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特許6083551入力インターフェースプログラム、設計ルール解析プログラム、データベース、設計ルールの構成方法及び設計ルールの解析方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6083551
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】入力インターフェースプログラム、設計ルール解析プログラム、データベース、設計ルールの構成方法及び設計ルールの解析方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/50 20060101AFI20170213BHJP
【FI】
   G06F17/50 604H
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-535737(P2016-535737)
(86)(22)【出願日】2016年1月15日
(86)【国際出願番号】JP2016051169
【審査請求日】2016年5月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516159124
【氏名又は名称】アクアメット・テクノロジーズ合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100143926
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 公敏
(74)【代理人】
【識別番号】100149504
【弁理士】
【氏名又は名称】沖本 周子
(72)【発明者】
【氏名】水金 則人
【審査官】 松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−175050(JP,A)
【文献】 特開2004−362558(JP,A)
【文献】 米国特許第05119307(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/50
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、仕様ファクタに基づいて一連の部品群から構成部品を選択することで多様な個別製品が構成可能な製品ファミリに適用される設計ルールをデータベースに構成する処理を実行させる入力インターフェースプログラムであって、
仕様ファクタ毎に選択肢を定義した仕様ファクタ表と、
構成部品毎に選択肢を定義した構成部品表と、
仕様ファクタを自由にグループ分けし、そのグループ毎に当該グループに属する全仕様ファクタの選択肢の組合せパターンを規定した選択肢組合せ表と、
前記組合せパターンの各々から従属的に決定される構成部品の選択肢または仕様ファクタの選択肢を特定した要素決定表とからなる設計ルールの作成編集操作を許容する編集操作部、または予め作成された同内容の設計ルールの記憶媒体からの読込みを許容する媒体操作部として、前記コンピュータを機能させることを特徴とする、入力インターフェースプログラム。
【請求項2】
前記要素決定表は、前記構成部品の選択肢または仕様ファクタの選択肢の一部として、前記組合せパターンを引数とするスクリプトの本文または参照を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の入力インターフェースプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータに、請求項1または2に記載の入力インターフェースプログラムによって前記設計ルールが構成されたデータベースを参照し当該設計ルールを解析する処理を実行させる設計ルール解析プログラムであって、
前記データベースを参照し、前記仕様ファクタの各々と、前記構成部品の各々と、前記選択肢組合せ表と、前記要素決定表との間で相互依存性を解析して、個別製品を構成する際の推奨評価順序を決定する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする、設計ルール解析プログラム。
【請求項4】
仕様ファクタに基づいて一連の部品群から構成部品を選択することで多様な個別製品が構成可能な製品ファミリに適用される設計ルールが構成されたデータベースあって、
前記設計ルールは、
仕様ファクタ毎に選択肢を定義した仕様ファクタ表と、
構成部品毎に選択肢を定義した構成部品表と、
仕様ファクタを自由にグループ分けし、そのグループ毎に当該グループに属する全仕様ファクタの選択肢の組合せパターンを規定した選択肢組合せ表と、
前記組合せパターンの各々から従属的に決定される構成部品の選択肢または仕様ファクタの選択肢を特定した要素決定表とからなることを特徴とするデータベース。
【請求項5】
仕様ファクタに基づいて一連の部品群から構成部品を選択することで多様な個別製品が構成可能な製品ファミリに適用される設計ルールを構成する方法であって、
仕様ファクタ毎に選択肢を定義した仕様ファクタ表と、
構成部品毎に選択肢を定義した構成部品表と、
仕様ファクタを自由にグループ分けし、そのグループ毎に当該グループに属する全仕様ファクタの選択肢の組合せパターンを規定した選択肢組合せ表と、
前記組合せパターンの各々から従属的に決定される構成部品の選択肢または仕様ファクタの選択肢を特定した要素決定表とからなる設計ルールをデータベースに構成することを特徴とする、設計ルールの構成方法。
【請求項6】
