【実施例】
【0029】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0030】
<ホイップタイムの評価>
ホイップタイムは、カントーミキサー(CS型20:関東混合機工業株式会社製)に、実施例及び比較例で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の品温を、5℃と10℃に調整しそれぞれ4kg、グラニュー糖400gを入れ、高速撹拌条件(380rpm)でホイップし、トッピングするのに適度な硬さに到達するまでの時間を評価値とした。その際の評価基準は以下の通りである。
5点:5℃と10℃の評価値の差が30秒未満。
4点:5℃と10℃の評価値の差が30秒以上1分未満。
3点:5℃と10℃の評価値の差が1分以上1分30秒未満。
2点:5℃と10℃の評価値の差が1分30秒以上3分未満。
1点:5℃と10℃の評価値の差が3分以上。
【0031】
<オーバーランの評価>
オーバーランとは、ホイップドクリームに含まれる空気の割合を%で示したものであり、カントーミキサー(CS型20:関東混合機工業株式会社製)に、実施例及び比較例で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の品温を、5℃と10℃に調整しそれぞれ4kg、グラニュー糖400gを入れ、高速撹拌条件(380rpm)でトッピングするのに適度な硬さに到達するまでホイップし、次式で求め評価値とした。
オーバーラン(%)=[(一定容積の起泡性水中油型乳化油脂組成物の重量)−(一定容積のホイップドクリームの重量)]÷(一定容積のホイップドクリームの重量)×100
その際の評価基準は以下の通りである。
5点:5℃と10℃の評価値の差が5%未満。
4点:5℃と10℃の評価値の差が5%以上10%未満。
3点:5℃と10℃の評価値の差が10%以上20%未満。
2点:5℃と10℃の評価値の差が20%以上30%未満。
1点:5℃と10℃の評価値の差が30%以上。
【0032】
<総合評価>
総合評価は、上記のホイップタイム、オーバーランの評点の平均を評価結果とした。
【0033】
(製造例1)
[パーム核オレインとパーム油のランダムエステル交換油脂の作製]
パーム核オレイン55重量部とパーム油45重量部を、ナトリウムメチラートを用いた化学触媒法によりランダムエステル交換した後、精製し、上昇融点29℃の油脂を得た。
【0034】
実施例及び比較例で用いた乳化剤を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
(実施例1)
表2に示す配合により、起泡性水中油型乳化油脂組成物を製造した。
先ず、パーム核ステアリン硬化油脂8.8重量%、パーム核油8.8重量%、製造例1で得られたパーム核オレインとパーム油のランダムエステル交換油脂5.5重量%、ナタネ油4.5重量%の混合油脂に、テトラグリセリンペンタオレエート(HLB3.0)0.1重量%、ヘキサステアリンヘキサステアレート(HLB4.0)0.1重量%、レシチン(JレシチンCL、株式会社Jオイルミルズ製、HLB5.0)0.16重量%、テトラグリセリンモノステアレート(HLB8.4)0.08重量%を添加し、65℃で溶解して油相部を調製した。
一方、バターミルクパウダー3.0重量%、ホエイパウダー2.0重量%、グアガム0.05重量%、キサンタンガム0.05重量%、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.2重量%、ヘキサグリセリンモノステアレート(HLB11.6)0.1重量%、ヘキサグリセリンモノオレエート(HLB11.6)0.04重量%を60℃の水66.52重量%に溶解して水相部を調製した。
上記の油相部と水相部を20分間予備乳化後、高圧ホモジナイザーを用いて4MPaの圧力で処理した後に、UHT殺菌機を用いて142℃で4秒間殺菌処理し、その後、再び高圧ホモジナイザーを用いて6MPaの圧力で処理し、その後、冷却機で5℃まで冷却したものを容器に充填し、起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
【0037】
(実施例2)
乳化剤の種類及び添加量を表2に示す通りに変更し、それに伴い水の配合量を調整した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
【0038】
(実施例3)
表2に示す通り、乳化剤Aのうち、テトラグリセリンペンタオレエート(HLB3.0)をショ糖脂肪酸エステル(HLB1.0)0.1重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
【0039】
(実施例4)
表2に示す通り、乳化剤Aのうち、ヘキサグリセリンヘキサステアレート(HLB4.0)を配合せず、それに伴い水の配合量を調整した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
【0040】
(実施例5)
表2に示す通り、グアガムをジェランガム0.05重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
【0041】
(実施例6)
表2に示す通り、混合油配合をパーム核ステアリン硬化油脂15.0重量%、パーム核油15.0重量%、製造例1で得られたパーム核オレインとパーム油のランダムエステル交換油脂8.0重量%、ナタネ油6.0重量%に変更し、それに伴い水の配合量を調整した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
【0042】
(実施例7)
グアガムとキサンタンガムの配合量を、グアガム0.01重量%、キサンタンガム0.06重量%に変更し、それに伴い水の配合量を調整した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
【0043】
(実施例8)
表2に示す通り、混合油配合をパーム核油20.0重量%、製造例1で得られたパーム核オレインとパーム油のランダムエステル交換油脂5.0重量%、パーム核硬化油脂5.0重量%に変更し、グアガムをジェランガム0.05重量%に変更し、それに伴い水の配合量を調整した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
【0044】
以上の実施例で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の品温を5℃と10℃に調整したものをホイップし、それぞれのホイップタイムとオーバーランを測定した。各実施例の起泡性水中油型乳化油脂組成物の配合と評価結果を表2に示す。なお、表2中の飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸(重量比)は、各乳化剤の分子量並びに脂肪酸構成及び構成脂肪酸の分子量に基づく計算値である。
【0045】
【表2】
【0046】
(比較例1)
乳化剤A、Bを、表3に示す通りに変更し、それに伴い水の配合量を調整した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
【0047】
(比較例2)
乳化剤B、Cを、表3に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
【0048】
(比較例3)
乳化剤B、Cを、表3に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
【0049】
(比較例4)
乳化剤B、Cを、表3に示す通りに変更し、それに伴い水の配合量を調整した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
【0050】
(比較例5)
乳化剤B、Cを、表3に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
【0051】
以上の比較例1〜5で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の品温を5℃と10℃に調整したものをホイップし、それぞれのホイップタイムとオーバーランを測定した。各比較例の起泡性水中油型乳化油脂組成物の配合と評価結果を表3に示す。なお、表3中の飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸(重量比)は、各乳化剤の分子量並びに脂肪酸構成及び構成脂肪酸の分子量に基づく計算値である。
【0052】
【表3】
【0053】
表2に示す実施例の起泡性水中油型乳化油脂組成物の評価結果及び表3に示す比較例の起泡性水中油型乳化油脂組成物の評価結果から明らかなように、本願発明によれば、ホイップ開始時の原液温度が5〜10℃において変化しても、ホイップ時間(ホイップタイム)と含気率(オーバーラン)がほとんど変化しないホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物が得られることが分かった。