(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の冷媒配管と、電磁コイルと前記冷媒配管に接続される弁本体とを備える複数の電磁弁と、本体ケースと、前記電磁弁の開閉を制御する制御基板が収容される電装品箱とからなる冷媒回路ユニットであって、
前記電装品箱は、前記冷媒配管が導出される前記本体ケースの側面を除いた面のいずれかに取付けられ、
前記電装品箱が取付けられる前記本体ケースの面には、複数の凹部を備え、
前記本体ケースの面に対向する前記電装品箱の面には、前記凹部に対応する位置に、前記本体ケースと前記電装品箱との間に確保する所定の間隔よりも延長した高さを有し、前記凹部に嵌合される凸部を備え、
前記凸部のうち、前記所定の間隔よりも延長した部分の全てを前記凹部に嵌め合わせた際に、前記凹部に前記凸部を固定可能になっており、
前記冷媒配管が導出される前記本体ケースの一側面は、前記冷媒配管を配置する管配置面と、前記電磁コイルを配置する電磁コイル配置面とを備え、
前記電磁コイル配置面は、前記管配置面から折り曲げられ内側に凹むように形成され、
前記電磁コイルは、前記冷媒配管が前記管配置面から導出される方向と平行に前記電磁コイル配置面から突出させた前記弁本体に有するシリンダ部に取付けられ、
前記本体ケースの面のうち、前記電磁コイルが配置される空間に対応する部分には、前記凹部を設けず、前記電磁コイルが配置される空間に対応する部分に対向する前記電装品箱の面には、前記所定の間隔に設定した高さを有する凸部を備えていることを特徴とする冷媒回路ユニット。
【背景技術】
【0002】
従来から、多室形空気調和装置における1または複数の室外機と複数の室内機との間に設けられる冷媒回路ユニットが知られている。冷媒回路ユニットは、多室形空気調和装置の冷媒回路の一部を構成する冷媒配管や電磁弁などを組合せたユニットで、室外機に接続される冷媒配管を各室内機に接続される複数の冷媒配管に分岐する分岐ユニットや、室外機に接続される2つの冷媒配管の一方を選択して室内機に接続することで、室内機の運転を冷房運転または暖房運転に切替える切替ユニットなどがある。
【0003】
このような冷媒回路ユニットには、冷媒配管と、電磁コイルを有し冷媒配管に接続される複数の電磁弁と、冷媒配管と電磁弁とを収容する本体ケースと、複数の電磁弁の開閉を制御する制御基板を収容する電装品箱とを備えている。電磁弁には、開閉弁や電子膨張弁などが用いられ、本体ケースの内部には、収容される冷媒配管と電磁弁に結露が生じないように断熱材が形成されている。
【0004】
この種の冷媒回路ユニットの一例として、本体ケースの2つの側面には、電装品箱を取付ける取付孔がそれぞれ形成され、電装品箱の側面には、この取付孔に引掛ける取付爪が形成され、本体ケースの2つの側面のいずれかに電装品箱を取付可能にした分岐ユニットがある(例えば、特許文献1参照)。この分岐ユニットは、本体ケースに電装品箱を引掛けるための構造が必要であり、本体ケースに電装品箱を取付ける際に、本体ケースに形成された取付孔と電装品箱に形成された取付爪に注目しながら作業しなければならないという問題点があった。
【0005】
また、この種の冷媒回路ユニットは、例えば、電装品箱の内部には、電装品を固定する電装品固定用ネジや、制御基板を固定する基板固定用スペーサが取付けられ、電装品箱の外部には、電装品固定用ネジの先端や基板固定用スペーサの係止部が突出した構造になっている。このため、本体ケースに電装品箱を取付けた際に、電装品固定用ネジの先端や基板固定用スペーサの係止部が本体ケースに当たらないように、本体ケースと電装品箱との間に所定の間隔を確保するためのスペーサや台が必要になるという問題点があった。さらに、本体ケースと電装品箱との間にスペーサや台を配置する構造になっているため、本体ケースと電装品箱との位置合わせが難しくなるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、本体ケースに電装品箱を引掛ける構造を設けず、かつ、本体ケースと電装品箱との間にスペーサや台といった部品を用いることなく、本体ケースと電装品箱との間に所定の間隔を確保した状態で本体ケースと電装品箱とを簡単に位置合わせすることができる冷媒回路ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の冷媒回路ユニットは、複数の冷媒配管と、電磁コイルと冷媒配管に接続される弁本体とを備える複数の電磁弁と、本体ケースと、電磁弁の開閉を制御する制御基板が収容される電装品箱とからなる冷媒回路ユニットであって、