前記要素決定表は、前記構成部品の選択肢または仕様ファクタの選択肢の一部として、前記組合せパターンを引数とするスクリプトの本文または参照を含んでいることを特徴とする請求項5に記載の設計ルールの構成方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載のデータベースの構成方法によって前記設計ルールが構成されたデータベースを参照し当該設計ルールを解析する方法であって、
前記データベースを参照し、前記仕様ファクタの各々と、前記構成部品の各々と、前記選択肢組合せ表と、前記要素決定表との間で相互依存性を解析して、個別製品を構成する際の推奨評価順序を決定することを特徴とする、設計ルールの解析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕様ファクタに基づいて一連の部品群から構成部品を選択することで多様な個別製品が構成可能な製品ファミリに適用される設計ルールをデータベースに構成して解析するコンピューター用プログラム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
前記のような製品ファミリにおける製品開発を分析するための従来技術の一つとしてマトリックス型モジュラー部品表が知られている。マトリックス型モジュラー部品表は通常それぞれ1つの仕様対応表と部品構成表から構成される。仕様対応表は製品の重要諸元である要求仕様ファクタの組合せから詳細な内部仕様ファクタを定めるためのマトリックスであり、部品構成表は、要求仕様ファクタまたは内部仕様ファクタから各構成部品の使用数量を決定するためのマトリックスである。
図12(a)、(b)は製品ファミリをベルトコンベヤ用駆動モジュールとしたときの前記仕様対応表、部品構成表の具体例である。
【0003】
また製品ファミリにおける製品開発に係る従来技術の一つとして、次の特許文献には、あらかじめ実績のある組み合わせ可能な仕様およびデータをこのコンピューターに組み込んでおき、そのコンピューターに顧客仕様を入力することにより、部品表および装組表を自動作成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-269402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで前記マトリックス型モジュラー部品表は、図12(a)、(b)に示した例からも理解されるように、仕様ファクタの選択肢、構成部品の選択肢を同一表に展開するため長大になりがちである。また単純な依存関係しか表現できない、表からルール性を把握し難いという問題もあった。
【0006】
本発明はこのような問題に着目してなされたものであり、仕様ファクタと構成部品との関連性を簡潔に表現することが可能な設計ルールを提案し、その設計ルールを作成編集してデータベースに構成するための入力インターフェースプログラム、設計ルールの構成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による入力インターフェースプログラムは、コンピュータに、仕様ファクタに基づいて一連の部品群から構成部品を選択することで多様な個別製品が構成可能な製品ファミリに適用される設計ルールをデータベースに構成する処理を実行させる入力インターフェースプログラムであって、仕様ファクタ毎に選択肢を定義した仕様ファクタ表と、構成部品毎に選択肢を定義した構成部品表と、仕様ファクタを自由にグループ分けし、そのグループ毎に当該グループに属する全仕様ファクタの選択肢の組合せパターンを規定した選択肢組合せ表と、前記組合せパターンの各々から従属的に決定される構成部品の選択肢または仕様ファクタの選択肢を特定した要素決定表とからなる設計ルールの作成編集操作を許容する操作部、または予め作成された同内容の設計ルールの記憶媒体からの読込みを許容する媒体操作部として、前記コンピュータに機能させることを特徴とする。
【0008】
また本発明による設計ルール解析プログラムは、前記コンピュータに、前記入力インターフェースプログラムによって前記設計ルールが構成されたデータベースを参照し当該設計ルールを解析する処理を実行させる設計ルール解析プログラムであって、前記データベースを参照し、前記仕様ファクタの各々と、前記構成部品の各々と、前記選択肢組合せ表と、前記要素決定表との間で相互依存性を解析して、個別製品を構成する際の推奨評価順序を決定する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
また本発明によるデータベースは、仕様ファクタに基づいて一連の部品群から構成部品を選択することで多様な個別製品が構成可能な製品ファミリに適用される設計ルールが構成されたデータベースであって、前記設計ルールは、仕様ファクタ毎に選択肢を定義した仕様ファクタ表と、構成部品毎に選択肢を定義した構成部品表と、仕様ファクタを自由にグループ分けし、そのグループ毎に当該グループに属する全仕様ファクタの選択肢の組合せパターンを規定した選択肢組合せ表と、前記組合せパターンの各々から従属的に決定される構成部品の選択肢または仕様ファクタの選択肢を特定した要素決定表とからなることを特徴とする。
【0010】
また本発明による設計ルールの構成方法は、仕様ファクタに基づいて一連の部品群から構成部品を選択することで多様な個別製品が構成可能な製品ファミリに適用される設計ルールを構成する方法であって、仕様ファクタ毎に選択肢を定義した仕様ファクタ表と、構成部品毎に選択肢を定義した構成部品表と、仕様ファクタを自由にグループ分けし、そのグループ毎に当該グループに属する全仕様ファクタの選択肢の組合せパターンを規定した選択肢組合せ表と、前記組合せパターンの各々から従属的に決定される構成部品の選択肢または仕様ファクタの選択肢を特定した要素決定表とからなる設計ルールをデータベースに構成することを特徴とする。
