(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、多室形空気調和装置における1または複数の室外機と複数の室内機との間に設けられる冷媒回路ユニットが知られている。冷媒回路ユニットは、多室形空気調和装置の冷媒回路の一部を構成する冷媒配管や電磁弁などを組合せたユニットで、室外機に接続される冷媒配管を各室内機に接続される複数の冷媒配管に分岐する分岐ユニットや、室外機に接続される2つの冷媒配管の一方を選択して室内機に接続することで、室内機の運転を冷房運転または暖房運転に切替える切替ユニットなどがある。
【0003】
このような冷媒回路ユニットには、冷媒配管と、電磁コイルを有し冷媒配管に接続される複数の電磁弁と、冷媒配管と電磁弁とを収容する本体ケースと、複数の電磁弁の開閉を制御する制御基板を収容する電装品箱とを備えている。電磁弁には、開閉弁や電子膨張弁などが用いられ、本体ケースの内部には、収容される冷媒配管と電磁弁に結露が生じないように発泡断熱材が充填されている。この種の冷媒回路ユニットの一例として、本体ケースの外側に電磁コイルと電装品箱とを配置し、電磁コイルと電装品箱の点検や交換などのメンテナンスを可能にした分岐ユニットがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この分岐ユニットは、冷媒配管の一部が本体ケースの左側板と右側板から露出され、複数の電磁弁が冷媒配管の露出方向である本体ケースの左右方向に一列に配置されており、これらの電磁弁は本体ケースの上下方向に立設されている。複数の電磁弁に有する各々の電磁コイルが、本体ケースの上面から露出し本体ケースの上面方向に突出されており、蓋により覆われるようになっている。また、電装品箱が、本体ケースの前面に取付けられている。
【0005】
このように構成された分岐ユニットは、電磁コイルと電装品箱のメンテナンスを行うことができる反面、複数の電磁弁(開閉弁や電子膨張弁など)が本体ケースの左右方向に一列に配置されるとともに本体ケースの上下方向に立設され、かつ、複数の電磁コイルが本体ケースの上面方向に突出されているため、分岐ユニットが左右方向および上下方向に大きくなるという問題点があった。また、分岐ユニットは、複数の電磁コイルが本体ケースの上面方向に突出されているため、分岐ユニットと建物の天井裏や床下などのスラブ(据付対象物)との間に、電磁コイルを取り外して交換するスペースが必要であり、分岐ユニットの据付スペースが制限されるという問題点があった。そして、分岐ユニットは、複数の電磁コイルが露出する本体ケースの上面を覆わないように、電装品箱が本体ケースの前面に取付けられているため、分岐ユニットの建物への据付自由度に制限がある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の冷媒回路ユニットは、複数の冷媒配管と、電磁コイルと前記冷媒配管に接続される弁本体とを備える複数の電磁弁と、本体ケースとからなる冷媒回路ユニットであって、
前記弁本体はシリンダ部を有し、前記電磁コイルは前記冷媒配管が前記本体ケースから導出される方向と平行に前記本体ケースの一側面から突出させた前記シリンダ部に取り付けられ
、前記本体ケースの一側面は、前記冷媒配管を配置する管配置面と、前記電磁コイルを配置する電磁コイル配置面とを備え、
前記電磁コイル配置面は、前記管配置面よりも上側の位置で本体ケースの一側面から内側に凹ませている。
【0012】
本実施形態における多室形空気調和装置の切替ユニット1は、1または複数の室外機と複数の室内機とが、高圧ガス管と低圧ガス管と液管とからなる3つの冷媒配管により接続された多室形空気調和装置に用いられ、室外機と室内機との間の高圧ガス管と低圧ガス管に室内機毎に接続される。なお、液管は切替ユニット1から離され、独自に室外機と室内機との間に室内機毎に接続される。切替ユニット1は、
図1乃至
図3に示すように、板金製で箱状の本体ケース10を有し、本体ケース10に設けられた吊り金具20を建物に設けられた吊りボルトに固定することで、各室内機の近傍の天井裏や床下などのスラブ(据付対象物)に据付けられる。
【0013】
