(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、一実施形態を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
(1)情報処理システム全体の概略構成
図1に、情報処理システム全体の概略構成図を示す。
【0030】
電力会社1は、発電した電力を各需要家に対して供給する会社である。
【0031】
アグリゲータ3は、複数の需要家A〜Eがそれぞれ有しているコントローラ4との間で通信可能に接続されており、複数の需要家A〜Eが有している各空気調和装置5の運用管理を行う。アグリゲータ3は、電力会社1に対しても通信可能に接続されており、電力逼迫時において電力会社1からの消費電力量の調整要求の指示を受ける。なお、ここでは省略されているが、電力会社1からの消費電力量の調整要求の指示を受けるアグリゲータや大規模物件が他にも存在しており、本実施形態のアグリゲータ3はこれらよりも信頼性高く調整要求に応じることで、電力会社1からの消費電力量の調整要求の処理を優先的に行うことができることを目指す。
【0032】
各需要家A〜Eは、アグリゲータ3によって統括管理されている対象であり、それぞれコントローラ4、空気調和装置5、および、スマートメータ6を個別に有している。需要家は、通常はより多く無数に存在している。各需要家A〜Eが有する各コントローラ4は、いずれも対応する需要家が有している空気調和装置5とスマートメータ6と接続されており、アグリゲータ3とも接続されている。各需要家A〜Eがそれぞれ有している空気調和装置5は、電力会社1から供給される電力を消費することで駆動し、対象空間の空気を調和させる。
【0033】
気象情報提供装置9は、アグリゲータ3と通信可能に接続されており、各地の気象情報をそれぞれアグリゲータに対して通信により提供する。具体的には、本実施形態の気象情報提供装置9は、地域毎に、時間帯毎の予想気温の情報を提供する。
【0034】
以上の構成において、電力を消費する空気調和装置等の機器の稼動が一時的に集中する等の理由で消費電力量が一時的に上昇し、電力会社1から供給される電力量が逼迫した状況になると、電力の供給量が不足する状況になることを避けるために、電力会社1は、消費電力量の調整を求めるデマンド制御の要求(消費電力量の調整要求)を発信する。
【0035】
ここで、アグリゲータ3は、単数ではなく、複数の需要家A〜Eを管理対象に含めているため、単数の需要家を管理する場合と比べて、消費電力量の調整可能な幅をより大きくすることが可能になっている。そして、アグリゲータ3は、電力会社1が発信した消費電力量の調整要求を受信すると、例えば、消費電力量の削減要求であった場合には、管理対象の需要家A〜Eのうち削減の協力が可能な需要家において消費電力量の削減を実行してもらう。ここで、協力が得られた需要家に対しては、電気料金を低廉化させることや金銭を付与すること等によりインセンティブが付与される。
【0036】
なお、アグリゲータ3が管理している各需要家A〜Eは、電力会社1が発信した消費電力量の調整要求に対する応答義務は無く、任意の自由参加型であり、インセンティブの付与を求めるものが参加することになる。また、各需要家は、一度参加を申請していた時間帯における消費電力量の調整要求についてキャンセルを行うことも可能であり、その場合には所定のペナルティ(電気料金増額等)を受けることになる。
【0037】
ここで、アグリゲータ3は、電力会社1から消費電力量の調整要求を受信した場合にできるだけ自己が管理する需要家による調整可能範囲内で調整要求の処理を完了できるように、予め各需要家から消費電力量の調整要求に応じるか否か(応じる場合にはどの程度応じるか)の予定情報を各需要家から報告してもらうことで入手する。ただし、各需要家は、事前に提出した予定通りに空気調和装置5を運転させるとは限らず、電力会社1からの消費電力量の調整要求が発信された時であっても、需要家の予定の変更や天候の変化によって、予定通りの消費電力量の調整を実行できないおそれがある。このため、アグリゲータ3としては、予め各需要家から入手した予定情報だけでなく、将来的に生じる可能性がある変動要因の情報を考慮して、アグリゲータ3として信頼性高く調整可能な消費電力量を申告削減量(消費電力の削減可能量)として求め、予め電力会社1に対して申告しておくことが望まれる。すなわち、アグリゲータ3としては、予め各需要家から報告された予定情報等により求まる調整可能量だけではなく、当該調整可能量から将来生じうる変動要因分を差し引いて得られる消費電力量(申告削減量)を、電力会社1に対して申告するための情報として特定しておくことになる。
【0038】
ただし、将来的に生じる可能性がある変動要因分をあまりにも大きく考慮し過ぎてしまうと、アグリゲータ3が電力会社1に申告することができる申告削減量が小さいものになってしまい、結果としてアグリゲータ3によって管理されている各需要家が、消費電力量の調整要求に応じることで得られるインセンティブの量が小さくなってしまう。
【0039】
以上より、アグリゲータ3としては、将来生じうる変動要因分をできるだけ精度良く求めて(不必要に変動要因を大きくすることを避けて)、予め各需要家から報告された予定情報等により求まる調整可能量から差し引かれる分量を小さく抑えた申告削減量を特定することで、できるだけ自己が管理する需要家に多くのインセンティブを得てもらうことが望まれる。
【0040】
なお、ここで、インセンティブの付与については、特に限定されるものではなく、例えば、契約内容に応じて、電力会社1から各需要家に対して付与されてもよいし、電力会社1からアグリゲータ3に対して付与されたインセンティブをアグリゲータ3が自己が管理する各需要家に対して付与するようにしてもよい。
【0041】
なお、以下では、理解の容易のため、各需要家が1台の運転容量(馬力)の等しい空気調和装置5を有している場合であって、消費電力量の調整要求や各種スケジュールが1時間毎に設定されている場合を例に挙げて説明するが、本願発明はこれに限られるものではない。
【0042】
(2)空気調和装置5の構成
図2に、各需要家A〜Eが有している空気調和装置5の概略構成図を示す。
【0043】
また、
図3に、需要家Aにおけるコントローラ4、空気調和装置5、および、スマートメータ6のブロック図を示す。
【0044】
