よりも製造効率が向上したプランター、プランターの製造方法、プランターを用いた植栽方法、プランター装置、および、プランター装置を用いた植栽方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明のプランターは、両端部が開口した筒状体であり、各端部に亘る長さであると共に、植栽する植物の地上部分を外部へ露出可能な細長い幅の窓部が周壁に形成された胴部と、該胴部の両端の開口部分を閉塞すると共に、液体が流通可能な液体出入口を有する蓋部材とを備える。
【0008】
ここで、プランターは、胴部が、両端部が開口した筒状体であり、かつ、窓部となる部分の形状が各端部に亘るものであるため、押出成形による成形が可能となり、従来のものよりも製造効率が向上する。
【0009】
また、胴部は、その周壁に囲まれた内部空間に植物の培地を内包し、胴部に形成された窓部は、植栽する植物の地上部分を外部へ露出する。加えて、胴部に係る窓部は、細長い幅であることによって、培地の露出と漏れを抑えている。なお、窓部には、スポンジ状あるいはメッシュ状のシート等を配置してもよく、この場合、培地の露出と漏れがより抑えられる。
【0010】
一般的に、容器のようなものは、内側から外側への圧力が掛かった場合に、開口部等の脆弱部に圧力が集中して破損あるいは変形のおそれがあり、加えて、開口部等が大きいほど周縁が脆弱になるが、前記の通り、本発明に係るプランターは、窓部が細長い幅であることによって、開口した窓部近傍であっても胴部の他の箇所と遜色ない強度が担保される。
【0011】
なお、本明細書および本特許請求の範囲において、「地上部分」とは、通常、植物を植えた際に地上に現れる部分を意味し、土中の根の部分を除く、枝や茎、葉、花等を含む意味で使用している。
【0012】
更に、蓋部材は、液体出入口を除き、胴部の両端の開口部分を閉塞する。液体出入口は、プランターに供給される水を導入し、かつ、排出する。
【0013】
なお、本発明に係るプランターは、複数組み合わせて使用することもでき、この場合、一方のプランターの液体出入口と、他方のプランターの液体出入口を連絡させることにより、1つの給水源で、複数のプランターへの給水がなされる。これにより、プランターを、単体で、または、複数を組み合わせて、建造物の天井と屋根の間の空間へ立体的に配置すると、建造物の天井と屋根の間の空間へ植物が立体的に配置される。
【0014】
前記窓部の長さ方向と略同じ長さであると共に、同窓部よりも幅が狭く、同窓部の一部を閉塞可能な部材である閉塞要素を備える場合は、閉塞要素によって、窓部の開口領域の大きさが調節され、培地の露出と漏れが抑えられる。なお、窓部の開口領域から、植物の地上部分が外部へ露出する。
【0015】
前記閉塞要素は、棒状または板状であり、その両端が前記蓋部材によって固定される場合は、棒状または板状の閉塞要素によって、窓部の開口領域の大きさが調節され、培地の露出と漏れが抑えられる。なお、窓部の開口領域から、植物の地上部分が外部へ露出する。また、棒状または板状の閉塞要素は、その両端が蓋部材によって固定されているため、固定部分の強度が確保される。
【0016】
前記胴部内の空間に収まり、かつ、同胴部の内面と当接する大きさの外周を有する内部フレーム部と、該内部フレーム部と繋がっており、前記窓部近傍の同胴部外面に係止され、かつ、同窓部の長さ方向と交差する方向に延びた押さえ片部と有する変形防止部材を備える場合は、胴部へ外側から力が加わっても、内部フレーム部が、胴部が縮小する方向への変形あるいは撓みを防ぐ。
【0017】
また、窓部近傍の胴部外面に係止された押さえ片部は、窓部近傍の胴部外面を押さえて、水を含んだ培地等の重量による胴部が膨らむ方向への変形あるいは撓みを防ぐ。つまり、変形防止部材は、胴部を内外側から補強し、胴部の変形あるいは撓みを抑える。
【0018】
前記胴部内の空間に収まり、かつ、同胴部の内面と当接する大きさの外周を有する内部フレーム部と、該内部フレーム部と繋がっており、前記窓部近傍の同胴部外面に係止され、かつ、同窓部の長さ方向と交差する方向に延びた押さえ片部と、前記閉塞要素を通して保持する保持要素とを有する変形防止部材を備える場合は、胴部へ外側から力が加わっても、内部フレーム部が、胴部が縮小する方向への変形あるいは撓みを防ぐ。
