特許第6083269号(P6083269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6083269
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】電源回路及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20170213BHJP
【FI】
   G05F1/56 310C
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-55461(P2013-55461)
(22)【出願日】2013年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-182487(P2014-182487A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】神谷 和宏
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 顕人
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−065836(JP,A)
【文献】 特開2008−276477(JP,A)
【文献】 特開2008−171177(JP,A)
【文献】 特開2011−229073(JP,A)
【文献】 特開2008−282313(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0079406(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0019227(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧が入力される入力端子と出力電圧が出力される出力端子との間に接続される第1のトランジスタと、
前記出力電圧に応じた電圧と基準電圧との差電圧に基づいて、第1の誤差信号及び第2の誤差信号を生成し、前記第1の誤差信号を前記第1のトランジスタのゲート端子に出力する誤差増幅器と、
前記出力電圧の交流成分に応じた第1電流に基づいた制御信号を前記第1の誤差信号に加算する制御回路と、
前記出力電圧が所定電圧より高いときに、前記第2の誤差信号に基づいて前記第1電流を減少させる調整回路とを有することを特徴とする電源回路。
【請求項2】
前記調整回路は、前記第2の誤差信号に基づいて抵抗値が制御されて、前記第1電流の増減を制御する抵抗部を有することを特徴とする請求項1記載の電源回路。
【請求項3】
前記抵抗部は、
並列に接続された第1の抵抗部と第2の抵抗部とを有し、
記出力電圧が所定電圧より高いときに第1の抵抗部と第2の抵抗部の両方が活性化され、前記出力電圧が所定電圧以下のときに第1の抵抗部のみが活性化されることを特徴とする請求項2記載の電源回路。
【請求項4】
前記第1の抵抗部は、前記電源回路の動作開始時の前記出力電圧に基づいて抵抗値が制御されることを特徴とする請求項3記載の電源回路。
【請求項5】
負荷と、当該負荷に電力を供給する電源回路とを有し、
前記電源回路は、
入力電圧が入力される入力端子と出力電圧が出力される出力端子との間に接続される第1のトランジスタと、
前記出力電圧に応じた電圧と基準電圧との差電圧に基づいて、第1の誤差信号及び第2の誤差信号を生成し、前記第1の誤差信号を前記第1のトランジスタのゲート端子に出力する誤差増幅器と、
前記出力電圧の交流成分に応じた第1電流に基づいた制御信号を前記第1の誤差信号に加算する制御回路と、
