【実施例】
【0015】
以下に本発明の一実施例を
図1に示す。
図1は本発明の一実施例による燃料ガス発生装置を示す構成図である。
図1に示すように、本実施例による燃料ガス発生装置は、高温の燃焼ガスを発生させる燃焼炉10と、間接加熱により有機物を熱分解ガスと炭化物に分離するガス化炉20と、ガス化炉20で分離した熱分解ガスからタール成分を除去する養生室30とを備えている。なお、ガス化炉20には、攪拌スクリュー付横型回転炉やロータリーキルンが適している。
【0016】
燃焼炉10における燃焼ガスの温度は800℃以上とし、養生室30に導入する燃焼ガスの温度は700℃以上とし、ガス化炉20に導入する燃焼ガスの温度は650℃以上とする。ガス化炉20に導入する燃焼ガスの温度を650℃以上とすることで、ガス化炉20内の有機物を400℃から650℃の環境下とする。
より、好ましくは、燃焼炉10における燃焼ガスの温度は950℃以上とし、養生室30に導入する燃焼ガスの温度は850℃以上とし、ガス化炉20に導入する燃焼ガスの温度は800℃以上とする。ガス化炉20に導入する燃焼ガスの温度を800℃以上とすることで、ガス化炉20内の有機物を400℃から650℃の環境下とする。
【0017】
なお、養生室30から排出される燃焼ガスの温度が650℃から850℃となるように、より好ましくは800℃から850℃となるように燃焼炉10における燃焼を制御する。
また、ガス化炉20から排出される燃焼ガスの温度が250℃から600℃となるように、より好ましくは250℃から400℃となるように、燃焼炉10における燃焼を制御する。
従って、図示はしないが、養生室30から排出される燃焼ガスの温度を検出する温度検出手段やガス化炉20から排出される燃焼ガスの温度を検出する温度検出手段を備え、これらの温度に基づいて燃焼炉10に供給する燃料量や空気量を調整する制御装置を備えている。
【0018】
ガス化炉20は、有機物が投入される有機物ガス化空間21と、有機物ガス化空間21を加熱する燃焼ガスを流通させる燃焼ガス空間22とからなる。有機物ガス化空間21と燃焼ガス空間22とは隔壁によって完全に区画されている。有機物ガス化空間21には、燃焼部を持たないUターンキルンが適している。本実施例では、燃焼ガス空間22は、有機物ガス化空間21の外周に形成している。
有機物ガス化空間21は、例えば横型筒状に形成され、筒状の一端側から、木材チップ、農業残渣物、食品残渣物などの有機物が連続的に投入され、有機物は熱分解ガスと炭化物に分離した後に、筒状の他端側がら導出される。
【0019】
有機物ガス化空間21の他端側には、配管が上下方向に配置される分岐管23が接続されている。
分岐管23の下方配管23aは、燃焼炉10内に延出し、有機物ガス化空間21で分離された炭化物(チャー)を燃焼炉10内に導く。このように、ガス化炉20で分離した炭化物を燃焼炉10に導いて燃焼させることで効率を高めることができる。
分岐管23の上方配管23bは、養生室30に接続されている。
養生室30は二重管で構成され、内部空間31には有機物ガス化空間21で分離された熱分解ガスが導入され、外部空間32には内部空間31を加熱する燃焼ガスが導入される。
内部空間31と外部空間32とは、隔壁によって完全に区画されている。内部空間31には、好ましくは触媒33を充填する。触媒33には、例えば金属触媒を用いる。この金属触媒によって、タール成分の熱分解を促進することができる。
【0020】
燃焼炉10と外部空間32とは、第1の燃焼ガス用配管11で接続され、燃焼炉10で発生させた燃焼ガスを外部空間32に導いている。第1の燃焼ガス用配管11の途中には分離器12が接続され、燃焼ガスに含まれる炭化物を分離する。
養生室30の外部空間32と燃焼ガス空間22とは、第2の燃焼ガス用配管13で接続され、外部空間32にて放熱した燃焼ガスを燃焼ガス空間22に導いている。
燃焼ガス空間22には、第3の燃焼ガス用配管14が接続され、燃焼ガス空間22にて放熱した燃焼ガスを排気する。
【0021】