空気調和装置5は、冷媒回路20と、各種温度センサ28a、28b、29を備えている。
【0045】
冷媒回路20は、周波数制御が可能な圧縮機21、接続状態を切り換えて冷房運転と暖房運転を切り換えさせることが可能な四路切換弁22、室外熱交換器23、風量調節が可能な室外ファン24、弁開度の調節が可能な膨張弁25、室内熱交換器26、風量調節が可能な室内ファン27を有しており、これらが順に接続されて構成されている。これらのうち、圧縮機21、四路切換弁22、室外ファン24、膨張弁25、室内ファン27は、コントローラ4と接続されており、コントローラ4の制御部41によって各種制御が行われる。具体的には、圧縮機21は、制御部41の指示により駆動周波数が制御されることで、冷媒を圧縮する程度を調節することができる。また、四路切換弁22は、制御部41の指示により接続状態を切り換えて冷房運転と暖房運転を切り換えることができる。室外ファン24および室内ファン27は、それぞれ制御部41の指示により風量を調節することができる。膨張弁25は、制御部41の指示により冷媒が通過する弁の開度を調節し、冷媒の減圧程度を調節することができる。
【0046】
冷媒回路20は、四路切換弁22を有して構成されているため、冷房運転と暖房運転を切り換えて実行することが可能である。
【0047】
冷房運転時では、圧縮機21から吐出された冷媒が四路切換弁22を介して、室外ファン24から送られてくる外気と冷媒との間で熱交換が行われることで冷媒の凝縮器として機能する室外熱交換器23に送られる。室外熱交換器23で凝縮された冷媒は、膨張弁25において減圧された後、室内ファン27から送られてくる空調対象空間の空気と冷媒との間で熱交換が行われることで冷媒の蒸発器として機能する室内熱交換器26に送られる。室内熱交換器26で蒸発した冷媒は、四路切換弁22を介して圧縮機21の吸入側に送られる。このような動作により、空調対象空間の冷房が行われる。
【0048】
暖房運転時では、圧縮機21から吐出された冷媒が四路切換弁22を介して、室内ファン27から送られてくる空調対象空間の空気と冷媒との間で熱交換が行われることで冷媒の凝縮器として機能する室内熱交換器26に送られる。室内熱交換器26で凝縮された冷媒は、膨張弁25において減圧された後、室外ファン24から送られてくる外気と冷媒との間で熱交換が行われることで冷媒の蒸発器として機能する室外熱交換器23に送られる。室外熱交換器23で蒸発した冷媒は、四路切換弁22を介して圧縮機21の吸入側に送られる。このような動作により、空調対象空間の暖房が行われる。
【0049】
なお、各種温度センサとしては、室外温度センサ28a、室外熱交温度センサ28b、室内温度センサ29が挙げられる。室外温度センサ28aは、室外ファン24による空気流れ方向における室外熱交換器23の上流側に設けられており、室外気温を検知する。室外熱交温度センサ28bは、室外熱交換器23の中間位置に対して設けられており、室外熱交換器23の中間位置を通過する冷媒の温度を検知する。室内温度センサ29は、室内ファン27による空気流れ方向における室内熱交換器26の上流側に設けられており、空調対象空間である室内の気温を検知する。これらの各種温度センサは、いずれも、コントローラ4と接続されており、コントローラ4の制御部41が各検知値を把握することが可能になっている。制御部41は、各種温度センサにおける検知値に基づいて、圧縮機21、室外ファン24、膨張弁25、室内ファン27の各種制御を行い、四路切換弁22の接続状態の切り換えを行う。
【0050】
例えば、冷房運転時において、コントローラ4の入力部42を介して受け付けられる設定温度に室内温度センサ29が検知する温度が満たない場合には、満たない程度に応じて圧縮機21の駆動レベルが増大し、より多くの電力を消費して空調対象空間を迅速に冷やすことになる。
【0051】
なお、空気調和装置5は、制御モードとして、通常運転制御モードと省エネ運転制御モードとを備えている。この省エネ運転制御モードは、特に限定されないが、空調対象空間を設定温度にする際に、通常運転制御モードと比べてより長い時間をかける制御であり、単位時間当たりの消費電力量が小さい制御モードである。
【0052】
(3)スマートメータ6の構成
スマートメータ6は、空気調和装置5において消費した消費電力量を計測する。
【0053】
スマートメータ6は、コントローラ4に接続されており、計測した消費電力量の情報をコントローラ4に対して送信する。
【0054】
(4)コントローラ4の構成
図3に例示した需要家Aが有するコントローラ4等のブロック図に示すように、コントローラ4は、制御部41、入力部42、出力部43、記憶部44等を備えている。なお、需要家B〜Eが有するコントローラ4についても同様である。
【0055】
制御部41は、電力会社1からの消費電力量の調整要求に応じる際の需要家(ここでは需要家A)の空気調和装置5の消費電力量を調整するための各制御(詳細は後述する)や、空気調和装置5からの運転に関する情報やスマートメータ6からの情報を記憶部44に格納させる処理や、入力部42から受け付けた情報の処理や、出力部43に対する出力処理等を行う。特に限定されないが、例えば、制御部41は、CPUによって構成することができる。
【0056】
出力部43は、特に限定されないが、例えば、液晶表示パネル等であってよい。出力部43には、制御部41によって処理された情報が表示される。
【0057】
入力部42は、コントローラ4に対してユーザ等が情報を入力するためのものであり、特に限定されないが、例えば、出力部43の液晶表示パネルをタッチパネル化したものが挙げられる。入力部42は、ユーザからの後述する各種情報の入力を受け付ける。
【0058】
記憶部44は、特に限定されないが、例えば、ROM、RAM、ハードディスク等によって構成することができる。この記憶部44には、DR予定情報44a、スケジュール情報44b、出力レベル履歴情報44c、運転履歴情報44d、地域情報44e、設定温度44f、DR制御用情報44g等の各種情報や、制御部41に実行させるための各種プログラム等が格納される。
【0059】
DR予定情報44aは、電力会社1からの消費電力量の調整要求があった場合に応じる日時情報および応じる場合の当該応じる時間帯における削減予定の消費電力量を示す情報が含まれている。当該DR予定情報44aは、入力部42を介してユーザ(例えば需要家)から入力を受け付けた場合に、格納または更新される。ここでは、例えば、各ユーザは、将来の1週間分のDR予定情報44aが常時格納されているように、入力部42から入力して、アグリゲータ3に予定を報告することができる。このDR予定情報44aは、例えば、