前記出力電圧が所定電圧より高いときに、前記第2の誤差信号に基づいて前記第1電流を減少させる調整回路とを有することを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロコントローラやメモリ等に電力を供給する電源回路として使用されるオンチップレギュレータにおいては、低消費電力化や、外付け容量を付けないCapFree方式(端子削減、外付け部品削減)等の要求がある。しかし、リニアレギュレータは、応答特性が回路の消費電流に依存しており、低消費電力化することでフィードバックループが遅くなり出力電圧の変動に追従しにくくなる。また、容量を付けないことによって出力電圧の変動量が増大する。そのため、リニアレギュレータは、低消費電力化を図りCapFree方式を採用すると、負荷の変動に対する応答特性が低下し、例えば負荷が急峻に変動すると出力電圧が大きく変化し出力電圧が安定するまでに多大な時間を要する。低消費電力かつCapFree方式で、安定した電圧を供給できるリニアレギュレータを実現する方法の1つとして、例えば図8に示すようにフィードバックループの他に出力電圧を制御する制御回路を設ける方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図8は、従来の電源回路(リニアレギュレータ)の構成例を示す図である。図8に示す電源回路は、誤差増幅器(エラーアンプ)101、Pチャネルトランジスタを用いた出力トランジスタTR101、抵抗R101、R102、容量C101、オーバーシュート/アンダーシュート対策回路103、及びトランジスタTR102、TR103を有する。電源回路の出力端子に負荷102が接続されている。また、VREFは図示しない基準電圧回路から供給される一定の基準電圧、VDDは電源回路の出力電圧、VGATEは出力トランジスタTR101のゲート端子に供給される電圧、VFBは出力電圧VDDを直列接続された抵抗R101、R102で分圧して生成される分圧電圧である。
【0004】
図8に示した電源回路において、出力電圧VDDに応じた分圧電圧VFBが基準電圧VREFより低くなると、誤差増幅器101の出力電圧が低下し、出力トランジスタTR101のゲートに供給される電圧VGATEが低下する。その結果、出力トランジスタTR101のオン抵抗が減少し、出力電圧VDDが上昇する。逆に、出力電圧VDDに応じた分圧電圧VFBが基準電圧VREFより高くなると、誤差増幅器101の出力電圧が上昇し、出力トランジスタTR101のゲートに供給される電圧VGATEが上昇する。その結果、出力トランジスタTR101のオン抵抗が増大し、出力電圧VDDが低下する。このようにして電源回路は、出力電圧VDDとして一定の電圧が出力端子から出力されるように制御する。
【0005】
ここで、負荷102への負荷電流Ildが変動すると、負荷電流Ildの変動によって電源回路の出力電圧VDDが変化する。例えば、図9に示すように、負荷102が重くなり負荷電流Ildが急峻に増加すると電源回路の出力電圧VDDが低下してしまう(時刻T101)。また、負荷102が軽くなり負荷電流Ildが急峻に減少すると電源回路の出力電圧VDDが上昇してしまう(時刻T102)。このような負荷電流Ildの変動による出力電圧の変化を抑制するために、図8に示した電源回路では、オーバーシュート/アンダーシュート対策回路103が、出力電圧VDDをモニターし、出力電圧VDDの交流成分に応じてトランジスタTR102、TR103の制御を行う。
【0006】
オーバーシュート/アンダーシュート対策回路103は、出力電圧VDDのオーバーシュート時にはトランジスタTR102をオン状態(導通状態)にして出力電圧VDDを低下させて変動量を抑える。また、オーバーシュート/アンダーシュート対策回路103は、出力電圧VDDのアンダーシュート時にはトランジスタTR103をオン状態(導通状態)にして出力トランジスタTR101のゲートに供給される電圧VGATEを低下させ、出力電圧VDDの変動量を抑える。このようにして図8に示した電源回路は、負荷電流の急峻な変動による出力電圧VDDのオーバーシュートやアンダーシュートを低減し、出力電圧VDDの変動を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−191885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図8に示した電源回路において、例えば負荷102がメモリであると、メモリへのデータの書き込みやメモリからのデータの読み出し等、メモリがアクティブに動作しているときに負荷電流Ildが発生する。図10に示すように、期間PAにおいてメモリへのデータの書き込み等が繰り返し行われた後、メモリを動作させない状態で時刻T111〜T112のインターバル期間を経過し、再度時刻T112からの期間PBにおいてメモリへのデータの書き込み等が繰り返し行われる場合について考える。
