特許第6083558号(P6083558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6083558-燃料ガス発生装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6083558
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】燃料ガス発生装置
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/72 20060101AFI20170213BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   C10J3/72 F
   C10J3/72 B
   B09B3/00 302Z
   B09B3/00ZAB
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-281720(P2012-281720)
(22)【出願日】2012年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-125508(P2014-125508A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】512018689
【氏名又は名称】常陽化成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513158139
【氏名又は名称】ユア・エネルギー開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(72)【発明者】
【氏名】宮野 悦甫
(72)【発明者】
【氏名】金藏 法義
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−132458(JP,A)
【文献】 特開2007−229548(JP,A)
【文献】 特開2012−021047(JP,A)
【文献】 特開2009−298967(JP,A)
【文献】 特開2009−215387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温の燃焼ガスを発生させる燃焼炉と、間接加熱により有機物を熱分解ガスと炭化物に分離するガス化炉と、前記ガス化炉で分離した前記熱分解ガスからタール成分を除去する養生室とを備え、
前記燃焼炉で発生させた前記燃焼ガスを前記養生室に導き、前記養生室に導いた前記燃焼ガスによって前記養生室内の前記熱分解ガスを間接加熱し、前記燃焼炉で発生させた前記燃焼ガスを前記ガス化炉に導き、前記ガス化炉に導いた前記燃焼ガスによって前記有機物を加熱する燃料ガス発生装置であって、
前記ガス化炉を、前記有機物が投入される有機物ガス化空間と、前記有機物ガス化空間を加熱する前記燃焼ガスを流通させる燃焼ガス空間とで構成し、
前記有機物ガス化空間の他端側には、配管が上下方向に配置される分岐管が接続され、
前記分岐管の上方配管は、前記養生室に接続され、
前記有機物ガス化空間の一端側から、木材チップ、農業残渣物、食品残渣物などの前記有機物が投入され、前記有機物は前記熱分解ガスと前記炭化物に分離した後に、前記有機物ガス化空間の前記他端側がら導出され、
前記分岐管の下方配管からは、前記有機物ガス化空間で分離された前記炭化物を排出し、
前記養生室にて前記タール成分を除去された前記熱分解ガスをサイクロンに導き、
前記サイクロンにて前記タール成分や前記炭化物を除去された前記熱分解ガスをスクラバーに導き、
前記サイクロンには、前記サイクロンの下部と上部を接続するサイクロン用循環経路を設け、
前記サイクロン用循環経路には、サイクロン用熱交換器とサイクロン用循環用ブロワーとを設け、
前記サイクロン用熱交換器によって前記サイクロン用循環経路を通過する前記熱分解ガスを冷却し、
前記スクラバーには、前記スクラバーの下部と上部を接続するスクラバー用循環経路を設け、
前記スクラバー用循環経路には、スクラバー用熱交換器とスクラバー用循環用ブロワーとを設け、
前記スクラバー用熱交換器によって前記スクラバー用循環経路を通過する前記熱分解ガスを冷却する
ことを特徴とする燃料ガス発生装置。
【請求項2】
前記燃焼炉における前記燃焼ガスの温度を800℃以上とし、前記養生室に導入する前記燃焼ガスの温度を700℃以上とし、前記ガス化炉に導入する前記燃焼ガスの温度を650℃以上としたことを特徴とする請求項1に記載の燃料ガス発生装置。
【請求項3】
前記養生室から排出される前記燃焼ガスの温度が650℃から850℃となるように前記燃焼炉における燃焼を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料ガス発生装置。
