(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
<第1実施形態>
(1)空調室内機10の外観構成
(1−1)全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空調室内機の断面図である。
図1において、空調室内機10は壁掛けタイプであり、本体ケーシング11、室内熱交換器13、室内ファン15、底フレーム17、フィルタ25及び制御部41が搭載されている。
【0016】
本体ケーシング11は、前面グリル11a、前面パネル11b及び背面板11cによって立体空間を形成し、その立体空間内に室内熱交換器13、室内ファン15、底フレーム17、フィルタ25、及び制御部41が収まっている。前面パネル11bは、前面グリル11aの前面を覆っており、上端が前面グリル11aに回動自在に支持され、ヒンジ式に動作することができる。また、本体ケーシング11は、取付板11dを介して壁に装着される。
【0017】
室内熱交換器13及び室内ファン15は、底フレーム17に取り付けられている。室内熱交換器13は、通過する空気との間で熱交換を行う。また、室内熱交換器13は、側面視において両端が下方に向いて屈曲する逆V字状の形状を成し、その下方に室内ファン15が位置する。室内ファン15は、クロスフローファンであり、室内から取り込んだ空気を、室内熱交換器13に当てて通過させた後、室内に吹き出す。
【0018】
本体ケーシング11の下面部には、吹出口19が設けられている。吹出口19には、吹出口19から吹き出される空気を案内するフラップ291が回動自在に取り付けられている。フラップ291は、モータ(図示せず)によって駆動し、空気の吹出方向を変更するだけでなく、吹出口19を開閉することもできる。吹出口19は、吹出流路18によって本体ケーシング11の内部と繋がっており、吹出流路18は吹出口19から底フレーム17に沿って形成されている。
【0019】
さらに本体ケーシング11の下面部には、下吸込口21が吹出口19よりも壁側に設けられている。下吸込口21は、吸込流路16によって本体ケーシング11の内部と繋がっており、吸込流路16は下吸込口21から底フレーム17に沿って形成されている。つまり、吸込流路16は、底フレーム17を挟んで吹出流路18と隣接している。
【0020】
下吸込口21近傍の室内空気は、室内ファン15の稼動によって下吸込口21、吸込流路16、フィルタ25及び室内熱交換器13を経て室内ファン15に吸い込まれ、室内ファン15から吹出流路18を経て吹出口19から吹き出される。
【0021】
本体ケーシング11の前面グリル11aと室内熱交換器13との間にはフィルタ25が配置されている。フィルタ25は、室内熱交換器13に向って流入してくる空気に含まれる塵埃を除去する。
【0022】
前面グリル11aの前上部には、上吸込口22が設けられている。上吸込口22近傍の室内空気は、室内ファン15の稼動によって上吸込口22、フィルタ25及び室内熱交換器13を経て室内ファン15に吸い込まれ、室内ファン15から吹出流路18を経て吹出口19から吹き出される。
【0023】
制御部41は、本体ケーシング11の前方部分に収まっており、室内ファン15の回転数制御、吹出口19の開度調節、下吸込口21の開度調節、及び上吸込口22の開度調節のための指令を行う。
【0024】
(1−2)各部の構成
(a)吹出口19及び吹出口開閉機構29
図2は、
図1に記載の吹出口および下吸込口の拡大側面図である。
図2において、吹出口19は、吹出口開閉機構29によって開閉される。吹出口開閉機構29は、フラップ291、支軸292およびフラップ駆動モータ293を含む。
【0025】
フラップ291は、その断面形状が吹出口19の外側に張り出すように湾曲する円弧状の板であり、幅方向の一端が底フレーム17の下端に近接している。フラップ291は回動可能である。
【0026】
支軸292は、フラップ291が回動するための軸であって、回動の仮想中心軸と交差する本体ケーシング11の側壁に支持されている。
【0027】
