(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明に係るヒートポンプ機器のコントローラの実施形態を、図面を参照して説明する。なお、下記の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0036】
(1)全体構成
本実施形態に係るコントローラ80は、暖房機能と給湯機能とを兼備するヒートポンプ機器の一例としての給湯冷暖房機器10aを制御するコントローラである。コントローラ80による給湯冷暖房機器10aの制御には、電力使用量のコントロールを含む。コントローラ80は、給湯冷暖房機器10aと共に、給湯冷暖房システム10を構成している。給湯冷暖房システム10は、住宅に設置される給湯冷房暖房システムである。給湯冷暖房機器10aは、冷暖房及び給湯の目的で使用される。給湯冷暖房機器10aは、冷房機能及び給湯機能、又は、暖房機能及び給湯機能を併用することが可能である。
【0037】
図1は、電力需要者としての複数の住宅2と、複数の住宅2に電力を供給する電力供給者としての電力会社1とを含む電力ネットワーク100を示している。住宅2には、給湯冷暖房システム10が設置されている。電力会社1は、自ら発電した電力、及び/又は、他者が発電した電力を電力需要者に供給する。なお、この電力ネットワーク100には、給湯冷暖房システム10が設置されていない住宅や、住宅以外の電力需要者も含まれている。
【0038】
(1−1)電力会社
電力会社1は、管理装置1aを有している。管理装置1aは、電力会社1の電力供給量と、電力需要者による電力需要量とがバランスするように調節する装置である。管理装置1aは、後述する住宅2に設置されたスマートメータ2aと、通信回線100aにより接続されている。
【0039】
管理装置1aは、スマートメータ2aから送信される各住宅2の電力需要量(電力使用量)と、住宅2以外の電力需要者の電力需要量とを収集し、電力供給量と電力需要量とがバランスしているか分析する。電力供給量と電力需要量とがバランスしているかの分析には、将来の予想を含む。
【0040】
また、管理装置1aは、分析結果に基づいて、電力供給量と電力需要量とをバランスさせるため、住宅2を含む電力需要者に対して、電力使用量の抑制又は促進を要求する。具体的には、管理装置1aは、電力の需要が供給を上回りそうな時間帯には、電力の抑制要求を各スマートメータ2aに送信する。逆に、電力の供給が需要を上回りそうな時間帯には、管理装置1aは、電力の促進要求を各スマートメータ2aに送信する。なお、電力の供給が需要を上回る状況は、例えば、電力需要に応じて調整することの難しい自然エネルギー(例えば風力)により発電した電力を電力会社1が供給する際に発生する。
【0041】
なお、管理装置1aは、各スマートメータ2aに対して電力使用量の抑制要求又は促進要求を送信する際に、調整要求期間(いつ抑制又は増加させるか)、調整要求量(どれだけ抑制又は増加させるか)、及び、インセンティブに関する情報(抑制要求又は促進要求に応じた場合の報奨金(あるいは応じなかった場合の罰金)に関する情報)を併せて送信する。調整要求量は、単位時間あたりの電力[kW]に関するものであっても、調整要求期間における電力量[kWh]に関するものであってもよい。インセンティブに関する情報は、報奨金(罰金)そのものについての情報である必要はなく、例えば、調整要求期間の電力単価の情報等であってもよい。
【0042】
(1−2)住宅
住宅2は、給湯冷暖房システム10のほか、スマートメータ2a、HEMS(家庭用エネルギ管理システム)2b、各種電気機器3を有する。
【0043】
スマートメータ2aは、電力会社1の管理装置1aと通信回線100aにより接続される。スマートメータ2aは、住宅2で使用されている電力の値を管理装置1aに送信する。スマートメータ2aは、管理装置1aから電力使用量の抑制要求及び促進要求を受信する。スマートメータ2aは、住宅2に設置されたHEMS2bと通信回線2cにより接続されている。スマートメータ2aからHEMS2bへは、管理装置1aからスマートメータ2aに対して送信された電力使用量の抑制要求又は促進要求(調整要求期間、調整要求量及びインセンティブに関する情報を含む)が送信される。
【0044】
HEMS2bは、給湯冷暖房システム10及び電気機器3と、通信回線2dにより接続されている。HEMS2bは、住宅2における電力使用量を把握するとともに、住宅2における電力使用量を最適に制御する。
【0045】
HEMS2bは、管理装置1aから、スマートメータ2aを介して送信された電力使用量の抑制要求又は促進要求に基づいて、給湯冷暖房システム10及び電気機器3に、電力使用量の抑制要求又は促進要求を送信する。HEMS2bは、電力使用量の抑制要求又は促進要求と共に、給湯冷暖房システム10及び電気機器3のそれぞれに、電力の抑制又は増加を要求する個別調整要求期間(いつ抑制又は増加させるか)と、個別電力使用目標(どれだけ抑制又は増加させるか)とを送信する。なお、個別要求期間及び個別電力使用目標は、給湯冷暖房システム10及び各電気機器3の特性、給湯冷暖房システム10及び各電気機器3によって現在使用されている電力、管理装置1aから(スマートメータ2aを介して)送信された調整要求期間及び調整要求量等を用いて、給湯冷暖房システム10及び各電気機器3別に、HEMS2bが決定する。より具体的には、HEMS2bは、給湯冷暖房システム10及び各電気機器3が、HEMS2bが決定した個別調整要求期間及び個別電力使用目標に応じて電力使用量を調整することで、管理装置1aから送信された調整要求期間に、調整要求量を満足できるように、個別調整要求期間及び個別電力使用目標を決定する。
【0046】
個別電力使用目標は、個別調整要求期間における電力の目標値(kW)であってもよいし、現在の電力使用量に対する調整量(kW)や調整率(%)などであってもよい。また、個別電力使用目標は、電力に関するものではなく、個別調整要求期間における電力量(kWh)に関するものであってもよい。本実施形態では、個別電力使用目標は、現在の電力使用量に対する調整量(kW)である。
【0047】
なお、HEMS2bは、スマートメータ2aを介して受信した電力使用量の抑制要求及び促進要求に応じた場合のインセンティブに関する情報を更に用いて、電力使用量の抑制要求又は促進要求を給湯冷暖房システム10及び電気機器3に送信するか否か、及び/又は、給湯冷暖房システム10及び電気機器3に送信する個別調整要求期間及び個別電力使用目標を、決定してもよい。例えば、HEMS2bは、電力使用量の促進要求の受信時には、電力使用量を増加させることで所定額以上の報奨金を得られる場合、あるいは、電力単価が所定価格以下となる場合(無料の場合を含む)のみ、給湯冷暖房システム10及び電気機器3に電力使用量の促進要求を送信してもよい。ただし、本実施形態では、管理装置1aからHEMS2bに電力使用量の促進要求があった場合には、インセンティブに関する情報によらず、HEMS2bは促進要求に応じるものとして説明する。
【0048】
(1−3)給湯冷暖房システム
給湯冷暖房システム10は、
図1のように、コントローラ80と、コントローラ80により制御される給湯冷暖房機器10aとから構成される。コントローラ80は、給湯冷暖房機器10aと電気的に接続され、給湯冷暖房機器10aの動きを制御する。なお、コントローラ80は、給湯冷暖房機器10aに対する制御として、給湯冷暖房機器10aの電力使用量もコントロールする。
【0049】
図2は、給湯冷暖房機器10aの概略構成図である。給湯冷暖房機器10aは、主に、蒸気圧縮機式のヒートポンプサイクルを利用することで水媒体を加熱又は冷却し、加熱又は冷却された水媒体を用いて冷暖房及び給湯を行う。
【0050】
給湯冷暖房機器10aは、室外機20と、室内機30と、ガス冷媒連絡管26と、液冷媒連絡管27と、給湯ユニット60と、冷暖房ユニット70と、水媒体連絡管36,37と、を主に備えている。
【0051】
室外機20と室内機30とは、ガス冷媒連絡管26及び液冷媒連絡管27を介して接続されており、これによってヒートポンプとして機能する冷媒回路25を構成している。冷媒回路25は、主として、後述する圧縮機21と、四路切換弁24と、利用側熱交換器31と、膨張弁22と、熱源側熱交換器23と、で構成される。冷媒回路25には、例えばR−410Aが冷媒として使用される。なお、冷媒の種類は例示であり、これに限定されるものではない。
【0052】
室内機30と、給湯ユニット60及び冷暖房ユニット70とは、それぞれ水媒体連絡管36,37を介して接続されており、これによって水媒体回路35を構成している。水媒体回路35には、媒体として水が循環するようになっている。
【0053】
給湯冷暖房システム10については、以下に詳述する。
【0054】
(2)詳細構成
給湯冷暖房システム10は、
図1のように、給湯冷暖房機器10aと、コントローラ80とを備えている。給湯冷暖房機器10aは、
図2のように、室外機20と、室内機30と、ガス冷媒連絡管26と、液冷媒連絡管27と、給湯ユニット60と、冷暖房ユニット70と、水媒体連絡管36,37と、を主に有する。
【0055】
(2−1)給湯冷暖房機器
(2−1−1)室外機
室外機20は、熱源ユニットとして機能する。室外機20は、通常、屋外に配置されている。室外機は、
図2のように、ガス冷媒連絡管26と、液冷媒連絡管27とにより室内機30と接続され、冷媒回路25の一部を構成している。
【0056】
室外機20は、
図2のように、主として、圧縮機21と、四路切換弁24と、熱源側熱交換器23と、膨張弁22と、を有している。
【0057】
圧縮機21は、モータにより駆動される密閉式圧縮機である。圧縮機21はインバータ制御される。圧縮機21は吸入管21bから低圧のガス冷媒を吸入し、圧縮機21内の圧縮機構によりガス冷媒を圧縮し、吐出管21aに高圧のガス冷媒を吐出する。
【0058】
四路切換弁24は、水媒体加熱状態と、水媒体冷却状態と、を切り替えるための四路切換弁である。
