【実施例1】
【0012】
図1乃至
図3を参照して実施例1を説明する。
まず、
図1を参照して、温度周波数変換回路を説明する。温度周波数変換回路は、
図1に記載されているように、定電圧生成回路10、温度電圧変換回路20及びリングオシレータ30から構成されている。
定電圧生成回路10は、接地電圧(Vss)に対して第1のPMOSトランジスタ1のソース・ドレイン間電圧と第1のNMOSトランジスタのソース・ドレイン間電圧を足した電圧に基づいた定電圧を出力する。ここでは出力電圧を基準電圧といい、第1のPMOSトランジスタ1に基づく基準電圧を第1の基準電圧VTPとし、第1のNMOSトランジスタ2に基づく基準電圧を第2の基準電圧VTNとする。
【0013】
定電圧生成回路10は、ソースが定電流源Idに接続され、ゲート・ドレインが結線された第1のPMOSトランジスタ1と、ソースが他方の接地電圧(Vss)に接続され、ゲート・ドレインが結線され、ドレインが第1のPMOSトランジスタ1のドレインに接続された第1のNMOSトランジスタ2と、第1の入力(+)に第1のPMOSトランジスタ1のソースが接続され、第2の入力(−)に出力が帰還して接続されたオペアンプ8とから構成されている。即ち、第1のPMOSトランジスタ1に基づく第1の基準電圧VTP及び第1のNMOSトランジスタ2に基づく第2の基準電圧VTNの和がオペアンプ8の第1の入力(+)に入力され、出力端に基準電圧VTP+VTNが出力される。オペアンプ8は、バッファとして用いられ、オペアンプ8に入力した第1及び第2の基準電圧は、インピーダンス変換されて同じ大きさの電圧が出力する。
【0014】
温度電圧変換回路20は、オペアンプ8の出力からの前記定電圧と接地電圧(Vss)との間に直列に接続された第2のPMOSトランジスタ3と温度特性を持つ抵抗素子4との直列接続から構成されている。抵抗素子4の接地側とは反対側の一端と第2のPMOSトランジスタ3のドレインとの接続点及び第2のPMOSトランジスタ3のゲートは共通に接続されている。
リングオシレータ30は、オペアンプ8の出力からの前記定電圧と接地電圧(Vss)との間で形成されて入力信号を反転して出力する奇数段直列にリング状に接続されたインバータ回路及びこれらインバータ回路間の接続点に接続された容量素子7とを有する。この実施例では、インバータ回路を3段に直列接続した例を用いて説明する。リングオシレータは、各インバータ回路が入出力電圧の安定な組み合わせ状態を作ることができない場合に発振する。そのときの発振周波数は、各インバータ回路1段当たりの遅延時間の総和によって決まる。
【0015】
前記インバータ回路の各々は、第3のPMOSトランジスタ5と第2のNMOSトランジスタ6とから構成され、オペアンプ8の出力からの前記定電圧と出力端子(図示しない)との間に接続されている。第3のPMOSトランジスタ5は、第2のPMOSトランジスタ3とゲートを共通接続することにより、このトランジスタ3に流れる電流に比例した電流を生成する。また、第3のPMOSトランジスタ5は、負荷素子として用いられる。第2のNMOSトランジスタ6は、この負荷素子に直列に接続され、ゲートを入力とする。第3のPMOSトランジスタ5のドレインは、第2のNMOSトランジスタ6のドレインに接続されている。初段の第2のNMOSトランジスタ6のドレインは、次段の第2のNMOSトランジスタ6のゲートに接続され、次段の第2のNMOSトランジスタ6のドレインは、最終段の第2のNMOSトランジスタ6のゲートに接続され、最終段の第2のNMOSトランジスタ6のドレインは、初段の第2のNMOSトランジスタ6のゲートに接続される。
【0016】