本体ケース10の室内機側の左側面11(他側面)には、室内機から延びるガス管に接続されるガス接続管30が導出されている。本体ケース10の室外機側の右側面12(一側面)には、室外機から延びる高圧ガス管と低圧ガス管とにそれぞれ接続される高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32が導出されている。ガス接続管30は、本体ケース10の上側に配置され、高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32は、本体ケース10の下側に配置されている。ガス接続管30と高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32のそれぞれの管軸は、本体ケース10の左右方向に延びている。ガス接続管30と高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32のそれぞれは、室内機と室外機との間に接続される冷媒配管の一部を構成している。
【0014】
本体ケース10の内部には、後述する上側開閉弁群V1(上側電磁弁群)に備えられた複数の電磁コイル401、411、421、後述する下側開閉弁群V2(下側電磁弁群)に備えられた複数の電磁コイル431、441、ガス接続管30、高圧ガス接続管31、低圧ガス接続管32などに結露が生じて、その結露水の処理を不要にするため、図示しない発泡断熱材が充填されている。本体ケース10の右側面12には、本体ケース10から取外し可能な右側板13が設けられており、右側板13を取外すことにより、複数の電磁コイル401、411、421、431、441が露出し、これらの電磁コイル401、411、421、431、441の点検や交換などのメンテナンスが可能になっている。また、
図2に示すように、本体ケース10の右側面12は、高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32とを配置する管配置面12aと、電磁コイル401、411、421、431、441を配置する電磁コイル配置面12bとを備えている。電磁コイル配置面12bは、高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32を配置する管配置面12aよりも上側の位置において、管配置面12aから折り曲げられ内側に凹むように形成されている。この本体ケース10の電磁コイル配置面12bから複数の電磁コイル401、411、421、431、441が露出されている。電磁コイル401、411、421、431、441が管配置面12aよりも内側に凹ませた電磁コイル配置面12bに配置されるため、電磁コイル401、411、421、431、441のメンテナンスを行わないときは、
図1に示すように、複数の電磁コイル401、411、421、431、441を右側板13により覆い、本体ケース10の右側面12が管配置面12aに揃うようにしている。なお、本体ケース10が天井裏や床下などに設置されるので、複数の電磁コイル401、411、421、431、441を右側板13により覆うことで、複数の電磁コイル401、411、421、431、441を外気や埃などから保護するようにしている。
【0015】
このように、本体ケース10の右側面12を内側に凹ませた電磁コイル配置面12bから複数の電磁コイル401、411、421、431、441を露出することで、本体ケース10の左右方向から複数の電磁コイル401、411、421、431、441の点検や交換を行うことができる。また、本体ケース10の右側面12に管配置面12aから折り曲げられ内側に凹ませた電磁コイル配置面12bを形成することで、本体ケース10の右側面12を凹ませずに平面に形成するよりも高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32の本体ケース10に対する支持強度が得られ、かつ、発泡断熱材が本体ケース10の管配置面12aの内側まで充填されて、複数の電磁コイル401、411、421、431、441が高圧ガス接続管31または低圧ガス接続管32との間で断熱されるため、複数の電磁コイル401、411、421、431、441に結露が発生しない。なお、本発明はこれに限らず、複数の電磁コイル401、411、421、431、441の保護、高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32の本体ケース10に対する支持強度や、複数の電磁コイル401、411、421、431、441の結露発生を考慮しなれば、電磁コイル配置面12bの形成により凹ませずに右側面12を形成してもよい。この場合には、本体ケース10の右側面12を折り曲げなくて済み、シンプルに形成することができる。
【0016】
本体ケース10の内部には、
図2乃至
図5に示すように、ガス接続管30、高圧ガス接続管31、低圧ガス接続管32、上側開閉弁群V1および下側開閉弁群V2などが部分的に収容されている。本体ケース10の内部において、ガス接続管30は、上側開閉弁群V1および下側開閉弁群V2を介して高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32と接続されている。