【0059】
水媒体加熱状態においては、利用側熱交換器31は凝縮器として機能し、熱源側熱交換器23は蒸発器として機能する。水媒体加熱状態においては、利用側熱交換器31で、冷媒回路25を流れる冷媒と、水媒体回路35とを流れる水媒体との熱交換が行われ、水媒体が加熱される。四路切換弁24は、後述する第1暖房運転時及び第1給湯運転時に、水媒体加熱状態に切り替える。
【0060】
水媒体冷却状態においては、利用側熱交換器31は蒸発器として機能し、熱源側熱交換器23は凝縮器として機能する。水媒体冷却状態においては、利用側熱交換器31で、冷媒回路25を流れる冷媒と、水媒体回路35とを流れる水媒体との熱交換が行われ、水媒体が冷却される。四路切換弁24は、後述する冷房運転時に、水媒体冷却状態に切り替える。
【0061】
四路切換弁24は、吐出管21aと、吸入管21bと、熱源側熱交換器23のガス側に接続された第2室外側ガス冷媒管20dと、ガス冷媒連絡管26に繋がる第1室外側ガス冷媒管20aと、接続されている。
【0062】
四路切換弁24は、水媒体加熱状態では、吐出管21aと第1室外側ガス冷媒管20aとを連通させると共に、第2室外側ガス冷媒管20dと吸入管21bとを連通させるよう切り替えられる(
図2の四路切換弁24の破線参照)。四路切換弁24は、水媒体冷却状態では、吐出管21aと第2室外側ガス冷媒管20dとを連通させると共に、第1室外側ガス冷媒管20aと吸入管21bとを連通させるよう切り替えられる(
図2の四路切換弁24の実線参照)。
【0063】
熱源側熱交換器23は、冷媒回路25内を流れる冷媒と、空気(室外空気)との熱交換を行い、冷媒回路25を流れる冷媒の蒸発器又は凝縮器として機能する。熱源側熱交換器23の液側には、第2室外側液冷媒管20cが接続されており、熱源側熱交換器23のガス側には、第2室外側ガス冷媒管20dが接続されている。
【0064】
膨張弁22は、冷媒を減圧するための膨張機構であり、開度調整が可能な電動弁である。膨張弁22は、
図2のように、一端が第2室外側液冷媒管20cと接続され、他端が液冷媒連絡管27と繋がる第1室外側液冷媒管20b接続されている。
【0065】
(2−1−2)室内機
室内機30は、屋内に配置されている。室内機30は、
図2のように、ガス冷媒連絡管26と、液冷媒連絡管27とを介して室外機20に接続され、冷媒回路25の一部を構成している。また、室内機30は、
図2のように、水媒体連絡管36,37を介して、それぞれ給湯ユニット60及び冷暖房ユニット70に接続されており、水媒体回路35の一部を構成している。
【0066】
室内機30は、
図2のように、主として、利用側熱交換器31と、暖房用電気ヒータ32と、循環ポンプ33とを有している。
【0067】
利用側熱交換器31は、
図2のように、冷媒回路25内を流れる冷媒と、水媒体回路35を流れる水媒体との熱交換を行う熱交換器である。利用側熱交換器31は、冷媒回路25を流れる冷媒の凝縮器又は蒸発器として機能する。利用側熱交換器31は、上述の水媒体加熱状態において、冷媒回路25を流れる冷媒の凝縮器として機能し、水媒体を加熱する。逆に、利用側熱交換器31は、上述の水媒体冷却状態において、冷媒回路25を流れる冷媒の蒸発器として機能し、水媒体を冷却する。
【0068】
利用側熱交換器31では、冷媒回路25内の冷媒が流れる流路の液側に、液冷媒連絡管27と繋がる室内側液冷媒管30bが接続されており、冷媒回路25内の冷媒が流れる流路のガス側に、ガス冷媒連絡管26と繋がる室内側ガス冷媒管30aが接続されている。また、利用側熱交換器31では、水媒体が流れる流路の入口側に、水媒体連絡管37と繋がる第2水媒体配管30dが接続されており、水媒体が流れる流路の出口側は、水媒体連絡管36と繋がる第1水媒体配管30cに接続されている。
【0069】
暖房用電気ヒータ32は、水媒体回路35を流れる水媒体を、冷暖房ユニット70に送る際に、水媒体を加熱するための電気ヒータである。暖房用電気ヒータ32は、利用側熱交換器31と、水媒体連絡管36とを接続する第1水媒体配管30cに設けられている。
【0070】
循環ポンプ33は、モータにより駆動される遠心式や容積式などのポンプである。循環ポンプ33は、インバータ制御される。循環ポンプ33は、第1水媒体配管30cの、暖房用電気ヒータ32より下流側に設けられている。循環ポンプ33は、水媒体を昇圧し、水媒体を水媒体回路35内で循環させる。具体的には、利用側熱交換器31で加熱又は冷却された水媒体、もしくは、暖房用電気ヒータ32で加熱された水媒体は、循環ポンプ33により昇圧され、水媒体連絡管36を介して、給湯ユニット60又は冷暖房ユニット70に送られる。給湯ユニット60又は冷暖房ユニット70を出た水媒体は、水媒体連絡管37を介して、利用側熱交換器31に戻る(
図4A,
図4C参照)。
【0071】
(2−1−3)ガス冷媒連絡管
ガス冷媒連絡管26は、室外機20の第1室外側ガス冷媒管20aと、室内機30の室内側ガス冷媒管30aとを接続している。ガス冷媒連絡管26は、四路切換弁24により水媒体加熱状態に切り替えられている場合に、圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒を利用側熱交換器31に導くことが可能な冷媒配管である。また、ガス冷媒連絡管26は、四路切換弁24により水媒体冷却状態に切り替えられている場合に、利用側熱交換器31から、圧縮機21の吸入側に低圧のガス冷媒を導くことが可能な冷媒配管である。
【0072】
(2−1−4)液冷媒連絡管
液冷媒連絡管27は、室外機20の第1室外側液冷媒管20bと、室内機30の室内側液冷媒管30bとを接続している。液冷媒連絡管27は、四路切換弁24により水媒体加熱状態に切り替えられている場合に、利用側熱交換器31から熱源側熱交換器23へと冷媒を導くことが可能な冷媒配管である。また、液冷媒連絡管27は、四路切換弁24により水媒体冷却状態に切り替えられている場合に、熱源側熱交換器23から利用側熱交換器31へと冷媒を導くことが可能な冷媒配管である。
【0073】
(2−1−5)給湯ユニット
給湯ユニット60は、室内機30から供給される水媒体を使用する水媒体機器であって、屋内に設置されている。給湯ユニット60は、
図2のように、水媒体連絡管36,37を介して室内機30と接続されており、水媒体回路35の一部を構成している。
【0074】
給湯ユニット60は、
図2のように、主として、給湯タンク61と、熱交換コイル62と、給湯用電気ヒータ63と、を有している。
【0075】
給湯タンク61は、給湯に供される水を溜める容器である。給湯タンク61には、蛇口やシャワー等に温水となった水を送るための給湯管68と、給湯管に送られて消費された水の補充を行うための給水管69と、が接続されている。
【0076】
熱交換コイル62は、
図2のように、給湯タンク61内に設けられている。熱交換コイル62は、水媒体回路35を循環する水媒体と給湯タンク61内の水との熱交換を行うことで給湯タンク61内の水の加熱器として機能する熱交換器である。なお、熱交換コイル62の入口側は、水媒体連絡管36に設けられた三方弁65と接続され、熱交換コイル62の出口側は、水媒体連絡管37と接続されている(
図2参照)。
【0077】
給湯ユニット60では、以上の構成により、室内機30において加熱される水媒体回路35を循環する水媒体によって、給湯タンク61内の水を加熱し、給湯タンク61内に溜めることが可能となっている。なお、ここでは、室内機30において加熱された水媒体との熱交換により加熱された水を、給湯タンク61に溜める方式の給湯ユニット60を採用しているが、これに限定されるものではなく、室内機30において加熱された水を貯湯タンクに溜める方式の給湯ユニットが採用されもよい。
【0078】
給湯用電気ヒータ63は、給湯タンク61内に設けられた電気ヒータである。給湯用電気ヒータ63は、給湯タンク61内の水を加熱するために利用される。給湯用電気ヒータ63は、例えば、ヒートポンプ(上述の室外機20及び室内機30の利用側熱交換器31)を利用した加熱では実現できない高温給湯に対応する場合等に用いられる。
【0079】
(2−1−6)冷暖房ユニット
冷暖房ユニット70は、室内機30から供給される水媒体を使用する水媒体機器であって、屋内に設置されている。冷暖房ユニット70は、
図2のように、水媒体連絡管36,37を介して室内機30に接続されており、水媒体回路35の一部を構成している。
【0080】
冷暖房ユニット70は、
図2のように、主として、熱交換器71と、ファン72と、を有するファンコイルユニットである。熱交換器71及びファン72は、図示しないケーシング内に収納されている。
【0081】
熱交換器71は、水媒体回路35を循環する水媒体と室内空気との熱交換を行うことで室内空気の加熱器または冷却器として機能する。なお、熱交換器71の入口側は、水媒体連絡管36に設けられた三方弁65と接続され、熱交換器71の出口側は、水媒体連絡管37と接続されている(
図2参照)。
【0082】
ファン72は、ケーシング内に空気を取り込み、熱交換器71における、水媒体回路35を循環する水媒体と室内空気との熱交換を促進するためのファンである。熱交換器71により加熱又は冷却された室内空気は、ケーシング外(室内)へと吹き出す。
【0083】
なお、ここでの冷暖房ユニット70は、ファンコイルユニットであるが、これに限定されるものではない。例えば、冷暖房ユニット70は、床暖房やラジエータであってもよい。また、
図2では、冷暖房ユニット70は1つしか設けられていないが、これに限定されるものではなく、並列に複数の冷暖房ユニット70が設けられてもよい。
【0084】
(2−1−7)水媒体連絡管
水媒体連絡管36は、
図2のように、室内機30の第1水媒体配管30cと、給湯ユニット60の熱交換コイル62の入口側及び冷暖房ユニット70の熱交換器71の入口側とを接続している。水媒体連絡管37は、