第3の燃焼ガス用配管14には、出口側端部に排気ブロワー15が接続され、排気ブロワー15によって燃焼ガスを排気する。
第3の燃焼ガス用配管14には、排気ブロワー15に至るまでの経路に、熱回収器16とバグフィルタ17が接続されている。熱回収器16は、バグフィルタ17より上流側に配置する。
熱回収器16は、燃焼ガスから熱を吸収して空気を加熱し、加熱した空気を燃焼炉10に導くことで、燃焼炉10での燃焼ガスの温度を高めることができる。
【0022】
なお、熱回収器16は、燃焼炉10における燃料の加熱に用いてもよい。なお、熱回収器16で放熱された燃焼ガスは、450℃以下、より好ましくは200℃以下とする。熱回収器16から排出される燃焼ガス温度を200℃以下とすることで、耐熱ナイロンを素材としたバグフィルタ17や汎用的な排気ブロワー15を用いることができる。また、排気ブロワー15やバグフィルタ17を通過する燃焼ガス温度を低下させるために、熱回収器16の下流側の第3の燃焼ガス用配管14に、外気を導入する吸入経路を接続してもよい。
【0023】
養生室30の内部空間31とサイクロン40とは第1の接続管24で接続され、内部空間31にてタール成分を除去された熱分解ガスをサイクロン40に導いている。
サイクロン40には、サイクロン40の下部と上部を接続する循環経路41が設けられている。この循環経路41には、熱交換器42と循環用ブロワー43が設けられ、熱交換器42によって循環経路41を通過する熱分解ガスを冷却する。
サイクロン40とスクラバー50とは、第2の接続管25で接続され、サイクロン40にてタール成分や炭化物を除去された熱分解ガスを
スクラバー50に導いている。
スクラバー50には、
スクラバー50の下部と上部を接続する循環経路51が設けられている。この循環経路51には、熱交換器52と循環用ブロワー53が設けられ、熱交換器52によって循環経路51を通過する熱分解ガスを冷却する。
【0024】
スクラバー50には、第3の接続管26が接続され、
スクラバー50から導出される熱分解ガスをガスホルダー60に導く。
第3の接続管26には、ガスホルダー60に至るまでの経路に、フィルター61とブロワー62が接続されている。フィルター61は、ブロワー62より上流側に配置する。
ガスホルダー60に導かれた熱分解ガスは、例えばガスエンジン発電機70に利用される。
【0025】
上記構成によって、燃焼炉10で発生させた燃焼ガスを養生室30に導き、養生室30に導いた燃焼ガスによって養生室30内の熱分解ガスを間接加熱し、熱分解ガスに対して放熱した後の燃焼ガスをガス化炉20に導き、ガス化炉20に導いた燃焼ガスによって有機物を加熱する。
【0026】
本実施例によれば、燃焼炉10で発生させた燃焼ガスを養生室30に導くことでタール成分の除去を行い、養生室30で放熱した後の燃焼ガスをガス化炉20に利用するものであり、養生室30及びガス化炉20にはいずれにも燃焼室を設けないことで装置の小型化を図れると共に、養生室30で必要とする燃焼ガスの温度と、ガス化炉20で必要とする燃焼ガスの温度の違いに着目して養生室30で放熱した後の燃焼ガスをガス化炉20に利用することで、効率を高めることができる。
また、本実施例によれば、燃焼炉10における燃焼ガスの温度を800℃以上、より好ましくは950℃以上とすることで、養生室30でのタール成分除去に必要な700℃から900℃、より好ましくは850℃から900℃の燃焼ガス温度を満足することができ、養生室30に導入する燃焼ガスの温度を700℃以上、より好ましくは850℃以上とすることで、ガス化炉20で有機物を熱分解ガスと炭化物に分離する温度を満足することができる。
また、本実施例によれば、養生室30から排出される燃焼ガスの温度によって燃焼炉10を制御することで、養生室30とガス化炉20での適正な温度を維持することができる。
また、本実施例によれば、ガス化炉20から排出される燃焼ガスの温度によって燃焼炉10を制御することで、養生室30とガス化炉20での適正な温度を維持することができる。