電装品箱は、冷媒配管が導出される前記本体ケースの側面を除いた面のいずれかに取付けられ、電装品箱が取付けられる前記本体ケースの面には、複数の凹部を備え、本体ケースの面に対向する電装品箱の面には、凹部に対応する位置に、本体ケースと電装品箱との間に確保する所定の間隔よりも延長した高さを有し、凹部に嵌合される凸部を備え、凸部のうち、所定の間隔よりも延長した部分の全てを凹部に嵌め合わせた際に、凹部に凸部を固定可能になっており、冷媒配管が導出される前記本体ケースの一側面は、冷媒配管を配置する管配置面と、電磁コイルを配置する電磁コイル配置面とを備え、電磁コイル配置面は、管配置面から折り曲げられ内側に凹むように形成され、電磁コイルは、冷媒配管が管配置面から導出される方向と平行に電磁コイル配置面から突出させた弁本体に有するシリンダ部に取付けられ、本体ケースの面のうち、電磁コイルが配置される空間に対応する部分には、凹部を設けず、電磁コイルが配置される空間に対応する部分に対向する電装品箱の面には、所定の間隔に設定した高さを有する凸部を備えている。
【0009】
また、電装品箱が取付けられる本体ケースの全ての面(前面、背面、上面または下面)には、所定の間隔よりも延長した高さを有する凸部の数と同数であり、凸部に対応する位置に凹部を備えている。
【0010】
また、冷媒配管が導出される本体ケースの一側面(右側面)は、冷媒配管を配置する管配置面と、電磁コイルを配置する電磁コイル配置面とを備え、電磁コイル配置面は、管配置面から折り曲げられ内側に凹むように形成されている。電磁コイルは、冷媒配管が管配置面から導出される方向と平行に電磁コイル配置面から突出させた弁本体に有するシリンダ部に取付けられている。本体ケースの面(前面、背面、上面または下面)のうち、電磁コイルが配置される空間に対応する部分には、凹部を設けず、電磁コイルが配置される空間に対応する部分に対向する電装品箱の面(外面)には、所定の間隔に設定した高さを有する凸部を備えている。
【0011】
さらに、所定の間隔よりも延長した高さを有する凸部は、所定の間隔に設定した高さを有する基部と、基部に形成された本体ケースに当接する面の径よりも小さい径からなり、本体ケースに当接する面から延長した端部とから形成され、端部の全てを凹部に嵌め合わせる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の冷媒回路ユニットによれば、電装品箱が取付けられる本体ケースの面(前面)には、複数の凹部を備え、本体ケースの面(前面)に対向する電装品箱の面(外面)には、凹部に対応する位置に、本体ケースと電装品箱との間に確保する所定の間隔よりも延長した高さを有し、凹部に嵌合される凸部を備え、凸部のうち、所定の間隔よりも延長した部分の全てを凹部に嵌め合わせた際に、凹部に凸部を固定可能になっているため、本体ケースに電装品箱を引掛ける構造を設けず、かつ、本体ケースと電装品箱との間にスペーサや台といった部品を用いることなく、本体ケースと電装品箱との間に所定の間隔を確保した状態で本体ケースに電装品箱を取付けることができる。また、凹部に凸部を嵌合させる構造になっているため、本体ケースに電装品箱を取付ける際に、本体ケースの凹部が電装品箱で隠れた状態になっても、本体ケースに対して電装品箱をスライドさせることで、凹部に凸部が嵌め合わされて本体ケースと電装品箱とを簡単に位置合わせすることができる。
【0013】
また、電磁コイルは、冷媒配管が管配置面から導出される方向と平行に電磁コイル配置面から突出させた弁本体に有するシリンダ部に取付けられ、本体ケースの面(前面、背面、上面または下面)のうち、電磁コイルが配置される空間に対応する部分には、凹部を設けず、電磁コイルが配置される空間に対応する部分に対向する電装品箱の面(外面)には、所定の間隔に設定した高さを有する凸部を備えているため、本体ケースの電磁コイル配置面(右側面)から突出させたシリンダ部に取付けられる電磁コイルのメンテナンスを行うための空間を確保することができる。
【0014】
さらに、所定の間隔よりも延長した高さを有する凸部は、所定の間隔に設定した高さを有する基部と、基部に形成された本体ケースに当接する面の径よりも小さい径からなり、本体ケースに当接する面から延長した端部とから形成され、端部の全てを凹部に嵌め合わせるため、凹部を小さくかつ浅くすることができ、本体ケースの内部に有する断熱材などの部品配置の空間として有効に利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。冷媒回路ユニットとして、1または複数の室外機と複数の室内機とが接続され、室内機毎に冷房運転と暖房運転とを選択できる、所謂冷暖房フリーの運転が行える多室形空気調和装置に用いられる切替ユニットを例に挙げて説明する。この切替ユニットは、室外機と室内機との間に設けられ、室外機に接続される2つの冷媒配管の一方を選択して室内機に接続することで、室内機の運転を冷房運転または暖房運転に切替えるものである。