図5に示すように、ガス接続管30と高圧ガス接続管31との間に、上側開閉弁群V1を構成する後述の開閉弁40と下側開閉弁群V2を構成する後述の開閉弁43とが並列に接続されている。また、ガス接続管30と低圧ガス接続管32との間に、上側開閉弁群V1を構成する後述の開閉弁41、42と下側開閉弁群V2を構成する後述の開閉弁44とが並列に接続されている。なお、開閉弁40、41、42は、接続される室内機の種類や用途などによって電子膨張弁などの電磁弁が接続されていてもよい。
【0017】
上側開閉弁群V1は、本体ケース10の上側に配置される複数の開閉弁40、41、42から構成され、開閉弁40が室内機を暖房運転に切替え、開閉弁41、42が室内機を冷房運転に切替えるようになっている。室内機を暖房運転に切替える場合、開閉弁40を開いて開閉弁41、42を閉じ、室内機を冷房運転に切替える場合、開閉弁41、42を開いて開閉弁40を閉じる。開閉弁40、41、42は室内機の運転を切替える用途で主の電磁弁として動作する。
図5に示すように、開閉弁40は、ガス接続管30と高圧ガス接続管31の間に接続されており、開閉弁41、42は、ガス接続管30と低圧ガス接続管32がそれぞれ分岐される分岐管に接続されている。ガス接続管30と低圧ガス接続管32をそれぞれ分岐管で分岐することにより、ガス接続管30から低圧ガス接続管32に流れる冷媒の流量を、分岐管で冷媒を分流することで流量を少なくし冷媒の圧力を減圧することができる。この結果、室内機の冷房運転の際の冷媒音を低減している。それぞれの開閉弁40、41、42には、弁本体400、410、420と、電磁コイル401、411、421とを備えている。
【0018】
それぞれの弁本体400、410、420は、本体ケース10の電磁コイル配置面12bに沿うように本体ケース10の内部に配置され、
図4に示すように、弁の開閉を駆動するシリンダ部402、412、422と、一方の接続部403、413、423と、他方の接続部404、414、424とを備えている。弁本体400は、一方の接続部403が本体ケース10の左方向に延びて高圧ガス管31に接続され、他方の接続部404が本体ケース10の下方向に延びてガス管30に接続されており、弁本体410、420は、一方の接続部413、423が本体ケース10の左方向に延びてガス管30に接続され、他方の接続部414、424が本体ケース10の下方向に延びて低圧ガス管32に接続されている。弁本体420は、他方の接続部424が鉛直に延びる縦接続管320を介して水平に延びる低圧ガス管32に接続されている。それぞれのシリンダ部402、412、422は、本体ケース10の左右方向に延びるガス接続管30、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32の管軸に対して平行になるように設けられ、本体ケース10の電磁コイル配置面12bに形成された図示しない孔から突出されている。
【0019】
それぞれの電磁コイル401、411、421は、
図2および
図3に示すように、シリンダ部402、412、422に挿入するための図示しない孔を備えており、シリンダ部402、412、422に挿入されることで弁本体400、410、420に取付けられている。したがって、それぞれの電磁コイル401、411、421に備えられた孔の方向は、シリンダ部402、412、422と同様に、ガス接続管30、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32の管軸に対して平行になるように設けられ、それぞれの電磁コイル401、411、421は、本体ケース10の電磁コイル配置面12bから露出されている。
【0020】
下側開閉弁群V2は、上側開閉弁群V1よりも下側であって高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32よりも上側に配置される複数の開閉弁43、44から構成され、開閉弁43と開閉弁44とは、
図5に示すように、直列に接続されており、開閉弁43が高圧ガス接続管31に接続され、開閉弁44が低圧ガス接続管32に接続されている。開閉弁43には、室内機の運転を切替える場合に、高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32との間の冷媒の圧力を均圧にするための手段であるキャピラリーチューブ45が並列に接続されている。開閉弁43と開閉弁44との接続点には、室内機の運転を切替える場合に、高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32との間の冷媒の圧力を均圧にするための手段であるキャピラリーチューブ46が接続されており、このキャピラリーチューブ46がガス接続管30に接続されている。開閉弁43、44は室内機の運転の際に冷媒の圧力を均圧にする用途で補助の電磁弁として動作する。それぞれの開閉弁43、44には、弁本体430、440と、電磁コイル431、441とを備えている。