【0019】
また、窓部近傍の胴部外面に係止された押さえ片部は、窓部近傍の胴部外面を押さえて、水を含んだ培地等の重量による胴部が膨らむ方向への変形あるいは撓みを防ぐ。
【0020】
加えて、保持要素は、閉塞要素を保持すると共に、閉塞要素を長さ方向の一部で補強する。保持要素と閉塞要素は協働し、窓部を構成する胴部の縁部に培地の重量が作用すると胴部が膨らむ方向へ変形しようとするが、保持要素がその変形あるいは撓みを防止できる。
【0021】
前記蓋部材は、前記胴部の両端の開口部分と相対する面に、開口縁に外嵌めされるフランジ部を有する構造である場合、水を含んだ培地等の重量による胴部が膨らむ方向へ力が加わったとしても、取り付けた蓋部材のフランジ部が胴部の両端の開口縁の外周面に当接して押さえ、胴部の両端部近傍の変形あるいは撓みを防ぐ。
【0022】
前記液体出入口は、前記蓋部材から突出した筒体である場合は、その形状により、例えば、合成樹脂のホースのような給水管あるいは排水管と接続しやすくなる。
【0023】
前記胴部または前記蓋部材のいずれかの箇所に、装飾場所または装飾物へ取り付けるための取付手段を備える場合は、取付手段により装飾場所または装飾物への取り付けを行う。
【0024】
上記の目的を達成するために本発明のプランターの製造方法は、熱可塑性合成樹脂を用いた押出成形によって、両端部が開口した筒状であり、かつ、一方の端部の開口部分から他方の端部の開口部分にかけて植栽する植物の地上部分を外部へ露出可能な幅の窓部が形成された胴部を成形する工程と、前記胴部の両端の開口部分を閉塞可能な大きさである共に、液体が流通可能な液体出入口を有する一対の蓋部材を成形する工程と、前記胴部の両端の開口部分の各々に閉塞部材を取り付ける工程とを備える。
【0025】
ここで、本発明のプランターは、胴部が上記形状であるため、熱可塑性合成樹脂を用いた押出成形によって成形することができるので、成形のための金型が比較的簡易な形状で済む。また、上記工程により形成された蓋部材を、前記胴部の両端の開口部分の各々に取り付けることで、本発明のプランターとなる。
【0026】
上記の目的を達成するために本発明のプランターを用いた植栽方法は、プランターの周壁に形成された細長い窓部から植栽する植物の地上部分を外部へ露出させ、同プランターに設けられた液体出入口を通じて、同プランター内に収納された培地へ給水し、同プランター内の水を排水するものである。
【0027】
ここで、プランターの窓部から植栽する植物の地上部分を外部へ露出させることによって、プランターに植栽された植物の地上部分が観察される。また、液体出入口からプランター内に収納された培地へ水を給水し、プランター内の水は液体出入口から排水する。
【0028】
上記の目的を達成するために本発明のプランター装置は、両端部が開口した筒状体であり、各端部に亘る長さであると共に、植栽する植物の地上部分を外部へ露出可能な幅である細長い窓部が周壁に形成された胴部と、同胴部の両端の開口部分を閉塞すると共に、液体が流通可能な液体出入口が複数設けられた蓋部材とを有するプランターと、該プランターが取り付けられる取付フレームと、前記液体出入口に接続される給水経路と、給水する水を貯め置く給水タンクとを有し、前記プランターに給水可能な給水手段と、前記液体出入口に接続される排水経路と、排水を貯め置く排水タンクとを有し、前記プランターからの排水を貯留可能な排水手段とを備える。
【0029】
ここで、プランターは、胴部が前記形状であることにより、押出成形による成形がなされて、従来のものよりも製造効率が向上する。
また、胴部は、その周壁に囲まれた内部空間に植物の培地を内包し、胴部に形成された開口部は、植栽する植物の地上部分を外部へ露出する。
【0030】
更に、蓋部材は、液体出入口を除き、胴部の両端の開口部分を閉塞する。液体出入口は、プランターに供給される水を導入し、かつ、排出する。
【0031】
取付フレームにプランターを取り付けることで、建造物の天井と屋根の間の空間へ立体的に植物を配置する。
【0032】
プランターへの給水は、給水経路と液体出入口を通じて、給水タンクに貯め置かれた水を供給してなされる。また、プランターからの排水は、液体出入口と排水経路を通じて、排水タンクに排水を貯め置かれる。
【0033】