【0011】
また本発明による設計ルールの解析方法は、前記データベースの構成方法によって前記設計ルールが構成されたデータベースを参照し当該設計ルールを解析する方法であって、前記データベースを参照し、前記仕様ファクタの各々と、前記構成部品の各々と、前記選択肢組合せ表と、前記要素決定表との間で相互依存性を解析して、個別製品を構成する際の推奨評価順序を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、設計ルールとして自由に選択肢組合せ表、要素決定表を定義し、それらの表によって仕様ファクタと構成部品との関連性を簡潔に表現することが可能である。またそうした場合、要素決定表はコンパクトなものになり、そこからルール性等を容易に把握できる。また要素決定表がコンパクトであればその作成編集は容易であり、設計ルール全体を作成編集する作業コストも抑えられる。また本発明によれば、そのような設計ルールをデータベースに構成して解析し、個別製品を構成する際の推奨評価順序を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の一例とされるコンピューター用プログラムの基本構成を示す簡単なシステム図である。
図2】(a)、(b)は設計ルールを構成する仕様ファクタ表、構成部品表の例である。
図3】(a)、(b)はいずれも、前記仕様ファクタ表、構成部品表とともに設計ルールを構成する選択肢組合せ表の例である。
図4】前記仕様ファクタ表、構成部品表、選択肢組合せ表とともに設計ルールを構成する要素決定表の例である。
図5】他の製品ファミリに係る要素決定表の例である。
図6】要素決定表の拡張例である。
図7】設計ルールの解析処理の基本手順を示す簡単なフローチャートである。
図8】(a)は前記基本手順の実行によって得られる解析要素の一覧表であり、(b)は前記基本手順の実行によって得られる要素間依存関係の一覧表である。
図9】(a)は前記基本手順の実行によって得られる解析要素毎の世代番号の一覧表であり、(b)はその一覧表を世代番号が昇順になるようにソートしたものである。
図10】個別製品の構成処理の基本手順を示す簡単なフローチャートである。
図11】(a)、(b)はそれぞれ個別製品構成プログラムの基本的なポータル画面の一例と、その画面に対するマウス操作を示す図面である。
図12】(a)、(b)はそれぞれ従来のマトリックス型モジュラー部品表を構成する仕様対応表、部品構成表の例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施形態の一例とされるコンピューター用プログラムの基本構成を示す簡単なシステム図である。
【0015】
プログラム10は、簡潔に云えば、主要な仕様ファクタの値に基づいて一連の部品群から構成部品を選択することで多様な個別製品が構成可能な製品ファミリに適用される設計ルールRをデータベース20に構成し、その設計ルールRを解析して仕様ファクタ等の推奨評価順序Sを決定し、その推奨評価順序Sに従って仕様ファクタの選択操作を受け付けて個別製品を構成するものである。
【0016】
プログラム10はそのための基本的な構成要素として、設計ルールRをデータベース20に構成するための入力インターフェースプログラム11と、データベース20に構成された設計ルールRを解析する設計ルール解析プログラム12と、仕様ファクタの選択操作に基づいて個別製品を構成する個別製品構成プログラム13とを備えている。
【0017】
入力インターフェースプログラム11は、設計ルールRの作成編集または読込みを行うためのプログラムであって、操作画面として例えば表計算プログラムのような作表画面を表示し、その作表画面上で設計ルールRの作成編集操作を受け付ける編集操作部11a、または設計ルールRを記憶媒体30から読み込む媒体操作部11bの少なくとも一方と、データベース20を操作するデータベース操作部(図示なし)とを備える。記憶媒体30からファイル等を読み込む処理は各種プログラムで広く行われていることで、入力インターフェースプログラム11でも同様に実現できる。
【0018】
設計ルール解析プログラム12は、入力インターフェースプログラム11によって設計ルールRが構成されたデータベース20を参照し、設計ルールRの要素間の相互依存性を解析して推奨評価順序Sを決定するプログラムである。
【0019】
個別製品構成プログラム13は、設計ルール解析プログラム12が決定した推奨評価順序Sに従って各要素を評価、特定していくことで個別製品を構成するプログラムである。
【0020】
ここに製品ファミリは、製品を特徴付ける仕様ファクタに一定の選択範囲を持たせた製品グループの総称であって、個別製品はその選択範囲から仕様ファクタの所望の選択肢を選択することで特定される製品の一つ一つである。なお個別製品は最終的なものに限定されず、より上位製品を構成するモジュールであってもよい。製品ファミリとなるような製品の種別は特に限定されないが、一例を挙げれば、業者ホームページ上の操作によって自由にカスタマイズできるパーソナルコンピューター、システムキッチン、ユニット家具等がある。
【0021】
製品ファミリには、製品グループ全体に共通する仕様ファクタ(諸元項目)が規定され、仕様ファクタ毎に複数の選択肢(または変数)が用意される。仕様ファクタは、製品の重要諸元である要求仕様ファクタと、個別製品の構成段階で従属的に定められる内部仕様ファクタとを含む。