図5における需要家1人分のデータに相当する。なお、本件においてDRは、デマンドレスポンスの略である。
【0060】
スケジュール情報44bは、ユーザによる空気調和装置5の利用予定を示す情報であり、例えば、空気調和装置5を運転させる予定日時や運転させない予定日時の情報等が含まれる。また、スケジュール情報44bには、通常運転制御モードではなく省エネ運転制御モードが行われる予定日時を示す情報が含まれる。さらに、スケジュール情報44bには、設定温度の予定を示す情報が含まれる。当該スケジュール情報44bは、入力部42を介してユーザから入力を受け付けた場合に、格納または更新される。
【0061】
出力レベル履歴情報44cは、空気調和装置5について予め定められている定格消費電力に対する出力割合(出力レベル)についての過去の空気調和装置5の情報である。本実施形態においては、過去の定格消費電力に対する出力割合の1時間毎の平均情報が格納されている。定格消費電力に対する出力割合(%)は、スマートメータ6によって測定された値から制御部41が把握できる。具体的には、例えば、1時間の間定格消費電力で運転された場合を100%とし、1時間の間運転がされなかった場合を0%とし、1時間のうち30分だけ定格消費電力で運転が行われて残りの30分は停止していた場合を50%として、出力割合(出力レベル)が特定される。
【0062】
運転履歴情報44dは、各種空気調和装置5における情報が含まれる。具体的には、空気調和装置5における消費電力量の履歴(スマートメータ6による測定値の履歴)を示す情報であり、空気調和装置5の消費電力量を日時毎に示す情報が含まれる。また、空気調和装置5の室外気温の情報も含まれる。
【0063】
地域情報44eは、当該コントローラ4と直接接続されている空気調和装置5が所在する地域を示す情報であり、入力部42を介してユーザからの入力を受け付けることで格納される。例えば、当該空気調和装置5の住所を示す情報であってもよい。
【0064】
設定温度44fは、空気調和装置5を運転する場合の目標となる設定温度の情報であり、入力部42を介してユーザから入力を受け付けた場合に、格納または更新される。
【0065】
DR制御用情報44gは、電力会社1からの消費電力量の調整要求があり、当該調整要求に応じる場合に行うこととなる空気調和装置5の制御内容を示す情報である。例えば、冷房運転時に特定の消費電力量の削減を行う場合に設定温度を当該削減する消費電力量に応じて段階的に上げていく制御や、暖房運転時に特定の消費電力量の削減を行う場合に設定温度を当該削減する消費電力量に応じて段階的に下げていく制御や、設定温度の変更では特定の消費電力量の削減ができない場合に運転を停止する制御等を行うための情報が格納されている。これにより、アグリゲータ3からの消費電力の削減指示を受けた需要家のコントローラ4の制御部41は、DR予定情報44aにおいて予め定めていた削減予定の消費電力量の削減が実現できるまで段階的に設定温度を変更する処理を行い、設定温度の変更だけでは予め定めていた削減予定の消費電力量の削減を実現できない場合には運転を停止させる処理を行うこととなる。
【0066】
(5)アグリゲータ3の構成
図4に、アグリゲータ3のブロック図を示す。
【0067】
アグリゲータ3は、制御部31、入力部32、出力部33、記憶部34等を備えている。
【0068】
制御部31は、電力会社1からの消費電力量の調整要求に応じることができるように管理対象である需要家A〜Eの消費電力量を管理調整するための各種処理(詳細は後述する)や、各需要家A〜Eにおける各空気調和装置5に関する状況を収集する処理や、当該収集した情報に基づいた情報の作成処理や、当該作成した情報の記憶部34への格納処理や、入力部32から受け付けた情報の処理や、出力部33に対する出力処理等を行う。特に限定されないが、例えば、制御部31は、CPUによって構成することができる。
【0069】
出力部33は、特に限定されないが、例えば、液晶表示パネル等であってよい。出力部33には、制御部31によって処理された情報が表示される。
【0070】
入力部32は、アグリゲータ3に対してアグリゲータ3の管理者が情報を入力するためのものであり、特に限定されないが、例えば、出力部33の液晶表示パネルをタッチパネル化したものが挙げられる。入力部32は、アグリゲータ3の管理者からの各種情報の入力を受け付ける。
【0071】
記憶部34は、特に限定されないが、例えば、ROM、RAM、ハードディスク等によって構成することができる。この記憶部34には、各需要家DR予定情報34a、各需要家スケジュール情報34b、各需要家出力レベル履歴情報34c、各需要家運転履歴情報34d、各需要家地域情報34e、各需要家DR成績情報34f、DR予定まとめ情報34g、出力レベルまとめ情報34h、運転台数情報34i等の各種情報や、制御部31に実行させるための各種プログラム等が格納される。
【0072】
この記憶部34には、以下に述べる情報のうち、各需要家によって更新されるものについては、随時制御部31が通信を行って取得し、新しい情報に書き換えられ、これらの書き換えられた情報に基づいた情報作成や処理が随時行われる。
【0073】
各需要家DR予定情報34aは、各需要家A〜Eの全員のDR予定情報44aをまとめた情報である。この各需要家DR予定情報34aは、制御部31が、各需要家A〜Eの全員のDR予定情報44aを通信によって定期的に入手して集めることで作成され、記憶部34に格納されている。具体的には、各需要家DR予定情報34aは、
図5に示すように、各需要家の削減予定の消費電力量を示す情報である。
【0074】
各需要家スケジュール情報34bは、各需要家A〜Eの全員のスケジュール情報44bをまとめた情報である。この各需要家スケジュール情報34bは、制御部31が、各需要家A〜Eの全員のスケジュール情報44bを通信によって定期的に入手して集めることで作成され、記憶部34に格納されている。
【0075】
各需要家出力レベル履歴情報34cは、各需要家A〜Eの全員の出力レベル履歴情報44cをまとめた情報である。この各需要家出力レベル履歴情報34cは、制御部31が、各需要家A〜Eの全員の出力レベル履歴情報44cを通信によって定期的に入手して集めることで作成され、記憶部34に格納されている。
