特許第6083630号(P6083630)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6083630
(24)【登録日】2017年2月3日
(45)【発行日】2017年2月22日
(54)【発明の名称】ハンガー
(51)【国際特許分類】
   D06F 57/00 20060101AFI20170213BHJP
   A47G 25/20 20060101ALI20170213BHJP
   A47G 25/18 20060101ALI20170213BHJP
【FI】
   D06F57/00 340
   A47G25/20
   A47G25/18
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-74706(P2016-74706)
(22)【出願日】2016年3月14日
【審査請求日】2016年4月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515048272
【氏名又は名称】西内 廉
(72)【発明者】
【氏名】西内 廉
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−182979(JP,A)
【文献】 特開2002−262985(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3112096(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 57/00
A47G 25/18、25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンガー本体部と、
前記ハンガー本体部を被係止体に係止させる係止部と、
フード付きの衣類の前記フードを掛けるフード掛け部と
を備え、
前記係止部と前記フード掛け部とは連結部材で連結され、
前記係止部は前記ハンガー本体部に対して取付機構で上下方向に移動可能に取り付けられ、
前記係止部は、フック部と脚部とを備え、
前記フック部を上方に移動させると前記脚部が前記ハンガー本体部の上方に引き出され、併せて前記連結部材で連結されている前記フード掛け部も前記ハンガー本体部の上方に引き出され、前記フードを掛けることが可能となり、
前記フック部を下方に移動させると前記脚部が前記ハンガー本体部の下方に収まり、併せて前記連結部材で連結されている前記フード掛け部も前記ハンガー本体部の下方に収まるハンガーであって、
前記取付機構は、前記ハンガー本体部に設けられた前記係止部をとおす平面視で凹部を有する穴部と、前記穴部にとおされる前記係止部に対して上下動しないように覆う回転可能な筒状体であって外面上端部には外側に凸状の第一のストッパー部が設けられ、かつ、外面下端部には外側に凸状の第二のストッパー部が設けられる筒状体とからなり、
前記第一のストッパー部は、前記凹部を通過可能であり、かつ、前記筒状体の回転により前記凹部と対応しない位置では、前記係止部と前記フード掛け部との前記ハンガー本体部の下方に収まる位置から上方への移動を規制し、
前記第二のストッパー部は、前記凹部を通過可能であり、かつ、前記筒状体の回転により前記凹部と対応しない位置では、前記係止部と前記フード掛け部との前記ハンガー本体部の上方に引き出された位置から下方への移動を規制するハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常のハンガーとしても使用可能でありながら、フード付きの衣類のフードを掛けるための機構を有するハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
通常のハンガーでは、フード付きの衣類を洗濯等して乾燥する場合に、吊るした状態で衣類の背中とフードが重なり合ってしまうため、乾燥しにくいという悩みがあった。
一方で、従来のフード付きの衣類向けのハンガーは、フード掛け部を有しているが、フードを掛けるために特化した形状をしており、フードが無い衣類には不向きであった。
【0003】
そこで、関連技術として、フードが無い衣類とフード付きの衣類とで、フードを掛けるための機構の有無を切り替えることができるハンガーが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−178811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の関連技術は、物干し竿等にかけるためのフック部から衣類を吊るすハンガー本体部までの脚部が長いため、取り扱いが面倒であり、また、フードを掛けるための機構は、左右のスライダーが独立しており、その両方を起立させて使用するための手間がかかるという問題点があった。