前記プランターが複数であり、各プランターが給水経路と排水経路で通水可能に接続されている場合は、プランター装置に給水タンクと排水タンクが少なくとも各々1つずつ備えられていれば、複数のプランターは、給水経路と排水経路を介して順次給水および排水される。また、このような複数のプランターによって、単数の場合よりも広い面積の装飾がなされる。
【0034】
内部電源、あるいは外部電源との接続手段と、前記内部電源あるいは前記外部電源により作動するポンプと、前記プランターからの排水を濾過する濾過手段とを備えている場合は、内部電源あるいは接続手段により外部電源がポンプを作動させ、このポンプはプランター装置の下方に集まった濾過手段により濾過された排水を揚水し、再び上方のプランターへ供給する。
【0035】
濾過された排水を、前記給水タンクへ送る送水手段を備える場合は、送水手段によって濾過された排水が給水タンクへ送られる。即ち、本プランター装置では、濾過された排水(浄水)が給水タンクへ循環し、プランターへ給水される水として再利用される。
【0036】
上記の目的を達成するために本発明のプランター装置を用いた植栽方法は、プランターの周壁に形成された細長い窓部から植栽する植物の地上部分を外部へ露出させ、同プランター装置の給水タンクから同プランターに設けられた液体出入口を通じて、同プランター内に収納された培地へ給水し、同プランター装置の排水タンクへ同プランター内の水を排水するものである。
【0037】
ここで、プランターの窓部から植栽する植物の地上部分を外部へ露出させることによって、プランターに植栽された植物の地上部分が観察される。また、プランター装置は、給水タンクから液体出入口を通じてプランター内に収納された培地へ水を給水し、プランター内の水は液体出入口からプランター装置の排水タンクに排水する。
【発明の効果】
【0038】
本発明によるプランターによれば、単体で、または、複数を組み合わせて、建造物の天井と屋根の間の空間へ立体的に植物を配置可能であって、従来のものよりも製造効率が向上したものを提供できる。
本発明によるプランターの製造方法によれば、単体で、または、複数を組み合わせて、建造物の天井と屋根の間の空間へ立体的に植物を配置可能なプランターについて、従来のものよりも製造効率を向上させることができる。
本発明によるプランターを用いた植栽方法によれば、単体または複数のプランターを組み合わせて、建造物の天井と屋根の間の空間へ立体的に植物を配置することが可能となる。
本発明によるプランター装置によれば、単体または複数のプランターを組み合わせて、建造物の天井と屋根の間の空間へ立体的に植物を配置可能であって、従来のものよりも製造効率が向上したものを提供できる。
本発明によるプランター装置を用いた植栽方法によれば、単体または複数のプランターを組み合わせて、建造物の天井と屋根の間の空間へ立体的に植物を配置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明のプランターの上面側と正面側を表した斜視図である。
図2図1に示すプランターの下面側と背面側を表した斜視図である。
図3図1に示すプランターの分解斜視説明図である。
図4】(a)は図1に示すプランターを縦置きした使用状態説明図であり、(b)は同プランターを横置きした使用状態説明図である。
図5図1に示すプランターを縦方向に連結した状態を表した説明図である。
図6図1に示すプランターを横方向に連結した状態を表した説明図である。
図7】(a)と(b)に示すプランターは、本発明のプランターの変形例であり、胴部を想像線で示し、蓋部材と変形防止部材を実線で示した斜視説明図である。
図8】本発明のプランター装置の要部を拡大した斜視説明図である。
図9図8に示すプランター装置の構造を表す一部を省略した側面視説明図である。
図10】特許文献1記載の立体寄植用植木鉢の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1ないし図9を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。なお、各図における符号は、煩雑さを軽減し理解を容易にする範囲内で付している。
【0041】