【請求項4】
前記ガス化炉から排出される前記燃焼ガスの温度が250℃から600℃となるように前記燃焼炉における燃焼を制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃料ガス発生装置。
【請求項5】
前記ガス化炉で分離した前記炭化物を前記燃焼炉に導いて燃焼させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の燃料ガス発生装置。
【請求項6】
前記ガス化炉には、前記熱分解ガスに対して放熱した後の前記燃焼ガスを導くことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の燃料ガス発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物から燃料ガスを発生させる燃料ガス発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機物を加熱してガス化させると、熱分解ガスにはタール成分を多く含む。タール成分の多く含まれる熱分解ガスを発電機などの動力回収装置に用いると、タール成分によって動力回収装置に支障をきたす。従って、タール含有の少ない熱分解ガスとすることが望まれる。
特許文献1では、熱分解ガスからタール成分を除去するために、熱分解炉で生成した熱分解ガスを触媒反応器に導入し、この触媒反応器にてタール成分を除去することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−112956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、部分燃焼ガス化炉を備え、この部分燃焼ガス化炉で発生させた可燃性ガスを熱分解炉と触媒反応器に導いている。
熱分解炉に導かれた可燃性ガスは、空気と混合されてバーナで燃焼される。この時の燃焼温度は700℃から1000℃とされている。また、触媒反応器に導かれた可燃性ガスについても、空気と混合されてバーナで燃焼される。この時の燃焼温度についても700℃から1000℃とされている。
このように特許文献1では、熱分解炉と触媒反応器とにそれぞれバーナを備えた燃焼部を有している。
従って、熱分解炉及び触媒反応器は、燃焼部を有することで装置が大型化するとともに、多くの熱量を必要とするために効率が低下する。
【0005】
本発明は、装置の小型化を図れると共に、有機物ガス化空間で分離された炭化物を排出することができる燃料ガス発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の燃料ガス発生装置は、高温の燃焼ガスを発生させる燃焼炉と、間接加熱により有機物を熱分解ガスと炭化物に分離するガス化炉と、前記ガス化炉で分離した前記熱分解ガスからタール成分を除去する養生室とを備え、前記燃焼炉で発生させた前記燃焼ガスを前記養生室に導き、前記養生室に導いた前記燃焼ガスによって前記養生室内の前記熱分解ガスを間接加熱し、前記燃焼炉で発生させた前記燃焼ガスを前記ガス化炉に導き、前記ガス化炉に導いた前記燃焼ガスによって前記有機物を加熱する燃料ガス発生装置であって、前記ガス化炉を、前記有機物が投入される有機物ガス化空間と、前記有機物ガス化空間を加熱する前記燃焼ガスを流通させる燃焼ガス空間とで構成し、前記有機物ガス化空間の他端側には、配管が上下方向に配置される分岐管が接続され、前記分岐管の上方配管は、前記養生室に接続され、前記有機物ガス化空間の一端側から、木材チップ、農業残渣物、食品残渣物などの前記有機物が投入され、前記有機物は前記熱分解ガスと前記炭化物に分離した後に、前記有機物ガス化空間の前記他端側がら導出され、前記分岐管の下方配管からは、前記有機物ガス化空間で分離された前記炭化物を排出し、前記養生室にて前記タール成分を除去された前記熱分解ガスをサイクロンに導き、前記サイクロンにて前記タール成分や前記炭化物を除去された前記熱分解ガスをスクラバーに導き、前記サイクロンには、前記サイクロンの下部と上部を接続するサイクロン用循環経路を設け、前記サイクロン用循環経路には、サイクロン用熱交換器とサイクロン用循環用ブロワーとを設け、前記サイクロン用熱交換器によって前記サイクロン用循環経路を通過する前記熱分解ガスを冷却し、前記スクラバーには、前記スクラバーの下部と上部を接続するスクラバー用循環経路を設け、前記スクラバー用循環経路には、スクラバー用熱交換器とスクラバー用循環用ブロワーとを設け、前記スクラバー用熱交換器によって前記スクラバー用循環経路を通過する前記熱分解ガスを冷却することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の燃料ガス発生装置において、前記燃焼炉における前記燃焼ガスの温度を800℃以上とし、前記養生室に導入する前記燃焼ガスの温度を700℃以上とし、前記ガス化炉に導入する前記燃焼ガスの温度を650℃以上としたことを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の燃料ガス発生装置において、前記養生室から排出される前記燃焼ガスの温度が650℃から850℃となるように前記燃焼炉における燃焼を制御することを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の燃料ガス発生装置において、前記ガス化炉から排出される前記燃焼ガスの温度が250℃から600℃となるように前記燃焼炉における燃焼を制御することを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の燃料ガス発生装置において、前記ガス化炉で分離した前記炭化物を前記燃焼炉に導いて燃焼させることを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の燃料ガス発生装置において、前記ガス化炉には、前記熱分解ガスに対して放熱した後の前記燃焼ガスを導くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、燃焼炉で発生させた燃焼ガスを養生室に導くことでタール成分の除去を行い、分岐管の下方配管からは、有機物ガス化空間で分離された炭化物を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例による燃料ガス発生装置を示す処理流れ図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による燃料ガス発生装置は、ガス化炉を、有機物が投入される有機物ガス化空間と、有機物ガス化空間を加熱する燃焼ガスを流通させる燃焼ガス空間とで構成し、有機物ガス化空間の他端側には、配管が上下方向に配置される分岐管が接続され、分岐管の上方配管は、養生室に接続され、有機物ガス化空間の一端側から、木材チップ、農業残渣物、食品残渣物などの有機物が投入され、有機物は熱分解ガスと炭化物に分離した後に、有機物ガス化空間の他端側がら導出され、分岐管の下方配管からは、有機物ガス化空間で分離された炭化物を排出し、養生室にてタール成分を除去された熱分解ガスをサイクロンに導き、サイクロンにてタール成分や炭化物を除去された熱分解ガスをスクラバーに導き、サイクロンには、サイクロンの下部と上部を接続するサイクロン用循環経路を設け、サイクロン用循環経路には、サイクロン用熱交換器とサイクロン用循環用ブロワーとを設け、サイクロン用熱交換器によってサイクロン用循環経路を通過する熱分解ガスを冷却し、スクラバーには、スクラバーの下部と上部を接続するスクラバー用循環経路を設け、スクラバー用循環経路には、スクラバー用熱交換器とスクラバー用循環用ブロワーとを設け、スクラバー用熱交換器によってスクラバー用循環経路を通過する熱分解ガスを冷却するものである。本実施の形態によれば、燃焼炉で発生させた燃焼ガスを養生室に導くことでタール成分の除去を行い、分岐管の下方配管からは、有機物ガス化空間で分離された炭化物を排出することができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による燃料ガス発生装置において、燃焼炉における燃焼ガスの温度を800℃以上とし、養生室に導入する燃焼ガスの温度を700℃以上とし、ガス化炉に導入する燃焼ガスの温度を650℃以上としたものである。本実施の形態によれば、燃焼炉における燃焼ガスの温度を800℃以上とすることで、養生室でのタール成分除去に必要な700℃から900℃の燃焼ガス温度を満足することができ、養生室に導入する燃焼ガスの温度を700℃以上とすることで、ガス化炉で有機物を熱分解ガスと炭化物に分離する温度を満足することができる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による燃料ガス発生装置において、養生室から排出される燃焼ガスの温度が650℃から850℃となるように燃焼炉における燃焼を制御するものである。本実施の形態によれば、養生室から排出される燃焼ガスの温度によって燃焼炉を制御することで、養生室とガス化炉での適正な温度を維持することができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3の実施の形態による燃料ガス発生装置において、ガス化炉から排出される燃焼ガスの温度が250℃から600℃となるように燃焼炉における燃焼を制御するものである。