フラップ駆動モータ293は、ステッピングモータ若しくは減速ギア機構を内蔵したステッピングモータであって、その回転軸は支軸292に連結されている。フラップ291が吹出口19に収まっている状態を原点位置としたとき、フラップ駆動モータ293は印加されるパルス数に応じて回転軸を回転させ、フラップ291が吹出口19を開ける方向に回転する。
【0028】
(b)下吸込口21
下吸込口21は、底フレーム17の下端と背面板11cの下端との間に位置している。
図1に示すように、下吸込口21は、吸込流路16の入口の一部であって、背面板11cの下端から底フレーム17の下端に向って所定幅を有する開口である。
【0029】
吸込流路16の入口のうち下吸込口21と底フレーム17の下端との間は、遮蔽板33で覆われている。なぜなら、吸込流路16と吹出流路18とは底フレーム17を隔てて隣接しており、吹き出し空気の一部が底フレーム17の下端を撫でるように通過して吸込流路16の入口へ進入する可能性があり、それを防止するためである。遮蔽板33を配置することによって、吸込流路16の実質的な入口を下吸込口21まで遠ざけることができる。
【0030】
(c)下吸込口開閉機構31
下吸込口21には、下吸込口開閉機構31が設置されている。下吸込口開閉機構31は、シャッター311と、ヒンジ312、リンク313および駆動モータ314を含む。
【0031】
シャッター311は、下吸込口21に嵌り込んで下吸込口21を塞ぐことができる大きさである。シャッター311は回動可能であり、その回動の仮想中心軸は底フレーム17と遮蔽板33とのコーナー近傍に位置する。
【0032】
ヒンジ312は、シャッター311の回動する支点であって、回動の仮想中心軸と交差する本体ケーシング11の壁に設けられている。ヒンジ312とシャッター311とはリンク313によって連結されている。
【0033】
リンク313がシャッター311とともに回動するときに遮蔽板33と干渉しないように、遮蔽板33にはリンク313が通る軌道に沿ってスリットのような逃し部(図示せず)が形成されている。
【0034】
駆動モータ314は、ステッピングモータ若しくは減速ギア機構を内蔵したステッピングモータであって、その回転軸はヒンジ312に連結されている。シャッター311が下吸込口21に収まっている状態を原点位置としたとき、駆動モータ314は印加されるパルス数に応じて回転軸を回転させ、シャッター311が下吸込口21を開ける方向に回転する。
【0035】
(d)上吸込口22と上吸込口開閉機構32
上吸込口22は、
図1に示すように前面グリル11aのうち前面パネル11bの上端と対峙する位置から天面中央にわたって設けられている。また、上吸込口22は、上吸込口開閉機構32によって開閉される。上吸込口開閉機構32はスライドシャッター322を含む。
【0036】
(2)空調室内機10のハードウェア構成及び機能構成
図3は、空調室内機の稼働時の様子を示す断面図である。通常、空調室内機10の稼働時には
図3に示すように下吸込口21のシャッター311及び上吸込口22のスライドシャッター322は開状態に制御されており、吹出口19のフラップ291は開いている。これにより、空気は、下吸込口21及び上吸込口22をからフィルタ25及び室内熱交換器13を経て室内ファン15に吸い込まれ、室内ファン15から吹出流路18を経て吹出口19からフラップ291に沿って吹き出される。このように、空調室内機10の稼働時には下吸込口21のシャッター311は開状態に制御されているため、吹出口19から吹き出される風量が少なくなると、吹出口19から吹き出された空気が直に下吸込口21に吸い込まれる現象(いわゆるショートサーキット)が発生し得る。
【0037】
そこで、制御部41は、下吸込口21のシャッター311が開状態の場合には、吹出口19から吹き出される空気の風量についてその風量下限値を制御する。
【0038】
このような制御を行う制御部41の機能構成及びハードウェア構成について
図4を用いて以下に説明する。
図4は制御部の機能構成及びハードウェア構成を示すブロック図である。
【0039】
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)60、RAM(Random Access Memory)61及びROM(Read Only Memory)62を有している。