【0009】
図8に示した電源回路は、電源回路の出力電圧VDDの交流成分だけに応じて、トランジスタTR102、TR103の制御を行っている。そのため、図10の期間PAに示したように負荷電流Ildが繰り返し発生し、その後時刻T111において急峻に負荷電流Ildがなくなると、電源回路のフィードバックループによる応答が遅いために出力トランジスタTR101の制御が間に合わず、出力電圧VDDがオーバーシュートしてしまう。
【0010】
出力電圧VDDがオーバーシュートして高い位置にあるときに、時刻T112において再度メモリを動作させると負荷電流Ildの変動による出力電圧VDDのアンダーシュートを抑えるためにトランジスタTR103がオン状態(導通状態)になる。これにより、電源回路の出力電圧VDDが高い位置にあるにもかかわらず、出力電圧VDDが定常値であるときと同じ量だけ出力電圧VDDが上昇する。その結果、出力電圧VDDが、負荷102の動作可能な電源電圧範囲の上限値Vmaxを超えてしまい、動作不良や製品寿命の低下等の信頼性の問題を引き起こすおそれがある。
【0011】
つまり、図8に示した従来の電源回路は、負荷電流Ildが繰り返し発生する負荷の動作期間が所定の時間間隔をあけて連続的に繰り返すと、出力電圧VDDがオーバーシュートして負荷102の動作可能な電源電圧範囲の上限値Vmaxを超えてしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
電源回路の一態様は、入力電圧が入力される入力端子と出力電圧が出力される出力端子との間に接続される第1のトランジスタと、出力電圧に応じた電圧と基準電圧との差電圧に基づいて、第1の誤差信号及び第2の誤差信号を生成し、第1の誤差信号を第1のトランジスタのゲート端子に出力する誤差増幅器と、出力電圧の交流成分に応じた第1電流に基づいた制御信号を第1の誤差信号に加算する制御回路と、出力電圧が所定電圧より高いときに、第2の誤差信号に基づいて第1電流を減少させる調整回路とを有する。
【発明の効果】
【0013】
開示の電源回路は、出力電圧が所定電圧より高いときには、出力電圧の交流成分に応じて第1のトランジスタのゲート端子に出力する電流を減少させ、出力電圧を負荷の動作可能な電源電圧範囲内に確実に収めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態における電源回路の構成例を示す図である。
図2】本実施形態における電源回路の動作例を示す波形図である。
図3】本実施形態における電源回路の回路構成例を示す図である。
図4】本実施形態における誤差増幅器の回路構成例を示す図である。
図5】本実施形態における電源回路の動作例を示す波形図である。
図6】本実施形態における電源回路の他の回路構成例を示す図である。
図7】本実施形態における電源回路を有する半導体装置の構成例を示す図である。
図8】従来の電源回路の構成例を示す図である。
図9】負荷電流の変動に伴う出力電圧の変化を示す図である。
図10】従来の電源回路の動作例を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態における電源回路の構成例を示す図である。本実施形態における電源回路は、誤差増幅器(エラーアンプ)11、出力トランジスタTR1、抵抗R1、R2、容量C1、オーバーシュート対策回路13、及びアンダーシュート対策回路14を有する。電源回路の出力端子に、負荷12が接続されており、負荷電流Ildが電源回路から負荷12に供給される。負荷12は、例えばメモリやマイクロコントローラである。
【0017】
誤差増幅器11は、正側入力端子に分圧電圧VFBが入力され、負側入力端子に予め設定された基準電圧VREFが入力される。分圧電圧VFBは、電源回路の出力端子から出力される出力電圧VDDを直列接続された抵抗R1、R2で分圧して生成される電圧である。また、基準電圧VREFは、例えば図示しない基準電圧回路から供給される一定の電圧である。誤差増幅器11は、出力電圧VDDに応じた分圧電圧VFBと基準電圧VREFとに基づいて、第1の誤差信号を出力トランジスタTR1のゲート端子に出力するとともに、第2の誤差信号VOVPをオーバーシュート対策回路13及びアンダーシュート対策回路14に出力する。