なお、本実施の形態において、先に述べた「閉塞要素」は後述する「閉塞板」と、先に述べた「装飾場所または装飾物へ取り付けるための取付手段」は後述する「取付部」と、先に述べた「給水経路」と「排水経路」は後述する「管体」と、先に述べた「保持要素」は後述する「保持部」と、先に述べた「給水手段」は後述する「給水装置」と、先に述べた「排水手段」は後述する「排水装置」と、先に述べた「濾過手段」は後述する「濾過部材」と、先に述べた「送水経路」は後述する「送水パイプ」と、それぞれ対応するものである。
また、後述するプランター装置の「給排水装置」については、先に述べた「給水手段」と「排水手段」を一体化したものである。
【0042】
〔プランター〕
図1ないし図3を参照する。
プランター1は、合成樹脂製の箱体であり、両端部が開口し、一部に切欠が形成された筒状体である胴部10と、胴部10の両端の開口部分を閉塞する蓋部材11a,11bと、胴部10の切欠を一部開口させて閉塞する閉塞板12を備えている。
以下、各部について詳述する。
なお、蓋部材11bは、蓋部材11aと同じ形状および構造であるため、構造の詳細については蓋部材11aについてのみ説明する。
【0043】
(胴部10)
胴部10は、周壁の断面が略扇形状であり(図3参照)、使用時において正面となる部分が円弧状に膨出しており、使用時において背面となる部分が正面となる部分よりも幅狭な平板状であり、使用時において左右の側面となる部分は正面側と背面側の長手方向の縁部を接続している。
【0044】
閉塞板12は、胴部10の長さ方向と略同じ長さであり、かつ、胴部10に形成された切欠よりも幅が狭い板体である。
【0045】
胴部10の正面側の切欠は、窓部101を構成する領域であり、同領域の中央に閉塞板12を配置することで、閉塞板12の左右に胴部10の長手方向に亘る窓部101が構成される。なお、閉塞板12を外して、より大きな窓部101とすることもできる。
【0046】
胴部10の各開口部分(符号省略:図3で上下端部の開口部)近傍には貫通孔である掛止爪嵌入部102が、それぞれ3箇所ずつ形成されている。掛止爪嵌入部102は、蓋部材11aを胴部10に取り付けた際に後述する掛止爪部118が嵌入し、掛止爪嵌入部102の口縁に掛止爪部118が掛止する部分である。
【0047】
なお、胴部10は、押出成形によって成形される。胴部10は、合成樹脂製であり、かつ、先に述べたように筒型の単純な形状であるため、押出成形によって成形しやすく、また、成形のための金型が比較的簡易な形状で済む。この結果、胴部10は、金型製造コストを抑えることができ、プランター1全体の製造コスト削減に寄与する。また、胴部10の製造に、押出成形を採用したため、従来のものよりも製造効率が向上している。
【0048】
本実施の形態において、胴部10は、合成樹脂により形成されているが、これに限定するものではなく、例えば、アルミニウムやステンレススチール等の各種金属、セメントやセラミックス等の石質系素材、その他の押出成形を行うことが可能な材料で形成することもできる。
【0049】
また、本実施の形態において、胴部10は、押出成形によって成形されるが、これに限定するものではなく、例えば、ステンレススチールの板材を曲げ加工して成形する等の各種方法で加工されたものであってもよい。
【0050】
(蓋部材11a)
蓋部材11aは、胴部10の開口部分と同じく略扇形状であり、同開口部分よりやや大きい蓋部材基部111と、蓋部材基部111の外縁から胴部側に立ち上がったフランジ部112と、蓋部材基部111の左右の縁部近傍に形成された貫通孔113と、蓋部材基部111の貫通孔113と連通し、かつ、フランジ部112と反対側の面に固着された筒体である液体出入口114と、フランジ部112と反対側の面に立設し、略中央に孔(符号省略)の開いた板状の取付部119を有している。
【0051】
また、蓋部材基部111とフランジ部112に囲まれた領域内には、一対の第1リブ115と、閉塞板嵌入部116と、一対の第2リブ117と、掛止爪部118が設けられている(図3参照)。
【0052】
第1リブ115は、フランジ部112に隣接し、フランジ部112との間に胴部2の開口部側の端縁部が入る隙間(符号省略)を設けて、フランジ部112よりも蓋部材基部111中央寄りに立設されており、フランジ部112の側面側全部とフランジ部112の正面側および背面側の一部に亘る長さを有する部材である。第1リブ115は、フランジ部112の左右両方の側面近傍に線対称に1つずつ設けられている(図3参照)。