図2のように、室内機30の第2水媒体配管30dと、給湯ユニット60の熱交換コイル62の出口側及び冷暖房ユニット70の熱交換器71の出口側とを接続している。室内機30から、水媒体連絡管36を介して、給湯ユニット60又は冷暖房ユニット70に供給された水媒体は、水媒体連絡管37を介して、室内機30へと戻る。
【0085】
水媒体連絡管36には、
図2のように三方弁65が設けられている。三方弁65は、電動弁である。三方弁65は、水媒体回路35を循環する水媒体を、給湯ユニット60及び冷暖房ユニット70のいずれか一方に供給するように、水媒体の流れ方向を切り換えることが可能である。
【0086】
(2−2)コントローラ
コントローラ80は、給湯冷暖房機器10aと電気的に接続されている。コントローラ80は、給湯冷暖房機器10aを制御するために設けられる。コントローラ80は、CPUやメモリ等を有するマイクロコンピュータであり、メモリ等に記憶された各種プログラムをCPUが実行することで、各種制御を行う。なお、コントローラ80は、一体に構成されている必要はなく、室外機20、室内機30、給湯ユニット60、冷暖房ユニット70等をそれぞれ制御する複数のサブコントローラが回線により接続されて構成されるものであってもよい。
【0087】
コントローラ80は、主に、
図3のように、給湯冷暖房機器10aの、圧縮機21、膨張弁22、四路切換弁24、暖房用電気ヒータ32、循環ポンプ33、給湯用電気ヒータ63、三方弁65、及びファン72と電気的に接続されている。また、コントローラ80は、給湯冷暖房機器10aに設けられた図示しない各種センサ(温度センサ等)から検出信号を受けつける。
【0088】
コントローラ80は、
図3のように、入力部81、記憶部82、通信部80a、給湯冷暖房運転制御部80b、及び調整運転制御部80cを有している。
【0089】
入力部81は、給湯冷暖房機器10aのユーザからの各種情報(運転/停止指令、運転モード(暖房モード/冷房モード)、冷暖房の設定温度、給湯の設定温度等)の入力を受け付けるリモコンである。入力部81が、給湯冷暖房機器10aのユーザから受け付ける情報には、暖房時調整優先度と、冷房時調整優先度と、が含まれる。暖房時調整優先度は、制御モードが暖房モード(暖房機能と給湯機能とが併用可能なモード)であって、後述する電力調整運転(使用電力量を抑制又は促進する運転)が実行される際に、暖房機能と給湯機能とのどちらの機能に優先的に電力を使用させるかについて規定する情報である。冷房時調整優先度は、制御モードが冷房モード(冷房機能と給湯機能とが併用可能なモード)であって、後述する電力調整運転が実行される際に、冷房機能と給湯機能とのどちらの機能に優先的に電力を使用させるかについて規定する情報である。暖房時調整優先度と、冷房時調整優先度とは、給湯冷暖房システム10の導入時等に、給湯冷暖房機器10aのユーザにより入力される。電力調整運転において、暖房時調整優先度及び冷房時調整優先度が、どのように使用されるかは後述する。
【0090】
記憶部82は、コントローラの制御を行う際に使用される各種プログラムや、各種情報が記憶されている。記憶部82に記憶される情報には、入力部81に入力された、運転モード(暖房モード/冷房モード)、冷暖房の設定温度、給湯の設定温度や、暖房時調整優先度、及び冷房時調整優先度が含まれる。
【0091】
通信部80aは、
図3のように、HEMS2bと電気的に接続され、HEMS2bとの間で各種情報をやり取りする。例えば、通信部80aは、給湯冷暖房機器10aの運転状況に関する情報(電力使用量等)を、HEMS2bに対して送信する。また、例えば、通信部80aは、HEMS2bから送信される、電力使用量の調整要求(抑制要求又は促進要求)と、個別調整要求期間(いつ抑制又は増加させるか)と、個別電力使用目標(どれだけ抑制又は増加させるか)と、を受信する。なお、ここでの個別電力使用目標は、通信部80aが個別電力使用目標を受信した時点の給湯冷暖房機器10aの電力(kW)に対し、どれだけ給湯冷暖房機器10aの電力を調整(抑制または促進)させるかという数値(kW)である。
【0092】
給湯冷暖房運転制御部80bは、入力部81が受け付けた指令や、記憶部82に記憶された運転条件(冷暖房及び給湯の設定温度、運転モード等)や、給湯冷暖房機器10aに設けられた各種センサの検出信号等に基づいて、給湯冷暖房機器10aの各種機器を制御する。
【0093】
調整運転制御部80cは、通信部80aがHEMS2bから送信された、電力使用量の調整要求、個別調整要求期間、及び個別電力使用目標と、入力部81に入力された(記憶部82に記憶された)暖房時調整優先度及び冷房時調整優先度と、に基づいて、各種機器を制御し、給湯冷暖房機器10aの暖房機能(冷房機能)又は給湯機能に使用される電力使用量を調整する。
【0094】
(3)給湯冷暖房機器の動作
本実施形態に係る給湯冷暖房機器10aの動作、特に給湯暖房運転と、給湯冷房運転と、電力調整運転と、について説明する。
【0095】
(3−1)給湯暖房運転
給湯暖房運転は、空調の運転モードとして暖房モードが選択されている(記憶部82に、運転モードとして暖房モードが記憶されている)場合に実施される運転である。給湯暖房運転では、暖房運転と給湯運転とを同時に実施可能である。
【0096】
給湯冷暖房機器10aは、給湯冷暖房運転制御部80bにより制御され、給湯暖房運転として、後述する2種類の暖房運転と、2種類の給湯運転と、を行う。
【0097】
暖房運転は、給湯冷暖房機器10aのユーザが、入力部81を介して、コントローラ80に冷暖房ユニット70の暖房運転を要求している時に行われる。後述する暖房運転の種類(第1暖房運転又は第2暖房運転)の選択や、圧縮機21の回転数等の運転条件の調整は、図示しないセンサにより取得された室内温度及び冷暖房ユニット70に送られる水媒体の温度、入力部81から入力された(記憶部82に記憶された)暖房の設定温度等に基づいて、給湯冷暖房運転制御部80bにより実行される。
【0098】
給湯運転は、給湯タンク61内の水が消費され、給湯タンク61に補給水が流入することで、給湯タンク61内の水温が低下した時に行われる。後述する給湯運転の種類(第1給湯運転又は第2給湯運転)の選択や、圧縮機21の回転数等の運転条件の調整は、図示しないセンサにより取得された給湯タンク61内の水温及び給湯ユニット60に送られる水媒体の温度、入力部81から入力された(記憶部82に記憶された)給水の設定温度等を用いて、給湯冷暖房運転制御部80bにより実行される。
【0099】
また、給湯運転は、給湯中ではなくても、給湯タンク61内の水温を保持するために、あるいは、電力の単価が安い時間等に蓄熱(貯湯)目的で、適宜行われる。
【0100】
(3−1−1)第1暖房運転
第1暖房運転では、蒸気圧縮機式のヒートポンプサイクルを利用して水媒体が加熱され、加熱された水媒体を用いて暖房が行われる。第1暖房運転では、圧縮機21が運転され、冷媒回路25内を、
図4Aの矢印のように冷媒が循環する。また、第1暖房運転では、水媒体回路35において、循環ポンプ33が運転され、
図4Aの矢印のように、室内機30から、冷暖房ユニット70へと水媒体が送られる。以下に、詳細に説明する。
【0101】
第1暖房運転では、水媒体加熱状態になるように四路切換弁24が切り替えられている。具体的には、第1暖房運転では、四路切換弁24は、吐出管21aと第1室外側ガス冷媒管20aとを連通させると共に、第2室外側ガス冷媒管20dと吸入管21bとを連通させるよう切り替えられる(
図4Aの四路切換弁24の破線参照)。
【0102】
第1暖房運転時には、圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒が、四路切換弁24及びガス冷媒連絡管26を経由して、室内機30に送られる。室内機30に送られた高圧のガス冷媒は、冷媒の凝縮器として機能する利用側熱交換器31で水媒体と熱交換を行って冷却された後、ガス冷媒連絡管26を経由して、室外機20に送られる。利用側熱交換器31では、冷媒が水媒体と熱交換を行って冷却される際に、水媒体が加熱される。室外機20に送られた高圧の冷媒は、膨張弁22によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となって、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器23に流入する。熱源側熱交換器23に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、空気(室外空気)と熱交換を行って加熱され、蒸発して低圧の冷媒となる。熱源側熱交換器23を出た低圧のガス冷媒は、四路切換弁24を経由して再び圧縮機21に吸入される。
【0103】
水媒体回路35では、冷暖房ユニット70側に水媒体が流れるように三方弁65が切り替えられており、室内機30から流れ出た水媒体は、冷暖房ユニット70の熱交換器71に流入する。熱交換器71では、水媒体は室内空気と熱交換を行って冷却され、逆に、室内空気は水媒体と熱交換を行って加熱される。熱交換器71から流出した水媒体は、室内機30へと戻り、再び利用側熱交換器31で加熱される。
【0104】
第1暖房運転では、このようにして室内の暖房が行われる。
【0105】
(3−1−2)第2暖房運転
第2暖房運転では、暖房用電気ヒータ32により加熱された水媒体を用いて暖房が行われる。第2暖房運転では、水媒体回路35において、暖房用電気ヒータ32及び循環ポンプ33が運転される。三方弁65は、冷暖房ユニット70側に水媒体が流れるように切り替えられており、室内機30において暖房用電気ヒータ32により加熱された水媒体は、
図4Bのように、冷暖房ユニット70の熱交換器71に流入する。熱交換器71では、水媒体は室内空気と熱交換を行って冷却され、逆に、室内空気は水媒体と熱交換を行って加熱される。熱交換器71から流出した水媒体は、
図4Bのように室内機30へと戻り、再び暖房用電気ヒータ32により加熱される。第2暖房運転では、圧縮機21は運転されない。
【0106】
第2暖房運転では、このようにして室内の暖房が行われる。