【0021】
それぞれの弁本体430、440は、本体ケース10の電磁コイル配置面12bに沿うように本体ケース10の内部に配置され、
図4に示すように、弁の開閉を駆動するシリンダ部432、442と、一方の接続部433、443と、他方の接続部434、444とを備えている。弁本体430は、一方の接続部433が本体ケース10の上方向に延びて高圧ガス管31に接続され、他方の接続部434が本体ケース10の左方向に延びてガス管30に接続されており、弁本体440は、一方の接続部443が本体ケース10の上方向に延びてガス管30に接続され、他方の接続部444が本体ケース10の左方向に延びて低圧ガス管32に接続されている。それぞれのシリンダ部432、442は、本体ケース10の左右方向に延びるガス接続管30、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32の管軸に対して平行になるように設けられ、本体ケース10の電磁コイル配置面12bに形成された図示しない孔から突出されている。
【0022】
それぞれの電磁コイル431、441は、
図2および
図3に示すように、シリンダ部432、442に挿入するための図示しない孔を備えており、シリンダ部432、442に挿入されることで弁本体430、440に取付けられている。したがって、それぞれの電磁コイル431、441に備えられた孔の方向は、シリンダ部432、442と同様に、ガス接続管30、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32の管軸に対して平行になるように設けられ、それぞれの電磁コイル431、441は、本体ケース10の電磁コイル配置面12bから露出されている。
【0023】
上側開閉弁群V1を構成する主の開閉弁40、41、42および下側開閉弁群V2を構成する補助の開閉弁43、44は、
図3および
図4に示すように、それぞれの弁本体400、410、420、430、440に備えた全てのシリンダ部402、412、422、432、442が本体ケース10の電磁コイル配置面12bから突出するように配置されている。そして、突出したシリンダ部402、412、422、432、442に取付けられる電磁コイル401、411、421、431、441のそれぞれの側面が揃うように、それぞれのシリンダ部402、412、422、432、442が、本体ケース10の前後方向に所定の間隔をもって配置されている。
【0024】
また、開閉弁43、44は、冷媒の圧力を均圧にするためのキャピラリーチューブ45、46に接続されることから、キャピラリーチューブ45、46に使用される径の小さな配管に合わせて、弁本体430、440の一方の接続部433、443および他方の接続部434、444の径がそれぞれ小さいものでよい。この結果、開閉弁43、44における弁本体430、440の一方の接続部433、443および他方の接続部434、444のそれぞれの径は、開閉弁40、41、42における弁本体400、410、420の一方の接続部403、413、423および他方の接続部404、414、424のそれぞれの径よりも小さいため、開閉弁40、41、42と、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32との間のスペースに開閉弁43、44を配置することができる。そして、開閉弁43、44における弁本体430、440の一方の接続部433、443はそれぞれ、開閉弁40、41、42における弁本体400、410、420の他方の接続部404、414、424のそれぞれの間に挟まれるように配置することができる。この結果、下側開閉弁群V2の開閉弁43、44に備えるシリンダ部432、442は、上側開閉弁群V1の開閉弁40、41、42に備えるシリンダ部402、412、422の間に配置することができる。以上のように上側開閉弁群V1および下側開閉弁群V2を配置すると、本体ケース10の大きさは、開閉弁40、41、42に備える電磁コイル401、411、421が並ぶ前後方向の寸法と、開閉弁42に備える弁本体420から低圧ガス接続管32までの上下方向の寸法におさめられる。従って、本体ケース10の前後方向および上下方向の小型化を図ることができる。
【0025】