【0076】
各需要家運転履歴情報34dは、各需要家A〜Eの全員の運転履歴情報44dをまとめた情報である。この各需要家運転履歴情報34dは、制御部31が、各需要家A〜Eの全員の運転履歴情報44dを通信によって定期的に入手して集めることで作成され、記憶部34に格納されている。
【0077】
各需要家地域情報34eは、各需要家A〜Eの全員の地域情報44eをまとめた情報である。この各需要家地域情報34eは、制御部31が、各需要家A〜Eの全員の地域情報44eを通信によって入手して集めることで作成され、記憶部34に格納されている。
【0078】
各需要家DR成績情報34fは、各需要家A〜Eにおける、過去の消費電力量の調整要求への応答成績を示す情報である。具体的には、各需要家について、自己が報告していたDR予定情報44aに示されていた時間帯に実際に消費電力量の調整要求が電力会社1から発信された場合に、予定通りの消費電力量の削減ができたか否かを示す情報である。特に限定されないが、例えば、予定通りに消費電力量の削減ができた時間の割合としてもよい(例えば、1時間の消費電力量の調整要求が5回行われた場合において、そのうちの3回分については予定通りの削減ができた場合には、60%とすることができる。)。
【0079】
DR予定まとめ情報34gは、制御部31が、各需要家DR予定情報34aに基づいて作成する情報である。具体的には、
図6に示すように、各需要家DR予定情報34aから把握される各需要家から報告された削減予定の消費電力量が日時毎にまとめられた情報である。
【0080】
出力レベルまとめ情報34hは、制御部31が、各需要家出力レベル履歴情報34cに基づいて作成する情報である。具体的には、出力レベルまとめ情報34hは、各需要家A〜Eの空気調和装置5の過去の出力レベルの情報うち出力レベルがあった情報(出力レベルが0以外の情報:運転があった場合の情報)のみを抽出し、当該出力レベルと対応する日時の情報とを対応付けてまとめた情報である。ここでの情報の抽出は、制御部31が行う。これにより、過去の各需要家A〜Eの空気調和装置5について、運転が行われた場合の出力レベルを日時の情報と対応付けて把握することが可能になる。
【0081】
運転台数情報34iは、制御部31が、各需要家運転履歴情報34dに基づいて作成する情報である。具体的には、過去のある日時(本実施形態では1時間の間)におけるアグリゲータ3が管理している需要家の空気調和装置5の運転台数の合計を、日時毎に示す情報である。ここで、過去のある時間帯において空気調和装置5が駆動していたか否かは、各需要家運転履歴情報34dに基づいて制御部31が判断する。特に限定されないが、本実施形態では、制御部31は、当該1時間の間に空気調和装置5が駆動した時間があった場合(消費電力がスマートメータ6によって当該1時間の間に電力の消費が測定された場合)に、運転が行われたと判断し、1台の運転があったとしてカウントする。なお、当該時間帯の消費電力量が基準より多い場合に運転があったとしてカウントするようにしてもよい。
【0082】
(6)消費電力量の調整要求に関するアグリゲータ3の処理
アグリゲータ3の制御部31は、将来的に電力会社1からの消費電力量の調整要求が発信されるよりも前に(事前に)、アグリゲータ3として応じることのできる消費電力の「申告削減量」を将来の日時毎(例えば1週間分)に特定する処理を行う。そして、特定された消費電力の「申告削減量」の情報を、電力会社1に対して予め申告する(電力会社1に向けて通信により情報を送信する。)。
【0083】
図7および
図8に、アグリゲータ3の処理の流れを示す。
【0084】
ステップS10では、アグリゲータ3の制御部31は、ここでの処理を行う時点での当該時点よりも過去の所定期間の間の各需要家DR成績情報34fを記憶部34から読み出し、管理対象である各需要家A〜Eのうち所定の成績に満たないものを特定して、以下の各処理の対象から除外する処理を行う。
【0085】
具体的には、制御部31は、各需要家DR成績情報34fのデータのうち過去の所定期間(例えば、過去3年間)の間のデータのみを用いて、当該期間の間における各需要家の成績を求める。そして、このようにして求められた各需要家の成績のうち所定の成績に達していない成績の需要家を除外需要家として特定し(非安定条件を満たすものとして特定し)、以下の各処理の対象から除外する処理を行う。
【0086】
ステップS11では、アグリゲータ3の制御部31は、ステップ10において除外されなかった需要家のうち、最近の出力レベルの変動幅が大きい傾向にある需要家についても、安定的な運転が行われていない対象であるとして除外需要家として特定し(非安定条件を満たすものとして特定し)、以下の各処理の対象から除外する処理を行う。
【0087】
具体的には、制御部31は、記憶部34に格納されている出力レベルまとめ情報34hのうち需要家それぞれについて、各個人の出力レベルの平均(個人の基準出力レベルXS)と各個人の分布範囲(個人の出力レベルの変動幅XL〜XH)を、将来の日時毎に求める。そして、得られた分布範囲が所定の幅よりも大きい場合に、出力レベルの変動幅が大きい傾向にあるため除外需要家として特定し、以下の各処理の対象から除外する処理を行う。
【0088】
ここで、制御部31は、出力レベルまとめ情報34hの特定の需要家の情報のうち求めようとする将来の日時からさかのぼる過去所定期間(本実施形態では10日前までの分)の情報であって求めようとする将来の日時の時間帯に対応する時間帯の情報のみを用いて、個人の基準出力レベルXSと個人の出力レベルの変動幅XL〜XHを求め、この処理を将来の日時毎に行う。これにより、アグリゲータ3が管理する各需要家A〜Eの各個人の空気調和装置5の最近の出力動向を把握することができる。
【0089】
具体的には、個人の基準出力レベルXSは、将来の日時(例えば、3月20日の12時〜13時)からさかのぼる過去所定期間の間の情報のうち当該将来の日時に対応する時間帯についての特定の需要家の空気調和装置5の全ての出力レベルの情報(例えば、需要家Aの空気調和装置5の3月10日〜19日の情報(存在している分)であって各日の12時〜13時の情報)の合計を、その情報の数で除することで得られる。この処理を、将来の日時毎に行う(例えば、3月20日の13時〜14時や、14時〜15時についても行う)。