本実施の形態によれば、ガス化炉から排出される燃焼ガスの温度によって燃焼炉を制御することで、養生室とガス化炉での適正な温度を維持することができる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による燃料ガス発生装置において、ガス化炉で分離した炭化物を燃焼炉に導いて燃焼させるものである。本実施の形態によれば、ガス化炉で分離した炭化物を燃焼炉で用いることで効率を更に高めることができる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第1から第5の実施の形態による燃料ガス発生装置において、ガス化炉には、熱分解ガスに対して放熱した後の燃焼ガスを導くものである。本実施の形態によれば、ガス化炉には、熱分解ガスに対して放熱した後の燃焼ガスを利用することで、効率を高めることができる。
【実施例】
【0015】
以下に本発明の一実施例を図1に示す。
図1は本発明の一実施例による燃料ガス発生装置を示す構成図である。
図1に示すように、本実施例による燃料ガス発生装置は、高温の燃焼ガスを発生させる燃焼炉10と、間接加熱により有機物を熱分解ガスと炭化物に分離するガス化炉20と、ガス化炉20で分離した熱分解ガスからタール成分を除去する養生室30とを備えている。なお、ガス化炉20には、攪拌スクリュー付横型回転炉やロータリーキルンが適している。
【0016】
燃焼炉10における燃焼ガスの温度は800℃以上とし、養生室30に導入する燃焼ガスの温度は700℃以上とし、ガス化炉20に導入する燃焼ガスの温度は650℃以上とする。ガス化炉20に導入する燃焼ガスの温度を650℃以上とすることで、ガス化炉20内の有機物を400℃から650℃の環境下とする。
より、好ましくは、燃焼炉10における燃焼ガスの温度は950℃以上とし、養生室30に導入する燃焼ガスの温度は850℃以上とし、ガス化炉20に導入する燃焼ガスの温度は800℃以上とする。ガス化炉20に導入する燃焼ガスの温度を800℃以上とすることで、ガス化炉20内の有機物を400℃から650℃の環境下とする。
【0017】
なお、養生室30から排出される燃焼ガスの温度が650℃から850℃となるように、より好ましくは800℃から850℃となるように燃焼炉10における燃焼を制御する。
また、ガス化炉20から排出される燃焼ガスの温度が250℃から600℃となるように、より好ましくは250℃から400℃となるように、燃焼炉10における燃焼を制御する。
従って、図示はしないが、養生室30から排出される燃焼ガスの温度を検出する温度検出手段やガス化炉20から排出される燃焼ガスの温度を検出する温度検出手段を備え、これらの温度に基づいて燃焼炉10に供給する燃料量や空気量を調整する制御装置を備えている。
【0018】
ガス化炉20は、有機物が投入される有機物ガス化空間21と、有機物ガス化空間21を加熱する燃焼ガスを流通させる燃焼ガス空間22とからなる。有機物ガス化空間21と燃焼ガス空間22とは隔壁によって完全に区画されている。有機物ガス化空間21には、燃焼部を持たないUターンキルンが適している。本実施例では、燃焼ガス空間22は、有機物ガス化空間21の外周に形成している。
有機物ガス化空間21は、例えば横型筒状に形成され、筒状の一端側から、木材チップ、農業残渣物、食品残渣物などの有機物が連続的に投入され、有機物は熱分解ガスと炭化物に分離した後に、筒状の他端側がら導出される。
【0019】
有機物ガス化空間21の他端側には、配管が上下方向に配置される分岐管23が接続されている。
分岐管23の下方配管23aは、燃焼炉10内に延出し、有機物ガス化空間21で分離された炭化物(チャー)を燃焼炉10内に導く。このように、ガス化炉20で分離した炭化物を燃焼炉10に導いて燃焼させることで効率を高めることができる。
分岐管23の上方配管23bは、養生室30に接続されている。
養生室30は二重管で構成され、内部空間31には有機物ガス化空間21で分離された熱分解ガスが導入され、外部空間32には内部空間31を加熱する燃焼ガスが導入される。
内部空間31と外部空間32とは、隔壁によって完全に区画されている。内部空間31には、好ましくは触媒33を充填する。触媒33には、例えば金属触媒を用いる。この金属触媒によって、タール成分の熱分解を促進することができる。
【0020】
燃焼炉10と外部空間32とは、第1の燃焼ガス用配管11で接続され、燃焼炉10で発生させた燃焼ガスを外部空間32に導いている。第1の燃焼ガス用配管11の途中には分離器12が接続され、燃焼ガスに含まれる炭化物を分離する。
養生室30の外部空間32と燃焼ガス空間22とは、第2の燃焼ガス用配管13で接続され、外部空間32にて放熱した燃焼ガスを燃焼ガス空間22に導いている。