【0022】
また構成部品は一連の部品群として複数の部品種別を含んでおり、種別毎に選択肢として、具体的な品番や使用量等が用意される。
【0023】
個別製品は、そのような仕様ファクタ毎の選択肢を選択することで特定され、その特徴が得られるように構成部品を選択することで、その個別製品が構成される。このとき設計ルールRは、仕様ファクタの選択肢の組合せパターンから、構成部品の選択パターンを導き出すためのルールとして用いられる。
【0024】
本実施形態で提案される設計ルールRは、仕様ファクタ毎に選択肢を定義した仕様ファクタ表T1と、構成部品毎に選択肢を定義した構成部品表T2と、仕様ファクタを自由にグループ分けし、そのグループ毎に当該グループに属する全仕様ファクタの選択肢の組合せパターン(バリアント)を規定した複数の選択肢組合せ表T3(バリエーション表)と、それらの組合せパターンの各々から従属的に決定される構成部品の選択肢または仕様ファクタの選択肢を特定した複数の要素決定表T4(マトリックス)とからなる。
【0025】
設計ルールRは人手によって作成されるものであるが、本実施形態は、データベース20に接続する入力インターフェースにおいて、設計ルールRの作成編集操作、または予め作成された同内容の設計ルールRの記憶媒体30からの読込みを許容することを特徴としている。すなわち入力インターフェースプログラム11は、表示装置40に表示させた所定の操作画面上で設計ルールRを作成編集させるか、あるいは他のソフトウェア等で予め作成された同内容の設計ルールRをCDROM等の記憶媒体30から読み込むかすることでメモリ上に所定形式の設計ルールRを構築し、それを接続先のデータベース20に記憶させる。これによりデータベース20に設計ルールRが構成される。
【0026】
製品ファミリは、複数の仕様ファクタが定義され、かつ複数種別の構成部品によって構成されるのであるが、どの構成部品もその選択肢の決定に直接的に関係するのは一部の仕様ファクタのみということがある。つまり構成部品の各々の選択肢を、その各々に直接的に関係する一部の仕様ファクタのみから決定できる。設計ルールRは、そのような仕様ファクタと構成部品との関連性を明確化するものである。
【0027】
すなわち設計ルールRの作成編集操作では、仕様ファクタ表T1として、仕様ファクタ毎に選択肢を定義し、構成部品表T2として、構成部品毎に選択肢を定義することができる。そして選択肢組合せ表T3として、ユーザーが仕様ファクタを自由にいくつでもグループ分けすること、すなわち構成部品(または複数の構成部品の組合せ)の各々に対して、その選択肢の決定に直接的に関係すると考えられる仕様ファクタをそれぞれグループにまとめて、そのグループ毎に当該グループに属する全仕様ファクタの許容される選択肢の組合せパターンを規定することができる。そして更に、要素決定表T4として、仕様ファクタのグループ毎に、当該グループに属する全仕様ファクタの選択肢の組合せパターンの各々から従属的に決定される仕様ファクタの選択肢、構成部品の選択肢のいずれか一方または両方を特定することができる。
【0028】
設計ルールRでは、一つの製品ファミリに対して複数の要素決定表T4(マルチマトリックス)を持たせることができる、そのため一つ一つの要素決定表は、特定の仕様ファクタと特定の構成部品との関連性を簡潔に表現したコンパクトなものになり、そこからルール性等を容易に把握できる。また要素決定表T4がコンパクトであればその作成編集は容易であり、設計ルールR全体を作成編集する作業コストも抑えられる。また作業ミスも少なくなると考えられる。
【0029】
以下、設計ルールRの一例として、ベルトコンベヤ用駆動モジュールに適用される設計ルールを具体的に説明する。駆動モジュールは、モータ部品、電源部品、インバータ部品を構成部品とする製品ファミリである。
【0030】
図2(a)、(b)は、設計ルールを構成する仕様ファクタ表、構成部品表の例である。図3(a)、(b)はいずれも、図2(a)、(b)に示した仕様ファクタ表、構成部品表とともに設計ルールを構成する選択肢組合せ表の例である。そして図4(a)〜(c)はいずれも図2(a)、(b)に示した仕様ファクタ表、構成部品表、図3(a)、(b)に示した選択肢組合せ表とともに設計ルールを構成する要素決定表の例である。
【0031】
図2(a)に示す仕様ファクタ表T1(1)では、ベルトコンベヤの仕様ファクタ「搬送重量(A)」、「搬送速度(B)」…「インバータ有無(G)」毎に選択肢となる数値情報、文字列情報等が定義されている。ここで「搬送重量(A)」、「搬送速度(B)」、「出荷地域(C)」は要求仕様ファクタであり、「モータメーカー(D)」…「インバータ有無(G)」は内部仕様ファクタである。
図2(b)に示す構成部品表T2(1)では、構成部品「モータ部品(H)」、「電源部品(I)」、「インバータ部品(J)」毎に選択肢となる具体的な品番(部品番号)が定義されている。
【0032】
図3(a)に示すAB選択肢組合せ表T3(1)では、特にモータの能力に関連する2つの仕様ファクタ、すなわち「搬送重量(A)」、「搬送速度(B)」をグループ化し、このグループに許容される選択肢の組合せパターンを5×5のマトリックスによって規定している。選択肢の組合せパターンはマトリックスの列(点線枠参照)として表現している。例えば第3列によって規定される選択肢の組合せパターン「−○−○−」は、「搬送重量(A)」の選択肢「20〜30」と「搬送速度(B)」の選択肢「20」との組合せである。
【0033】