【0006】
本発明の目的は、フード掛け部を有しながらも、通常のハンガーとしての取り扱いが容易であり、かつ、フード掛け部を使用可能な状態にするための操作が簡単なハンガーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のハンガーは、ハンガー本体部と、前記ハンガー本体部を被係止体に係止させる係止部と、フード付きの衣類の前記フードを掛けるフード掛け部とを備え、前記係止部と前記フード掛け部とは連結部材で連結され、前記係止部は前記ハンガー本体部に対して取付機構で上下方向に移動可能に取り付けられ、前記係止部は、係止部と脚部とを備え、前記係止部を上方に移動させると前記脚部が前記ハンガー本体部の上方に引き出され、併せて前記連結部材で連結されている前記フード掛け部も前記ハンガー本体部の上方に引き出され、前記フードを掛けることが可能となり、前記係止部を下方に移動させると前記脚部が前記ハンガー本体部の下方に収まり、併せて前記連結部材で連結されている前記フード掛け部も前記ハンガー本体部の下方に収まるハンガーであって、前記取付機構は、前記ハンガー本体部に設けられた前記係止部をとおす平面視で凹部を有する穴部と、前記穴部にとおされる前記係止部に対して上下動しないように覆う回転可能な筒状体であって外面上端部には外側に凸状の第一のストッパー部が設けられ、かつ、外面下端部には外側に凸状の第二のストッパー部が設けられる筒状体とからなり、前記第一のストッパー部は、前記凹部を通過可能であり、かつ、前記筒状体の回転により前記凹部と対応しない位置では、前記係止部と前記フード掛け部との前記ハンガー本体部の下方に収まる位置から上方への移動を規制し、前記第二のストッパー部は、前記凹部を通過可能であり、かつ、前記筒状体の回転により前記凹部と対応しない位置では、前記係止部と前記フード掛け部との前記ハンガー本体部の上方に引き出された位置から下方への移動を規制する
このように構成することにより、本体に沿う形状のフード掛け部を有し、フード掛け部は上下に移動可能であり、ハンガー本体を壁面等に吊るすためのフックと連動しており、フックを本体より上部に移動させることにより、ハンガー本体とフックとの間にフードを掛けることのできる空間を得るとともに、フード掛け部に衣類のフードを掛けることができるようになる。加えて、フックを下部に移動させることにより、フード掛け部も下部に移動し、ハンガー本体に沿い、収納され、通常形状のハンガーに近似した形状となるため、フード掛け部を使用しない状態でも取り扱いが容易となる。
また、通常形状のハンガーに近似した形状と、フード掛け部を使用する形状との切り替えおよびストッパーによる形状の保持が、僅かな回転操作による簡単な動作で容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フード掛け部を有しながらも、通常のハンガーとしての取り扱いが容易であり、かつ、フード掛け部を使用可能な状態にするための操作が簡単なハンガーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係るハンガーのフード掛け部を使用していない状態の斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係るハンガーのフード掛け部を使用していない状態の側面図である。
図3】本発明の実施の形態に係るハンガーのフード掛け部を使用している状態の斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係るハンガーのフード掛け部を使用している状態の側面図である。
図5】本発明の実施の形態に係るハンガーのストッパー機構を使用していない状態の図3の拡大図である。
図6】本発明の実施の形態に係るハンガーのストッパー機構を使用している状態の図3の拡大図である。
図7】本発明の実施の形態に係るハンガーのフード掛け部を使用していない状態の使用例の図である。
図8】本発明の実施の形態に係るハンガーのフード掛け部を使用している状態の使用例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
まず、図1は、本実施形態に係るハンガーのフード掛け部を使用していない状態の斜視図である。また、図2は、本実施形態に係るハンガーのフード掛け部を使用していない状態の側面図である。
【0013】