【0053】
第1リブ115と、フランジ部112の間隔は、上記したように胴部10の開口端の板厚と略同じに設定されており、第1リブ115とフランジ部112の間の領域へ胴部10の開口端を嵌め入れ可能にしてある。また、第1リブ115の高さは、フランジ部112と略同じである(図3参照)。
【0054】
閉塞板嵌入部116は、フランジ部112正面側の内面に形成され、胴部10の長手方向(図3で上方向)に開口したスリット状の孔であり、閉塞板12の板幅、板厚と略同じ大きさに形成されている。
【0055】
第2リブ117は、フランジ部112に隣接し、フランジ部112よりも蓋部材基部111中央寄りに立設された部材である。また、第2リブ117は、閉塞板嵌入部116の左右両側に配置されており、フランジ部112との間の隙間部分で窓部101の胴部2側の口縁部を挟むようにして固定する。第2リブ117は、閉塞板嵌入部116を挟んで線対称に1つずつ設けられている(図3参照)。
【0056】
第2リブ117とフランジ部112の間に形成される空隙は、胴部10の開口端の板厚と略同じに設定されており、同空隙へ胴部10の開口端を嵌め入れ可能にしてある。また、第2リブ117の高さは、フランジ部112と略同じである(図3参照)。
【0057】
第1リブ115、閉塞板嵌入部116および第2リブ117は、蓋部材11a,11bを胴部10に着脱可能に取り付ける部分として機能するほか、胴部10の上方または下方の端部(両開口部側の端部)を挟み込むようにして補強する部分としても機能する。つまり、蓋部材11a,11bと胴部10が協働し、水を含んだ培地等の重量による胴部の膨らむ方向への変形あるいは撓みを防ぎ、また、外部からの押圧力による胴部の縮小する方向への変形あるいは撓みを防ぐことができる。
【0058】
掛止爪部118は、フランジ部112正面側の内側部分の所要箇所に形成された略直角三角形の部分であって、蓋部材基部111側に向かって徐々に突き出しが高くなる形状となっている(図3参照)。つまり、掛止爪部118は、蓋部材11aと胴部10を取り付ける際には容易に嵌まり込み、取り外すときは胴部10を内側に撓ませないと外れにくい構造となっている。
【0059】
取付部119は、蓋部材11aの背面側縁部に配置されている(図2参照)。
プランター1は、取付部119に形成された孔へネジ、釘、吊り紐等を差し込んで使用することで、所望の装飾場所または装飾物へ取り付けることができ、特に立体的に植物を配置することが可能となる。
【0060】
なお、本実施の形態においては、第1リブ115、閉塞板嵌入部116、第2リブ117および掛止爪部118の形状、配置等は前記の通りであるが、これに限定するものではなく、上記作用効果を奏する範囲内で適宜設定することができる。
【0061】
(プランター1の使用方法)
図4ないし図6を参照して、プランター1の使用方法を説明する。
図4(a)はプランター1を縦置きで使用した態様を示しており、プランター1は、その内部に培地(図示および符号省略)を収納しており、窓部101から植栽する植物の地上部分Pを外部へ露出させる。
【0062】
このとき、閉塞要素である閉塞板12によって、窓部101の開口領域の大きさが調節され、培地の露出と漏れが抑えられる。なお、培地は、各種培地をそのまま入れ、シート状のスポンジ、ネット等を窓部内側に押し込むことで、培地の露出と漏れを更に抑えてもよいし、培地と植物を袋状物で包み、植物の地上部分Pのみを露出させたものを、プランターに入れ、窓部101から植物の地上部分Pを露出する態様であってもよい。
【0063】
また、プランター1に設けられた上部側の液体出入口114を通じて、プランター1内に収納された培地へ給水する。培地の保水力を超えた水は、排水として、下部側の液体出入口114を通じて排出される。
【0064】
図4(b)はプランター1を横置きで使用した態様を示しており、同様に、窓部101から植栽する植物の地上部分Pを外部へ露出させる。
【0065】
また、横置きの場合、プランター1に設けられた液体出入口114のうち、上方に位置するものを通じて、プランター1内に収納された培地へ給水し、排水は下方に位置する液体出入口114を通じて排出される。
【0066】