図3(b)に示すCEFG選択肢組合せ表T3(2)では、特に電源部品に関連する4つの仕様ファクタ、すなわち「出荷地域(C)」、「モータ出力(E)」…「インバータ有無(G)」をグループ化し、そのグループに許容される選択肢の組合せパターンを6×9のマトリックスによって規定している。選択肢の組合せパターンは前記と同様にマトリックスの列(点線枠参照)として表現している。例えば第4列によって規定される選択肢の組合せパターン「−○−−○−○○−」は、「出荷地域(C)」の選択肢「北米」と「モータ出力(E)」の選択肢「7」と「電源タイプ(F)」の選択肢「Q」と「インバータ有無(G)」の選択肢「有」との組合せである。
【0034】
図4(a)に示すDE決定表T4(1)では、AB選択肢組合せ表T3(1)で規定された選択肢の組合せパターンの各々から従属的に決定される仕様ファクタ、すなわち「モータメーカー(D)」、「モータ出力(E)」の選択肢を9×5マトリックスによって特定している。ここで引数である「搬送重量(A)」、「搬送速度(B)」の選択肢の組合せパターンは各列の第1〜第5行(点線枠参照)に配列され、それらから従属的に決定される決定要素である「モータメーカー(D)」、「モータ出力(E)」の選択肢の組合せパターンは対応した列の第6〜第9行に配列されている。例えば第2列のパターン「○−−−○−○○−」は、「搬送重量(A)」の選択肢「〜10」と「搬送速度(B)」の選択肢「30」との組合せパターンに対して「モータメーカー(D)」の選択肢「B社」と「モータ出力(E)」の選択肢「4.5」との組合せパターンを対応させている。
【0035】
図4(b)に示すH決定表T4(2)では、DE決定表T4(1)の決定要素、すなわち「モータメーカー(D)」、「モータ出力(E)」の選択肢の組合せパターンの各々から従属的に決定される構成部品、すなわち「モータ部品(H)」の選択肢を8×4マトリックスによって特定している。ここで引数である「モータメーカー(D)」、「モータ出力(E)」の選択肢の組合せパターンは各列の第1〜第3行(点線枠参照)に配列され、それらから従属的に決定させる決定要素である「モータ部品(H)」の選択肢は対応した列の第5〜第8行に配列されている。例えば第3列のパターン「−○○−−−○−」は、「モータメーカー(D)」の選択肢「B社」と「モータ出力(E)」の選択肢「4.5」との組合せパターンに対して「モータ部品(H)」の選択肢として「MTR03」の使用数量「1」を対応させている。
【0036】
図4(c)に示すIJ決定表T4(3)では、CEFG選択肢組合せ表T3(2)で規定された選択肢の組合せパターンの各々から従属的に決定される仕様ファクタ、すなわち「電源部品(I)」、「インバータ部品(J)」の選択肢を15×6マトリックスによって特定している。ここで引数である「出荷地域(C)」、「モータ出力(E)」、「電源タイプ(F)」の選択肢の組合せパターンは各列の第1〜第9行(点線枠参照)に配列され、それらから従属的に決定される決定要素である「電源部品(I)」、「インバータ部品(J)」の選択肢の組合せパターンは対応した列の第10〜第15行に配列されている。例えば第4列のパターン「−○−−○−○○−−−−○○−」は、「出荷地域(C)」の選択肢「北米」と「モータ出力(E)」の選択肢「7」と「電源タイプ(F)」の選択肢「Q」と「インバータ有無(J)」の選択肢「有」との組合せパターンに対して「電源部品(I)」の選択肢として「PWR903Q」の使用数量「1」と、「インバータ部品(J)」の選択肢として「INV001」の使用数量「1」との組合せパターンを特定している。
【0037】
なお図4(a)に示したDE決定表T4(1)の決定要素は仕様ファクタであるのに対して、図4(b)に示したH決定表T4(2)の決定要素、図4(c)に示したIJ決定表T4(3)の決定要素は構成部品になっている。このように要素決定表T4の決定要素の種別、内容は特に制限されておらず、以下に説明するように様々な変形が可能である。
【0038】
図5は他の製品ファミリに係る要素決定表の例である。このNOPQ決定表T4(4)では、引数である仕様ファクタ(K)、仕様ファクタ(L)の選択肢の組合せパターンから従属的に決定される要素、すなわち仕様ファクタ(N)、仕様ファクタ(O)、構成部品(P)、部品ファミリ(Q)の選択肢の組合せパターンを特定している。なお部品ファミリは、部品仕様ファクタに基づいて多様な個別部品が構成可能な部品群のことである。
【0039】
決定要素が仕様ファクタである場合、その選択肢は、例えば仕様ファクタ(N)のように複数の選択肢からいずれか一つを選択する態様、及び仕様ファクタ(O)のように単独変数の値を特定する態様が可能である。なお仕様ファクタ(O)の選択肢の内の「☆」は、当該欄に直接記載されたスクリプトである。このスクリプトは、要素決定表の引数である仕様ファクタ(K)、仕様ファクタ(L)の選択肢の組合せパターンと、参照用引数である仕様ファクタ(M)の選択肢とを参照して、仕様ファクタ(O)の選択肢となる変数の値を算出する。参照用引数、ここでは仕様ファクタ(M)は、決定要素の特定、ここで云えば仕様ファクタ(N)、(O)、構成部品(P)、部品ファミリ(Q)の選択肢の組合せパターンの特定には影響を与えないが、その組合せパターンに含まれる選択肢の内容(数値等)やスクリプトの値に影響を与えるものである。
【0040】