【0090】
また、個人の出力レベルの変動幅XL〜XHは、具体的には、将来の日時(例えば、3月20日の12時〜13時)からさかのぼる過去所定期間の間の情報のうち当該将来の日時に対応する時間帯についての特定の需要家の空気調和装置5の全ての出力レベルの情報(例えば、需要家Aの空気調和装置5の3月10日〜19日の情報(存在している分)であって各日の12時〜13時の情報)について、
図9に示すように、出力レベル別の発生頻度の分布における、個人の基準出力レベルXSに対する所定の幅として求められる。
【0091】
ここで、個人の出力レベルの変動幅XL〜XHの上限XHは、個人の基準出力レベルXSを超えている複数の情報を対象として、少ない方から順に、過去所定期間の間の情報のうち当該将来の日時に対応する時間帯についての全情報の数の所定割合数分(本実施形態は、例えば3割分)をカウントしていった場合に最後にカウントされる情報の出力レベルを個人の出力レベルの変動幅の上限XHとして求める。
【0092】
また、個人の出力レベルの変動幅XL〜XHの下限XLは、個人の基準出力レベルXSを下回る複数の情報を対象として、多い方から順に、過去所定期間の間の情報のうち当該将来の日時に対応する時間帯についての全情報数の所定割合数分(本実施形態は、例えば3割分)をカウントしていった場合に最後にカウントされる情報の出力レベルを個人の出力レベルの変動幅の下限XLとして求める。
【0093】
ここで、出力レベルまとめ情報34hに含まれる情報であって、特定の日時における特定の需要家の特定の空気調和装置5の出力レベルの履歴情報を、1つの情報としてカウントするものとする。この処理を、将来の日時毎に行う(例えば、3月20日の13時〜14時や、14時〜15時についても行う)。
【0094】
そして、制御部31は、将来の特定の日時毎に、各個人の出力レベルの変動幅XL〜XHが、個人の基準出力レベルXSのプラスマイナス所定%の範囲内にあるか否かを判断し、範囲内に無い需要家を当該日時の処理において対象から除外する。具体的には、本実施形態では、個人の出力レベルの変動幅XL〜XHが、個人の基準出力レベルXSの−20%(80%)の判断下限値JL以上であって+20%(120%)の判断上限値JH以下であるか否かを判断している。
【0095】
ステップS12では、アグリゲータ3の制御部31は、将来の日時毎について、当該成績の悪さで除外されておらず当該日時における処理の対象からも除外されていない需要家の全体について、記憶部34に格納されている出力レベルまとめ情報34hを用いて、出力レベルの平均(全体の基準出力レベルOS)と分布範囲(全体の出力レベルの変動幅OL〜OH)を求める。
【0096】
ここで、制御部31は、出力レベルまとめ情報34hの情報のうちの除外されていない需要家の情報について、求めようとする将来の日時からさかのぼる過去所定期間(本実施形態では10日前までの分)の情報であって求めようとする将来の日時の時間帯に対応する時間帯の情報のみを用いて、全体の基準出力レベルOSと全体の出力レベルの変動幅OL〜OHを求め、この処理を将来の日時毎に行う。これにより、アグリゲータ3が管理する各需要家A〜Eのうち除外されていない需要家の全体の空気調和装置5の最近の出力動向を把握することができる。
【0097】
具体的には、全体の基準出力レベルOSは、将来の日時(例えば、3月20日の12時〜13時)からさかのぼる過去所定期間の間の情報のうち当該将来の日時に対応する時間帯についての除外されていない需要家の空気調和装置5の全ての出力レベルの情報(除外されていない需要家の全体の空気調和装置5の3月10日〜19日の情報(存在している分)であって各日の12時〜13時の情報)の合計を、その情報の数で除することで得られる。この処理を、将来の日時毎に行う(例えば、3月20日の13時〜14時や、14時〜15時についても行う)。
【0098】
また、全体の出力レベルの変動幅OL〜OHは、具体的には、将来の日時(例えば、3月20日の12時〜13時)からさかのぼる過去所定期間の間の情報のうち当該将来の日時に対応する時間帯についての除外されていない需要家の空気調和装置5の全ての出力レベルの情報(除外されていない需要家の空気調和装置5の3月10日〜19日の情報(存在している分)であって各日の12時〜13時の情報)について、
図10に示すように、出力レベル別の発生頻度の分布における、全体の基準出力レベルOSに対する所定の幅として求められる。
【0099】
ここで、全体の出力レベルの変動幅OL〜OHの上限OHは、全体の基準出力レベルOSを超えている複数の情報を対象として、少ない方から順に、過去所定期間の間の情報のうち当該将来の日時に対応する時間帯についての除外されていない需要家の全情報の数の所定割合数分(本実施形態は、例えば3割分)をカウントしていった場合に最後にカウントされる情報の出力レベルを全体の出力レベルの変動幅の上限OHとして求める。
【0100】
また、全体の出力レベルの変動幅OL〜OHの下限OLは、全体の基準出力レベルOSを下回る複数の情報を対象として、多い方から順に、過去所定期間の間の情報のうち当該将来の日時に対応する時間帯についての除外されていない需要家の全情報数の所定割合数分(本実施形態は、例えば3割分)をカウントしていった場合に最後にカウントされる情報の出力レベルを全体の出力レベルの変動幅の下限OLとして求める。
【0101】
ここで、出力レベルまとめ情報34hに含まれる情報であって、特定の日時における特定の需要家の特定の空気調和装置5の出力レベルの履歴情報を、1つの情報としてカウントするものとする。この処理を、将来の日時毎に行う(例えば、3月20日の13時〜14時や、14時〜15時についても行う)。
【0102】
ステップS13では、アグリゲータ3の制御部31は、ステップS12で求めた全体の基準出力レベルOSおよび全体の出力レベルの変動幅OL〜OHを気象情報に基づいて補正する。
【0103】
具体的には、制御部31は、将来の日時毎について、アグリゲータ3が管理している需要家のうち除外されていない需要家の空気調和装置5それぞれの地域毎の予想気温の情報を、気象情報提供装置9との通信により入手し、地域毎の当該予想気温の温度を合計して当該予想気温の情報の数で除することで、平均予想気温を求める。そして、各需要家運転履歴情報34dから過去所定期間の間の対応する時間帯の平均過去気温(室外気温)を求める。