なお、プランター1は、図5および図6に示すように、他のプランターと接続して使用することもできる。この場合、各プランター1は、液体出入口114にホース等の管体14による給水経路と排水経路で通水可能に接続されている。
【0067】
図5においては、上方に位置するプランター1に給水された水は、その後、排水として、下方に位置するプランター1へ順次給水される。
【0068】
図6では、外構であるフェンスFに、接続された2つのプランター1を設置した態様を示している。このように、プランター1は、壁面のみならず、枠や網状のフェンスにも設置することができる。なお、図6においては、左右いずれかのプランター1に給水された水は、毛細管現象により移動した水によって他方のプランター1へ給水がなされる。また、毛細管現象を促進するために、不織布等で形成した紐を、管体14を通じて隣接するプランター1へ架け渡す等してもよい。
【0069】
本実施の形態において、プランターは、横断面が扇形の筒状体であるが、これに限定するものではなく、例えば、円筒形状、楕円形状、各種角筒状、異形筒状等であってもよい。
【0070】
(プランターの変形例)
図7(a)は、プランター1の変形例であるプランター1aを示している。
【0071】
なお、プランター1aは、長尺であることと、胴部10に変形防止部材13が取り付けられていることを除き、プランター1と同様の構造であるため、共通部分の説明を省略する。また、共通部分には、プランター1と同じ符号を付している。
【0072】
変形防止部材13は、胴部10の内部形状と略同じ外周である内部フレーム部131と、内部フレーム部131と接続する押さえ片部132と、保持部133を有している。
【0073】
内部フレーム部131は、胴部10内の空間に収まり、かつ、胴部10の内面と当接する大きさの外周を有する形状に形成されている。また、内部フレーム部131の外周部分は、所要幅の帯状に形成されており、胴部10の内面と当接する面積を確保し、胴部10が縮小する方向への圧力や胴部10に加わる捻れ方向への力に対する補強効果を高めている。
【0074】
内部フレーム部131は、その内側に設けられた略十字状の補強部134を除き、開口しており、この開口部分を通じて、給水された水が移動する。なお、補強部134は内部フレーム部131を内側から補強すると共に、補強部134を挟んで胴部10内を複数の空間に区切り、培地の重量に起因する圧力を分散して緩和する。
【0075】
押さえ片部132は、胴部10の正面と沿う形状の板材である本体(符号省略)と、長手方向の端部に所要長さの胴部10の押さえ部分を残すと共に、それらの間に閉塞板12を挿通可能な筒穴状の保持部133が形成される高さと幅であり、本体と内部フレーム部131とを繋ぐ一対の接続部(符号省略)からなる。
【0076】
変形防止部材13は、胴部10の開口部分から内部空間に入れ、胴部10の窓部101近傍を、内部フレーム部131の外面側と押さえ片部132の内面側で挟み、各保持部133に閉塞板12を挿通して組み付ける。
【0077】
変形防止部材13を組み付けた結果、内部フレーム部131は、胴部10が縮小する方向への変形あるいは撓みを防ぎ、また、押さえ片部132が、窓部101近傍の胴部10外面を押さえて、水を含んだ培地等の重量により胴部10の膨らむ方向への変形あるいは撓みを防ぐ。
【0078】
加えて、保持部133は、閉塞板12を保持すると共に、閉塞板12を長さ方向の数カ所(図7では二箇所)で補強する。更に、保持部133と閉塞板12は協働し、水を含んだ培地等の重量によって窓部101周辺に加わる応力による胴部10の膨らむ方向への変形あるいは撓みを防ぎ、また、外部からの押圧力による胴部10が縮小する方向への変形あるいは撓みを防ぐ。つまり、変形防止部材13は、胴部10を内外側から補強し、胴部10の変形あるいは撓みを抑える。
【0079】
なお、本変形例では、変形防止部材13は、内部フレーム部131と、押さえ片部132と、保持部133と、補強部134を有する態様であるが、これに限定するものではなく、例えば、閉塞板12を用いない態様の場合は、変形防止部材の構成は内部フレーム部131と押さえ片部132のみからなる態様であってもよい。
また、本変形例では、変形防止部材13の保持部133は、筒穴状に構成されているが、これに限定するものではなく、例えば、閉塞板12と当接して保持するガイド溝状等であってもよい。