以上説明してきた本体ケース10は天井裏や床下などに設置されるので、ガス接続管30、高圧ガス接続管31、低圧ガス接続管32、複数の開閉弁40、41、42、43、44などが部分的に収容された本体ケース10の内部に発泡断熱材が充填されている。電磁コイル401、411、421、431、441も発泡断熱材で充填させる方がよいが、収容される部品と比べて壊れる可能性が高いため、電磁コイル401、411、421、431、441のみを本体ケース10の電磁コイル配置面12bから露出させ、メンテナンスを行えるようにしている。
【0026】
本体ケース10の前面14には、
図1および
図2に示すように、複数の開閉弁40、41、42、43、44の開閉を制御する図示しない制御基板を収容する電装品箱50が配置されている。なお、本発明はこれに限らず、電装品箱50が本体ケース10から離れた位置に配置されてもよい。電装品箱50には、板金製でそれぞれコ字形状に形成された電装品箱取付板51と電装品箱カバー52とを備えている。電装品箱取付板51は、一方の側面が本体ケース10の前面14に図示しないネジで取付けられるとともに、他方の側面に図示しない制御基板が搭載されている。電装品箱取付板51に搭載される制御基板の電気回路と、複数の電磁コイル401、411、421、431、441とは、
図3に示すリード線421a、441a(図示されているリード線のみ符号を付与)で電気的に接続されている。電装品箱カバー52は、制御基板を覆うように電装品箱取付板51にネジで取付けられている。電装品箱カバー52は、電装品箱取付板51から取外し可能になっており、制御基板の点検や交換ができるようになっている。
【0027】
次に、
図6を用いて、電装品箱50を本体ケース10の背面15に取付けた状態について説明する。
図6に示すように、本体ケース10の背面15には、電装品箱50が配置されている。電装品箱50は、
図1に示す本体ケース10の前面14に配置された状態から上下を反転させた状態で、本体ケース10の背面15に図示しないネジで取付けられている。例えば、吊り金具20を用いて切替ユニット1を天井裏のスラブに据付ける際、本体ケース10の前面14または本体ケース10の背面15を選択し、本体ケース10に電装品箱50を配置することができる。
【0028】
次に、
図7を用いて、電装品箱50を本体ケース10の上面16に取付けた状態ついて説明する。
図7に示すように、本体ケース10の上面16には、電装品箱50が配置されている。電装品箱50は、
図1に示す本体ケース10に設けられた吊り金具20を本体ケース10の前面14に沿うように取付けた状態で、本体ケース10の上面16に図示しないネジで取付けられている。この結果、例えば、吊り金具20を壁掛け金具として利用でき、壁掛け金具を用いて切替ユニット1を建物の壁に据付ける際、本体ケース10の上面16を選択し、本体ケース10に電装品箱50を配置することができる。
【0029】
このように、電装品箱50は、ガス接続管30、高圧ガス接続管31、低圧ガス接続管32、複数の電磁コイル401、411、421、431、441が露出しない本体ケース10の前面14、背面15、上面16のいずれかの側面に選択的に取付け可能になっている。従って、本実施形態による多室形空気調和装置の切替ユニット1では、天井裏、床下、壁などの各種の据付場所を選択したり、ガス接続管30と、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32とを左右で反転して置換えたりすることができるため、切替ユニット1の据付自由度を向上することができる。
【0030】
以上説明してきた本発明の切替ユニット1によれば、ガス接続管30、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32と、電磁コイル401、411、421、431、441と弁本体400、410、420、430、440とを備える複数の開閉弁40、41、42、43、44と、本体ケース10とが設けられている。
【0031】
弁本体400、410、420、430、440は、シリンダ部402、412、422、432、442を有し、電磁コイル401、411、421、431、441は、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32が本体ケース10から導出される方向と平行に本体ケース10の電磁コイル配置面12bから突出させたシリンダ部402、412、422、432、442に取付けられている。
【0032】
この結果、本発明の切替ユニット1では、背景技術に示すように、複数の電磁弁が本体ケースの左右方向に一列に並び、本体ケースの上下方向に立設し、かつ、複数の電磁コイルが本体ケースの上面方向に突出するように配置されていないため、