【0104】
そして、平均予想気温と平均過去気温とを比べることで、空調負荷が増大するか減少するかを所定の判断手法で判断し、その判断結果に応じて、
図11に示すように、ステップS12で求めた全体の基準出力レベルOSおよび全体の出力レベルの変動幅OL〜OHを補正する。例えば、冷房が行われている場合には、平均予想気温が平均過去気温より高ければ高いほど、空調負荷が増大するとして、全体の基準出力レベルOSおよび全体の出力レベルの変動幅OL〜OHを増大する補正を行う。
【0105】
また、制御部31は、記憶部34に格納されている各需要家スケジュール情報34bに基づいて、省エネ運転制御モードで運転させる予定の空気調和装置5の台数(除外されている需要家の空気調和装置5を除く台数)を把握し、当該台数割合が高ければ高いほど、当該将来の日時について、全体の基準出力レベルOSおよび全体の出力レベルの変動幅OL〜OHを減少させる補正を行う。
【0106】
さらに、制御部31は、記憶部34に格納されている各需要家スケジュール情報34bに基づいて、空気調和装置5の設定温度の平均値(除外されている需要家の空気調和装置5を除いて得られる平均値)を把握し、当該平均値が冷房時には低ければ低いほど暖房時には高ければ高いほど、当該将来の日時について、全体の基準出力レベルOSおよび全体の出力レベルの変動幅OL〜OHを増大させる補正を行う。
【0107】
ステップS14では、アグリゲータ3の制御部31は、将来の日時毎について、当該成績の悪さで除外されておらず当該日時における処理の対象からも除外されていない需要家の全体について、記憶部34に格納されている運転台数情報34iを用いて、運転台数の平均(全体の基準運転台数NS)と分布範囲(全体の運転台数の変動幅NL〜NH)を求める。
【0108】
ここで、制御部31は、運転台数情報34iの情報のうちの除外されていない需要家の情報について、求めようとする将来の日時からさかのぼる過去所定期間(本実施形態では10日前までの分)の情報であって求めようとする将来の日時の時間帯に対応する時間帯の情報のみを用いて、全体の基準運転台数NSと全体の運転台数の変動幅NL〜NHを求め、この処理を将来の日時毎に行う。これにより、アグリゲータ3が管理する各需要家A〜Eのうち除外されていない需要家の全体の空気調和装置5の最近の運転台数の動向を把握することができる。
【0109】
具体的には、全体の基準運転台数NSは、将来の日時(例えば、3月20日の12時〜13時)からさかのぼる過去所定期間の間の当該将来の日時に対応する時間帯についての各日の除外されていない需要家の空気調和装置5の運転台数の情報(除外されていない需要家の空気調和装置5の3月10日〜19日の情報(存在している分)であって各日の12時〜13時の運転台数の情報)の合計(運転台数の合計)を、その各日の日数で除することで得られる。この処理を、将来の日時毎に行う(例えば、3月20日の13時〜14時や、14時〜15時についても行う)。
【0110】
また、全体の運転台数の変動幅NL〜NHは、具体的には、将来の日時(例えば、3月20日の12時〜13時)からさかのぼる過去所定期間の間の当該将来の日時に対応する時間帯についての各日の除外されていない需要家の空気調和装置5の運転台数の情報(除外されていない需要家の空気調和装置5の3月10日〜19日の情報(存在している分)であって各日の12時〜13時の運転台数の情報)について、
図12に示すように、運転台数別の発生頻度の分布における、全体の基準運転台数NSに対する所定の幅として求められる。
【0111】
ここで、全体の運転台数の変動幅NL〜NHの上限NHは、全体の基準運転台数NSを超えている複数の情報を対象として、少ない方から順に、過去所定期間の間の情報のうち当該将来の日時に対応する時間帯についての除外されていない需要家の全情報の数の所定割合数分(本実施形態は、例えば3割分)をカウントしていった場合に最後にカウントされる情報の運転台数を全体の運転台数の変動幅の上限NHとして求める。
【0112】
また、全体の運転台数の変動幅NL〜NHの下限OLは、全体の基準運転台数NSを下回る複数の情報を対象として、多い方から順に、過去所定期間の間の情報のうち当該将来の日時に対応する時間帯についての除外されていない需要家の全情報数の所定割合数分(本実施形態は、例えば3割分)をカウントしていった場合に最後にカウントされる情報の運転台数を全体の運転台数の変動幅の下限NLとして求める。
【0113】
この処理を、将来の日時毎に行う(例えば、3月20日の13時〜14時や、14時〜15時についても行う)。
【0114】
ステップS15では、アグリゲータ3の制御部31は、ステップS14で求めた全体の基準運転台数NSおよび全体の運転台数の変動幅NL〜NHを補正する。
【0115】
具体的には、制御部31は、将来の日時毎について、各需要家スケジュール情報34bから対応する将来の日時における除外されていない需要家の空気調和装置5の運転予定の情報を取得して、過去の運転の履歴情報と比較し、その判断結果に応じて、
図13に示すように、ステップS14で求めた全体の基準運転台数NSおよび全体の運転台数の変動幅NL〜NHを補正する。
【0116】
具体的には、制御部31は、各需要家スケジュール情報34bからある将来の日時についての運転予定の有無を読み出し、アグリゲータ3が管理している除外されていない需要家の空気調和装置5のうちの運転予定の空気調和装置5の台数である予定運転台数を求める。そして、制御部31は、さらに各需要家運転履歴情報34dを読み出して、過去所定期間における当該将来の日時に対応する時間帯の除外されていない需要家の空気調和装置5の運転台数の平均である平均過去運転台数を求める。なお、制御部31は、各需要家運転履歴情報34dの情報において、出力レベルがあった情報(出力レベルが0以外の情報)を運転があった情報として取り扱う。ここで、制御部31は、予定運転台数と平均過去運転台数との比較結果に応じて、全体の基準運転台数NSおよび全体の運転台数の変動幅NL〜NHを補正する。具体的には、例えば、予定運転台数の方が平均過去運転台数よりも多ければ多いほど、全体の基準運転台数NSおよび全体の運転台数の変動幅NL〜NHを増大する補正を行う。
【0117】