【0107】
なお、室外の気温が非常に低い条件では、第1暖房運転をすると熱源側熱交換器23がすぐに凍結をしてしまうため、第2暖房運転が実施される。また、第1暖房運転が可能な温度条件であっても、室内の冷暖房ユニット70で要求される暖房能力に対し第1暖房運転だけでは能力を発揮することができない場合は、第1暖房運転と第2暖房運転とを併用して暖房運転が実施される。なお、同じ暖房能力を出力する際に、第2暖房運転は、ヒートポンプサイクルによる暖房運転である第1暖房運転より電力を消費する。
【0108】
(3−1−3)第1給湯運転
第1給湯運転では、蒸気圧縮機式のヒートポンプサイクルを利用することで水媒体が加熱され、加熱された水媒体を用いて給湯が行われる。第1給湯運転では、圧縮機21が運転され、冷媒回路25内を、
図4Cの矢印のように冷媒が循環する。第1給湯運転では、水媒体回路35において、循環ポンプ33が運転され、
図4Cの矢印のように、室内機30から、給湯ユニット60へと水媒体が送られる。以下に、詳細に説明する。
【0109】
第1給湯運転では、水媒体加熱状態になるように四路切換弁24が切り替えられている。具体的には、第1給湯運転では、四路切換弁24は、吐出管21aと第1室外側ガス冷媒管20aとを連通させると共に、第2室外側ガス冷媒管20dと吸入管21bとを連通させるよう切り替えられる(
図4Cの四路切換弁24の破線参照)。
【0110】
第1給湯運転時には、圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒が、四路切換弁24及びガス冷媒連絡管26を経由して、室内機30に送られる。室内機30に送られた高圧のガス冷媒は、冷媒の凝縮器として機能する利用側熱交換器31で水媒体と熱交換を行って冷却された後、ガス冷媒連絡管26を経由して、室外機20に送られる。利用側熱交換器31では、冷媒が水媒体と熱交換を行って冷却される際に、水媒体が加熱される。室外機20に送られた高圧の冷媒は、膨張弁22によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となって、冷媒の蒸発器として機能する熱源側熱交換器23に流入する。熱源側熱交換器23に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、空気(室外空気)と熱交換を行って加熱され、蒸発して低圧の冷媒となる。熱源側熱交換器23を出た低圧のガス冷媒は、四路切換弁24を経由して再び圧縮機21に吸入される。
【0111】
水媒体回路35では、給湯ユニット60側に水媒体が流れるように三方弁65が切り替えられており、室内機30から流れ出た水媒体は、給湯ユニット60の熱交換コイル62に流入する。熱交換コイル62では、水媒体は給湯タンク61内の水と熱交換を行って冷却され、逆に、給湯タンク61内の水は水媒体と熱交換を行って加熱される。熱交換コイル62から流出した水媒体は、室内機30へと戻り、再び利用側熱交換器31により加熱される。
【0112】
第1給湯運転では、このようにして給湯タンク61内の水の加温が行われる。
【0113】
なお、第1給湯運転中は、水媒体回路35内の水媒体は給湯ユニット60へと流れるので、第1給湯運転は、暖房運転とは同時に行うことができない。
【0114】
(3−1−4)第2給湯運転
第2給湯運転では、給湯用電気ヒータ63が運転され、給湯タンク61内の水の加温が行われる。第2給湯運転では、圧縮機21及び循環ポンプ33は運転されない。第2給湯運転は、例えば、所望の給湯温度が、ヒートポンプサイクルにより達成可能な(第1給湯運転により達成可能な)温度よりも高い場合等に、第1給湯運転に代えて行われる。給湯タンク61内の水に対し同一の熱量を与える場合には、第2給湯運転は第1給湯運転よりも電力を消費する。
【0115】
また、第2給湯運転は、第1暖房運転又は第2暖房運転と同時に行うことが可能であるので、暖房運転と給湯運転とが同時に実行される場合には、給湯運転として第2給湯運転が行われる。
【0116】
(3−2)給湯冷房運転
給湯冷房運転は、空調の運転モードとして冷房モードが選択されている(記憶部82に、運転モードとして冷房モードが記憶されている)場合に実施される運転である。給湯冷房運転では、冷房運転と給湯運転とを同時に実施可能である。
【0117】
給湯冷暖房機器10aは、給湯冷暖房運転制御部80bにより制御され、給湯冷房運転として、後述する1種類の冷房運転と、2種類の給湯運転と、を行う。
【0118】
冷房運転は、給湯冷暖房機器10aのユーザが、入力部81を介して、コントローラ80に冷暖房ユニット70の冷房運転を要求している時に行われる。圧縮機21の回転数等の運転条件の調整は、図示しないセンサにより取得された室内温度及び冷暖房ユニット70に送られる水媒体の温度、入力部81を介して入力された(記憶部82に記憶された)冷房の設定温度等を用いて、給湯冷暖房運転制御部80bにより実行される。
【0119】
給湯運転としては、上述した第1給湯運転及び第2給湯運転が行われる。なお、後述する冷房運転と第1給湯運転とは、冷媒回路25内の冷媒の流れ方向が逆であるため(
図4C及び
図4Dを参照)、同時には実現できない。したがって、冷房運転と給湯運転とを同時に行う場合には、給湯運転として第2給湯運転が行われる。第1給湯運転と第2給湯運転については、上述したため、ここでは説明を省略する。
【0120】
(3−2−1)冷房運転
冷房運転では、蒸気圧縮機式のヒートポンプサイクルを利用して水媒体が冷却され、冷却された水媒体を用いて冷房が行われる。冷房運転では、圧縮機21が運転され、冷媒回路25内を、
図4Dの矢印のように冷媒が循環する。また、冷房運転では、水媒体回路35において、循環ポンプ33が運転され、
図4Dの矢印のように、室内機30から、冷暖房ユニット70へと水媒体が送られる。以下に、詳細に説明する。
【0121】
冷房運転では、水媒体冷却状態になるように四路切換弁24が切り替えられている。具体的には、冷房運転では、四路切換弁24は、吐出管21aと第2室外側ガス冷媒管20dとを連通させると共に、第1室外側ガス冷媒管20aと吸入管21bとを連通させるよう切り替えられる(
図4Dの四路切換弁24の実線参照)。
【0122】
冷房運転時には、圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒が、四路切換弁24を経由して、冷媒の凝縮器として機能する熱源側熱交換器23に送られ、空気(室外空気)と熱交換を行って冷却される。熱源側熱交換器23において冷却されて液化した高圧の冷媒は、膨張弁22により減圧された後、液冷媒連絡管27を経由して室内機30に送られる。室内機30に送られた冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する利用側熱交換器31において、水媒体回路35を流れる水媒体と熱交換を行い、加熱されて蒸発して低圧のガス冷媒となる。一方、利用側熱交換器31で冷媒と熱交換を行った水媒体は、逆に冷却される。低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管26を経由して室外機20に送られ、四路切換弁24を経由して再び圧縮機21に吸入される。
【0123】
水媒体回路35では、冷暖房ユニット70側に水媒体が流れるように三方弁65が切り替えられており、室内機30から流れ出た水媒体は、冷暖房ユニット70の熱交換器71に流入する。熱交換器71では、水媒体は室内空気と熱交換を行って加熱され、逆に、室内空気は水媒体と熱交換を行って冷却される。熱交換器71から流出した水媒体は、室内機30へと戻り、再び利用側熱交換器31により冷却される。
【0124】
冷房運転では、このようにして室内の冷房が行われる。
【0125】
(3−3)電力調整運転
電力調整運転は、HEMS2bから電力使用量の調整要求があった時に行われる運転であり、給湯暖房運転又は給湯冷房運転に加えて実行される。電力調整運転は、調整運転制御部80cにより実行される。
【0126】
電力調整運転には、電力使用量を抑制する電力抑制調整運転と、電力使用量を増加させる電力促進調整運転とがある。以下に、給湯暖房運転時と給湯冷房運転時とに分けて、電力抑制調整運転及び電力促進調整運転について説明する。
【0127】
(3−3−1)給湯暖房運転時の電力抑制調整運転
調整運転制御部80cは、給湯暖房運転時(記憶部82に記憶されている入力部81から入力された運転モードが暖房モードであった場合)に、通信部80aがHEMS2bから電力使用量の抑制要求を受信すると、給湯冷暖房機器10aが、以下に示すような電力抑制調整運転を実行するよう制御する。言い換えれば、調整運転制御部80cは、HEMS2bから送信された個別調整要求期間に、個別電力使用目標(kW)だけ給湯冷暖房機器10aの電力使用量を抑制するよう、給湯冷暖房機器10aの運転を制御する。通信部80aが電力使用量の抑制要求を受信したときの、調整運転制御部80cによる制御について、
図5A及び
図5Bのフローチャートを用いて具体的に説明する。
【0128】
ステップS1では、調整運転制御部80cが、個別調整要求期間が開始しているか否かを判定する。個別調整要求期間が開始していると判定されればステップS2へと進む。ステップS1の処理は、個別調整要求期間が開始していると判定されるまで繰り返される。
【0129】
ステップS2では、調整運転制御部80cが、給湯冷暖房機器10aが個別電力使用目標を達成しているか否かを判定する。より具体的には、調整運転制御部80cは、現在の給湯冷暖房機器10aの電力使用量(Ec)が、通信部80aがHEMS2bから電力使用量の促進要求を受信した時の給湯冷暖房機器10aの電力使用量(Ep)に比べ、個別電力使用目標(ΔE)以上減少しているか否かを判断する。数式で表せば、調整運転制御部80cは、Ec≦Ep−ΔEであるかを判定する。調整運転制御部80cが、個別電力使用目標を達成していると判定した場合にはステップS20へ、個別電力使用目標を達成していないと判定した場合にはステップS3へと進む。