【0017】
本実施形態における多室形空気調和装置の切替ユニット1は、1または複数の室外機と複数の室内機とが、高圧ガス管と低圧ガス管と液管とからなる3つの冷媒配管により接続された多室形空気調和装置に用いられ、室外機と室内機との間の高圧ガス管と低圧ガス管に室内機毎に接続される。なお、液管は切替ユニット1から離され、独自に室外機と室内機との間に室内機毎に接続される。切替ユニット1は、
図1乃至
図3に示すように、板金製で箱状の本体ケース10を有し、本体ケース10に設けられた吊り金具20を建物に設けられた吊りボルトに固定することで、各室内機の近傍の天井裏や床下などのスラブ(据付対象物)に据付けられる。
【0018】
本体ケース10の室内機側の左側面11(側面)には、室内機から延びるガス管に接続されるガス接続管30が導出されている。本体ケース10の室外機側の右側面12(側面)には、室外機から延びる高圧ガス管と低圧ガス管とにそれぞれ接続される高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32が導出されている。ガス接続管30は、本体ケース10の上側に配置され、高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32は、本体ケース10の下側に配置されている。ガス接続管30と高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32のそれぞれの管軸は、本体ケース10の左右方向に延びている。ガス接続管30と高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32のそれぞれは、室内機と室外機との間に接続される冷媒配管の一部を構成している。
【0019】
本体ケース10の内部には、複数の電磁コイル401、411、421、431、441、ガス接続管30、高圧ガス接続管31、低圧ガス接続管32などに結露が生じて、その結露水の処理を不要にするため、図示しない発泡断熱材が充填されている。本体ケース10の右側面12には、本体ケース10から取外し可能な右側板13が設けられており、右側板13を取外すことにより、複数の電磁コイル401、411、421、431、441が露出し、これらの電磁コイル401、411、421、431、441の点検や交換などのメンテナンスが可能になっている。また、
図2に示すように、本体ケース10の右側面12は、高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32とを配置する管配置面12aと、電磁コイル401、411、421、431、441を配置する電磁コイル配置面12bとを備えている。電磁コイル配置面12bは、高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32を配置する管配置面12aよりも上側の位置において、管配置面12aから折り曲げられ内側に凹むように形成されている。この本体ケース10の電磁コイル配置面12bから複数の電磁コイル401、411、421、431、441が露出されている。電磁コイル401、411、421、431、441が管配置面12aよりも内側に凹ませた電磁コイル配置面12bに配置されるため、電磁コイル401、411、421、431、441のメンテナンスを行わないときは、
図1に示すように、複数の電磁コイル401、411、421、431、441を右側板13により覆い、本体ケース10の右側面12が管配置面12aに揃うようにしている。なお、本体ケース10が天井裏や床下などに設置されるので、複数の電磁コイル401、411、421、431、441を右側板13により覆うことで、複数の電磁コイル401、411、421、431、441を外気や埃などから保護するようにしている。
【0020】