図1及び図2を参照すると、本実施形態のハンガー20は、ハンガー本体部1と、フード掛け部2と、係止部3とから構成されている。各部材は、プラスチック等の軽い材質からなるが、木材・金属等の種々の材料が用いられてもよい。
【0014】
ハンガー本体部1は、上辺、下辺、左右の斜辺からなる枠体であり、断面形状は一辺の長さ寸法が約1.5cmの略正方形の矩形であり、枠体全体の高さ寸法は約10cmであり、幅寸法は約40cmである。上記のサイズであることから、ハンガー本体部1に関しては、通常のハンガーの形状と同様の寸法となっている。
また、ハンガー本体部1の上辺をなす枠体には、フード掛け部2及び係止部3がハンガー本体部1を基準として、上下方向に移動可能となるように、フード掛け部2のガイド溝4、係止部3を取り付けるためにとおす穴部5が設けられており、ハンガー本体部1の下辺は中間部がなく、フード掛け部2及び係止部3の移動を阻害しないよう開放されている。
【0015】
フード掛け部2は、断面形状は一辺の長さ寸法が約1.5cmの略正方形の矩形であり、高さ寸法約17cmであり、幅寸法は約20cmである。
フード掛け部2は、フード付きの衣類のフードを掛けるための台形形状部6と、係止部3と連動するための連結棒7とから構成されている。フード掛け部2の台形形状部6は、ハンガー本体1に沿うような形状であれば、どのような形状でも良い。また、連結棒7は必ずしも2本である必要はない。
【0016】
係止部3は、略鉤型のフック部31と、脚部32と、フード掛け部2と連動するための連結部9とを備えている。ハンガー本体部1を物干し竿などの被係止体に係止させる係止部3の全体の高さ寸法は約30cmである。フック部31および脚部32の断面形状は直径が約2cmの円形であり、略丸棒形状の連結部9は連結棒7に回動可能に組み合わせられる。
係止部3の脚部32に対して上下動しないように、かつ、脚部32を覆いながら回転動作が可能な円筒部8を設けている。円筒部8には、係止部3をハンガー本体1の上辺をなす枠体の上面部分、または下面部分で固定するために、外面上端部には外側に凸状の第一のストッパー機構10が設けられ(図3も参照)、外面下端部には外側に凸状の第二のストッパー機構10を設けている。ストッパー機構10の詳細は後述する。
【0017】
次に、図3は、本実施形態に係るハンガーのフード掛け部を使用している状態の斜視図である。また、図4は、本実施形態に係るハンガーのフード掛け部を使用している状態の側面図である。
【0018】
図3及び図4を参照すると、フード掛け部2と係止部3とがハンガー本体部1の上方に引き出された状態において、フード掛け部2は、上部の自重とガイド枠の規制により係止部3に対して略30度の角度で傾斜して位置している。なお、ここではフード掛け部2の使用時は、係止部3に対して傾斜を持っている構造となっているが、フード掛け部2は係止部3に対して垂直や平行となる構造でも良い。
【0019】
図5は、本実施形態に係るハンガー20のストッパー機構10を使用していない状態での図3の拡大図である。また、図6は、本実施形態に係るハンガー20のストッパー機構10を使用している状態での図3の拡大図である。
【0020】
図5及び図6を参照すると、図5のようにハンガー本体部1の平面視で凹部を有する穴部5に円筒部8の外面下端部の第二のストッパー機構10の凸部を合わせて通過させ、その後、第二のストッパー機構10が設けられている円筒部8を時計回り又は反時計回りに回転させることにより、第二のストッパー機構10の凸部がハンガー本体部1の穴部5の凹部と対応しない位置にきて、図6のようになる。図6のようになることにより、フード掛け部2と係止部3とがハンガー本体部1の上方に引き出された位置から下方への移動が規制されることとなる。
また、同様に、ハンガー本体部1の平面視で凹部を有する穴部5に円筒部8の外面上端部の第一のストッパー機構10の凸部を合わせて通過させ、その後、第一のストッパー機構10が設けられている円筒部8を時計回り又は反時計回りに回転させることにより、第一のストッパー機構10の凸部がハンガー本体部1の穴部5の凹部と対応しない位置にきて、フード掛け部2と係止部3とがハンガー本体部1の下方に収まる位置から上方への移動が規制されることとなる。
なお、ストッパー機構10は四角形の形状で円筒部8より突出しているが、ハンガー本体部1の穴部5の凹部と合わせた形状であれば、どのような形状でも良い。
【0021】
以下、本実施形態のハンガー20の使用方法の一例を図7および図8を参照して説明する。ハンガー20の係止部3のフック部31により物干し竿などに係止させるものとする。
【0022】