【0018】
出力トランジスタTR1は、例えばPチャネルトランジスタが用いられる。出力トランジスタTR1は、ソース端子が電源回路の入力端子に接続され、ドレイン端子が電源回路の出力端子に接続される。ここで、入力端子は入力電圧が入力され、出力端子は出力電圧が出力される。また、出力トランジスタTR1は、ゲート端子に、誤差増幅器11が出力する第1の誤差信号に、アンダーシュート対策回路14から出力される第1電流(付加電流)に基づいた制御信号を加算して得られる電圧VGATEが供給される。
【0019】
抵抗R1、R2は、出力トランジスタTR1のドレインと接地電圧との間に直列に接続され、抵抗R1、R2の接続点の電圧が分圧電圧VFBとして誤差増幅器11に供給される。また、容量C1が電源回路の出力端子と接地電圧との間に接続される。オーバーシュート対策回路13は、誤差増幅器11から出力される第2の誤差信号VOVPに応じて動作し、出力電圧VDDがオーバーシュートしすぎたときに出力電圧VDDを強制的に引き下げる。
【0020】
アンダーシュート対策回路14は、出力電圧VDDの交流成分に応じた第1電流に基づいた制御信号を第1の誤差信号に加算する。アンダーシュート対策回路14は、負荷電流Ildの急峻な増加によって出力電圧VDDが低下するときに付加電流を出力することで、出力トランジスタTR1のゲート端子に供給される電圧VGATEを引き下げて出力電圧VDDのアンダーシュートを抑制する。アンダーシュート対策回路14は、感度調整部15及び出力トランジスタ制御部16を有する。
【0021】
感度調整部15は、誤差増幅器11から出力される第2の誤差信号VOVPに基づいて、出力電圧VDDの変動に対する出力トランジスタ制御部16の感度を調整する。出力トランジスタ制御部16は、カップリング容量CPCを介することで抽出される出力電圧VDDの交流成分に応じた第1電流に基づいた制御信号を生成して出力トランジスタTR1のゲート端子に対し出力する。出力トランジスタ制御部16は、感度調整部15によって出力電圧VDDの変動に対する感度が調整され、出力電圧VDDの直流成分(DCレベル)が所定の電圧より高いときには出力する第1電流を減少させるように制御される。
【0022】
次に、本実施形態における電源回路の動作について説明する。図1に示した本実施形態における電源回路の基本的な動作は、従来の電源回路と同様である。すなわち、出力電圧VDDに応じた分圧電圧VFBが基準電圧VREFより低くなると、誤差増幅器11の出力電圧が低下し、出力トランジスタTR1のゲートに供給される電圧VGATEが低下する。その結果、出力トランジスタTR1のオン抵抗が減少し、出力電圧VDDが上昇する。逆に、出力電圧VDDに応じた分圧電圧VFBが基準電圧VREFより高くなると、誤差増幅器11の出力電圧が上昇し、出力トランジスタTR1のゲートに供給される電圧VGATEが上昇する。その結果、出力トランジスタTR1のオン抵抗が増大し、出力電圧VDDが低下する。このようにして電源回路は、出力電圧VDDとして一定の電圧が出力端子から出力されるように制御する。
【0023】
また、本実施形態における電源回路は、負荷12への負荷電流Ildが急峻に増加したときに、負荷電流Ildの増加による出力電圧VDDの急峻な低下(アンダーシュート)に応じて、アンダーシュート対策回路14が出力トランジスタTR1のゲート端子に付加電流を供給する。これにより、出力トランジスタTR1のゲート端子に供給される電圧VGATEを引き下げて出力電圧VDDが低下するのを抑制する。ここで、本実施形態では、誤差増幅器11から出力される第2の誤差信号VOVPに基づいて、出力トランジスタTR1のゲート端子に供給する付加電流を調整し、出力電圧VDDの直流成分(DCレベル)が所定の電圧より高いときには出力する付加電流を減少させる。これにより、出力電圧VDDがオーバーシュートして高い位置にあるときには、付加電流による出力電圧VDDの上昇を抑制することができる。したがって、出力電圧VDDを負荷12の動作可能な電源電圧範囲内に確実に収めることができ、出力電圧VDDが負荷12の動作可能な電源電圧範囲の上限値を超えることを防止できる。また、本実施形態における電源回路は、出力電圧VDDがオーバーシュートしすぎたときには、誤差増幅器11から出力される第2の誤差信号VOVPに応じてオーバーシュート対策回路13が出力電圧VDDを引き下げて出力電圧VDDが上昇するのを抑制する。