【0130】
ステップS3では、調整運転制御部80cは、記憶部82に記憶されている(入力部81から入力された)暖房時調整優先度を読み出し、その内容が、暖房優先であるかを判定する。なお、暖房時調整優先度は、暖房運転と給湯運転のどちらの運転に優先的に電力を割り当てるかについての情報である。つまり、暖房優先であれば、給湯冷暖房機器10aの暖房機能に優先的に電力が割り当てられることを意味する。ステップS3で、暖房時調整優先度の内容が暖房優先であると判定された場合にはステップS4へ、暖房時調整優先度の内容が給湯優先であると判定された場合にはステップS14へ進む。
【0131】
ステップS4では、調整運転制御部80cにより、給湯機能に使用される電力を抑制することが可能であるかが判定される。具体的には、例えば、第1給湯運転又は第2給湯運転により蓄熱(貯湯)のための給湯運転が行われており、これを中止することが可能と判断されれば、電力使用量を抑制させることができると判定される。また、例えば第1給湯運転より電力の消費の多い第2給湯運転が行われている場合に、給湯用電気ヒータ63をオフにして(作動を停止させて)給湯運転を第1給湯運転に切り替えることが可能と判断されれば、電力使用量を抑制させることができると判定される。また、例えば、第1給湯運転が行われている場合に、圧縮機21の回転数を小さくすることが可能であると判断されれば、電力使用量を抑制させることができると判定される。なお、この判定では、制御に矛盾がないか(物理的に実施可能な制御であるか)を考慮した判定が行われる。例えば、本実施形態では、第1又は第2暖房運転と第1給湯運転とは同時に実施できないので、そのような内容の制御は実施できないと判断される。なお、調整運転制御部80cは、給湯冷暖房機器10aの電力使用量を抑制することが可能か否かを、物理的に可能かだけではなく、給湯冷暖房機器10aのユーザの快適性(給湯タンク61内の水の温度と設定温度との乖離状況等)を考慮して決定してもよい。
【0132】
ステップS4で、給湯機能に使用される電力を抑制することが可能であるかと判定されればステップS5へ、給湯機能に使用される電力を抑制することができないと判定されればステップS7へ進む。
【0133】
ステップS5では、ステップS4で、調整運転制御部80cが実施可能であると判定した処理(例えば、蓄熱のための給湯運転の停止や、第2給湯運転から第1給湯運転への切り替えや、圧縮機21の回転数の低減)が、調整運転制御部80cにより実行される。その後ステップS6へと進む。
【0134】
ステップS6では、ステップS2と同様に、調整運転制御部80cが、給湯冷暖房機器10aが個別電力使用目標を達成しているか否かを判定する。調整運転制御部80cが、個別電力使用目標を達成していると判定した場合にはステップS20へ進み、個別電力使用目標を達成していないと判定した場合にはステップS7に進む。
【0135】
ステップS7では、調整運転制御部80cにより、暖房機能に使用される電力を抑制することが可能であるかが判断される。具体的には、例えば、第1暖房運転時であって、暖房の設定温度を強制的に低く変更することで圧縮機21の回転数を小さくすることが可能であると判断されれば、電力使用量を抑制することが可能であると判定される。また、例えば第1暖房運転より電力の消費の多い第2暖房運転が行われている場合に、暖房用電気ヒータ32をオフにして暖房運転を第1暖房運転に切り替えることで電力使用量を抑制させることが可能と判断されれば、電力使用量を抑制させることができると判定される。なお、この判定でも、制御に矛盾がないか(物理的に実施可能な制御であるか)を考慮した判定が行われる。また、調整運転制御部80cは、給湯冷暖房機器10aの電力使用量を抑制することが可能か否かを、物理的に可能か不可能かだけではなく、給湯冷暖房機器10aのユーザの快適性(現在の室温と室温の設定温度との乖離状況等)も考慮して決定してもよい。
【0136】
ステップS7で、暖房機能に使用される電力を抑制することが可能であるかと判定されればステップS8へ、暖房機能に使用される電力を抑制することができないと判定されればステップS20へ進む。
【0137】
ステップS8では、ステップS7で、調整運転制御部80cが実施可能であると判定した処理(例えば、暖房の設定温度の変更や、第2暖房運転から第1暖房運転への切り替え等)が、調整運転制御部80cにより実行される。その後ステップS20へと進む。
【0138】
ステップS14では、調整運転制御部80cにより、暖房機能に使用される電力を抑制することが可能であるかが判定される。具体的な内容はステップS7と同様であるため、ここでは説明を省略する。ステップS14で、暖房機能に使用される電力を抑制することが可能であるかと判定されればステップS15へ、暖房機能に使用される電力を抑制することができないと判定されればステップS17へ進む。
【0139】
ステップS15の内容は、ステップS8と同様であるため説明は省略する。ステップS15終了後、ステップS16へと進む。
【0140】
ステップS16では、ステップS2と同様に、調整運転制御部80cが、給湯冷暖房機器10aが個別電力使用目標を達成しているか否かを判定する。調整運転制御部80cが、個別電力使用目標を達成していると判定した場合にはステップS20へ進み、個別電力使用目標を達成していないと判定した場合にはステップS17に進む。
【0141】
ステップS17では、調整運転制御部80cにより、給湯機能に使用される電力を抑制することが可能であるかが判定される。具体的な内容はステップS4と同様であるため、ここでは説明を省略する。ステップS17で、給湯機能に使用される電力を抑制することが可能であるかと判定されればステップS18へ、給湯機能に使用される電力を抑制することができないと判定されればステップS20へ進む。
【0142】
ステップS18は、ステップS5と同様であるため説明は省略する。ステップS18終了後、ステップS20へと進む。
【0143】
以下に説明する、ステップS20からステップS36は、電力使用量の抑制しすぎを防止するための処理である。電力使用量を抑制させる電力抑制調整運転は、電力使用量を減少させることを目的とするが、HEMS2bが送信した個別電力使用目標を超えて過剰に電力の使用を抑制している場合にも、給湯冷暖房システム10がHEMS2bの調整要求に応えているとはいえないことから、このような処理が実行される。また、このように電力使用量の抑制しすぎを防止することで、ユーザの快適性も確保されやすくなる。
【0144】
ステップS20では、調整運転制御部80cにより、給湯冷暖房機器10aの電力使用量が抑制されすぎていないかが判定される。より具体的には、調整運転制御部80cは、現在の給湯冷暖房機器10aの電力使用量(Ec)が、通信部80aがHEMS2bから電力使用量の抑制要求を受信した時の給湯冷暖房機器10aの電力使用量(Ep)から個別電力使用目標(ΔE)を引いた値よりも、所定値(E1)以上小さいか否かを判定する。数式で表せば、調整運転制御部80cは、Ec≦Ep−ΔE−E1であるかを判定する。なお、所定値(E1)には、電力使用量の減らしすぎを防止するという目的を実現するために最適な値が選択される。
【0145】
ステップS20で、調整運転制御部80cが、給湯冷暖房機器10aの電力使用量が過剰に抑制されていると判定した場合にはステップS21へ、給湯冷暖房機器10aの電力の使用抑制が過剰ではないと判定した場合にはステップS40へと進む。
【0146】
ステップS21では、ステップS3と同様に、調整運転制御部80cは、記憶部82に記憶されている(入力部81から入力された)暖房時調整優先度を読み出し、その内容が、暖房優先であるかを判定する。ステップS21で、暖房時調整優先度の内容が暖房優先であると判定された場合にはステップS22へ、暖房時調整優先度の内容が給湯優先であると判定された場合にはステップS32へ進む。
【0147】
ステップS22では、調整運転制御部80cは、暖房機能の電力使用量が抑制されているかを判定する。言い換えれば、調整運転制御部80cは、上述したステップS8で、自ら(調整運転制御部80c)が暖房機能の電力使用量の抑制のための制御を実行しているかを判定する。実行していると判定された場合にはステップS23へ、実行していないと判定された場合にはステップS25へと進む。
【0148】
ステップS23では、暖房機能の電力使用量の抑制が解除される。つまり、調整運転制御部80cは、ステップS8で実行した制御を解除する。その後ステップS24へと進む。
【0149】
ステップS24では、ステップS20と同様に、調整運転制御部80cにより、給湯冷暖房機器10aの電力使用量が過剰に抑制されているか否かが判定される。調整運転制御部80cが、給湯冷暖房機器10aの電力使用量が過剰に抑制されていると判定した場合にはステップS25へ、給湯冷暖房機器10aの電力の使用抑制が過剰ではないと判定した場合にはステップS40へと進む。
【0150】
ステップS25では、調整運転制御部80cは、給湯機能の電力使用量が抑制されているかを判定する。言い換えれば、調整運転制御部80cは、上述したステップS5で、自ら(調整運転制御部80c)が給湯機能の電力使用量の抑制のための制御を実行しているかを判定する。実行していると判定された場合にはステップS26へ、実行していないと判定された場合にはステップS40へと進む。
【0151】
ステップS26では、暖房機能の電力使用量の抑制が解除される。つまり、調整運転制御部80cは、ステップS5で実行した制御を解除する。その後ステップS40へと進む。
【0152】
ステップS32では、調整運転制御部80cは、給湯機能の電力使用量が抑制されているかを判定する。言い換えれば、調整運転制御部80cは、上述したステップS18で、自ら(調整運転制御部80c)が給湯機能の電力使用量の抑制のための制御を実行しているかを判定する。実行していると判定された場合にはステップS33へ、実行していないと判定された場合にはステップS35へと進む。