ステップS16では、アグリゲータ3の制御部31は、ステップS13で得られた全体の基準出力レベルOS(補正後のもの)および全体の出力レベルの変動幅OL〜OH(補正後のもの)と、ステップS15で得られた全体の基準運転台数NS(補正後のもの)および全体の運転台数の変動幅NL〜NH(補正後のもの)に基づいて、
図14のグラフに示す消費電力量の変動幅を求める。
【0118】
まず、制御部31は、全体の基準出力レベルOSと全体の基準運転台数NSとを所定の計算式に代入することで基準点SSを求める(例えば、これらの値を掛け合わせたものに所定の係数を乗じる等により求める)。そして、消費電力量0と運転台数0からなる点と当該基準点SSとの両方を通過する基準ラインを求める。また、全体の出力レベルの変動幅の上限OHと全体の基準運転台数NSとを上記所定の計算式に代入することで上限点SHを求め、同様に消費電力量0と運転台数0からなる点と当該上限点SHとの両方を通過する上限ラインを求める。さらに、全体の出力レベルの変動幅の下限OLと全体の基準運転台数NSとを上記所定の計算式に代入することで下限点SLを求め、同様に消費電力量0と運転台数0からなる点と当該下限点SLとの両方を通過する下限ラインを求める。そして、ここで求めた上限ラインと全体の運転台数の変動幅の上限NHとが重なる点(点HH)における消費電力量を消費電力量の上限PHとして求める。また、下限ラインと全体の運転台数の変動幅の下限NLとが重なる点(点LL)における消費電力量を消費電力量の下限PLとして求める。そして、消費電力量の上限PHから消費電力量の下限PLを差し引いて得られる値を消費電力量の変動幅として求める。
【0119】
以上のようにして、制御部31は、消費電力量の変動幅を、将来の日時毎に求める。
【0120】
ステップS17では、アグリゲータ3の制御部31は、記憶部34から各需要家DR予定情報34aを読み出して、将来の日時毎に各需要家A〜Eから報告されている削減予定の消費電力量のうちの除外されていない需要家から報告された削減予定の消費電力量の後述する補正値の合計量を「削減予定量」として把握する。そして、制御部31は、この「削減予定量」からステップS16において求めた「消費電力量の変動幅」を差し引くことで、電力会社1に対して申告するための「申告削減量」を求める。
【0121】
なお、制御部31は、削減予定量を把握する際には、除外されていない需要家から報告されたそれぞれの削減予定の消費電力量について、それぞれ対応する地域の気象予報(気象情報提供装置9との通信により取得される該当地域の対応日時の気温変化の情報)に基づいて補正して、その補正されたそれぞれの削減予定の消費電力量を合計する。例えば、除外されていない需要家の1人から報告されていた削減予定量が300kWであった場合において、各需要家地域情報34eから把握される当該需要家の地域の対応日時の気温変化の情報を気象情報提供装置9から受信し、気温の急上昇が予測されている場合に、冷房運転時において予定通りの消費電力量の削減を行うことが困難になると予測されることから、300kWもの削減が難しいと予想し、所定の割合で300kWから減少させる補正が行われる。当該補正の程度は、特に限定されないが、空調負荷が増大するような温度変化の程度が大きいほど削減予定量を減少させるように補正を行ってもよい。
【0122】
なお、アグリゲータ3の制御部31は、この「申告削減量」を通信により電力会社1に送信する。これにより、電力会社1は、消費電力量の調整要求を発信する際に、申告された「申告削減量」の量に基づいて、アグリゲータ3や他のアグリゲータの中から発信先のアグリゲータを選択することになる。
【0123】
ステップS18では、アグリゲータ3の制御部31は、電力会社1からの消費電力量の調整要求が将来あった場合における削減負担の割り振り予定を定める。具体的には、制御部31は、記憶部34から各需要家DR予定情報34aと各需要家DR成績情報34fを読み出して、将来の日時毎に、消費電力量の調整要求に応じる需要家を特定しつつ、特定された需要家の中から成績の良い順番で削減負担の割り振り予定を定めていく(消費電力量の調整要求を満たすことができる順番まで割り振ることとなる。)。これにより、電力会社1からの消費電力量の調整要求があった場合に、できるだけ予定通りに需要家に削減等を行わせて、アグリゲータ3としての信頼性を確保することができる。
【0124】
ステップS19では、アグリゲータ3の制御部31は、電力会社1からの消費電力量の調整要求の発信を受信したか否かを判断する。ここで、受信した場合にはステップS21に移行し、受信していない場合にはステップS20に移行する。
【0125】
ステップS20では、アグリゲータ3の制御部31は、先に求めた申告削減量や特定していた割り振りの情報が古くなっているか否か(所定時間が経過しているか否か)を判断する。特に限定されないが、例えば、ステップS12の処理を行った時点から1時間を経過しているか否かを判断する。ここで、所定時間を経過していると判断した場合には、新たな情報に更新させるためにステップS10に戻り、ステップS10〜S18までの処理を繰り返す。
【0126】
ステップS21では、アグリゲータ3の制御部31は、ステップS18で定めていた割り振りに従って、各需要家のコントローラ4に対して消費電力の削減を行うように指示を送る。
【0127】
なお、これにより消費電力の削減指示を受け付けた各需要家のコントローラ4の制御部41は、コントローラ4の記憶部44に格納されているDR制御用情報44gに従って空気調和装置5の制御を行うことで消費電力量の削減を行う。
【0128】
ステップS22では、アグリゲータ3の制御部31は、消費電力量の調整要求の指示を送信した各需要家のコントローラ4との間で通信を行い、予定通りの消費電力量の削減が予定通り行われたか否かの情報を受信する。
【0129】
ステップS23では、アグリゲータ3の制御部31は、予定通りに削減が行われていた需要家に対してはインセンティブを付与するとともに、各需要家DR成績情報34fにおいて該当する需要家の成績を上昇させる更新処理を行う。また、予定通りに削減を行うことができなかった需要家に対してはペナルティを課するとともに、各需要家DR成績情報34fにおいて該当する需要家の成績を下降させる更新処理を行う。なお、アグリゲータ3が電力会社1からインセンティブ等を受けている場合には、各需要家はアグリゲータ3から直接インセンティブ等を受け、アグリゲータ3が電力会社1からインセンティブ等を受けていない場合には、各需要家は電力会社1から直接インセンティブ等を受けることになる。