【0024】
本実施形態における電源回路は、例えば負荷12がメモリであり、図2に示すように、期間PAにおいてメモリへのデータの書き込み等が繰り返し行われた後、メモリを動作させない状態で時刻T11〜T12のインターバル期間を経過し、再度時刻T12からの期間PBにおいてメモリへのデータの書き込み等が繰り返し行われたとしても、出力電圧VDDが負荷12の動作可能な電源電圧範囲の上限値を超えることを防止できる。図2の期間PAに示すように負荷電流Ildが繰り返し発生し、その後時刻T11において急峻に負荷電流Ildがなくなると、電源回路のフィードバックループによる応答が遅いために出力トランジスタTR1の制御が間に合わず、出力電圧VDDがオーバーシュートする。この出力電圧VDDがオーバーシュートして高い位置にある時刻T12において再度メモリを動作させた場合、出力電圧VDDがアンダーシュート対策回路14の感度調整部15が動作する所定の電圧を超えているので、負荷電流Ildの急峻な変動による出力電圧VDDのアンダーシュートを抑えるための上昇量が抑制され負荷12の動作可能な電源電圧範囲の上限値Vmaxを超えることはない。
【0025】
図3は、本実施形態における電源回路の回路構成例を示す図である。なお、図3において、図1に示した構成要素等と同一の機能を有する構成要素等には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0026】
オーバーシュート対策回路13は、例えばNチャネルトランジスタTR11である。トランジスタTR11は、ドレイン端子が電源回路の出力端子に接続され、ソース端子に接地電圧が供給され、ゲート端子に第2の誤差信号VOVPが供給される。トランジスタTR11は、ゲート端子に供給される第2の誤差信号VOVPに応じてオン/オフ(導通状態/非導通状態)が制御され、電源回路の出力端子と接地電圧との接続を制御する。
【0027】
アンダーシュート対策回路14は、トランジスタTR12〜TR16、電流源21、22、抵抗R11、R12、及びカップリング容量CPCを有する。PチャネルトランジスタTR12は、ソース端子に電源電圧が供給され、ドレイン端子及びゲート端子がカップリング容量CPCの一方の電極に接続される。カップリング容量CPCの他方の電極には出力電圧VDDが入力される。また、PチャネルトランジスタTR12のドレイン端子は、電流源21に接続される。
【0028】
PチャネルトランジスタTR13は、ソース端子に電源電圧が供給され、ゲート端子がカップリング容量CPCの一方の電極に接続され、ドレイン端子が電流源22に接続される。NチャネルトランジスタTR14は、ソース端子に接地電圧が供給され、ドレイン端子及びゲート端子がトランジスタTR13のドレイン端子に接続される。NチャネルトランジスタTR15は、ソース端子に接地電圧が供給され、ドレイン端子が出力トランジスタTR1のゲート端子に接続され、ゲート端子がトランジスタTR14のゲート端子とドレイン端子とに接続される。つまり、トランジスタTR14とトランジスタTR15とはカレントミラー接続されている。
【0029】
また、トランジスタTR14のドレイン端子は、抵抗R11及びトランジスタTR16を介して接地電圧に接続されるとともに、抵抗R12を介して接地電圧に接続される。トランジスタTR16は、ゲート端子に第2の誤差信号VOVPが供給される。抵抗R11、R12及びトランジスタTR16が、感度調整部15Aを構成する。
【0030】