図8に示すように、本体ユニット10の左右方向の寸法Aと上下方向の寸法Bを小さくすることができ、切替ユニット1を本体ケース10の左右方向および上下方向に小型化することができる。また、本発明の切替ユニット1では、室内機の冷房運転の際の冷媒音を低減する用途に、本体ケース10の内部に開閉弁を増設する場合にも、上側開閉弁群V1として本体ケース10の前後方向に大きくなるだけであり、本体ケース10の左右方向および上下方向の大きさを維持することができる。
【0033】
また、本発明の切替ユニット1では、背景技術に示すように、複数の電磁コイルが本体ケースの上面方向に突出していないため、本体ケース10の管配置面12aから導出される高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32の向きである本体ケース10の左右方向から、本体ケース10の電磁コイル配置面12bより露出されている複数の電磁コイル401、411、421、431、441の点検や交換などのメンテナンスを容易に行うことができる。さらに、本発明の切替ユニット1では、背景技術に示すように、複数の電磁コイルが本体ケースの上面方向に突出していないため、
図8に示すように、切替ユニット1と建物の天井裏のスラブSとの間に、電磁コイルの交換スペースが不要になり、従来よりも狭い据付スペースであっても切替ユニット1を設置することができる。
【0034】
さらに、以上説明してきた本発明の切替ユニット1によれば、ガス接続管30は、本体ケース10の上側に配置され、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32は、本体ケース10の上側に配置されている。複数の開閉弁40、41、42、43、44は、主の開閉弁40、41、42として動作する上側開閉弁群V1と、補助の開閉弁43、44として動作する下側開閉弁群V2とからなっている。
【0035】
上側開閉弁群V1を構成する開閉弁40、41、42に備える各々のシリンダ部402、412、422は、本体ケース10の前後方向に所定の間隔をもって配置され、下側開閉弁群V2を構成する開閉弁43、44に備える各々のシリンダ部432、442は、上側開閉弁群V1を構成する開閉弁40、41、42に備えるシリンダ部402、412、422の間に配置されている。
【0036】
この結果、本発明の切替ユニット1では、複数のシリンダ部402、412、422、432、442が上側開閉弁群V1と下側開閉弁群V2にそれぞれ分けて配置され、下側開閉弁群V2の各々のシリンダ部432、442が、上側開閉弁群V1の各々のシリンダ部402、412、422の間に配置されていることから、本体ケース10の左右方向および上下方向の小型化に加え、本体ケース10の前後方向にも小型化することができる。
【0037】
次に、他の実施例による本体ケース10に設けられた吊り金具20の取付構造について
図9を用いて説明する。なお、これまで説明してきた共通する構成については説明を省略する。吊り金具20は、本体ケース10の左側面11と右側面12に取付けられているので、本体ケース10の前面14、背面15、上面16のいずれかの面に取付けられる電装品箱50と干渉しないようになっている。本体ケース10の左側面11に取付けられている吊り金具20は、ガス接続管30よりも上部に取付けられている。本体ケース10の右側面12(一側面)は、上部には本体ケース10を吊り下げる吊り金具20を取付けるための取付面12c、12dを備え、下部には高圧ガス接続管31と低圧ガス接続管32を配置するための管配置面12aを備えている。この取付面12c、12dと管配置面12aとは面一関係になっている。取付面12c、12dと管配置面12aの間には、複数の電磁コイル60、61、62、63、64、65を配置するために取付面12c、12dと管配置面12aよりも凹ませた電磁コイル配置面12bを備えている。本体ケース10の右側面12には、電磁コイル配置面12bに配置された電磁コイル60、61、62、63、64、65を覆い隠すように取付けられる右側板13を備えている。この右側板13の上端両側には切欠部13a、13bが形成されているので、右側板13を本体ケース10の右側面12に取付けたとき、取付面12c、12dが露出するようになっている。このため、本体ケース10の右側面12に取付けられている吊り金具20は、右側板13を本体ケース10の右側面12に取付けたとき、右側板13と干渉しないようになっている。
【0038】