一方、決定要素の種別が構成部品の場合、その選択肢は、例えば構成部品(P)のように使用数量(単独変数)の値を特定する態様が可能である。また決定要素の種別が部品ファミリの場合、その選択肢は、例えば部品ファミリ(Q)のように使用数量(単独変数)の値を特定するだけでなく、部品ファミリ(Q)から個別部品を構成するための部品仕様ファクタを特定することも可能である。なお部品ファミリ(Q)の選択肢「☆」は、当該欄にスクリプトが記載されていることを意味する記号である。すなわち、実際には「☆」という記号ではなく、引数とされる仕様ファクタ(K)、仕様ファクタ(L)の選択肢の組合せパターンと、参照用引数である仕様ファクタ(M)の選択肢とを参照して、部品ファミリ(Q)から個別部品を構成するための部品仕様ファクタ(複数変数)の各値を算出するための関数式が当該欄に記載されている。
【0041】
また要素決定表T4は、以下に説明するように表記形式の拡張が可能である。
【0042】
図6(a)は、そのような要素決定表の拡張例であって、製品ファミリとしては木製キャビネットを想定している。また図6(b)は、図6(a)に示した要素決定表によって参照されるスクリプトの具体例を示している。
【0043】
このTUBW決定表T4(5)では、キャビネットの全幅(R)、奥行(S)の選択肢の組合せパターンを引数として従属的に決定される要素、すなわち8mm天板用ベニヤ板(T)の使用枚数、6mm背板用ベニヤ板(U)の使用枚数、ダボ(V)の使用数量、耐震ストッパ(W)のタイプに係る選択肢の組合せパターンを特定している。なお8mm天板用ベニヤ板(T)、6mm背板用ベニヤ板(U)の使用枚数は、3×6尺規格寸法のベニヤ板から必要数の天板、背板を板取りする場合に必要とされるベニヤ板の枚数を示す値である。
【0044】
また要素決定表T4の引数とされる仕様ファクタの選択肢の組和合わせパターンの圧縮表記を許容することも考えられる。例えば全幅(R)の選択肢の組合せパターンにおいて、第一列では「450」、「600」の2選択肢が同時選択された表記になっている。これは、「450」と「600」のいずれか一方という意味であり、本来、「450」のみを選択した列と「600」のみを選択した2列とすべきところを、1列にまとめて表記したものである。
【0045】
また決定要素の選択肢としてスクリプト表記を許容することが考えられる。スクリプトとして四則演算子やプログラム言語等が使用できれば、仕様ファクタの選択肢の組和合わせパターンから決定要素を算出するためのアルゴリズムを表現することも可能になる。例えば8mm天板用合板(T)の使用枚数では、その選択肢を、要素決定表T4の外部で予め定義されたスクリプトへの参照$A、$Bとしている(図6(b)参照)。このような場合、スクリプトは少なくとも要素決定表T4の行単位で共通定義しておくとよい。
またダボ(V)の使用数量では、その選択肢を、要素決定表T4の外部で予め定義されたスクリプトへの参照$Cとしている(図6(b)参照)。参照$Cは各列共通で同一のスクリプトを参照しているが、スクリプト内で場合分けがなされている。つまり複数の選択肢を用いない場合分けが可能になる。
また6mm背板用ベニヤ板(U)の使用枚数では、その選択肢を、当該欄に直接記載されたスクリプト「☆」としている。このときスクリプトは欄毎に異なっていてもよい。
【0046】
このような選択肢の組合わせパターンの圧縮表記と、決定要素のスクリプトによる表記とを組み合わせれば、要素決定表T4がコンパクトになり、その作成のための作業量も大幅に低減できる。
【0047】
また決定要素として一意的な値をとらない不定値タイプを許容することも考えられる。例えば耐震ストッパ(W)のタイプに係る選択肢の組合せパターンにおいて、第一列では、「Aタイプ」と「ナシ」の2選択肢が同時選択された表記になっている。これは「Aタイプ」または「ナシ」を許容するという意味であり、個別製品を構成する手続きの後工程において選択肢に制限をかけることが可能になる。
【0048】
次いで、設計ルールRを解析する設計ルール解析プログラム12について説明する。
【0049】
設計ルールRの解析では、データベース20を参照し、仕様ファクタ表T1に定義された仕様ファクタの各々と、構成部品表T2に規定された構成部品の各々と、選択肢組合せ表T3と、要素決定表T4の決定要素との間で相互依存性を解析して、個別製品を構成する際の推奨評価順序Sを決定する。
【0050】
図7は、設計ルールの解析処理の基本手順を示す簡単なフローチャートである。以下の説明では、依存関係において相手に影響を与える側を「親」、影響を受ける側を「子」と表現する。
ステップ100は、仕様ファクタの各々と、構成部品の各々と、選択肢組合せ表と、要素決定表とを解析要素として列挙する処理である。
ステップ101は、選択肢組合せ表、要素決定表における要素間依存関係(親子関係)を全て抽出する処理である。
ステップ102〜104は従属関係の再帰的な解析処理である。ステップ102では、要素間依存関係を検索して、どの解析要素に対しても「子」になっていない解析要素に世代番号「0」を与える初期化処理をしている。次いで再帰的処理として、ステップ103では、要素間依存関係を再検索して、当該依存関係における「親」が全て世代番号を有していれば、当該依存関係における「子」の各々に世代番号として、「親」の最大世代番号+1を与える処理をしている。ステップ104では、解析要素の全てが世代番号を得たか否かを判断しており、解析要素の全てが世代番号を得るまでステップ103を繰り返すようにしている。
【0051】
このような手順によって解析要素の全てが世代番号を得たとき、その世代番号は、個別製品を構成する際の推奨評価順序を示すものになる。すなわち個別製品を構成する作業において、これらの世代番号の昇順に要素を評価、特定していけば、不要な試行錯誤を繰り返さず効率的に個別製品が構成できる。
【0052】