この実施例において、容量素子7は、各インバータ回路間の全ての接続点に接続してあるが、本発明では、全てに接続する必要は無く、いずれか少なくとも1つの接続点に接続するようにすることも可能である。また、この容量素子は個別に形成したものでも良いし、インバータを構成するトランジスタのゲート容量等の寄生容量によって構成してもよい。
定電圧生成回路10のオペアンプ8の出力端からは第1及び第2の基準電圧VTP、VTNからなる定電圧が出力される。温度電圧変換回路20は、この定電圧と接地間に直列接続された第2のPMOSトランジスタ3と抵抗4とから構成されている。この抵抗4にかかる電圧は、第2の基準電圧VTNと同じである(第1の基準電圧VTPは、第2のPMOSトランジスタ5にかかる)。したがって、抵抗4に流れる電流iは、抵抗値をRとすると、i=VTN/Rとなる。抵抗4は、抵抗値Rが温度係数を有しており、温度センサの役割を果たす。即ち、温度センサの温度によって流れる電流が決まる。
【0017】
リングオシレータ30の初段のインバータ回路を構成する第3のPMOSトランジスタ5は、オペアンプ8の出力からの定電圧に、温度電圧変換回路20を構成する第2のPMOSトランジスタ3を介して、接続されており、両PMOSトランジスタ3、5は、カレントミラー回路を構成している。したがって、初段のインバータ回路には温度電圧変換回路20を流れる電流に比例した電流が流れる。他のインバータ回路も同じように温度変換回路20を流れる電流に比例した電流が流れる。
【0018】
リングオシレータ30において、初段のインバータ回路の出力端に接続されている容量素子7は、初段のインバータ回路の第3のPMOSトランジスタ5がオンして初段のインバータ回路の出力が高レベルになった時に、この容量素子7は充電される。初段のインバータ回路の第2のNMOSトランジスタ6がオンして、初段のインバータ回路の出力が低レベルになった時に、この容量素子7は放電される。この容量素子7の両端の電圧である次段のインバータ回路の入力電圧は、初段のインバータ回路の入力端の電圧変化に比べてこの容量素子7が充放電に要する時間だけ遅れて変化する。これは次の容量素子7についても同様である。
【0019】
これら容量素子7の充放電に要する時間は、充放電電流と容量素子の容量により決まるが、この実施例の場合、例えば、容量を一定とすれば、この充放電時間は、充放電電流によって決まる。そして、リングオシレータ30の電流は、温度電圧変換回路20から供給されるのであるから、これらの電流は、温度電圧変換回路20の抵抗4の抵抗値Rによって決まる。抵抗4の抵抗値Rは、温度係数を有しているので、リングオシレータ30の発振周波数は、温度により変化する。
【0020】
ところで、温度電圧変換回路20の抵抗4に流れる電流iは、VTN/Rで表わされる。そして、リングオシレータ30の初段のインバータ回路の第2のNMOSトランジスタ6がオフになった時に、第3のPMOSトランジスタ5から供給される電流により、初段と次段のインバータ回路間の容量素子7が充電される。この電流を抵抗4に流れる電流iと等しいとすると、容量素子7に蓄えられる電荷量Qはi・Tで表わされる。Tは1段の遅延時間を表わす。静電容量Cのコンデンサの電荷量Qは、C・Vで表わされるから、Q=C・V=i・Tである。このときの電圧Vは、VTN(第2の基準電圧)であるから、Tは、T=C・VTN/iと表わされる。一方、i=VTN/Rであるから、T=C・Rと表わされる。
【0021】
したがって、遅延時間Tは周波数の周期を決めるものであるから、この実施例の温度周波数変換回路の出力は、この回路を構成する素子の特性(VTNに左右されない)に影響を受けない。また、定電圧生成回路10を構成する第1のPMOSトランジスタ1及び第1のNMOSトランジスタ2の温度特性は、それぞれインバータ回路を構成する第3のPMOSトランジスタ5及び第2のNMOSトランジスタ6の温度特性によってキャンセルされるため、トランジスタ素子の温度特性の影響を受けない回路となる。その結果、温度電圧変換回路を構成する抵抗の温度特性を利用した温度、周波数の変換が安定に行われる温度周波数変換回路が得られる。