【0130】
なお、以上の処理を終えた後は、ステップS10に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0131】
(7)アグリゲータ3の特徴
本実施形態のアグリゲータ3は、各需要家から報告されたDR予定情報44aをそのまま合計してまとめて電力会社1に対して「申告削減量」として申告するのではなく、除外需要家による報告分を含めないようにして各需要家から報告されたDR予定情報44aの合計を求めており、当該合計から消費電力量の変動幅を差し引いて電力会社1に申告するための「申告削減量」を求める際においても、「消費電力量の変動幅」の特定において除外需要家以外の需要家の情報を用いるようにしている。
【0132】
すなわち、消費電力量の調整要求に対する過去の応答成績が悪い需要家や出力レベルの変動幅が大き過ぎて安定的な運転を行わない需要家を除外需要家として特定して、各値の算出において除外需要家の情報を用いないようにしている。
【0133】
これにより、アグリゲータ3は、消費電力量の調整要求を受け付けた時に予定通りの削減ができなくなるリスクを小さくし、より正確な消費電力量等の予測に基づいた判断処理を行うことが可能になるため、消費電力量の調整要求に応じることの信頼性をより高めることができている。
【0134】
しかも、消費電力量の変動幅は、除外需要家以外の需要家の実際の過去の出力レベルの情報を用いて求められているため、将来の消費電力量の変化をより精度良く予測することが可能になっている。
【0135】
(8)変形例
(8−1)変形例A
上記実施形態では、アグリゲータ3が記憶部34において各種情報を格納している場合について例に挙げて説明した。
【0136】
しかし、例えば、
図15の情報処理システム全体の概略構成図に示すように、当該各種情報を有していないアグリゲータ203に対して通信回線を介して通信可能に接続された空調遠隔監視装置2を備え、当該空調遠隔監視装置2が有する記憶部において当該各種情報が格納されていてもよい。そして、アグリゲータ203は、通信によって空調遠隔監視装置2から各種情報を取得して、除外需要家の特定や消費電力量の変動幅や申告削減量の算出を行うようにしてもよい。
【0137】
(8−2)変形例B
上記実施形態では、電力会社1からの消費電力量の調整要求を直接受信するアグリゲータ3を例に挙げて説明した。
【0138】
しかし、空気調和装置の管理装置としては、上記実施形態のアグリゲータ3に限られず、例えば、
図16の情報処理システム全体の概略構成図に示すように、アグリゲータ3の管理対象の1つとしてのサブアグリゲータ303であってもよい。この場合には、サブアグリゲータ303は、独自の管理対象として需要家F〜J(それぞれ空気調和装置5を有する)を有しており、電力会社1からの消費電力量の調整要求を直接受け付けたアグリゲータ3からの調整要求を受け付けて管理対象である需要家F〜Jにおいて振り分け等の処理を行う。サブアグリゲータ303は、自己の管理対象となる各需要家F〜JのDR予定情報やスケジュール情報や出力レベル履歴情報や運転履歴情報等を集めてまとめてアグリゲータ3に送付する。これにより、アグリゲータ3は、サブアグリゲータ303の管理対象である需要家F〜Jを、上記実施形態における1人の需要家であるかのように取り扱う。サブアグリゲータ303の他の構成は、上記アグリゲータ3と同様であるため、説明を省略する。
【0139】
(8−3)変形例C
上記実施形態では、各需要家から報告された削減予定の消費電力量のうち、除外需要家から報告された削減予定の消費電力量については「削減予定量」の算出の際に全く含めない場合を例に挙げて説明した。
【0140】
これに対して、例えば、各需要家から報告された削減予定の消費電力量のうち、除外需要家から報告された削減予定の消費電力量については、その値を小さくする重み付け処理を行って、「削減予定量」の算出の際に含めるようにしてもよい。
【0141】
重み付け処理としては、特に限定されないが、例えば、除外需要家から報告された削減予定の消費電力量が300kWであった場合には、その1/2である150kWや、1/3である100kWまで値を小さくすることが挙げられる。そして、重み付け処理された値を「削減予定量」の算出の際に含めるようにしてもよい。ここでは、除外需要家以外の需要家については、このような小さくする処理(重み付け処理)は行われない。
【0142】
この場合であっても、消費電力量の調整要求に対する過去の応答成績が悪い需要家や出力レベルの変動幅が大き過ぎて安定的な運転を行わない需要家による不安定要素の影響を小さく抑え、消費電力量の調整要求に応じることの信頼性をより高めることが可能になる。
【0143】
(8−4)変形例D
上記実施形態では、各需要家が1台の運転容量(馬力)の等しい空気調和装置5を有している場合を例に挙げて説明した。
【0144】
しかし、アグリゲータ3の管理対象となる空気調和装置としてはこれらに限られず、1人の需要家が複数台の空気調和装置を有していてもよいし、需要家毎に所有している空気調和装置の運転容量(馬力)が異なっていてもよい。また、各需要家は、空気調和装置だけでなく、他の照明機器等の電力消費機器をさらに有しており、これらの消費電力量も合わせて考慮するようにしてもよい。
【0145】
なお、各空気調和装置の運転容量(馬力)が異なっている場合には、所定の馬力に換算させた情報を用いることで、上記実施形態と同様に処理することができる。
【0146】
(8−5)変形例E
上記実施形態では、将来の特定の日時におけるアグリゲータ3としての申告削減量を予測して求める場合を例に挙げて説明した。
【0147】
しかし、アグリゲータ3としては、将来の日時毎について、消費電力量を予測して求めるようにしてもよい。例えば、将来の日時からさかのぼる過去所定期間の間の当該将来の日時に対応する時間帯についての各需要家の出力レベルの平均を求め、各出力レベルの値に各空気調和装置5の定格消費電力量を乗じることで消費電力量の調整要求が無いとした場合の通常の消費電力量を求め、当該通常の消費電力量から上述した申告削減量を減じることで将来の日時毎における消費電力量の調整要求があるとした場合のアグリゲータ3としての消費電力量を求めるようにしてもよい。