【0040】
(2−1)ROM62
ROM62は、空調室内機10の全体を制御するための制御プログラム90を格納している。
【0041】
(2−2)RAM61
RAM61は、風量下限値記憶部80、風量記憶部81、シャッター角度記憶部82及びフラップ角度記憶部83を含む。
【0042】
風量下限値記憶部80は、シャッター311が閉状態における風量下限値Wthcloseと、風量下限値設定部70が設定した風量下限値Wthopenとを記憶している。風量記憶部81は、風量設定受付部72がユーザから受け付けた風量設定の種類と、風量制御部71により制御された風量と、を記憶している。シャッター角度記憶部82は、シャッター開閉制御部73により制御されたシャッター角度θsを記憶している。シャッター角度θsは、シャッター311が閉状態(シャッター角度θs=0°)の場合と比較した角度により定義される。フラップ角度記憶部83は、フラップ開閉制御部74により制御されたフラップ291のフラップ角度θfを記憶している。フラップ角度θfは、フラップ291と鉛直方向下方とのなす角度により定義される。
【0043】
また、RAM61は、CPU60がROM62から読み出した制御プログラムを一時的に記憶し、CPU60が各種機能を実行するための作業領域を提供する。
【0044】
(2−3)CPU60
CPU60は、風量下限値設定部70、風量制御部71、風量設定受付部72、シャッター開閉制御部73及びフラップ開閉制御部74を含む。
【0045】
(a)風量下限値設定部70
風量下限値設定部70は、吹出口19から吹き出される風量の風量下限値Wthopenを設定する。具体的には、風量下限値設定部70は、風量記憶部81を参照して風量設定受付部72が風量自動設定を受け付けているか否か、及びシャッター角度記憶部82を参照してシャッター311が開状態であるか閉状態であるかを判断する。風量下限値設定部70は、風量自動設定の状態にあり、かつシャッター311が開状態にある場合には、風量下限値設定部70は、シャッター311が閉状態の場合における風量下限値Wthcloseを風量下限値記憶部80から読み出す。そして、風量下限値設定部70は、シャッター311が開状態の場合における風量下限値Wthopenを、シャッター311が閉状態の場合における風量下限値Wthcloseよりも大きくなるように設定する。よって、吹出口19から吹き出される空気は、後述の風量制御部71の制御によって所定の風量下限値Wthopen以上の風量で吹き出され、下吸込口21から遠ざかるように吹き出される。よって、吹出口19から吹き出された空気が直に下吸込口21に吸い込まれるショートサーキットを抑制できる。風量下限値設定部70は、設定した風量下限値Wthopenを風量下限値記憶部80に格納する。
【0046】
また、上記では風量下限値設定部70は、シャッター311が開状態での風量下限値Wthopenをシャッター311が閉状態での風量下限値Wthcloseよりも大きくなるように設定する。その他、風量下限値設定部70は、シャッター311が開状態の場合における風量下限値Wthopenを、ショートサーキットが生じないような風量となるように設定してもよい。例えば、シャッター311が開状態の場合においてショートサーキットが生じ得る風量を実験的に検出しておき、風量下限値設定部70は、実験的に検出された風量以上となるように風量下限値Wthopenを設定してもよい。
【0047】
(b)風量設定受付部72
風量設定受付部72は、吹出口19から吹き出される風量の設定として、風量自動設定及びユーザが風量を指定する風量ユーザ設定を含む風量設定をユーザから受け付ける。例えば、ユーザは操作部100を制御することにより所望の風量設定を入力する。
図5は操作部の一部を示す説明図である。操作部100には、例えば風量が自動に制御される風量自動設定ボタン101、ユーザが風量を指定する急風ボタン102、強風ボタン103、弱風ボタン104及び微風ボタン105が設けられている。風量は、微風、弱風、強風及び急風の順に大きくなるものとする。ユーザは所望のボタンを操作することで空調室内機10に対して風量の設定を行う。風量設定受付部72は、ユーザから受け付けた風量設定の種類を風量記憶部81に格納する。