燃焼ガス空間22には、第3の燃焼ガス用配管14が接続され、燃焼ガス空間22にて放熱した燃焼ガスを排気する。
【0021】
第3の燃焼ガス用配管14には、出口側端部に排気ブロワー15が接続され、排気ブロワー15によって燃焼ガスを排気する。
第3の燃焼ガス用配管14には、排気ブロワー15に至るまでの経路に、熱回収器16とバグフィルタ17が接続されている。熱回収器16は、バグフィルタ17より上流側に配置する。
熱回収器16は、燃焼ガスから熱を吸収して空気を加熱し、加熱した空気を燃焼炉10に導くことで、燃焼炉10での燃焼ガスの温度を高めることができる。
【0022】
なお、熱回収器16は、燃焼炉10における燃料の加熱に用いてもよい。なお、熱回収器16で放熱された燃焼ガスは、450℃以下、より好ましくは200℃以下とする。熱回収器16から排出される燃焼ガス温度を200℃以下とすることで、耐熱ナイロンを素材としたバグフィルタ17や汎用的な排気ブロワー15を用いることができる。また、排気ブロワー15やバグフィルタ17を通過する燃焼ガス温度を低下させるために、熱回収器16の下流側の第3の燃焼ガス用配管14に、外気を導入する吸入経路を接続してもよい。
【0023】
養生室30の内部空間31とサイクロン40とは第1の接続管24で接続され、内部空間31にてタール成分を除去された熱分解ガスをサイクロン40に導いている。
サイクロン40には、サイクロン40の下部と上部を接続する循環経路41が設けられている。この循環経路41には、熱交換器42と循環用ブロワー43が設けられ、熱交換器42によって循環経路41を通過する熱分解ガスを冷却する。
サイクロン40とスクラバー50とは、第2の接続管25で接続され、サイクロン40にてタール成分や炭化物を除去された熱分解ガスをスクラバー50に導いている。
スクラバー50には、スクラバー50の下部と上部を接続する循環経路51が設けられている。この循環経路51には、熱交換器52と循環用ブロワー53が設けられ、熱交換器52によって循環経路51を通過する熱分解ガスを冷却する。
【0024】
スクラバー50には、第3の接続管26が接続され、スクラバー50から導出される熱分解ガスをガスホルダー60に導く。
第3の接続管26には、ガスホルダー60に至るまでの経路に、フィルター61とブロワー62が接続されている。フィルター61は、ブロワー62より上流側に配置する。
ガスホルダー60に導かれた熱分解ガスは、例えばガスエンジン発電機70に利用される。
【0025】
上記構成によって、燃焼炉10で発生させた燃焼ガスを養生室30に導き、養生室30に導いた燃焼ガスによって養生室30内の熱分解ガスを間接加熱し、熱分解ガスに対して放熱した後の燃焼ガスをガス化炉20に導き、ガス化炉20に導いた燃焼ガスによって有機物を加熱する。
【0026】
本実施例によれば、燃焼炉10で発生させた燃焼ガスを養生室30に導くことでタール成分の除去を行い、養生室30で放熱した後の燃焼ガスをガス化炉20に利用するものであり、養生室30及びガス化炉20にはいずれにも燃焼室を設けないことで装置の小型化を図れると共に、養生室30で必要とする燃焼ガスの温度と、ガス化炉20で必要とする燃焼ガスの温度の違いに着目して養生室30で放熱した後の燃焼ガスをガス化炉20に利用することで、効率を高めることができる。
また、本実施例によれば、燃焼炉10における燃焼ガスの温度を800℃以上、より好ましくは950℃以上とすることで、養生室30でのタール成分除去に必要な700℃から900℃、より好ましくは850℃から900℃の燃焼ガス温度を満足することができ、養生室30に導入する燃焼ガスの温度を700℃以上、より好ましくは850℃以上とすることで、ガス化炉20で有機物を熱分解ガスと炭化物に分離する温度を満足することができる。
また、本実施例によれば、養生室30から排出される燃焼ガスの温度によって燃焼炉10を制御することで、養生室30とガス化炉20での適正な温度を維持することができる。
また、本実施例によれば、ガス化炉20から排出される燃焼ガスの温度によって燃焼炉10を制御することで、養生室30とガス化炉20での適正な温度を維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、燃料ガス発生装置として適しているが、その他の汚染物質の処理にも利用できる。
【符号の説明】
【0028】
10 燃焼炉
11 第1の燃焼ガス用配管
13 第2の燃焼ガス用配管
14 第3の燃焼ガス用配管
20 ガス化炉
21 有機物ガス化空間
22 燃焼ガス空間
23 分岐管
24 第1の接続管
25 第2の接続管
26 第3の接続管
30 養生室
31 内部空間
32 外部空間
33 触媒
図1