【0153】
ステップS33では、暖房機能の電力使用量の抑制が解除される。つまり、調整運転制御部80cは、ステップS18で実行した制御を解除する。ステップS33終了後、ステップS34へと進む。
【0154】
ステップS34では、ステップS20と同様に、調整運転制御部80cにより、給湯冷暖房機器10aの電力使用量が過剰に抑制されているか否かが判定される。調整運転制御部80cが、給湯冷暖房機器10aの電力使用量が過剰に抑制されていると判定した場合にはステップS35へ、給湯冷暖房機器10aの電力の使用抑制が過剰ではないと判定した場合にはステップS40へと進む。
【0155】
ステップS35では、調整運転制御部80cは、暖房機能の電力使用量が抑制されているかを判定する。言い換えれば、調整運転制御部80cは、上述したステップS15で、自ら(調整運転制御部80c)が暖房機能の電力使用量の抑制のための制御を実行しているかを判定する。実行していると判定された場合にはステップS36へ、実行していないと判定された場合にはステップS40へと進む。
【0156】
ステップS36では、暖房機能の電力使用量の抑制が解除される。つまり、調整運転制御部80cは、ステップS15で実行した制御を解除する。ステップS36終了後、ステップS40へと進む。
【0157】
ステップS40では、調整運転制御部80cが、個別調整要求期間が終了しているか否かを判定する。個別調整要求期間が終了していると判定されればステップS41へと進む。個別調整要求期間が終了していないと判定されればステップS2へと戻る。
【0158】
ステップS41では、調整運転制御部80cにより、電力抑制調整運転の終了処理が実行される。より具体的には、調整運転制御部80cが、給湯冷暖房機器10aに電力抑制調整運転を実行させるために行っていた制御を解除し、給湯冷暖房機器10aは通常制御へと復帰する。例えば、調整運転制御部80cが、電力抑制調整運転中に蓄熱のための給湯運転を禁止しており、電力抑制調整運転終了時に給湯冷暖房運転制御部80bが蓄熱のための給湯運転を実行する(再開する)と判断した場合には、蓄熱のための給湯運転が開始される。
【0159】
(3−3−2)給湯暖房運転時の電力促進調整運転
調整運転制御部80cは、給湯暖房運転時(記憶部82に記憶されている入力部81から入力された運転モードが暖房モードであった場合)に、通信部80aがHEMS2bから電力使用量の促進要求を受信すると、給湯冷暖房機器10aの電力使用量を増加する電力促進調整運転を実行するよう制御する。言い換えれば、調整運転制御部80cは、HEMS2bから送信された個別調整要求期間に、個別電力使用目標(kW)だけ電力使用量を増加させるよう、給湯冷暖房機器10aの運転を制御する。通信部80aが電力使用量の促進要求を受信したときの、調整運転制御部80cによる制御について、
図6A及び
図6Bのフローチャートを用いて具体的に説明する。
【0160】
ステップS101はステップS1と同様であるので説明は省略する。
【0161】
ステップS102では、ステップS2と同様に、調整運転制御部80cが、給湯冷暖房機器10aが個別電力使用目標を達成しているか否かを判定する。ただし、ステップS102では、調整運転制御部80cは、現在の給湯冷暖房機器10aの電力使用量(Ec)が、通信部80aがHEMS2bから電力使用量の促進要求を受信した時の給湯冷暖房機器10aの電力使用量(Ep)に比べ、個別電力使用目標(ΔE)以上増加しているか否かを判断する。数式で表せば、調整運転制御部80cは、Ec≧Ep+ΔEであるかを判定する。調整運転制御部80cが、個別電力使用目標を達成していると判定した場合にはステップS120へ、個別電力使用目標を達成していないと判定した場合にはステップS103へと進む。
【0162】
ステップS103は、ステップS3と同様である。ステップS103で、暖房時調整優先度の内容が暖房優先であると判定された場合にはステップS104へ、暖房時調整優先度の内容が給湯優先であると判定された場合にはステップS114へ進む。
【0163】
ステップS104では、調整運転制御部80cにより、暖房機能に使用される電力を増加させることが可能であるか(暖房機能の使用電力量の促進が可能であるか)が判定される。例えば、第1暖房運転中であって、圧縮機21の回転数を大きくすることが可能であると判断されれば、電力使用量を増加させることができると判定される。また、例えば現在第2暖房運転より電力の消費の少ない第1暖房運転が行われている場合に、暖房用電気ヒータ32をオンにし、暖房運転を第2暖房運転に切り替えることが可能であると判断されれば、電力使用量を増加させることができると判定される。なお、この判定でも、制御に矛盾がないか(物理的に実施可能な制御であるか)を考慮した判定が行われる。また、調整運転制御部80cは、給湯冷暖房機器10aの電力使用量を抑制することが可能か否かを、物理的に可能か不可能かだけではなく、給湯冷暖房機器10aのユーザの快適性(現在の室温と室温の設定温度との乖離状況等)も考慮して決定してもよい。
【0164】
ステップS104で、暖房機能に使用される電力を増加させることが可能であるかと判定されればステップS105へ、暖房機能に使用される電力を増加させることができないと判定されればステップS107へ進む。
【0165】
ステップS105では、ステップS104で、調整運転制御部80cが実施可能であると判定した処理(例えば、圧縮機21の回転数の増大や、第1暖房運転から第2暖房運転への切り替え等)が、調整運転制御部80cにより実行される。なお、この時、ユーザの快適性に対する影響を抑える(室内温度が上がりすぎるのを防止する)ため、冷暖房ユニット70のファン72は停止する等の処理が併せて実行されてもよい。その後ステップS106へと進む。
【0166】
ステップS106では、ステップS102と同様に、調整運転制御部80cが、給湯冷暖房機器10aが個別電力使用目標を達成しているか否かを判定する。調整運転制御部80cが、個別電力使用目標を達成していると判定した場合にはステップS120へ進み、個別電力使用目標を達成していないと判定した場合にはステップS107に進む。
【0167】
ステップS107では、調整運転制御部80cにより、給湯機能に使用される電力を増加させることが可能であるか(給湯機能の使用電力量の促進が可能であるか)が判定される。例えば、第2給湯運転より電力の消費の少ない第1給湯運転が行われている場合に、給湯用電気ヒータ63をオンにし、給湯運転を第2給湯運転に切り替えることが可能であると判断されれば、電力使用量を増加させることができると判定される。また、例えば、蓄熱(貯湯)のための給湯運転が行われておらず、蓄熱のための給湯運転(第1給湯運転又は第2給湯運転)を行うことが可能と判断されれば、電力使用量を増加させることができると判定される。また、第1給湯運転が行われている場合に、圧縮機21の回転数を上げることが可能であると判断されれば、電力使用量を増加させることができると判定される。なお、この判定でも、制御に矛盾がないか(物理的に実施可能な制御であるか)を考慮した判定が行われる。また、調整運転制御部80cは、給湯機能に使用される電力使用量を増加させることが可能か否かを、物理的に可能か不可能かだけではなく、給湯冷暖房機器10aのユーザの快適性(給湯タンク61内の水の温度と設定温度との乖離状況等)も考慮して決定してもよい。
【0168】
ステップS108では、ステップS107で、調整運転制御部80cが実施可能であると判定した処理(例えば、第1給湯運転から第2給湯運転への切り替えや、蓄熱のための給湯運転の開始や、圧縮機21の回転数の増大等)が、調整運転制御部80cにより実行される。その後ステップS120へと進む。
【0169】
ステップS114では、調整運転制御部80cにより、給湯機能に使用される電力を増加させることが可能であるか(給湯機能の使用電力量の促進が可能であるか)が判定される。具体的な内容はステップS107と同様であるため、ここでは説明を省略する。ステップS114で、給湯機能に使用される電力を増加させることが可能であるかと判定されればステップS115へ、給湯機能に使用される電力を増加させることができないと判定されればステップS117へ進む。
【0170】
ステップS115は、ステップS108と同様であるため説明は省略する。ステップS115終了後、ステップS116へと進む。
【0171】
ステップS116では、ステップS102と同様に、調整運転制御部80cは、給湯冷暖房機器10aが個別電力使用目標を達成しているか否かを判定する。調整運転制御部80cが、個別電力使用目標を達成していると判定した場合にはステップS120へ進み、個別電力使用目標を達成していないと判定した場合にはステップS117に進む。
【0172】
ステップS117では、調整運転制御部80cにより、暖房機能に使用される電力を増加させることが可能であるか(暖房機能の使用電力量の促進が可能であるか)が判定される。具体的な内容はステップS104と同様であるため、ここでは説明を省略する。ステップS117で、暖房機能に使用される電力を増加させることが可能であるかと判定されればステップS118へ、暖房機能に使用される電力を増加させることができないと判定されればステップS120へ進む。
【0173】
ステップS118は、ステップS105と同様であるため説明は省略する。ステップS118終了後、ステップS120へと進む。
【0174】
ステップS120では、調整運転制御部80cにより、給湯冷暖房機器10aの電力使用量が過剰でないかが判定される。より具体的には、調整運転制御部80cは、現在の給湯冷暖房機器10aの電力使用量(Ec)が、通信部80aがHEMS2bから電力使用量の促進要求を受信した時の給湯冷暖房機器10aの電力使用量(Ep)と個別電力使用目標(ΔE)とを加えた値よりも、所定値(E2)以上大きいか否かを判定する。数式で表せば、調整運転制御部80cは、Ec≧Ep+ΔE+E2であるかを判定する。なお、所定値(E2)には、電力使用量の増やしすぎを防止するという目的を実現するために最適な値が選択される。