このように、本体ケース10の右側面12を内側に凹ませた電磁コイル配置面12bから複数の電磁コイル401、411、421、431、441を露出することで、本体ケース10の左右方向から複数の電磁コイル401、411、421、431、441の点検や交換を行うことができる。また、本体ケース10の右側面12に管配置面12aから折り曲げられ内側に凹ませた電磁コイル配置面12bを形成することで、本体ケース10の右側面12を凹ませずに平面に形成するよりも高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32の本体ケース10に対する支持強度が得られ、かつ、発泡断熱材が本体ケース10の管配置面12aの内側まで充填されて、複数の電磁コイル401、411、421、431、441が高圧ガス接続管31または低圧ガス接続管32との間で断熱されるため、複数の電磁コイル401、411、421、431、441に結露が発生しない。なお、本発明はこれに限らず、複数の電磁コイル401、411、421、431、441の保護、高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32の本体ケース10に対する支持強度や、複数の電磁コイル401、411、421、431、441の結露発生を考慮しなれば、電磁コイル配置面12bの形成により凹ませずに右側面12を形成してもよい。この場合には、本体ケース10の右側面12を折り曲げなくて済み、シンプルに形成することができる。
【0021】
本体ケース10の内部には、
図2および
図3に示すように、ガス接続管30、高圧ガス接続管31、低圧ガス接続管32、上側開閉弁群V1(上側電磁弁群)および下側開閉弁群V2(下側電磁弁群)などが部分的に収容されている。本体ケース10の内部において、ガス接続管30は、上側開閉弁群V1および下側開閉弁群V2を介して高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32と接続されている。
【0022】
上側開閉弁群V1は、本体ケース10の上側に配置される複数の開閉弁40、41、42から構成され、開閉弁40が室内機を暖房運転に切替え、開閉弁41、42が室内機を冷房運転に切替える用途で動作する。なお、開閉弁40、41、42は、接続される室内機の種類や用途などによって電子膨張弁などの電磁弁が接続されていてもよい。それぞれの開閉弁40、41、42には、弁本体400、410、420と、電磁コイル401、411、421とを備えている。
【0023】
それぞれの弁本体400、410、420は、本体ケース10の電磁コイル配置面12bに沿うように本体ケース10の内部に配置され、弁の開閉を駆動する図示しないシリンダ部を備えている。シリンダ部は、ガス接続管30、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32の管軸に対して平行になるように設けられ、本体ケース10の電磁コイル配置面12bに形成された図示しない孔から突出されている。それぞれの電磁コイル401、411、421は、シリンダ部に挿入するための図示しない孔を備えており、シリンダ部に挿入されることで弁本体400、410、420に取付けられている。したがって、それぞれの電磁コイル401、411、421は、シリンダ部と同様に、ガス接続管30、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32の管軸に対して平行になるように設けられ、本体ケース10の電磁コイル配置面12bから露出されている。
【0024】
下側開閉弁群V2は、上側開閉弁群V1よりも下側であって高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32よりも上側に配置される複数の開閉弁43、44から構成され、開閉弁43、44は室内機の運転の際に冷媒の圧力を均圧にする用途で動作する。それぞれの開閉弁43、44には、図示しない弁本体と、電磁コイル431、441とを備えている。
【0025】
それぞれの弁本体は、複数の開閉弁40、41、42に備えられた弁本体400、410、420と同様に、図示しないシリンダ部が、ガス接続管30、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32の管軸に対して平行になるように設けられ、本体ケース10の電磁コイル配置面12bに形成された図示しない孔から突出されている。それぞれの電磁コイル431、441は、シリンダ部に挿入するための図示しない孔を備えており、シリンダ部に挿入されることで弁本体に取付けられている。したがって、複数の開閉弁40、41、42に備えられた電磁コイル401、411、421と同様に、それぞれの電磁コイル431、441は、ガス接続管30、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32の管軸に対して平行になるように設けられ、本体ケース10の電磁コイル配置面12bから露出されている。