図3に示すアンダーシュート対策回路14は、カップリング容量CPCを介して出力電圧VDDの交流成分が入力されており、出力電圧VDDが急峻に低下するとトランジスタTR12、TR13を流れる電流が増加する。この出力電圧VDDの交流成分に応じて増加した電流がトランジスタTR14を流れ、それをトランジスタTR15によりカレントミラーして第1電流(付加電流)I1を生成し、出力トランジスタTR1のゲート端子をディスチャージして電圧VGATEを下げる。これにより、出力電圧VDDが急峻に低下した場合に、出力電圧VDDを高くするように出力トランジスタTR1を制御する。
【0031】
ここで、トランジスタTR14のドレイン端子は、前述したように抵抗R11及びトランジスタTR16を介して接地電圧に接続されるとともに、抵抗R12を介して接地電圧に接続されている。トランジスタTR16は、出力電圧VDDのDCレベルが所定の電圧を超えていないときには、第2の誤差信号VOVPによりオフ状態(非導通状態)とされ、出力電圧VDDのDCレベルが所定の電圧を超えているときには、第2の誤差信号VOVPによりオン状態(導通状態)とされる。つまり、出力電圧VDDのDCレベルが所定の電圧を超えているときには、出力電圧VDDのDCレベルが所定の電圧を超えていないときよりも感度調整部15の抵抗は小さくなり抵抗部に流れる電流が増えるため、トランジスタTR14を流れる電流が減少する。これにより、出力電圧VDDのDCレベルが所定の電圧を超えているときには、出力電圧VDDの交流成分の変動に対するアンダーシュート対策回路14の感度を低下させ、出力電圧VDDの上昇量を抑制する。
【0032】
図4は、本実施形態における誤差増幅器11の回路構成例を示す図である。PチャネルトランジスタTR21は、ソース端子が電流源を介して電源電圧に接続され、ゲート端子に基準電圧VREFが入力される。PチャネルトランジスタTR22は、ソース端子が電流源を介して電源電圧に接続され、ゲート端子に分圧電圧VFBが入力される。
【0033】
また、NチャネルトランジスタTR23は、ソース端子に接地電圧が供給され、ドレイン端子及びゲート端子がPチャネルトランジスタTR21のドレイン端子に接続される。NチャネルトランジスタTR24は、ソース端子に接地電圧が供給され、ドレイン端子及びゲート端子がPチャネルトランジスタTR22のドレイン端子に接続される。NチャネルトランジスタTR25は、ソース端子に接地電圧が供給され、ゲート端子がNチャネルトランジスタTR23のドレイン端子に接続される。NチャネルトランジスタTR26、TR27は、ソース端子に接地電圧が供給され、ゲート端子がNチャネルトランジスタTR24のドレイン端子に接続される。
【0034】
また、PチャネルトランジスタTR28は、ソース端子に電源電圧が供給され、ドレイン端子及びゲート端子がNチャネルトランジスタTR25のドレイン端子に接続される。PチャネルトランジスタTR29は、ソース端子に電源電圧が供給され、ドレイン端子がNチャネルトランジスタTR26のドレイン端子に接続され、ゲート端子がPチャネルトランジスタTR28のドレイン端子に接続される。PチャネルトランジスタTR30は、ソース端子に電源電圧が供給され、ドレイン端子がNチャネルトランジスタTR27のドレイン端子に接続され、ゲート端子がPチャネルトランジスタTR28のドレイン端子に接続される。
【0035】
PチャネルトランジスタTR29のドレイン端子と、NチャネルトランジスタTR26のドレイン端子との接続点の電位が、出力トランジスタTR1のゲート端子に供給される。また、PチャネルトランジスタTR30のドレイン端子と、NチャネルトランジスタTR27のドレイン端子との接続点の電位が、第2の誤差信号VOVPとして出力される。例えば、分圧電圧VFBが上昇すると、PチャネルトランジスタTR22のドレイン端子とNチャネルトランジスタTR24のドレイン端子との接続点の電位が低下し、PチャネルトランジスタTR30のドレイン端子とNチャネルトランジスタTR27のドレイン端子との接続点の電位である第2の誤差信号VOVPが上昇する。逆に、分圧電圧VFBが低下すると、PチャネルトランジスタTR22のドレイン端子とNチャネルトランジスタTR24のドレイン端子との接続点の電位が上昇し、PチャネルトランジスタTR30のドレイン端子とNチャネルトランジスタTR27のドレイン端子との接続点の電位である第2の誤差信号VOVPが低下する。
【0036】