【0022】
次に、
図2及び
図3を参照して、この実施例の温度周波数変換回路を利用した温度補償型発振回路を説明する。
この温度補償型発振回路は、前記温度周波数変換回路11と、スイッチの切り替えによる負荷容量値の制御により発振周波数が制御される発振回路40と、発振回路40または温度周波数変換回路11のいずれか一方の出力により制御されたゲート回路12によって他方の出力周波数を計数するカウンタ回路13と、温度補償データを記憶する不揮発性メモリのメモリ14とを備え、このカウンタ回路14の計数結果に基づいて発振回路40の負荷容量値を制御するものである。
【0023】
温度周波数変換回路11は、環境温度によって出力信号の周波数が変わる。
図3(a)は温度周波数変換回路11で発振された出力信号の一例である。一方、発振回路40の出力部にはゲートパルス発生回路15が設けられており、発振回路40の出力が入力されて一定パルスが発生するようになっている。
図3(b)は一定パルスの一例である。温度周波数変換回路11の出力信号と一定パルスとはゲート回路12に入力されて、出力信号のパルス数を周波数カウンタ13において一定パルスの範囲でカウントする。
図3(c)は、
図3(a)及び
図3(b)に示される信号に基づいて生成されたゲート回路12から出力信号である。メモリ14は、周波数カウンタ13で計数した結果をアドレス信号として温度補償データを記憶する。そして、この記憶された温度補償データに基づいて発振回路40の負荷容量のスイッチ群を制御して、温度補償型発振回路40の出力周波数の温度補償を行う。遅延時間TはC・Rで表わされ、回路を構成する素子の特性に影響を受けないので、温度補償型発振回路に用いても温度補償が安定に行われる。
【実施例2】
【0024】
次に、
図4を参照して実施例2を説明する。
この実施例では、温度周波数変換回路を構成するトランジスタとして実施例1の温度周波数変換回路を構成するトランジスタの極性を逆にしていることに特徴がある。温度周波数変換回路は、電源電圧(Vdd)に対して第1のN型トランジスタのソース・ドレイン間電圧および第1のP型トランジスタのソース・ドレイン間電圧分降下した電圧に基づいた定電圧を出力する定電圧生成回路50と、前記定電圧と前記電源電圧との間に直列に接続された第2のN型トランジスタと温度特性を持つ抵抗素子との直列接続からなり、それらの接続点及び前記第2のN型トランジスタのゲートが共通に接続されている温度電圧変換回路60と、前記定電圧と前記電源電圧との間で形成されて入力信号を反転して出力する奇数段直列に接続されたインバータ回路及びリングオシレータ70から構成されている。
【0025】
当該温度周波数変換回路では、実施例1のPMOSトランジスタ3、5に対応するトランジスタは、NMOSトランジスタ23、25であり、NMOSトランジスタ6に対応するトランジスタは、PMOSトランジスタ26である。また、定電圧生成回路50に設けたオペアンプ28は、実施例1のオペアンプ8に対応している。定電圧生成回路50の基準電圧を生成するトランジスタにはPMOSトランジスタ21及びNMOSトランジスタ22を用い、抵抗には抵抗24を用いている。リングオシレータ70に配置する容量には容量素子27を用いている。実施例1同様、容量素子27は個別に容量素子を形成したものであっても良いし、インバータを構成するトランジスタのゲート容量等の寄生容量によって構成してもよい。
このような温度周波数変換回路においても実施例1と同様に、温度電圧変換回路を構成する抵抗の温度特性を利用した温度、周波数の変換が安定し、これを温度補償型発振回路に用いても温度補償が安定して行われる。