【0026】
以上説明してきた本体ケース10は天井裏や床下などに設置されるので、ガス接続管30、高圧ガス接続管31、低圧ガス接続管32、複数の開閉弁40、41、42、43、44などが部分的に収容された本体ケース10の内部に発泡断熱材が充填されている。電磁コイル401、411、421、431、441も発泡断熱材で充填させる方がよいが、収容される部品と比べて壊れる可能性が高いため、電磁コイル401、411、421、431、441のみを本体ケース10の電磁コイル配置面12bから露出させ、メンテナンスを行えるようにしている。
【0027】
本体ケース10の前面14(本体ケース10の側面を除いた面)には、
図1、
図2および
図4に示すように、制御基板53が収容される電装品箱50が配置されている。この電装品箱50には、板金製でそれぞれコ字形状に形成された電装品箱取付板51および電装品箱カバー52と、複数の開閉弁40、41、42、43、44の開閉を制御する制御基板53とを備えている。電装品箱取付板51は、外面514(電装品箱50の面)が本体ケース10の前面14に取付けられるとともに、内面に制御基板53が搭載されている。電装品箱取付板51に搭載される制御基板53の電気回路は、複数の電磁コイル401、411、421、431、441に、
図3に示すリード線421a、441a(図示されているリード線のみ符号を付与)で電気的に接続されている。電装品箱カバー52は、制御基板53を覆うように電装品箱取付板51に取付けられている。電装品箱カバー52は、電装品箱取付板51から取外し可能になっており、制御基板53の点検や交換ができるようになっている。
【0028】
電装品箱50は、ガス接続管30が導出されている本体ケース10の左側面11、高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32が導出されている本体ケース10の右側面12を除いた本体ケース10の前面14、背面15(本体ケース10の側面を除いた面)および上面16(本体ケース10の側面を除いた面)のいずれかに取付けることが可能になっている。具体的に、本体ケース10の前面14には、本体ケース10の左側面11に近い左側角部に絞り加工やプレス加工などによって形成された複数の凹部140、140と、本体ケース10の右側面12に近い右側角部に形成された複数のネジ孔141、141とを備えている。複数の凹部140、140は、その底面にそれぞれネジ孔140a、140aが形成されている。本体ケース10の背面15および上面16にも同様に、左側角部には、複数の凹部140、140と同数の凹部を備え、右側角部には、複数のネジ孔141、141と同数のネジ孔を備えている。
【0029】
取付場所の変更が可能な電装品箱50に備えられた電装品箱取付板51には、左側角部に形成された複数の凸部511、511と、右側角部に形成された複数の凸部512、512とを備えている。複数の凸部511、512、・・・は、絞り加工やプレス加工などによって形成されている。複数の凸部511、512、・・・は、その底面にそれぞれネジ挿通孔511a、512a、・・・が形成されており、制御基板53が搭載されていない外面514から突出するように設けられている。
【0030】
次に、本体ケース10の前面14に電装品箱50を取付けた状態について
図5を用いて説明する。なお、本体ケース10の背面15または上面16に電装品箱50を取付けた状態も同様であるので説明を省略する。電装品箱50には、
図5に示すように、制御基板53を固定するための基板固定用スペーサ531を内部に備えており、基板固定用スペーサ531を電装品箱取付板51に係止するための基板固定用スペーサ53に形成された係止部531aが外部に突出した構造になっている。このため、本体ケース10と電装品箱50との間には、基板固定用スペーサ531に形成された係止部531aが本体ケース10の前面14に当たらないように、所定の間隔Sが確保されている。したがって、本体ケース10の凹部140に嵌合される凸部511の高さH1は、所定の間隔Sを確保した状態で本体ケース10に電装品箱50を取付けるため、所定の間隔Sよりも延長した高さを有しており、所定の間隔Sに凹部140の深さαを足した高さに設定されている。この結果、凸部511のうち、所定の間隔Sよりも延長した部分の全てが凹部140に嵌合されている。
【0031】