図5は、本実施形態における電源回路の動作例を示す波形図である。時刻T21において負荷12が動作を開始し、負荷電流Ildが繰り返し発生する。時刻T21においては、出力電圧VDDのDCレベルが所定の電圧を超えていないので、付加電流I1として電流Iaが供給され、出力電圧VDDはΔVa上昇される。
【0037】
時刻T22において、負荷の動作を停止すると、時刻T22〜T23のインターバル期間において出力電圧VDDがオーバーシュートした高い状態になり、第2の誤差信号VOVPのレベルが高くなる。そして、第2の誤差信号VOVPのレベルが所定のレベルを超える、すなわち出力電圧VDDが所定の電圧を超えると、感度調整部15AのトランジスタTR16がオン状態となる。この状態で、時刻T23において再び負荷12が動作を開始し、負荷電流Ildが繰り返し発生すると、出力電圧VDDのDCレベルが所定の電圧を超えているので、付加電流I1として電流Iaよりも小さい電流Ibが供給され、出力電圧VDDはΔVb上昇される。このようにして、出力電圧VDDのDCレベルが所定の電圧を超えている場合には、出力電圧VDDの急峻な変動に対する出力電圧VDDの上昇量が抑制される。
【0038】
図6は、本実施形態における電源回路の他の回路構成例を示す図である。なお、図6において、図1図3に示した構成要素等と同一の機能を有する構成要素等には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図6に示す電源回路は、図3に示した電源回路と感度調整部15Bが異なる。
【0039】
感度調整部15Bは、抵抗R11、トランジスタTR16、及び抵抗RA、RB、RC、トランジスタTRA、TRB、TRC、比較回路21を有する。抵抗RA、RB、RCは、トランジスタTR14のドレイン端子と接地電圧との間に直列に接続される。また、抵抗RAにトランジスタTRAが並列に接続され、抵抗RBにトランジスタTRBが並列に接続され、抵抗RCにトランジスタTRCが並列に接続される。トランジスタTRA、TRB、TRCは、ゲート端子に比較回路21の出力信号が入力されている。
【0040】
比較回路21は、電源回路の動作開始時の出力電圧VDDIと所定の閾値電圧とを比較し、比較結果に応じた出力信号をトランジスタTRA、TRB、TRCのゲート端子に出力する。すなわち、比較回路21は、電源回路の動作開始時の出力電圧VDDIに応じて、トランジスタTRA、TRB、TRCをオン/オフ制御する。例えば、電源回路の動作開始時の出力電圧VDDIのDCレベルが基準とする閾値電圧より高い場合には、抵抗を小さくするようにトランジスタTRA、TRB、TRCを制御して、出力電圧VDDの交流成分の変動に対するアンダーシュート対策回路14の感度を低下させる。また、例えば、電源回路の動作開始時の出力電圧VDDIのDCレベルが基準とする閾値電圧より低い場合には、抵抗を大きくするようにトランジスタTRA、TRB、TRCを制御して、出力電圧VDDの交流成分の変動に対するアンダーシュート対策回路14の感度を高くする。
【0041】
このように電源回路の動作開始時の出力電圧VDDIに応じて、出力電圧VDDの交流成分の変動に対するアンダーシュート対策回路14の感度を制御することで、基準電圧回路のばらつき等による基準電圧VREFのばらつきを吸収することができ、より精度良く感度を制御することができる。なお、抵抗RA、RB、RCの抵抗値は、同じであっても異なっていても良い。
【0042】
図7(A)及び図7(B)は、本実施形態における電源回路を有する半導体装置の構成例を示す図である。図7(A)及び図7(B)に示す半導体装置は、例えばセンサ部130で検出された信号をアナログデジタル変換器(ADC)120により変換して得られるデジタルデータをメモリに記録する機能を有する。
【0043】