【0080】
図7(b)は、プランター1aの変形例であるプランター1bを示している。
なお、プランター1bは、プランター1bにおける変形防止部材13aの内側の空間に、プランター1aの変形防止部材13における補強部134が設けられていない構造である点のみが異なっており、他の部分の構造はプランター1aと共通するため、共通部分には同じ符号を付し、共通部分の説明は省略する。
【0081】
変形防止部材13aは、変形防止部材13と同様、胴部10を内外側から補強し、胴部10の変形あるいは撓みを抑えるものであるが、補強部134が設けられていないため、胴部10内を複数の空間に区切らずに、連続する広い空間とすることができる点において、変形防止部材13と異なる。
このため、プランター1bは、内部に培地のみならず、培地以外のもの(例えば、給水タンク、排水タンク、ポンプ、これらを接続するホースあるいはパイプ、バッテリー等)を収納するケースとして利用することもできる。
【0082】
〔プランター装置2〕
図8および図9を参照して、プランター装置2について説明する。
プランター装置2は、複数のプランター1と、プランター1が取り付けられる角柱状の取付フレーム21と、プランター1への給水と排水が可能な給排水装置22を備える。
【0083】
なお、プランター装置2において使用するプランターはプランター1と同じ構造であるため、説明を省略し、同じ符号を付している。
【0084】
複数(本実施の形態では、中間省略部を無視すれば3つだが、この数に限定するものではない。図9参照)のプランター1は、液体出入口114に取り付けた管体14を介して上下方向に接続されており、上方に位置するプランター1に給水された水は、その後、排水として、下方に位置するプランター1へ順次給水される。
【0085】
また、取付フレーム21の周方向には、複数(本実施の形態では4つ)のプランター1が、取り付けられている。この結果、プランター装置2は、円柱状となって360度いずれの方向からも植栽された植物が見えることになり、美観に優れている。
【0086】
取付フレーム21は、プランター1の取付部119を介してボルト等を螺着可能なネジ孔211が、各側面の高さ方向に複数設けられている(図8参照)。
【0087】
給排水装置22は、管体14を介して上方に位置するプランター1からの排水を受ける装置本体221と、装置本体221と最も上方に位置するプランター1を接続する送水パイプ222を有している。また、給排水装置22は、縦方向に接続されたプランター群ごとに、各々1つずつ(合計4つ)取り付けられている。
【0088】
なお、本実施の形態において特に図示していないが、ポンプを作動させる電源は、外部電源との接続手段(コンセントおよび電源コード等)を介して得てもよいし、バッテリー等の内部電源から得てもよい。また、プランター装置2の一部にソーラー発電機を接続して電源を確保する態様であってもよい。
【0089】
装置本体221は、筐体内に、ポンプ(図示省略)と、最も下方に位置するプランター1からの排水を濾過する濾過部材(図示省略)と、濾過した水を貯め置く給排水タンク(図示省略)が収納された構造である。
【0090】
送水パイプ222は、その中間部分を取付フレーム21内部に通過させている。このように、外部に送水パイプ222の取り回しが極力表れないようにして、外観を向上させている。
【0091】
本実施の形態においては、給水装置と排水装置を兼ねる給排水装置22を採用しているが、これに限定するものではなく、例えば、給水装置と排水装置が別体であってもよい。また、先述のプランター1bのような長尺のものを、給排水装置22を収納するケースとして利用してもよい。この場合、給排水装置22についても、他のプランター1とのデザインが共通化され、装置全体としてまとまった美観を生ぜしめる。
【0092】
また、本実施の形態においては、ポンプによって給水を行う態様であるが、これに限定するものではなく、例えば、最も上方に位置するプランターの上方に、簡易な給水装置(例えばボトルあるいはタンクに流量調整手段を設け、微量の給水が自然落下で断続的に行われるようなもの)を配置して、同プランターへの給水を行うような無動力の態様であってもよい。なお、このような給水構造は、プランターを単体で使用する場合にも採用できる。