また、本体ケース10は、電磁コイル配置面12bから露出されている電磁コイル401、411、421、431、441のメンテナンスを可能にした構造になっている。このため、本体ケース10の前面14のうち、電磁コイル401、411、421、431、441が配置される空間に対応する部分Pには、電磁コイル401、411、421、431、441のメンテナンスを行える十分な空間を確保するため、凹部140が設けられていない。したがって、上述の空間に対応する部分Pに対向する電装品箱50の面(電装品箱取付板51の外面514)には、所定の間隔Sを確保した状態で本体ケース10に電装品箱50を取付けるため、所定の間隔Sに設定された高さH2を有する凸部512が設けられている。さらに、本体ケース10の前面14のうち、ガス接続管30および高圧ガス接続管31が配置される管配置面12aに近い部分についても、電磁コイル411、421、431、441が配置される空間に対応する部分Pに合わせて、凹部140が設けられず、電装品箱50の面についても、所定の間隔Sに設定された高さH2を有する凸部512が設けられている。
【0032】
なお、本実施形態では、本体ケース10の前面14、背面15および上面16のうち、電磁コイル401、411、421、431、441が配置される空間に対応する部分Pと、ガス接続管30および高圧ガス接続管31が配置される管配置面12aに近い部分に、凹部140を設けないようにしているが、本発明はこれに限らない。電磁コイル401、411、421、431、441のメンテナンス空間の確保を考慮する必要がない切替ユニットの場合、本体ケース10の前面14、背面15および上面16のそれぞれの右側角部にも左側角部と同様に複数の凹部140、140を備え、電装品箱取付板51の右側角部にも左側角部と同様に複数の凸部511、511を備えてもよい。
【0033】
本実施形態では、電装品箱50は、本体ケース10の前面14、背面15および上面16のいずれかに取付けることが可能になっているが、本発明はこれに限らない。電装品箱50を本体ケース10の下面にも取付けられるように、本体ケース10の下面にも、本体ケース10の前面14と同様に、左側角部には、複数の凹部140、140と同数の凹部を備え、右側角部には、複数のネジ孔141、141と同数のネジ孔を備えてもよく、上述の電装品箱取付板51をそのまま利用できる。また、本体ケース10の下面取付専用とする場合は、本体ケース10の下面は、ガス接続管30および高圧ガス接続管31が配置される管配置面12aに隣接し、電磁コイル401、411、421、431、441のメンテナンス空間の確保を考慮する必要がない部分であることから、本体ケース10の右側角部にも左側角部と同様に複数の凹部140、140と同数の凹部を備え、電装品箱取付板51の右側角部にも左側角部と同様に複数の凸部511、511と同数の凸部を備えてもよい。
【0034】
次に、電装品箱50を本体ケース10に取付ける手順について
図4を用いて説明する。電装品箱50を本体ケース10の前面14に取付ける場合、
図4に示すように、電装品箱取付板51に備えられた複数の凸部511、511を、本体ケース10の前面14に備えられた複数の凹部140、140に嵌め合わせる。すると、複数の凸部511、511と複数の凸部512、512、複数の凹部140、140と複数のネジ孔141、141はそれぞれ、左右対称の位置関係になることから、電装品箱取付板51に備えられた複数の凸部512、512と本体ケース10の前面14に備えられた複数のネジ孔141、141との位置合わせも行われる。ここで、例えば、複数の凹部140、140が電装品箱取付板51で隠れた状態になっても、本体ケース10の前面14に対して複数の凸部511、511をスライドさせることで、複数の凹部140、140に複数の凸部511、511を嵌め合わせることが可能である。電装品箱取付板51は、複数のネジ挿通孔511a、511aと複数のネジ孔140a、140a、および、複数のネジ挿通孔512a、512aと複数のネジ孔141、141を通じて、複数のネジ510、510、・・・で本体ケース10の前面14に取付けられる。電装品箱カバー52は、複数のネジ520、520で本体ケース10の前面14に取付けられた電装品箱取付板51に取付けられる。この結果、例えば、吊り金具20を用いて切替ユニット1を天井裏のスラブに据付ける際、本体ケース10の前面14に電装品箱50を配置することができる。
【0035】
電装品箱50を本体ケース10の背面15に取付ける場合も同様に、