図7(A)に示す半導体装置100Aは、CPU(Central Processing Unit)101、電源回路102、LCD(Liquid Crystal Display)コントローラ103、インタフェース部104、及びUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)105を有する。CPU101は、半導体装置100Aが有する各機能部を制御する。電源回路102は、前述した本実施形態における電源回路であり、半導体装置100Aが有する機能部に電力を供給する。LCDコントローラ103は、表示部110に係る表示制御を行う。表示部110は、例えば液晶表示装置(LCD)である。インタフェース部104は、ADC120との間でデータを送受信する。UART105は、外部メモリ140へのデータの書き込みや外部メモリ140からのデータの読み出しを行うためのシリアルインタフェースである。外部メモリ140は、例えば強誘電体メモリ(FRAM(登録商標))である。なお、図7(A)に示した半導体装置100Aでは、外部にメモリ140を有するようにしているが、図7(B)に示すように半導体装置100Bの内部にメモリ140を備えるようにしても良い。
【0044】
なお、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明の諸態様を付記として以下に示す。
【0045】
(付記1)
入力電圧が入力される入力端子と出力電圧が出力される出力端子との間に接続される第1のトランジスタと、
前記出力電圧に応じた電圧と基準電圧との差電圧に基づいて、第1の誤差信号及び第2の誤差信号を生成し、前記第1の誤差信号を前記第1のトランジスタのゲート端子に出力する誤差増幅器と、
前記出力電圧の交流成分に応じた第1電流に基づいた制御信号を前記第1の誤差信号に加算する制御回路と、
前記出力電圧が所定電圧より高いときに、前記第2の誤差信号に基づいて前記第1電流を減少させる調整回路とを有することを特徴とする電源回路。
(付記2)
前記調整回路は、前記第1電流が流れるノードに接続され、前記第2の誤差信号に基づいて抵抗値が制御される抵抗部を有することを特徴とする付記1記載の電源回路。
(付記3)
前記抵抗部は、
第1の抵抗部と第2の抵抗部とを有し、
前記第1電流が流れるノードに対して、前記出力電圧が所定電圧より高いときに第1の抵抗部と第2の抵抗部とを並列に接続し、前記出力電圧が所定電圧以下のときに第1の抵抗部を接続することを特徴とする付記2記載の電源回路。
(付記4)
前記第1の抵抗部は、前記第1電流が流れるノードに接続される第1の抵抗を有し、
前記第2の抵抗部は、前記第1電流が流れるノードに接続される、ゲート端子に前記第2の誤差信号が供給される第3のトランジスタと第2の抵抗とが直列接続された直列回路を有することを特徴とする付記3記載の電源回路。
(付記5)
前記第1の抵抗部は、前記電源回路の動作開始時の前記出力電圧に基づいて抵抗値が制御されることを特徴とする付記3記載の電源回路。
(付記6)
前記第1の抵抗部は、
前記第1電流が流れるノードに接続される複数の抵抗と、
前記電源回路の動作開始時の前記出力電圧と閾値電圧とを比較し、比較結果に応じて前記抵抗の各々を前記第1電流が流れるノードに対して接続するか否かを切り替える比較回路とを有することを特徴とする付記5記載の電源回路。
(付記7)
負荷と、当該負荷に電力を供給する電源回路とを有し、
前記電源回路は、
入力電圧が入力される入力端子と出力電圧が出力される出力端子との間に接続される第1のトランジスタと、
前記出力電圧に応じた電圧と基準電圧との差電圧に基づいて、第1の誤差信号及び第2の誤差信号を生成し、前記第1の誤差信号を前記第1のトランジスタのゲート端子に出力する誤差増幅器と、
前記出力電圧の交流成分に応じた第1電流に基づいた制御信号を前記第1の誤差信号に加算する制御回路と、
前記出力電圧が所定電圧より高いときに、前記第2の誤差信号に基づいて前記第1電流を減少させる調整回路とを有することを特徴とする半導体装置。
(付記8)
前記負荷は、メモリであることを特徴とする付記7記載の半導体装置。
(付記9)
前記負荷は、マイクロコントローラであることを特徴とする付記7記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0046】
11 誤差増幅器
12 負荷
13 オーバーシュート対策回路
14 アンダーシュート対策回路
15 感度調整部
16 出力トランジスタ制御部
TR1 出力トランジスタ
R1、R2 抵抗
C1、CPC 容量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10