以下、図2(a)、(b)に示した仕様ファクタ表T1(1)、構成部品表T2(1)、図3(a)、(b)に示した選択肢組合せ表T3(1)、T3(2)、図4(a)〜(c)に示した要素決定表T4(1)…T4(3)によって構成される設計ルールRに対する具体的な解析析処理について説明する。
【0053】
図8(a)は、前記ステップ100の実行によって得られた解析要素の一覧表である。この表T5では、仕様ファクタとして「搬送重量(A)」…「インバータ有無(G)」と、構成部品として「モータ部品(H)」…「インバータ部品(J)」と、選択肢組合せ表T3としてAB選択肢組合せ表、CEFD選択肢組合せ表と、要素決定表としてDE決定表…IJ決定表とが列挙されている。
【0054】
図8(b)は、前記ステップ101の実行によって得られた要素間依存関係の一覧表である。この表T6では、選択肢組合せ表、要素決定表に係る要素間依存関係(親子関係)が全て抽出されている。
例えば表T6の1、2行目(点線枠参照)において、「搬送重量(A)」、「搬送速度(B)」と、AB選択肢組合せ表とがそれぞれ、相手に影響を与える側の「親」、影響を受ける側の「子」になった依存関係、つまり「搬送重量(A)」、「搬送速度(B)」が定まると、それに従属してAB選択肢組合せ表の決定要素が自動的に定まるという関係が示されている。
また表T6の7〜9行目(点線枠参照)において、AB選択肢組合せ表T3(1)と、DE決定表とがそれぞれ「親」、「子」になった依存関係、DE決定表と、「モータメーカー(D)」、「モータ出力(E)」とがそれぞれ「親」、「子」になった依存関係が示されている。
【0055】
図9(a)は、前記ステップ102〜104の実行によって得られた解析要素毎の世代番号の一覧表である。
この表T7が得られるまでの処理内容を簡単に説明すると次のようになる。ステップ102によって、表T5に列挙されている要素間依存関係が検索され、どの解析要素に対しても「子」になっていない解析要素、すなわち「搬送重量(A)」、「搬送速度(B)」、「出荷地域(C)」、「電源タイプ(F)」、「インバータ有無(G)」に世代番号「0」が与えられている。
この後、ステップ103によって、表T2に列挙されている要素間依存関係が再検索され、当該依存関係における「親」が全て世代番号を有しているものとして、例えば、「搬送重量(A)」、「搬送速度(B)」と、AB選択肢組合せ表との依存関係が検出される。その結果、当該依存関係で「子」になっているAB選択肢組合せ表に、その「親」の最大世代番号+1、すなわち「1」が与えられている。
そしてステップ104では、解析要素の全てが世代番号を得たか否かを判断しており、解析要素の全てが世代番号を得るまで、ステップ103が繰り返される。こうして得られた世代番号を一覧表にすれば表T7になる。
【0056】
表T7によれば、「搬送重量(A)」、「搬送速度(B)」、「出荷地域(C)」、「電源タイプ(F)」、「インバータ有無(G)」は世代番号「0」であり、AB選択肢組合せ表T3(1)は世代番号「1」である。そしてDE決定表は世代番号「2」であり、「モータメーカー(D)」、「モータ出力(E)」は世代番号「3」である。またCEFG選択肢組合せ表、H決定表は世代番号「4」であり、「モータ部品(H)」、IJ決定表は世代番号「5」であり、「電源部品(I)」、「インバータ部品(J)」は世代番号「6」である。
図9(b)は、世代番号が昇順になるように表T3をソートしたあとの表である。個別製品を構成する作業では、この表T8に示すように、世代番号の昇順に要素を評価、特定していくことが望ましい。
【0057】
以下、個別製品構成プログラム13について説明する。
【0058】
図10は、個別製品構成プログラム13の処理内容、すなわち個別製品の構成処理の基本手順を示す簡単なフローチャートである。このフローチャートでは、設計ルールの解析処理が予め実行されており、その解析要素、すなわち仕様ファクタの各々と、構成部品の各々と、選択肢組合せ表と、要素決定表の決定要素がリストアップされ、更にその全てについて世代番号を得ていると想定しており、その世代番号の昇順に、仕様ファクタ、選択肢組合せ表、要素決定表、構成部品等の要素を評価、特定していくことで、個別製品を構成するようにしている。
【0059】
詳細に説明すると、ステップ200は、評価対象の世代番号を示す変数Xに初期値「0」を設定する処理である。
ステップ201は、世代番号Xを有する要素(仕様ファクタ、構成部品、選択肢組合せ表、または要素決定表の決定要素)を逐次選択する処理である。
ステップ202、203は、要素の種別が仕様ファクタである場合、その仕様ファクタの選択肢の選択操作を受け付けて記録する処理である。
ステップ204、205は、選択された要素の種別が選択肢組合せ表である場合、当該選択肢組合せ表を評価する処理である。具体的には、関連するグループに属する仕様ファクタを検索して、ステップ201等によって選択肢が決定された仕様ファクタから、当該選択肢組合せ表を構成するグループに属するものを抽出して、当該選択肢組合せ表に規定された選択肢の組合せパターン内に成立するものが存在していること等を確認する。
このときの評価結果には未定、確定、無効がある。未定は、当該選択肢組合せ表を構成するグループに属する1以上の仕様ファクタの選択肢が未定である状態である。確定は、当該選択肢組合せ表を構成するグループに属する全ての仕様ファクタの選択肢が確定され、かつ規定された選択肢の組合せパターン内に成立するものが存在している状態である。無効は、当該選択肢組合せ表を構成するグループに属する全ての仕様ファクタの選択肢が確定され、かつ規定された選択肢の組合せパターン内に成立するものが一つも存在しない状態である。ここで無効と評価された選択肢組合せ表は以後評価対象としないことで情報処理量を抑えることができる。また無効とされた選択肢組合せ表に関連する要素決定表も同時に無効化するとよい。