図1に示す本体ケース10の前面14に配置された状態から上下を反転させた状態で、上述の手順により図示しないネジで取付けることができる。この結果、例えば、吊り金具20を用いて切替ユニット1を天井裏のスラブに据付ける際、本体ケース10の背面15に電装品箱50を配置することができる。また、電装品箱50を本体ケース10の上面16に取付ける場合も同様に、
図1に示す本体ケース10に設けられた吊り金具20を本体ケース10の前面14に沿うように取付けた状態で、上述の手順により図示しないネジで取付けることができる。この結果、例えば、吊り金具20を壁掛け金具として利用でき、壁掛け金具を用いて切替ユニット1を建物の壁に据付ける際、本体ケース10の上面16に電装品箱50を配置することができる。
【0036】
このように、電装品箱50は、ガス接続管30、高圧ガス接続管31、低圧ガス接続管32、複数の電磁コイル401、411、421、431、441が露出しない本体ケース10の前面14、背面15、上面16のいずれかの面に選択的に取付け可能になっている。従って、本実施形態による多室形空気調和装置の切替ユニット1では、天井裏、床下、壁などの各種の据付場所を選択したり、ガス接続管30と、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32とを左右で反転して置換えたりすることができるため、切替ユニット1の据付自由度を向上することができる。
【0037】
次に、凸部511に替わる他の実施例について
図6を用いて説明する。電装品箱50に備えられた電装品箱取付板51には、
図6に示すように、階段状の凸部513が設けられている。この凸部513は、電装品箱取付板51の外面514から延長され、本体ケース10に当接する面5130aを形成した基部5130と、基部5130の本体ケース10に当接する面5130aの径D1よりも小さい径D2からなり、本体ケース10に当接する面5130aから延長した端部5131とから形成されている。本体ケース10の前面14には、
図5に示す凹部140と同じ深さαを有する凹部142が形成されている。凸部513の高さは、基部5130の高さを所定の間隔Sとし、端部5131の高さを凹部142の深さαと等しくすることで、
図5に示す凸部511の高さH1と同じ高さに設定されている。この結果、凸部513のうち、端部5131の全てが凹部142に嵌合される構造になっており、端部5131の径D2が基部5130の本体ケース10に当接する面5130aの径D1よりも小さいため、凹部142を
図5に示す凹部140よりも小さくすることができる。なお、端部5131の高さと凹部142の深さをαより小さくすることで、凹部142を小さくかつ浅くすることができる。
【0038】
以上説明してきた本発明の切替ユニット1によれば、ガス接続管30、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32と、電磁コイル401、411、421、431、441と弁本体とを備える複数の開閉弁40、41、42、43、44と、本体ケース10と、開閉弁40、41、42、43、44の開閉を制御する制御基板53が収容される電装品箱50とが設けられている。電装品箱50は、ガス接続管30、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32が導出される本体ケース10の左側面11と右側面12とを除いた前面14、背面15、上面16または下面のいずれかに取付けられる。
【0039】
電装品箱50が取付けられる本体ケース10の前面14には、複数の凹部140、140を備え、本体ケース10の前面14に対向する電装品箱50の面(電装品箱取付板51の外面514)には、複数の凹部140、140に対応する位置に、本体ケース10と電装品箱50との間に確保する所定の間隔Sよりも延長した高さH1を有し、凹部140、140に嵌合される凸部511、511を備えている。凸部511、511のうち、所定の間隔Sよりも延長した部分の全てを、凹部140、140に嵌め合わせた際に、凹部140、140に凸部511、511を固定可能になっている。
【0040】
この結果、本発明の切替ユニット1では、背景技術の欄で示すような、本体ケース10に電装品箱50を引掛ける構造を設けず、かつ、本体ケース10と電装品箱50との間にスペーサや台といった部品を用いることなく、本体ケース10と電装品箱50との間に所定の間隔Sを確保した状態で本体ケース10に電装品箱50を取付けることができる。また、本体ケース10に電装品箱50を取付ける際に、本体ケース10の凹部140が電装品箱50で隠れた状態になっても、本体ケース10に対して電装品箱50をスライドさせることで、凹部140に凸部511が嵌め合わされて本体ケース10と電装品箱50とを簡単に位置合わせすることができる。