【0048】
(c)風量制御部71
風量制御部71は、風量設定受付部72が受け付けた風量設定に基づいて吹出口19から吹き出される風量を制御し、その風量を風量記憶部81に格納する。例えば、風量制御部71は、風量設定受付部72が風量自動設定を受け付けた場合には、風量下限値設定部70が設定した風量下限値Wthopen以上の風量となるように制御する。つまり、風量設定受付部72が風量自動設定を受け付けている場合、ユーザは吹出口19から任意の風量で空気を吹き出すことを許容している。その場合には、風量下限値設定部70は、下吸込口21のシャッター311が開状態の場合の風量下限値Wthopenが閉状態の場合の風量下限値Wthcloseよりも大きくなるように制御する。そして、風量制御部71は、制御された風量下限値Wthopen以上の風量となるように制御する。これにより、吹出口19から吹き出された空気が直に下吸込口21に吸い込まれるショートサーキットを抑制できる。
【0049】
また、風量制御部71は、ユーザが風量を指定した場合には風量ユーザ設定に基づいて風量を制御する。具体的には、例えば、風量制御部71は、微風ボタン105の操作により風量設定受付部72が微風設定を受け付けた場合には、微風の風量となるように制御する。このように風量設定受付部72が風量ユーザ設定を受け付けている場合には、ユーザが所望する風量で吹出口19から空気を吹き出す。よって、ユーザによる風量指定を優先してユーザ満足度を維持しつつ、少なくとも風量自動設定の際にはショートサーキットを抑制することができる。
【0050】
(d)シャッター開閉制御部73
シャッター開閉制御部73は、空調室内機10が稼働を開始すると、下吸込口21が閉状態から開状態となるように下吸込口開閉機構31を制御してシャッター311の動きを制御する。また、空調室内機10の稼働が停止すると、シャッター開閉制御部73はシャッター311の動きを制御して下吸込口21を閉状態とする。
【0051】
なお、シャッター開閉制御部73は、風量設定受付部72が風量設定として風量ユーザ設定を受け付けた場合において、風量が所定値Wα以下の場合にはシャッター311を閉状態となるように制御してもよい。つまり、風量設定受付部72が風量ユーザ設定を受け付けている場合には、風量制御部71はユーザが所望する風量で吹出口19から空気を吹き出す。この場合、吹出口19の風量が所定値Wα以下であるとショートサーキットが生じ得るため、シャッター開閉制御部73は下吸込口21のシャッター311を閉状態に制御する。
【0052】
なお、シャッターを閉じる基準である所定値Wαは風量下限値Wthopen以下に含まれる。例えば、風量ユーザ設定として、前述の微風、弱風、強風及び急風の順に大きくなる風量が設けられている。ここで、弱風を所定値Wαとする。このとき、例えば、微風、弱風(所定値Wα)、風量下限値Wthopen、強風及び急風の順に風量が大きいとする。風量ユーザ設定として微風又は弱風(所定値Wα)が設定された場合には、風量は所定値Wα以下であるのでシャッター開閉制御部73は下吸込口21のシャッター311を閉状態に制御する。一方、風量ユーザ設定として強風又は急風が設定された場合には、風量は所定値Wαより大きいのでシャッター開閉制御部73は下吸込口21のシャッター311を開状態に制御する。以上のような制御により風量自動設定の場合だけでなく、風量ユーザ設定の場合にもショートサーキットを抑制できる。
【0053】
(e)フラップ開閉制御部74
フラップ開閉制御部74は、風向設定部(図示せず)において設定された風向に基づいて、吹出口開閉機構29を制御してフラップ291の動きを制御する。
【0054】
(3)動作
次に風量下限値設定における動作を
図6を用いて説明する。
図6は風量下限値設定における動作を示すフローチャートの一例である。
【0055】
ステップS10:風量下限値設定部70は、風量記憶部81を参照して風量設定受付部72が風量自動設定を受け付けているか、あるいは、風量ユーザ設定を受け付けているかを判断する。風量下限値設定部70は、風量自動設定の場合にはステップS11を実行する。一方、風量ユーザ設定の場合にはステップS13が実行される。