まず、図1および図2のような、ハンガー20のフード掛け部2を使用していない状態、すなわち係止部3のフック部31が下方に移動させられており係止部3の脚部32がハンガー本体部1の下方に収まり、併せて連結部9で係止部3に連結されているフード掛け部2もハンガー本体部1の下方に収まる状態では、図7に示すように、フードが無い衣類を通常のハンガーと同様の感覚でハンガー本体部1に吊るして使用することができる。
フック部31を下部に移動させることにより、フード掛け部2も下部に移動し、ハンガー本体1に沿い、収納され、通常形状のハンガーに近似した形状となるため、フード掛け部2を使用しない状態でも取り扱いが容易となる。
【0023】
次に、図5を参照して上述したように、第二のストッパー機構10が設けられている円筒部8を時計回り又は反時計回りに回転させることにより、ハンガー本体部1の平面視で凹部を有する穴部5に円筒部8の外面下端部の第二のストッパー機構10の凸部を合わせて通過させ、その後、円筒部8を再度、時計回り又は反時計回りに回転させることにより、第二のストッパー機構10の凸部をハンガー本体部1の穴部5の凹部と対応しない位置とし(図6参照)、フード掛け部2と係止部3とがハンガー本体部1の上方に引き出された位置から下方へ移動することが規制された状態とする。
【0024】
そして、図3および図4のような、ハンガー20のフード掛け部2を使用している状態、すなわち係止部3のフック部31が上方に移動させられて係止部3の脚部32がハンガー本体部1の上方に引き出され、併せて連結部9で係止部3に連結されているフード掛け部2もハンガー本体部1の上方に引き出され、フードを掛けることが可能な状態となり、図8に示すように、フード付きの衣類を、フード以外の部分は通常のハンガーと同様の感覚でハンガー本体部1に吊るしつつ、フードの部分はフード掛け部2に掛けて使用することができる。
また、フード掛け部2は、係止部3に対して略30度の角度で傾斜して位置しているので、簡単にフード掛け部2にフードを掛けることができ、また、衣類の背中とフードとの空間を確保して乾燥を促進することができる。
【0025】
さらに、第二のストッパー機構10が設けられている円筒部8を時計回り又は反時計回りに回転させることにより、ハンガー本体部1の平面視で凹部を有する穴部5に円筒部8の外面上端部の第一のストッパー機構10の凸部を合わせて通過させ、その後、円筒部8を再度、時計回り又は反時計回りに回転させることにより、第一のストッパー機構10の凸部をハンガー本体部1の穴部5の凹部と対応しない位置とし、フード掛け部2と係止部3とがハンガー本体部1の下方に収まる位置から上方への移動が規制された状態、すなわち図1および図2のような、ハンガー20のフード掛け部2を使用していない状態に戻すことができる。
したがって、通常形状のハンガーに近似した形状と、フード掛け部2を使用する形状との切り替えおよびストッパー機構10による形状の保持が、円筒部8の僅かな回転操作による簡単な動作で容易に行うことができる。
【0026】
上記の本実施の形態のハンガー20によれば、フード掛け部2を有しながらも、通常のハンガーとしての取り扱いが容易であり、かつ、フード掛け部2を使用可能な状態にするための操作が簡単なハンガーを実現することができる。
【0027】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、各構成部分の大きさや形状を含む種々の変更が加えられて実施されてよい。
【符号の説明】
【0028】
1 ハンガー本体部
2 フード掛け部
3 係止部
31 フック部
32 脚部
4 ガイド溝
5 穴部
6 台形形状部
7 連結棒
8 円筒部
9 連結部
10 ストッパー機構
20 ハンガー
【要約】
【課題】フード掛け部を有しながらも、通常のハンガーとしての取り扱いが容易であり、かつ、フード掛け部を使用可能な状態にするための操作が簡単な機構を持つハンガーを提供すること。
【解決手段】フード掛け付きハンガーは、本体に沿う形状のフード掛け部を有し、フード掛け部は上下に移動可能であり、ハンガー本体を壁面等に吊るすためのフックと連動しており、フックを本体より上部に移動させることにより、ハンガー本体とフックとの間にフードを掛けることのできる空間を得るとともに、フード掛け部に衣類のフードを掛けることができるようになる。加えて、フックを下部に移動させることにより、フード掛け部も下部に移動し、ハンガー本体に沿い、収納され、通常形状のハンガーに近似した形状となるため、フード掛け部を使用しない状態でも取り扱いが容易となる。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8