【0041】
また、以上説明してきた本発明の切替ユニット1によれば、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32が導出される本体ケース10の右側面12は、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32を配置する管配置面12aと、電磁コイル401、411、421、431、441を配置する電磁コイル配置面12bとを備えている。電磁コイル配置面12bは、管配置面12aから折り曲げられ内側に凹むように形成され、電磁コイル401、411、421、431、441は、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32が管配置面12aから導出される方向と平行に電磁コイル配置面12bから突出させた弁本体に有するシリンダ部に取付けられている。本体ケース10の前面14のうち、電磁コイル401、411、421、431、441が配置される空間に対応する部分Pには、凹部140を設けず、電磁コイル401、411、421、431、441が配置される空間に対応する部分Pに対向する電装品箱50の面(電装品箱取付板51の外面514)には、所定の間隔Sに設定した高さH2を有する凸部512を備えている。
【0042】
この結果、本発明の切替ユニット1では、本体ケース10の電磁コイル配置面12bから突出させたシリンダ部に取付けられる電磁コイル401、411、421、431、441のメンテナンスを行うための空間を確保することができる。
【0043】
さらに、以上説明してきた本発明の切替ユニット1によれば、電装品箱50の面(電装品箱取付板51の外面514)に備えられた凸部511に替わる凸部513は、所定の間隔Sに設定した高さを有する基部5130と、基部5130に形成された本体ケース10に当接する面5130aの径D1よりも小さい径D2からなり、本体ケース10に当接する面5130aから延長した端部5131とから形成され、端部5131の全てを凹部142に嵌め合わせている。
【0044】
この結果、本発明の切替ユニット1では、凸部511に替えて凸部513にすることで、凹部142を小さくかつ浅くすることができ、本体ケース10の内部に有する断熱材や冷媒配管などの部品配置の空間として有効に利用することができる。
【0045】
なお、本実施形態における切替ユニット1では、電磁コイル401、411、421、431、441は、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32が本体ケース10から導出される方向と平行に本体ケース10の電磁コイル配置面12b(右側面12)から突出させたシリンダ部に取付けられるようにしたが、本発明はこれに限らない。例えば、電磁コイル401、411、421、431、441は、ガス接続管30が本体ケース10から導出される方向と平行に本体ケース10の左側面11から突出させたシリンダ部に取付けられるようにしてもよい。この場合には、本体ケース10の左側面11を内側に凹ませた電磁コイル配置面からシリンダ部を突出させる方がよい。
【0046】
また、本実施形態における切替ユニット1では、1または複数の室外機と複数の室内機とが接続される3つの冷媒配管のうち、液管は切替ユニット1から離して、独自に室外機と室内機との間に室内機毎に接続されるようにしたが、本発明はこれに限らない。例えば、本体ケース10の内部に液接続管も収容するようにしてもよい。この場合には、本体ケース10の室内機側の左側面11から、室内機から延びるガス管に接続されるガス接続管30と、室内機から延びる液管に接続される液接続管の一端とを導出させる。また、本体ケース10の室外機側の右側面12から、室外機から延びる高圧ガス管および低圧ガス管に接続される高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32と、室外機から延びる液管に接続される液接続管の他端とを導出させる。
【0047】
さらに、本実施形態では冷媒回路ユニットとして、冷暖房フリーの運転が行える多室形空気調和装置に用いられる切替ユニット1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、多室形空気調和装置に用いられ、室外機に接続される冷媒配管を各室内機に接続される複数の冷媒配管に分岐する分岐ユニットなど、複数の冷媒配管と複数の電磁弁を組み合わせて構成した冷媒回路ユニットにおいて適用可能である。