【0056】
ステップS11:風量下限値設定部70は、シャッター角度記憶部82を参照してシャッター311が開状態であるか閉状態であるかを判断する。現在のシャッター角度θfが閉状態(シャッター角度θs=0°)の場合よりも大きい場合には、風量下限値設定部70はシャッター311が開状態であると判断する。風量下限値設定部70は、シャッター311が開状態の場合にはステップS12を実行する。一方、風量下限値設定部70は、シャッター311が閉状態の場合には処理を終了する。
【0057】
ステップS12:風量下限値設定部70は、風量自動設定の状態にあり、かつシャッター311が開状態にある場合には、シャッター311が開状態の場合における風量下限値Wthopenを、シャッター311が閉状態の場合における風量下限値Wthcloseよりも大きくなるように設定する。
【0058】
ステップS13:風量制御部71は風量ユーザ設定に基づいて風量を制御する。
【0059】
ステップS14:シャッター開閉制御部73は、風量ユーザ設定に基づく風量が所定値Wα以下であるか否かを判断する。シャッター開閉制御部73は、風量ユーザ設定に基づく風量が所定値Wα以下の場合にはステップS15を実行する。一方、シャッター開閉制御部73は、風量ユーザ設定に基づく風量が所定値Wαより大きい場合には処理を終了する。
【0060】
ステップS15:シャッター開閉制御部73は、風量ユーザ設定に基づく風量が所定値Wα以下であるので、ショートサーキットを抑制するために下吸込口21のシャッター311を閉状態に制御する。
【0061】
(4)特徴
(4−1)
吹出口19から吹き出される風量が少なくなると、吹出口19から吹き出された空気が直に下吸込口21に吸い込まれるショートサーキットが発生し得る。
【0062】
そこで、風量下限値設定部70は、少なくとも所定時において、下吸込口21のシャッター311が開状態の場合における風量下限値Wthopenを、閉状態の場合における風量下限値Wthcloseより大きく設定する。よって、吹出口19から吹出された空気は所定の風量下限値Wthopen以上の風量で吹き出され、下吸込口21から遠ざかるように吹き出される。よって、吹出口19から吹き出された空気が直に下吸込口21に吸い込まれるショートサーキットを抑制できる。
【0063】
(4−2)
空調室内機10は、風量設定受付部72が風量ユーザ設定を受け付けている場合には、ユーザが所望する風量で吹出口19から空気を吹き出す。風量設定受付部72が風量自動設定を受け付けている場合、ユーザは吹出口19から任意の風量で空気を吹き出すことを許容している。その場合には、風量下限値設定部70は、ショートサーキットの抑制のために、下吸込口21のシャッター311が開状態の場合の風量下限値Wthopenが閉状態の風量下限値Wthcloseよりも大きくなるように制御する。よって、ユーザによる風量指定を優先してユーザ満足度を維持しつつ、少なくとも風量自動設定の際にはショートサーキットを抑制することができる。
【0064】
(4−3)
空調室内機10は、風量設定受付部72が風量ユーザ設定を受け付けている場合には、ユーザが所望する風量で吹出口19から空気を吹き出す。この場合、吹出口19の風量が所定値Wα以下であるとショートサーキットが生じ得るため、シャッター開閉制御部73は下吸込口21のシャッター311を閉じる。よって、風量自動設定の場合だけでなく、風量ユーザ設定の場合にもショートサーキットを抑制できる。
【0065】
なお、シャッター311を閉じる基準である所定値Wαは風量下限値以下に含まれる。例えば、風量ユーザ設定として、微風、微風より風量が大きい弱風、弱風より風量が大きい強風、強風より風量が大きい急風があるとする。また、弱風を所定値Wαとしたとする。このとき、例えば、微風、弱風(所定値Wα)、風量下限値Wthopen、強風、急風の順に風量が大きくなるとする。風量ユーザ設定として微風及び弱風が設定された場合には、風量は所定値Wα以下であるのでシャッター開閉制御部73は下吸込口21のシャッター311を閉じる。一方、風量ユーザ設定として強風及び急風が設定された場合には、風量は所定値Wαより大きいのでシャッター開閉制御部73は下吸込口21のシャッター311を開く。