ステップ206、207は、選択された要素の種別が要素決定表である場合、当該要素決定表を評価する処理である。具体的には、当該要素決定表の引数でありかつ成立済みの選択肢の組合わせパターンに対応する決定要素が存在していることを確認する処理である。
このときの評価結果には未定、確定、無効がある。未定は、当該要素決定表の引数である選択肢の組合せパターンが未定である状態である。確定は、当該要素決定表の引数である選択肢の組合せパターンが成立しており、対応する決定要素が特定できる状態である。無効は、当該要素決定表の引数である選択肢の組合せパターン内に成立するものが一つもないことが確実になった状態(関連する選択肢組合せ表が無効化されている等)である。ここで無効と評価された要素決定表は以後評価対象としないことで情報処理量を抑えることができる。
ステップ208、209は、選択された要素の種別が構成部品である場合、当該構成部品を決定要素としている要素決定表を参照して、当該構成部品の使用数量等を特定する処理である。
ステップ210は、世代番号Xを有する要素が全て評価されたか否かを判定する処理である。世代番号Xを有する要素が全て評価されていない場合は、ステップ201に戻して次の要素の評価を行う。
ステップ211、212は、世代番号Xが最大になっているか否かを判定し、最大になっていなければ世代番号Xを一つ大きくして、ステップ201に戻す一方、既に最大であれば処理を終了または停止させる処理である。
【0060】
個別製品構成プログラム13は、表示装置40にポータル画面を表示し、そのポータル画面上で1以上の仕様ファクタの選択肢の選択操作がなされたとき、その操作をトリガーとして前記基本手順を繰り返し実行すればよい。そうして全ての要素の評価、特定がおえたときに個別製品が構成されたことになる。個別製品構成プログラムは、個別製品の構成が完了したときに、その個別製品に関する仕様ファクタ一覧表Uや使用部品一覧表V等を出力すればよい。
【0061】
図11(a)、(b)は個別製品構成プログラムの基本的なポータル画面の一例と、その画面に対するマウス操作を示す図面である。このポータル画面Wは、図2(a)、(b)に示した仕様ファクタ表T1(1)、構成部品表T2(1)、図3(a)、(b)に示した選択肢組合せ表T3(1)、T3(2)、図4(a)〜(c)に示した要素決定表T4(1)…T4(3)からなる設計ルールRの解析結果に基づいて自動生成されるものである。
【0062】
図11(a)に示すように、ポータル画面Wの構成は特に制限されないが、例えば2列のマトリックス形式とし、その左列には、仕様ファクタ「搬送重量(A)」…「モータ出力(E)」を世代番号の昇順に配列し、右列には、仕様ファクタのそれぞれに対応させてプルダウン形式で選択肢を設定できる操作部を配列した画面構成にしてもよい。ポータル画面Wは世代番号の昇順になるように仕様ファクタの各々に順序良く選択肢を設定していけるような画面構成にするとよい。
【0063】
図11(b)に示すように、ポータル画面Wにおいて仕様ファクタのいずれかに対応した操作部を操作したときには、その時点で選択可能な全ての選択肢がプルダウン形式に展開表示されるとよい。例えば、図11(b)では、マウスポインタの操作によって、選択肢「出荷地域(C)」の選択肢「国内」…「中国」がプルダウン形式で展開表示されている。プルダウン形式に表示された選択肢のいずれかをマウス操作で選択すれば、当該仕様ファクタに対してその選択肢が設定される。個別製品構成プログラム13は、このような操作がなされる度に前記基本手順を実行すればよい。
【0064】
なお個別製品構成プログラム13は、ポータル画面Wを用いた対話的な操作によって個別製品を構成できるが、変形例として、対話的な操作ではなく、少なくとも全ての要求仕様ファクタに対して選択肢を一括設定した設計情報を記憶媒体30から読込んで個別製品を構成するようにしてもよい。そうした場合でも前記基本手順と略同様の手順によって個別製品を構成できる。すなわち前記基本手順のステップ203では、読み込んだ設計情報から、対応した仕様ファクタの選択肢の選択情報を抽出すればよく、それ以外のステップに係る処理は前記と同様にすればよい。
【符号の簡単な説明】
【0065】
11 入力インターフェースプログラム
11a 編集操作部
11b 媒体操作部
12 設計ルール解析プログラム
20 データベース
R 設計ルール
S 推奨評価順序
T1 仕様ファクタ表
T2 構成部品表
T3 選択肢組合せ表
T4 要素決定表
【要約】
仕様ファクタと構成部品との関連性を簡潔に表現することが可能な設計ルールを作成編集してデータベースに構成するための入力インターフェースプログラムを提供する。
入力インターフェースプログラム11は、仕様ファクタ毎に選択肢を定義した仕様ファクタ表T1と、構成部品毎に選択肢を定義した構成部品表T2と、仕様ファクタを自由にグループ分けし、そのグループ毎に当該グループに属する全仕様ファクタの選択肢の組合せパターンを規定した選択肢組合せ表T3と、その組合せパターンの各々から従属的に決定される構成部品の選択肢または仕様ファクタの選択肢を特定した要素決定表T4とからなる設計ルールRの作成編集操作を許容する編集操作部11a、または予め作成された同内容の設計ルールRの記憶媒体30からの読込みを許容する媒体操作部11bを備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12