本体ケース10の左側面11は本体ケース10の内部に発泡断熱材が充填されているので、左側面11はそこにかかる荷重によって変形し難くなっており、本体ケース10を吊り下げて支持するための強度が十分である。しかしながら、本体ケース10の右側面12に備えられた取付面12c、12dの背面側は電磁コイル60、61、62、63、64、65が配置されているため、発泡断熱材が充填できないので、取付面12c、12dはそこにかかる荷重によって変形し易くなっており、本体ケース10を吊り下げて支持するための強度が不十分である。本実施例では、本体ケース10の上面16は前面14と背面15にそれぞれ連続形成され、取付面12c、12dは本体ケース10の上面16にそれぞれ連続形成されている。また、取付面12c、12dには本体ケース10の前面14と背面15の側にフランジ部12eがそれぞれ連続形成されている。このフランジ部12eは本体ケース10の前面14と背面15の内面に重なり合い、ネジ17により前面14と背面15に固定されている。この結果、取付面12cは前面14に接続され、取付面12dは背面15に接続されている。
【0039】
したがって、上記の構造により、取付面12cは前面14および上面16と一体となって3つの面で構成される角部を形成し、取付面12dは背面15および上面16と一体となって3つの面で構成される角部を形成している。このため、取付面12cにかかる荷重がその他の前面14および上面16に分散され、取付面12cと前面14と上面16が互いに支え合うため、取付面12cの支持強度を上げることができる。また、取付面12dにかかる荷重についてもその他の2つの面に分散され、取付面12dとその他の2つの面が互いに支え合うため、取付面12dの支持強度を上げることができる。なお、本実施例では、取付面12c、12dは本体ケース10の上面16にそれぞれ連続形成するようにしたが、取付面12cは本体ケース10の前面15に、取付面12dは本体ケース10の背面16にそれぞれ連続形成してもよい。
【0040】
また、本体ケース10の前面14、背面15および上面16の電磁コイル60、61、62、63、64、65を覆う部分には、電磁コイル60、61、62、63、64、65の熱を放熱するための放熱孔14a、15a、16a、16bがそれぞれ形成されている。このように、本体ケース10の電磁コイル60、61、62、63、64、65を覆う部分に放熱孔14a、15a、16a、16bがそれぞれ形成されているため、電磁コイル60、61、62、63、64、65から発生する熱を放熱孔14a、15a、16a、16bから本体ケース10の外部に放熱することができる。
【0041】
なお、本実施形態における切替ユニット1では、電磁コイル401、411、421、431、441は、高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32が本体ケース10から導出される方向と平行に本体ケース10の右側面12(電磁コイル配置面12b)から突出させたシリンダ部402、412、422、432、442に取付けられるようにしたが、本発明はこれに限らない。例えば、電磁コイル401、411、421、431、441は、ガス接続管30が本体ケース10から導出される方向と平行に本体ケース10の左側面11から突出させたシリンダ部402、412、422、432、442に取付けられるようにしてもよい。この場合には、本体ケース10の左側面11を内側に凹ませた電磁コイル配置面からシリンダ部402、412、422、432、442を突出させる方がよい。
【0042】
また、本実施形態における切替ユニット1では、1または複数の室外機と複数の室内機とが接続される3つの冷媒配管のうち、液管は切替ユニット1から離して、独自に室外機と室内機との間に室外機毎に接続されるようにしたが、本発明はこれに限らない。例えば、本体ケース10の内部に液接続管も収容するようにしてもよい。この場合には、本体ケース10の室内機側の左側面11から、室内機から延びるガス管に接続されるガス接続管30と、室内機から延びる液管に接続される液接続管の一端とを導出させる。また、本体ケース10の室外機側の右側面12から、室外機から延びる高圧ガス管および低圧ガス管に接続される高圧ガス接続管31および低圧ガス接続管32と、室外機から延びる液管に接続される液接続管の他端とを導出させる。
【0043】
さらに、本実施形態では冷媒回路ユニットとして、冷暖房フリーの運転が行える多室形空気調和装置に用いられる切替ユニット1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、多室形空気調和装置に用いられ、室外機に接続される冷媒配管を各室内機に接続される複数の冷媒配管に分岐する分岐ユニットなど、複数の冷媒配管と複数の電磁弁を組み合わせて構成した冷媒回路ユニットにおいて適用可能である。