【0066】
<第2実施形態>
(1)空調室内機10の外観構成
第2実施形態に係る空調室内機10の外観構成は第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0067】
(2)機能構成
第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、吹出口19から吹き出される空気の上下風向が所定の角度よりも下向きの場合に、下吸込口21のシャッター311が開状態の場合における風量下限値Wthopenを制御する。その他の点においては第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と異なる機能構成についてのみ以下に説明する。
【0068】
(a)フラップ角度記憶部83
フラップ角度記憶部83は、フラップ開閉制御部74により制御されたフラップ291のフラップ角度θfの他に、さらにフラップ閾値角度θthを記憶している。フラップ閾値角度θthは、例えばフラップ291と鉛直方向下方とのなす角度により定義され、例えば約30°であり得る。言い換えれば、例えば水平方向を基準として上下風向が約60°の場合である。
【0069】
(b)風量下限値設定部70
風量下限値設定部70は、フラップ角度記憶部83を参照してフラップ角度θf及び所定のフラップ閾値角度θthを読み出す。風量下限値設定部70は、現在のフラップ角度θfとフラップ閾値角度θthとの比較結果に基づいて吹出口19から吹き出される風量の風量下限値Wthopenを設定する。
図7及び
図8を用いてこのような風量下限値Wthopenの設定について具体的に説明する。
図7は、シャッターが開かれており、フラップの角度θfがフラップ閾値角度θth以下である場合の様子を示す模式図である。
図8は、シャッターが開かれており、かつフラップの角度θfがフラップ閾値角度θthより大きい場合の様子を示す模式図である。
【0070】
まず、風量下限値設定部70は、風量記憶部81を参照して風量設定受付部72が風量自動設定を受け付けているか否か、及びシャッター角度記憶部82を参照してシャッター311が開状態であるか閉状態であるかを判断する。また、風量下限値設定部70は、フラップ角度記憶部83を参照してフラップ角度θfと所定のフラップ閾値角度θthとを比較する。
図7の場合、風量下限値設定部70は、フラップ角度θfがフラップ閾値角度θth以下と判断する。フラップ角度θfがフラップ閾値角度θth以下の場合には、吹出口19からの空気が下吸込口21に吸い込まれショートサーキットが生じやすい。この場合、風量下限値設定部70は、シャッター311が開状態の場合における風量下限値Wthopenを、シャッター311が閉状態の場合における風量下限値Wthcloseよりも大きくなるように設定する。よって、吹出口19から吹き出される空気は、後述の風量制御部71の制御によって所定の風量下限値Wthopen以上の風量で吹き出され、下吸込口21から遠ざかるように吹き出される。よって、吹出口19から吹き出された空気が直に下吸込口21に吸い込まれるショートサーキットを抑制できる。なお、第1実施形態と同様に、風量下限値Wthopenは、実験的に求められたショートサーキットが発生しない風量以上に設定されてもよい。
【0071】
一方、風量下限値設定部70は、風量自動設定であり、シャッター311が開状態において、フラップ291が
図8の場合には、フラップ角度θfがフラップ閾値角度θthより大きいと判断する。この場合、風量下限値設定部70は、ショートサーキットの発生が無いと推定して風量下限値Wthopenを特に設定しない。
【0072】
その他の点については風量下限値設定部70の機能は第1実施形態と同様である。
【0073】
(3)全体動作
次に風量下限値設定における全体動作を
図9を用いて説明する。
図9は風量下限値設定における全体動作を示すフローチャートの一例である。第2実施形態での動作はステップS11aが異なるのみでその他の点については第1実施形態と同様であるので簡単に以下に説明する。
【0074】