【0175】
ステップS120で、調整運転制御部80cが、給湯冷暖房機器10aの電力使用量が過剰であると判定した場合にはステップS121へ、給湯冷暖房機器10aの電力使用量が過剰ではないと判定した場合にはステップS140へと進む。
【0176】
ステップS121では、ステップS103と同様に、暖房時調整優先度の内容が、暖房優先であるかを判定する。ステップS121で、暖房時調整優先度の内容が暖房優先であると判定された場合にはステップS122へ、暖房時調整優先度の内容が給湯優先であると判定された場合にはステップS132へ進む。
【0177】
ステップS122では、調整運転制御部80cは、給湯機能の電力使用量が増加させられているかを判定する。言い換えれば、調整運転制御部80cは、上述したステップS108で、自ら(調整運転制御部80c)が給湯機能の電力使用量を増加させる制御を実行しているかを判定する。実行していると判定された場合にはステップS123へ、実行していないと判定された場合にはステップS125へと進む。
【0178】
ステップS122で、給湯機能の電力使用量の増加が解除される。つまり、調整運転制御部80cは、ステップS108で実行した制御を解除する。その後ステップS124へと進む。
【0179】
ステップS124では、ステップS120と同様に、調整運転制御部80cにより、給湯冷暖房機器10aの電力使用量が過剰でないかが判定される。調整運転制御部80cが、給湯冷暖房機器10aの電力使用量が過剰ではないと判定した場合にはステップS140へ進み、給湯冷暖房機器10aの電力使用量が過剰であると判定した場合にはステップS125に進む。
【0180】
ステップS125では、調整運転制御部80cは、暖房機能の電力使用量が増加させられているかを判定する。言い換えれば、調整運転制御部80cは、上述したステップS105で、自ら(調整運転制御部80c)が暖房機能の電力使用量を増加させる制御を実行しているかを判定する。実行していると判定された場合にはステップS126へ、実行していないと判定された場合にはステップS140へと進む。
【0181】
ステップS126では、暖房機能の電力使用量の増加が解除される。つまり、調整運転制御部80cは、ステップS105で実行した制御を解除する。その後ステップS140へと進む。
【0182】
ステップS132では、調整運転制御部80cは、暖房機能の電力使用量が増加させられているかを判定する。言い換えれば、調整運転制御部80cは、上述したステップS118で、自ら(調整運転制御部80c)が暖房機能の電力使用量を増加させる制御を実行しているかを判定する。実行していると判定された場合にはステップS133へ、実行していないと判定された場合にはステップS135へと進む。
【0183】
ステップS133では、暖房機能の電力使用量の増加が解除される。つまり、調整運転制御部80cは、ステップS118で実行した制御を解除する。ステップS133終了後、ステップS134へと進む。
【0184】
ステップS134では、ステップS120と同様に、調整運転制御部80cにより、給湯冷暖房機器10aの電力使用量が過剰でないかが判定される。調整運転制御部80cが、給湯冷暖房機器10aの電力使用量が過剰ではないと判定した場合にはステップS140へ進み、給湯冷暖房機器10aの電力使用量が過剰であると判定した場合にはステップS135に進む。
【0185】
ステップS135では、調整運転制御部80cは、給湯機能の電力使用量が増加させられているかを判定する。言い換えれば、調整運転制御部80cは、上述したステップS115で、自ら(調整運転制御部80c)が暖房機能の電力使用量の増加のための制御を実行しているかを判定する。実行していると判定された場合にはステップS136へ、実行していないと判定された場合にはステップS140へと進む。
【0186】
ステップS136では、給湯機能の電力使用量の抑制が解除される。つまり、調整運転制御部80cは、ステップS115で実行した制御を解除する。ステップS136終了後、ステップS140へと進む。
【0187】
ステップS140では、調整運転制御部80cが、個別調整要求期間が終了しているか否かを判定する。個別調整要求期間が終了していると判定されればステップS141へと進む。個別調整要求期間が終了していないと判定されればステップS102へと戻る。
【0188】
ステップS141では、調整運転制御部80cにより、電力抑制調整運転の終了処理が実行される。より具体的には、調整運転制御部80cは、給湯冷暖房機器10aに電力促進調整運転を実行させるために行っていた制御を解除し、給湯冷暖房機器10aは通常制御へと復帰する。例えば、電力促進調整運転中に電力使用量を増加させるために蓄熱のための給湯運転を実行されている場合であって、電力促進調整運転終了時に、給湯冷暖房運転制御部80bが蓄熱のための給湯運転は不要と判断した場合には、蓄熱のための給湯運転が終了される。
【0189】
(3−3−3)給湯冷房運転時の電力調整運転
給湯冷房運転時の電力調整運転(電力抑制調整運転/電力促進調整運転)のフローチャートは、給湯暖房運転時の電力調整運転(電力抑制調整運転/電力促進調整運転)のフローチャートと同様であり、
図5A,
図5Bの暖房を冷房に、
図6A,
図6Bの暖房を冷房に、読み替えればそれぞれ、給湯冷房運転時の電力抑制調整運転のフローチャート、給湯冷房運転時の電力促進調整運転のフローチャートとして用いることができるので、図面は省略する。
【0190】
また、給湯冷房運転時の電力調整運転の内容も、給湯暖房運転時の電力調整運転の内容とほぼ同様であるので、ここでは相違点だけを説明する。
【0191】
まず、給湯冷房運転時の電力調整運転では、暖房時調整優先度に代えて、記憶部82に記憶されている、冷房時調整優先度が使用される。冷房時調整優先度は、冷房運転と給湯運転のどちらの運転に優先的に電力を割り当てるかについての情報である。つまり、冷房房優先であれば、給湯冷暖房機器10aの冷房機能に優先的に電力が割り当てられることを意味する。暖房時調整優先度と、冷房時調整優先度とは、独立して設定可能であり、例えば、暖房時調整優先度を給湯優先とし、冷房時調整優先度を冷房優先としてもよい。
【0192】
また、冷房機能に使用される電力を抑制する場合、又は、増加させる場合の制御が、暖房機能に使用される電力を抑制する場合、又は、増加させる場合とは異なる。例えば、冷房機能に使用される電力を抑制する場合には、冷房の設定温度を、記憶部82に記憶された冷房の設定温度よりも所定の温度だけ強制的に高くすることで、圧縮機21の回転数を減少させるという対応が考えられる。逆に、冷房機能に使用される電力を増加させる場合には、例えば、冷房の設定温度を、記憶部82に記憶された冷房の設定温度よりも所定の温度だけ強制的に低くすることで、圧縮機21の回転数を増大させる等の対応が考えられる。
【0193】
(4)特徴
本実施形態のコントローラ80は、以下のような特徴を有する。
【0194】
(4−1)
本実施形態のコントローラ80は、暖房機能及び給湯機能を兼備するヒートポンプ機器としての給湯冷暖房機器10aの電力使用量をコントロールする。コントローラは、要求受付部としての通信部80aと、優先度受付部としての入力部81と、調整部としての調整運転制御部80cと、を備える。通信部80aは、給湯冷暖房機器10aの電力使用量の調整要求を受け付ける。入力部81は、調整要求に応じた電力調整制御時の、暖房機能と給湯機能との調整優先度(暖房時調整優先度)の入力を、給湯冷暖房機器10aのユーザから受け付ける。調整運転制御部80cは、調整要求に応じた電力調整制御時に、暖房時調整優先度に基づいて、暖房機能及び給湯機能についての電力使用量を調整する。
【0195】
このコントローラ80では、ユーザの入力した暖房機能と給湯機能との調整優先度(暖房時調整優先度)に応じて、それぞれの機能についての電力使用量が調整されるため、ユーザの所望する機能に、優先して電力を割り当てることができる。その結果、調整要求に応じて電力使用量が調整されても、ユーザの意向を反映した給湯冷暖房機器10aの運転が実現され、ユーザの快適性が実現されやすい。
【0196】
(4−2)
本実施形態のコントローラ80では、通信部80aは、調整要求として、給湯冷暖房機器10aの電力使用量の抑制要求を受け付ける。調整運転制御部80cは、抑制要求に応じた電力調整制御時に、給湯冷暖房機器10aの総電力使用量を減少させると共に、暖房機能及び給湯機能のうち調整優先度の高い方に優先的に電力を割り当てるように電力使用量を調整する。
【0197】
ここでは、電力使用量の抑制要求時に、暖房機能及び給湯機能のうち、調整優先度の高い機能(暖房時調整優先度により優先される機能)について優先的に電力が割り当てられるため、総電力使用量を抑制しても、調整優先度の高い機能についてはユーザの要求を確保することができる。よって、ユーザの快適性が実現されやすい。
【0198】
(4−3)
本実施形態のコントローラ80では、通信部80aは、調整要求として、給湯冷暖房機器10aの電力使用量の促進要求を受け付ける。調整運転制御部80cは、促進要求に応じた電力調整制御時に、給湯冷暖房機器10aの総電力使用量を増加させると共に、暖房機能及び給湯機能のうち調整優先度の高い方に優先的に電力を割り当てるように電力使用量を調整する。
【0199】
ここでは、電力使用量の促進要求時に、調整優先度の高い機能(暖房時調整優先度により優先される機能)について優先的に電力を割り当てられることができる。
【0200】
これにより、調整優先度の高い機能側において蓄熱させることが可能である。従って、電力使用量の促進要求後に、逆に電力使用量の抑制要求を受け付けたとしても、調整優先度の高い機能についてはユーザの快適性が保たれやすい。
【0201】
(4−4)