【0093】
本実施の形態において、取付フレーム21は、角柱状であるが、これに限定するものではなく、例えば、円柱状や楕円柱状等の形態であっても良いし、壁のような幅広のものであってもよい。
【0094】
本実施の形態において、給排水装置22は、縦方向に接続されたプランター群ごとに取り付けられているが、これに限定するものではなく、例えば、本実施の形態のものよりも大型の給排水装置を採用し、各プランター群との給排水を行うものであってもよい。
【0095】
本実施の形態において、排水は、土中栄養素を含んだ排水放出による水質汚染防止の観点等から、一旦タンクに貯め置く構造を採用しているが、これに限定するものではなく、例えば、排水が、下水等に直接流入しないか、あるいは、排水に起因する周辺の汚れが問題とならない環境下であれば、タンクを介さずにプランター装置外へ直接排水する態様を除外するものではない。
【0096】
本実施の形態において、給排水タンクは、装置外と接続されない独立したタンクであるが、これに限定するものではなく、例えば、装置外の水道と直接接続されるものであってもよく、装置外の水道と直接接続される構造であって、センサー等を用いて、残存水量が一定以下になった場合に外部から新しい水を供給させるような仕組みであってもよい。
【0097】
(プランター装置2の使用方法)
図8および図9を参照して、プランター装置2の使用方法について説明する。
各プランター1は、その内部に培地(図示および符号省略)を収納しており、窓部101から植栽する植物の地上部分(図示省略)を外部へ露出させる。なお、プランター1の使用方法と共通する部分については、説明を省略する。
【0098】
給排水装置22の装置本体221内の給排水タンク(図示省略)の水を、ポンプ(図示省略)を用いて送水パイプ222を通じて、最も上方に位置するプランター1へ送水する。
【0099】
最も上方に位置するプランター1に送水された水は、プランター1内に収納された培地へ給水され、培地の保水力を超えた水は、排水として、下部側の液体出入口114および管体14を通じて、直下に位置する他のプランター1に排出される。
なお、直下に位置する他のプランター1においては、先に述べた排水は、給水される水として利用される。
同様の作用が繰り返され、各プランター1(の培地)へ給水がなされる。
【0100】
最も下方に位置するプランター1から排出される水は、下方側の液体出入口114および管体14を通じて、直下に位置する給排水装置22へ排水される。この排水は、装置本体221内の濾過部材(図示省略)を介して浄水となり、浄水は給排水タンク(図示省略)に戻される。そして、給排水タンク内の浄水は再度給水に使用される。
【0101】
このように、本実施形態におけるプランター装置2によれば、円柱状に配置された各プランター1を用いて建造物の天井と屋根の間の空間へ立体的に植物を配置でき、この植物によって同空間が装飾される。
【0102】
また、プランター装置2によれば、簡易な構造でありながら各プランター1へ満遍なく給水できると共に、排水を浄化して再利用する循環構造であるので、水資源を節約することができ、富栄養化した排水放出による水質汚染が防止でき、また、プランター装置2の周辺を排水で汚すこともないので、屋内や汚れが気になる軒下等にも好適に使用できる。
【0103】
本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0104】
P 植物の地上部分
F フェンス
1、1a、1b プランター
10 胴部
101 窓部
102 掛止爪嵌入部
11a、11b 蓋部材
111 蓋部材基部
112 フランジ部
113 貫通孔
114 液体出入口
115 第1リブ
116 閉塞板嵌入部
117 第2リブ
118 掛止爪部
119 取付部
12 閉塞板
13、13a 変形防止部材
131 内部フレーム部
132 押さえ片部
133 保持部
134 補強部
14 管体
2 プランター装置
21 取付フレーム
22 給排水装置
221 装置本体
222 送水パイプ
9 立体寄植用植木鉢
91 側壁
92 植込穴
93 押え片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10