ステップS10、S11:風量下限値設定部70は、風量自動設定でありシャッター311が開状態である場合にはステップS11aを実行する。風量下限値設定部70は、風量ユーザ設定の場合にはステップS13を実行する。
【0075】
ステップS11a:風量下限値設定部70は、フラップ角度記憶部83を参照してフラップ角度θfがフラップ閾値角度θth以下であるか否かを判断する。風量下限値設定部70は、フラップ角度θfがフラップ閾値角度θth以下の場合にはステップS12を実行する。フラップ角度θfがフラップ閾値角度θthより大きい場合には処理を終了する。
【0076】
ステップS12:風量下限値設定部70は、風量自動設定の状態にあり、シャッター311が開状態にある場合にあり、かつフラップ角度θfがフラップ閾値角度θth以下の場合には、シャッター311が開状態の場合における風量下限値Wthopenを、シャッター311が閉状態の場合における風量下限値Wthcloseよりも大きくなるように設定する。
【0077】
ステップS13〜15:風量制御部71は風量ユーザ設定に基づいて風量を制御する。シャッター開閉制御部73は、風量ユーザ設定に基づく風量が所定値Wα以下の場合にはショートサーキットを抑制を抑制するために下吸込口21のシャッター311を閉状態に制御する。
【0078】
(4)特徴
吹出口19からの空気の上下風向が所定の角度よりも下向きである場合、吹出口19から吹き出される空気は下吸込口21に近づく方向に吹き出され、下吸込口21に吸い込まれやすくなる。所定の角度とは、例えば水平方向を基準として上下風向が約60°の場合である。吹出口19からの空気が下吸込口21に吸い込まれやすい上下風向の場合には、風量下限値設定部70は、下吸込口21のシャッター311が開状態の場合の風量下限値Wthopenが閉状態の風量下限値Wthcloseよりも大きくなるように制御する。これにより、ショートサーキットを抑制することができる。
【0079】
<その他の実施形態>
(A)変形例
上記実施形態では、風量下限値設定部70は、下吸込口21のシャッター311が開状態か閉状態のいずれであるかを判断して、風量下限値Wthopenを設定している。本変形例では、風量下限値設定部70は、シャッター角度θsの程度に応じて風量下限値Wthopenを設定してもよい。
【0080】
図10を用いて、風量下限値設定部70によるシャッター角度θsに応じた風量下限値Wthopenの設定について説明する。
図10は、シャッター311がA位置、B位置、C位置及び閉位置にある場合を示す説明図である。
【0081】
シャッター311はC位置、B位置及びA位置の順に閉位置から遠ざかり、シャッター角度θsは大きくなる。そしてシャッター311は閉位置から離れるほどフラップ291に近づく。そのため、シャッター311は閉位置から離れるほど、フラップ291に沿って吹き出される空気が下吸込口21に吸い込まれやすくなる。そこで、風量下限値設定部70は、シャッター311がC位置、B位置及びA位置にある順に風量下限値Wthopenが大きくなるように設定する(風量下限値Wthopen(C位置)<風量下限値Wthopen(B位置)<風量下限値Wthopen(A位置))。これによりシャッター角度θsに応じてきめ細やかに風量下限値Wthopenを設定しつつ、ショートサーキットを抑制できる。
【0082】
また、風量下限値設定部70は、シャッター角度θsに加えてさらに、第2実施形態で示したようにフラップ角度θfを考慮して風量下限値Wthopenを設定してもよい。例えば、シャッター311がA位置にあり、フラップ角度θfがフラップ閾値角度θthより大きい場合には、風量下限値設定部70はシャッター角度θsのみに基づいて風量下限値Wthopenを設定する。一方、シャッター311がA位置にあり、フラップ角度θfがフラップ閾値角度θth以下の場合には、風量下限値設定部70はシャッター角度θs及びフラップ角度θfの両方に基づいて風量下限値Wthopenを設定する。
【0083】
(B)変形例
上記実施形態では、シャッター311は仮想中心軸を中心とする回動式であるが、下吸込口21を開閉可能であれば特にその形状は限定されず、例えばスライド式であってもよい。