本実施形態のコントローラ80では、給湯冷暖房機器10aは、圧縮機21を備えた、暖房機能と給湯機能とを実行するために用いることが可能なヒートポンプ(冷媒回路25)を有する。調整運転制御部80cは、圧縮機21の回転数を制御することで、暖房機能についての電力使用量を増減させる。調整運転制御部80cは、圧縮機21の回転数及び給湯用電気ヒータ63のオンオフの少なくとも一方を制御することで、給湯機能についての電力使用量を増減させる。
【0202】
ここでは、電力使用量の調整要求時に、ヒートポンプの圧縮機21の回転数を制御することで、暖房機能及び給湯機能についての電力使用量を、暖房時調整優先度に応じて調整できる。
【0203】
(4−5)
本実施形態のコントローラ80では、給湯冷暖房機器10aは、暖房機能を実行するために用いられる暖房用電気ヒータ32を有する。調整運転制御部80cは、暖房用電気ヒータ32のオンオフを制御することで、暖房機能についての電力使用量を増減させる。
【0204】
ここでは、電力使用量の調整要求時に、暖房機能の使用電力量を、暖房用電気ヒータ32のオンオフを制御することで(例えば、第2暖房運転から第1暖房運転へ切り替えることで)、制御することができる。
【0205】
(4−6)
本実施形態のコントローラ80では、給湯冷暖房機器10aは、給湯機能を実行するために用いられる給湯用電気ヒータ63を有する。調整運転制御部80cは、給湯用電気ヒータ63のオンオフを制御することで、給湯機能についての電力使用量を増減させる。
【0206】
ここでは、電力使用量の調整要求時に、給湯機能の使用電力量を、給湯用電気ヒータ63のオンオフを制御することで(例えば、第2給湯運転から第1給湯運転へ切り替えることで)、制御することができる。
【0207】
(4−7)
本実施形態のコントローラ80では、給湯冷暖房機器10aは、暖房機能と冷房機能とを切り替えて実行可能である。入力部81は、調整要求に応じた電力調整制御時の、冷房機能と給湯機能との冷房時調整優先度の入力を、給湯冷暖房機器10aのユーザから受け付ける。調整運転制御部80cは、給湯冷暖房機器10aが冷房機能を実行中であって、調整要求に応じた電力調整制御時に、冷房時調整優先度に基づいて、冷房機能及び給湯機能についての電力使用量を調整する。
【0208】
ここでは、給湯冷暖房機器10aにおいて冷房機能と給湯機能とが併用される場合にも、ユーザの入力した冷房機能と給湯機能との冷房時調整優先度に応じて電力使用量が調整されるため、ユーザの所望する機能に、優先して電力を割り当てることができる。その結果、給湯冷暖房機器10aが冷房機能と給湯機能とを併用する場合に、調整要求に応じて電力使用量が調整されたとしても、ユーザの意向を反映した給湯冷暖房機器10aの運転が実現され、ユーザの快適性が実現されやすい。
【0209】
特に、本実施形態のコントローラ80では、調整運転制御部80cは、給湯冷暖房機器10aが冷房機能を実行中であって、調整要求に応じた電力調整制御時に、冷房時調整優先度に基づいて、冷房機能及び給湯機能についての電力使用量を、圧縮機21の回転数を制御することで増減させて調整する。
【0210】
つまり、ここでは、冷房機能と給湯機能とが用いられる時であって、電力使用量の調整要求時に、ヒートポンプの圧縮機21の回転数を制御することで、冷房機能及び給湯機能についての電力使用量を調整優先度に応じて調整できる。
【0211】
(5)変形例
以下に本実施形態の変形例を示す。なお、複数の変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0212】
(5−1)変形例A
本実施形態のコントローラ80では、例えば、給湯暖房運転時の電力抑制調整運転において、暖房時調整優先度が暖房優先であった場合に、ステップS4(給湯機能の電力使用量が抑制可能か)の判定時と、ステップS7(暖房機能の電力使用量が抑制可能か)の判定時と、の両方について、ユーザの快適性を考慮して電力使用量が抑制可能かを判断してもよいとしたが、これに限定されるものではない。
【0213】
例えば、ステップS4では、ユーザの快適性に係らず、物理的に可能であれば給湯機能の電力使用量を抑制し、ステップS7では、ユーザの快適性を考慮して暖房機能の電力使用量を抑制するとしてもよい。給湯暖房運転時の電力促進調整運転や、給湯冷房運転時の電力調整運転についても同様である。これにより、電力調整要求に応じ給湯冷暖房機器10aの総電力使用量を調整しても、ユーザの優先度が高い機能については快適性が維持されやすい。
【0214】
(5−2)変形例B
本実施形態のコントローラ80では、暖房時調整優先度及び冷房時調整優先度は各1つ入力部81に入力されるが、これに限定されるものではない。
【0215】
例えば、月別など、期間別に異なる暖房時調整優先度、及び/又は、冷房時調整優先度が入力部81に入力され、記憶部82に記憶されてもよい。これにより、ユーザの細かな意向まで反映されやすく、ユーザの快適性が実現されやすい。
【0216】
また、例えば、電力使用量の抑制要求時と、電力使用量の促進要求時とに対して、異なる暖房時調整優先度、及び/又は、冷房時調整優先度が入力部81に入力され、記憶部82に記憶されてもよい。具体的には、例えば、給湯暖房運転時に、電力使用量の抑制要求時は暖房優先とし、電力使用量の増加要求時は給湯優先とするような、暖房時調整優先度が入力部81に入力可能であってもよい。
【0217】
また、コントローラ80は、入力部81から単一の調整優先度(空調機能優先又は給湯機能優先)を受け付け、暖房/冷房に係らず、単一の調整優先度に従って電力調整運転を実行してもよい。
【0218】
(5−3)変形例C
本実施形態の給湯冷暖房システム10では、三方弁65は、水媒体回路35内の水媒体の流れ方向を、給湯ユニット60又は冷暖房ユニット70のいずれかに切り替えるものであるが、これに限定されるものではない。例えば、三方弁は、給湯ユニット60及び冷暖房ユニット70の両方に、又は、給湯ユニット60及び冷暖房ユニット70のいずれかに、水媒体を供給可能な弁であってもよい。つまり、ヒートポンプシステムは、第1暖房運転と第1給湯運転とを同時に実施可能に構成されていてもよい。
【0219】
この場合には、暖房優先であるか、給湯優先であるかに応じて、三方弁65又は、その他の流量調整手段(電動弁など)により給湯ユニット60及び冷暖房ユニット70に流す水媒体の量(配分)を調整することで、ユーザの要求に応じてもよい。
【0220】
(5−4)変形例D
本実施形態のコントローラ80では、HEMS2bはコントローラ80に、個別電力使用目標を送信するが、これに限定されるものではなく、HEMS2bは個別電力使用目標を送信しなくてもよい。つまり、HEMS2bはコントローラ80に、電力使用量の促進要求と、個別調整要求期間だけを送信してもよい。この場合には、調整運転制御部80cは、
図5BのステップS20からステップS36のような、電力使用量の抑制要求受付時の電力使用量の過剰抑制や、
図6BのステップS120からステップS136のような、電力使用量の促進要求受付時の電力使用量の過剰、について対応をとらなくてもよい。
【0221】
ただし、電力使用量が過剰に抑制、又は、過剰に使用されている場合には、ユーザの快適性に悪影響を与える可能性があるので、電力の過剰抑制や過剰使用は避けられることが望ましい。
【0222】
(5−5)変形例E
本実施形態のコントローラ80では、通信部80aは、HEMS2bから、個別調整要求期間と個別電力使用目標とを受け付けるが、個別調整要求期間は複数の個別調整要求期間であってもよく、通信部80aは、個別調整要求期間別の個別電力使用目標を受け付けても構わない。
【0223】
(5−6)変形例F
本実施形態のコントローラ80では、通信部80aは、個別調整要求期間を受け付けるが、これに限定されるものではない。通信部80aは、HEMS2bから個別調整要求期間の開始信号をまず受け付け、その後、HEMS2bから個別調整要求期間の終了信号を受け付けてもよい。例えば、調整運転制御部80cは、
図5A、
図5Bのフローチャートにおいて、ステップS2で電力調整運転の開始信号を通信部80aが受け付けたかを判定し、ステップS40で電力調整運転の終了信号を通信部80aが受け付けたかを判定してもよい。
【0224】
(5−7)変形例G
本実施形態のコントローラ80を含む給湯冷暖房システム10は、住宅2に設置されるものであるが、これに限定されるものではなく、ビルや商業施設に設置されるものであってもよい。この場合、コントローラ80は、HEMSではなく、例えばBEMS(ビル用エネルギ管理システム)からの電力使用量の調整要求を受け付ける。
【0225】
(5−8)変形例H
本実施形態のコントローラ80は、例えば電力使用量を抑制する電力抑制調整運転中に、給湯冷暖房機器10aの電力使用量(Ec)を、電力使用量の抑制要求受付時の電力使用量(Ep)に対し、個別電力使用目標(ΔE)以上減少させるように制御を行う(Ec≦Ep−ΔEになるように制御を行う)が、これに限定されるものではない。例えば、コントローラは、電力使用量を抑制させる電力抑制調整運転中の給湯冷暖房機器10aの電力使用量(Ec)を、電力使用量の促進要求受付時の電力使用量(Ep)と個別電力使用目標(ΔE)との差に近づけるように制御を行う(Ec≒Ep−ΔEとなるように制御を行う)ものであってもよい。
【0226】
電力促進調整運転についても同様である。
【0227】
(5−9)変形例I
本実施形態のコントローラ80は、冷房機能、暖房機能及び給湯機能を有する給湯冷暖房機器10aの電力使用量を調整するコントローラであるが、これに限定されるものではなく、暖房機能及び給湯機能のみ有する給湯暖房装置を調整するコントローラであってもよい。
【0228】
(5−10)変形例J
本実施形態のコントローラ80は、ヒートポンプとしての冷媒回路25に加え、暖房運転に用いられる暖房用電気ヒータ32と、給湯運転に用いられる給湯用電気ヒータ63とを有する給湯冷暖房機器10aの電力使用量を調整するが、これに限定されるものではない。例えば、給湯冷暖房機器10aは、暖房用電気ヒータ32及び/又は給湯用電気ヒータ63を有していなくてもよい。